制度会計対応現場のオナヤミ

会社側目線で見た、金商法、会社法、税法、内部統制、IFRSなど、制度会計の現場を書いていきます。 ネタがなくなると、読んだ本の感想でしのぎます。 原則火曜日更新です。

昔、ある人が新入生への訓示で言った。

「何になるかは分からないけども、何かにはなる私たちです。がんばりましょう。」

同じ苗から成ったイチゴでも、その味も形も一つ一つはまったく違う。

何かになろうと決めないうちに、自分は何者かになってしまうのだろうか…

もうしばらく、原則週イチ(火曜日)更新でがんばります。

いろいろあって、採用面接をする側に回ることになりました。

そもそも今まで自分が面接を受ける側になることはあっても、合否を判定する立場になったことはありません。

あと気になっているのは、会社として何らかの面接者教育をする様子がない。

ということでなんとなく問題意識を感じて買ってきたのがこちら↓

『採用・面接で「採ってはいけない人」の見きわめ方』 松下直子 同文館出版

いったいどんな人が面接に来るのか分かりませんが、明らかにダメな人くらいはその判断をできるようになっておかないと、後工程の人たちに迷惑をかけてしまう、と考えた次第です。

本を読んだだけでできるようになるか分かりません

成果の報告は後日(真の結果が分かるのは何年も先かもしれません)として、読んだ本は弊ブログと畑違いですがとても面白かったので、興味深いところをご紹介してみます。

・採用ミスは、職場メンバーの時間を食い潰す

本書では冒頭に、採用ミスを犯すとどんなことが起きるか解説します。

例を挙げると、こんな感じです。

P.20  3 採用ミスは、職場メンバーの時間を食い潰す

会議という時間の使い方ひとつ取っても、その本質を見れば一様ではないのです。
みなさんの会社では、社員の方々はいったい何にエネルギーを使っているでしょうか。また逆に、もっと何にエネルギーを使うべきだと思っているでしょうか。
採用ミスは、この時間の使い方の中で職場の「心理ゲーム」を増やすことにつながりかねません。ミスマッチの当事者が、心理ゲーム戦を周囲の方々に持ちかけるからです。
もちろん、本人にはそのような意識はありません。また周囲だって、そんなゲームを持ちかけられたという認識はないでしょう。
だからこそ、ゲームは何度も繰り返され、職場メンバーの「時間泥棒」になるのです。

ちなみに、「心理ゲーム」については次のように解説されています。

※ゲーム
相手を、自分の思い通りにコントロールしようとして行われる非生産的なコミュニケーション。好意を持つ相手に、わざと嫌がらせや挑発をしたり、会話の取っかかりとして皮肉めいた批判や意地悪な発言をするような時間の使い方

いますよね、表現は違うけどいろんな「駆け引き」を仕掛けてくる人。



狙いはなんであれ、自分が周囲よりわずかでも優位に立とうとしたり、自分をおとしめるようなことを言いながら、かえって同僚を非難したりしてきたりと、いろいろなパターンがあります。

非生産的な作業を好まれる方は、できるだけ招き入れたくないものです。

・やはり同様に上司と後輩しか現れてきません

画像の引用をしないので、言葉だけで簡潔に以下の内容を伝えようとしますが、うまくいくかどうか。

その人となりを知るツールとして、こういう↓ものを使うそうです。

・タテヨコの直線で十文字に区切り(四象限のマスをイメージください)、タテ軸を年上(年上)/目下(年下)、ヨコ軸を社内/社外の軸とする。

・中心点を自分として、中心から近い人たちの名前を書き出していく。

P.146

坂本先生(引用者注:このツールの開発者)のひとつの結論はこうです。ローパフォーマーといわれる方にこのシートを書いていただくと、上司や後輩といった人間関係しか出てきません。
(中略)
同様に、40代になってもうだつが上がらないといわれている方にこのシートを書いていただくと、やはり同様に上司と後輩しか現れてきません。

