KITSCH de F1

F1徒然日記。

モナコGPやっぱりフェラーリはフェラーリのままだった

20220605

まずは、伝統のモナコGPで勝利をおさめたレッドブル〜ペレス、誠におめでとうございます!
刻々と変わる状況に応じて、瞬時にベストな判断を下すことが求められるなか、すべてをミスなく遂行した素晴らしい勝利でした。前戦のスペインでは、チームからフェルスタッペンを勝たすための戦略を押しつけられた感もあったので、今回の喜びはひとしおでしょう。そして、ご褒美として契約2年延長をゲット! マクラーレンを1年でお払い箱になった時、まさかここまでキャリアを積み重ねるとは思いませんでした。人生あきらめてはいけませんね。

一方、ペレスの契約延長によって事実上レッドブルへの昇格がなくなったガスリーにとっては、最悪の展開となりました。契約が残っているアルファタウリで、もう1年契走りつづけるのはメンタル的にきびしいでしょう。もし来年もアルファタウリで走ることになったら、ペレス先輩をお手本にして、ふてくされずにがんばってほしいものです。

さて、ペレスのお祝いが終わったところで、フェラーリです。スペインではルクレールが圧巻のポールで、決勝でも楽勝の展開に持ち込みながら、PUトラブルでリタイヤ。あれだけあったポイント差もあっという間に消滅し、ドライバーズランキング首位から陥落という最悪の結果でした。そんな悪い流れでも、低速コーナーが大半のモナコではフェラーリが有利とされ、巻き返しが期待されていました。
がしかし・・・・、決勝日の天気が雨と予測されているのを知った瞬間から、イヤな予感はしておりました。それは、ルクレールが順当にポールを獲っても消えませんでした。“イヤな予感”とは、もちろんドライバーがミスしてウォールの餌食になることではなく、チームの戦略がこんがらがってレースを台無しにすることです。で、案の定しっかりと“俺たちのフェラーリ”を実行してしまいました。

決定的なミスは、16周目にペレスがフルウェットからインターミディエイトに履き替えた時の対応の遅さ。ペレスを抑えるのであれば、17周目にルクレールを入れなければならないところを18周目に呼び入れ、まんまとアンダーカットされてしまう。
「どうしょ、どうしょ」と慌てて判断が遅れるのはお馴染みのパターンですが、17周目に入らなければアンダーカットされるのは分かっていたのだから、対応が1周遅れた時点で真っ正直に18周目に入れるのではなく、サインツと同じようにステイした方がよかったと思うのですが。

さらに、インターからドライ〜ハードへの交換では、周回遅れのラティフィに邪魔されたこともあり、サインツがペレスにオーバーカットされただけでなく、ルクレールもフェルスタッペンに前に出られてしまうことに。
状況的に2台連続でピットインさせたのは仕方ないにしても、ブレブレの無線指示はいかがなものか。そら、ドライバーにしてみたら、あのタイミングで変えられたらキレるわ。結果はひとまず置いといて、ああいう時にズバッと言いきれる人がいないのがフェラーリの弱み。
レッドブルにしてみれば、ペレスを使って揺さぶりをかけたら「ビンゴ!!」という感じでしょう。これがメルセデス相手なら、また違う結果になっていたんじゃないでしょうか。
う〜ん、この調子だと、フェラーリはまだまだ“俺たちの”を発動しそうです・・・・。

そして、ふとランキング表を見ると、今回ペレスが優勝したことで、ドライバーズランキングの上位3位が大接近。ここはひとつペレスにはチャンピオンを狙って、忖度なしでバチバチやってほしい。

ベルギーGP〜スパウエザーというよりただの悪天候だった件

20210831

F1史上もっとも短く、同時に長かった今年のベルギーGP。大好きなカレーの人気店に行っても15分待つのが限界の僕にとって、3時間待ちはなかなかボリューミーな時間でした。それでもドライバーがチームスタッフと和んでいたり、ドライバー同士で話していたりする姿を見る機会はそんなにないので、退屈せずに待つことができました。
僕はフジネクストで観戦しているのですが、展開のない長丁場を解説&駄話で場を持たせた川井ちゃん、森脇さんはもちろんのこと、西岡アナのツボをおさえた仕切りにも感心しました。フジは一時期、古舘氏やJリーグの実況スタイルを真似た酷い有様でしたが、その頃と比べると基本に戻り、随分良くなったように思います。

