20240811

よく“もってる人”、“もってない人”なんて言い方をしますが(僕は完璧に“もってない人”です。キリッ!)、それはF1ドライバーにも当てはまります。
たとえば、“もってる人”は、派手に接触してもダメージが少なく走り続けられたり、スタートでリタイヤしても赤旗で復活できたりすることが多い。それはシューマッハやハミルトン、フェルスタッペンなど、大体は複数回チャンピオンに輝いたドライバーだったりします。
逆に“もってない人”は、「なんでここで?!」という展開になるんですよね。
まわりくどい言い方をしてすみません・・・・。要するにラッセルのことです。なぜ、あれほどエキサイティングなレースをして快心の勝利をもぎ取り、喜びを爆発させた直後に、奈落の底に突き落とされるのか。不憫でなりません。

今回のレースの主役は、ほぼ僚友のハミルトンでした。スタートでペレスをかわし、早々にルクレールをオーバーテイクした後は安定してマージンをキープ。怒涛の追い上げが期待されたフェルスタッペンも浮上できなず、「このままハミルトンが勝つのか」とまったりしておりました。当然ながら第二スティントをのばして暫定トップを走っていたラッセルに関しても、2回目のタイヤ交換をして、フェルスタッペンの前後に落ち着くものだと思っていました。が、一向にピットインする気配はなし。「はやく入らんとますます順位を落としてしまうがな」とボヤいていたところ、1ストップで走りきろうとしていることが判明。といっても、その時点では残り周回は結構ある。ワクワクはしたものの、ラッセルはよくこういうギャンブルを仕掛け、大体はうまくいってないので、今回もいずれタイヤで有利なハミルトンにオーバーテイクされるだろうと、高をくくっていました。
ところが、ハミルトンとの差は思いのほか縮まってこない。しかも、ラッセルは限界まで攻めず、最後の最後で踏ん張りが効くようにタイヤマネジメントをしている。これはイケるかも・・・・。期待感が、吉牛の特盛を食べた後の胃袋のように膨れ上がります。
そして終盤、ついにチームメイト同士のデッドヒートが開始。ハミルトンは激しく追い立て、ラッセルは懸命に堪える。ここでお互いに無理をして一線を越えてしまえば、1-2体制が台無しになるチーム的には心臓バクバク状態。
ラッセルは、ペースは劣るもののタイヤマネジメントしていたおかげで、インをつく隙を与えず周回を重ねることができ、逆にハミルトンが最後にスライドさせてしまい、勝負あり! ラッセル、後半の快進撃の狼煙となる劇的な今季2勝目、通算3勝目!
ここ数年、こんなに興奮するレースにお目にかかることはなく、ラッセルの喜ぶ姿を見て、こちらもテンションが上がりまくりました。
しかし・・・・・・・・、それから数時間後にネットを見ると、「失格」の文字が。なんやろ、この感じ。4位や5位でフィニッシュしたレースではなく、よりよよってトップチェッカーを受けたレースでこんなことになるなんて。
思えば、彼がハミルトンの代打としてメルセデスデビューを飾った際、勝利を目前にしながらトラブルが発生して下位に沈んでしまった記憶が蘇る。気のせいか、その後もマシントラブルはハミルトンより多いように思います。いやぁ、つくづくツイていない人だなと。
ただ、ラッセルは頭がいい人なので、きっとこの悔しさをプラスに変換して後半戦に臨んでくれるでしょう。個人的に台風の目になると思っています。

後日、あるネット記事を見ると、トップチェッカーを受けたにもかかわらず勝利を逃したF1ドライバーは、ラッセル以外に過去5人いるとのこと。そのメンツはジェームス・ハントにネルソン・ピケ、アラン・プロスト、アイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハ。なんと、ワールドチャンピオンばかりじゃないの!! ラッセル、“もってる人”だした!!