制度会計対応現場のオナヤミ

会社側目線で見た、金商法、会社法、税法、内部統制、IFRSなど、制度会計の現場を書いていきます。 ネタがなくなると、読んだ本の感想でしのぎます。 原則火曜日更新です。

あるのかないのか分からない材料を探して、社内を歩き回る。

残念ながら現実は、ボールを投げつけても情報はゲットできない。

自分で網を振り回して捕まえるしかないのでしょう。

もうしばらく、原則週イチ(火曜日)更新でがんばります。

金融庁HPにて「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会(第1回)」が公表されていました。

本件については、こちらのサイトにてすでに紹介されています。

会計ニュース・コレクター 「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会(第1回)(金融庁)」  


CFOのための最新情報 監査法人は「ノーペーパー、ノーワーク」の兆候/第1回「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」議事録より


ここでさらに内容をご紹介するのは屋上屋を重ねるようではありますが、私は会社側の人間。

監査法人とはあまり関係のない視点からの見方も役に立つはず、と自己暗示して書いていきます。

さて、監査法人のガバナンス・コードを論じるにあたり、有識者の方が話をするときに持ち出すのが先行しているコーポレート・ガバナンス・コードの状況で、こちらへの対応も「まだまだですなあ」といったお話があります。

会社側の人間としてはこういった話を聞かされると、「評論する側の人はいいよね」とやるせない気持ちになります。

これからコードを作る監査法人の人も大変だなあ、と先行きを心配するほかありません。

・「従ってない場合には説明すれば事足り」ない?

とはいえ、コンプライとエクスプレインの次のお話は気になるところです。

八田先生
スチュワードシップ・コードもコーポレートガバナンス・コードもコードという形で、イギリス型の遵守すべき指針ということで導入されたものです。ただ、日本ではコードという言葉自体については、今では、企業関係者の方の間では日常茶飯事に耳にしますけれども、皆さん、本質的な意味がわかっているのだろうかと疑問を感じています。あるいは意識のレベルですが、おそらくコードはソフトローと称すべき範疇のものなのか知りませんが、法律や規則、基準よりは規範性が低いということで、コンプライ・オア・エクスプレインなのだと説明されているようです。しかし、私が知る限り、例えばイギリスのロンドンのシティーで策定されているコーポレートガバナンス・コードについては、実は制定法よりも厳格な適用が求められているということです。つまり、コンプライ(遵守)することが大前提にあって、エクスプレイン(説明)するという場面というのは、例外的な場合しかないということです。ただ、日本の場合には、コードを「遵守しなさい、さもなくば、説明しなさい」ということから、従ってない場合には説明すれば事足りるということで、非常に安直なといいますか、気楽な捉え方をしているのではないでしょうか。

本質的なところを言われてもも、そもそもイギリスの人たちと日本人の思考経路も文化的前提も違う中で、同じ名前の「コード」と付けただけなんだから、それはやはり人々の受け止め方も違うのではないかな、という気がします。

「彼の国ではこうだから」と言ったとしても、あまり説得力がないのだと思います。

・みんなそう言う

議論の中で有識者のみなさんは、コードの設定によって、監査法人へ窮屈な指導が行われることを懸念します。

それに対して、事務方から次の表明がありました。

池田総務企画局長
我々は、別に当局が管理しているから画一的でなければならないとも思っていませんし、また、ある意味当局が監督をしますので、非常に柔軟なつくりでプリンシプルをつくっていても、どうしてそういう考えでその監査法人は運営されているのかということを個々に監査法人と対話をしていくことが十分可能なので、その対話の出発点としての1つの目安というものが存在していれば、決して画一的な運営にはなることなく、当局と監査法人の対話にも資するものになりうると考えているところです。

みなさん制度設計の段階ではそう言うのですが、実際に管理対象のうちから不心得者が出てきた不祥事を起こした次の瞬間から、というのはありがちな話。

事件が起きた時に、当局も「非常に柔軟なつくり」の志が問われることになるのでしょう。

・「もう監査は嫌だと言って相談に来る」

教育者の立場から、八田先生がこう嘆きます。

八田先生
ただ、私ども教育の現場にいて2つのことを感じています。その1つは、将来、パブリック・インタレストを守るということで社会的な貢献をしたいということで公認会計士を目指す学生は結構いるのですが、実際に試験に合格して3年から5年ぐらいの間、これは修了試験とか業務補助の問題もありますから、その間は特に問題なく監査法人に勤務するのですが、その後、全体の半分、場合によったら過半が、もう監査は嫌だと言って相談に来るのです。これはどういうことなのかと。

