制度会計対応現場のオナヤミ

会社側目線で見た、金商法、会社法、税法、内部統制、IFRSなど、制度会計の現場を書いていきます。 ネタがなくなると、読んだ本の感想でしのぎます。 原則火曜日更新です。

会社運営は団体戦。

経理の立場から参加して、勝利に貢献すべくやるべきことをやっていきます。

もうしばらく、原則週イチ(火曜日)更新でがんばります。

今日は日記的なお話です。

普段の業務に加えて、生産を管理する基幹システムを更新するにあたり、開発メンバーの一員にアサインされて約半年。

ここ3ヶ月はだいたい月6回くらい毎回約3時間の会議に動員されています。

私が実際にやっていることは会議に出席して時々発言するだけで、手を動かして何か成果物を作り上げているわけではないのですが、時間的拘束の影響はそれなりにあります。

そもそも私、原価業務はやったことがないので業務に精通しているわけでもなんでもないのですが、単に「年配者」であることから何となく消去法的に選出されたいきさつがあります。

そして本件開発、私がアサインされる数年前から続いているのですが、完成しそうで完成しない…

そうこうしているうちに、システムが完成するより先に私の前任者が年齢的制約に引っかかってしまったことから動員されたのです。

システム開発が難渋している原因は、私の観察ではそのシステム全体のグランドデザインを描ける人がいなくて、パーツパーツを分かっている人が結果論で言うと前後の脈絡の理解なく開発を進めてきているのが実情です。

そのため、手戻りや、そもそもカバーできていない業務が発見されることも頻発し、先行きが見えないことになっています。

社内は幹部から末端まで苦悩は深刻なものがありますが、一方で世間的には大規模システム開発の進行遅れはよくあることであり、普通にやって世間並みに障害が起きてしまった、というのが実情なのでしょう。

そして本件、だれも怒られないのはそもそもの「全体のグランドデザインを描ける人がいない」は、「本当はいるけど動員できなかった」ではなくて、「弊社内のどこにも実在しない」からです。

私の勤務先の特徴は、過去に業界不景気があり、その時期に新卒採用をほぼ取りやめていたことから、勤続30年くらいの人がいないところにあります。

そして業績が厳しいことから、人事異動も極力抑制し、各人が担当業務のプロフェッショナルとなることで業務効率を最大化させました。

こうすることで人を増やさずに業務を回し、なんとか長い不景気を生き延びて今があります。

その副作用として、業務ローテションの不足により幅広い業務知識をもった人がいない、という現状もできあがったのです。

かくして、基幹システムの更新に苦しめられている我々は過去の生存策のツケを払っているわけですが、こうしなければそもそも会社が存在しなかったと思えば、当時の経営者に文句を言っても仕方がないのでしょう。

今回の教訓を活かし、次のシステム更新時には引き起こさないようにしたいものだ、と願っているのですが、まずは目の前のシステム更新がうまくいくのかどうか…

システムの中でも経理よりもはるか上流工程で時間が取られていて、経理部分の開発・検証が遅れているのが気になります。

「時間がないので経理部分はシステム稼働後に作ります」もよくある話。

ここを乗り切らないと「教訓を活かす」こともできないので、力の限りじたばたあがいて生き残ることが、当面の目標です。

<お知らせ>

12月5日の更新はお休みします。

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Twitter界には、「お小遣い2万円倶楽部」というものがありまして、結婚生活の悲哀を教えてくれます。




よく言われる話ですが、幸せはどこも似たようなものであるが、不幸せは多種多様なスタイルと苦難があります。

これが人間世界の多様性であり面白いところではありますが、渦中の当人にとっては笑い事ではない…

さらに言えば、ネットでは「だんな DEATH NOTE」というサイトもあり、どうしてこうなったと過去を振り返るばかりです。

こういったひとつの類型がこちら↓

『帰宅恐怖症』 小林美智子 文春新書

「はじめに」には本書の構成について、次のように述べています。

本書では、「夫が帰宅恐怖症になるメカニズム」「帰宅恐怖症になりやすい夫のタイプ」「夫が帰宅恐怖症なりやすい妻のタイプ」を解説し、「帰宅恐怖症チェックポイント」「男女別の予防法・対処法」などを体験談を交えて伝授します。

