(この記事には偏見が含まれています。それを承知の上で読むことをおすすめします)

世の中は今や5インチかさらにそれよりデカい画面のスマホ、いわゆるファブレットと呼ばれているものが流行っている。そんな中、それまでのスマホを再定義し、今のすべてのスマホの元となる革新的なiPhoneを世の中に送り出し、さらに2010年発売されたiPhone4で、人間の網膜の識別能力を上回った高精細のretinaディスプレイを紹介し、携帯電話のディスプレイに対する従来の考え方を根本から変えたアップルは、なぜディスプレイに関しては未だに4インチという比較的に小さいサイズにこだわるのか、不思議がっている方はきっとたくさんいるでしょう。確かにMacやiPad、iPad mini,iPhoneで様々なスクリーンサイズで花を咲かせたアップルは、5インチ以上のスクリーンサイズを持っているスマホを発売させることは技術的にも市場シェア的にも合理的な行動のように見える。ではなぜアップルはそれを頑なに拒絶しているのか(今年の5月にアップルは5インチのiPhoneを発売させるという噂もありますが、今回の議論とあんまり関係ないのでスルーさせていただきます)。ちなみに筆者はiPhone5cとNexus5の二台持ちです。

まず先に、世の中に流通している、いわゆるファブレットというのは大体どんな特徴を持っているのかを見てみましょう。

(参考としてスマホ画面解像度の早見表のリンクを貼ります。
http://www.find-job.net/startup/iphone-android-size-2013-summer)

1.OSはグーグル製のアンドロイドが多い(当たり前ですが)
2.5インチかそれ以上のスクリーンサイズを有する
3.720p(1280×720)か1080p(1920×1080、フルHD)の解像度を持っている。ppi(ピクセルパーインチ、ピクセル密度)は300以上のものが多く、ハイエンドモデル(HTC ONEやNexus5など)はppi400以上のものもある。
4.大きいバッテリー(2000mAh以上のもの)が搭載されている

次にiPhoneのスペック(iPhone5以降)を見てみましょう
1.OSはアップル製のiOS
2.4インチのディスプレイを有する
3.解像度は1136×640で、ppiは326。
4.バッテリ容量は1570mAh(iPhone5Sの場合)。
といった感じでしょうか。

どうですか。どう見ても前者の圧勝ですよね。アップルさんなにやってるんですか、やっぱりジョブズのいないアップルは腐ったリンゴだなと思う方もいるかもしれません。

それでは次の写真を見ていただきましょう。左はiPhoneで、右はNexus 5になります。

比較


おわかりいただけただろうか。

Nexus5と比べて、明らかにiPhoneの電池持ちが優れていることがわかりますね。

もちろん、電池持ちはたくさんの要因に左右されています。位置情報サービスや、OS自身のアーキテクチャーによるものはもちろん大きいと思いますが、この場合、電池の半分ぐらいは画面に使われたことが明らかですよね(明るさを下げろksという声が聞こえそうですが、両方とも明るさはオートにしていますので問題ありません)。ちなみに筆者は昔Nexus5と同じ解像度を持っているHTC ONEを使ってましたが、その時の電池持ちはもっと悪いものでした。

なぜスクリーンはここまでバッテリーを食うかというと、解像度の高さとppiの高さは元凶となるでしょう。特に後者は単位面積あたりのバッテリが動かさなければならないピクセル数を表しているので主犯と言っていいです。

解決方法として、
1.解像度(ピクセル密度)を下げる
2.バッテリを厚くする
3.ディスプレイの消費電力を低減する技術を開発する

といったものがありますが、ファブレットを欲しがる人は解像度は最低限フルHDでなければならないと思う傾向がありますので、1のようなやり方だとスマホが売れなくなります。かといってみんながより薄い、より軽いガジェットを求める世の中では、バッテリ(つまりスマホ自体)を厚くすることは自殺行為と言っても過言ではありません。

3つ目に関しては、今やIGZOディスプレイという、ディスプレイの消費電力を大幅に削減できる素晴らしい代物が頭角を現しはじめたが、残念ながらシャープの独自技術ということで、安定した生産量を確保するために複数の供給源から部品を仕入れることが望ましいスマホ産業では、けっして賢いやり方とは言えません。

一部のガジェット厨を除いて、スマホを日常生活で必要不可欠な道具として使う一般人にとって、高い解像度を持ちながら半日しか持たないファブレットより、スクリーンが若干小さくても一日中使えるiPhoneのほうが合理的な選択肢であることは言うまでもありません。アップルは昔からそういう人たちを念頭に製品を開発してきましたので、電池持ちの問題が解決しない限り5インチ以上のサイズのスクリーンを持っているスマホを出さないのも不思議ではありません。

しかし、5インチ以上のスマホでも電池持ちがそこそこいいやつもたくさんあり、単に電池持ちで説明できないところもありますので、次回からもっと重要な、アプリケーションと片手での使い勝手について紹介したいと思います。