■ヨーロッパで学んだこと
6月の14日から21日にかけて、フランス・ドイツ・イギリスの三か国に出張してきました。知事に就任して以来、アジア諸国には何度か行きましたが、ヨーロッパを訪問するのは公私ともに初めてです。
今回の出張の目的は、教育現場や地元企業を訪問したり、都市の魅力づくり・賑わいづくりをめざすには何が必要かを探るなど盛りだくさんでしたが、私が一番楽しみにしていたのは欧州の議会や行政のトップの方との意見交換です。
ドイツのヘッセン州ではカルトマン議長やコッホ首相とお会いすることができました。ドイツは連邦制を採用しており、州によって法令、制度が異なります。コッホ首相に率直に連邦制の短所についてお伺いしたところ、「教育など州ごとに格差が生じることは事実、しかし国が地方の面倒をみるような集権的なやり方では全体は良くならない」とおっしゃっていました。私も全くそのとおりだと思います。地方が成長するためには各地域が「責任」をもって努力するということが不可欠です。そのためにも連邦制に近い形での分権が必要。いきなり連邦制というのは難しいなら、まずは道州制をめざしていくべきであると感じました。
また、イギリスでは大ロンドン市(GLA(グレーター・ロンドン・オーソリティ))のバーンズ副市長とお会いすることができました。GLAとは、ロン
ドン全域をカバーする広域行政体です。32の区とシティで構成されており、GLAはロンドン全域の戦略の策定や総合調整を担い、区は教育や福祉などの住民サービスを行っています。これは、私のめざす新たな大都市制度に非常に近いのではないかと思っています。
バーンズ副市長とは1時間半にわたってじっくりとお話ししましたが、徹底
して都市間競争というものを意識してGLAを運営されていると感じました。今の大阪の状況、例えば国際空港へのアクセス1つとっても府と市の戦略が途切れているという話をしたら、「それでは衰退するだろう、あとは静かに死んでいくのみだね」と非常に厳しいこと言われました。しかし私は別にショックは受けていません。きちんと変えれば未来が見えるということですから。
今回の出張は非常に厳しい行程でかなりくたびれましたが、様々な人にお会いできて本当によかったです。出張に先だち、資料等で勉強はしていったのですが、やはり資料には書かれていないこと、行政、政治家双方の生の声を聞くことができて非常に有意義な出張となりました。今後、この出張で得た成果を府政に反映させていきます!