ハミルトンの電撃フェラーリ移籍発表によってトップチームのシート争いが大いにザワついている昨今。誰が、どのチームへ行くのか行かないのか、さまざまな憶測が飛び交う中、渦中の一人であるアロンソがアストンマーティンに残留することが正式に発表されました。細かな条件などはもちろん公表されませんが、複数年契約を結び、レギュレーションが大きく変わる2026年もアストンマーティンで戦うことがほぼ確実となりました。
現在、彼は42歳。僕のなかにいるスーパーコンピューターによれば、2026年には44歳となっていることが予測されます。その年齢で活躍するためにはフィジカル面をベストな状態に整えるのはもちろんのこと、メンタル面も高いモチベーションを保つことが求められるわけで、ハンパないバイタリティの持ち主やなと、文字通り脱帽しております。普通これだけの成功を収めたら「しんどいF1はももええし、もうちょい負担の少ないカテゴリーでするか」となりますよね。
アロンソのドライバーとしての才能と力量に関しては長いF1の歴史のなかでもトップ・オブ・トップであり、好き嫌い関係なしに疑いを挟む余地はないでしょう。しかしながら、キャリアメイクとなると結構微妙・・・・というか、表裏関わらずセコセコ動いている割には下手こいでるような気がしないでもありません。
そんな移籍下手なアロンソにしては、今回の残留は良い判断だったと思います(何様目線や!と自分でツッコんでおきますので、何卒ご容赦ください)。そのいちばんの理由は、トップチームとのマッチング。どこのチームもアロンソの力は欲しいものの、やはり42歳という年齢がネックとなって複数年契約は提示できないのが実情。どのチームもレギュレーションが大きく変わる年は今後を見据えた安定感のある布陣で臨みたいものですから。
そして、もうひとつネックとなっているのがアロンソの衰えない戦闘力。他人事としては「アロンソすげえな」と感心できても、いざ自分のチームに招き入れるとなると、その能力の高さ故に現在抱えているエースドライバーとガチンコ勝負になってしまい、チームがカオス状態になってしまうのは想像に難くありません。近年は若手にエールを送るなど、いいオヤジ感を出したりしていますが、それはチームがタイトルを狙えるレベルでなかったり、チームメイトがおぼっちゃまだから。ひとたびタイトルの可能性が目えたら俺様ぶりを発揮しても何ら不思議ではありません。いや、そうでこそアロンソです。だから、チームは欲しくてもなかなか手を出しづらい。
その点、アストンマーティンにはそういう心配はありません。2026年はホンダと組んでいよいよタイトルを本気でとりにいく年であり、そのためには絶対的なエースが必要不可欠です。もちろんフェルスタッペンやルクレールが来てくれれば良いのですが、最初から来てくれるとは限らない。彼らにしてみれば契約があるし、とりあえず2026年の状況を見てから検討しても良いのですから。それなら実力はわかっていて、良い関係を築けている(今のところは)アロンソをキープするのが無難。
こうしたことは裏返すと、アロンソ視点でも当てはまります。レッドブルやメルセデスに行けば、いうてもチームメイトは現在のおぼっちゃまよりも速い強者になるでしょうし、2026年以降についてはレッドブルはPU、メルセデスはマシン設計において不安材料がある。それなら、自分をエースに据えてくれるアストンマーティン・ホンダで走った方が、現実的に勝算があると考えたのでしょう。そして、この好条件を手にいれるためには、先手を打つ必要があると。なかなかしたたかではありませんか。
実際にアストンマーティン・ホンダのコラボがどれほどうまくいき、アロンソが44歳という年齢をむかえてどれほどの力をキープしているのかはわかりませんが、確実にF1をおもしろくしてくれる要素であることは間違いありません。