以下では本書の中で、興味深い部分をご紹介します。

・「分かってもらおう」から「分からせたい!」

無理なものを「できるもの」と誤認識していることから、次のような負のスパイラルが起こります。

P.97

問題は、このような段階に至っても、夫は妻に何も言えないため、妻が夫の気持ちになかなか気づかないことです。

それでいて、妻の方は、自分が頑張っていることを「分かってもらおう」から「分からせたい!」へと、態度をエスカレートさせていきます。

もともと妻は、夫に対して、「多少言いすぎても大丈夫だろう」と思っているため、言葉がきつくなってもあまり気にしません。

「夫は自分の意見など持っていない」とも思っているため、ほとんど「妻の言いたい放題」という状態になってしまいます。

こういう状態が続くと、夫は、妻の一方的な言い方や態度、辛らつな言葉、責め口調に恐怖を感じるようになります。

「あるある」と共感される方はたくさんいるはず…

違う表現では、次のような説明もあります。

P.128

せっかちな妻は、「自分でやった方が早い」「自分のやり方があるから夫には任せられない」と勝手に考えているのですが、それでいて、「自分ばかりが家事をやっている!」「自分だけが損をしている!」とも思いながら常にイライラしていて、夫に八つ当たりするような具合になってしまいます。

自分でそういう環境を作っているのにねえ、とため息をつくばかりです。

なお、今回の引用は家庭が舞台ですが、職場でもこういう人はいます。

職場の場合は、オジサンでもこういう思考に陥っている人がいることを考えると、もしかすると、これは性差によるものではない別のところに根本があるのかもしれません。

素人集団の組織を動かすためには、

・人に任せる、やっていただく

・やっていただいたのだから八割方できていればオッケー

・できていないところを数え上げるのは、ヤル気をなくさせるだけ

これくらいに思っておかないと、組織は回っていきません。ストレスが溜まるばかりです。

というところで話を元に戻すと、夫婦の相方は「素人」なのか、はたまた「自分ができることは相手もできて当然」なのかで、運命が分かれることでしょう。

・「家庭内で試練を乗り越えるために頑張って闘っている夫婦」

家庭内の軋轢は「試練」であり、乗り越えるべきなのか、この件について著者はこう答えます。

P.190

一般に男性は、「試練」とか「努力」とか「忍耐」が好きで、自分に何かを課して克服したい傾向があるようです。

ところが、「試練」を乗り越えても、そこには、また新たな「試練」しかありません。

もちろん、人生には「試練」がつきものです。「試練」を乗り越えることで、人は成長します。

しかし、「家庭」が「試練」の場であってはなりません。「安心と安全」の場でなければなりません。

「試練」と思えば。「家庭」は「闘争」の場となってしまい、常に気が休まりません。

「家庭内で試練を乗り越えるために頑張って闘っている夫婦」など、子供に悪影響しか与えません。

お小遣い2万円倶楽部でよく交わされているオナヤミですが、「妻の「試練」をどう乗り越えたものか」、は発想が間違っていたのです。


倶楽部主宰は待っておられるようですが、そこは一般人が足を踏み入れてはいけないところなのです。

また、「乗り越える」と「かわす」がどう違うのか、分からないところもありますが、いずれにせよ、「ドラゴンボール」や「北斗の拳」的な対応をする限り、ものごとはうまくいかないのでしょう。

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最後に本書に関する最大のオナヤミについてです。

最大のオナヤミ、それは「いかにして本書を家人に読んでいただくか」

リビングにさりげなく置いておく、というのはわざとらしい。

とはいえ、正攻法で「読んでみてよ」と言えば、「何が言いたい」となるのは簡単に予想できる…。

「本来読むべき人に届かない」このジレンマに、出版社さんがいかに営業努力をしているのか、ぜひご意見を伺いたいところです。

もう11月の半ばを過ぎてしましましたが、予算仕事でヘロヘロです。

経理にとって予算は根拠があるべきものであり、検証可能なものでなければ意味がない。

一方で経営にとっては高い目標を掲げないと、人から標準パワー以上の活動を引き出すことができない。

この「根拠あり」と「高い目標」の間をどう埋めるのか。

過去からみなさんオナヤミであるかとは思うけど、この「間」に係る調整が社内政治であり、その社内政治にあずかれないままに資料を作る事だけを命じられた哀しさを味わっております。

あと数年これをやれば勘所が分かるようになるのかどうか、分からなければ疲弊するだけなので暗い未来です。

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さて、これを書いている11月19日は簿記検定が開催されています。