さて、今回3周でレースを打ち切ったこと自体は正しい判断だったといえるでしょう。引きの映像では「何とかできるんじゃない」と思う時もあったものの、車載カメラの映像を見たら「こんなんでレースやったら絶対あかん!」状態でした。

ただ、セーフティーカー先導で3周走っただけでレースを成立させたこと(それに伴うポイント加算)は別問題。いろんな大人の事情が絡んでるんでしょうけど、いかがなものか・・・・。シンプルに中止するか、カレンダーの再調整を検討するなど別の対応策はなかったんでしょうか。
この案にしても予選で上位に入ったチームやドライバーにしてみれば納得いかないかもしれないし・・・・、う〜ん、何が最善策だったのか正直分かりません。
ただ、3時間も持つ必要はなかったように思います。スパウエザーといえば、コロコロと天気が変わったり、サーキットのある場所では晴れているのに違う場所では雨が降っていたりすることを指しますが、今回は金曜日からぐずついていた単なる悪天候。
雨の中ずっと待ち続けた人は本当にお気の毒。「後々語り草になるレースに居合わせてラッキー♪」と、自分に言い聞かせるしかないですね。

ということで、今回はペレスを除いて予選結果がそのままレース結果となりました。
まず取り上げなければならないのは、2位に入ったラッセル。マシンのセッディングがハマった面はあるものの、ウイリアムズのマシンでのこの順位はドライバーの腕があってこそ。ラッセルの速さは、もう疑う余地はありません。個人的にはフェルスタッペン級のポテンシャルを感じます。早くメルセデスでの走りが見たい!

ノリスもまたまた非凡な才能を見せつけてくれました。ただ今回はQ1から勢い余っている感が漂っていて、用心しろよと思っていた矢先にクラッシュ。結果的には、このミスで初優勝がフイに・・・・。
起こってしまったことはどうしようもありません。次から攻める時とおさえる時のさじ加減をコントロールすればいい話です。と言いつつ、彼は威勢のいいところが魅力なので、お行儀良くおさまってほしくない気持ちもあります。

ハミルトンとフェルスタッペンのタイトル争いは、ふりだしに戻った状態に。レースごとに力関係は変わりそうですが、メルセデス〜ハミルトン無双状態に飽き飽きしている者としては、レッドブル〜フェルスタッペンにがんばってほしい。

ホンダ F1参戦終了

20201005

ホンダが2021年シーズンをもってF1参戦終了。
「仕方なし」「これからなのに・・・・」「どういうことだ、責任者出てこい!」、いろいろな想いがあると思いますが、立場にかかわらず共通するのは「もったいない」という気持ちではないでしょうか。

タイトル獲得という夢に手が届きそうになってきたこの時期に、なぜ活動を打ち切らなければならないのか。
現場スタッフの苦労や努力、のっぴきならない会社の経営状況があることは承知しつつ、それでも滲み出てくる、いちF1ファンとしてのボヤキを吐き出さずにはいられません。

今回のF1参戦終了の感想を一言で表すと、“腹立たしい”を通り越して“呆れている” です。
そもそも第三期の活動からして、まったく納得していません。
状況に応じて素早く判断・実行することが必須であるF1において、ホンダはお役所的なタテ割、非効率な本社合議体質が災いして苦戦。そしてリーマンショックの影響でいきなり撤退。言葉は悪いですが、“ケツを割った”と言われても仕方ない終わり方でした。

第四期の参戦が決まった時も、期待より不安の方が大きかったことを覚えています。それは、第三期を総括するコメントがほとんどなかったから。その代わりに「第四期」という表現は第三期の失敗を想起させるのでNGにするなど、ダメな政治家や組織と同じニオイが漂ってきました。