実は、私自身、大学院の授業で監査関連科目を担当しているわけであって、監査の社会的意味とか、あるいは、プロフェッションとして社会からこのようなリスペクトを受けるに値する職業であるということをとうとうと説明しているわけですが、それに応えきれないで監査業界から脱退してしまうのです。

八田先生が監査の重要性を説いて、それを聞いた学生が会計士になるも「もう監査は嫌だと言って相談に来る」という状況は、どうしたことか。

監査を受けている側からはさっぱり分かりませんが、先生の講義を受けて思い描く予想と現実に、何かギャップがあるんでしょうねえ。

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さていつものごとくでありますが、ロケットスタートで始まったこちらの検討会。

いかに着地するのか、楽しみです。

前回は、データ保管場所を「自分の業務用PC」にした場合のリスクを書き出して終わりました。

じゃあ他に保管方法どうするんだよ、と考えれば次の方法を思いつきます。

①外付けハードディスク、あるいはCD-RやDVDなどの外部メディア
②データ保存用に自社サーバを設置
③クラウドサービス

①~③をそれらしく書きましたが、この区分の本質は「誰が管理するのか」であって以下のようになります。

①外部メディア : 自己管理
②自社サーバ : システム部門
③クラウドサービス : 外部業者

管理する人は、「うっかり消去、ハード故障」に対応するためバックアップデータの保存をし、「ウィルス感染」に対応するためにシステム環境整備といった業務をすることになります。

