KITSCH de F1

F1徒然日記。

シンガポールGP〜ベッテル今シーズン初勝利

20190927

シーズン前のテストの時は「やっとフェラーリがメルセデスのしっぽを捕まえた!」と、期待に胸踊らせていました。脳内では今頃、ハミルトンとベッテルが熾烈なタイトル争いを繰り広げているはずだったのに・・・。
もちろんベッテルのことなので、また信じられないようなミスをするんじゃないだろうか、もしかしたら調子を崩してルクレールに苦戦するかもしれないなど、いろいろネガティブ要素を想定してはいましたが、想定以上の項目を現実化してしまい、ここまで優勝が延び延びになってしまいました。

シンガポールのツイスティな市街地サーキットでは、フェラーリの苦戦が予想されていました。ところが土曜日になると調子を上げ、ベッテルの走りにも好調時のキレが感じられるように。最後のアタックをキメた時、「これはポールだな」と思ったら、ルクレールが小さなミスをいくつかしながらもポールをかっさらっていきました。この若武者は思っているよりも、さらに速いドライバーかも。

今回のレースのミソは、アンダーカット予防のためにフェラーリがトップを走るルクレールにスローペースを指示したこと。トップチームから中団チームまで数珠つなぎになり、クリアなスペースがなくなったせいで、ルクレールはハミルトンに対して、ベッテルはフェルスタッペンに対してマンツーマンのディフェンスをする必要が生じる。そしてフェルスタッペンが先にピットインしたことでベッテルも反応した結果、ルクレールをアンダーカットするかたちになり、そのままベッテルが勝利を掴む展開となりました。
ルクレールにしてみれば、「オレがポールを獲って、チームの指示に従いながらトップを走っていたのに、何でベッテルに先を越されなあかんねん!」という気持ちだったに違いありません。というか、無線で不満をあらわにしてましたね。彼の態度に対していろいろ意見が出ているようですが、個人的には人生を賭けてレースをしているのだから、これくらい熱くなってもいいじゃないのと思います。逆にすんなり受け入れる方がガッカリです。
またフェラーリが1-2フィニッシュを確実にするためには仕方なかったように思います。ルクレールにタイトル獲得の可能性があれば対応も違ったんでしょうけど、今のチーム状態ではどちらが勝つかはどうでもよく、とにかく1-2フィニッシュすることが最優先。ルクレールも落ち着いてから説明を受け、納得はしていないかもしれませんが理解はしたでしょう。

フェラーリはこれまで苦手だった中低速のサーキットで速さを発揮できたことが大きい。もともとトップスピードはあるので、これからはサーキットのタイプにかかわらずメルセデスに肉薄するんじゃないでしょうか。そして今回は不発気味でしたが、レッドブル・ホンダも着実に力をつけています。こうなってくると王者メルセデスも余裕がなくなり、これまでなかったようなミスが出てくる。実際に今回ハミルトンをピットに入れるタイミングが遅れてフェルスタッペンにかわされました。こうしたシビアな状況がドライバーたちの力を引き出し、震えるようなバトルが生まれるんです。僕たちは、こういうギリギリの戦いが観たいんです!

ベルギーGP〜ルクレール、友に捧げる初勝利

20190906

悲しみと喜びが入り混じった週末となった今回のベルギーGP。まず決勝前日に行われたF2レースで、ルノー育成ドライバーのアントワーヌ・ユベールがクラッシュで帰らぬ人になったという痛ましいニュースが届きました。大きな才能と可能性をもった若者が亡くなるのは辛いことです。カートの同期生としてだけでなく、友として切磋琢磨してきたルクレール、ガスリー、オコンにとっては特に厳しい状態だったに違いありません。ルクレールは兄貴分だったビアンキにつづいて大切な存在を失ってしまいました。
「トウなんて関係ない、自分たちが速く走ることに集中しよう」、そう無線でチームフに訴えかけたルクレールから、夢を共有した友のために、そしてこれからを生きる自分のために勝ちをもぎ取ろうという、レーサーとしての覚悟を感じました。

