制度会計対応現場のオナヤミ

会社側目線で見た、金商法、会社法、税法、内部統制、IFRSなど、制度会計の現場を書いていきます。 ネタがなくなると、読んだ本の感想でしのぎます。 原則火曜日更新です。

<あの山まで行きたいな>

かなり遠いようだけど、やってみますか。

もうしばらく、原則週イチ(火曜日)更新でがんばります。

ネタと時間切れにつき、苦しいときの読書感想です。

本日はこちら↓

『一海軍士官の太平洋戦争』 斉藤一好 高文研 2001年

あの駆逐艦「雪風」乗組士官だった著者による、太平洋戦争の回顧録です。

雪風での担当は、航海士から水雷長とまさに戦闘中の当事者としての体験談です。

例えばこんな感じです。

・中将旗は直ちにおろされました

以下の場面は、雪風を含む艦隊が、ガダルカナル島へ艦砲射撃を実施すべく出撃し、そこで第三次ソロモン海戦に巻き込まれたところです。

艦隊の戦艦比叡は敵の攻撃を受け、航行不能になりました。著者乗り組みの駆逐艦雪風は、動けない比叡の護衛を命じられます。護衛する雪風に、比叡に乗っていた戦隊司令官以下の司令部が移乗してきました。

P.86

司令官は、雪風のマストに、比叡から携行してきた中将旗(大将、中将、少将のそれぞれが指揮していることを示す旗)を掲げます。

比叡のマストに掲げられていた時は小さく見えた中将旗ですが、小さな駆逐艦に掲げると大きく見えます。

そのためでしょうか、司令官が移乗してきた直後、敵機もそれを見つけたものとみえ、今度はわが雪風が集中攻撃を受け始めました。

爆弾は命中しなかったものの、至近弾があり、その破片が艦橋にまで飛んできて、私の隣にいた水雷長、白戸敏造大尉が頭をやられ、血を流しながらばったり倒れます。

ほかにも下士官で負傷したものがありました。

中将旗は直ちにおろされました。


ベトナム戦争時に「大尉の墓場」という表現がありますが、これはベトナム軍が米軍の隊長である大尉を狙って攻撃したことによるものとされています。

階級が遠目に見てもわかる印があると、攻撃しやすくなるのでしょう。

これは船の世界でも同じで、早々にそのことに気がついて旗を降ろした担当者は偉いと思います。

・駆逐艦時代に空襲の恐ろしさをいやというほど経験しました

著者は雪風乗組みの後、人事異動で潜水学校へ赴任します。

著者本人が潜水艦乗り組みを希望したことによるのですが、その動機は次の通りでした。

P.154

ところで、駆逐艦の水雷長でかなりの経験を積んだ私が、どうして新たに潜水艦乗りを命ぜられたか、との疑問をもたれるかもしれませんが、当時潜水艦の喪失ははなはだしく、しかも乗組員の生き残りはほとんどありませんので、その補充が必要であったのだと思います。

なお私は駆逐艦時代に空襲の恐ろしさをいやというほど経験しましたので、考課表に潜水艦乗り志望と書きましたから、それが海軍省の人事局に認められたのかと思います。


素人考えですが、この当時は潜水艦であれば空爆とは無縁だったのかもしれません。

とはいえご本人が書かれたとおり、潜水艦は潜水艦で死ぬ確率が高い乗り物。

事故で沈んだまま浮かんでこれなくなることもありますし、駆逐艦に見つかってしまったら物音ひとつ立てずにじっとしていなければなりません。

閉所恐怖症にして粗忽者の私には、まったくもって向かない乗り物です。

私のことはさておき、死ぬ可能性が高い潜水艦乗り組みに打ち勝つくらい、「空爆」は怖い体験だったのでしょう。

以前にご紹介した『指揮官は語る』の著者も、空爆は本当に怖い、精神的なダメージが著しい、と述べておられたので、相当な恐怖なのだと思います。


かくして、潜水艦イ400の水雷長となった著者は、終戦間近の1945年7月、ウルシー特攻作戦を決行すべく青森県大湊から出撃します。

しかし作戦実行前に終戦となり、イ400は降伏し著者は米軍の捕虜となりました。
まさにこの記事↓です



捕虜となった著者は、米軍の捕虜の扱いについて驚きます。

P.188

しかしそのうちに、米軍側の私たち捕虜に対する処遇がきびしくなりました。報復の意味があったのかと思います。すなわち全乗員を三班にわけて、八時間ずつ、自分たちの乗艦を掃除し、錆落としをする作業が命じられたのです。
ここでも私は、またもショックを受けました。というのは、士官については捕虜の取り扱いに関するジュネーブ条約で労働が禁じられているので、米軍側はこれを順守し、士官にはこの作業をさせなかったことです。私は迂闊にも、この条約の存在を知りませんでした。

