2016年05月

広州市内のアフリカ人街の現状

2016年5月18日

〖プロロ―グ〗

広東省の総面積は18万平方キロ(日本の約半分/中国全土の1.9%)で、人口は1億849万人。省都広州市の人口は1308万人である(注1)。同市内には約20万人のアフリカ人が住んでいるといわれ、その多くは不法滞在者であるという。以下は、広州市内のアフリカ村の実態と、現状の中国の対アフリカ戦略である。

〖アフリカ村では〗

(実    情)

・香港に隣接する広州市は中国南部の最大の商業都市である。この街の一角に、20万人とも言われるアフリカ出身者が暮らす通称「アフリカ村」がある。広州駅から東に約2キロ小北路にある36階建て商業ビル「天秀大厦」。狭い通路から建物に足を踏み入れると、むせるような強い香水の匂いが鼻をつく。

・薄暗いビルの中に小さな卸売店が軒を連ねる。中国人が経営する小さな商店の店先には無造作に山積みされたカラフルな衣類や靴、電化製品-。コートにマフラーで身を包んだアフリカ系黒人が1000元(約1800円)札を握りしめながら真剣な表情で交渉。商談がまとまると、商品を黒いビニール袋に乱雑に放り込む。その間、笑顔なく何かに追われるように、そそくさと店を出ていく(注2)。

(アフリカの国々)

・アフリカ人は何処からきたのであろうか。アフリカ人相手にポロシャツなどを販売する卸売り店を5店舗経営する中国人男性(45)は「アンゴラ、ナイジェリア、南アフリカの客が多い」と話す。広州駅から北西約1キロにある「迦南服装城」で装飾品の卸売店を営む劉大偉さんは(53歳)、「ここ5年ぐらいで、アフリカからの客が増えた。カメルーン、マリ、ナイジェリアなど西アフリカ諸国の出身者が多い」と。

・多くのアフリカの人々は遥々広州を目指す目的は、「世界の工場」と呼ばれる広東省で作られる格安製品(衣類//雑貨/電化製品など)の購入である。アフリカ人相手のビジネスを始める中国人も急増中で、「一度に沢山買ってくれるし、ちょっと質が悪くても、安ければ気にしない。商売がやりやすい」と語る。広州駅そばのアフリカ人で賑わう服飾卸売市場の広大なフロアの一角に靴店を開く女性経営者(25歳)は流暢なフランス語で、ギニアやマリなど西アフリカ諸国からの常連客と商売。月に2~3万足は売れるという。

・これまでは、「広州白雲国際空港」からエジプト(カイロ)、エチオピア(アディスアべバ)、マダガスカル(アンタナナリボ)などの直行便が就航していたが、昨年8月、ケニア・ナイロビへの新しい直行便が就航している。これで中国国内とアフリカ都市を結ぶ直行便航空路は10路線になり、アフリカと中国は近くなった。

(居住環境)

・広州に住むアフリカ系外国人は約20万人と言われるが、合法的な滞在資格を持っているのは2~3万人前後であると言われ、実に不法滞在率は90%(注3)。広州駅に近い、主に小北路、環市路、三元里(注4)を中心に、北は機場路と広園路、西は南海、南は海珠区と番禺区まで広がり、広州を囲んで半月形に分布している。

・広州大学広州発展研究院は2014年8月28日、「広州外国籍流動人口の管理現状分析」と題する報告書を発表。これによると、地理・気候条件、ビジネスチャンス、都市のキャパシティなどの要因を背景に広州はアフリカ系外国人が最も多く住むアジアの都市となった。広州に住む外国人の5割がアフリカ系外国人であるという(注5)。

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(引用 zakzak by夕刊フジ)
〖犯罪の温床〗

(治   安)

・外国人の三不問題(不法入国/不法滞在/不法就労)は、これまで、広州全体が頭を抱える問題となっている。数年前に公表された統計データによると、広東省公安機関は2007年に計7000人以上の「三不」外国人を摘発、うち約700人に処分を課した。2008年には万3000人の外国人を調査の上処分、うち210人を刑事処分とした。摘発・処分されたのは47カ国の外国人で、罪名は26種類に及び、その多くはアフリカ系外国人が占めた(注6)。

・アフリカ人が2009年7月15日に広州市内の派出所を襲撃した事件や、同じくアフリカ人が2012年6月18日に広園西路で騒ぎを起こした事件など、外国人が集まって騒ぎを起し、騒乱事件につながるケ-スも頻発している。この他に暴行、エイズ、婚外子などの問題も、広州市民の社会生活と都市の安全を脅かす可能性がある。このような情勢が引き金となり、広東省は2011年、「広東省外国人管理服務暫定規定」を発表した。