彼の想いが届いたのか、今回のフェラーリ陣営はハミルトンが終盤追い上げるシビアな展開にもブレることなく対応し、ルクレールの初勝利をサポート。特に容赦なくベッテルを壁にしてハミルトンをおさえたことは、勝利に大きく影響しました。でも今回は、援護射撃がなかったとしてもルクレールの執念でおさえきったような気がします。
実際に普通ならステアリングを持つ手が震えそうな緊迫した状況でも、落ち着いてマシンとレースをコントロールして、ポール・トゥ・ウィンを達成したのは大したもの。本人が「速いマシンに追いかけられることに慣れてきた」と言うように、速さに加えてタフさも身に着けています。今回の勝利で間違いなくネクスト・レベルに前進するでしょう。

こうなるとますます厳しい状況になるのがベッテル。このところ予選では負けがつづき、レースでもキレが感じられません。リアがルーズな今年のマシンに手こずっているだけでなく、明らかにモチベーションも下がっている様子。チームメイトは想像以上に手強いので、下手をすればこのままズルズルと下降線を辿ってしまう可能性も・・・。来シーズンといわず、次のイタリアGPからフンドシを締め直して「さすが4タイムズ・チャンピオン!」という走りを見せてください!!

すべてのドライバーにとって初勝利は大きな意味をもっていて、ファンにとってもF1をもっと好きになる嬉しい出来事。特に今回は友の死を乗り越えての勝利で、ルクレールがマシンから降りて天を見上げて拳を振り上げた姿には熱いものがこみ上げてきました。

ドイツ&ハンガリーGP〜新時代の足音

20190813

新たな時代の到来が、もうすぐそこまで来ていることを実感したダブルヘッダーでした。
ドライバー視点でとらえれば、この10年はベッテル・ハミルトン時代、そしてこれからの10年はフェルスタッペン時代といって間違いないでしょう。
確かにドイツではベッテルが、ハンガリーGPではハミルトンが「まだまだピークは過ぎてへんで!」という素晴らしい走りを見せてくれたけれど、それを凌駕する勢いをフェルスタッペンに感じました。「自分の前に立ちふさがる者はすべて叩きのめす!」という圧は、1993年あたりのシューマッハと共通している気がします。

さて、ドイツGPは雨が降ったり止んだりする微妙なコンディションで、レース前から荒れる気配が漂う。こういう時に力を発揮するのが、上位陣ではハミルトンとフェルスタッペン、中団勢ではヒュルケンベルグといったところ。
レース前半はメルセデス勢が快走。こんな時も隙ナシかぁ・・・。メルセデス〜ハミルトン独走状態にお腹いっぱいの身としてはテレビを消したくなる展開でしたが、わずかな望みを込めて見守っていたところ、期待していた以上のことが起こりました!
あまりにも目まぐるしい展開で時間が経ったこともあり、詳しい流れは忘れてしまいましたが、大きく流れが変わったのはルクレールのクラッシュからだったんじゃないでしょうか。
ここからは予測できない天候とトリッキーな路面コンディションの影響で、どのドライバー、チームも1回はミスをしたと思います。そんな状況で上位に食い込めるのは、ダメージを最小限に留め、限界ギリギリのところで攻め、運を味方につけた者だけ。こ存じの通り、そのなかにメルセデス勢はいませんでした。いつもは憎らしい戦いをするメルセデス〜ハミルトンも手痛いミスをしてしまいました。地味に順位を上げていたヒュルケンベルグも終盤にミスをしてリタイヤ。もしかしたら初表彰台?!とワクワクしていたものの、またまたお預けに。
フェルスタッペンの雨でのドライビングは異次元で、チーム代表のクリスチャン・ホーナーが「うちのフェルスタッペンが現役最強」とドヤ顏をするのもわかります。
クビアトの3位は、「最後のセーフティカーが出た時の対応がハマっただけじゃないの?」という気がしないでもありませんが、しっかりと生き残り、実際に賭けを実行したことがすべて。山あり谷ありのキャリアを歩んできたので、今回の表彰台はうれしい。

