mecobalamin

末梢神経の脱髄疾患へメチルビタミンB12(メチルコバラミン / メコバラミン)が有効に働くことはすでに知られており、処方薬も存在するが、中枢神経の脱髄にも同様に有効に働く可能性があるかもしれない。いくつかの論文で脱髄が報告されている疾患には、糖尿病による末梢神経障害、多発性硬化症、ギランバレー症候群、慢性脱髄性多発神経炎、筋萎縮性側索硬化症、さらに精神疾患である双極性障害や統合失調症なども挙げられている。

医薬品のメコバラミン製剤は末梢神経障害の保険適応薬であるが、昨年エーザイ株式会社から筋萎縮性側索硬化症(ALS)への治療薬(高用量メコバラミン製剤による神経細胞死抑制作用)としての承認申請が行われた。結果としては、ALS機能スケール低下傾向は認められるものの、プラセボとの優位差が認められないという理由で却下となったが、いくつかの論文を見ていると病態がより軽度な症例においては有効性が見られるケースもあるのではないかと思う。
http://www.eisai.co.jp/news/news201535.html

ビタミンB12の基本的な機能は「核酸代謝・メチル転移・ミエリン合成および修復に関与」とされているが、脱髄修復の作用機序について調べてみたところ、「成長関連タンパクや神経栄養因子の発現増加」によるものと書かれている論文があった。

要約:
  • マウスに坐骨神経挫滅傷害を行い、続いてメコバラミン(65μg/ kgまたは130μg/ kg)を毎日腹腔内投与した。
  • メコバラミンは著しい坐骨神経の機能回復機能を示した(ミエリン鞘の有髄神経線維、および標的筋細胞の断面積を増加させた)。
  • 神経組織における成長関連タンパク質や神経栄養因子の発現をアップレギュレーションさせた。



多発性硬化症への治療効果

多発性硬化症では、ビタミンB12の結合能や輸送能に障害が見られるケースもあると報告されているが、メチル化したビタミンB12を使用することで、いくらか脱髄修復が行われる可能性もあるようだ。以下の九州大学医学部の論文では、メチルビタミンB12の投与で、視覚・聴覚神経部位の電位障害(脳幹部位の反応障害)が改善されたと報告されている。

要約:
  • 血清ビタミンB12濃度と不飽和ビタミンB12結合能をMS患者24例,他の神経疾患患者73例,健常者21例について測定した。
  • MS患者ではビタミンB12濃度は減少していないが,不飽和ビタミンB12結合能は有意に減少していた。
  • 慢性進行性MS患者6例にメチルビタミンB12を60mg/日,6ヵ月間投与した。
  • 運動障害は臨床的に改善しなかったが,視覚・聴覚脳幹誘発電位の異常は,治療前の期間に比べ治療中により頻回改善を示した。



統合失調症への治療効果

統合失調症への脱髄修復効果を明らかに示した論文は見つからなかったが、ビタミンB12と葉酸の併用で、陰性症状が改善したとする論文があった。

要約:

  • 統合失調症患者140名に対し、2mgの葉酸と400μgのビタミンB12を16週間プラセボ対照二重盲検で投与比較を行った。
  • 葉酸吸収の遺伝的変異の影響を受けるものの、統合失調症の陰性症状を有意に改善した。
またビタミンB12は、生体に有害なホモシステインを減少させる効果もあるため、ホモシステインによって何らかの不調(慢性疲労など)が出ていたならばこれを改善する可能性もあると考えられる。

要約:
  • 自閉症・統合失調症患者の死後脳を対象とした小規模研究で、両被験者群においてはメチルビタミンB12(活性型)と不活性シアノコバラミンの濃度が通常より3倍以上低かった。
  • さらに自閉症では葉酸依存性酵素の活性低下によるホモシステイン濃度が上昇していた。

  • 統合失調症患者の血漿中ビタミンB12と葉酸濃度が有意に健常群より低く、ホモシステインとコルチゾール濃度と平行関係が見られる。

  • ホモシステインは血栓や動脈硬化の原因となるだけでなく、血漿脂質ヒドロペルオキシドの濃度を増加させ、多発性硬化症における慢性疲労症候群の原因にもなりえる。


服用量については、医薬品のメチコバール(メチルビタミンB12 500μg×3回=1,500μg/日)添付文書によれば約1%程度の消化器系の副作用(悪心など)があると書かれており、大量でなければ毒性はないというのが一般的な見解であるようだ。腎疾患などが無い限り、水溶性ビタミンであるということからも蓄積することはないと思われる。
 

■メチルビタミンB12の実際の効果(自己免疫性末梢神経障害に対して)
(体験に基づいての感想や推測)
 
  • メチルビタミンB12(1,000mcg)を就寝3時間前服用で、入眠後2-3時間程度ですでに修復された感覚がある。
  • 脱髄修復は自然修復の速度よりも数倍早い効果が得られている。 
  • 就寝時刻が遅れた場合(免疫が増強する)でも、メチルビタミンB12を服用しておくと、損傷と修復が相殺されて軽症で済む。
  • 軽症ですむというのは、物を上手く掴めない、自己体重を支えきれない等の全身脱力症状や、自己の体の感覚がない、物との距離感覚が分からない等の感覚消失が比較的軽度になるというもの。