2015年08月

中国株式市場の暴落と世界連鎖

2015831日                  

(要  旨)

・上海株式市場は6月中旬の最高値から824日までの下げ幅37.9%。その影響を受け、日本、米国の株式市場なども1020%下げた。824日には上海株式市場は大台の3000ポインを割った。826日、中国人民銀行(中央銀行)の追加金融緩和政策を発表したのを機に3000ポイントを回復。

・中国発の株価暴落の主因は、“景気減速”である。代表的な指標である製造業購買担当者景気指数(PMI)を見ると、8月の速報値は47.1で、20093月以来、約6年半ぶりの低水準であった。内需や輸出がしだいに減少しており、今後、大幅な景気減速の懸念は払拭されていない。

・中国当局は下げ止まらない株価に対して、金融・株価両面のテコ入れを実施したにもかかわらず狼狽売りは終息しなかった。これは、習近平政権の市場維持策に対し、投資家の信用が低下している証左である。対策の中身も異例づくめである。

・今後の中国の株式市場の行方は、中国経済の成長如何にかかっている。現状の中国経済は粗材、建設機械、自動車販売などの生産調整下にあり、減速経済は続いている。習近平政権は政策を総動員して景気の底割れを防ぐ構えである。

・しかし、株暴落は、党指導型経済の限界を示している。党による市場コントロ-ルが続く限り、危機の収拾は困難ように思える。GDP世界第2位の中国経済のバブル崩壊、次もバブルという循環は、引き続き国際経済への脅威は続くと思われる。

 

【株価暴落】

 (推  移)

・中国の実体経済の悪化を反映した上海株式市場(参考)の株価(上海総合指数)は、6月中旬の最高値から824日までの下落率は-37.9%。この中国の下げは世界の株式市場にも波及する。米国NYダウは最高値(5/19)から-10.1%、日本日経平均は同(6/24)から-11.2%、ドイツDAXの同(4/10)から-20%と、いずれも大幅に下げた(1)。その後、一進一退を繰り返し、下げ基調で推移。

・8月24日、上海総合指数は引き続き大幅続落し、前日比7.63%安の2964.97で取引を終え、節目の3000ポイントを割った。同日NY市場でダウ平均下げ幅が一時1000ドルを超えるのは史上初めて、日経平均株価も895円安、825日、一時294円高であったが、終値は793円安。NY株は588ドル安で株価は乱高下し、西側の株式市場は中国経済の先行きへの不透明感を払拭できない。

826日、中国人民銀行(中央銀行)は株価暴落に歯止めをかけるため、金融機関の基準金利を引き上げる追加金融緩和を実施したが、上海株式市場の反応は鈍かったが、827日買いが入り、3000の大台を回復し、3083.59で引けた。東京、NY株価は大幅に上昇する。

・今回の上海発の株式市場の暴落は世界の株式市場へ波及し、世界は暴落の連鎖となる。株価暴落は党指導型経済の限界そのものである。党による市場コントロ-ルが続く限り危機の収拾は困難ように思える。GDP世界第2位の中国経済のバブル崩壊、次もバブルという循環は国際経済への脅威は続くと思われる。

【要  因】

・中国発の株価暴落の要因は、“景気減速”が挙げられる。代表的な指標である製造業購買担当者景気指数(PMI)を見ると、8月の速報値は47.1で、20093月以来、約6年半ぶりの低水準であった。内需や輸出が減退し、今後、大幅な景気減速の可能性が懸念される(2)

・内容を見ると、ほぼすべての項目が悪化。生産は約4年ぶりの低水準となり、国内受注・輸出需要の縮小は加速し、企業は人員整理を増やしている。同指数は景況感の改善と悪化の分岐点となるのが50で、50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を表す。

【政策対応】

・下げ止まらない株価対策(金融面・株価面)として、下記は、中国国務院が7月以降の株価へのテコ入れ策である。だが、今回は政権がいくら対策をとっても、狼狽売りの流れは終息しなかった。これは、習近平政権が支える市場に対し、投資家の信用が低下している証左である。対策の中身も異例づくめで、売買停止銘柄株主による持ち株制限などを相次いで発表された。

・自社株の下落を恐れる企業は相次いで売買停止を申請し、売買停止銘柄が1300を上回り、全体の半数を超えた。なりふり構わぬ株価維持策は市場の価格形成を歪める恐れがある。この背景には、習近平政権は株式市場の混乱が政権への批判や社会不安に繋がるのを避けたいとの見方がある(3)。なお、中国は6月中旬からの下落局面で、官民合わせて少なくとも4兆元(80兆円)の資金を投じて株価の下支え策を続けたが水の泡となった(4)