ハンガリーGPはハミルトンとフェルスタッペン、メルセデスとレッドブルがガチで戦った今シーズン、ベストのレースでした。
まずは予選でフェルスタッペンがキャリア初のポールを奪取して、今の彼の勢いを見せつる。一方ハミルトンは3位と振るわず。
しかし、このまま終わらないのがハミルトン。昔の彼だったらズルズル沈んでいったのに、よくここまで成長したものです。決勝ではスタートで2位に上がり、トップのフェルスタッペンの後ろにピッタリとついてチャンスをうかがう展開。ライバル達ははるか後方。2人だけの勝負です。
ここでメルセデスのストラジーチームが、ハミルトンをピットに呼び戻し、ハードからミディアムに替えて、予選モードで攻める作戦にでる。これにはレッドブルもびっくり。同じようにミディアムに替えようにもハミルトンにアンダーカットを許すことになり出来ない。フェルスタッペンはハードでポジションを守るしかない状況に。
残り22周でタイム差は20秒。ハミルトンは「この作戦、ホントに正しいの?」と文句を言いながらも、往年のシューマッハを彷彿とさせる予選モードで猛アタック。周回遅れのマシンを処理してからはグングンとタイム差を詰め、67周目にオーバーテイク。これぞレース! これぞF1!
メルセデスにとって失うことのないギャンブルだったともいえますが、それは結果論。レース中に決断をするチームと作戦を確実に遂行するドライバーがいること、そしてガスリーの不甲斐ない走りがあってはじめて実現した素晴らしいシーンでした。後半戦もメルセデス、レッドブル、フェラーリが三つ巴になってレースをしてほしい。
あと、地味ながら着実にポイントを獲り続けているライコネンとサインツもいい仕事してますね。

新世代のドライバーでは今のところフェルスタッペンが頭二つ・・・いや三つくらい出ていますが、これにルクレールやノリス、ラッセルが加わって新黄金時代を築いてくれることを期待しています!

オーストリアGP〜ホンダ悲願の勝利

20190708

以前、ヨーロッパラウンドのどこかでレッドブル・ホンダが勝つんじゃないかと書きましたが、まさかパワーが必要なオーストリア〜レッドブル・リンクで勝つとは思っていませんでした。いやぁ、嬉しいサプライズです!

イレギュラーな展開は予選からはじまっていました。いつもフリー走行では三味線を弾き、予選でちゃっかりポールをさらっていくハミルトンが上がってこない。さらに久々に速さを見せていたフェラーリ〜ベッテルがトラブルで9位に沈むという波乱。
そんなこんなでフロントローからのスタートという絶好のチャンスを得たフェルスタッペン。これはもしかしたらもしかするかも・・・という期待が芽生えたのも束の間、スタートの大失敗であっという間に8位に。メルセデス勢とフェラーリ勢に前に出られたことで、みんな優勝は諦めたんじゃないでしょうか。レッドブル首脳陣とフェルスタッペンを除いては。
ここからフェルスタッペンは怒涛の追い上げをみせるワケですが、決定的な勝因となったのは、ミディアムを履いた第1スティントを引っ張りながら、ボッタスに合わせて早々にタイヤ交換をしたトップのルクレールとのタイム差をキープしたこと。厳しい状況のなかで速いラップを刻みつづけられる、この能力を備えたドライバーだけがチャンピオンになれるといっても間違いはないでしょう。
この粘りが終盤のオーバーテイクを可能にしたといえます。もちろんホンダPUの“エンジンモード11”とやらが後押ししたのは間違いありません。カナダ、フランスでパワー不足を指摘されていただけに、今回のパフォーマンスは面目躍如といったところ。

