開業して丸3年と3か月。
開業にあたって考えたこと。
質の高い医療を提供すること。
それを記録に残すこと。
その記録を分析、統合、研究につなげること。
他人の研究もよく勉強すること。
その研究結果を医療に還元し、質の高い医療を提供すること。
そのサイクルを回すために教育に力を入れること。
最もコストをかけずに最善の医療を提供すること。
それでもなおかつ事業として成り立つこと。
成り立つだけでなく、できるだけ多くの職員を受け入れること。多くの人を育て世へ送り出すこと。
そんな目標がどれほど達成されただろうか。
月1500人の外来患者、常時100人の在宅患者を受け入れ(地域家庭診療センター)、そのデータは診療支援システム「ドクターベイズ」に蓄積された。学会発表を行い、原著論文も出版した。
臨床研究の論文も日常的に読み、その一部はCMECジャーナルクラブとして世の中に向けても発信した。さらに、その研究結果を日々の臨床にも生かしている。家庭医療専門医プログラムを立ち上げ、現在1名のレジデントが研修中である(地域家庭診療センター・武蔵野家庭医療プログラム)。
もう十分だという気もする反面、まだまだというところもある。
それでもまあ、道半ばといったほうがいいだろう。しかし、道半ばというのは、もはや目標が達成されたといってもいいのかもしれない。やめない限り、どこかにたどり着くし、誰かに引き継ぐ限り、やめることなく、さらに先に行くことができるだろう。引き継ぐ相手はすでに決めてある。そういう意味ではもう十分である。
まだまだであり、十分である。そういうことだ。
しばらくは進み続けたい。で、自分の仕事としては、途中で終わることになるだろうけど、自分が途中で終わることが、次に引き継ぐための必要条件である。途中で終わらせなければ、引き継ぐことができない。
やり遂げることなく、引き継ぐこと、それが次の目標だ。そんなの達成が約束された目標じゃないか、と言われるかもしれない。
それには、明確に答えておこう。その通りだと。
ただ、どうやり遂げないか、どう引き継ぐかというのは、また別の問題としてある。上手にやり遂げず、上手に引き継ぐこと、それは意外とむずかしい。一般的に言えば、「任せる」というようなことかもしれない。
これからの私の目標は、できる限り他人に任せること。そういうことだ。