私の後輩さんたちも受験しに行っているはず。

私は、経理に配属された方には、当初の目標として簿記2級の取得を勧めています。

その理由は、だいたい以下のとおりです。

・出題範囲が、会社会計の全体像を広くつかんでもらえるように設定されていること

・激しく難しいわけではないが、それなりに真剣に勉強しないと合格できないレベルであること

・市販されているテキストや教材が充実していること

とはいえ、なかなか簡単に合格できるものではありません。

社会人特有の課題として、過去の経験から以下のようなことが分かっています。

・働きながら勉強ペースを維持するのは難しい

これは、特に決算期対応などで、けっこうな時間外対応をしたあとに効いてきます。

疲れきったあとに、さあまた勉強しよう、という気分にはなかなかならないのです。

周囲も繁忙期すぎたから遊ぼうぜ、みたいな雰囲気になっていることがあり、その中で勉強へのモチベーションを維持することが難しい。

学生さんにはないタイプの試練です。

・実務と試験問題の違い

実務ではそんな面倒なことしない、ということが試験にはふつうに出てきます。

試験の世界は原理原則で、実務の世界はある意味「戦場の論理」であることから、違いがあるのは当然。

でも試験は試験で採点基準があるので、そこは飲み込まなければなりません。

このギャップを理解できる柔軟さが、しなやかな実務能力につながるのでしょう。

・試験が難しくなっている?

検定対策として、一応勉強会を開催しています。

勉強を教えることはできませんが、ペースづくりなら私にも協力できるからです。

やっていることは終業後に1時間程度、私他受験経験者と今回の受験者が答練のようなものに取り組み、そのあともう1時間ほどかけてその答え合わせをするのです。

まったく勉強せずにいきなり問題に取り組んでいるということもありますが、例えば私、商簿の精算表作成問題(第三問)で当期純利益を正解できたことがありません。

私が受験した20年前は、こんなにたくさん調整仕訳があったかなあ、とため息をつくばかりです。

勉強会を主催しておきながら、実際には私が教えてもらっているのが実情です。

また、課税所得の計算や、連結決算も試験範囲に入っていて、驚くばかりです。

とある予想問題に取り組んだ時には、後輩たちが普通に非支配株主持分の計算をして、正解しているの見た時はひたすら驚きました。

少数株主持分(…)は連結担当者の聖域であり、部外者にはその存在は意味不明なものであったはずなのに、今後はみなさん基礎知識として備えてくるのです。

まさに、「後生畏るべし」です。

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「簿記2級を持ってたって、仕事ができるかどうかは別だ」という声もあります。

実際、資格が無くても立派に業務をしている人はたくさんいます。

ある程度の年になれば、資格試験よりも別のことにリソースを費やすべきでしょう。

一方で資格試験の勉強は、実務経験の時間不足を補う近道です。

また何よりも強調したいのは、今回のハードルは検定試験ですが、この「ハードルを越えた」という体験は後日絶対に実務や生活の困難に立ち向かうときの自信になります。

「働きながら」というハンデを乗り越えて、後輩さんたちが合格してくれることを願うばかりです。

財務会計基準機構HPにて、先般公表された収益認識の会計基準案に寄せられたコメントが公表されていました。

企業会計基準公開草案第61号  「収益認識に関する会計基準(案)」等に寄せられたコメント

ざっと見たところ、自動車会社とガス会社が目立ちます。

他の会社さんは意見がないのかな?というとそうではなくて、不動産協会やチェーンストア協会といった、業界団体からコメントが出ているところもあります。

自動車会社、ガス会社にも、業界団体がないとは思えませんが、会計基準への対応について意見を取りまとめる機能の有無が今回の対応の違いとなったのでしょう。

・どこまで矛盾せずに書き出せるのか

ちなみに、自動車会社は有償支給品の会計処理、ガス会社はガスの売上計上時期(従来方法である検針員の結果基準は基準案に相違する?)について、意見しています。

それぞれ、どう基準と指針の中で消化するのか、興味深いところです。

今回の基準案が作られた理由は、IFRS等の国際的な会計基準との整合を取ることにあるので、日本基準に次々と前提条件を書き込んだり、業法の受け入れをし始めると、当初目的を達成できない…

個人の部にて、服部さんが次のように述べられています。

「・・・ 当委員会において、これまでに開発してきた会計基準では、基本的に連結財務諸表と個別財務諸表において同一の会計処理を定めてきたこと・・・ 」について


・確かに過去策定された基準数の割合からはそうなのかもしれませんが、本基準と同様に近年、IFRS とのコンバージェンスを意識して策定された、「包括利益」や「退職給付」など日本企業にとって重要性の高い基準等においては、連結財務諸表のみの取扱いを定めていることから、このままではミスリードする恐れがあるのではないでしょうか。少なくとも連結財務諸表のみの取り扱いを定めている基準があることに言及すべきと考えます。


このように、書くことを増やせば、どこかでそれに相矛盾することが出てくる可能性も増えます。

骨と皮しかないような基準にすれば表面的な矛盾はなくなるものの「はっきりしない」と言われるし、困ったものです。

・影響範囲は大きい

そもそも、今回の基準案と税法の取扱いは、国税庁と相談しているのかどうか?