紙資料の保管代は減りますが、誰かの仕事が増えるか、別の経費は確実に増えるのです。

例えば、領収証等のPDF化に合わせて、資料探しを経理部門がするのではなくて、現場部門が直接することを検討するのであれば、外部メディアは不便かもしれません。

一定時点で外部メディアのコピーを複数作って、保管用、配布用、貸出用を作ることになるのでしょう。

版管理が大変そうです。

じゃあ、自社サーバか、となりますが、これまた担当する方にインタビューするとメンテする負担感はけっこう重いようで、「紙ならタダでしょ」という雰囲気が出ています。

何よりサーバ購入費用他もろもろの見積書を見ると、けっこうげんなりします。

「自社対応だからタダ」という発想は、黒い企業的な思いつきなのでしょうか。

一方でクラウドサービスにおいては、やはり外部業者は外部業者、クライアントの都合を考慮しない事態も起きえます。

そして保存データが小さいうちはお安い値段設定でも、データサイズが大きくなると支払金額はけっこう高いなあと感じるはずです。

また、アマゾンやIDCFといったクラウド大手さんは素人には寄りつきにくい…

ということで、「スキャナ保存対応」を前面に出した業者さんへ目を向けることになります。

見たところ、会計システム等の制約がなさそうなのはこちら。

・TKC証憑ストレージサービス

・JFEシステムズ DataDeliverry


また、会計システムとの連携を前提とした会社さんもあります。

「ScanSnap Cloudが 「弥生会計・やよいの青色申告」 新しいウィンドウで表示 との連携を開始いたしました。」


会計システムとの連携は、「freee」や「MFクラウド会計」といったところも熱心そうです。

これらの業者さんのよい点は、タイムスタンプもセットになっているので、「タイムスタンプ+保管場所」の課題がまとめてクリアできるところでしょう。

一方で難渋する点は、「意外にお金がかかる」に尽きます。

「従来の紙ならタダ」の呪いに束縛される限り、思考が先に進まなくなることでしょう。

次のリンク先さんは個人事業主さんですが、イメージ先行の当該制度に、実際に取り組んでみての実感を伝えてくれます。

スキャナ保存の厳しすぎる要件。3万円以上の領収書がスキャンできるようになっても中小企業・フリーランスが導入できない理由

freeeならレシート・領収書をスキャンして捨てられる?スキャナ保存・電子帳簿保存法・タイムスタンプに対応したけど現実的には使えない・・。

私のように「経理専業」の人間がいる場合と、いない場合では、証憑をスキャンしてPDF化するのも結構大変なのです。

「スキャナ保存」への取り組みは、これらの障害を乗り越えていける「大義」を探して、それを実現していくことになるのでしょう。

「先にやるべきコトがあるだろう」というツッコミは承知のうえですが…

先週は何かと忙しかったこともあり、「【読書感想】 『心が折れる職場』」でしのごうとしたのですが、記事登録後に即公開。

火曜更新を維持したい執念で下記書きました。

少々短いのですが、ご容赦を。

さて、「スキャナ保存」を実施するにあたり必要な機器、ハード編2回目はタイムスタンプと保存場所についてです。

本来、タイムスタンプとスキャン後のデータ保存場所は別の話ですが、現実には両方を同時提供するサービスが存在します。

これは、過去のタイムスタンプが必要とされた事象は大企業を対象としたものでしたが、今回の制度はもっと規模が小さい企業も対象としたすそ野が広いものなので、ここに商機を見出したのでしょう。

そもそも、制度的には次のような制約があります。

タイムスタンプについては、国税庁HP 電子帳簿保存法Q&A(平成27年9月30日以後の承認申請対応分)に、

問46 一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプとはどのようなものでしょうか。


があり、必要なタイムスタンプについて定義を解説しています。

実際のところ、タイムスタンプ業界にいない経理部員にはこの解説ではさっぱり分からないため、いろいろあった結果、当業界の大手2社に行き当たることになります。

セイコー タイムスタンプサービス


アマノの認証サービス事業「e-timing」


ただ現実としては、じゃあこれを買ってきた後どうすればいいの?とか、お値段的に割に合うのかという疑問がつきまといます。

この「値段的に」という感覚は大切で、「スキャナ保存」を導入する可否について費用対効果の査定は、事前にしっかり検討しておくべきでしょう。

なんとなく勢いだけで導入を検討すると、たぶん費用ほどの便益がない、という結論に行き着くはず…

この費用と便益のギャップを埋めるのが、制度導入の「大義」であって、ここをしっかり理論武装しておかないと、たぶん「検討不足」で稟議を決裁してもらえないと思います。

さらにもう一つ、検討が必要なのがスキャンして電子化したデータをどこに保管するのか、という問題です。

保管方法が「紙」しかなかったときには考えもしなかった論点に思い到ります。

「電子化したデータは自分の業務用PCに保管すればいいじゃん」は、次のようなリスクに行き当たります。

・うっかり消去してしまう
・ハードディスクがクラッシュしてしまう
・ウィルスに感染してPCが起動しなくなったり、情報流出を起こす

などなど。

これらを考え始めると、タイムスタンプにしてもデータの保管場所にしても、一筋縄ではいかないのです。

次回は、これらについてもう少し考えます。

「スキャナ保存」シリーズの途中ですが、本業多忙につき、今回は作成負担の軽い読書感想いきます。

こちら↓です。

『心が折れる職場』 見波利幸 日経プレミアシリーズ

・タイトルも章題もいい!

私でも新聞広告で2,3回は見たくらいですから、きっと他にもいろんなところで広告していて、見られた方もたくさんいるはず。

私が見た広告では、目次を書き出した構成になっていたのですが、その書き出してある章や小節の題がとても巧みです。

こんな感じです。

・働かないシニアはどこで「やる気」をなくしたか
・なぜ異動で公務員は不調になり、銀行員はなりにくいのか
・「アドバイス上手」な上司が部下の心を折る
・急に太る人が続出した職場は要注意
・90分のメンタルヘルス研修で、不調者が増える理由

みんなが疑問に思っていそうなことや、社会通念の逆を書いてあったりして、読みたい意欲が高まります。

本書、きっとよく売れたことでしょう。

・本書が実務的であるところ

本書の特徴は、まさに「常識を疑え」から、現実的な提案を提示するところです。

P.151 「規則正しい生活習慣」の無意味性

表面的な研修のもたらす問題についてもう少し見てみましょう。たとえば、よくある90分のメンタルヘルス研修で必ずと言っていいほど登場するのが「規則正しい生活習慣が大切」というフレーズです。

(中略)

誰だって規則正しい生活習慣が望ましいことは知っています。しかし、仕事の実態に即せば、規則正しく働くことなど出来ないケースは多々あるのです。

にもかかわらず、「規則正しく生活しましょう」とありふれたことを言われても、ほとんど意味がないのです。むしろ、「今の勤務形態で、どうすれば規則正しくできるのかおしえてくれよ!」と、かえって不満が募り、ストレスを感じてしまいます。ますます研修に耳を貸さなくなってしまいます。