著者は「迂闊にも、この条約の存在を知りませんでした」と言いますが、教育を受けたはずの士官が知らなければ、部下の兵士たちも知らなくて当然。

国際条約の取り決めを、日本海軍は士官に教育していなかったのではないか、という疑問が浮かびます。

この話はもう一つあって、次のように述べます。

P.190

第三に、私は捕虜という立場でありながら、米水兵たちとしきりに会話するようになりました。英会話の練習のよい機会となります。その一人が話してみると、ハーバード大学のロースクールの学生でした。
彼は、日本の芸者が基本的人権を無視されていることをとうとうと論じたて、私はたじたじとなりました。私は恥ずかしながら、そもそも基本的人権などという言葉にお目にかかったことがなく、ここでポツダム宣言以来二度目に出会ったことになります。

先ほどの条約を知らなかった、もそうですし、基本的人権も知らなかった、もそうですが、当時の日本人は根本的に西洋発祥のルールについて、根本的な理解が不足していたことを感じます。

これが、捕虜虐待とみなされた事案の根本にあり、後に軍事裁判でB級C級といった有罪判決がくだされる事件を起こす原因になったのではないでしょうか。

日本人が「武士道」といっても、それは「基本的人権」とは一致しないので、判決を下す側には理解ができない。

一方で、ついさっきまでドカドカと爆弾を落としていた本人が、なんらかのきっかけで捕虜となったときに、爆弾を落とされていた側は冷静に取り扱うことができるものなのか。

感情的には難しいでしょうねえ。

それでも一定の取り扱いをすることを国家間で約束したのが条約であり、それを当時の日本人が知らなかったとすれば、不幸な事件が起きたのもむべなるかな。

法は「知らなかった」では容赦してくれません。

国家は国民に、しかるべき時にはしかるべき知識を教育しなければならないのでしょう。

さて、同じようなことがIFRSでも起きないものなのかどうなのか

どうも前提条件を理解できていないのではないか、そう感じるときがあります。

かの国では「そんなことするやつはいない」として、いちいち書いていないことがあるのではないか、そんな気がするのです。

当シリーズ4回目です。

1回目:エージェント接触編

2回目:求人編

3回目:書類選考編

当シリーズの最終回です。

書類で経歴等を見て、明らかに求人内容と異なる人を除けば、あとは面談して本人の人柄を確かめることになります。

実際のところ、会う人会う人、みんないい人に見えました。

パッと見て、「いかにも不正をしそう」とか察することができればよいのですが、そんな分かりやすい人は転職エージェントさんのフィルターがかかっているので来ません。

履歴書と職歴を中心とした自己紹介から質問のきっかけを見出して、質問と回答を繰り返す中で人柄を探ります。

私が面接する中で気にしたのは、次の二点です。

・問いと答えがかみ合うか?

答えの幅が広い質問と限定的な質問を織り交ぜながら投げかけて、質問と答えがかみ合うかどうかを確かめました。

とくに答えの幅が広い質問に対して、連続してかみ合わない人は根本的に波長が合わないのかなあ、と思います。

一緒に働くと、苦労するタイプなのかもしれません。

ただ、これは単純に相性の問題なので、私と波長が合わなくても他所で波長の合う人を見つければ良いだけなので、これが原因で落選したのであれば、気にする必要はありません。

相性が合わないと分かっていてムリに一緒に働くのは不幸なだけです。

この相性は書類では分からないことなので、原始的ではありますが会って確かめるより方法はないのでしょう。

・自分がやったなら

私の経験からすると、ほんとうにやりきった仕事は、具体的だったり詳細に話すことができると思います。

経理職の場合、「こうこうこういう仕事をやっていました」というお話を聞いた後に、一部分の細かいところを取りあげて質問すれば、守秘義務を越えないところの数字が出てくるものです。