引用部分を読む前に試しにやってみたところ、上司と後輩しか名前が出てこない…

ツールから判定すれば、「ローパフォーマー」にして、「うだつの上がらない」に該当しています。

他社の入社試験を受けに行ってこれが出てきたら、合格する気がしません。

いまの職場にしがみつくしかないようです。

ちなみに、本書にはこういう記述がありました。

P.149 コラム

その応募者の、高校や大学の先生に対する印象は、ぜひ確認してみてください。
学校の先生に対する受け止め方は、その方が組織に入ってから、上司に対する受け止め方に転嫁しやすいといわれています。学校の先生に対して「つまらない先生ばかりだった」としかいえない方は、組織に入ってからも、「うちの会社は、魅力のない上司ばかりだ」といいかねないからです。
もちろん人間ですから相性もありますが、これまで生きてきた人生の中で、人を尊敬するという感覚を持つことができない方は、組織に入ってから、よほどの出会いがない限り、その感覚がわからないのです。

これは勉強に対しても同様とのこと。

こういう質問は投げかけてみる価値がありそうです。

最後にこちら。

・「仕事」を探すのではなく、「組織」を探せばいいのだ

P.205 2 採用担当者も、応募者から「見られている」

応募者たちも、騙し合い、化かし合い、負かし合いのような就職活動からそろそろ抜け出したいのでしょう。「仕事」を探すのではなく、「組織」を探せばいいのだということを、就職活動の応募者も理解しはじめています。

いっとき、「就社」ではなく「就職」だ、という文言が流行ったことを覚えています。

また、「正社員」を「社畜」と罵っていた風潮があったことも知っています。

世の流行り廃り、というものなのでしょう。

私のところへ面接に来る人は「経理職」を求めてやってくるのか、はたまた、「社風」に惹かれてやってくるのか。

外からリサーチして、どれだけ正確に「社風」や「風土」を知ることができるのか分かりませんが、それでも「入ってみたいな」と思ってもらえる「組織」は作っていきたいものです。

先般、急に子会社を作ることになりまして。

新会社の銀行口座の開設は、登記が完了していないとできないので、会社を作るときは口座開設に必要な日数も含めて登記申請の日を逆算する必要があります。

まあ、普通は営業上で諸々の段取りがあるので、登記申請は余裕をもって早めにしておくものだと思います。

ところが何があったか、結果として特急案件になってしまい、登記手続きはともかく、銀行口座の開設が開業の日に間に合いませんでした。

私個人の感覚では、会社の開業というか、1行目の仕訳は「○月×日 資本金を元入れして事業を開始した」とあるべきであって、資本金の入金もなしに事業を開始しちゃいかんだろう、と思います。

資本金の入金仕訳の前に、商品を掛けで仕入れてきたり、事務消耗品を未払金勘定で購入する取引が起きることに、違和感ないですか?

資本金もなしで商売を始めた場合、そもそも、その掛け取引の与信はどこから湧いてきたんだ?と疑問に思うのです。

その、「いかんだろう」や違和感が現実になってしまったのです。

「あるべき」の観念に囚われていた私には、この現実はけっこうな衝撃でした。

想像力が足りてない orz

もっとも、親会社には資本金相当の預金があったわけですから、どうしてもというのであれば資本金を現金で入金させるという方法はありましたが、こんなの紛失・盗難リスクばかりで現実味はありません。