また「会計は会計、税務は税務」になってしまうと、会社側は手間が増えるばかりです。

さらに言えば、先ほどの自動車会社さんからコメントにある有償支給品の件は、支給を受けた側の会計処理にも影響が出てくるはずなので、しっかりとした対応が必要です。

今回の基準案はタイトルが「収益認識」なので売上側に目が行きがちですが、仕入側の認識時期等を制約することはないのか、気になります。

個人の部で、中田先生がコメント末尾にて次のように述べられています。

今回のコメントに何度か記載いたしましたが、今回の新基準は、損益計算書のトップラインである売上高を規定する基準です。
したがって、その影響はおそらく、すべての業種、すべての企業に広く及んでしまうであろうと考えられます。
特に作成者サイドの企業に、無用な混乱とムダなコストが発生しないような配慮を、全般的に施していただければと思います。

苦心して基準を作った人には申し訳ないのですが、今回の収益認識の会計基準設定は、企業改革や生産性向上を増進させるものとは思えません。

今まで曖昧なところがあった「実現主義」をはっきりさせることに意義はあるのですが、これがために手間ひまが増えたり商取引を不活発な方向へ導くことになれば不本意でしょう。

注文書や契約書を細分化しようか、と検討を始めている方もおられるでしょうし、そうすれば貼付する印紙の枚数やハンコが増えるといった影響も出てきます。

会計監査での検討事項も増えることでしょう。

あまり明るい未来が予想できないのは、私のマインドセットがなせる業なのでしょうか。

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この会計基準案、強制適用時期は先のように感じられますが、「販売システムの改修」や「販売員への教育」など会社運営的に必要な準備が、後から後から増える可能性があります。

「まだ先のことだから」と真剣に検討してくれない人たちをいかに巻き込むか、工夫が必要です。

多忙につき、今週は読んだ本のご紹介です。

なんだかなあ、と思うところも多い会社生活ですが、行き来の時間に好きな本を読むことでなんとなくやり過ごせているところがあります。

多寡は別として、好きなことに時間を費やすことができているのは、まだ恵まれているのでしょう。

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ベランダや通勤途上で死んでいるカメムシを見かけたこともあり、気になっていたカメムシ…

こういうときに出会いというものは起きるのであり、図書館でカメムシの本を見かけて読んでみました。

『カメムシ』 野澤雅美著 農文協

カメムシ
そもそも、昆虫という「目」の括りに約100万種いる中で、「カメムシ目」は8万種いるとされ昆虫世界では非常に大きな分類群とされているそうです。

「カメムシってそんなにたくさんいるのかねえ?」と思いますが、アメンボやタガメ、トコジラミも「カメムシ目」ということで、見た目やサイズでは想像できないカメムシ目がたくさんいるのです。

そしてそんなにたくさんいるからいろいろなところに顔もだすわけで、カメムシの「冬虫夏草」もあるそうです。

P.75

そして、数多くの種類のカメムシも殺虫キノコの餌食になっているのである。カメムシにとりついたキノコがカメムシタケである。その形状がミミカキにも似ていることからミミカキタケとも呼ばれている。

「冬虫夏草」には漢方薬の一面もありますが、このミミカキタケはどういう扱いになっているのか分からないようです。

あまり飲みたいとは思わないですなあ。

・カメムシのにおい

カメムシと言えば「におい」。

私も子供には「やつを触るとすごく臭いらしいから、絶対に手ではさわるな」と教えています。

敏感な方はお気づきかと思いますが、私、「臭いらしいから」と書きました。

実は私、カメムシのにおいを知りません。

幼いころより「カメムシは臭い」と教えられてきたことから、カメムシを避け続けてきました。

失敗の多い人生ですが、カメムシの扱いだけは成功を続け、そのにおいを知らずにここまで生きてきたのですが、これは本当に幸運であると言えるくらい、カメムシのにおいとは危険とのことです。

