制度会計対応現場のオナヤミ

会社側目線で見た、金商法、会社法、税法、内部統制、IFRSなど、制度会計の現場を書いていきます。 ネタがなくなると、読んだ本の感想でしのぎます。 原則火曜日更新です。

あるのかないのか分からない材料を探して、社内を歩き回る。

残念ながら現実は、ボールを投げつけても情報はゲットできない。

自分で網を振り回して捕まえるしかないのでしょう。

もうしばらく、原則週イチ(火曜日)更新でがんばります。

前回最後にこう書きました。

今回ご紹介したのは本書の中で、経費精算業務に係るところばかり。

すこし「経理」業務から離れた部分にも興味深いところがありました。

書ききることができたなら、土曜日の臨時更新でここをご紹介できればと思います。

と、目標を書いてみたものの、結局土曜日に書ききることができず、本日公開です。

材料はこちら↓から。

『経理部は見ている』 楠木新 日経プレミアシリーズ

P.37

経理担当者たちは、どちらかといえば縁の下の力持ちである。 少し話はズレるが、ビジネス書を担当する編集者に聞くと、組織で働くビジネスパーソンが持ち込む企画で一番多いテーマは営業だという。

これは誰にでも想像がつく。そして人事に関するものは、学者やコンサルタントが中心で、会社員ではほとんど書く人がいない。そしてもっとレアなのが経理部の社員が書いた原稿だという。

金銭を扱う際に求められる高いコンプライアンス意識に加えて、経営に関わる数値を扱っていることもあるのだろう。

実際の経理関係の書籍は、公認会計士や税理士などの外部の専門家が中心で会社員が著した本は非常に少ない。


会社側で本を書く人として、私が知る限りでもっとも著名な方は、金子昭さんだったと思います。

「だった」のは故人だからです。

また、金子さんは取締役だったことを考えると、上記引用の「会社員が著した」という範疇から外れるのかもしれません。

とはいえ、それくらい会社の経理の人が本を書く、というのは珍しいことなのでしょう。

本だけでなく会社員による「経理ブログ」も少ないし、始まったと思ったら続かないことも多いです。

いま私が応援したいのはこちら↓

経理の仕事.com

実務の参考になる良ブログですので、ぜひ続けていただきたいものです。

さて、どうして経理の人が、本を著すこともなければ、ブログも続かないのか?

これは想像するに、

・自分のやっている仕事に普遍性があるのか分からない

転職したことがない人はやっている業務が、自社特有なのか世の中共通なのか判断がつきません。

転職して複数の会社経験がある人は、ポジションが高くないから面白いポイントが分からないか、あるいは高くなりすぎていると忙しいので文筆活動をする気分になれないのでしょう。

こういう点では、複数の会社を同時に見ることができる会計士さんや税理士さんの方が、様々なケースを体験できるので、説明するべきポイントを抑えることができる優位性があります。

さらに言えば本を買う人も、エッセイならともかく実務書を選ぶのであれば、「ノーライセンスよりは資格を持っている方が」と考えることは理解が難しくないかと思います。

実際には資格がなくても制度や実務にメチャ詳しい人がいるのは事実ですが、あくまでも「出版」という商業ベースの話になると、いろんな制約が出てくるのは仕方のない話です。

・意外と書くことがない/書けない

経理仕事のうち経費精算などの大半は、単調でさほど変化があるものではありません。

また事件的なことがあったとしても、書いていいこと悪いことの判断をすれば、やはり書けないことの方がほとんどです。

こうして私ブログを書いていますが、書いてあることのほとんどは「新制度への対応」か「読書感想」であって、社内の個人にかかわること(経費精算とか)は面白くても書けないのです。

また、ブログを書いていることを自分から話すことがほぼ無いのは、やはり「経理の人」として信用を考えた時にメリットがあるとは思えないからです。

自分が社長の立場で、部下の経理担当が「仕事日記ブログ書いてます」って言ったら、「アップする前に見せてね」くらいのことは言うでしょう。

このようにいろいろな制約があるので、意外に書くことがなくなってきます。

気楽なブログですらそうですから、書籍となるとなおさら…

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逆にいえば、上記の論点をクリアすれば希少性とあいまって、出版までたどりつくことは難しくないのかもしれません。
(ただし「売れる」とは一言も言っていないことに留意)

面白い材料をお持ちであれば、取り組んでみてはいかがでしょうか?、と無責任に煽って当記事は終わりとします。

twitterのどなたかのツイートで、興味深いタイトルの本が出版されることを発見しました。

『経理部は見ている』 楠木新 日経プレミアシリーズ

著者の楠木さんといえば、以前にも感想文を書いたことがあります。


【読書感想】 『知らないと危ない、会社の裏ルール』

上記エントリーが2015年3月ですから、今から1年半前… ずいぶん昔のことのように感じます。

それはさておき、楠木さんは経理の人ではないものの、人事畑で磨いたサラリーマンへの観察眼と経理実務者への取材によって、すばらしい内容になっています。

別のところで書いた本書の感想で述べたのですが、本書は経費精算を切り口に、会社員の生き方や習性を論じます。

これを私のような経理どっぷりの人間が書くと、「毎日毎日銀座や中洲へ行って楽しいのかね」、とか、「晩御飯は経費で食べるものなのかな?」で終わってしまうのですが、その先を行くのが楠木さんです。

