2006年08月

2006年08月31日

人の社会的価値

人の価値なんてものを時々考える。ごく稀に人の価値について説教される。もっとも、僕の経験では説教してくる人は僕にとっての社会的な価値が極めて低い人のみ。

人の社会的価値なんてものが誰にでも納得できる形で簡単に定義できるわけはないのだけど、よく聞くのは資産の額、収入の額、公務員のような身分の保証、政治家や検察やマスコミのような権力の内部にいること、会社での高い役職にいることなど。本人の能力や努力や決断が無くても手に入ることがあるものや悪用することによりおいしい汁が吸えるものが多い。

一方では他人や自然に与えた量、相続やコネや優遇制度を差し引いて残ったものの量、悪さを過去にしていないことなどが基準にされることもある。この基準で価値のある人が価値があるという理由で優遇されるこはまずない。こういう人を高く評価しようという考えが無いのではなく、恣意的に行われる評価(とくに自己評価)が主流だから。

ごくごく単純に、どんな望みや欲求であってもそれ満たすことはプラスと考える。ごくごく単純に、どんな望みや欲求であってもそれを抑圧することはマイナスと考える。そして、現在から無限の未来までに満たされる欲求(もちろん他者のものも含む)が多い行動ほど良い行動と考える。そして、その未来永劫までに満たされる欲求を多くする人ほど社会的価値があると考える。僕は大雑把に言って、そのように考えている。

もちろん欲求が満たされることの定義が曖昧であることや定量化が不可能であることは承知しているし、未来を正確に予測することが不可能であることも承知している。でも、この基準ってそんなにひどいものか?定量化や正確な予測ができる場合でも否定されるようなものか?定量化や正確な予測ができないままでも、「価値の高い人のせいで人々が不幸になる」「価値の低い人を排除したせいで人々が不幸になる」「親が子を軽い気持ちで殺す」「子が親を恨んで殺す」「有権者が腐った主張に感動して腐った政治家を選ぶ」「良い政策の結果がボロボロ」「株式会社が資本主義に真っ向から反旗を翻す」「検察とマスコミが結託して暴走する」「組織の利益を犠牲にして保身を行う人が管理職になる」「大学教授が非常に狭い専門分野以外のほとんどの面で学生に劣る」というような洒落にならない状況を抑止するのに役立たないか?

僕にとって価値の低い人は僕のような価値観に反対する。明確な言葉で反対するわけではないんだけど、他人の利益を考慮する価値観や、影響力の大きな人が無能だったら周りが損害を受けるということを意識する価値観が我慢ならないようだ。他人の利益を考えるべきではないと主張するのではない。他人の損害を回避すべきではないと主張するのでもない。ただ単純に、僕のような価値観では自分が既得権益を持っていることの正当性を一切主張できないからだろう。僕のような価値観では「お前のために」と言って善人面するためにリスクを背負うことや常識を身につけていることや思慮深いことが要求されるからだろう。ダブルスタンダードが許されないからだろう。自分の価値が極めて低いと判断されてしまうからだろう。

「多くの人は”考えるくらいなら死んだほうがましだ”と思い、実際に考えるよりも死ぬことを選ぶ人も多い。」。そんなことを昔の人が言ったらしい。選挙権も発言力も資産も無いならばそれでもかまわない。でも、「欠けているのは主に能力であって、分不相応な地位や力は手に入れている」という無責任な連中には無性に腹が立つ。

そういう人の地位を他人に移すだけで世の中がどれだけ良くなるか。

ichonan at 21:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0) as 民主主義社会の市民 | <個人用>半端な思考実験

YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page

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山形浩生氏によるエッセイやら翻訳やら色々。膨大な量の知的な毒舌。個人のウェブサイトの手本となる型の一つだと思う。勉強になります。読んで怒る人もいると思います。しかし、本業以外でよくここまで充実した内容ができるな…。

初めての人は以下のエントリーあたりから。

ichonan at 20:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 他人向け・読者用 | その他

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経済学者クルーグマンが書いた解説を集めたもの。主に国際貿易関係の話。エコノミストに騙されないために、ダメ政治家が主張する経済政策の間違いを指摘するために、マスメディアが伝える経済情勢がいかに歪曲されたものかを判断できるようになるために。そんな目的のためにドンピシャの読み物です。文章は簡潔明快論理的で非常にわかりやすい。経済関係の読み物によくある煽りや知っていることの羅列ではなく、モデルやデータや定義をしっかりと意識した説明です。

対象読者は優秀な大学生、経済学部の大学生、向上心と知的な面の謙虚さのある大人。説明のわかりやすさは素晴らしいが予備知識として常識は仮定されている。索引はなし。分量はほどほど。中身は濃い。出版に際して力を入れたという印象はないが、元の寄せ集める前の原稿が素晴らしい。値段もgood。

ichonan at 19:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 他人向け・読者用 | as 資本主義社会の市民