2017年01月

明治時代の世相(1)-オオカミの出没-

                                                                                                                                                                    

2017年1月24日

〖プロロ-グ〗

・2018年は明治から150年の年にあたります。明治当初は文明開化とはいえ、多くの諸相で幕末の残影は未だ色濃く残っていました。明治5年(1872年)の人口は、幕末と変わらない約3300万人と言われています。時代が大きく変わり、2015年の人口は明治初年と比べ約4倍増の約1億2700万人(国勢調査)です。

・人口増は人間の居住地域を増やすと同時に、地球温暖化の影響から日本の植生は悪化しました。近年では山に棲む動物たちは食べ物を求め、里へ出てきた事例は枚挙にいとまがありません。そのため、植生維持のため、人間は動物を捕獲し、駆除を進めていますが、十分な効果を得ていないのが現状です。

・植生を悪化させる主因はシカの異常繁殖です。特徴的な事例は世界自然遺産の「白神山地」周辺(青森/秋田)で、ニホンジカ(以下、シカと略称)の目撃情報が増えているとの報道があります。シカは繁殖力が高いため全国的に食害が広がりました。明治時代までは、シカの天敵であるニホンオオカミ(以下、オオカミと略称)が全国に生息し、植生維持のためオオカミが重要な役割を果たしました。

〖オオカミ出没〗

・シカの天敵はオオカミです。その行動の特性は「薄明薄暮性」で、2、3-10頭程度の群れで行動しています。シカを獲物にしていましたが、人里に出没し、飼犬や馬を襲うこともあり、特に馬の生産が盛んであった盛岡では被害が多かったといわれてます。遠吠えをする習性があり、近距離の家なら障子が震えるほどでした。

・オオカミは1905年(明治38年)1月23日、奈良県吉野郡小川村鷲家口(現:東吉野村鷲家口)で捕獲された若いオス(後に標本となり現存する)が確実な最後の生息情報とされています。環境省のレッドリストでは、「過去50年間生存の確認がされない場合、その種は絶滅した」とされるため、オオカミは絶滅種となっています。そこでオオカミが生存していた明治中期の実情を伝える新聞の内容を以下に紹介します。

(1)明治11年8月(1878年)11日付「読売新聞」は-日光より帰った人の話によると-①夜は狼の吼え声に怖れ、昼は退屈を慰める新聞もないほどゆえ早々に帰る人が多いと。②本年は男体山へ女が登れるようになった。③温泉には西洋人が多く、華厳の滝は滝壺までみえるように道を付けた。

(2)明治13年2月(1880年)21日付「東京曙新聞」(自由民権派新聞)は-狼烟(のろし)の古製を新しく転じて発明したる上総国山辺郡福俵村の根本七右衛門は、狼の糞をもって花火を製造せんとて甲州へ買い入れに趣きたりと。

(3)明治16年8月(1883年)7日付「東京日日新聞」(毎日新聞の前身)は-①陸中国北九戸郡種市の辺には狼多く住みて、郵便脚夫(配達人)の往来にも困難のことたたびなり。そもそも本邦豺狼の恐るべきは支那、朝鮮の虎に比すべく、殊に陸中九戸郡種市岳の中段に蛇石とて大石聳え、奥深き穴あり。

(4 )明治19年8月(1886年)11日付「東京日日新聞」は-陸奥国九戸郡種市ヶ岳の中間に蛇石という大石あり。その下に深き何丈とも測り知らざる横穴あり。昔は大蛇の棲みたる由なれど、今は狼の巣窟となり、近村の害をなすこと尠(少)なからず。近傍の人民は県庁より爆発薬を乞い受け、右の横穴を爆砕し、狼245頭を獲たりという。

〖オオカミ信仰〗

・東京都・奥多摩の「武蔵御岳神社」や埼玉県秩父の「三峯神社」を中心とする中部・関東山間部など日本では魔除けや、獣害除けなどの霊験をもつオオカミ信仰が存在します。各地の神社に祭られ犬神や大口真神(おおくちのまかみ)がオオカミとされており、オオカミを神格化したものです。

・山間部を中心とする農村では日常的な獣害があり、食害を引き起こす野生動物を食べるオオカミが神聖視されたことに由来します。『遠野物語』の記述には、「宇山口・本宿では、山峰様を祀り、終わると衣川へ送って行かなければならず、これを怠って送り届けなかった家は、馬が一夜の内にことごとくオオカミに食い殺されることがあった」と伝えられており、神に使わされて崇る(あがめる)役割がみられる。