ここでいう「数字」というのは、人数、金額ボリューム、税率、伝票枚数、処理件数などなど、さらに言えば「別表15」の15でもかまいません。

いくら質問しても、このあたりで話が深掘りできず漠然とした答えしか出てこないなら、いくら職歴書に書いてあってもその経験は浅いのかなあと判断しました。

こんなこと面接受ける側に対策可能なのか分かりませんが、あまり漠然とした答えは印象が良くない、そういうお話でした。

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最後にもう一つ、面接する側として気がついたことを一つ。

・面接してる側が長々としゃべってどうする

限られた面接時間の中で、同僚の長々とした独り言のような自分語り?を聞かされたときは、イラッとしました。

本人は質問の前置きだったようですが、聞いている最中は行方が見えず、最後まで聞いても応募者の情報が何も引き出せないお話は意味がない。

やってる本人には自覚がないようですが、長い質問をしている時点でおかしなことになっている、そういう感覚は持った方が良いです。

面接を受けている人にいかに長く話しをさせるか、これが面接をする側の心がけとして大切だと思うのです。

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今回の一次面接で通した方の中から、採用が決まりました。

彼/彼女の今後の様子を見ながら、自分がやった書類選考、面接の答え合わせをやっていくことになるのでしょう。

こうすることでしか、自分の「人を見る目」を評価する方法はないのです。

当シリーズ3回目です。

1回目:エージェント接触編

2回目:求人編

・履歴書、職歴書を読んだ

エージェントさんからもらった履歴書、職歴書は、繰り返し読みました。

文章そのものはエージェントさんの指導が入っているのか、おかしなものや意味不明なものはなかったです。

ただ、書くことそのものが「無い」、という苦心を感じる方はいました。

読みながら気になっていたのはこの部分で、来る面接に備えることもさりながら、自分が履歴書を書く立場になったら何を書いたものだろうか?ということです。

自分なりには「あれやった、これやってた」と思いつくものの、いざ文章にまとめようとすると、なんだかわざわざ書くほどのものでも無いような気がしてきます。

今は漠然とただ書こうとするから難しいのであって、求人内容を見たら具体的イメージが湧いて書きやすくなるのかもしれません。

とはいえ経理職の場合、年齢と勤務期間と実施業務名だけで、実力の予想がある程度できるのも事実です。

応募者多数の場合、あまりに簡潔だったり謙虚な表現の職歴書は、求人側の目を惹くことなく面接にすら呼んでもらえない可能性があります。

たとえ上司に命じられてやるだけの仕事であったとしても、ふだんから人に説明することを意識した仕事ぶりにしておくべきなのでしょう。

あと、最後にもう一つ。

この手の話には必ず書いてあることですが…

写真は大事です。

顔選考をするつもりはなくても、相当に写真から先入観が組成されます。

また、面接には出てこない「書類選考のみ委員」が存在する場合もあります。

こういう人に写真が与えてしまうインパクトは図りしれません。

会って挽回する術がないのですから。

ということで写真は、ニッコリ微笑むまでは必要ないと思いますが、明るい印象を与えそうなものにはしておかないと、不要なリスクを生み出す原因になることは知っておくべきです。

