食事を有料化するだけで1万円安くなるLCC 驚異のビジネスモデル(週刊ダイヤモンド)

エアアジアXのCEOであるオスマンラニ氏へのインタビューが記事になっている。

「飲食物などの積み込みを抑える事によるコスト削減」が大きいということだ。飲食物自体のコスト削減、飲食物を多く積まない事による燃料代の削減、給仕などの労働量が減る事によるCAの人件費削減などである。

貧乏学生である私も何度かエアアジアを利用しているので、このあたりは感覚的にも分かる。

チケット購入時に必要な人は食事を予約する事も可能で、事前予約だと安く機内食を購入できる。当然、水なんかも有料である。今では減ったが、「酒を飲み放題」みたいなのも既存の航空会社には多かった。酒代がチケット代に入るとトータルコストは高くなるものの、酒を飲まない人にとっては圧倒的に損である。だから、「必要な人が買う」とすれば、顧客の不平等感もなくなるし、結果として輸送コストや人件費が大幅に削減されてチケットが安くなる。

他にも価格を下げる為に行われている事は色々とある。

座席数の増加である。乗った人はご存知だと思うが、窓際の席なんて、座高が高い人なら「頭が壁に触れる」ほど一人あたりの空間が狭い。これだけで、座席の数はかなり増えるから、収益改善に寄与する。この狭さが嫌な人は「ホットシート」を買ってくださいというわけだ。

他の航空会社にある「立ち乗りの飛行機」ってのは、この「航空機あたりの座席数の増加」を徹底した結果だろう。

日本に飛んでいるエアアジアXの飛行機で行われている事は、ここまでだろう。しかし、エアアジアを始めとするLCCのビジネスモデルの肝は「運行数」にある。

ダイヤモンドの記事でも最後に書かれているように、エアアジアは「クアラルンプールがハブ」である。クアラルンプールを中心としてアジア中(一部はヨーロッパなども)を結んでいる。そのネットワークは極めて興味深いものである。

まず、「無駄に空港で停泊している飛行機」が少ない。クアラルンプールからエアアジアの飛行機に乗ると、搭乗口で並ぶ時間になっても「乗るはずの飛行機」が到着していない。やがて、乗る飛行機が到着すると、ぞろぞろと乗客が降りてくる。すぐに機内の清掃が行われ、そして次の客が搭乗するのだ。1日あたりの運行数が増えれば、パイロットの人件費も結果として安くなる。

そして、「ハブ」についてだが、少なくともエアアジアは「ハブとしてのメリット」を徹底的に活用している。ハブについてはここでは論じないが、エアアジアの航行スケジュールを見る限り、「出来るだけクアラルンプールを経由する」ようにしている。結果としてトータルコストが下がる。

結果的にはコストが下がるが、どうしても無駄も発生する。例えば、「翌朝にはシンガポールに飛行機が必要だけど、クアラルンプールに集まっている」みたいな。そういう場合、夜の間にクアラルンプールからシンガポールに飛行機を戻さねばならない。ここでは「回送飛行機」と呼んでおこう。

言うまでもなく、「回送列車」と発想が似ているからである。ダイヤの都合上、ハブとなる都市圏の駅に電車が集まっているから、夜の間に元の駅に戻す為に「空の列車」が走っているのを多くの人が知っているはずだ。

しかし、エアアジアが面白いのは、この「回送飛行機に客を乗せる」点である。エアアジアの夜間便で、「クアラルンプールとその周辺諸国」を結ぶ飛行機は、基本的に極めて安い。チケット代が無料(顧客が払うのは空港利用税あだけ)の時もある。

どうせ、客がゼロでも飛ばすんだから、タダでも良いから客を乗せてしまえという感じだ。「チケット代がタダ」というのは会社の宣伝にもなるから、その点でのメリットもあるだろう。

エアアジアが、こういう「回送」を日本便で実現するのはなかなか難しいかもしれない。クアラルンプールと距離が離れ過ぎているからだ。回送だけでもコストが高いからだ。ただ、中国とか台湾とか香港とか韓国とか東アジアで同様のシステムは有りかもしれない。(既にあるのかもしれない。)

蛇足だが、日本の鉄道会社(特にJR)も「回送列車」に人を乗せる事は出来ないものか。どうせ、中心となる駅から車庫のある駅まで走らせるのだから、それも可能だろう。私がよく使う路線でも、駅に回送列車が10分以上停まった挙句、発車して向かう先は「私が降りる駅」である。


人気ブログランキングへ
にほんブログ村 経済ブログへ