あるいは開業日の一発目の仕訳として、「未収入金/資本金」も考えられますが、これはこれで目的を見失っている…

その後、銀行側担当者さんのご尽力もあり、開業後数日内に口座は開設されて、その口座開設の日にその会社1行目の会計仕訳として、資本金の入金を記帳しました。

その開設までの数日間にあった取引は、取引日を繰り延べて記帳したのですが、同月内の話なのでまあ愛嬌のうちでしょう。

とはいえ、こんな融通を利かせるのもやり過ぎると粉飾の素地になりかねないことも懸念します。

こんなことになってしまったのは、つまるところ会社設立・運営について抱いているイメージに新会社関係者間の乖離が大きいから。

この乖離は、想像がつかないくらい大きいようです。

先般行ってきた「TKC税務セミナー」の後半です。

後半のタイトルはこちら↓でした。

・三菱商事株式会社ご担当者が語る 「三菱商事グループにおける税務コンプライアンス向上に向けた取組み」

ご講演から、印象に残った部分をご紹介します。

・税務コーポレートガバナンスのため、「税務基本規程」を制定

前半の講演テーマである「税務コーポレート・ガバナンス」に対応して、「税務基本規程」を制定したとのこと。

この「税務基本規程」は、経理規程等の規程類と同格であり、「税務基本規程」に反する行為は社規違反の扱いになるのだとか。

「税務コーポレート・ガバナンス」の実践を外部から見ても分かるようにする、一つの方法だと思いました。

「ヘンなことするな」と、自発的に自制を効かせやすくする面でも良策です。

ただ、この方法を選択するには、それなりの風土がないと難しいだろうなあ、とも思います。

・人事ローテーション

お話を聞いた限りでは、経理部門内とはいえ、3~5年で人事異動してしまうそうです。

説明してくださった方の経歴も実際にそうなっていました。

組織内の専門知識蓄積において、この頻度でローテーションしてしまって大丈夫なのかなあ?とも思います。

しかし、固い決意でローテーションを必ず実施するのであれば、各人の仕事ぶりもそれに対応するものとなるので、仕事が属人化せず業務のマニュアル化が推進されるのかもしれません。

このローテーションを実施できるだけの構成員数と、ローテーションの実施による効率ダウンを吸収できるだけの企業体力があることが、このルールを実施するための条件なので誰にでもできる方策ではないようです。

・「連結納税」導入が子法人とのコミュニケーション拡充につながる

「コンプライアンスができないと、コーポレート・ガバナンスはできない」という趣旨のお話を、説明者は繰り返されていたように感じました。

普通であれば異論が存在しない「コンプライアンス」を推し進めれば、「コーポレート・ガバナンス」も自然と充実する、という考え方だと思います。

味気のない話に聞こえますが、「税務」コーポレート・ガバナンスである以上、そういう思考になっていきます。

(目的を見失ってはいけない)

この流れである以上、納税も連結にすると、税務関連処理も親法人が一定の管理をしなければならないため、コミュニケーションが増えていきます。

連結納税をきっかけとしてコミュニケーションが増える、そして「コーポレート・ガバナンス」が良くなっていく、こういう良いスパイラルが生まれるのならすばらしい。

某弊社には遠い世界の取り組みのように感じられましたが、より良い世界へ少しずつ近づいていきたいものです。

先週、更新お休みのお知らせをしたところですが、セミナーネタができたので古くならないうちにアップすることにします。

TKCさんの税務セミナーに行ってきました。

個別のタイトルが長すぎて、記事タイトルに書くこともできず、難儀しているのですが、そのまま書き出すと下記の通りです。

・国税庁調査査察部ご担当者が語る 「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組に関する最新情報」

・三菱商事株式会社ご担当者が語る 「三菱商事グループにおける税務コンプライアンス向上に向けた取組み」


前半の国税庁からの件は、今のところは国税局特別国税調査官所掌法人(資本金40億円以上等の大きな会社のこと)だけが対象ですが、いずれは裾野を広げて来るであろうということで聞いてきました。

ご説明いただいた方は、説明内容が当局の見解から絶対に逸脱しないようにという配慮からか、ほぼ資料読み上げ方式。

内容的には、公表済み資料の説明がほとんどでしたが、今すぐ我が身に降りかかっている課題でないことから、閉じこめられて読み聞かされないと勉強する気分にならないタイプの課題でしたので、私にとっては役に立つセミナーでした。

税務調査の際に確認されるとしている「税務に関するコーポレートガバナンス確認票」は、意外に回答しにくいなあ、というのが担当者としての実感ですが、提出された会社さんはどのように書かれたのか興味があるところです。

そう言いながら過去記事を探ってみたところ、本件について私、4年くらい前にも同様の記事を書いていた模様。

【税務】 「税務に関するコーポレートガバナンス確認票」?