〖絶滅の原因〗

・オオカミの絶滅の原因について、おおむね狂犬病やジステンバ(明治以後には西洋犬の導入に伴い流行)など家畜伝染病と人為的駆除、開発による餌資源の減少や生息地の分断などの複合要因が考えられています。また、江戸時代の1732年(享保17年)頃、オオカミの間で狂犬病が流行し、また、オオカミによる襲撃の増加が駆除に拍車をかけたことが考えられます。

・既述のように日本では山岳部を中心にオオカミ信仰が存在し、魔除けとしての加持祈祷にオオカミの頭蓋骨などの遺骸が用いられています。江戸後期から明治初期にはオオカミ信仰が流行した時期にあたり、オオカミの遺骸の需要も、捕殺に拍車をかけた要因の一つであると考えられています。

〖オオカミと童話〗

(教   訓)

・西欧の童話にはオオカミを題材とする「イッソプ物語」、「グリム童話」などが有名です。また、インディアンチェロキ-族の「二匹のオオカミの話」などが有名です。童話の中のオオカミは残酷な内容が多いのが特徴ですが、それを隠すことなく伝えています。例えば、グリム童話の中のオオカミは、家で大切にしていたヤギは食べられてしまったので、その見せしめにオオカミのお腹を切り裂き、石を詰め、最後は死んだオオカミを見て母子で、「オオカミが死んだと!」と踊ります。

・インディアンチェロキ-族の話は「2匹のオオカミの話」(Tale of Wolves-老人が、孫に、人々の心の中に起こる闘いの話をしています-①1匹は:この闘いは我々の心に住む2匹のオオカミの闘いなんだ-②1匹は悪を象徴する:恐れ、怒り、妬み、悲しみ、後悔、欲、傲慢など-もう1匹は:慶び、平和、愛、希望、分かち合い、安らかさ、謙遜、思いやり、信頼の象徴だ。孫はちょっと考え込んでいましたが、やがて老人に聞きました。「どっちのオオカミが勝?」。老人は答えました「餌を与える方が勝つのさ」。

(西洋と日本)

・オオカミへの見方として、(1)西洋では古くから山野を切り開いて牧畜を行っていましたから、狼が羊や豚、牛をなどの家畜を求めて里に現れ、家畜を食い荒らすことが頻繁にありました。よってオオカミは憎悪の対象とされ、「何でも食べてしまう貪欲で残忍なケダモノ」としてのオオカミ像が形成されています。(2)日本は農耕を基本とする社会ですから、畑の作物を食い荒らす鹿や猪など(害獣)を食べてくれるオオカミは、むしろ人間の味方(益獣)であり、地方で神として崇められることはあっても、西洋のようなヒ-ル(heel:悪役)扱いを受けることは少なかったと思われます。西洋のオオカミのような悪役としての個性がなければ、物語に登場することが少ないのも当然です。

〖エピロ-グ〗

・最近話題になっている絵本があります。前記のように最後のオオカミが捕獲された東吉野村で、村おこしとしてオオカミを題材として手作り絵本を一般公募して、「ぼく、ニホンオオカミになる!!」(リ-ブル出版/増田恵子氏作)が最優秀賞に選ばれました。内容の一部を紹介すると、「ぼく(犬)、ヤマト。おじいちゃんが、いうてた。ヤマト、二ホンオオカミはな、人を きずけるような ことはせえへん。心のやさしい、いきもの なんやで」 ぼくもそんな ニホンオオカミになるや。

h1



(奈良県東吉野村発行『ぼく、ニホンオオカミになる!!』)
honbun・明治時代はニホンオオカミと人間は共生していました。現在ではクマと人間の共生が話題になっています-人がクマに襲われる事故が相次いでいるからです。2016年10月末までに75件にのぼります。秋田県鹿角市(かずの)では、5~6月に4人が連続して亡くなっている。クマは豊かな森林を代表する存在である。日本クマネットワークの大井徹代表は「クマを考えることは、自然を考え、社会を考えること」と話す。        

・クマは繁殖力が弱く、地域によっては絶滅の恐れがあります。生息状況を把握し、人との軋轢(あつれき)を減らす保護管理の仕組みが求められます。戦後、日本人の生活様式が変わり、人が入らなくなった里山がクマの領域になったことも被害多発の要因と言われています。将来クマが第2のオオカミにならないように人間社会は留意すべきです。 

