2020年9月12日


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金塊
出典「写真AC


〖プロローグ〗

中国人の金選好はつとに有名です-金は換金性の高い商品です。多くの人々は、国難に遭遇しても、金は財産であり、お守りでした。中国は1949年10月1日に新中国が成立し、社会主義制度の下で、人々は、新たな生活が始まります。しかし、長い内戦で、多くの生産設備が破壊されたため、経済は疲弊していた。当時の産金量を見ると、わずか4.5トンでした。

 

〖生産の推移〗

中国経済は第一次5カ年計画(1953年~1957年)が始まり、徐々に生産活動は回復し、同計画は所期の成果を収めます。それから25年後、鄧小平体制下で、1978年12月、「第11期3中全会」が開催され、「改革・開放体制」が始まります。翌年、鄧小平氏の指示で、深圳市を核とする「経済特区」が推進されます-爾来、本年で40年が経過し、当時3万人の人口が、現在、1500万の大都市に発展します。

中国の金産業は、ゆるかな“経済効率を重視”する政策を導入し、中国の産金量は次第に実績を上げます-1995年の産金量は100トン、2003年には200トン、2007年には産金量が世界一の南アフリカを抜き、世界一の産金国となります。それ以来、2008年292トン(341トン)、2010年351トン(454トン)、2012年411トン(609トン)、2014年452トン(824トン)、2016年454トン(622トン)、2017年426トン(1089トン)、2018年401トン(1151トン)、2019年380トン(1002トン)でした-()内の数字は金消費量。

 

〖生産の減少〗

(背  景)

中国黄金協会2020年1月21日に発表した統計デ-タによると-2019年の産金量は前年比20.89トン少ない380トンでした。同協会によると、減少している要因として-①自然保護区の鉱業権の取り消し、②作業時に出る危険性なシアン化合物の管理、③“鉱物資源の枯渇”の影響で、河南省、福建省、新疆維吾爾(ウイグル)自治区などの重点生産地域で、産金量が減少します。

生産量は減少しますが、ここ数年の中国の金産業は供給側の構造改革は不断なく続きました。「規模・速度追求型」から品質・効率重視型へと転換”します。産業の集積度が高まり、重点的金産業集団(グル-プ)の金鉱石生産量が全国に占める割合2.45ポイント上昇します(注1)。

(影  響)

統計によると、2019年の金輸入量は120.19トンで、前年比6.57%増加します。中国黄金協会はこの動きについて「国内の金鉱山の生産量が大幅に減少して、“金精練用の原料の供給不足”が表面化したことで、輸入量が増加し、輸入原料は、今や中国の“金生産を補完する重要な存在”となった(注2)。

 

〖2020年上期〗

(落ち込み)

中国黄金協会が7月28日に発表した2020年の上期の金生産量は前年比5.87%減の170トン、金の消費量は同38.25%減の323トンに落ち込んだ。その要因として、①新型コロナウイルスの感染拡大、②金価格上昇の影響を受けたためです。但し、第2四半期だけで見ると、金の生産量は前年同期比5.81%増加し、金の消費量の下落幅は同22%減にとどまります。国内の感染状況は落ち着き、一連の消費促進策の効果が出始めます。

(消費量)

2020年9月10日上期の金消費量は323.29トンです。内訳を見ると、アクセサリ-が前年同期比42.06減の207.87トン、金地金と金貨が同32.12%減の76.98トン、工業とその他が同25.16%減の38.44トンでした。まだ、全体として消費状況は思わしくありません。金地金(現物)と金貨の評価は高かったため、第2四半期の売り上げは微減にとどまりました。


(オンライン)

金価格の高騰により、一部の投資家が利益を確定するための売りに出したことで、買い取り業務が増加し、上半期の金の買い取り量は前年比162.88%増加します。新型コロナウイルスの感染が落ち着き、買い取り業務の増加に加え、金のオンライイン取引業務が本格化します(注3)。

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中国の金販売店
の風景
出典「人民中国


 

〖生産減少問題〗

(減少基調)

2019年現在、中国の産金量380トン・消費量1002トントンは、依然として、13年連続世界一です。しかし、1949年の産金量4.5トン以来、2016年の生産量454トンをピ-クに生産量は年々逓減し、2019年380トンと比べると、16.3%減(74トン)と大幅な減少となりました。

(需給バランス)

これを裏付けるように2019年の金の輸入量は前年比6.57%増の120.19トンでした。既述のように、「国内の金鉱山の生産量が大幅に減少して、“金精練の原料の供給不足”になったため、輸入量が増加し、輸入原料は、今や中国の“金生産を補完する重要な存在”となります。

2018年の入り、中国の金産業界は「走出去」策(海外進出)を加速させます。統計によると、重点黄金企業グル-プの海外鉱山の産金量は23.4トンでした。黄金企業の海外展開は、すでに新しい政策を展開(含むM&A)します(注4)

 

〖エピロ-グ〗

最近、国際金取引所では産金量がピ-クに達したとする「ピ-ク・ゴ-ルド」説、話題を呼んでいます。2019年は通年で金価格が2割上昇に転じます。本来は産金量が増える要因になりますが、2019年は11年ぶりに減少に転じます。“生産コストの増加”、“鉱床の減少”、“投資の減速”が響いたのです。短期的な相場を動かす材料にならないが、将来的には金の需給インバランスが酷くなり、価格に影響を与える可能性もあります(注5)。

中国の産金量は2016年をピ-クを境に、以後、産金量は漸次に減少基調に転じます。中国当局は海外に目を向け、「走出去」政策を展開をします。現在、金確保のために“何でありの状況”下にあります。明らかに中国の産金量は減少に転じました。しかし、中国の産金量・消費量は、2019年現在、13年連続世界一です。総じて、世界の産金大国の生産量も減少基調で推移しています。やはり、「ピ-ク・ゴ-ルド」説は信頼できる見方かもしれません。

(グロ-バリゼ-ション研究所)所長 五十嵐正樹

(注)

(1)「人民網日本語版」2020年1月

(2)(注1)と同じ

(3)「CNS」(China News Service)2020年8月1日

(4)「新華社w」2019年2月3日

(5)「日本経済新聞」(電子版)、2020年3月10日