世の状況はあまり変わっていないようで、相変わらず「確認票」そのものは国税庁HPでも公表されていない様子。

セミナーに行けば配布しているので、秘密にしているわけではなさそうですが、あえて公にすることもないだろう、ということなんですかね。

他に講演では、「申告書の自主点検と税務上の自主監査」という説明があり、「申告確認表」や「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」についてお知らせがありました。

確認表の対象は、「調査課所管法人の皆様へ」なっていますが、小さい会社さんでも有為と思われます。

様式はこちら↓にあるので、興味のある方は是非どうぞ。

「申告書の自主点検と税務上の自主監査」に関する情報(調査課所管法人の皆様へ)


なお、この確認表を使ったかどうかは国税庁も気になっているようで、申告書に添付する「会社事業概況書」の一番下に、「申告書確認表等の活用状況」という欄が作られています。

ご説明いただいた方は、「使用の有無で、税務調査に決して影響はありません。」とおっしゃっていましたが、実際のところ使用していなかった場合に税務調査で誤りの指摘を受けた場合、チクチク言われることは予想されます。

また、確認票を使ったよ、と言ったものの、調査で記入内容と違う事象が見つかってしまった場合にも、これまたチクチク言われそう…

どっちを選んでも明るい未来を想像できないところが、私の人間性なのでしょうね。

あと国税庁の方は、「ぜひ確認表を活用いただきたいが、申告書には添付しないでください」ともおっしゃっていました。

以上三点、ご留意ください。

セミナー後半の三菱商事さんの件は、また後日に。

題記の通り、しばらく更新をお休みします。

法人税の申告時期に、新規の業務が重なって、けっこう負担を感じています。

今さら負荷がかかるということは、今までが緩かったのかもしれない…

形成を立て直せたら、また更新します。

話は「連結エクセル化」からどんどん転進し、これからしばらく、「会社側経理実務担当者の育成」というテーマでオナヤミを書いていきます。

実は私、以前からずっと気に病んでいることがありまして。

とある本で読んだ、「大企業の経理出身者は自分で決算一つ締められない」、が、ずっと気になっています。

私が勤務しているのは「大企業」とは言い難いのですが、それでも「自分で決算一つ締められ」るかと言われると、まったくもってムリです。

販管費以下はなんとかなりそうですが、製造費用と在庫のところがさっぱり分かりません。

製造業の場合、加工途上の仕掛品評価なんて、請求書などの外部証憑があるわけもなく、最後は自身で決心するしかない。

そして決心するためには、原材料や加工・組立などの製造過程への知識が必要で、その知識の核心は本では得られません。

そして私にはその知識の核心がない…

とはいえ、製造費用は特殊だから横に置いてよし、と言ってもらえるかもしれない。

そこで製造費用は保留したとしても、実際のところ、仮に転職したとして、全く知らない会社で前提知識白紙の状態から「決算しろ」と言われたとして、全てこなせる人なんているのでしょうか?

例えばあえて細かいところをいくつか書き出して見ますが、下記を全て独力でこなせるなら「即戦力」の可能性は極めて高いと思います。

・固定資産の取得と売廃却から、固定資産の棚卸までできる。
・未収未払といった決算調整の勘定も漏れなく処理できる。
・各種引当金他決算調整項目の会計と税務の調整もできる。
・事業所税、固定資産税といったマイナーな税目の申告納付もできる。

(↑今、業務上これらで悩んでいます…)

「あえて細かい」の例挙が上記なので、メインの「売上」「仕入」に関係するところや会計基準の新設、改正対応や開示関連業務はできて当然。

また、ここまでやったからには、当然に監査法人対応と税務調査対応もできないとダメと言われそうだと思います。

ここでいう「対応」とは、先方が要求した資料を持っていきました、レベルではなくて、双方の見解が一致しないグレー案件において、どちらも妥協できる着地点(相手の言い分のまま、ではない)まで自力で交渉をまとめられる、というレベル感でお願いします。

さらには当然に連結(決算だけではなく、「納税まで」だ)でも対応できないと、許してもらえないと心配です。

あと、金融機関との借入金や預金の金利交渉は外せない能力でしょうし、たとえ借入金がなかったとしても資金繰りなどの財務知識も必須。

んー、こんなスーパー超人いるのか???