(グロ-バリゼ-ション研究所)所長 五十嵐正樹

(出  所)

・ニュ-スで追う「明治日本発掘」全9巻(2)、河出書房新社、1994年10月25日。
・ウィキぺディア。                                                                                        

・「ぼく、二ホンオオカミになる!!奈良県東吉野村、リ-ブル出版、2016年3月1日。

・「産経新聞」2017年1月4日、~絵本の中でよみがえるニホンオオカミ~。 

・「朝日新聞」(社説)2016年12月25日。

中国のパキスタン・グワダル港への思惑

2017年1月5日

〖概    況〗

‣パキスタンは700kmにわたりアラビア海に接し、カラチ港(貿易港/軍港)から西へ623.5km(道路距離)にグワダル港(Gwadar/バロ-チスタ-ン州)がある。さらに西へ120km地点ではイラン国境と接し、ペルシャ湾の喉元に位置する。また、グワダル港は、アフリカやヨ-ロッパから①紅海・マンダブ海峡・アデン湾へ経て、②ペルシャ湾・ホルムズ海峡、オマ-ン湾を経て-東アジアや太平洋地域に向かう海上航路の要衝の地にある。
image
(出典 Sankei Webnews 2015年4月21日)

‣グワダル港は、18世紀、オ-マンの飛び地であったが、1958年にパキスタンに売却された後、一時米国が触手(第7艦隊の基地化?)を伸ばしたが、結局、2007年にシンガポ-ルのPSA社が港の管理権(40年間)を取得したもののコンテナ埠頭として実績が上がらず、未完成のまま2012年にPSA社はグワダル港を撤退する。

‣2013年1月30日、中国海外港口控股公司を通じて、中国はパキスタンから43年間租借することになり、目下、経済特区(港湾の約280へクタ-ル)として整備中である。加えて、グワダル港は「中国・パキスタン経済回廊」(CPECChina Pakistan Economic Corridor)の重要な拠点となる。

‣この回廊は中国新疆自治区カシュガル(喀什市/人口35万人)を起点として、全長3000km、終着点のグワダル港は、中国の念願であったインド洋とアラビア海へのゲ-トウェィ(玄関)となる。そのために道路、鉄道、電力設備、石油パイプラインなどを敷設することで、「一帯一路」構想の陸と海との結節点となる。総工費460億ドル(約5兆2000億円)、2030年の完成を目指している。

・フィナンシャルタイムズ紙(2011/5/23)によると、パキスタン・ムハタル国防相は「グワダル港の軍港建設と中国海軍の駐留、潜水艦乗組員の訓練を中国に依頼した」と。同港は中国にとって戦略的重要性が高く、同様に、①ミヤンマ-(シットウェ)、②バングラデッシュ(チッタゴン)、③スリランカ(ハンバトタ)などの中国の海軍寄港地は、“真珠の首飾り戦略”のようにインドを囲んでおり、米国とパキスタンの関係が冷え込む中で、中国が軍事的プレゼンスを強めている。

〖中パ経済回廊〗

(トラック隊)

・2016年10月29日、約50台のトラックからなる中国パキスタン経済回廊連合貿易トラック隊がコメや中国製機械を載せ、新疆ウイグル自治区のカシュガル市を出発する。30日にはカシミ-ル地方のパキスタン支配地域の大雪・地震頻発地帯の町フンザ(風と谷の桃源郷/標高2400m)に入った後、軍の厳重な警護を受け、バロ-チスタ-ン州を抜け、12日にグワダル港に到着する。13日には中国国旗と中国外運長航集団(SinoTransCSCHoldings COLTD)の旗を掲げたトラック隊約20台が港に整列する。
image
(出典 毎日新聞 2015年11月14日 東京朝刊)

・中国外運長航集団新疆有限公司の袁建民党委書記は「環境時報」の取材に対し、「今回の連合貿易トラック隊は構想から3年あまりをかけ後、「中・パ経済回廊」を走り、両国を貫く初めての車両による回廊が開通した。同回廊建設はさらに発展するだろう」と述べた。

(開港式典)

・2016年11月13日、グアダル港で、開港式典が行われ、パキスタンのシャリフ首相は「今日は新しい時代の幕開けだ」と祝辞を述べる。パキスタンのシャリフ首相、陸軍参謀長ラヒ-ル・シャリフ氏、在パキスタン中国大使の孫衛東諸氏などが記念式典に参加し、コンテナ66個を載せた貨物船は、スリランカコロンボ経由アラブ首長国連邦(UAE)のドバイへ向けて出港した。