・同規定によると、外国人が絡む犯罪事件、特に麻薬犯罪事件は重視すべき問題としている。広州に住む外国人の「三不」に関わる犯罪は急上昇しており、うち麻薬関連犯罪がトップ、総数の割近くを占めている。2012年12月、公安部は広州で麻薬密輸に携わるアフリカ人300人以上を逮捕、アフリカ人と国内の中国人に形成された麻薬密売ネットワ-クを撲滅したという。

〖中国とアフリカ〗

(祖国のため)

・アフリカ大陸には、すでに中国製衣類や家電が溢れている。中国からアフリカ各国への輸出額は00年の約50億ドルから2014年には約21倍の1060億ドルまで拡大している。また、アフリカのジンバウエでは人民元を通貨の一つに指定した。安価で豊富な中国製品に引き寄せられた人々が次々と広州にやってくる。

・最先端の防犯カメラから黒人女性に人気のウィッグ(かつら)まで、広州アフリカ村の“住民”は需要のある商品を大量に買い込む。そしてモノによっては帰国後に2~3倍の値がつくという。広州アフリカ村は、アフリカ諸国での中国製品の人気の高さを裏付ける拠点である。アフリカ大陸に地歩を築こうとヒト・モノ・カネを大量に送り込む“中国の戦略を象徴”する場所でもある。

(中国の狙い)

・アフリカ大陸には、すでに3000社を超える中国企業が進出。正確な統計はないが約100万人の中国人が移住している。これに伴いアフリカ諸国では人民元決済が増えており、約20カ国が人民元決済を導入するなど人民元の存在は日増しに高まっている。中国製の商品を輸入する際、人民元で決済すれば米ドルでの決済に比べ手間が省けるほか、為替変動リスクも避けられる。日銀幹部は「人民元での取引額は、10年後にアジアやアフリカで米ドルを上回るであろう」と予測している(注7)。

〖エピロ-グ〗

・人、物、金が複雑に行き交う中国とアフリカ大陸。2015年12月に開かれた「中国・アフリカフォーラム」(FOCAC)の全体会議で、習主席は「中国とアフリカは一貫して運命共同体」と強調した。「一帯一路」という新たな道筋を示し、「最後の成長大陸」とされるアフリカで人民元の国際化という壮大な実験を推進する中国。通貨を巡る米国とのせめぎあいはこれから本格化する。

・将来に向かって中国とアフリカ諸国の関係は益々発展し、強化される。そのような動きを背景に広州に住むアフリカ村の人々は自制の日々の中で、自身の将来を探し求めている。また、中国人とアフリカ人は“自由人という気風”を持ち合わせているように思える。時には治安安定を逸脱するようなアフリカ人の言動は、これまで当局の取締りの対象となっていた。だが、当局はそれ以上の事はできまい。中国とアフリカ諸国はアフリカ村の出来事を黙認することが得策と考えているようである。

(グロ-バリゼ-ション研究所)所長 五十嵐正樹

(注)

()「日本国駐広州領事館」2016年3月。

()「毎日新聞」2016年1月6日。                                                               
(3)「産経新聞」2014年8月10日。

(4)「産経新聞」2014年8月10日。三里元という地名は、阿片(アヘン)戦争中の1841年、上陸した英国軍と地元住民が武力衝突にした場所である。中国政府に「愛国主義教育」に拠点にも指定されている。それから170年余り-。今は「リトルアフリカ」との異名で呼ばれ、再び外国人と対立している。

(5)「人民網」2014年8月29日。

(6)「Record China」2014年9月1日。

(7)「毎日新聞」2016年1月6日。

爺さんの寝言(4)

2016年5月3日

〖不思議な世界〗

(急騰急落)

・なんでも首を突っ込みたくなる爺さんこと筆者は、最近の日本の株式市場の動きが気になる。というのは、日本の株価が急騰と急落を繰り返し、その変動幅が世界の株式市場の中でも際立っている点である。この背景について、ある外資系証券会社のディーラーは「日本の株式市場はボラが高くて、収益チャンスが転がっている!