このあと、ではどうすれば良いかの提示があるのですが、ここでは省略します。

実現可能性を検討せずに正論を述べ立てる研修は、サービスを提供する側(会社側も含む)の業務としては必要ですが、現実には現場をさらに苦しめるもの。

本書は、世に正論と信じられている考え方への「ツッコミ方」を学ぶことができます。

正論の限界に到達した方は、読んでみる価値があると思います。

・受講者が眠ってしまう

本書では、「眠れない」、「寝付けない」という悩みをクリアする方法として、副交感神経を高めればよいと説きます。

問題は、ではどうすれば副交感神経が高まるのか、です。

この問題、裏を返せば研修中に受講者が寝てしまうのはどうしてか、という論点にも通じていると思います。

かなり強引な紐付けですが、もし、受講者が寝てしまうのだとすれば、それは講師が副交感神経を高めている可能性があるのです。

「寝てる方が質問も出なくて良いことだ」と悟られているのならともかく、「どうして寝てしまうんだろう」と思うのなら、自身の振る舞いについて検討するべきです。

さて、本書では、副交感神経が高まっている状況を次のように説明します。

P.157

副交感神経が高まっている状態とは、たとえば、こんなシーンを思い浮かべていただければわかりやすいと思います。昼休みにランチをとり、お腹いっぱいになる。そして午後一番の会議。その会議で発表や意見を言う機会はなく、ただ1時間ビデオを見なくてはいけない。そのビデオはすでに知っている内容で今さらとくに刺激もない。

もし、自身の講習スタイルが上記のような状況を作り出しているなら、受講者が寝てしまうのは生理現象でありいたしかたのないところ。

逆に、交感神経が高まるような授業をしないといけないのです。

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このように本書は、いろいろな観点で知見を得られる良書でした。

また、当記事では、本書の中でいわゆる「メンタルヘルス」について書いてあるところは、あえて紹介しませんでした。

「メンタルヘルス」部分は中途半端に紹介すると、著者の方の真意に沿わない内容になってしまうリスクがあるからです。

本書は、会社が義務として提供する通り一遍のセミナーに疑問を感じた方は、読んでみる価値があると思います。

領収書や請求書をPDFファイルなどに電子化して保存することを認めてくれる、というあれ(以下「スキャナ保存」という)の件です。

今回は「スキャナ保存」に関連するテーマのうち、「必要な機器(ハード)」について書いてみます。

制度を導入するにあたり、ハード面で必要なものは大きく次の3つだと思います。

・スキャナ

・タイムスタンプ

・電子データの保管場所

今回は「スキャナ」について、これまでの取り組みの中で気づいたことを書いていきます。

そもそも今回の制度は、「スキャナ保存」と当局も言うくらいで、スキャナで電子化を利用するところがポイントになっています。

この制度導入に取り組むまで私は、スキャナというと、コピーやファックスと一体になった「複合機」と言われる機械でしか利用したことがありませんでした。

そのため、「スキャナ保存が認められます」というご案内を初めて見たときの感想は、

・領収書や請求書はサイズや形がまちまちなので使えない

・全ての証憑が「片面印刷」あるいは「両面印刷」でそろっているならともかく、双方が入り乱れている現実には即していない

・スキャンしている間、複合機を占領してしまうので、その間、他の人が印刷物を出せない等の支障が出る

ので、制度導入は現実的ではないなあ、でした。

この感想をひっくり返したのは、前回登場したコンサルタントN先生から、「ドキュメントスキャナを使えば課題はクリアできる」とのご紹介でした。

先生のご紹介の一部を引用してみると、こんな感じです。

スキャナは、まず最初にコピー機のスキャナ機能を思い浮かべることが多いのですが、原稿台に並べてふたをしてボタンを押して、という作業になるので、非現実的だと思います。

