2020年4月15日
〖プロロ-グ〗
▻ユ-ラシア大陸を走る中国とヨ-ロッパを結ぶ「中欧班列」(国際定期貨物列車)は、2011年3月19日、中国南西部・重慶とドイツ・デュイスブルグ(世界有数の河港<ライン河>)を結ぶ路線からスタート。2019年3月現在、61路線、累計運行本数1万4000本です。中国の56都市と欧州および中央アジアの15カ国49都市と結んでいます。
▻本年に入り、武漢の新型コロナウイルス発生は世界各国に波及し、世界経済に甚大な影響を与えています。反面、武漢の新型コロナウイルスは収束の段階にあります。このような中、一時中断していた「中欧班列」は、すでに回復基調にあります。以下、中国の国際戦略「一帯一路」の骨格である「中欧班列」の現況を報告致します。

出所:「人民網日本語版」
〖現 況〗
▻国家発展改革委員会は2020年3月8日-①年初来、新型コロナウイルスによる中国経済への影響にも関わらず、「中欧班列」の運行は90%以上が再開した。②今後、国家は「中欧班列」関連の政策・措置を遂行し、高い運行効率を目指すと、中央テレビ網は伝えています(注1)。
(増加基調)
▻年初から2月末までの「中欧班列」の運行本数は1132本に達し、前年同期比6%増加した。コンテナ稼働率は高水準を維持し、往路と復路のバランスが基本的に取れています。長沙国際鉄道港では、「スマート化生産ライン設備」のコンテの積み込みも終え、ベラルーシ・ミンスクの「中国・ベラルーシ工業パ-ク」へ向け出発した。
(通関状況)
▻新型コロナウイルスの影響が続く中、長沙(湖南省)、成都・重慶(四川省)、西安(陝西省)などの重点都市の「中欧班列」は通常の運行を行っています。東部・中部・西部の3ル-トの35本の列車は、霍爾果斯(新疆ウイグル自治区/コルゴス)、阿拉山口(新疆ウイグル自治区)、満州里(内蒙古自治区)、二連浩特(内蒙古自治区)の何れかの4大税関を通過し、感染症の影響による遅れや混乱は見られない。
〖路線概況〗
(ドイツへ)
▻新型コロナウイルス感染拡大で、運行が中断されていた湖北省武漢市と欧州を結ぶ「中欧班列」は3月28日、通常運行を再開しました。同日午前10時、武漢の呉家山鉄路コンテナセンタ-駅を出発した。積載貨物の約9割は武漢の地元企業が生産されたもので、合計50両編成、20フィ-トコンテナ100個、重量408トン、392万ドル相当です。うち、欧州支援向けは新型コロナウイルス医療用不織布などの感染症防護用品コンテナ19個、総重量166.4トンに上り、このほか自動車部品や電子機器、光ケ-ブル、鉄道建設資材も積み込まれた。湖北省の宣昌市、武漢市、黄岡市の各地で製造されたものです。
▻新疆ウイグル自治区の阿拉山口駅から国境を通過し、約15日間でドイツのデュイスブルクに到着します。その後、ドイツ、フランス、ハンガリ-、チェコ、ポーランドなど各国に振り分けられます。中国鉄路武漢局公司の責任者は、武漢発「中欧班列」の運行再開は、地元企業の貿易回復に力強いサポートを提供します(注2)。なお、昨年、中国-欧州間の貨物列車は武漢を計408回発着し、そのうち、往路が195回、復路が213回です。
(スペインへ)
▻2020年4月8日、「中欧班列」75019便が、陝西省西安市新築駅を出発した。同市からスペインバルセロナへ「ソ-ラ-パネル」を満載したコンテナ50個を載せ、全行程1万2000キロを走破します(注3)。
(ベラル-シへ)
▻江西省南昌市からロシアのモスクワ、ベラルーシ・ミンスクに向け「中欧班列」は出発した。これは、「中欧班列」の常態化運行の再開を象徴します。この列車には、江西省で製造された自動車部品、機械設備、衣料品などの貨物を満載された40フィ-トコンテナが41基搭載されています(注4)。
▻中国鉄路局集団によると、2月10日午後4時、X8074次「中欧班列」(義烏-ミンスク)の「吉利号」、吉利汽車の輸出部品を積み込んだ標準コンテナ86基を搭載して、義烏西駅を出発し、ベラルーシ・ミンスクに向かった。新型コロナウイルスによる影響の中で、義烏発の通常運行は全面的に再開した(注5)。
〖エピローグ〗
(当面の課題)
▻今後の「中欧班列」行方について国家発展改革委員会は-①輸送力を適宜増強し、輸送すべきものはすべて輸送し、道路と鉄道をしっかり連携させる。②省を跨った輸送の早期回復を推進し、貨物が運行状態のよいタ-ミナルに集結するよう支援する。③効率の高い積み荷目録統合作業を試行し、輸送と通関手続きの簡略化を推進することで、「中欧班列」を利用した輸出入の拡大を支援すると、当局は考えているようです。
(緊要な課題)
▻「中欧班列」の看過できない問題として、①世界経済は新型コロナウイルスに汚染され、中国経済にも大きな影響を与えています。②世界経済にとっても中国経済の行方は重要な問題です。当面の注目点として、3月に全国人民代表大会が延期され、今後、何時開催されるのか。その前提として、新型コロナウイルスの行方次第です。一説には、4月末か5月上旬に開催することを暫定的に計画していると、2人の関係筋がロイタ―に話した(注6)。
(グロ-バリゼ-ション研究所)所長 五十嵐正樹
(引用資料)
(1)「人民網日本語版」2020年3月10日。
(2)「中国国際放送局日本語版」2020年3月29日。
(3)「新華社」2020年4月9日。
(4)「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年2月18日。
(5)「人民網日本語版」2020年2月12日。
(6)「ロイタ―」2020年3月16日。
(参 考)
▻「中欧班列」は、満州里経由、二連浩特モンゴル経由、阿拉山口カザフスタン経由の3ル-トがあります。重慶、成都発、カザフスタン経由が7割近くの物量を占めています。中国のスタート駅から欧州のメインタ-ミナル(デュイスブルク/ハンブルグ/ワルシャワ)まで20日を切るスピ-ドとなっています。
▻最も取扱量が多いのは四川省成都発着で、2018年1587列車、同様に2番も重慶発着で、1000列車を越えています。この2駅発着だけで全体の4割以上を占めています。通常の輸送ル-トが中国沿岸経由の欧州航路よりも内陸奥深い出発地が距離短縮できることで、スピ-ドアップ+コストメッリトが発揮できます。
(出所):(株)ユニコロジスティクス・ジャパンHP