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次回は明後日、木曜日にアップする見込みです。

前回の続きです。

・募集業務に当てはまるか

求人後しばらくすると、転職エージェントさん達から推薦書が届きました。

こちらはかなり絞り込んだ条件で求人したのですが、やはりエージェントさん一人ひとりの解釈には幅があるようで、多種多様な方をご推薦いただきました。

最初のうちはストライクゾーン広めとなるのは致し方がないのでしょう。

こちらの希望に合わないケースはその理由を都度エージェントさんに伝えて、精度を上げる努力をするしかありません。

とはいえです。

こういうことが起きるということは、さきほどの「エ」さんが私にすぐ数社紹介できると言ったとしても、意外に間尺が合わなくてなかなか入社には至らないのかもしれません。

「エ」さんにしてみれば、数を撃たねばならないときだってあるでしょうから、弾幕要員も準備しておく必要があります。

やはりこういう案件については楽観視せず、慎重にことを運ぶべきなのでしょう。

なお、いくら精度を上げる努力をしても、どうにもならなかったエージェントさんもいました。

人事部の窓口担当が「あの人、別件ではすごく良かったのになあ」と不思議がっていたところを見ると、転職エージェントさんにも好不調の波があるようです。

金言「卵を一つのカゴに盛ってはいけない」は、求人を出す側も就職したい人にも通じる原則なのでしょう。


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次回は通常更新の来週火曜日にアップする見込みです。

いろいろあって、経理部員の人員を補充いただける運びとなり、職場準長老の一人として求人から書類選考、一次面接までを担当しました。

いわゆる「中途採用」というものです。

ブログテーマである「会計」そのものとはなんら関係ありませんが、気づいたことをいくつか書いてみます。

書いてみたら中途半端な長さになったので、4回に分けてアップします。

なお本稿は転職成功術ではありません。

求人を出している側がこんなことを感じている、という一例としてお読みください。

・経理職は売り手市場?

求人を出すにあたり、募集人物像を伝えるために、人材紹介会社の人、いわゆる転職エージェントさん(以下「エ」と略す)と面談しました。

エ「今、経理職は売り手市場で、いい人だったらすぐに大手の会社さんに決まってしまいますよ」

私「だったら、私もエさんにお世話になろうかな」

エ「B型が苦手さんだったら、私がすぐに数社ご紹介できますし、きっとすぐ決まりますよ」

この人、5分前に初めて会ったところだけど、大丈夫か?

調子がいいだけなのか、すばらしい営業センスと讃えるべきなのか?

でも本当だったらちょっとうれしいな♪

自分のことはさておき、実際のところその後の推移を見ると、こちらが希望した20代後半から30代前半の応募者はほぼ来ませんでした。

これは私の勤務先の業種と募集業務に人気がなかっただけなのかもしれませんが、他社の知り合いの方も経理職を求人していると聞いたので状況を聞いたところ、やはり上記年代は応募がほとんど無いとおっしゃっていました。

これらからすると、それなりの業務経験があれば、条件面は別として意外とすんなり職場は見つかるのかもしれません。

ただし、次項でお話する点には注意が必要です。

また、エさんは最後に言いました。

エ「本当に今は人材難ですから、もし他のエージェントの紹介でもいい人がいたら、すぐに採用してください。私のことは気にしないでいいですから。」

この姿勢に、我々の好感度は少なからずアップしたのでした。

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次回は明後日の木曜日にアップする見込みです。

前回の残りです。

・取引現場からの乖離

これも経理シェアード会社に限らず、経理担当者全般の課題です。

理屈では、取引を実施した者は内容を記した伝票に証憑を添付して経理担当者へ回付し、それを経理担当者は帳簿に記録します。

問題は、その伝票は正確に起票されているのか?、というところです。

・修繕費と言っているけども、機械の購入だったのではないのか?

・厚生費と言っているけども、その実態は交際費処理が必要なものではないか?

・その支出は立替金であって、だれかへ請求すべきものではないか?

・得意先から入金してきたけども、それは全て売掛金か?

証憑として添付された領収書や請求書から汲み取れる情報もたくさんありますが、やはり間違えないためにあるべきは、取引現場で起こす伝票に必要情報を記載すべきです。

ところが、現場と経理が精神的にも物理的にも遠くなってしまうと、その伝票が正しいのかどうか、十分な情報が書いてあったのか、確かめることを怠りがちになります。

また経理から現場へよく分からない点のフィードバックを怠るようになると、現場は「あれで良かった」と認識します。

そもそも現場は現業がいそがしいので、伝票の品質向上は二の次になりがちです。

経理側が嫌われてでも分からないところを聞きに行かないと、結果的に現場側も何が必要なの知りようがないので、報告能力も落ちていくのでしょう。

遠隔経理を始めると、確認作業をすることが減っていきます。

人間、目や耳に直接入ってこないと、伝票や証憑だけ見ても気がつけないことはたくさんあります。

自分で感じられないなら、現場から教えてもらえるような人間関係を築いておかないと、思っていたのとは違う方向へ進んで行くのかもしれません。

ネットだクラウドだVRだ、と同じ場にいなくても情報を共有できるかのような時代の雰囲気ではありますが、まだまだ人類の現実は現場からの情報無くして不足無く記帳できるには至っていないようです。