P.47

しかし、このにおいは、外敵だけでなく自分に対しても危険で、容器に入れたカメムシに臭気を放つ他の個体を入れると間もなく死んでしまうのである。
(中略)
カメムシは、通常は刺激を与えない限りにおいを放つことはないが、カメムシ自慢のこのにおいの武器も一歩間違えれば、自爆につながりかねない(後略)

カメムシ自身が死んでしまうくらい危険とは迷惑な話です。

まあ「密閉された容器」という環境は自然界にはないので、彼ら自身にとっては問題とならなかったのでしょう。

・実践的な取り扱い

本書の特徴の一つは、極めて具体的実践的なカメムシ対応を教えてくれるところです。

例えば研究初心者向けには、こういうことを教えてくれます。

P.93

問題は、網の中に入った小さなカメムシをどう採集するかであるが、ここで登場するのが吸虫管で、微小昆虫を採るのに適した優れものである。

吸虫管は、虫を菅ビンの中に吸い取る構造になっている。ビンの一方に吸い取り用の管をつなげ、ビンの反対側に虫を取り込むガラス管をつけて、吸引によって虫を菅ビンに取り込むのである。

この時、口にくわえる管の先(吸入口)は、ガーゼや細かい網でふさぐことがポイントである。

これがないと、吸い込んだカメムシが直接口の中まで勢い余って飛び込むことになり、においとともにむせ込むことになる。

口にくわえる側をふさいでおくことの必要性という、言われてみればなるほどねえ、という知らなかったら苦しい目にあったであろうリスク回避の教えです。

また、生活向けには、

P.88

室内に飛び込んできたカメムシは、踏みつぶしたりハエたたきでたたいたりしてしまえば対処できるが、間違いなく悪臭が充満することになる。

手でつかんでつまみ出すことのできる人は少ないので、掃除機で吸い取るかほうきで掃き出すことになる。ただし掃除機で吸い取るときは、悪臭が充満することにもなるので、排気に注意が必要である。

どう掃除機の排気に注意すればいいのかは分かりませんが、カメムシに掃除機はよくないということは分かります。

とくにサイクロン掃除機をお使いの場合は、いろいろな観点からやめておいた方が無難だと思います。

・「人間によって大害虫になった果樹カメムシ」

通常カメムシはスギやヒノキの球果から栄養分を吸って育つそうです。

だから、スギやヒノキの生育が良かった年の翌年はカメムシが大発生し、増えすぎてスギやヒノキからあぶれたカメムシが近隣の果樹園にやって来るというサイクルがあるのだとか。

ただこれについては、

P.99 

つまり、昭和三十年代以降、果樹カメムシの増殖源となるスギやヒノキの林が急増するとともに、その近くには果樹園が広がるようになり、果樹カメムシが増殖・大発生する絶好の環境が整ったのである。

こうした意味では、果樹カメムシは人間が大害虫にしたということもできる。

どうしてスギやヒノキが増えたのか、というところから始まるこの話は、人間が自然界に与ええる影響の一面です。

単純に切る、燃やすだけではなくて、風が増えば桶屋が、みたいなケースも現実にあるのです。

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著者が膨大な時間を費やして得られたであろう研究成果が、ポップな「カメムシ」の字体とかわいい写真による装丁、本文中にも写真や図が多用されているうえに、著者のユーモア精神あふれる文体によって表現されていることで、楽しんで学ぶことができる一冊です。

総務さんが、新幹線の回数券を束で買ってきました。

旅行会社さんから買ってきていて、お支払いは気前のいいことに、翌月末に他のとまとめてでいいそうです。

券は全て未使用のまま月末を迎えました。

さて、この事象をどう仕訳したものか。

少額であれば購入即交通費としてしまうことも考えられるけど、残っているのはちょっと許してもらえそうにない金額です。

税務的には貯蔵品と表現するところだけど、あろうことにか某弊社は会計的に「貯蔵品」勘定を使用していない…

次善としては「前払金」が妥当なところな気がするけども、よく考えればお金を払っていないのに「前払」、か?