(金  融)

★預金準備率:250.5%下げ、4201%下げ。

★利下げ:310.25%511日0.25%6280.25%

★人民元基準値調整:8112%切り下げたのを皮切りに12日、13日、都合34.5%を切り下げた。

★中国人民銀行は825日夜政策金利である金融機関の貸し出しと預金の基準金利0.25%金 融機関から預金の一定割合を強制的に預かる預金準備率を0.5%、それぞれ引き下げる追加金融緩和を決定。

(株  価)

7/01:株式手数料の3割値下げ。

7/03:株価急落を受け、相場操縦の可能性を調査し21銘柄の売買停止自宅も信用取引の担保に容認。

7/04:大手証券会社21社に対し総額1200億元(24000億円)以上を上場投信信託に投じるよう命令。

7/08:売買停止の銘柄が1300以上と全体の半数にまで拡大した。国有企業に自社株買いを勧告。

8/23:年基金に総資産の最大3割まで株式投資を認めるという新しい規制を発表。

【所  見】

・今回の上海発の株式市場の暴落は世界株式市場へと波及し、世界は暴落の連鎖となった。株価暴落は党指導型経済の限界そのものである。党による市場コントロ-ルが続く限り、危機の収拾は困難ように思える。GDP世界第2位の中国経済のバブル崩壊、次もバブルという循環は、国際経済への脅威の連鎖は続くと思われる。

・中国政府は外国人の株取引を制限しており、市場の8割は個人投資家が占める。多くは売買経験が少なく、政権の意向でその投資動向が左右されやすい。このように中国政府は市場と国家統制の狭間に押し込めている。習近平国家主席は“国家統制”による勝利を志向しているよう思える。習近平は統制の象徴である(5)

・今後の中国の株式市場は、中国経済の成長如何にかかっている。現状の中国経済は粗材、建設機械、自動車販売など生産調整下にあり、減速経済は続いている。しかし、習近平政権は政策を総動員して景気の底割れを防ぐ構えである。株価の下押し懸念は続き、G7の株式市場は今後とも不安定な状況下に置かれることは必至。再度、中国発の株式の暴落は十分ありえる。中国経済と密接な関係がある日本としても、今後、中国経済を注視することが重要である。

()

 (1)「朝日新聞」2015824日。

(2)「北京発ロイタ-」2015821日。

3)「産経新聞」2015715日。

(4)「産経新聞」2015825日。

(5)「英フィナンシャル・タイムズ特約」日本経済新聞2015828日。

 

(参考)世界の証券取引所ランキング(2014年末)をみると、以下の通り。

1位:NY証券取引所(時価総額19.35兆ドル/シエア27.90%)

2位:米ナスダックOMX(6.98兆ドル/10.06%)

3位:東京証券取引所(4.38兆ドル/6.31%)

4位:ロンドン証券取引所(4.01兆ドル/5.79%)

5位:上海取引所(3.93兆ドル/5.67%)

(出所)「国際取引所連合」(WFE)

               (グローバリゼーション研究所)所長 五十嵐正樹

  

最近のイランの対中経済関係

2015819

 

【制裁解除後の動き】

(凍結資金の解除)

・イランの核問題を協議していたイランと欧米6カ国は7月14日、解決に向けた最終合意に達した。これにより、イランは核開発を最大15年間制限(高濃縮ウランなど製造・取得せず)される代わりに国連安保理事会や米国、欧州などのよる経済制裁は段階的に解除される見通しである。ナザルアハリ駐日イラン大使は8月9日サンケイビジネスアイのインタビュ-に応じ、「制裁解除は来年1月頃と思うが、今回の合意で海外の金融機関はイランと取引しやすい環境が整った」(1)

・イランへの制裁解除によって、これまで凍結されていた1000億ドル超(123000億円)の資産の利用などが可能となる(2)。また、イランは世界4大石油生産国の一つで、経済制裁が解除され、イラン産原油が国際市場に参入すると、原油相場には大きな影響を与えるのは必至。8月初旬にイランのザンキャネ石油相は、「同国への制裁解除が解除されれば、1週間以内に原油生産を増やすことが可能」と語る。

【石油輸出の本格化】

(イラン要人の訪中)