フェルスタッペンとルクレールの攻防はそれぞれの立場で言い分があると思いますが、結果通りで良かったと思います。ルクレールは相当腹を立てていたようで、先輩ベッテルにつづいて順位のボードの入れ変えるゆとりはありませんでした。
今回フェルスタッペンにペナルティが課されて順位が覆されていたらレースがドッチラケになるだけでなく、F1自体が大きなダメージを負うことになっていたでしょう。
ファンとしてもあの攻防にケチをつけるのではなく、これからのF1を担う2人の激しいバトルを見られたことを喜びたい。

表彰台ではフェルスタッペンがホンダを称え、プレゼンターを務めていたベルガーがかつての仲間であるテクニカルディレクターの田辺さんを抱きしめた光景が感動的過ぎました!
今回の優勝がこれからの躍進の狼煙であることを願います。

アディオス、アロンソ

20181204

2018年シーズン最終戦、アブダビGPをもってフェルナンド・アロンソのF1キャリアに一旦終止符が打たれました。25年以上F1を観続けてきて、これほど圧倒的な才能と内なるカオス〜デーモンを抱えた複雑なキャラクターはいなかったように思います。彼の才能が33回の優勝と、2度のワールドチャンピオンをもたらしたと同時に、もう一方のカオスがこれだけの記録に留めさせたといえるでしょう。
ワールドチャンピオンになるドライバーは、チームやマシンにかかわらず、最初から他とは違うスペシャルなものを見せつけるものであり、アロンソもその例外ではありません。ミナルディからデビューした年の日本GPで、BARを駆るオリビエ・パニスをブチ抜いた時のインパクトは今も鮮明に残っています。それからも才能に磨きをかけ、当時無双だったフェラーリ〜シューマッハを破って当時の最年少チャンピオンに。トップチェッカーを受けた後、マシンから降りてウサギの真似をして喜ぶ太々しい姿を見た時は、「コイツ、この先どんだけ勝つんやろ」と空恐ろしくなったものですが、その期待は尻切れトンボに終わってしまいました。
キャリアのターニングポイントになったのは、2007年のルノーからマクラーレンへの移籍。この年、デビューしたチームメイトのハミルトンやチームのボスだったロン・デニスと大揉めになって、1年でチームを去ったことがキャリア最大の過ち。もう1年チームに残っていたら2008年はおそらくアロンソがタイトルをとっていたでしょうし、その後のキャリアも変わっていたでしょう。
あまりに勝利への執念が強いためにコース外での振る舞いはいろいろ問題があったようですが、コースでの走りはクリーンでした。運転中に「GP2エンジン!」と叫んだりしたのは置いておくとして。そして、ドライビングテクニックの引き出しが多いことが彼の大きな持ち味。オーバーテイクではコーナー進入時のブレーキングだけでなく、コーナーの切り返しでバンバン抜くのがカッコ良かった。さらにレース全体の流れを俯瞰して、リアルタイムでレースを組み立てる能力も圧巻でした。ただ、こうした能力を持ちながら、自分のキャリアをしっかり見据えて組み立てられなかったことは皮肉というか、残念でなりません。せめて彼がトンガっていたシューマッハに勝負を挑んだように、アロンソも最高の状態で次世代のドライバーと真っ向勝負をしてキャリアを終えてほしかった。
もうひとつ褒めポイントを挙げると、彼はチームメイトに滅法強かった。ハミルトンとバトン以外は、ほぼフルボッコ。贔屓にしていたフィジケラが叩きのめされた時は随分恨めしく思いましたが、レースでの強さは敵ながら認めざるをえませんでした。余談ですが、アロンソやハミルトンにシレッと勝ってしまうバトンって、喰えぬ男です。
ひとまずF1から去るアロンソですが、まだまだギラつきは失っていません。次の目標に掲げているトリプルクラウンも、彼なら結構早くに達成するんじゃないでしょうか。