「仕訳不要の余地もあるんじゃないの」(ダーク成分を含むグレーな現実的実務判断である)と返したら、「何もしないと翌月の支払いを忘れるので、未払計上は絶対に必要です」とのこと。

じゃあ借方が必要だねえ。

そこで考えだされた仕訳が、(仮払金)×××/(未払金)×××

「仮払」と「前払」にどれほどの差があるのか分からないけども、「仮払」の方が通過勘定の雰囲気が強いので、エライ人も勘弁してくれそうな気がします。

仮にそのまま期末になって開示することになっても、「その他」に括られてしまうし。

冷静に考えればやはり、「こんな仕訳いるのか?」という気がするけど、「新幹線に乗る権利」と「回数券代を支払う債務」を有しています、と言われたらその通り。

資産負債アプローチのマインドとは、こういうところから始まるのかもしれません。

とはいえ、こういうことで貸借対照表の両サイドをどんどん膨らませることに違和感はないですか?

結局は各目線からの重要性判断に行き着くのですが、権利や債務の発生の都度、厳密に会計処理をしていたら際限がない…

社内のどこかで誰かの勇気ある行動がない限り、経理はいつまでたっても決算が確定しないという不安におびえ続けなければなりません。

しばらく前まで、税務調査対応をやってまして、その体験談を綴ってみます。

いつものごとく、エピソード切り貼りですのでまとまりはありませんが、近時のケースとして共有できればと思います。

あくまでも私の体験談であり、現場によってはより過激なケース、あるいはマイルドなケースもたくさんあるはずです。

過去からあるいはその時々の対応姿勢によって、まったく違うことがあることだけ、読み進むにあたりご理解ください。

さて、調査対応をしていてしんどいなあ、と感じたのは次の三点でした。

1.「事務室を見せてください」

税務調査にあたり、弊社では調査用に会議室をベタッと期間中確保していて、その中で行われます。

今回お見えになった方は、何かあるとすぐに「事務室に入れてください」、「書類の保管状況を確かめさせてください」と申し入れてきました。

今まで某弊社の調査においてはここまで言われたことはなく、たいてい調査資料をお持ちして、必要に応じて担当者を連れてきて説明すれば、それで終わっていました。

この申し入れ頻発は今回お見えの方の個性なのか、はたまたこういう手法が一般的な手段となっているのでしょうか?

どうしても事務室内へお越しいただく理由がなかったので、今回はお出ましいただかずに済みましたが、この依頼対応の心労はなかなかのものでした。

2.「メールを全件見せてください」

「特定のこれこれの案件のこれこれについて提出せよ」、であれば応じざるを得ないのかもしれませんが、調べるものが海のものとも山のものともつかぬ状態から「見せろ、探させろ」では、とにかく引き出しを開けて書類を全部見せろ、と言われているのと変わりません。

こちらも対象がはっきりしないのでやんわりと断っているのですが、先方はあれやこれやと論理的に揺さぶってきます。

全体としては?な揺さぶりですが、個別個別にはもっともな理論で詰められる進行形の間は、けっこう精神的にしんどいものがあります。

結果的には、調査が煮詰まって争点が明確化したときに、その争点部分のメールデータだけ機械抽出することになりました。

とはいえキーワード検索で抽出されたものなので、膨大なメール件数が出てきたのですが、こちらが編集できるわけもなくそのまま渡すしかない…

あまりの多さに、ご担当の方もかなりご苦労をされていました。

CCを誰彼無しに発信する輩は、こういう面でも迷惑なことです。

3.コナン的推理

税務調査は一定期間で結論を出さないといけないので、調査官は一定の段階でストーリーを作り上げます。

そのため調査を受ける側は、変な先入観や思いこみを持たれないようにすることが肝要です。

とはいえ、「ない」ものを証明することは難しいので、彼らの想像力を押しとどめるにも限界があります。

決定的資料が無い事案について、調査官は資料の隙間を目いっぱいの想像力で埋め立てててストーリーを作りあげます。

第一次調査結果報告会において、彼が作りあげた修正依頼に至るストーリーを自信に満ちあふれて語られるのですが、聞いている側としてはアニメでコナンがやってる推理のようにしか聞こえません。

『名探偵コナン』であれば、調査官が組み立てた脱法スキームをとうとうと語り終えると、会社側が「すいません」だったり「だって仕方がなかったんだ」とか言って自白を始めるのですが、現実は「そもそもの前提がおかしい」」や「その論理展開は一方的に過ぎる」、「こういう解釈も十分にできる」と会社側や顧問税理士から反論されて水のかけあいに終わることが一般的です

報告会の後、顧問税理士の先生に「どうして根拠資料もないのに、あそこまで自信があるんですかねえ」と尋ねました。

先生曰く、「自信なさげに通知してあっさりお金を払う人はいない、満ちあふれた自信も芸のうち」、とのことでした。

だとすれば、「想像力」も「満ちあふれた自信」も調査必須能力。

調査を受ける側としては、先方の能力に惑わされず、俎上の議案レベルを勘案して対応姿勢のあり方を調整できる対応能力を開発しなければならないのでしょう。

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そんなこんなでてんやわんやしながら、顧問の先生がおっしゃるところの、「落ち着くべきところ」へ落ち着いて調査は終わったのでした。