・中国の政府関係者と話し合いをするため、イランのザンキャネ石油相は使節団を率いて本年49日北京入りした。中国のエネルギ-分野の高官との会談後、記者会見で、①これまで以上に石油産業は中国企業との協力を継続する。②中国のCNPC(中国石油天然ガス集団)SINOPEC(中国石油化工)の幹部と会見し、これまで以上に協力強化を図ることで一致。

(増産基調で推移)

IEA812日、イランが経済制裁解除後に、原油生産を最大で日量73万バレルになる可能性。IEAの推定によると、7月のイランの生産量は日量287万バレル。制裁解除後の数カ月で生産量が340360万バレルに達する見通し(3)

・中国関税当局の統計によると、イランは2014年、サウジアラビア、アンゴラなどの国々に次いで、中国の6番目の石油供給国。2014年のイラン産原油の中国への輸出は、2013年と比較して28%増加し、日量55万バレルに達し、中国はアジア地域において、イランの最大の貿易相手国である。中国関税当局の発表によれば、2014年の貿易総額は9185000万ドルで前年比72%増。

【本腰を入れる石油開発】

(油田への投資資金)

・アジアのイラン産原油の輸入国は、今年6月、昨年同月比13%増であった。イランは現在、産業と経済への復興のための詳細な計画を作成し、2020年までに1850億ドルの規模の契約を外国企業と締結する予定である。イランのザンキャネ石油相は、「原油生産を2011年レベルに回復させるため、油田への投資を少なくとも1000億ドルが必要」(4)

(イラン油田の誤算)

・オバマ政権は独自制裁を強めるため、中東最大級のアザデガン油田(埋蔵量260億バレル)の開発を進める日本の国際石油開発帝石(INPEX)に撤退を要請し、日本は201010月、同油田からの撤退を決定。その後、中国のCNPC(中国石油天然ガス集団)が参入し開発を進めたが、計画の185カ所のうち7ヶ所しか開発できなかったため、イラン石油省は、2014429日、技術不足の理由で中国との契約を打ち切った。最近、ナザルアハリ駐日イラン大使は、同油田の開発について、近く外資との契約に関する国際会議をロンドンで開くことを明らかにし、日本も十分チャンスはあると強調(5)

【原発導入とシェア】

・イランの副大統領兼原子力庁長官サレヒ氏は、中国がイラン南部に原発2基を建設することで両国が基本合意し、約3年後にオマ-ン湾沿いで工事が始まることを明らかにした。「イラン学生通信」が722日伝えた。この動きは欧米と中国6ヵ国との最終合意を受けて原子力分野における初の中イ協力が動き出した。

・イランとロシアは20141111日、イランの原発にロシア製原子炉8基を建設することで合意。このうちブシェール原発に建設する2基は同日、契約書に調印した。ロシア国営原子力企業ロスアトムの発表によると、ブシェ-ル原発に4基、他に4基の原子炉を建設する(6)

【外交攻勢を展開】

(SCOAIIB)

・イランのロウハニ大統領は、ロシア・バシコルトスタン共和国の首都ウファで行われる「上海協力機構」(SCO)BRICSの合同首脳会議に出席するため7月8日、テヘランを出発する前の記者会見で、「イランはSCO BRICSの加盟国と共に大規模な協力を確立する」と述べる。

・ロシアのコビャコフ大統領顧問はイラン大統領のウファ訪問の際、「国連安保理の対イラン制裁が解除されることでイランはSCOの主要加盟国となろう」(6)。イランは現在、オブザ-バ-国である。また、イランは、中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)34番目の国として参加を決定。在中国・イラン大使館は47日、「AIIBへのイランの参加承認が、中国財務部から大使館に伝えられた」と発表。

(頻繁な要人往来)

・ここ数年の両国要人の相互訪問をみると、20139月、キルギスの首都ビシュケクで習近平国家主席とイランのロウハニ大統領と会談、同年10月、イランのラリジャニ国会議長が訪中し、習近平国家主席、張徳江委員長及び楊潔篪国務委員らと個別に会談、同12月、楊潔篪国務委員が訪イし、ロウハニ大統領、ラリジャニ国会議長と会談。

2014520日から3日間、ロウハニ大統領は習近平国家主席の招待で、上海で開催されている「アジア信頼醸成措置会議(CICA)4回首脳会議に出席し、習近平国家主席と会談、20152月、王毅外交部長がイランを訪問し、ロウハニ大統領と会談するなど。

(イランとEU関係)

