昨日届けた杉山女学園大学教員、山本昭和氏のレポート
 「武雄モデルの問題点について」 の要旨は以下の通り

  1、  市長の図書館になってしまっていること
       通常図書館づくりに当たっては市民との対話による意見聴取や
     図書館協議会での議論を踏まえて、どのような図書館が望ましいか
     を市と市民が共同で決めていく。ところが武雄モデルでは市長の
     判断が極度に優先され市長によるトップダウンで決定されてしまう
     傾向にある。これでは市民の図書館とは言えず、市長の図書館である。

  2、  カフェの背景としての図書館
        武雄モデルでは図書館の機能が,まちづくりの政策の下位に
      置かれることである。図書館の本質的機能は、あらゆる資料や
      情報を人々に提供することであり、その事によって図書館に人が
      集まり、人の交流が生まれ、結果として図書館がまちづくりの核と
      なる。一方武雄では図書館に最も求められる機能は,たくさんの
      本の姿を人に見せることである。図書館の役割として最も期待されて
      いるのはカフェの背景として機能することである。だから書架に並んで
      いる本がハリボテであっても、書架の背が高くて本が手に届かなくても
      大した問題ではなく、ある種の雰囲気をもたらす演出として歓迎され
      るのである。

 3、  損なわれる図書館機能
       他の同規模の図書館と比較して、武雄では来館者の多さに比べ
      予約者が極度に少ない。また雑誌の購入タイトル数もツタヤの指定
     管理後は、106タイトルから24へと激減している。書店で販売している
     雑誌を館内で読めるからというのがその理由だが、バックナンバー
     は他の図書館から取り寄せない限り読むことができない。図書の分類が
     22区分のツタヤ分類であることにも問題がある。20万冊の開書架蔵書
     に対して22区分では、あまりにも粗い。十進分類法にはおよそ140年の
     歴史があり世界中の図書館で今でも使われている。図書館と書店では
     求められる分類法が異なっていて当然なのに、なぜ書店の分類法が
     優先されるのであろうか。レファレンスサービスについては、カウンターに
     サービス案内のサインが見つからず,どこで誰に質問してよいのか
     わからない状態であった。

4、  一旦導入したら後戻りできないこと
        武雄モデルを導入した場合、決められた期間が終了した時、別の
     指定管理者を指定したり、直営に戻す事が,非常に困難になる事
     である。施設全体としてCCCモデルを前提として建設し、それにより
     集客力を高めるというノウハウは今のところCCCしか持っていない。
     ツタヤの意向に沿って改築された図書館施設や、図書分類法、Tカード
     型の図書館利用カード等を元に戻すのは容易ではない。

 5、  図書館と併設書店の経営者が同じであること
      併設されている書店と図書館が同一の団体によって経営されている
    事である。 その結果、書店,レンタル店からの収益を増やす事を目的に
    図書館の資料収集が歪められないかとの危惧が生じる。雑誌の購入を
   大きく減らしたり、人気のある本の複本購入を2冊としたこと、開館前に
   多くのビデオを廃棄したことはその懸念を裏付けるものとなった。

    武雄モデルを評価する場合、上記のような問題点のあることを十分
   承知した上で判断して頂きたいものである。