5タイムチャンピオン! ルイス・ハミルトン

20181201

そうなることは誰もが分かってましたが、まったくその通りにメキシコGPでルイス・ハミルトンが5度目のドライバーズ・タイトル獲得を達成しました。フアン・マヌエル・ファンジオと並び、シューマッハの7回に次ぐ史上第2位となる偉業。こんな記録抜くの、絶対にムリ!と思っていたシューマッハのドライバーズ・タイトル獲得数と優勝数を抜くのも現実味を帯びてきました。デビューイヤーからただ者でない実力を見せつけていたものの、まさかここまでのドライバーになるとは。メルセデスの無双状態を考えてもすごい。前は結構テンパるタイプだったのに、いつの間にか落ち着きも身につけ、ドライバーとしての完成度をグッと上げました。どこまで数字を伸ばせるのか見たいような、見たくないような。どっちにしても、もうしばらく絶頂期をキープオンして、次の時代を担うドライバーとがっぷり四つで戦って白黒つけてほしい。その相手はフェルスタッペンなのか、ルクレールなのか、はたまたストロールなのか。楽しみです。

さて、2018年シーズンは、前半はフェラーリが好調で盛り上がったものの、中盤からは見事なまでの尻すぼみ。まぁ、前半からチームの戦略ミスやら、ベッテルの癇癪ドライビングやらで、ポイントを取りこぼしてましたけど……。そしてターニングポイントとなったドイツGP。トップ快走中に、一人で勝手にコースオフからのリタイヤがきっかけとなり、一気に失速。さらに後半はメルセデスがチーム戦略やセットアップなど、あらゆる面の精度を上げてきて、フェラーリは打つ手なし。緊張の糸が切れたベッテルはつまらないミスを連発するという悪循環。チームもドライバーもメルセデスに完敗でした。
この展開は、完全に去年のコピペ。チーム代表のアリバベーネさんには好感を持っているんですけど、いまいちリーダーシップが足りない。そんな状態でベッテルの脅威となるかもしれないルクレールを迎え入れて大丈夫なんでしょうか。さらなるカオス状態を招くのではないかと心配……というより期待しています。

アメリカGP〜待ってました、ライコネン優勝!

20181027

ライコネン、約5年ぶりの勝利! どれほどの人が、この瞬間を待っていたことか。これまで届きそうで届かなかった表彰台の頂き。これまでチーム戦略や自らのドライビングなど、いろいろな要因で悔しい思いをしてきましたが、今はそんなことはどうでもいい。ライコネンや彼を応援する人たちと共に喜びを噛みしめたいと思います。
今回改めて感じたのは、“みんなライコネンが好き!”ということ。パルクフェルメでマシンから降りても、他のドライバーのようにチームスタッフのところに駆け寄って抱き合ったりはしない。ただ照れくさそうにサムアップするだけ。それなのにスタッフはみんな喜びを爆発させ、ライバルたちも「今日はキミの日だ」と祝福する。それは、彼の才能へのリスペクトと、愚直なまでに真っ直ぐでウソのない人柄に対する親愛があるから。
マクラーレン時代の速さをリアルタイムで見た人は、フェラーリ移籍後のどこか吹っ切れない走りにもどかしさを感じたこともあったでしょう。またフェラーリ復帰後の走りにガッカリしたこともあるでしょう。僕がそうでした。でも、何か応援したくなるんですよね。この感覚は、同郷の先輩、ミカ・ハッキネンに対する想いと似ています。

今回のライコネンの走りは、人並みはずれた感度でタイヤの状況を見極め、スムーズにマシンを操るという彼の持ち味を、”今“できる最高のかたちで披露してくれたように感じます。純粋な速さにおいてはハミルトンやフェルスタッペンが上回っていたかもしれません。でも、それをテクニックと経験でおさえきった。これこそが、レースの醍醐味。
イタリアGPで優勝を逃した時に、必ずもう一度チャンスが訪れると書きました。そして、その通りになり、彼がチャンスをものにしてくれたことが最高にうれしい。もしかしたら、もう1回くらい勝つかもしれませんね。お祭りということで、厚かましく期待することにしましょう!