いないよね。(あくまでも、入社2ヶ月でできる、が条件です)

とはいえ自分はともかく、後輩が「大企業の経理出身者は自分で決算一つ締められない」と言われてしまうのは指導係としてやるせない。

とりあえず、小さい子会社の経理業務全般を任せることで、その会社の経理関連項目全般へ関心を向けさせる指導をしていますが、これで例えば他社へ転職しても通用する経理パーソンになるのだろうか?という心配は残ります。

まあ答え合わせをする方法もないのですが…


上記の見解から都合の良い考え方を抽出すると、「幅広い経験を積んでおくことだ」という見方もあるかと思います。

結局のところ、人間が一定の日数のうちに経験できることには限りがあります。

浅い経験でも間口を広く取るか、深い経験を求めて間口を狭くするか。

「大企業の経理出身者は自分で決算一つ締められない」に対応するためにはどちらが良いのか?

私が後輩に実践している現在進行形の方針は、できるだけ多様な種類の取引に触れる経験を積むことで、未知の取引でも類似の取引などから自力で会計処理の理屈を構築できる人材になってもらいたい、ですが、うまくいくのかどうかはさっぱり分かりません。
正解の見えないオナヤミは続きます・

当シリーズの前回「連結決算担当者をどうやって育てるか(2) 「連結」をしたいわけじゃない」の最後、

「連結決算システム」と「エクセル化」がテーマだったはずが、すっかり論旨が違うところへ行ってしまいました…

次回以降、路線復帰を図ります。

と書いたことから、「連結担当者の育成と成長」という切り口で、「連結決算システム」と「連結エクセル化」について思うところを述べてみると、以下のようになりました。

==========================

経理部に配属されてきた、連結決算について勉強していたわけでもなければ、興味も関心もなかった人に、「仕事だから」を入口としていきなり連結決算業務をやっていただく…

ハードルは決して低くないと思いますが、一方で次の事情もあり、しっかり意義を説明すればモチベーションを上げられる環境にあるのは私にとっての救いです。

わが勤務先における連結財務諸表作成は、連結対象会社の数値入力から諸々の調整仕訳まで一人で完結させる、すなわち「ワンオペ」です。

ついでに言えば、会計監査対応も自力救済が求められます。

だから、自分がつくった数字や財務諸表が短信や招集通知に載ってそのまま世間へ出ていくので、けっこうやり甲斐があります。

そして同時に、自分が間違えたら会社として大被害をこうむることも理解できるので、責任感を感じてもらうこともできます。

こうしてモチベーションが上がったところに、月次決算でも四半期決算とほぼ同じ手続きで連結決算までやることで実践の場数も踏めば、半年くらいで特殊な処理(新規連結や会計基準の改正対応)以外はお任せできるようになります。

こういう新人の導入教育時には、連結システムの便利さを感じます。

システムベンダーさんによる新担当者向け教育サービスも期待できますし、そもそものところで、タテヨコの集計や、率を使った計算結果の正確性をシステムに依存できるからです。

こうした基礎部分をシステムに依存できるから、指導する側としてはデータ投入の前後の説明に注力できます。

会社側実務者として重要な作業は、いかにして必要なデータを集めてくるか、であり、ここがうまくないといかに会計の理論を知っていても実務者としてはあまり役に立たない…

またデータ投入後の次のステップで初心者にありがちなミスは、各社財務諸表データを投入してみたものの、利益剰余金の増減が一致しないとか、法人税等調整額や少数株主持分のプラスマイナスを間違えているとか、そもそも貸借対照表がバランスしていないとか、などなど。

会計士さんにしてみれば「なんてレベルが低いんだ」と思われるかもしれませんが、私が経験した限りでは簿記2級レベルの学習をしただけの連結未経験者には、ここから頭をぶつけて学んでもらわないといけない。