人材育成を大きなテーマに掲げていたことにも大きな違和感がありました。F1は、企業の人材育成の場ではありません。世界中の猛者たちが血眼になってトップを競う舞台。結果がすべてであり、人材育成は二次的なもの。
ヌルいというか、とんちんかんな認識に不安はますます膨張。
結果、イヤな予感は的中。スタッフはF1経験のない若手が大半という、あまりにも無謀な体制に。F1に限らず人材育成をするなら、優秀な指南役は必要。この時点でホンダが自分たちの力を過信し、今のF1をナメているのが透けて見えました。

過去の失敗を顧みず、裸の王様になっている者に成功などありません。
それは第四期の最初の3年の、あまりにも悲惨な状況が証明しました。
ワニたたきゲームのようにF1を出たり入ったりしていた弊害は、想像以上に大きかった。
もちろんマクラーレンもかなりダメダメでしたが、そんなこととは関係ないレベルでパフォーマンスも信頼性も無惨でした。
それでも当時のF1責任者から聞こえてくるのは、ライバルチームを軽視しているのかと思えるほどのビックマウス。まぁ、これは当時から怒りや呆れの対象ではなく、ネタになっていましたが。
そんな苦しい経験を経て、トロロッソやレッドブルとタッグを組んで再出発し、ようやく成果が現れはじめてタイトルが狙えるようになってきたところで自ら「終了〜!」て、そら「どういうこと?」となるでしょう。

さらに八郷社長のコメントが腑に落ちないと言いますか、ファン感情を逆撫でするような内容だったのも残念。
参戦終了の大きな理由として挙げたのが、「2050年のカーボンニュートラル実現を目指すため」。
すでに多くの人が指摘されているように、F1は「2030年のカーボンニュートラル実現」をスローガンに掲げています。
そもそもカーボンニュートラルの実現は、自動車業界全体の課題であり、ホンダだけが取り組むことではありません。しかも、これって第四期参戦時から分かっていること。
百歩譲ってカーボンニュートラルに力を注ぐとしても、インディやMotoGPは参戦継続て・・・・。言い訳にすらなっていません。

また、F1は費用対効果が低いなんて声もありますが、それもずっと前から分かっていたことで、そうした中でどうPR効果を上げるか戦略を練っておかなければならなかったのでは? 部外者が見る限り、CMや販促企画でF1を活用している様子はほとんどうかがえません。第三期の振り返りをしっかりしていれば、こんな放置プレイにはならなかったはず。
これではF1参戦自体だけでなく、宣伝部署やブランド・コミュニケーション本部の評価もしっかりすべきじゃないのと思ってしまいます。

あぁ、もう止まらなくなってきました。
八郷社長は、「大きな目標としてきた優勝も達成できた」とおっしゃいました。確か私の記憶では、参戦時はタイトル獲得が目標だったと思いますが、勘違いでしょうか?
「長期参戦を目指す」「10年は参戦する」といった宣言も、どっかに飛んでいってしまったようです。

ハンパない自己肯定力で第四期を評価し、最後には撤退ではなく「参戦終了」と、自らドアを閉じる始末。こんなことを言うメリットがどこにあるのでしょうか? (ちなみに「F1 GPニュース」に出演された山本部長は、「撤退」という言葉を使っておられました)

鳴り物入りで復帰したにも関わらず返り討ちにされて、最後は大見得を切って退散。これってカッコ悪くないですか?
F1チームや関係者にしてみれば、イタい奴。F1村での信用は完全に失い、復帰はむずかしいでしょう。
こうしたホンダの姿勢に伴う負のイメージは、F1ファンだけでなく一般ユーザーにも広がり、ボディブローのように市販車の売上に響いてくる気がします。

僕は特にホンダのファンではありません。ホンダカーユーザーでも株主でもありません。F1参戦時に、日本の会社ということでちょこっとだけ応援する程度です。それでもホンダには「The Power of Money」ではなく、「The Power of Dream」の会社であってほしい。
きれい事かもしれませんが、きれい事を失えば、その会社はダメになっていくのが世の常です。

無責任に好きなことを言わせてもらいましたが、ホンダには残された来シーズン、何としてもメルセデスを倒してタイトルを獲ってほしい。

スペインGP〜フェルスタッペンは大健闘したけれど

20200818

スペインGPもフェルスタッペンが大健闘。予選で圧倒的な速さを見せつけるメルセデス勢のわずかな綻びを突いて、見事2位に食い込む。ドライバーズタイトルでも、ボッタスとのポイント差を広げて2位をキープ。
メルセデスとレッドブルのマシンのポテンシャルを考えると、この位置は驚異的。フェルスタッペンだからこそできることでしょう。

