金融庁HPにて、3月26日に開催された企業会計審議会の議事録が公表されています。

3月26日開催 企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議議事録


会議から約2週間での公表ですので、これはとても早い。


金融庁のやる気を感じます。


いつものごとく、私視点のレビューを書いてみました。


・内容のほとんどは報告に占められていた


今回の議事録は、七割方、監査部会からの「不正リスク対応基準(案)」の報告と、金融庁からのIFRS関連の報告が占めています。


延々と報告者による配布資料の解説が続くので、あまり面白いものではありません。


委員の方の意見陳述や、その意見に対する異論のやり取りがある方が、議事録は面白いです。


・実証研究の成果


そんな意見が少ない会議の中、司会の会長が最後に研究成果の報告を促しました。


○安藤会長


(前略)なお、利益については、最近、大日方委員が実証研究で本を公刊されておられますが、よろしければ、全く打ち合わせなしですが。実証研究で得られた知見、非常に貴重な知見があると私は拝読いたしました。できれば簡単にお願いします。



○大日方委員


もう既にアメリカとヨーロッパについては、企業の利益率が平均に回帰すること、つまり、のれんの価値は持続するものではなくて、ごく短期間のうちに消滅すると報告されています。わかりやすく言えば、のれんは規則的に償却したほうがいいという結果がアメリカでもヨーロッパでも出ていたわけです。


今回私が分析しましたのは日本企業について(非上場も含みますけれども)、約20万社を対象に23年間について研究したところ、それと同じ結果が得られ、やっぱり、のれんを規則的に償却するのが合理的であるという結果が出ました。


主要な分析結果が、あと2つあります。2番目は、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前利益、当期純利益の5つについて、利益の持続性が違っていることです。持続的であるというのは、今期得られた利益が翌年も同じように得られることをいいます。持続的でないというのは、今期黒字でも来年はよくわからないというあやふやなものだということを意味します。経常利益というのは非常に持続性は高い一方、税引前利益及び当期純利益の持続性は非常に低いことがわかりました。つまり、日本の区分計算において、異常臨時なものを経常的なものから分けている方式はきわめて重要で、これは投資家にとって非常に役に立つはずだといえます。持続的であれば将来を予測しやすいからです。どうなるかわからないものは予測しにくいので、両者を分ける区分計算は非常に重要だということが2点目です。


3点目は、海外では時系列で会計の利益の安定性が低下しているのではないかといわれています。その原因としては、会計基準が陳腐化したのではないかと、推測されています。つまり、ハードな物をつくる側からソフトなサービス提供へと経済が移ったために、今の会計モデルは陳腐化し、利益の持続性は時系列で低下しているのではないかという話があります。当然それに対して反論もかなり多くて、決着がついていなかったわけです。今回の私の研究では、利益率が産業平均に収束していくという部分を除いて考えて、きちんと検証すると、必ずしも利益の持続性は低下しているとは言えないことがわかりました。現在の会計モデルは日本のようなものづくり型会計モデルと言われることもありますが、現行の会計基準が時系列で役に立たなくなってきているとか陳腐化しているという証拠は得られなかったということが3点目です。


つまり、わらわれは日本の会計制度にたいして、そんなに自信を失う必要はなくて、日本の会計制度の合理性を信じていていいというのが私のメッセージです。


(強調は、すべて引用者による)


論旨は明快ですので、あとは大日方先生の新刊書を読んで、その根拠を確認したいところ…


新刊書はコレカナ↓


『利益率の継続性と平均回帰』 中央経済社 大日方隆 4,620円


興味深いのですが、4,620円をお小遣いで賄うのはちょっときつい。


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