この学ぶ段階で連結システムの方が良いところは、上記のようなエラーは、エクセルによる連結決算(以下「連結エクセル方式」という)でも条件付き書式やIF関数等でエラー表示をすることもできますが、エラーつぶしの網羅性という観点から利用者が多い市販ソフトの方が期待できることでしょう。

また、新規連結や持分変動があった場合の入力方法や、表示の方法を含めた会計基準の改正対応といった部分も、市販ソフトの方が一定レベルの対応を期待できます。

結局のところ、連結エクセル方式の欠点は、作った人も使う人も限られていることから、新しい局面や人事異動による交代といった場合に、対応できないことでしょう。

連結担当者が交代するときに十分な引き継ぎ時間を確保できるのであれば、連結エクセル方式オンリーでも良いのですが、リスク度合いが高いように感じます。

とはいえ私は、新人さんが連結決算をシステムで「ワンオペ」対応できるようになったら、「システムから出てきたこの利益、正しいの?」みたいな質問をしてエクセルを使って自力で計算することを指示しています。

こうでもしないと人間、連結数値とは連結システムが吐き出すものと思うようになってしまい、その数字が天から降ってくるものであるかのように考えてしまうのです。

システムに依存しすぎると、自分が作っているものが何なのか、分からなくなってしまうんですね。

ドラマ「下町ロケット」で、阿部寛演じる社長が言っていた「手作業をすることで気付きがあり、その場で手戻りができる」、これは「連結エクセル方式」で得られる貴重な体験です。

そしてこういう体験をしておかないと、第1回で書いた通り、連結システムの連結繰越仕訳ボタンをクリックして出てくる翌期の開始仕訳を解読できない人材になってしまう…

私の実務経験からすると、連結システムから出てきた数値を検証できるようになるためには、システムから出力された数字をなぞるだけではなく、結局は自分でエクセルを使ってシステムと同じ数字を作れるくらいの練習が必要になると思うのです。

そうこうしているうちに、「エクセルで連結決算できるから、システムいらない」と考える、「連結システムから連結エクセル方式」へ、という気持ちになることははすごく分かります。

パッケージものゆえに連結システムは融通が利かない、でも、自作のエクセルファイルならいくらでもカスタマイズが可能。

しかも「連結エクセル方式」はシステム保守料が不要なので、劇的にコストダウンができてしまう…(これは従業員経理部員にとって、社外の人からは想像ができないくらい、とても魅力だ)

ただこれにはサイクルというか波があって、先ほど書いたような弱点が「連結エクセル方式」にもあることからいずれ行き詰まり、「やっぱり連結システムにしよう」という流れが起きることになることでしょう。

そしてその次は…

実務への理解を深めるための「連結エクセル方式」と、スピードと安定運用に強い「連結システム」、この両立は、連結決算担当者を育てるうえで避けることのできないオナヤミなのだと思います。

==========================

話は「連結エクセル化」から逸れていきますが、もうしばらく、「会社側経理実務担当者の育成」というテーマのオナヤミを書いていきます。

「連結担当者の育て方」シリーズの最中ではありますが、どうせこの連休の谷間の日、わざわざこちらへお見えになる方も少なかろう、ということで読書ネタです。

「感想文」と題するほどではなく、読んで面白かった本の面白かった部分だけご紹介します。

==================

さて私、どうもつき合いが悪いもので、飲み会に行ってもたいてい一次会で帰ってしまいます。

単純に酒に弱いのと、夜寝るのが早いだけなんですけどね。

23時から次のお店に行く人たちの気が知れない…

とはいえ、二次会以降もエライ人と一緒に行った方が出世するのではなかろうか、と悶々と暮らしているのも事実。

そんな私に「福音」と思って飛びついたのがこちら↓

『出世する人は一次会だけ参加します』 平康慶浩 日経プレミアシリーズ

タイトルからして私の問題意識に答えてくれているのですが、本書の内容は、会社の性質からそこで求められる振る舞い等々、幅広くサラリーマンの疑問に見解を表明してくれる参考書でした。