そこで、スキャンに特化したドキュメントスキャナーが候補になります。

1台3万円位で、20枚くらい、大きさも厚さも違う領収書などが連続して一度に、しかも表裏同時にスキャンされます。

価格とともに性能が上がりますが、10万円位で50枚くらい連続スキャンします。


このご説明を聞いて私、とあるドキュメントスキャナメーカーさんのモデルルームへ現物を見に行きました。

試す気は満々ですので、経費の証憑を10パターン用意して、上記の10万円くらいの実機でスキャンさせてもらったのです。

実機を使ってみての感想は以下の通りでした。

・両面スキャンの設定でも、白紙の面はスキャンをスキップする機能がある

・スキャンスピードは確かに速い

・新幹線の切符のような厚紙から、向こうが透けて見えるようなペラペラの紙まで、ほぼ難なく吸い込むことができる

・サイズがマチマチでもセットに工夫すれば難なく吸い込めるし、文字の向きで紙の向きも補正してくれる

・難点もあるが、「OCR」という機能で活字は検索できるようにデータを拾ってくれる

他にもいろいろ便利な機能を備えていて、実機を使ってみて「スキャナ保存を試す価値はある」という感触を得たのです。

かくして、私は制度導入を実現すべく、動き始めたのでした

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なお本件も、前回の最後に書いたのと同じく、スキャナの難点というかリスクが存在していることを感じています。

このことについては、これまた前回同様に稿を分けて書くことにします。

前回の記事に、予想外に様々な反応をいただいて、少し気をよくしているB型が苦手です。

さて、領収書や請求書をPDFファイルなどに電子化して保存することを認めてくれる、というあれ(以下「スキャナ保存」という)には世の関心の高さを感じます。

先日、TKCさんのスキャナ保存をテーマとしたセミナーに出席したのですが、なかなかの盛況でした。

この制度は、うまく活用できれば様々な問題をクリアできる可能性があると思います。

今回は、スキャナ保存に取り組むにあたって考えた、「現実」への問題意識と、近づきたい「理想」について書いてみます。

私の問題意識は、次の二つでした。

(1) 保存場所

私の勤務先では、書類を段ボールに詰めて年間単位で保存しているのですが、箱数は明らかに増えています。

世の中にパソコンとプリンターが普及し、コピーのコストも昔よりはるかに安くなったこともあり、会計伝票とそれに付随する証憑のボリュームが、20年前よりもはるかに増えたのです。

それに加えて、税法の書類保管期限が伸びたこともあり、保管しなければならない箱は増える一方で、もう保管スペースに余裕がありません。

スキャナ保存は、この書類の増加を食い止められる、救世主に思えたのです。

(2) なんでも「紙」で仕事する文化を改めたい

そもそものところで、紙に印字されているということは、誰かがパソコンか何かでデータを入力して、それを出力しているということです。

せっかく誰かが入力しているのに、「紙」という汲み取りようがない形式で次工程に渡すことから、次工程の人も再び入力しなければならないという事態になっているのです。

この状況は、次工程の人はもちろん、前工程の人にとっても望んでいるものではないでしょう。

それでも紙を介して情報の受け渡しが行われる強力な要因は、税務上の根拠資料は絶対に「紙」で残さなければならない、という制約があったからだと思います。

ところが、様々な条件はあるものの、税務側が「紙」を絶対の条件としないところへ降りてきてくれるのであれば、発想が自由になる部分が出てきます。

「それ、税務署も電子ファイルで認めてくれるよ」となれば、なんでも体裁を整えた書類を作るのではない、新しい業務のやり方をひらめくかもしれません。

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上記の問題意識に加えて、会計士のN先生(取組み中のプロジェクトがこちらの都合で座礁するリスクがあるので、今は名前を伏せる)から教えてもらったキーワードが「効率化」でした。

(3) 探す時間を減らせ

事務員の勤務時間中の行動について、とある調査の結果分かったことは、事務員は勤務時間のうちけっこうな割合で「捜し物をしている」ということだったそうです。

この「探し物をする時間」を減らす方法の一つが、書類を電子保存することで、効率的に捜し物をできるようにするということなのです。

・紙の束の山の中から、1枚を探し出さなければならない

・その紙がどこにあるのか、特定の人しか分からない

こういった状況を改めるために、書類を電子化し、検索できるように必要なキーワードを付し、例えばサーバ内の特定の場所に保存するようにするのです。

こうすれば、紙の束を一枚ずつめくる作業はなくなるし、そもそも部外者はどこにあるのかすら分からない、という状況がなくなります。

営業さんから経理への「あのときのあれなんだったっけ?」というお問い合わせに対し、「データ保管場所へのアクセス権を渡すから自分で探せ」と答えるようになれるかもしれません。