そんな領収証や請求書を経費精算する経理の人がどう見ているか、また現場は経理に経費精算を認めてもらうためにどう証憑を作ったものか、を約200ページに渡って書いてあります。

それも一切の不真面目要素なく、読者の好奇心や興味を逸らさないようにしながら。

私としては、本書の意義は上記の通り最大限に認めるものの、一方でこちらの手の内が知られたり、あるいは悪の知識だけを吸収してしまう輩が出てくるのではないか、と思うと複雑な気分です。

いずれにせよ、本書が新書で出版される時代になった、ということは社会の進歩というか、経理知識の価値が出版されるまでに認められた、ということで喜びたいと思います。

と、前書きが長くなりましたが、いつものごとく本書の興味深い部分をご紹介しましょう。

・経理部を試してみる

P.105 経理部を試してみる

経理規定やルールの隙間を探す人たちは、提出した書類を経理部がどのように見ているのかについても高い関心がある。

(中略)

ある週刊誌の記者は、経費の精算時にいつも自分なりのシナリオを描いているという。「地下鉄での移動途中で、車に乗って駐車場代を請求するのは奇妙だと思われるだろうか」とか、「交通費は個別の区間間と金額だけを見るのか、それとも一日の行動の流れをシナリオのように見るのか」、あるいは「何も見ていないのか」が疑問だったという。

(中略)

彼は何食わぬ顔で、同じ区間なのに行きと帰りが異なる金額の旅費申請書を提出した。数日して経理担当者から「行きは特急に乗車して、帰りは普通電車しかなかったので金額が安くなっているのですね」という電話確認が入った。

この担当者の電話を受けて、経理部は出張の区間と金額はまったく見ないわけではないこと、おかしいと思えば時刻表まではチェックするということが確認できたという。

私も実務をしていて試されているのか?、と感じるシチュエーションは多々あります。

同じ金額がずらーっと続く中に、一つだけ違うのが混じっている(1,969の中に一つだけ1,869みたいなやつ)とか出てくると、試されているのかただの悪意なのかと勘ぐります。

上記引用のようなケースはあえて確かめる必要があるのか、という気もしますが、状況によっては牽制球的に聞いてみることもあるでしょう。

我々は日々、試されているのです。

・経理部には、操作する権限も強制力もない

経費の記帳は、税法などの法的制約への対応だけでなく、予算管理などのパフォーマンス測定にも対応する必要があります。

そのため、よく分からないものについては、うっとおしがられても手間を惜しまずヒアリングを実施せざるを得ません。

P.55 経理部が「うるさい」のには理由がある

税務署と経理部については、もう一つ大きな違いがある。それは会社の経理部には、操作する権限も強制力もないということだ。

税務署であれば、調査に入った会社で、「この領収書は怪しい」「きちんとした申告が行われていない可能性がある」と判断したら、関係する銀行や取引先の会社に対して取引内容を確認する、つまり「反面調査」をすることもある。

しかし経理部では、そうした裏付け調査まではやらないのが普通だ。税務署のように、(実質的な)強制力があるわけではない。「反面調査」のコストや副作用を勘案してそこまで踏み込まない。

(中略)

営業部と経理部の担当者とはソリが合わないことが多い。経理部は「冗費を使っているのではないか」と疑い、営業部には「会社の利益に貢献しているのは自分たちだ」という自負がある。先ほど紹介したとおりだ。

いずれにしても経理部と営業部がある種の緊張関係にあるのは会社としては健全な状態だ。経理部が何も言わなくなれば、社員に歯止めがなくなり、残念な結果を招くこともある。

誰からも見られていない状況で、常に適正にお金を使い、管理できるほど人は強くないからだ。経理部にできることには限界があるにしても、やはり、うるさくなければならないのである。

最後の一文がすべてなんだと思います。

100%オーナー会社のオーナーでない限り、会社従業員が使っているお金は人のお金。

自分のお小遣いではないのです。

でもそれが分からなくなる人が出てくるから、経理担当が会社の自浄機能として活動することが求められているのでしょう。

「利益に貢献している」ではなくて「分からなくなる人が出てくる」、ここがポイントなのだと世間の皆様には知っていただきたいものです。

・入り口、出口の両面の対応が求められる

私が業務の中で、いま取り組んでいることに関連する内容だったのがこちら.。

P.211 監視される目がなければ、人間はお金に弱いもの

その意味でこれまでに見てきた経費審査の観点からマネジメント面の課題も見えてくる。

一つは、適正な予算付与である。支出額に見合った予算を付与しなければならない。与えられた予算が多すぎれば、消化しないと次年度の予算が減らされると社員は考える。このため、社員の経費の使い方は派手になる。接待経費を消化するために社内のメンバーと飲食していた例も紹介した。

経理部がいろいろ指摘しても、使える予算があれば冗費を削ることは困難だ。また経費を消化するために規定やルールを何とか乗り越えようと工夫を凝らすことになりがちだ。

逆に、必要な額に対してあまりにも予算が少ないと、組織の活力がそがれるだけではなく、他の費目からの流用など、不適切な取り扱いが生じないとも限らない。そういう意味では予算立ては重要である。経費の出口チェックだけでは限界があるのだ。