・孫衛東氏は、グアダル港から大量のコンテナが輸出されたことや、中パ両国がパキスタン国内を通ってグワダル港に至る通商車列を編成したのは初めてだと強調し、「2つの兄弟国のチ-ム精神と、両者に有利に協力をもたらした」と宣言した。但し、バロ-チスタ-ン州は同月12日、イスラム教の聖廟を狙った爆弾テロで、55人が死亡したと、地元紙「ド-ン」(Dawn)は伝えており、グアダル港の現状に疑問を呈していると論説した。
imageimage

〖一帯一路政策〗

(重要拠点)

・「一帯一路」政策は2013年に中国の習近平国家主席が提唱したアジア・アフリカ・欧州に跨る広大な経済圏構想である。中国から中央アジアやロシアなどを貫き欧州に続く「シルクロ-ド経済ベルト(一帯)」と中国から東南アジア、インド洋を経由して欧州に向かう「21世紀海上シルクロ-ド(一路)」から構成される戦略である。

・同政策の重点経済地域は“6大経済回廊”から構成されている-①中国・モンゴル・ロシア、②新ユ-ラシア・ランドブリッジ、③中国・中央アジア・西アジア、④中国・インドシナ半島、⑤中国・パキスタン、⑥バングラデシュ・中国・インド・ミヤンマ-である。同構想は65ヵ国から構成される。人口は約44億人(世界人口の約63%)、経済規模は約23兆米ドル(世界の約29%)などである。

〖習近平主席訪パ〗

(事業計画)

・習近平国家主席は、2015年4月20日、パキスタンの首都イスラムバ-ドに到着し、パキスタンの公式訪問をした。同日、習国家主席とシャリフ首相は会談し、習主席は、「中国・パキスタンの関係を全天候型(外的環境の変化に左右されない)の戦略的協力・パ-トナ-シップに格上げすることで合意」した。同主席の「中パ経済回廊」に関する言及は以下のとおり。

‣「中パ経済回廊」建設の核はグアダル港に中心に、交通インフラ、エネルギ-、産業協力を重点に、グワダル港建設の着実な進展を後押しし、「中パ経済回廊」の全面的で均衡ある着実な発展を推し進める。これにより、数多くの民衆に恩恵を与える同時に地域のコネクティを強化する。このプロジェクトに関する51の合意文書に両国首脳は調印した。また、中国国内でテロを繰り返すイスラム過激組織をパキスタンに潜伏させないよう、協力を継続するなど。

〖計画の展開〗

(インフラ事業)

・パキスタン政府の発表によると、全体費用の280億ドル分の事業については直ちに着手する。中国は道路、鉄道、工業地帯などのインフラ建設に支援、投資する。印パ両国が領有権を争うカシミール地方を縦断するカラコルム・ハイウエ-やグワダル港を開発する。戦略的な拠点であるグワダル港には、新空港を建設する計画もあり、中パ両国は陸海空で連結性を強める。

・この回廊にある水力発電所の整備には、アジアインフラ投資銀行(AIIB)とは別に中国が創設した政府系ファンド「シルクロ-ド基金」が初の投資を行う。パキスタン側もテロ対策として1万人規模の特別治安部隊が創設され、中国の権益保護に協力する構えである。中国はインド洋への玄関口を得ることになり、パキスタンは経済開発の足掛かりを掴むことになる。

(弱   点)

・グワダル港の弱点は最も近い大都市のカラチはからでも約623.5Km離れている。しかも水不足が深刻で、特に12月の乾期には水の入った容器を盗む泥棒が横行している。水についてはダムや海水淡水化プラントを増やす計画はある。同様に電力は現在隣国イランから供給されており、計画停電は毎日おきている。水と電力の不足は大きな問題である。この点につき、バロ-チスタ-ン州の経済顧問は、「水がない場所にどうして大港湾や大都市を建設できるのか」と疑問を投げかけ、「それに対し何の答えがない。政策の透明性が著しく欠ける」と批判する。

(中国の国益)

・中国は輸入原油の80%を中東に依存する中国にとって、新疆ウイグル自治区カシュガル市からグワダル港までの約3000km(約:稚内から石垣島の距離)の陸路が整備されれば、インド軍や米国軍の影響下にあるインド洋、マッラカ海峡、南シナ海に通らずにエネルギ-資源を確保できるようになる。