行く人、来る人

20180913

フェラーリが思いきった決断をしました。
来シーズンは元ワールドチャンピオンで人気者、そして今シーズンは優勝こそないものの好調なキミ・ライコネンに代えて、まだ1年しか経験のないシャルル・ルクレールを迎えることに。フェラーリは基本的に“今”最高のドライバーを使うチーム。これまで若手を起用したり、育成ドライバーがF1にステップアップしてきたことはありますが、大きな成果は挙げていません。そういった面から考えても、自チームで次世代のエースを育てるのはレアケースであり、大きな賭けといえるでしょう。
今回の起用は、最近の例でいえばフェルスタッペン、フェラーリの歴史を遡ればアレジを抜擢した時に似た期待感があるように思います。

今回の大抜擢は、最近トップチームのラインナップに新鮮味がなかったので大歓迎。しかもイケメン枠もキープできるので、チームとしてはマーケティング面でも期待しているのは間違いありません。もし、ビアンキとコンビを組むことになっていたら、最強の顔面偏差値でした。

肝心のルクレールの実力はというと、ジュニアカテゴリーの成績は非の打ち所がないほど。F1に上がった今シーズンは、チームメイトがエリクソンだけに評価しづらいところですが、現時点での予選の勝敗は10勝4敗(グリッド差は約2グリッド)。決勝の勝敗は両者リタイヤのレースを除いて7勝6敗(獲得ポイントはルクレール12ポイント、エリクソン6ポイント)。
決勝での安定感はまだまだですが、予選に関しては4戦目から圧倒していて、ポテンシャルの高さを感じさせてくれます。が、あくまで比較対象がエリクソンなので、本当に読みにくい。ただ、エリクソンは一部で揶揄されているほど遅いドライバーとは思っていないので、ベッテルを焦らすくらいの走りをみせてくれることを期待しています。


さて、ルクレールのフェラーリ加入より驚いたのが、ライコネンのザウバー復帰。しかも2年契約。ライコネンの走りをもう少し見られるのは嬉しいものの、「今さら何で?」という思いの方が強かったのが正直なところ。でも、シンガポールGP前に開かれた記者会見での、超シンプル&明瞭な回答を見たら、「やれるところまでやりきってください」という気持ちになりました。若手の頃はさっさとF1に見切りをつけるタイプだと思っていたので、まさかここまで長いキャリアになるとは思いませんでした。ロータス時代のようにザウバーでもトップチームを食う走りをしてほしいものです。

最近取り沙汰されている“若手のシートがない問題”については、需要があるからシートをゲットできるワケで、ライコネンをどうのこうの言うのはちょっと違うと思います。問題は、チーム数が少ないこと。しかも大半のチームが財政難を抱えていて、特定のスポンサーの意向を汲まなければならないこと。こういう状況をみると、予算枠の導入は不可避じゃないでしょうか。

また、ライコネンとルクレールがスワップしたのは、万が一ルクレールが期待外れだった場合にライコネンを呼び戻すためなんてことも言われているみたいですが、個人的にはそれはないと思います。そんなことをしたら、あまりにもライコネンに対してリスペクトがない。それにチームの将来を考えるなら、それこそ他の有望な若手に託すべきでしょう。

