20240718

やはり、この人は千両役者だわ。
現在のレギュレーションになってから2年以上にわたり苦戦を強いられてきたハミルトンが、母国イギリスグランプリで「さすがッス!」と唸らせる勝利をもぎ取りました。

それにしても今年のイギリスGPは熱かった。予選ではポールのラッセルを筆頭に、ハミルトン、ノリスのイギリス人3人が占拠したわけですから。否が応にもこのまま決勝も表彰台独占!と盛り上がりますよね。そして結果的にはハミルトンが、「お主ら、まだまだ青いのぉ」と言わんばかりに、表彰台の真ん中に立つところがニクいじゃなりませんか!

時間が経ち(というか、加齢による記憶力低下が主な理由ですが)詳しい展開はさっぱり覚えておりませんが、決勝は雨が降ったり止んだりのトリッキーな状況のなかで、ハミルトンもチームもほぼ完璧なレース運び。実際、ラップタイム的には優勝争いをしたノリスやフェルスタッペンよりも遅かった。それを戦略とドライバーの勝ちどころを押さえた走りで勝ちにつなげる。まさに、「いちばん速いドライバーではなく、最初にチェッカーを受けたドライバーが勝者」というレースの鉄則を身を以て示しました。

このあたりは、チャンピオン候補とされるノリス、ラッセルなどはもっと吸収すべき点ではないでしょうか。ルクレールは二人に比べて場数を踏んでいることもあり、レースマネジメントの面では一枚上手かなと思うのですが、圧倒的に運がないんですよねぇ…。それと彼の場合、ここ数年みられるシーズン中盤の中弛みが気になるところ。モチベーションが下がっているせいなのか、苦手なサーキットがあるのかわかりませんが、チャンピオンになるためにはこういうムラは致命的。「ペーパードライバーのお前に言われたないわ!」とおっしゃる気持ちは承知しておりますが、今のうちに修正した方が良いと思います。

話がそれました。今シーズンのハミルトンは、予選の勝敗ではラッセルに圧倒されており、純粋なスピードに関してはピークを過ぎたのかもしれません(ラッセルはもともと予選強いですから)。でも、レースとなれば話は別。天性の才能と磨き上げたテクニックを駆使することで、まだまだトップで戦えることを証明してみせました。序盤、雨が降り出してちょい濡れのコンディションになったとき、ラッセルのペースが落ちたとみるや間髪入れずに抜きにかかるキレ(レース直前まではチームプレイで後ろをおさえるという発言を瞬時に撤回する変わり身の早さも含め)、終盤にフェルスタッペンに怒涛の追い上げを食らっても動じない走りには改めて感服いたしました。
そして、フィニッシュ後のあの涙。100勝以上しているにもかかわらず、感極まる姿を見ると、こちらの想像をはるかに超えるエネルギーを注いでレースに臨んでいるのが伝わってきて感動しました。

それにしてもメルセデスはカナダ以降、完全に復調してきましたね。レースペースではまだフェルスタッペン(もう一人のドライバーを除く)やマクラーレンには及ばないものの、予選では充分戦えるし、それによってレースでも今回や前回のオーストリアのように勝ちを拾えるチャンスが生まれるわけですから。いやぁ、次のハンガリーも激戦になるんじゃないでしょうか。