一方、思わず「綻び」と書いてしまったボッタスは、何だかなぁ的ないつもの状態。スタートでフェルスタッペンにかわされた後、どのスティントでも追い上げる気配はなく、大人しく3位に留まってしまいました。歯がゆかったハンガリーGPよりも残尿感が残るレース展開。
序盤にタイヤを労り、機を見るやペースを上げてグイグイとフェルスタッペンを引き離しにかかったハミルトンと比べると、タイム差以上の力の違いを感じてしまいます。
ところで、ハミルトンの体つきがゴツくなっているように感じるのですが、気のせい? 今年から厚くなったアンダーウエアのせいなのか、筋トレの成果なのか、それとも年齢の影響で肉がつきはじめているのか、ちょっと気になります。

チームとしては、ハミルトンを焦らせることなく、たまにライバルチームのエースドライバーを食うボッタスは絶好のセカンドドライバーなんでしょうけど、観戦する側は至極退屈。メルセデスの看板を背負ったワークスチームが結果を残さなければならないのは分かりますが、「チャレンジ」「チェンジ」という姿勢を掲げるなら、来シーズンのラインナップにラッセルを抜擢してほしかった。
チームサイドから見ても、ポスト・ハミルトン時代に移行する絶好のタイミングだったと思っています。

エースの移行でワチャチャなことになっているのが、フェラーリ。ここの場合は、その他の面でもグダグダですが・・・・。
今回もまた、(前)エースのベッテルに残念な対応をして、悪い雰囲気を増殖させる結果に。
批判の的になっているのが作戦。ベッテルはミディアムでスタートしたにもかかわらず、ソフトを履くルクレールとほぼ同じタイミングでピットイン。そして、新品のソフトが残っているのにユーズドのソフトに替えて、残りの周回を走りきりました。

これは、当初ミディアム→ソフト(ユーズド)→ソフト(新品)の2ストップ作戦でいくつもりだったのが、このままだとポイントが獲れないということがわかり、ダメもとで1ストップに切り替えただけの話。この対応自体は問題ないように思います。第1スティントのミディアムを早くに切り上げさせたのも、ミディアムがすぐにダメになったとベッテル自身がコメントしている。
ベッテルを陥れるための策略なんていう声もあるようですが、チームにそんなことをする余裕も力もないでしょう。それと、ベッテルを全力でサポートするモチベーションも。

問題なのは、指示を出す側のあたふたした態度。2ストップより1ストップの方に勝機があるならスパッと判断して、ドライバーに伝えれば良い。それをマゴマゴして、しまいにはダンマリを決め込むありさま。ベッテルにすれば「何しとんねんッ?!」となるのは当たり前。
そもそも、追い抜きがむずかしいカタロニア・サーキットで、中団に埋もれて2ストップから1ストップに変えなければならない状況を想定していなかったのか。甚だ疑問です。
「じゃあ、お前がやってみろ」と言われれば、即座に「それはできません!」と答えるしかありません。が、F1のトップチームで活躍する精鋭部隊なら、それくらいのことはスマートにやってのけて、「やっぱりF1って凄い」と思わせてほしいものです。

イタリアGP〜盛り上がったけれどモヤモヤが残る

20190911

無人島に不時着して空腹で死にそうになっている時、幸運にもバナナを見つけたものの横にいる同乗者に分けるのがイヤなので、とらずに飢え死にした。
そんな落語のオチにもならないトンマな事態になってしまった今回の予選。ライバルにトウを使われるのがイヤで、ゆっくり走っているうちに自分がタイムアタックする時間がなくなってしまったという珍事。傍から見るとアホ過ぎですが、こういうことって普通の仕事でも数字にがんじがらめになっているとやってしまいがちなミス。といってもやっぱりアホ過ぎます。これを機会に純粋に速いヤツは誰かを競うシンプルなかたちになればいいんですけど、無理か・・・・。
ちなみに、予選は30分ごとの2セット/ノックアウト形式(Q1で下位10台がノックアウト)にして、Q2はQ1の順位に基づいて1台ずつアタックするというのはどうでしょうか。これならトウの取り合いで予選自体が台無しになることはないし、以前問題になっていた1時間の大半をガレージで待機して、ラスト数分だけアタックするというファンが待ちぼうけに遭う問題も起こりにくい気がします。ラバーの乗り具合や天候の変更に関しては、ルールということで割り切ってもらうしかないでしょう。