こうなれば、経理が各部からのご希望に答えるために倉庫へ行って、請求書をひっぱりだしてくる、という状況を解消できるのです。

また上記の状況になれば、TKCさんのセミナーで講演されていた方によれば、税務調査対応も大きく変わったそうです。

調査官にデータの保存場所へのアクセス権を付与することで、調査官が自ら検索し、自ら印刷するようになります。

調査官から17時に至って大量の付せんが貼ってある案件ファイルを渡されて、「明日コピーをください」というあれがなくなったそうです。

こういう形で作業時間が減るのであれば、まさに生産性の向上につながるはず。

これは魅力的です。

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とはいえ、ここまでさんざん書いてきた「理想」ですが、とはいえねえという「現実」があるのも事実。

メリットがあればデメリットもあるものです。

次回ではないものの近いうちに、私が思うデメリット、というかオナヤミ、心配事を書いてみます。

2016年度が始まって第1四半期決算も担当パートはほぼ収束。

会計も税務も本年度は今のところ目新しい論点がなく、B型会計士も淡々と監査している模様。

少し緊張したのは、税金計算の税率を置き換え作業したところでしょうか。

『税務通信』 NO.3413の「全国都市法人住民税率・事業税率一覧」を重宝しました。

税金計算ソフトを使えば悩まないで済むですが、各種項目をきっちり登録しないとグダグダになってしまうのがソフトの扱いの難しいところ。

ということで一発目の数字を作るときは、エクセルで手計算することにしています。

だから税率改正時は、いつもよりも気を遣う、というお話でした。

さて、前置きが長くなりました、本題は以下ですがあくまでも予告編とご理解ください。

「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存」を導入すべく、年初より取り組んでいます。

領収書や請求書をPDFファイルなどに電子化して保存することを認めてくれる、というあれ(以下「スキャナ保存」という)です。

動機としては、証憑の保管場所が逼迫していることから、これを導入することで、保管書類を削減しようということです。

ただ過去にさかのぼって「スキャナ保存」することは認められませんので、まずは出血を止めて、保管年限の到達したものから順次捨てていくという流れです。

これからの導入なので、捨てられるものを捨てきるまでには10年くらいかかる、気の長い話になります。

しかも、とにかく早く導入して成果(先月もらった領収証の現物をシュレッダーする姿を見せること)を周知したいことから、まずは規模の小さい子会社で取り組むことにしました。

予算措置もなんとかクリアできたので、ハード面で必要なシステム環境作りもメドがついたはず。

あとはこれから約2ヶ月のうちに、諸々の規程といったソフト面を整備して届出書を税務署に提出すれば、2017年から本番適用開始できるかな、と目論んでいます。

こういった流れの中で、以下のような項目についてこれから書いていきたいと考えています。

・必要な機器(ハード環境)

・スキャナ保存に係る社内規程(ソフト環境)と税務署への届出書

・理想と現実

・「理想」への疑問

・周囲への波及効果

現在進行形のお話なので、「連載」という形にはなりませんし、途中で軌道修正する可能性もあります。

でも、もし同じ試みを検討している方の参考になれば、あるいはこれから取り組まれる方にとっての「しくじり先生」になれば、と思います。

気の長い話になりそうですが、お付き合いください。

本業がハイシーズンにつき、休業いたします。

四月から続いてきたこの繁忙も、今月さえ乗り切れば・・・と思います。

今さらではありますが、先ごろ各所で話題になっていたこちら↓を読みました。

『内部告発の時代』 深町隆・山口正義 平凡社新書

本書の意義や、「内部告発」についての考えはともかくとして、いつものごとく本書を彩る興味深い部分をご紹介します。

・オリンパスが倒産するほど追い詰める必要はない

オリンパスさんのとばし事件に付随して、そのほかの不祥事記事を書いていた記者さんが以下の引用文の通り述べられます。

P.63 数多くいたオリンパス社内の情報提供者

ただ、この件で二度ほど記事を書いたところでそれ以上の追及は止め、矛を収めることにした。オリンパスが倒産するほど追い詰める必要はないし、やり過ぎると改竄に関わった社員に責任を押し付けてクビを切ってしまう恐れもあったからだ。