・イランの制裁解除後を見通して、EU諸国はイランの市場開拓(人口7800万人)に向けた動きが活発化。20157月「イラン・EU貿易投資会議」がオ-ストリア・ウィーン開かれた。同会議には、イランやオ-ストリアの経済関係要人、150社以上のヨーロッパ諸国の民間企業が参加した。注目されるのは、実績のあるドイツのイランとの経済関係の動き。

【所     見】

(中国と共通項)

・イランと中国との関係は、双方にとって米国は敵であるという共通項があり、時には対米戦略で共同戦略がとれる可能性もある。今後、基本的には両国の関係は相互補完できる国情にあり、大きくブレルことはない。最近の中国は,AIIB(アジアインフラ投資銀行)SCO(上海協力機構)で指導的な役割を果たしており、イランにとって制裁解除後の経済再建を図る上で、中国は益々重要である。

(石油は外貨獲得源)

・イランの生命線は原油輸出による外貨の獲得である。イランにとって中国は、最大の輸出先であり、今後ともこの関係は変わらない。但し、最近の中国経済は低迷し、世界経済の成長鈍化にも繋がることで、石油価格の下落をまねいていることから、イラン経済にも大きな影響をあたえる。

(経産省副大臣の動き)

・日本の山際経済産業省副大臣(商社など21社が同行)は本月89日、テヘランでイランのザンギャネ石油相やネエトザデ鉱工相と会談、同鉱工相は、「日本をはじめとする他の国々と論理的な関係を始める用意がある」と語る。山際副大臣も、「日本はイランとの長期に渡る戦略的な協力を歓迎する」と。加えて、ナザルアハリ駐日イラン大使は「出遅れ感があるがチャンスは十分ある」と語る。

2015819日付「日本経済新聞」(1)によると、日本政府は米欧がイランとの核協議の最終合意を受けて対イラン制裁の解除へ動き出したのを踏まえ、米欧制裁解除後すぐに制裁を解き、投資協定の協議を開始できるようにするとの情報を掲載。イラン側は日本企業からの投資拡大に期待している。

(高速鉄道計画)

・イランの高速鉄道整備について、「すでにドイツと中国がチャンスを狙うが、7月に東京で開催された高速鉄道整備に関し、ナザルアハリ駐日イラン大使は、「イラン政府が日本の新幹線のソフト面を評価し、前向きに検討したいとの報告書を出した。巻き返す機会はある」と指摘。イラン当局の日本への期待が大きい。加えて、イランは大変に親日的であり、筆者も2000年にイランを訪問した際、多くの経験をした。その背景の一つには、イランはアジアであるとの自負がある。

                                         (グロ-バリゼ-ション研究所)所長 五十嵐正樹

(注)
1)「SankeiBiz2015810日。

  (2)「イラン日本語ラジオ」2015531日。

  (3)「ロイタ-」2015812日。

  (4)「イラン日本語ラジオ」2015801日。

  (5)「イラン日本語ラジオ」2015810
6)「日本経済新聞」20141112日。

モッチャン・ナイチャンの異変

2015813

【猫様の48歳】

・ボス(筆者)の家にモッチャンとナイチャンが来てから8年の歳月が流れた。当初、どんな仕草をしても実に愛くるしい子猫であった。今や人間の年齢に換算すると48歳前後といわれている。その昔、石川達三の「48歳の抵抗」(1958/昭和33年)という小説が話題になり、書名が流行語までになった日本的な男性研究の原典である-主人公は何不自由ない毎日を送っているが、心に潜む後悔と不安を拭えない。この日常への「抵抗」を試みたのである。うら若き女性との不倫である・・・。この人間様の身勝手な軟な行動は猫様には理解できまいが、最近、我が家の雄猫のモッチャン(モッタ)とその妹ナイチャン(ナイ)は、ボスに対して直線的な、“48歳の抵抗”を始めたのである。

【厚顔無恥なボス】

・これまで、モッチャンはボスに対して、“面従腹背路線”を踏襲してきたが、このところ、無暗に抵抗する輩になった-ボスが頭を撫ぜると、爪をだして、右フック、左フックの妄動に出る。モッチャンは君主豹変し、顔は歪み、不信の極みとなる。このモッチャンの路線変更にボスは驚き、何故だ!自問自答すること仕切り。ナイチャンは終始、これまでの抵抗路線を堅持し、まるで、ベトナム戦争のベトコンのような徹底ぶり!兎に角、ボスの顔を見ただけで、まるで米兵を見たベトコンのように急遽、反転し、ボスの分らない秘密の場所に退散し、好機がくるまで、WAIT!
・厚顔無恥なボスの姿勢は人間様の世界では通用するが、猫様の世界では通用するわけない。このことをボスは未だに理解できない。ボスに対して不遜の態度を示すと、ボスは大声で猫族を怒鳴り散らす。猫の人間様への苦手の極みは“大声“である。即、人間不信に陥る。