そんな煮え切らない予選でポールを獲ったのは、ベルギーにつづいてルクレール。速さも凄いですが、自分はベッテルのトウをガッツリ使いながら、自分が使われるのはシレッと拒否るメンタルも凄い。確かこの前の予選では、「トウとか関係なく自分たちが速く走ればいいじゃん!」と喝を入れていたような・・・。これって自分ではなく相手に向けた言葉だったんですね。この精神構造はセナやシューマッハあたりと共通している気がしないでもありません。やっぱり普通の人なら引いてしまう“あつかましさ”を持った人がチャンピオンになるのでしょう。
で、レース後チーム代表のビノットさんは「(優勝したから)許す!」とルクレールに伝えたそうですが、チームオーダーを無視したんだから、そんないい加減なこと言ったらダメでしょ!!

レースは予想通り、ダウンフォースの少ないフェラーリ〜ルクレールがメルセデス勢に追いかけ回される展開。ルクレールは前戦に続いてミスが許されない神経戦。しかもエースのベッテルがレース序盤に単独スピンをして戦線離脱してしまったため、ルクレールは一人でメルセデス勢のアンダーカット&オーバーカットのダブル攻撃に対応しなければならない苦しい状況。
しかし我慢の走行をしているうちに、ずっと後ろにくっついたハミルトンのタイヤが終わってしまい、勝負あり。途中でハミルトンがオーバーテイクをしかけた時のブロックは荒っぽかったですが、経験を積めば洗練されると思います。逆にこのままだと“あと一歩”のドライバーで終わってしまうでしょう。

今年のイタリアGPは9年ぶりにフェラーリドライバーが優勝して盛り上がりはしましたが、レース自体はもうちょっとベッテルとボッタスに頑張ってほしかった。ボッタスは来年も安定して3番手〜4番手を走るのかと思うと、テンションが下がります。ベッテル関してはガッカリ感を通り越して心配です。

ホンダのスペック4はどうなんでしょうか? 今回は後方からのスタートやトラブルで正直よくわかりませんでしたが、ドライバーの感触は良さそうですし、これからレッドブルのマシンに合ったサーキットがつづくので期待が持てます。
そして今回存在感を発揮したのがルノー。ここのマシンは読めない。ただ今回と同じストップ&ゴータイプのカナダでもリカルドが速かったことを考えると、PUはそこそこパワーがあるのかもしれません。これからマクラーレンとのコンストラクターズ4位争いがおもしろくなってきそうです。

フランスGP〜奮わないのは・・・

20190627

こうなるとは思てましたけど、またまたハミルトンが優勝。これで8戦中6勝。「ハミルトンすごい!」という段階はとうの昔に通り越し、最近はフェラーリの不甲斐なさに腹を立てていましたが、だんだんと怒りの矛先はボッタスに向いてきました。ファン心理としては良くない状態です。
シーズン序盤は「今年のボッタスは一味違う」と思わせる気合の入った走りを見せてくれていましたが、アゼルバイジャンを境に軌道修正。“これまでのボッタス”に戻ってしまい、タイトル争いの楽しみはほぼ消滅。