追及する側が適当なところで「矛を収める」ことに、意外性を感じます。

「倒産するほど追い詰める必要はない」というのは、実力なのか、はたまた強がりなのか…

記者さんの胸先三寸次第、ということは、キミ分かっているよね、ということなのかもしれません。

・経理、人事、総務などの本社管理部門の人材レベルは低い

こちらは内部告発をされていた方が書かれた部分からご紹介。

同業者ゆえに気になった一文です。

P.155 オリンパスという会社

技術オリエンテッドの会社だけに、開発・製造には優秀な人材を擁し、年間の研究開発費も連結売上高の7%前後、金額にして700億円程度に達するなど、会社の規模の割には潤沢だ。東京・八王子にある技術開発センターや福島県会津若松市や白河市、青森県黒石市の内視鏡関連工場は活況を呈している。
一方で、西新宿の本社ビル内の14階、15階にある経理、人事、総務などの本社管理部門の人材レベルは低い。
このアンバランスがオリンパスの大きな謎の一つである。

まあ、オリンパスさんの件は会計上の事件という括りになってしまったので、開示させてしまった経理の責任、という理解があることは分かります。

そのため、どうしてもオリンパスさんの経理さんが、「ゴールを決められたゴール・キーパー」、「サヨナラヒットを打たれたストッパー」的な目で見られるところがあるのでしょう。

リアルのお知り合いは一人もいないので実際のところはさっぱり分かりませんが、自分も勤務先で同じようなことが起きてしまったら、引用文のように書かれてしまうことを想像すると、惧れを感じます。

・社員の秘密を暴き、弱みを握る

これはすごい、と感じたのがこちら↓

P.215 内部監査部門の切り離し

また、これまで、社長直轄だった監査室が、菊川会長の直轄となった。監査室は経営者の指示を受け、内部監査を行う部署である。この組織は、山田氏の手先となって社員の秘密を暴き、弱みを握るので「ゲシュタポ」と恐れられていた。菊川氏直轄となったのは新社長ウッドフォード氏に、粉飾決算に関わる情報が漏れるのを警戒したための措置と私は考えている。

内部監査で「社員の秘密を暴き、弱みを握る」ことができるとのこと。

会社メールを閲覧していれば、小は「飲み会の連絡してた」から、中は「お仕事週報ブログを書いている」、大は「社内恋愛」「取引先との貸し借りを精算するすこし不合理なお取引」まで、様々なことは分かるでしょうが、それでみんなが言うことを聞くようになるものなのか…
でもそれができたから様々な不都合をクリアできたのでしょう。

ここまでくると、内部監査部門もやりがいを感じられるのかもしれません。

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冒頭にも書きましたが、本書の意義は今回ご紹介した部分ではありません。

ご紹介部分はあくまでも本題を彩る多彩なエピソードのごく一部。

今後は内部告発が増えるだろう、という予測はこちらにもある通り。

東洋経済オンライン:アベノミクス終焉で日本はかなり厳しくなる


今の日本企業には、理不尽な、ときに順法精神に背くような要求をさせられ、「自分たちは虐げられている被害者だ」と思っている従業員が多くいます。従業員の不満が溜まっている中にコーポレートガバナンスや内部告発制度が出てきたので、隠れていた不正が表に出るようになってきました。

立場はともかく、本書を読むことで来るかもしれない危機への心を準備を進めておくべきなのでしょう。

いろいろあって、採用面接をする側に回ることになりました。

そもそも今まで自分が面接を受ける側になることはあっても、合否を判定する立場になったことはありません。

あと気になっているのは、会社として何らかの面接者教育をする様子がない。

ということでなんとなく問題意識を感じて買ってきたのがこちら↓

『採用・面接で「採ってはいけない人」の見きわめ方』 松下直子 同文館出版

いったいどんな人が面接に来るのか分かりませんが、明らかにダメな人くらいはその判断をできるようになっておかないと、後工程の人たちに迷惑をかけてしまう、と考えた次第です。