基本はマネジメントの問題であり、入り口、出口の両面の対応が求められる。

言うなれば、「経費精算」は出口です。

出口でいくら査定をしても、使ってしまったものは返ってきません。

だから予算を設定する段階で「それは何を目的としておいくら使いますか?」を明確にすることで、良からぬことを考える隙間を残さないことが、勘違いする人間を生み出す不幸を防げるのかもしれない、そう考えています。

相手も同じことを考えているのかどうかは分かりませんが、やはり同じ会社で働いた同じ雇われの同輩として、不祥事を起こすことなくみんなが笑顔で定年を迎えられたら、そう願って業務に励みます。

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今回ご紹介したのは本書の中で、経費精算業務に係るところばかり。

すこし「経理」業務から離れた部分にも興味深いところがありました。

書ききることができたなら、土曜日の臨時更新でここをご紹介できればと思います。

前回、「意外に難しい」と繰り返したのですが、自分で読みかえしてみたところ、何が難しいのかさっぱり伝わらない…

ということで、国税庁のサンプルにケチをつける気は全くなくて、「これにちょちょっと手を入れたら完成だ」と安易にお考えの方に水を差しておこう、という趣旨でサンプルがそのままではどうかという部分を書き出してみます。

・サンプルには前提がある

まず、そもそものサンプルはこちら↓にあります。

電子帳簿保存法Q&A(平成27年9月30日以後の承認申請対応分)

問63 当社は、代表取締役とその妻が経理部長を務め、2人で製品製造販売を営んでいる同族法人です。この度、国税関係書類(請求書、納品書、見積書(控)、注文書)のスキャナ保存を始めようと考えていますが、規則第3条第5項第4号(適正事務処理要件)に規定する「次に掲げる事項に関する規程」とは具体的にどのような規程を整備すればよいのでしょうか。


ついでなので、サンプルへのリンクも貼っておきます。

ここで大事なのは問の出だしに、「当社は、代表取締役とその妻が経理部長を務め、2人で製品製造販売を営んでいる同族法人です」とあることで、あくまでもこの設定に沿ったサンプルになっているのです。

ですので、社長がいてその下に営業部や製造部や経理部などの部署があって、経理部員も二人以上いる、という組織体がある場合には、このサンプルは設定が合わないのです。

たとえば、「事務分掌細則」の第1条(相互けんせい)は、業務分掌(取引する人と記帳する人は分かれているということ)がなされています、ということは分かるものの、それだけでいいの?という気もします。

「当社は、代表取締役とその妻が経理部長を務め、2人で製品製造販売を営んでいる同族法人です」という設定であったとしても、「その妻」は経理以外一切しない、と言い切れるのかどうか。

言い切れなかった場合どうする、という次なる論点が生じます。

サンプルがぴたっとはまればそのまま使えますが、「なんか違うなあ」と感じてしまったら、実情に合ったものを作らざるを得ないのです。

・検査は誰がする

次に、事務分掌細則の第2条(定期的なチェック)では、事務処理の内容を確認するために定期的に検査することになっています。

その検査を誰がする?という問題がついて回ります。

サンプルは、顧問税理士が検査するように暗に書いてありますが、では読者のみなさんの会社さんの場合はどうします?

税務申告書まで作ってくれる顧問税理士さんの会計事務所がついているのであれば、申告業務のついででお願いできそうな気もしますが、自社で申告書まで作ってる場合には、頼れる人が意外にいません。

経理が自分で検査をやっては意味がないような気がしますし、内部監査部門に依頼したとして、単純な業務増加を快く受けてくれるのかどうか?

また顧問税理士さんがおらず、内部監査部門も存在しない場合には、社内の人間は全員なんらかの関係者だし、いよいよ困ります。

ここでも、やはり何らかの工夫が必要なのです。

・スキャナの設定はできているのか?

なんだかんだ言いながらも、上記の論点については、組織内の対応と作文能力でなんとかすることが可能です。

ところが自力ではどうにもならなさそうなのが、「スキャナによる電子化保存規程」の「第3章 機能要件」や「第4章 機器の管理と運用」です。

例えば、電子化文書の作成について、第7条1項2号では次のように述べています。

二 階調性の確保 画像の階調性を損なうような画像補正は行わない。

自分でスキャナを買ってきた場合、スキャナが自動設定で上記のような補正を行っていないことを、どうやったら確認できるのか?

「プロパティのこの「画像補整」のタブを押して、「設定」をクリックして出てきたウィンド内の各項目に、どこにもチェックが入っていないから大丈夫です」と言い切れればよいですが、はたして…

同じような話はこちら↓にも。

第10条1項2号では、電子化した文書を見るための表示装置の能力を次のように定めます。

二 表示装置の階調 赤、緑、青の各色256階調(24ビット/ピクセル)以上の能力を持つ表示装置とする。

自社で用意している表示装置(一般的にはPCの画面のこと)は、上記の階調を満たしていると自信を持って言い切れるのか。

まあ今どきここで問題になるディスプレイを使うことはないと思いますが、もしこの性能が論点になってしまったら、意外に立証できないかもしれません。

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これらのように、親切なサンプルがある反面、サンプルが最低限を設定してしまった現実もあります。