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本年の更新はこれでおしまいです。

本年もブログやtwitterを通じて、いろいろな方と会ったり、会話をする機会を得ました。

書く内容を考えることがしんどいときもあるけども、アウトプットすることを意識することでインプットにもいい影響があったのだと思います。

当ブログ、細々と続けていきますので、来年もお付き合いいただければと思います。

前回書いたとおり、私、経理シェアード会社さんから経理業務を引き継いだのですが、自分で会計処理を判断するにあたっては、前回はどうしていたんだろう、と過去資料を参照することが多々あります。

そして見ていると、なんだか違和感を感じるときがあります。

補助科目の選択程度であれば多少の振れ幅もあるかもしれませんが、「資本的支出と修繕費」や「現金主義と未収計上」といった質的なところになると、いろいろ思いめぐらせます。

なんでこんなことになったんだろう、と原因をつらつら考えてみると、次の二つに思い当たります。

・引き継ぎを受ける「視点」と「費やす労力」の違い

・取引現場からの乖離

当エントリでは前者について述べます。

・引き継ぎを受ける「視点」と「費やす労力」の違い

今回、経理業務の引き継ぎを受けましたが、私には二つの視点がありました。

「経理業務の引き継ぎ」という点では、経理シェアード会社さん内でも担当者の交代があり業務の引き継が行われてきましたが、それは「会社の経理担当者」の視点で行われていたのだと思います。

一方で私が引き継ぎを受けるときは「会社の経理担当者」の視点に加えて、「親会社の連結担当者」という視点もありました。

「親会社の連結担当者」であることから、勤務先グループと新しく受け入れる会社の会計ルールを比較して検討するので、通常の前任者から後任者への引き継ぎとは少し違ったのでしょう。

前任者とのしがらみも無いことから、過去の判断にこだわらず「違うのでは?」という疑問を出しやすいのだと思います。

また、引き継ぎに「費やす労力」が多くなったのは、連結決算への影響を考慮する必要があるため、まったく新たな会社を受け入れる場合には、手間ひまをかけてでも取引のひとつひとつを検討せざるをえないのです。

これもまた、すでにグループ内にいる会社の経理担当者の交代とは違ったところです。

通常の前任者から後任者への引き継ぎとなると、まずは前任者の処理継続が原則になります。

それが行き着くところまで行くと、こんな感じになるのでしょう。


上記の件、そのうちエクセルの参照式を使い出し、そしてそのうちうっかり参照式のところに数字を直打ちしてしまい、そのまま数年が過ぎた、という展開を想像できる経験者は私以外にもたくさんいるはずです。

どんな業務でも、一番初めにその業務を実施した人はいろいろ検討してその処理にたどり着きます。

しかし二人目以降の方は、その処理についていちいち立ち止まって検討したり消化することよりも、さらにスピードアップして処理することが求められがちなため、当初の状況や質が変わっていても気がつかないことは多々あります。

とくに二人目以降の場合、以前から抱えていた仕事に加えてこの仕事も、ということはよくあることですし…

かくして効率化を追求し続けた結果、検討不足が生じるのかもしれません。

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と、ここまで書いたものを読み返してみれば、これは経理シェアード会社だから起きることではなくて、「考えることを止めてしまった経理の人」に起きることだと気がつきます。

偉そうにここまで私書いておりますが、自分自身もただの「記帳屋」さんサイドへ落っこちているときがあるのです。

仕訳の入力と集計に追われているうちに、自分が作っているものの意味を見失っています。

「考えて質を高める」、聞こえは良いのですが、それがために処理する手が止まりがちな人が決算の現場に担当者レベルでいたら、実際のところ私もイラッとしてしまう自覚があります。

一般的な経理現場の担当者は、時間あたりに発行する会計伝票枚数や、入力処理する請求書の件数を増やすことに目を向けがちなのです。(早くやれば早く帰れるし)