本を読んだだけでできるようになるか分かりません

成果の報告は後日(真の結果が分かるのは何年も先かもしれません)として、読んだ本は弊ブログと畑違いですがとても面白かったので、興味深いところをご紹介してみます。

・採用ミスは、職場メンバーの時間を食い潰す

本書では冒頭に、採用ミスを犯すとどんなことが起きるか解説します。

例を挙げると、こんな感じです。

P.20  3 採用ミスは、職場メンバーの時間を食い潰す

会議という時間の使い方ひとつ取っても、その本質を見れば一様ではないのです。
みなさんの会社では、社員の方々はいったい何にエネルギーを使っているでしょうか。また逆に、もっと何にエネルギーを使うべきだと思っているでしょうか。
採用ミスは、この時間の使い方の中で職場の「心理ゲーム」を増やすことにつながりかねません。ミスマッチの当事者が、心理ゲーム戦を周囲の方々に持ちかけるからです。
もちろん、本人にはそのような意識はありません。また周囲だって、そんなゲームを持ちかけられたという認識はないでしょう。
だからこそ、ゲームは何度も繰り返され、職場メンバーの「時間泥棒」になるのです。

ちなみに、「心理ゲーム」については次のように解説されています。

※ゲーム
相手を、自分の思い通りにコントロールしようとして行われる非生産的なコミュニケーション。好意を持つ相手に、わざと嫌がらせや挑発をしたり、会話の取っかかりとして皮肉めいた批判や意地悪な発言をするような時間の使い方

いますよね、表現は違うけどいろんな「駆け引き」を仕掛けてくる人。



狙いはなんであれ、自分が周囲よりわずかでも優位に立とうとしたり、自分をおとしめるようなことを言いながら、かえって同僚を非難したりしてきたりと、いろいろなパターンがあります。

非生産的な作業を好まれる方は、できるだけ招き入れたくないものです。

・やはり同様に上司と後輩しか現れてきません

画像の引用をしないので、言葉だけで簡潔に以下の内容を伝えようとしますが、うまくいくかどうか。

その人となりを知るツールとして、こういう↓ものを使うそうです。

・タテヨコの直線で十文字に区切り(四象限のマスをイメージください)、タテ軸を年上(年上)/目下(年下)、ヨコ軸を社内/社外の軸とする。

・中心点を自分として、中心から近い人たちの名前を書き出していく。

P.146

坂本先生(引用者注:このツールの開発者)のひとつの結論はこうです。ローパフォーマーといわれる方にこのシートを書いていただくと、上司や後輩といった人間関係しか出てきません。
(中略)
同様に、40代になってもうだつが上がらないといわれている方にこのシートを書いていただくと、やはり同様に上司と後輩しか現れてきません。

引用部分を読む前に試しにやってみたところ、上司と後輩しか名前が出てこない…

ツールから判定すれば、「ローパフォーマー」にして、「うだつの上がらない」に該当しています。

他社の入社試験を受けに行ってこれが出てきたら、合格する気がしません。

いまの職場にしがみつくしかないようです。

ちなみに、本書にはこういう記述がありました。

P.149 コラム

その応募者の、高校や大学の先生に対する印象は、ぜひ確認してみてください。
学校の先生に対する受け止め方は、その方が組織に入ってから、上司に対する受け止め方に転嫁しやすいといわれています。学校の先生に対して「つまらない先生ばかりだった」としかいえない方は、組織に入ってからも、「うちの会社は、魅力のない上司ばかりだ」といいかねないからです。
もちろん人間ですから相性もありますが、これまで生きてきた人生の中で、人を尊敬するという感覚を持つことができない方は、組織に入ってから、よほどの出会いがない限り、その感覚がわからないのです。

これは勉強に対しても同様とのこと。

こういう質問は投げかけてみる価値がありそうです。

最後にこちら。

・「仕事」を探すのではなく、「組織」を探せばいいのだ

P.205 2 採用担当者も、応募者から「見られている」

応募者たちも、騙し合い、化かし合い、負かし合いのような就職活動からそろそろ抜け出したいのでしょう。「仕事」を探すのではなく、「組織」を探せばいいのだということを、就職活動の応募者も理解しはじめています。

いっとき、「就社」ではなく「就職」だ、という文言が流行ったことを覚えています。

また、「正社員」を「社畜」と罵っていた風潮があったことも知っています。

世の流行り廃り、というものなのでしょう。

私のところへ面接に来る人は「経理職」を求めてやってくるのか、はたまた、「社風」に惹かれてやってくるのか。

外からリサーチして、どれだけ正確に「社風」や「風土」を知ることができるのか分かりませんが、それでも「入ってみたいな」と思ってもらえる「組織」は作っていきたいものです。

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