分からないから自分ちの規程からは消しておこう、と消したとしても、それを税務署が受け入れるかどうかは別の問題。

税務署から「最低限、サンプル程度のことは書いてください」と言われたら、「イヤです」とは言いにくいでしょう。

これらから、「規程を作るのはサンプルを参考にするから大丈夫。後回しにしよう。」という考え方が危険なことをご理解いただけるかと思います。

規程を検討する時間も確保しておくことが肝要なのです。

世の中、景気の良いところは良いそうです。

厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか) 「米国は利上げするのか?(無責任な雑感) 」


ところが私の勤務先にいると、不景気の風をヒシヒシと感じます。

不景気の直接要因は見当がつくのですが、それへの対応方法は何もない…

とはいえ何もしないわけにもいかないので、できそうなことへの対策対応へ駆り出され、八つ当たり的に活動しています。

流れ弾にあたってしまった社内のみなさん、すいません。

さて、いわゆる「スキャナ保存」は、所轄税務署へ「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」を提出し、承認されれば実施できるとされています。

「されています」と弱気なのは、私まだ申請書を提出していないから…

近々提出する予定の覚悟であります、ということで当シリーズ初回にも書きましたが、以下は現在進行形部分が含まれていることにご留意ください。

さてさて、税務署へ提出する紙は「承認申請書」とその添付書類ですが、他に「スキャナ保存」を実施するためのルールを定めておく必要があります。

これは、「スキャナ保存」を導入するためには、「適正事務処理要件」と呼ばれる要件に従っていることが条件となっているからです。

条文で言えば、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿の保存方法等の特例に関する法律施行規則」の3条5項にいろいろ書いてあります。

もし、従来からの業務が「適正事務処理要件」通りになされているのであれば、特に悩むことはありません。

しかし普通の人は、今まで「紙でのみ保管」していた証憑を、「電子化して保管する」に改めるわけですから、やり方がすっかり変わってしまうはずです。

そのため、実務者たちが「適正事務処理要件」通りに実施することを定めた規程を、承認希望者は用意することになります。

とはいえ、条文が言っている内容を、適正に文章化しようとすると、意外に難しい。

どのくらい書けばいいのか、どこから書けばいいのか、そもそもどんなスタイルで書けばいいのか、途方に暮れてしまいます。

ところが、今回の制度が新しい、と感じるのは国税庁HPの当該制度に係るQ&Aに、規程の例を用意してくれているのです。

電子帳簿保存法Q&A(平成27年9月30日以後の承認申請対応分)

問63 当社は、代表取締役とその妻が経理部長を務め、2人で製品製造販売を営んでいる同族法人です。この度、国税関係書類(請求書、納品書、見積書(控)、注文書)のスキャナ保存を始めようと考えていますが、規則第3条第5項第4号(適正事務処理要件)に規定する「次に掲げる事項に関する規程」とは具体的にどのような規程を整備すればよいのでしょうか。


ここに、規程の「例」としてサンプルのPDFファイルが置いてあります。

国税庁のHPに置いてあるくらいですから、もし事業の規模や体制がぴたっとはまるなら、このサンプルをそのまま使えばなんら問題はないのでしょう。

サンプルは、以下の三つの文書で構成されています。

・適正事務処理規程
・事務分掌細則
・スキャナによる電子化保存規程

この三つの文書の関係は、Q&Aの問53に対応しているものと思われます。

問53 規則第3条第5項第1号ロに規定する「各事務の処理に関する規程」、同項第4号の「適正な実施を確保するために必要な体制及び手続に関する規程」及び同条第6項の「事務の手続を明らかにした書類」との違いは何でしょうか。

で、「まあこのサンプルに少し手を入れれば何とかなるんだろ」と軽い気持ちで作業に取りかかるのですが、これもまた意外に難しいのです。

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と、ここまで書いて時間切れです。

次回に続きます。

変わった台風のせいで、この記事の公開日はどうなってしまうのかさっぱり予想がつきませんが、今日のお題はこちら↓

7月22日開催 「企業会計審議会 第4回会計部会議事録」

世間のIFRS適用状況や、各種団体の取り組み状況を報告し、コメントする会議になっていました。

なんらかの課題に対して意見をぶつけ合う場ではなかったので、あまり面白くないと言えば面白くない議事録です。

とはいえせっかくですので、いつものごとく三点、ピックアップしてご紹介します。

・中国としてのれんの償却に賛同する

経団連の方から、IFRSに対して「のれんの償却」と「純利益・リサイクリング」を問題視していて、IASBへ繰り返し問題提起しているという報告がありました。

<野崎委員>

これらの問題につきましては、地道に繰り返し日本の考え方を伝えるということで、仲間を増やしていくということしかないのかなと思っております。伝え聞きますに、この前のASAFの会議では、中国がのれんの非償却により、膨大なのれんがたまっている、その一方で減損による費用化が著しく少ないという問題意識をお持ちで、中国としてのれんの償却に賛同する意見を述べられたということも伺っておりますし、FASBの委員の半分ぐらいの方ものれんの償却に賛成という話もお聞きします。欧州でも償却に前向きな国もあると伺っておりますので、そういう地道な取組みというのは非常に大事だと思います。

非償却派の方々の意見も聞いていますと、定時償却を否定する十分な根拠があるとは、あまり私自身は感じられないなと思っております。むしろ滞留した過去ののれんは償却したくない、償却ということで否定をされている、非常に多額ののれんを抱えていらっしゃる方が減損から償却に急に切りかえますと、自己資本が大きく毀損してしまう、というようなこともあろうかと思いますので、そういう意味では、何らかの激変緩和措置のようなものが提案できれば、償却への賛同も得やすいのではないかなという議論をいたしております。いずれにしても、経団連としましては、今後ともそういった国際的な意見発信に協力させていただきたいと考えております。

「何らかの激変緩和措置のようなものが提案できれば」という表現に現実味を感じます。

「移行期間」中の財務諸表をどう見るかは悩ましい問題ですが、180度の方向転換を図るのであれば、我慢する期間の存在を受け入れないと話が進まない。

何であれ、考え方を変えるためにはある程度の寛容性が必要なのでしょう。

・「IFRS適用企業が多ければ、日本が再興する」?