以前にも書きましたが、税務調査はどこまでいっても防衛戦。

受ける側は虚しさだけが残ります。

3月決算会社の皆さんは、第2四半期決算の繁忙期ですね。

お疲れ様です。

私も、何がいかんのか分かりませんが、毎日のように寄せられる社内クレーム対応に右往左往しております。

人の愚痴不満に付き合わされる度に、「ミスしたことがないものだけが石を投げなさい」と言いたくなります。

さて、以前に、

経理シェアード会社の人と働いてみて気がついたこと(前)

という記事を書きました。

あのときから時間が経って、もう少し考えたことを追記してみます。

まず、今になってみれば、すべての伝票を一つ一つ証憑と突合されてその理由説明を求められるのは、イヤだったろうなあと思います。

こちらは経理業務を引き継がないといけないので、見ただけで理解できないものはすべて説明を求めたのですが、こんなことは今どき会計監査でも税務調査でもやりません。

経理処理なんだから、全て説明できてあたりまえと思われるかもしれませんが、現実にはいろいろなことが起きます。

例えば消費税が端数処理の関係で、会計システムから出てくる数字と請求書に書いてある金額が異なっているケースがありました。

基本は先方の請求書金額と合わせるべきですが、あまりに大量の処理件数がある場合には一定の前提条件を付すことで、会計システム優先とする例外処理もありえます。

とはいえ、その前提条件を教えてもらうまでは「請求書と違うけどどうして?」と聞かれ続けますし、そもそもこの例外処理は「手抜き」と言えばそれまでですから、問われる度に良心の呵責を感じるはず。

なんだかんだと説明したとしても最後は、「ずっと前からそうやってます」としか言えないですし…

自分がやっている会計も、真面目な人から見たらどう見えるのか気になるところです。

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もうひとつ気になったのは、会計処理に選択肢があるときに誰に有利な方法を選ぶのか、という論点です。

例えば、少額ではないけども経費で十分に説明できそうな修繕費を、委託者から「固定資産にして」と言われたときに、どちらを選ぶのか。

・税務的安全サイドを選ぶなら「固定資産」
・納税者有利であれば「修繕費」
・経営者のパフォーマンスを厳しく評価したい株主目線であれば「修繕費」
・目先の利益を最大化したい経営者マインドなら「固定資産」
・価値が疑わしい物をBSに残してはいかんと言い切れるなら「修繕費」

などなど、いろいろな考え方が出てきます。

このとき、兄弟会社から経理業務を受託している経理シェアード会社の担当者は、どれを選ぶのか。

このように、一つの支出の会計処理を判断するにしても、だれに有利な判断をするのか踏み絵を迫られます。

自分を律するのは良心ですが、他人からお金をもらってその他人本人を律するのは、意外に難しいのです。

人材育成では効果的な経理シェアード会社ですが、グループ管理という目線では放っておくとグダグダになりかねません。

シェアード会社の運営者は、判断基準をしっかりと各担当者へ伝えておかないと、外注の弊害の方が上回ってしまうことになるのでしょう。

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ふだん、何気に当然とやっていることも、違うやり方も十分にありえる…

