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4月2日上映会「事件集結」の上映作品紹介最終回です。毎度毎度お知らせ状態ですみません。

最終回はCASE:04「落研冒険支部」です。


短編「キャッチボール」を公開した後は、仕事としての映像制作に片足を突っ込ませてもらうことができるようになり、自主映画の活動から遠ざかることになりました。

のですが、気持ちとしては自分の作品を作ることをやめたつもりはなく、いつも心のなかでは「どんな映画作ろう」とは思っていました。

それなのに、気がつくと10年の歳月が流れていったということで、ホントに時の経つのは早いもので、あぁ。

「ハズしちまった日。」の時に”5年も映画を作ってない”なんて焦っていたのが、今度は10年とは、人間なんにでも慣れちまうもんです。

毎年毎年「今年こそは」と言い続けてるのも、なんだか虚しくなってきた時、以前から一緒に映画を作ろうと話をしていた大学の先輩・市村政晃さん(「失われしモノたち」出演)から「こんな話どうよ」と脚本を送ってもらったのが「落研冒険支部」の始まり。

落研冒険支部_メインビジュアル_01_s

僕自身は、仕事で若い女の子出演の作品を作ることが割と多かったこともあって、自分でやるなら久しぶりに男で、しかも同世代のおっさんでもいいなぁ、と思ってたのですが、「オヤジの顔なんか見ててもつまらん!」という脚本家の叫びとともに女子高生主人公、というか女子高生しか出てこない脚本があがってきたワケであります。

ただ、もともと”青春の悩み”などというテーマに微塵もの興味のない市村さんの世界は、女子高生が出てきているのにベースはハードボイルドという、異物感も同時に伴っていたため、僕にとってはそこに興味を惹かれた形になりました。

さらに同じ時期に、友人の映画監督・松田彰氏から"作品作るならスポンサーになる"というありがたい提案をもらっていたので、「ここで作らなかったらもう一生映画作らないかもしれない」という焦りとともに女子高生ハードボイルド映画を作ることに決めたのでした。


仕事ならともかく自主制作で女子高生映画なんていったら一人でも大変なのに、全編通して三人もキャスティングしなくちゃいけない脚本なワケで、もうそこから途方にくれてたのですが、スッタモンダの末に鈴木つく詩さん、小園優さん、東野瑞希さんという素敵な女優さんたちにめぐり合うことができ、なんだかんだと撮影することができたのです。

物語は、落語研究部に入ろうと部室を訪ねた少女が、そこで中国マフィアから逃げてきたという女の子に出会い、怪しげな女子部長とともに、なんとか逃亡を手助けしてやろうとするという、まぁ荒唐無稽なお話。

今回の上映作品での過去の作品からすると、僕にとってはかなり異質な物語ではあるのですが、製作中はこれまた意外なほどに、めちゃくちゃ楽しく、監督である僕が一番はしゃいでいたと言われちゃうくらいでした。

いい加減といえばいい加減、テキトーといえばテキトー。恐らく好き嫌いがはっきり分かれる作りだろうとは想定して作っていましたが、その分、自分の好きにやろうと思ったことは全部やれた作品になりました。

京都国際映画祭をはじめとして、最初の想定では考えられないくらいありがたい賞もたくさんいただくことができ、10年かかっても新しい作品を作れてよかったと感じております。


今回の上映で「落研冒険支部」の上映も一区切りになりそうな形です。上映後のトークには、映画史評論家・春日太一さんにも絶賛された部長役・小園優さんも参加してくれることになりました。

一度ご覧頂いた方も、初めての方も、この機会にぜひ一緒に「落研冒険支部」を楽しんでいただけたら幸いです。

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( ↑ 4/2 上映会告知映像)

事件集結_A4_統合_s
 < ↑ 上映会チラシ・クリックで拡大>


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PFFアワード受賞作から京都国際映画祭グランプリ受賞最新作まで、
映像制作者・飯野歩の映画作品を一挙上映

日時 ◯ 2017年4月2日(日)
    13:30開場/14:00開演 (19:50終演予定)

出演 ◯ 飯野歩(自主映画監督)

ゲスト ◯ 小園優(落研冒険支部)
     石山英憲(詭弁の街・ハズしちまった日。)
     阿部英貴(駅にて、状況・キャッチボール)

司会 ◯ 高松博美(俳優)

会場 ◯ 東京・世田谷「エムズ・カンティーナ」
   世田谷区上馬4-4-8 新町駒沢ビル 2階
    (東急田園都市線・駒沢大学駅徒歩1分)

料金 ◯ 1,500円 (自由席・入退場自由)+500円(1ドリンク)

ご予約&お問合せ:「エムズ・カンティーナ」
予約フォーム:https://ws.formzu.net/fgen/S13353355/

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【上映作品】※各作品上映前後に解説トーク予定

14:00『詭弁の街』(1995年/47分)
   監督:飯野歩 出演:五十嵐正俊、石山英憲
   【 PFFアワード’96審査員特別賞 】

15:10『ハズしちまった日。ver.2011』(2001・2011年/48分)
   監督:飯野歩 出演:石山英憲、山崎吉範
  【 第2回宝塚映画祭グランプリ&市民賞、
    AQコンテンツコンテスト2002 総合グランプリ、
    第2回ショウビフィルムフェスティバル グランプリ、
    第11回 TAMA CINEMA FORUM 映画祭 特別賞&男優賞 】

16:25『ガソリンゼロ』(2004年/68分)
   監督:飯野歩 出演:山崎吉範、水野由加里、勝俣幸子
  【 第15回 TAMA CINEMA FORUM 映画祭 特別賞 】

17:45『駅にて、状況』(2004年/12分)
   監督:飯野歩 出演:高松博美、阿部英貴

   『失われしモノたち』(2004年/8分)
   監督:飯野歩 出演:高松博美、市村政晃

  『キャッチボール』(2005年/19分)
   監督:飯野歩 出演:阿部英貴、鈴木明日香
  【 第3回ぐんまショートフィルムコンクール グランプリ 】

18:50『落研冒険支部』(2016年/28分)
   監督:飯野歩 出演:鈴木築詩、小園優、東野瑞季
  【 京都映画祭2016クリエイターズ・ファクトリー グランプリ、
    第9回おもいがわ映画祭 準グランプリ、
    第2回神保町映画祭 準グランプリ 】

19:20 上映後トーク

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【飯野歩プロフィール】

京都国際映画祭やPFFアワードなどで多数の受賞暦を持つ映像制作者。MVやゲーム作品なども手掛けつつ、自主制作の映画作品ではエンターテインメントを目指した勢いのある作風が特徴。

>> 公式サイト<歩飯野開発機構>