組織を運営する側はこういった点を考慮して、何らかの仕掛けをしていかないとどこかで事故を起こすのかもしれません。

当シリーズ、あともう一回「取引現場からの乖離」で続きます。

企画部さんが、M&Aで会社を買ってきたよ、と言うので連結決算するための対応をするべくお話を聞いたところ、先方には経理部が無いと言われました。

?と思ってさらに聞いたところ、先方は大手企業のグループに属していて、経理業務はほぼ、経理シェアード会社(経理を専門にする会社)へ委託していたとのこと。

「じゃあそのシェアード会社さんに引き続きやっていただきましょう」と私、安直に考えていたところ、エライ人から「そんな大事なこと、自分でやれ!」と言われてしまいました。

かくして、私はそのシェアード会社さんより経理業務を丸ごと引継ぎする、という体験をすることになったのです。

「業務の引継ぎ」というところも、十分にこのブログのテーマに当たるのですが、今回それは置いておいて、経理シェアード会社の方とおつき合いをした中で感じたことを書いてみます。

・人員育成は専門会社の方が有利

私の勤務先で幾度も問題になっているのが、「経理職」の養成です。

そこそこの人数の経理部員がいる親会社でも、あるいは、一人経理の子会社でも、それぞれにそれぞれなりの養成上の悩みがあります。

今回は子会社に限ったところで書きますが、経理担当が一人か二人の会社では、現担当が退職するときの後任者の養成はとても手間がかかります。

そもそも適任の人が他部署にいれば良いですが、本人が経理への異動を受け入れるか分からないですし、拒否されてしまったら社外へ求人せざるをえません。

脱線すれば、この求人の難しさも体験したので、これはこれでまた書きたいと思います。

そしてようやく人の手当てができたとして、日々の小口現金から棚卸しに税務申告まで十分に引継ぎを、と考えると1年(*)くらい必要です。

(*)3月決算会社の場合、3月~6月の4カ月速習コースも考えられるが、実際には「経理」以外の要因で難しい

でも、必要とは分かっていても、二重期間の人件費負担は会社規模が小さくなると、やはり重いです。

こういうことを考えると、経理業務は専門のシェアード会社へ任せておけば、その中で吸収してもらえます。

シェアード会社は、経理職を志向する人員から構成されているので、基礎的な知識はみなさん持っていますし、状況によっては一人ですべてを受け止めるのではなくて、複数人に分散させることで短期間での引継ぎもできます。

本当に「経理」だけに限るのであれば、人の育成も「餅屋は餅屋で育てる」のが効率的なのです。

今回おつき合いしたシェアード会社さんの過去の対応履歴を見ていると、その会社担当者さんは数年単位で人事ローテーションしていたようです。

ローテーションした理由までは知りようもありませんが、それが混乱もなく行われていたところが、シェアード会社さんの強みなのだと思います。

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今回はシェアード会社さんの優位な点を書きましたが、当然に逆の事情もあります。

私の勤務先も、過去にシェアード会社方式の導入を検討したけども、見送るに至った経緯があります。

私は以前に書いた、連結決算を「エクセルでする」/「市販ソフトでする」と同じで、経理を「自力でする」/「シェアード会社へ委託する」も、その時の会社を取り巻く状況に応じて、振り子のように行ったり来たりするのだと考えています。

どちらかに決定的な優位があるのではないのです。

次回は、シェアード会社さんの不利な点を書いてみます。

更新のお休みを始めて1ヶ月以上が経過しました。

第2四半期決算から途切れることなく税務調査がやってきて、対応に追われて流れに身を任せているうちに、11月は過ぎ去ってしまいました。

調査は、いまだ現在進行形。

行方も見えず、オロオロ過ごす毎日です。

今回の調査対応がしんどいなあ、なってしまっているのは、弊社側の対応要員が実質的に減ってしまったからです。

注文するお客さんは増えたのに、ウェイターは私一人だけのお店のような状態で、てんてこ舞いです。

周囲のみなさんにいろいろご配慮はいただいているものの、それにもやはり限界があり…

調査の結論が見えないままに、11月の月次決算がきて、12月から1月にかけての月末月初の支払いがやってきて、第3四半期の決算がやってきて、年末年始もあったりしてと、私の業務人生は先行き不透明なまま推移いたすことになりそうです。

もうしばらく、不定期更新となりそうです。

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