辻山先生が、IFRS適用に向けての冷静な発言をされています。

<辻山委員>

本日の議論も、再興戦略に書かれているからということもあるわけですが、これもそもそも本来のゴールは、やはり日本市場により上質な情報を提供していくということが最終的なゴールになるはずで、ここでは本来その問題を議論すべきであって、日本基準からIFRSにスイッチさせることがそれに適っているのかどうかという点を忘れてしまうと、IFRS適用企業が多ければ、日本が再興するという、こういう短絡的な話になってしまいます。いつの間にか、IFRS適用企業を増やすこと自体が目的化してしまうことになってはいないか、ここはやはり非常に重要な点かなというふうに思います。

(中略)

申し上げたいことは、日本基準からIFRSへスイッチすることが、我々が目指すべきゴールに本当に適っているのかどうか、それが適っていないとしたら、適うような内容のIFRSにしていかなければならないということで、人材プールとしては、IFRSに対しても批判的な意見発信をできる人材、IFRSを熟知している人材というよりは、むしろそういう面での人材プールこそが必要なのかなと思います。

IFRSを熟知して企業会計に反映させることができる能力と、ルールそのものに疑問を感じて批判する能力は、たしかに別物。

世の中には、おかしなルールでも「ルールだから」という理由だけで、なんら疑問を感じず遵守する人はたくさんいます。

「批判する」人材育成担当の方は、それはそれで面倒くさいことになるかもしれませんが、ぜひがんばっていただきたいと思います。


・お金にならないことは誰もやらない…

<弥永委員>

私は大学で教えさせていただいておりまして、人材のプールが必ずしも十分であるようにはみえないというのは本当に私たちの責任でもあると思います。ただ、どのような人材が必要なのかを必ずしも学生は認識しておりません。例えば、この審議会でしばしば話題になる、国際的に発信していく能力、あるいはIASBなりに人材を送って、発言をし、日本の主張を伝えていくというような活躍の仕方があるのだということは、あまり学生にとっては知られていないように思います。

そこで、このような人材が必要なのだということ、そして、このような活躍の道があるのだということを、私ども大学で教えさせていただいている者も、学生に伝えていきたいとは思うわけでございます。しかし、人材プールをつくっていただくと同時に、このような活躍の方法があるのだということを、ぜひ、企業あるいは日本公認会計士協会その他さまざまな方々が、もう少し発信していただく、目立つ形にしていただけると非常にありがたいと思いました。

下世話な話ですが、「このような活躍の道」に進むんでも経済的にも報われる可能性があることを、アピールする必要があると思います。

人材プールの中の人が、どうやって生計を立てるのか見当がつきません。

今回の議事録を読んでいる限りでは、会計士さんを想定しているように見受けられますが、生涯をIASBへの折衝業務で暮らすのでなければ、帰属する監査法人なり個人事務所で収入を得る必要があります。

「お金はいいから日本の主張を伝えたい」という聖人君子が現れれば良いですが、人材の継続性が期待できません。

優秀な学生さんに認識してもらうためには、それなりに報われるモデルを業界が準備しないと、手を挙げる人はなかなか出てこないでしょうねえ。

金融庁HPにて「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会(第1回)」が公表されていました。

本件については、こちらのサイトにてすでに紹介されています。

会計ニュース・コレクター 「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会(第1回)(金融庁)」  


CFOのための最新情報 監査法人は「ノーペーパー、ノーワーク」の兆候/第1回「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」議事録より


ここでさらに内容をご紹介するのは屋上屋を重ねるようではありますが、私は会社側の人間。

監査法人とはあまり関係のない視点からの見方も役に立つはず、と自己暗示して書いていきます。

さて、監査法人のガバナンス・コードを論じるにあたり、有識者の方が話をするときに持ち出すのが先行しているコーポレート・ガバナンス・コードの状況で、こちらへの対応も「まだまだですなあ」といったお話があります。

会社側の人間としてはこういった話を聞かされると、「評論する側の人はいいよね」とやるせない気持ちになります。

これからコードを作る監査法人の人も大変だなあ、と先行きを心配するほかありません。

・「従ってない場合には説明すれば事足り」ない?