・このボラとは、“ボラティリティー“(変動幅)のことをいうらしい。日本の株式市場の値動きが大きいため、上手くディーリング(取引)すると多額の収益を得ることができるという意味である。要は、短期に売ったり買ったりを繰り返すディーラーにとって、日本の株式市場は世界の機関投資家にとって有力な“稼ぎ場”になっている点であると爺さんは考える。

・世界の主な株式市場(NY/欧州/上海/東京など)で、何らかの要因が引金となり、世界同時株安が起き、株価は乱高下する。この影響から東京株式市場の株価の変動幅は際立っている。例えば、2015年9月9日、NY市場の急騰で、日経平均は1343円の凄まじい上昇を記録し、翌10日は470円下げるといった具合で、1日の高値と安値の差を見ると、1000円以上の変動である。

(主  因)

・調べることが大好きな爺さんはボラの理由を探し求めた結果、以下の主因を突き詰めた。

第1は、日本の株式市場(前場9時)が中国の株式市場(前場上海)と時間的に重なっている点で、中国の株価の影響を受けやすい。

第2は、日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に不透明要因が多く、景気の先行きを読みにくい点で、株式市場の動きにコンセンスができにくい。

第3は、国内投資家層の厚み(個人投資家が少ない)など、わが国の株式市場が持つ特徴の問題がある。

〖アルゴリズム取引〗

(相場展開)

・そこで、爺さんは世界の株式市場の規模を調べてみた-①ニュ-ヨーク証券市場(NYSE)は対世界比29.55%、②ナスダックOMX(NASDAQ OMX)、同11.06%、③東京証券取引所(TSE)、7.21%、④上海証券取引所(SSE)6.29%、⑤ユ-ロネクスト(Euronext)5.37%、⑥香港証券取引所(HKSE)5.13%などの順である(2015年2月現在/楽天証券調べ)。

・世界第3位の規模を誇る東京株式市場は、当日の朝9時から11時30分までを前場、12時半から午後3時を後場という。前場は前日のNY株式市場、9時半(日本時間10時半)から上海株式市場の値動きなどに加え、円ドル相場の動きなどを加味しながら東京株式市場の株価が決まる。

・現状における値動きの主因として-①米国のFOMCの第2回目の金利の引き上げは何時か?②中国の景況感(PMI)の動き、③原油市場の動き、④日銀の追加緩和策などである。東京株式市場は世界株式市場とリンクしており、相場の乱高下は当たり前の話しで、至極当然だが・・。

(猫の目相場)

・最近の株価は、円・ドル相場が乱高下することで、株価もネコ目のように乱高下する。この現状について、爺さんは犯人捜しに奔走する。その結果、コンピュタ-の仕業であることが分った。いわゆる“アルゴリズム取引”である-コンピュタ-システムにあらかじめ組み込まれたプログラムで株価や出来高に応じて自動的に売買注文を行う。この主催者は世界の機関投資家などである。

・爺さんは考える-人間の頭脳とコンピュタ-頭脳との関係は、囲碁や将棋の世界でも立証済みである。人間の頭脳がコンピュタ-の頭脳をグレ-ドアップすることで、人間を超えるようになる。テクノロジ-の世界に組み込まれた世界の株式市場の先行きは極めて不透明であると同時に、投資者にとって、リスクの世界は拡がった。日本政府の“貯蓄から投資”への施策は、雲散霧消してしまった。

〖他力本願〗

(米国頼み)

・近頃、爺さんは東京株式市場が従来に増して“他力本願”の世界に陥っていると考える。428日の日銀「政策決定会合」で、金融政策の維持を決めた。2月に導入したマイナス金利の政策効果を見極めるためという。市場では追加緩和への期待が強かっただけに、円高が急速に進んだ(111円→107円台)ことで、日経平均株価は、前日比624円安となった。

・安倍政権の悲願である2%程度の物価上昇率目標の達成見通し時期について、従来の「平成29年度前半頃」から「29年度中」に先送り(4回目)した。連休明けの東京市場は、さらなる円高株安への警戒感が強まるとみられる。すでに手詰まり感の強い日銀の手は限られており、米国・FOMCが第2回目の金利引き上げを何時行うかが、円高株安の解消の決め手となる。この点ついてFPG証券の深谷幸司氏は「今や米国頼み」と強調されていた(モ-ニングサテライト/20165月2日)。

(戦略のなさ)

・爺さんは考える。近頃、日本経済の行方には不透明感が漂う。確かに識者の見方として、グロ-バル化の中で、多くの不確定要因(米国経済の行方/中国経済の減速/原油価格の安定など)がある。何れも日本経済に深く関わる。その意味でも6か月先を読むといわれる株式市場は大きな示唆を与える。再度、爺さんは力説する。将来像を規定する日本の戦略を本気になって考えて欲しい-日本の政治家に懇願する。国民のために発奮して欲しい!

(グロ-バリゼ-ション研究所)所長 五十嵐正樹 

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