ただチームとしては、これほど理想的なかたちはありません。しっかりと勝利を持ち帰ってくれるエースがいて、エースの邪魔をせず確実に2位か3位をゲットするセカンドドライバーがいれば、間違いなくタイトルが獲れるわけですから。
チームメイト同士の力が拮抗しているとこうはいかないことは、すでにロズベルグが証明してくれています。ハミルトンとロズベルグの争いは結構ドロドロしていて気持ちは良くありませんでしたが、今の妙に平和な感じよりも見応えがありました。
メルセデスはハミルトンという絶対的エースがいる限り、波風立たせず自分のミッションを果たすボッタスを重宝するでしょう。ボッタスも本人は決してそんなつもりはないと言うでしょうけど、このところの予選や決勝でハミルトンに負けた時の表情を見ると、チームが望むポジションにハマっていることに満足してしまっている気がしてなりません。
ボクシングのタイトルマッチでは、試合前の記者会見で対戦相手に噛みつくシーンを見かけます。ショーとしてのパフォーマンス要素もあるでしょうが、殻を破って自分をもうひとつ上の次元に押し上げる効果もあるはず。ボッタスも表彰台でのインタビューで、「次はハミルトンをケチョンケチョンにぶっ潰す!」くらいのマイクパフォーマンスをして、もう一度シーズン序盤のチャレンジャーに戻ってほしいものです。

カナダGP〜ベッテル・オン・ステージ

20190613

勝っても負けてもフェラーリが主役。ましてやメルセデス〜ハミルトンが当たり前のように勝ち続け、空気のような存在になっている状況では尚更。そんな唯一無二のブランドバリューを発揮しながら「まだまだ足りない」と一人発奮しているのが、フェラーリのエースドライバーであるベッテルです。今回もあの手この手でガッチリと主役の座をキーポンしてくれました。

まずは予選でポール奪取。ストップ&ゴーのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットではフェラーリが強いという前評判だったものの、実際にはかなりの接戦。ルクレールがハミルトンに食われるなか、きっちりポールを取るベッテルはさすがエースといったところ。なんやかんや言うても、まだまだベッテルが一枚上手です。
ところでメルセデス陣営のやたらとフェラーリを持ち上げるコメントは、しらじらし過ぎて胸焼けがします。

レースでもベッテルは堅実な走りでハミルトンをおさえてトップを守りつづけていました。が、今シーズン初勝利がチラつきはじめた48周目、イヤな距離で追走するハミルトンのプレッシャーに耐えかねたのかコースオフ! なんとか体勢を立て直してコースに戻り、トップを死守したかに見えましたが、スチューワードは相手を押しやるドライビングと見なして5秒ペナルティを科しました。この判定によってベッテルはトップチェッカーを受けながらも、ハミルトンに(というかスチュワードに)優勝を奪われる結果に。
この判定にキレたベッテルは無線で不満をブチまけるだけでは全然足りず、所定外のところにマシンを乗り捨てるは、インタビューはほっぽり出すは、仕舞いにはハミルトンのマシンの前に置いてある「ポジション1」のボードを「ポジション2」に差し替えるはの荒れっぷり。でも、ヘルメットやグローブを叩きつけるのではなく、セコセコとボードを運ぶあたりがこの人らしい。お疲れさまです! まぁ見ていて気持ちの良いものではありませんが、短気な僕としては彼の気持ちも分かるし、たまにはこういうことも人間味があっていいんじゃないでしょうか。

5秒ペナルティについてはそれぞれ意見があるでしょうけど、個人的にはあれくらいの攻防はレースインシデントとしてスルーしてほしいと思います。確かちょっと前にFIAは数珠つなぎレースをなくすために、ある程度のバトルは容認するという方針を打ち出したんじゃなかったでしょうか。今回はその範疇でしょう。それに去年の最終戦でボッタスが同じような動きをしてお咎めナシだったような・・・。こうした判定の一貫性のなさも大きな問題です。
ただ「ベッテルがコースオフした時に他の対処法がなかったのだからペナルティを科すのはおかしい」というのはちょっと違う気がします。基本的には対象者が故意かそうでないかではなく、事象そのものが対象になるんじゃないでしょうか。そのうえで故意でやった場合はプラスαのペナルティを盛るというのが自然なように思います。

今回スチュワードがスルーしていたらハミルトンはオーバーテイクを仕掛けていたでしょうし、今シーズンのハイライトのひとつを見損ねた気分です。でも、みなさん最後には「そもそもベッテルがミスをしなければ」と思ってしまうのが正直なところではないでしょうか。