とはいえ、コンプライとエクスプレインの次のお話は気になるところです。

八田先生
スチュワードシップ・コードもコーポレートガバナンス・コードもコードという形で、イギリス型の遵守すべき指針ということで導入されたものです。ただ、日本ではコードという言葉自体については、今では、企業関係者の方の間では日常茶飯事に耳にしますけれども、皆さん、本質的な意味がわかっているのだろうかと疑問を感じています。あるいは意識のレベルですが、おそらくコードはソフトローと称すべき範疇のものなのか知りませんが、法律や規則、基準よりは規範性が低いということで、コンプライ・オア・エクスプレインなのだと説明されているようです。しかし、私が知る限り、例えばイギリスのロンドンのシティーで策定されているコーポレートガバナンス・コードについては、実は制定法よりも厳格な適用が求められているということです。つまり、コンプライ(遵守)することが大前提にあって、エクスプレイン(説明)するという場面というのは、例外的な場合しかないということです。ただ、日本の場合には、コードを「遵守しなさい、さもなくば、説明しなさい」ということから、従ってない場合には説明すれば事足りるということで、非常に安直なといいますか、気楽な捉え方をしているのではないでしょうか。

本質的なところを言われてもも、そもそもイギリスの人たちと日本人の思考経路も文化的前提も違う中で、同じ名前の「コード」と付けただけなんだから、それはやはり人々の受け止め方も違うのではないかな、という気がします。

「彼の国ではこうだから」と言ったとしても、あまり説得力がないのだと思います。

・みんなそう言う

議論の中で有識者のみなさんは、コードの設定によって、監査法人へ窮屈な指導が行われることを懸念します。

それに対して、事務方から次の表明がありました。

池田総務企画局長
我々は、別に当局が管理しているから画一的でなければならないとも思っていませんし、また、ある意味当局が監督をしますので、非常に柔軟なつくりでプリンシプルをつくっていても、どうしてそういう考えでその監査法人は運営されているのかということを個々に監査法人と対話をしていくことが十分可能なので、その対話の出発点としての1つの目安というものが存在していれば、決して画一的な運営にはなることなく、当局と監査法人の対話にも資するものになりうると考えているところです。

みなさん制度設計の段階ではそう言うのですが、実際に管理対象のうちから不心得者が出てきた不祥事を起こした次の瞬間から、というのはありがちな話。

事件が起きた時に、当局も「非常に柔軟なつくり」の志が問われることになるのでしょう。

・「もう監査は嫌だと言って相談に来る」

教育者の立場から、八田先生がこう嘆きます。

八田先生
ただ、私ども教育の現場にいて2つのことを感じています。その1つは、将来、パブリック・インタレストを守るということで社会的な貢献をしたいということで公認会計士を目指す学生は結構いるのですが、実際に試験に合格して3年から5年ぐらいの間、これは修了試験とか業務補助の問題もありますから、その間は特に問題なく監査法人に勤務するのですが、その後、全体の半分、場合によったら過半が、もう監査は嫌だと言って相談に来るのです。これはどういうことなのかと。

実は、私自身、大学院の授業で監査関連科目を担当しているわけであって、監査の社会的意味とか、あるいは、プロフェッションとして社会からこのようなリスペクトを受けるに値する職業であるということをとうとうと説明しているわけですが、それに応えきれないで監査業界から脱退してしまうのです。

八田先生が監査の重要性を説いて、それを聞いた学生が会計士になるも「もう監査は嫌だと言って相談に来る」という状況は、どうしたことか。

監査を受けている側からはさっぱり分かりませんが、先生の講義を受けて思い描く予想と現実に、何かギャップがあるんでしょうねえ。

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さていつものごとくでありますが、ロケットスタートで始まったこちらの検討会。

いかに着地するのか、楽しみです。

前回は、データ保管場所を「自分の業務用PC」にした場合のリスクを書き出して終わりました。

じゃあ他に保管方法どうするんだよ、と考えれば次の方法を思いつきます。

①外付けハードディスク、あるいはCD-RやDVDなどの外部メディア
②データ保存用に自社サーバを設置
③クラウドサービス

①~③をそれらしく書きましたが、この区分の本質は「誰が管理するのか」であって以下のようになります。

①外部メディア : 自己管理
②自社サーバ : システム部門
③クラウドサービス : 外部業者

管理する人は、「うっかり消去、ハード故障」に対応するためバックアップデータの保存をし、「ウィルス感染」に対応するためにシステム環境整備といった業務をすることになります。