・「中国鉄建」は2014年8月の時点で、各種交通インフラの建設についてパキスタン当局と提携覚書を交わした。また、中国交通建設、中国電建なども、すでに現地で提携協議などを締結済み。このほか、合併手続きを終えた鉄道車両メ-カ-世界最大手の「中国中車」も、海外輸出を加速させると思われる。

・グワダル港への国内投資を奨励するために、パキスタン政府は進出企業に20年の免税優遇を与えるという。パキスタン政府は、また、1~2万5000人の特殊部隊を編制し、湾岸と中国人労働者の安全を守る。

〖中国の意図〗

(関係者発言)

・元注タジキスタン中国大使は中国経済新聞の取材に対し、「中・パ経済回廊」は中パ両国のみならず、中央アジア、南アジア、北アフリカ、湾岸諸国に対しても影響する」と述べ、以下の点に言及している。

‣中国カシュガルから中パ国境のクンジュラブへの高速道路と鉄道は、中国とアフガン、タジキスタンの港につながり、これは両国間唯-の港である。そのため「中パ経済回廊」が建設されれば、中国は中東から輸入する石油天然ガスを、マラッカ海峡を迂回せずに直接パキスタンのグアダルからパイプラインで新疆のカシュガルへ送ることが可能となる。

‣中国から中東やアフリカへ送る商品も、中パ回廊を利用することが可能である。上海からパキスタンやインドまで、海運では少なくとも20日を要する。しかし、「中パ経済回廊」が開通すれば、上海からパキスタンのグワダル港まで5日あれば到着する。仮に高速道路ならば、3日で到着する。そのグワダル港から海運で中東やアフリカまで行けば、中国とアフリカ間の物流を大幅に短縮できる。

‣中パ高速鉄道と高速道路がタジキスタンに通れば、ロッテルダム港から中国江蘇省連雲港まで達することが可能となる(欧亜ランドブリッジと呼ばれる)。これにより、中央アジアに経済的に反映をもたらし、中央アジアと欧州、中国経済の交流を促進する。この構想によると、「中・パ経済回廊」によって恩恵を受ける人口は30億人にも達する。

〖評    価〗

・中国国内からパキスタン・グアダル港への「中パ経済回廊」の始動について、仏AFP通信はパキスタンのアナリスト、アスカリ氏の見解は-このプロジェクトは中国がアラビア海に参入する「新たなル-ト」できると指摘。グワダル港を海の玄関とする「中・パ経済回廊」が開通すれば、中国はマッラカ海峡への依存度を大幅に引き下げ、アジアの経済・経済戦略に大きな影響を及ぼすと分析している。

・パキスタンを訪問しているイラン・ロウハニ大統領は2016年3月26日、首都イスラマバードで、「中・パ経済回廊」の建設を支持すると発言、また、グアダル港とイランの港もつないでいきたいとの立場を表明した。同大統領は滞在中、両国は経済、貿易やエネルギ-、金融などの分野における協力に関する協定を締結した。

〖所    見〗

・中国によるグワダル港への巨大開発は不毛の地“グワダル港の大改造計画”である。その背景になっているのは「一帯一路」構想で、同構想は始動から4年目に入る。習近平国家主席の強靭なリ-ダシップにより、中国経済の停滞こそあれ、確実に政策は進展している。中国の習近平国家主席の持続的な世界戦略は、米国の保守的新政権や日本の国益にもボディブロウのように影響を及ぼすことが考えられる。

(グロ-バリゼ-ション研究所)所長 五十嵐正樹

【資  料】

‣「中国が提唱して3周年を迎えた一帯一路、大和総研、2016年9月26日

‣「北京週報」/チャイナネット/人民日報(日本語版)

‣「中国外交部」資料(国家と組織)

‣「中国経済新聞社」ビジネス最前線、アジア通信社

‣「newsclip.be」2015年11月13日

‣「Foreign Affairs2015年4月論文

‣「The Wall Street Journal」2016年4月11日

‣「Finacial Times」2011年5月23日

‣「Wikipedia

DIAMOND ONLINE」2016年8月4日

・「Sankei Webnews」2015年4月21日

「海洋戦略研究」2011年5月25日

「海国防ジャ-ナル」2011年5月27日

・「邦字各紙」

 

プロフィール

igarashi_gri

カテゴリ別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