アゼルバイジャンGP〜メルセデス強し

20195011

開幕から4戦連続1-2フィニッシュ。テストではイマイチ調子が出ないように見えたメルセデスが、蓋を開けたらトップを走っていても全然不思議ではないと思っていましたが、ここまで差がつくとは思いませんでした。
鉄壁のメルセデスと自滅するフェラーリ。もう何年この構図がつづいているでしょうか・・・。
フェラーリが速さを発揮できないのは、今シーズンから採用されている新設計のピレリタイヤが、冷えやすくて作動温度領域に入れにくいことが原因といわれています。これはフェラーリだけでなくハースをはじめ、ほとんどのチームが悩まされている問題。サーキットによってだけでなく、同じサーキットでも予選と決勝でまったく状況が変わってしまう、かなりクセが強いタイヤのようです。
フェラーリはこの特性に合わせることができず、何とか他の手でカバーしようとするものの、すべて裏目に出ているという感じ。今回の予選Q2でルクレールがやらかしたミスもそのひとつ。ルクレールとベッテルはフリー走行から速さをみせていたのだから、あのタイミングで奇策に出る必要性はなかったように思います。しかも経験が浅いルクレールには、まずは正攻法で勝って自信をつけてあげるのがベターじゃないでしょうか。

ヨーロッパラウンドはシーズンを盛り上げるために、フェラーリに復調してほしいものですが、むずかしい気がしてきました。
レースを終えるたびにドライバーやチーム首脳陣は、「マシンには速さはあるが、ポテンシャルを引き出せていない」と言います。しかし本当にそうなのか? テストのイメージに引っ張られているだけで、実はメルセデスに遠く及ばないのではないか? もし、「本領を発揮したらメルセデスよりも速い」と思い込んでいるだけなら、今後の開発がまたまた後手にまわってしまう可能性もあります。
これもメルセデスの作戦か? 意図したことかどうかはわかりませんが、メルセデスのテストでの不調と必要以上のフェラーリ上げのコメントが、結果的にフェラーリの勘違いを誘ったともいえます。ここまで隙がなく強いと、やることなすことすべてが憎らしく思えてきます。
フェラーリは、スペインでもまたメルセデスにやられるようなことになれば、自己評価を改めないといけないでしょう。

中国GP〜しぼんでいくワクワク感

20190416

シーズン前の期待感が大きければ大きいほど、思い描いていた感じにならなかった時の失望感も大きい。もう、失望感を通り越して腹立ちといってもいいくらいです。
プレシーズンテストではフェラーリが頭一ひとつ抜けた速さをみせ、王者メルセデスの調子がイマイチで、「今年はひと味ちがう」とワクワクしていたのに、蓋を開けてみたらフェラーリはサーキットによってバラつきがあり、信頼性の面でも難あり。そして戦略は相変わらず。一方メルセデスは鉄壁の戦いぶりで、開幕から3戦連続の1-2フィニッシュ。・・・・去年よりブッちぎってますやん! 
メルセデスが強すぎるのか、ライバルが不甲斐ないのか。
フェラーリはメルセデスに匹敵するマシンをつくり上げてきたのは流石ですが、ポテンシャルを出しきれていない印象。それに対してメルセデスは開発・エンジニアリング・戦略など各部門が連携して、マシンの力をフルに引き出している。マシン自体は圧倒的ではなくなったかもしれませんが、チームの総合力は圧倒的。1995年の放送で解説を務めていた熊倉重春さんが、当時スランプに陥っていたマクラーレンとタッグを組みはじめたメルセデスに対して、「将来勝ちまくって、ぺんぺん草も生えないほどライバルたちを一網打尽にする」と言っていたことを思い出します。

フェラーリ以外も、ルノーは相変わらずトラブル続出だし、ハースも予選は速いもののレースになるとからっきしダメ。結局、中団チームとトップチームの間には大きくて深い溝が横たわったままです。この構図は、2014年のPU導入レベルのレギュレーション改正をするか、バジェットキャップを導入するか、メルセデスAMGが撤退するかしないと変わらない気がします。
まぁ、まだシーズン序盤でこの先どうなるかわからないし、文句を言っていても仕方ないので、良いところを見ることにしましょう。
まずもって素晴らしいのはハミルトン。フリー走行ではもうひとつ乗れていなかったのに、予選中にどんどん改善していき、レースになるとポールをとったボッタスを寄せつけない一人旅。調子が悪い時はダメージを最小限におさえて、勝てるチャンスがあれば確実にモノにする今のハミルトンは手がつけられません。ボッタスがこれに食らいついてポイントを奪い合ってくれると俄然おもしろくなるんですけど、何か今年もヌタ〜と、地味に後退していきそうです。
フェルスタッペンもやはりすごい。昨シーズンの中盤から安定感が飛躍的にアップしましたが、彼の場合はスピードをまったく犠牲にしていないところが驚異的です。最近のコメントもからも成熟していることが伝わってきて、まだまだ強くなりそう。ハミルトンが絶頂期の間に、二人のガチ勝負が見られることを祈るばかりです。
あと、ライコネンも渋い走りをしてますね。やっぱり、ワールドチャンピオンになる人は違います。