紙資料の保管代は減りますが、誰かの仕事が増えるか、別の経費は確実に増えるのです。

例えば、領収証等のPDF化に合わせて、資料探しを経理部門がするのではなくて、現場部門が直接することを検討するのであれば、外部メディアは不便かもしれません。

一定時点で外部メディアのコピーを複数作って、保管用、配布用、貸出用を作ることになるのでしょう。

版管理が大変そうです。

じゃあ、自社サーバか、となりますが、これまた担当する方にインタビューするとメンテする負担感はけっこう重いようで、「紙ならタダでしょ」という雰囲気が出ています。

何よりサーバ購入費用他もろもろの見積書を見ると、けっこうげんなりします。

「自社対応だからタダ」という発想は、黒い企業的な思いつきなのでしょうか。

一方でクラウドサービスにおいては、やはり外部業者は外部業者、クライアントの都合を考慮しない事態も起きえます。

そして保存データが小さいうちはお安い値段設定でも、データサイズが大きくなると支払金額はけっこう高いなあと感じるはずです。

また、アマゾンやIDCFといったクラウド大手さんは素人には寄りつきにくい…

ということで、「スキャナ保存対応」を前面に出した業者さんへ目を向けることになります。

見たところ、会計システム等の制約がなさそうなのはこちら。

・TKC証憑ストレージサービス

・JFEシステムズ DataDeliverry


また、会計システムとの連携を前提とした会社さんもあります。

「ScanSnap Cloudが 「弥生会計・やよいの青色申告」 新しいウィンドウで表示 との連携を開始いたしました。」


会計システムとの連携は、「freee」や「MFクラウド会計」といったところも熱心そうです。

これらの業者さんのよい点は、タイムスタンプもセットになっているので、「タイムスタンプ+保管場所」の課題がまとめてクリアできるところでしょう。

一方で難渋する点は、「意外にお金がかかる」に尽きます。

「従来の紙ならタダ」の呪いに束縛される限り、思考が先に進まなくなることでしょう。

次のリンク先さんは個人事業主さんですが、イメージ先行の当該制度に、実際に取り組んでみての実感を伝えてくれます。

スキャナ保存の厳しすぎる要件。3万円以上の領収書がスキャンできるようになっても中小企業・フリーランスが導入できない理由

freeeならレシート・領収書をスキャンして捨てられる?スキャナ保存・電子帳簿保存法・タイムスタンプに対応したけど現実的には使えない・・。

私のように「経理専業」の人間がいる場合と、いない場合では、証憑をスキャンしてPDF化するのも結構大変なのです。

「スキャナ保存」への取り組みは、これらの障害を乗り越えていける「大義」を探して、それを実現していくことになるのでしょう。

「先にやるべきコトがあるだろう」というツッコミは承知のうえですが…

先週は何かと忙しかったこともあり、「【読書感想】 『心が折れる職場』」でしのごうとしたのですが、記事登録後に即公開。

火曜更新を維持したい執念で下記書きました。

少々短いのですが、ご容赦を。

さて、「スキャナ保存」を実施するにあたり必要な機器、ハード編2回目はタイムスタンプと保存場所についてです。

本来、タイムスタンプとスキャン後のデータ保存場所は別の話ですが、現実には両方を同時提供するサービスが存在します。

これは、過去のタイムスタンプが必要とされた事象は大企業を対象としたものでしたが、今回の制度はもっと規模が小さい企業も対象としたすそ野が広いものなので、ここに商機を見出したのでしょう。

そもそも、制度的には次のような制約があります。

タイムスタンプについては、国税庁HP 電子帳簿保存法Q&A(平成27年9月30日以後の承認申請対応分)に、

問46 一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプとはどのようなものでしょうか。


があり、必要なタイムスタンプについて定義を解説しています。

実際のところ、タイムスタンプ業界にいない経理部員にはこの解説ではさっぱり分からないため、いろいろあった結果、当業界の大手2社に行き当たることになります。

セイコー タイムスタンプサービス


アマノの認証サービス事業「e-timing」


ただ現実としては、じゃあこれを買ってきた後どうすればいいの?とか、お値段的に割に合うのかという疑問がつきまといます。

この「値段的に」という感覚は大切で、「スキャナ保存」を導入する可否について費用対効果の査定は、事前にしっかり検討しておくべきでしょう。

なんとなく勢いだけで導入を検討すると、たぶん費用ほどの便益がない、という結論に行き着くはず…

この費用と便益のギャップを埋めるのが、制度導入の「大義」であって、ここをしっかり理論武装しておかないと、たぶん「検討不足」で稟議を決裁してもらえないと思います。

さらにもう一つ、検討が必要なのがスキャンして電子化したデータをどこに保管するのか、という問題です。

保管方法が「紙」しかなかったときには考えもしなかった論点に思い到ります。

「電子化したデータは自分の業務用PCに保管すればいいじゃん」は、次のようなリスクに行き当たります。

・うっかり消去してしまう
・ハードディスクがクラッシュしてしまう
・ウィルスに感染してPCが起動しなくなったり、情報流出を起こす

などなど。

これらを考え始めると、タイムスタンプにしてもデータの保管場所にしても、一筋縄ではいかないのです。

次回は、これらについてもう少し考えます。

「スキャナ保存」シリーズの途中ですが、本業多忙につき、今回は作成負担の軽い読書感想いきます。

こちら↓です。

『心が折れる職場』 見波利幸 日経プレミアシリーズ

・タイトルも章題もいい!

私でも新聞広告で2,3回は見たくらいですから、きっと他にもいろんなところで広告していて、見られた方もたくさんいるはず。

私が見た広告では、目次を書き出した構成になっていたのですが、その書き出してある章や小節の題がとても巧みです。

こんな感じです。

・働かないシニアはどこで「やる気」をなくしたか
・なぜ異動で公務員は不調になり、銀行員はなりにくいのか
・「アドバイス上手」な上司が部下の心を折る
・急に太る人が続出した職場は要注意
・90分のメンタルヘルス研修で、不調者が増える理由

みんなが疑問に思っていそうなことや、社会通念の逆を書いてあったりして、読みたい意欲が高まります。

本書、きっとよく売れたことでしょう。

・本書が実務的であるところ

本書の特徴は、まさに「常識を疑え」から、現実的な提案を提示するところです。

P.151 「規則正しい生活習慣」の無意味性

表面的な研修のもたらす問題についてもう少し見てみましょう。たとえば、よくある90分のメンタルヘルス研修で必ずと言っていいほど登場するのが「規則正しい生活習慣が大切」というフレーズです。

(中略)

誰だって規則正しい生活習慣が望ましいことは知っています。しかし、仕事の実態に即せば、規則正しく働くことなど出来ないケースは多々あるのです。

にもかかわらず、「規則正しく生活しましょう」とありふれたことを言われても、ほとんど意味がないのです。むしろ、「今の勤務形態で、どうすれば規則正しくできるのかおしえてくれよ!」と、かえって不満が募り、ストレスを感じてしまいます。ますます研修に耳を貸さなくなってしまいます。