モナコGP〜リカルドのリベンジ

20180602

神様は日頃の行いをしっかりと見ている。子どもの頃によく言われたこの言葉、ホントかもと思ってしまう今年のモナコGPでした。
2年前に考えられへんチームの戦略ミスとタイヤ交換ミスで勝利を逃したリカルドが、しっかりとモナコ覇者の栄光を手にしました。
空力性能に優れたレッドブルがPUの依存度が低いモナコで強さを発揮することは予想されていたものの、フリー走行がはじまると思っていた以上の速さを発揮。この時点でレースの焦点は、リカルドとフェルスタッペンのどちらが勝つかに絞られたといってよいでしょう。ところがフリー走行3の終了間近に優勝候補のフェルスタッペンがクラッシュして、予選出場できなくなる展開になりました。こちらとしては、やらかすのは決勝レースと思っていたのでビックリ。善くも悪くも、いろいろ見せ場をつくってくれる人です。
最大のライバルの離脱で優勝がグッと近づいたリカルドは確実にポールをとり、スタートも危なげなく決めてレースを先行。レース後のインタヴューを見ると、スタート前は緊張でガチガチになり、メンタルもかなりナーバスになっていたとのこと。僕のような凡人ならそのままガタガタ崩れるところですが、この辺からして違いますね。

さて、リーダーとなり、後は最後までミスなく走りきるだけと思っていたら、28周目にまたまた試練がやってきました。MGU-Kの不具合でパワーが低下。しかもPU全体にダメージが広がらないように、7速・8速が使えなくなるハンデも追加。みるみるうちに2位のベッテルが真後ろに。しかし、ここからが凄かった。普通ならいっぱいいっぱいになる状況にもかかわらず、彼は自分と異なるタイヤ戦略をとっているチームメイトのフェルスタッペンだけでなく、ヒュルケンベルグの状況までエンジニアから聞いて、タイヤ管理する冷静さを発揮。そして見事、トップチェッカーを受けたました。
いつもはオーバーテイクで魅せるリカルドですが、今回はディフェンスで魅せてくれました。
レース後、いろいろなドライバーが「退屈なレースだった」とコメントしていましたが、なんのなんの、見応えのあるレースでした。

バトン〜突き抜け損なった静かなるドッグファイター

20170727

アロンソのピンチヒッターとしてモナコGPに出場したのを最後に、F1ドライバーとしてのキャリアに終止符を打つことが濃厚になったジェンソン・バトン。
2009年シーズンには念願のワールドチャンピオンになりましたが、そのキャリアは決して順風満帆ではなく、どちらかというとハズレくじを引いて全盛期をつくれなかったように感じます。
ルーキーイヤーからその兆候はありました。BMWとタッグを組んだウィリアムズからデビューし、時折、将来性のある速さを見せながらも、カートチャンピオンのモントーヤに翌年のシートを奪われてベネトンへ。そこでフィジケラにボコられ、一気に評価を落としてしまう。その後BAR〜ホンダでいよいよ迷宮に迷い込み、バトンゲートを引き起こすなど、「もうダメかな」という雰囲気が漂っていました。この時期のチームメイトが荒削り過ぎた佐藤琢磨や、ぬるま湯に浸りきっていたジャック・ヴィルヌーブ、フェラーリの重圧で消耗したルーベンス・バリチェロと微妙な人たちだったことも、ブラウンでチャンピオンになりながらイマイチ評価が上がらなかった要因だと思います。
正直僕もタイトルを獲った時でも、『魁‼男塾』でいえばJくらいの位置づけで、「これまでの苦労が実って良かったね」という気持ちはあったものの、特に「コイツ、凄い!」という存在ではありませんでした。
そんな印象が一変したのが、マクラーレンへの移籍。現役ワールドチャンピオンという栄光とプライドがありながら、アロンソと並んで最強といわれるハミルトンに真っ向勝負を挑む心意気にしびれました。そして3年に渡り、持ち前のレース巧者ぶりを発揮して互角の戦いを繰り広げ、すっかり贔屓のドライバーになりました。
彼はよく雨のレースで順位を上げたことから、戦略を練って粘りの走りをするタイプと思われがちですが、決してそれだけのドライバーではありません。むしろ他のトップドライバーよりも多くのオーバーテイクを試み、手に汗握るドックファイトをみせてくれました。
キャリア後半はまたまたマクラーレン低迷、およびホンダ ズッコケに巻き込まれ、フェードアウトしたのが残念。でも、それもバトンらしいといえばらしいですね。

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