【慕われる奥様】

・ボスと両人(モッチャン・ナイチャン)との関係修復は最早や絶望的である。それに引き替え、特にナイチャンはボスのワイフへの信頼は絶大である。常日頃、猫族への細やかな愛情を注いでいるワイフの姿を、毎日見せつけられるボスは只々終始“ダンマリ”-である。

・人一倍負けず嫌いなボスは真面目な顔して、関係修復を思案中の毎日であるが、でも、ボスの浅知恵は息詰まる。そんなボスを見ている猫様は終始冷静沈着に行動する。ボスは最近、猫様は人間様の深層心理を的確に判断できる不逞の輩とみる-終始、日常生活で単純な行動パタ-ンを繰り返すボスの振る舞いは読みとられていることになる。こんな猫様の振る舞いに猫嫌いな人間様は、猫は“薄情”と捉える。

【酷暑の中で】

・本年7月末から87日の8日間、東京は35℃の酷暑が続き、観測史上初の記録。これまで、モッチャンとナイチャンは涼しい(暖かい)所を探すのを天分としていたが、この酷暑では家中が暑く、涼しいところなどある訳がない。暫くはボスの目の付かないところで、仲よく寝ていたが、急にナイチャンの行方が分からくなった。ワイフは可愛いナイチャンを見つけるために狭い家中を探し回ったが見つからず、何処へ行ったのだろうと思案顔。こんな顔をこれまで、見たことがない。ボスは認知症などで行方不明になった時のことを想像しながらワイフの顔を改めて見ると、一抹の不安。

・ボスは人には、愚妻と紹介するが、ワイフとは、ここでは明らかにできないが、諸般の事情があり、顔が上がらないこの頃である。なんとか取り繕うかと、一案を考え、ワイフに擦り寄り、ワイフと共同戦線を張り、猫様を探索することになった。不明から4日後のある日の午後、ワイフの部屋に痩せこけたナイチャンが突如、精神を抜かれたような顔で立ち竦んでいるではないか!ワイフは、家中に聞こえるよう歓喜の叫びを発し、ナイチャンがいると・・・。ボスはナイチャンの異変の原因が酷暑であると診る。

【人生様々】

・我が家は3人の高齢者と壮年猫様のモッチャンとナイちゃんの5人家族である。近頃、猫様の二人(2)の日常生活の行状をみると、モッチャンは四季を通じて食欲旺盛、食後、睡眠を十分とる。猫時計が空腹を知らせると、おもむろに7キロの巨体をスイングさせ、何とか猫ドアをくぐり、近くのプラスチック製の赤い茶碗で、年中変わらない餌を食べる。近頃は酷暑なため、食欲は大分減り、専ら水を飲むことしきり。神経質なナイチャンは人間様の行状をみている。特にボスの“挙動不審”には細心の注意を払う。

・ワイフの母は最近94歳になったばかりである。週のうち三日は、デ-サビスに出かける。食欲はつとに旺盛で、好物のウナギの蒲焼には目がない。日頃は、専らお肉が好きで、首を傾げて、旨そうに食べる。その姿はボスには反面教師と映る。猫様はまったく、ワイフの母には関心を示さない。毎日、超高齢者は無理に表情をつくり、可愛い猫ね!と心にもないことを、か細い声で発するが、猫様は無表情で、高齢者の前を通り過ぎる。

・人生様々、猫様の生き様も様々である。ボスの家にモッチャンとナイチャンが来てから8年が過ぎた。人間様の3人は、この猫様にはどれ程癒されてきたかを、それぞれに感謝している。仮に、この猫様がいなかったらと、ボスは最近、考えるようになった。世間では若い人たちがスマ-トフォンにハマっているが、言わば、スマ-トフォン症候群(スマホ)の裏側は、孤独の毎日に苛まれ、現実から逃避をしている現象である。我が家はモッチャンとナイチャンがいるお蔭で、常に猫様が共通の話題としてあり、5人家族の会話が途切れることはない。

                                              ~猫シリ-ズ(その4)

                                         (グロ-バリゼ-ション研究所)所長 五十嵐正樹

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