このあと、ではどうすれば良いかの提示があるのですが、ここでは省略します。

実現可能性を検討せずに正論を述べ立てる研修は、サービスを提供する側(会社側も含む)の業務としては必要ですが、現実には現場をさらに苦しめるもの。

本書は、世に正論と信じられている考え方への「ツッコミ方」を学ぶことができます。

正論の限界に到達した方は、読んでみる価値があると思います。

・受講者が眠ってしまう

本書では、「眠れない」、「寝付けない」という悩みをクリアする方法として、副交感神経を高めればよいと説きます。

問題は、ではどうすれば副交感神経が高まるのか、です。

この問題、裏を返せば研修中に受講者が寝てしまうのはどうしてか、という論点にも通じていると思います。

かなり強引な紐付けですが、もし、受講者が寝てしまうのだとすれば、それは講師が副交感神経を高めている可能性があるのです。

「寝てる方が質問も出なくて良いことだ」と悟られているのならともかく、「どうして寝てしまうんだろう」と思うのなら、自身の振る舞いについて検討するべきです。

さて、本書では、副交感神経が高まっている状況を次のように説明します。

P.157

副交感神経が高まっている状態とは、たとえば、こんなシーンを思い浮かべていただければわかりやすいと思います。昼休みにランチをとり、お腹いっぱいになる。そして午後一番の会議。その会議で発表や意見を言う機会はなく、ただ1時間ビデオを見なくてはいけない。そのビデオはすでに知っている内容で今さらとくに刺激もない。

もし、自身の講習スタイルが上記のような状況を作り出しているなら、受講者が寝てしまうのは生理現象でありいたしかたのないところ。

逆に、交感神経が高まるような授業をしないといけないのです。

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このように本書は、いろいろな観点で知見を得られる良書でした。

また、当記事では、本書の中でいわゆる「メンタルヘルス」について書いてあるところは、あえて紹介しませんでした。

「メンタルヘルス」部分は中途半端に紹介すると、著者の方の真意に沿わない内容になってしまうリスクがあるからです。

本書は、会社が義務として提供する通り一遍のセミナーに疑問を感じた方は、読んでみる価値があると思います。

領収書や請求書をPDFファイルなどに電子化して保存することを認めてくれる、というあれ(以下「スキャナ保存」という)の件です。

今回は「スキャナ保存」に関連するテーマのうち、「必要な機器(ハード)」について書いてみます。

制度を導入するにあたり、ハード面で必要なものは大きく次の3つだと思います。

・スキャナ

・タイムスタンプ

・電子データの保管場所

今回は「スキャナ」について、これまでの取り組みの中で気づいたことを書いていきます。

そもそも今回の制度は、「スキャナ保存」と当局も言うくらいで、スキャナで電子化を利用するところがポイントになっています。

この制度導入に取り組むまで私は、スキャナというと、コピーやファックスと一体になった「複合機」と言われる機械でしか利用したことがありませんでした。

そのため、「スキャナ保存が認められます」というご案内を初めて見たときの感想は、

・領収書や請求書はサイズや形がまちまちなので使えない

・全ての証憑が「片面印刷」あるいは「両面印刷」でそろっているならともかく、双方が入り乱れている現実には即していない

・スキャンしている間、複合機を占領してしまうので、その間、他の人が印刷物を出せない等の支障が出る

ので、制度導入は現実的ではないなあ、でした。

この感想をひっくり返したのは、前回登場したコンサルタントN先生から、「ドキュメントスキャナを使えば課題はクリアできる」とのご紹介でした。

先生のご紹介の一部を引用してみると、こんな感じです。

スキャナは、まず最初にコピー機のスキャナ機能を思い浮かべることが多いのですが、原稿台に並べてふたをしてボタンを押して、という作業になるので、非現実的だと思います。

そこで、スキャンに特化したドキュメントスキャナーが候補になります。

1台3万円位で、20枚くらい、大きさも厚さも違う領収書などが連続して一度に、しかも表裏同時にスキャンされます。

価格とともに性能が上がりますが、10万円位で50枚くらい連続スキャンします。


このご説明を聞いて私、とあるドキュメントスキャナメーカーさんのモデルルームへ現物を見に行きました。

試す気は満々ですので、経費の証憑を10パターン用意して、上記の10万円くらいの実機でスキャンさせてもらったのです。

実機を使ってみての感想は以下の通りでした。

・両面スキャンの設定でも、白紙の面はスキャンをスキップする機能がある

・スキャンスピードは確かに速い

・新幹線の切符のような厚紙から、向こうが透けて見えるようなペラペラの紙まで、ほぼ難なく吸い込むことができる

・サイズがマチマチでもセットに工夫すれば難なく吸い込めるし、文字の向きで紙の向きも補正してくれる

・難点もあるが、「OCR」という機能で活字は検索できるようにデータを拾ってくれる

他にもいろいろ便利な機能を備えていて、実機を使ってみて「スキャナ保存を試す価値はある」という感触を得たのです。

かくして、私は制度導入を実現すべく、動き始めたのでした

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なお本件も、前回の最後に書いたのと同じく、スキャナの難点というかリスクが存在していることを感じています。

このことについては、これまた前回同様に稿を分けて書くことにします。

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