バーレーンGP〜またもやフェラーリ・・・

20190403

全然変わっとらんやないかぁ〜!

バーレーンGPでのフェラーリの自滅ぶりを見たすべての人が、そう声を上げたに違いありません。
どうやら勝てるチャンスを自ら捨て去る、もったいないオバケが出るような戦いぶりを、今年も繰り返しにかかるようです。
まずは、仕方ない面もあるものの最悪の状況で発生したルクレールのPUトラブル。今のところ原因はシリンダーの不具合ということですが、なぜ不具合が起こったのかは不明とのこと。フェラーリはテストの時からちょこちょこトラブルが出てましたが、根本的な解決はできていないんでしょうか。オーストラリアではリスクを避けるために抑えめのエンジンモードにしていたといわれていますし、いろいろ課題を抱えている気配が漂ってきます。
こういう時メルセデスはチームが団結していち早く解決するのですが、フェラーリの場合は慌てふためき、責任のなすりつけ合いをするのがパターンなのでかなり不安です。
そして、いちばんの問題はベッテル。レッドブル時代から当時チームメイトだったウェバーとの取り決めごとを破って優勝をかっさらうなど、“いざ”という時に頭に血がのぼり、考えられへんことをしでかす性質ではありましたが、4回ワールドチャンピオンになった今も基本的には変わっていないようです。
今回もハミルトンにかわされた後、ポジションを奪い返すチャンスはあったはず。ハミルトンも万全の状態ではなかったから、抜き返していた可能性は十分にある。なのに、カッときて強引に攻めてスピン。
ルクレールのトラブルを考えると、落ち着いて対処していたら優勝できたかもしれないのに・・・。去年も一昨年も同じようにカッとして痛い目にあっているのに、まったくその経験が活かされていない。というか年々酷くなっている。まぁ、偉そうに人のことは言えませんが・・・。
普通に走りきれば1-2だったレースが3位と5位、代わりに守りのレースだったメルセデスが1-2フィニッシュ。これじゃ、メルセデスやハミルトンには勝てません。チェッカーを受けた時のトト・ヴォルフの棚ぼた顔が、フェラーリの不甲斐なさと、メルセデスの隙のなさを物語っています。

フェラーリにとっては散々なレースでしたが、収穫もありました。いやいや、フェラーリだけではなく、F1全体にとっての収穫だといえるでしょう、もちろんそれは、ルクレール。去年の走りからして速いことは間違いありませんでしたが、トップチームで通用するレベルなのか、タイトルを狙えるレベルなのかは未知数でした。しかし、開幕から2戦走っただけで疑問が確信に、そして喜びになりました。
間違いなく、これからの10年はフェルスタッペンとルクレールを中心に展開されるでしょう。正直、フェルスタッペンだけだと5連覇時代のように退屈になるばかりか、華やかさの面でもいまひとつ映えないといいますか・・・。そこにくるとルクレールは、甘いマスクで、優等生タイプ。すべてが真逆。タイプが異なるライバルがいるからこそ、それぞれの魅力が引き立ち、才能の磨かれるのではないでしょうか。
しかもマクラーレンからデビューしたランド・ノリスが予想以上にいいドライバー。もしかしたら去年F2で彼を負かしてチャンピオンになった、メルセデスの育成ドライバー、ジョージ・ラッセルも彼らに匹敵する才能の持ち主であるかもしれない。彼らが順調に活躍してくれれば、F1は盛り上がりますよ! いや〜、楽しみッ!!

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