現実は本に書いてある通りに進むのかは分かりませんが、たくさんの会社や人のコンサルを経験してきた著者の見解を、あえて無視する必要もないでしょう。

そんな本書の中で、おおっ、と思ったのがこちら。

多面性評価の特徴は、しっかりした評価者研修を受けていない人に評価を依頼する点にある

そのため、印象が評価に影響する傾向が強くなる

だから普段から印象が良くない人は、多面評価でも結果が悪くなりやすいのだ。

わが勤務先でも一部で導入されている多面評価。

引用したような特性があるんですねえ。

私、「日ごろの行いが大事」と思っているのですが、まさにこういうところで効いてくるとは。

組織に雇われている限り、「仕事ができていればいいんだ」、だけではないんですね。

上記の多面評価の特徴は、さりげなくわが同僚たちにもお知らせしてあげたいものです。

先週なんとなく思うところを書き始めた題記の件、どうしてこんなことから悩み始めるのかと言えば、そもそも勤務先が経理部門配属希望者をあえて採用しているわけではない、という採用方針に行き当たります。

わが勤務先でも中途採用においては勤務部門や入社後の業務を特定して求人しますが、今のところこちらは例外。

原則は新卒一括採用で、その後OJTにて戦力へと各部門が育てることになっています。

良く表現すれば、社員はまず会社の本業であるところの「産業機械屋さん」であり、その先に専門性があるという建て付けです。

理念としてはいいけども、デメリットはとにかく育成に時間がかかる、というところでしょう。

採用の前提が、ポテンシャルと人柄を重視であって、配属後の担当業務に見合った学部学歴ではないのです。

こういう前提において一括採用した新人さんの中から、人事部門が過去の経験などから目利きし、ご本人の意向をある程度尊重したうえで、数年に一回、わが経理部にも新人さんを配属いただいています。

こういう事情ですので、「経理」自体を嫌悪して配属されてくる人はいませんが、一方で経理について経費精算業務や集計業務のイメージはあっても、連結決算業務までイメージを持っている人はまずいない。

すら尊師もよくぼやいていたけども、どうやって育てたらいいのやら。

経理実務能力をどうやって身につける?(上場会社向けです。)


私が接してきた過去4人の経験で言えば、人事さんの目利きが良くてみんな優秀だったので、連結決算手続きは数ヶ月のうちにマスターしてくれました。

そして優秀だったことから、一人を残してあとはみんな他所へ行ってしまいました…

心残りは、ひたすら事務処理の効率化や連結決算システムの有効活用を教えるにとどまって、会計基準の背景や会計処理を実施するに当たっての論理構築経験までを伝えきれなかったことです。

とはいえ、どうして他所へ行ってしまうのかを考えれば、会社において理屈っぽい人は一人いれば十分であり、若くて手が早い有望な人は引く手あまたで早々に引き取り手が現れるから。

誰にも拾ってもらえなかった私 orz

弊社では、今もまた新たに連結決算担当者を育てようとしているのですが、今回の取り組みが新しいのは、私が教えるのではなくて、私が過去に教えた人(唯一当部に残った一人だ)が教える側になる、ところです。

言うなれば、私(おじいちゃん)、過去に教えた人(子)、いま育成中の人(孫)みたいな関係でしょうか。

子が孫に教える中で、おじいちゃんである私が子へ伝えられなかった彼自身の不足部分に気がついてくれたなら、と願っています。

そして何より、おじいちゃんとして私がどう振る舞うのか、偉そうな言い方をすれば「スポンサーシップの発揮」という新しい立ち回りが求められていることを感じるのです。
以前からの「どうやって育てるか?」に答えが出せていないのに、さらに問いが増えたよ…