こういうことを念頭に置いて、業務には謙虚に取り組みたいものです。

とあるお取引先(以下「A社」という)について、市役所から取引状況の照会が届きました。

照会状の回答欄に、書き方が分からない部分があったので、市役所の担当の方に書き方を問い合わせたところ、最後に「差押えを検討しています」と教えてくれました。

大変だねえ、と思っていたら、こんどはそのA社について、税務署から取引状況の照会が届きました。

こちらも書き方が難しいので、税務署の担当の方にお問い合わせしました。

ことのついでに、「市役所も差押えを用意しているようですが、市役所と税務署はどちらが優先ですか?」と尋ねたところ、「国税が優先です」とのことでした。

そういうものなのかねえ、と思っていたら数日もしないうちに、税務署から債権差押え命令が到着。

競合の存在を知って、ピッチを上げたのかもしれません。

A社へ事実を伝えたところ、「差押えは違法だ、絶対におかしい」とのこと。

形式的には、滞納して差し押さえられている人のほうがおかしいように感じますが、それぞれの事情があるのでしょう。

現地で何があったのかは知りませんが、しばらくすると税務署から差押え解除の通知が届きました。

税務署だって事業者をつぶしたいわけではないので、何らかの約束をもって、事業が継続できるように配慮したのかと。

やれやれ、と思っていたら、次は地方裁判所から債権差押え命令が届きました。

A社は、公的機関だけではなく民間企業の仕入先への支払いも滞らせていたのです。

よく我々の存在に気がついたなあ、と感心しますがここは特殊な理由でA社が債権を有している先と、その支払い時期を読み切って、裁判所へ申し立てしたのです。

さすがにこのケースは金融機関や公的機関と違い、A社がちょっとやそっと謝ったって勘弁してもらえないだろうから、いよいよ差押えの申立人へ送金するかと準備していたところ…

申立人の代理人(弁護士さん)から、申立を取り下げることになりました、という電話がかかってきました。

なんだやればできるんじゃん、と何をやったのかは知らないけども感心してから数ヶ月が経過します。

人の噂も七十五日、すっかりドキドキの日々を忘れた頃に、こんどは年金事務所から差押え命令が届きました。

取引状況の照会もなく、いきなりの差押えです。

それにしても、地裁の件はともかく、市役所にしても税務署にしても年金事務所にしても、どうして弊社の存在を知っているのか???

こちらも差押え対応には慣れてきたので、支払日ぎりぎりまでじたばたせず、放置しておこうと決心しました。

すると、年金事務所から「差押え解除は支払日の何日前までに通知すれば間に合いますか?」とのお問い合わせが来ました。

年金事務所が弱気になっているところを見ると、A社、現地でがんばっているのでしょう。

そして支払処理期限の前日に、「差押えは解除となりました」の連絡が届きました。

A社がどれだけの債務を有しているのかはかりしれませんが、これだけ何とかできるということは、けっこうなサバイバル能力を有しているか、強力な事業継続の意思を有しているのでしょう。

A社はすごい方が経営しているのかもしれません。

お取引先として、頼もしいと思うべきなのか。

次に照会が来ることが予想されるのは県税事務所ですが、さてどうなるのやら。

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とはいえです。

私個人はいろいろな体験をできて楽しめますが、会社としては不安要素のある先と取引することは避けなければなりません。

というか、なんども差押え対応の手間と心配をかけされらたら、取引をやめる方が通常対応。

今のところ取引を継続していますが、次は私の勤務先へ「滞納」に相当する支障をきたすリスクだってあるのです。

こんなふうに考えると、A社さんも徐々に取引先が手を引いていって、いずれは行き詰まる負のスパイラルに既に入り込んでいるのかもしれません。

それでも何とかA社を経営している経営者は、まさに経営の「修羅」というべきなのでしょう。

営業部門の人から、入れ替わり立ち替わり寄せられる定番の質問は次の(1)と(2)です。

(1) 輸出するものを買ってくるときに払った消費税は返ってくるんですよね。

(2) 外国で払った税金は、日本で返してもらえるんですよね

(1)は日本国内で支払った消費税のことであり、詳しくは課税売上割合とか諸々ありますが、結果として返してもらったのと同じ効果が得られます。(←とても説明がくどい!)

一方で(2)は、返してもらえるかどうかは分かりません。

その支払った外国の税金の性質によって、日本で返ってきたような効果が得られるものと、そんな効果は一切ないものとがあります。

そもそもの性質が「返ってきたような効果」の対象外の税金があり、これはどうやっても払いっぱなしです。(よくあるのは外国の消費税)

そして性質は良かった(?)としても、「返ってきたような効果」を得るためには、最低限の条件があります。

この最低限の条件をまた大雑把に言うと、「外国で払ってきた税金」以上に「日本で発生した税金」があることです。

であれば、「日本で発生した税金」から「外国で払ってきた税金」を差し引いて日本国へ納付するので、結果として返してもらったのと同じ効果を得られます。

ということは、「日本で発生する税金」がなかったり、少なければどうにもなりませんし、日本政府がわざわざお金を返してくれることもありません。

(日本政府には返す原資がないし)

この、(1)と(2)がごったになった質問が営業部門から数年に一度飛んできます。

都度対応するしかないのだけども、同じような質問が来るということは、同じような事象が繰り返し起きて、人は同じようなことを思いつくということなのでしょう。

これもまた組織の文化なのか、もっと大きく言えば、日本人が標準的に持っている思考回路なのかもしれません。

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