もはや旧聞ですが、気になっていた記事がこちら。
『週間税務通信』 NO.3219 7月2日号 「特官所掌法人を対象に企業統治に係る確認票の記載を依頼」
国税庁は、特に大規模な法人を対象に、「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組」をはじめている。
(中略)
昨事務年度(平成23事務年度)から、税務調査対象の特官所掌法人に対して「税務に関するコーポレートガバナンス確認票」(以下、確認票)の記入を依頼し、企業のトップマネジメントとともに意見交換をしながら、税務コンプライアンスの維持・向上を推進している。
とのこと。
この「確認票」、一部抜粋すると以下のような項目について「実施状況」を聞いてきます。
1.トップマネジメントの関与・指導
②税務コンプライアンスの維持・向上に関する方針のトップマネジメントによる発信
(例:社内LANに掲載、研修で伝達など)③税務に関する社内監査結果や税務調査結果のトップマネジメントの指示・指導
2.経理・監査部門の体制・機能の整備
③税務精通者の養成・確保
(例:外部研修を受講させている、経理事務に長く従事
させる、税理士の中途採用など)④経理担当部署等による税務に関する社内監査の実施
3.内部牽制の働く税務・会計処理手続の整備
②税務処理手続の明確化(例:マニュアルの作成など)
④不正な会計処理などの情報に関する内部通報制度の整備
4.税務に関する情報の社内への周知
③税務調査結果及び再発防止策の社内周知
5.不適切な行為に対するペナルティの適用
①仮装・隠ぺいを行った社員に対する懲戒処分などのペナルティ制度の整備と運用
脱税行為を推奨するような会社ではなく、普通の会社であれば上記のような対応は当然のこととして行われているはず…
ただ、この「税務」だけを取り立てて実施しているかといえばそうではなくて、「コンプライアンス」というくくりの中に含まれているのが実態ではないでしょうか。
ですので、上記の質問にまじめに回答しようとすると、なかなかたいへんなはずです。
相手は国税局ですから、その「証拠」を確認することにためらいはないでしょう。
こんなことで、あいまいな資料を提出して、調査官の心証を害したくないところです。
まあ、啓蒙的な性質の書類のようですので、この書類自体でどうこう言われることはなさそうですが。
ただ、この「確認票」、「おおよそ資本金40億円以上である特別国税調査官所掌法人が対象で、全法人の0.02%(約500法人)」に行われているので、私の勤務先はセーフ。
ヨカッタヨカッタ、というところですが、こういうのはえてして対象が拡大されていくものです。
そう遠くないうちに私の勤務先でも、税務調査初日に「確認票」の提出を要請される日が来そうな気がします。
あともう一点、気になるのは本件に関する情報が、ググってみても「税務通信」のHP以外、ちっとも出てこないことです。
紙の「税務通信」には、「大企業の税務コンプライアンスの維持・向上に向けた取組事例」と題する国税庁発出風の文書も掲載されているのですが、国税庁HPでは見つかりませんでした。
ということは、まだまだ大企業だけを対象にした取組である、という扱いなのでしょう。
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