==========================

「連結決算システム」と「エクセル化」がテーマだったはずが、すっかり論旨が違うところへ行ってしまいました…

次回以降、路線復帰を図ります。

決算の度に毎回、ご説明資料を作成するわけですが、エライ人たちのスケジュールと曜日の巡りによって、納期が2,3日前後に動きます。

今回の決算はこの組み合わせがなんだか悪く、延延と過密日程が続いているようで、少々お疲れ気味です。

とはいえ、以前から思うところがあったテーマ関連のブログ記事を読んだので、時間が経ちすぎないうちに書いてみることにします。

「思うところ」にヒットしたのはこちら↓

CFOのための最新情報 : 「連結エクセル化」のメリット


「思うところ」というのは、「連結エクセル化」の是非ではなくて、タイトルの通り企業は、企業は「連結決算担当者をどうやって育てるか」という問題意識です。

この問題意識に対応する中で、連結担当者の養成過程として「連結エクセル化」が有効であることを私も経験しました。

だから、「システム → エクセル」という流れは自然に理解できます。

現在において、新規に連結決算を始める会社でない限り、連結決算業務の引き継ぎというのは、後任者は前任者から連結システムの操作方法を教わり、後任者は材料をシステムに投入すれば連結財務諸表を出力できる、が一般的かと思います。

でもそれはシステムの操作方法を知っただけであり、連結仕訳の意味まで学んでいないと、その後がぐちゃぐちゃになっていきます。

上記ブログでいうところの「資本連結がカオス」という状況は、連結仕訳の意味が分からない人が年度繰越をすれば必ず起きることであり、それが2,3年続いてしまったら、まさにブログにあった通りの解読作業がいずれ必要となるのです。

まず認識しておくべきことは、連結システムはなんらかの工夫をしておかない限り、投入された連結仕訳の意味を理解できないということです。

だから、何の手だてもせずに年度繰越を実施すると、翌年度の開始仕訳は各勘定科目ごとに集計してまとめて出力してきます。

免疫なしに、自動出力の開始仕訳をみると、第一声が「なんやこれ」なのは、たぶん各社共通です。

そのため実務上は、開始仕訳に、例えば借方残で利益剰余金が出てきたとしても、その発生源(未実現利益の調整や税効果の調整などなど)を分析し、分解して管理しておかないと、いずれ「カオス」な状況になるのです。

ところがこの「分析、分解」(ブログで言うところの「手修正」)を実施すべき時期は、新年度の月次決算が始まる時期(4月末から5月始め)であり、新年度の配賦基準等を作りつつ、前年度の短信や有報を作ったり、税務申告書を作成したりと大忙しの時期と重なってしまいます。

ましてや担当者が連結業務を引き継ぎたてで、連結決算の知識も経験も不足している場合にはどうなるか…

「カオス」、「カオス」(大事なので二回言いました)ですよ!! 。・ㅅ・)ノシ バンバン

ここで私が約20年前に同様の「カオス」な事態に陥りそうになったときのことを書けば、端的に言えば監査法人の会計士さんたちが助けてくれました。

※なお、弊ブログの影の主人公であるB型会計士氏は、その当時高校生だったはずなので、監査法人にはまだいませんでした。

今から思えばあの当時(いわゆる「連結ビッグバン初年度」)は、決算発表は連単別日程で余裕があったし、監査自体もたとえ決算時期であっても17時には終わって、会計さんたちは会社から立ち去っていました。

だから会社での監査終了後、私が監査法人の事務所に押しかけて一緒に考えてもらうことができたのです。

こんなこと現在の監査日程ではそもそもムリですし、また事務所が会社から10分という好立地も珍しい、これらの幸運に恵まれたに過ぎません。

さらに付け加えるなら、連結決算システムのベンダーさんも会社から10分圏内だったので、会計士さんから教えてもらった内容をその足で入力方法を教えてもらいに行く、という対応もできました。

こういう自分が学んできた道をふり返り、現在の新人さんに同じようなことの実践を要求できるかと言えば、ムリだなあ、と思います。

この私の経験の前提には、そもそも社内に教えてくれる人がいなかった、という状況があるのですが、現在は教えるべき立場に私がいる…

連結担当者育成のオナヤミを、しばらく続けます。

↑このページのトップヘ