1997年にPubMedhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/検索が無料化されました。これは20世紀の医療界の大事件の一つだと思います。

2001年のBMJのクリスマス特集号には「20世紀のアメリカからの贈り物、MEDLINEとJazz」と紹介されています(http://www.bmj.com/content/323/7327/1437)。Jazzと並んで賞賛されるというのはちょっと冗談半分かもしれませんが。


私が初めてMEDLINEを検索したのは、1990年頃だったと思います。パソコン通信からTelnet経由で検索するというものでした。

と言っても何だか分からないと思いますが、今で言えば、DOSプロンプトのような画面で、コマンドを打ち込みながら検索する仕組みです。
と説明しても、相変わらず訳が分からないかもしれません。簡単に言えば、検索が大変だったということです。
料金も、基本料+従量制で、月数回の検索でも数万円のコストがかかっていたのではないかと思います。
検索もマニュアル片手に適当な検索をしていたのですが、たいていは全然絞り込めずに数百の論文をサーベイする能力もなく困り果てるか、逆に絞り込めると、十数論文の中に必要な論文は含まれていないというような状況でした。
それでも、何だかその大変な検索が楽しくて、苦痛だったという記憶はありません。
パソコン通信を経由して、世界最大の医学データベースとつながっているという実感は、へき地の診療所で最新の医学から遠ざかってしまったという自分自身に何か大きな希望をもたらしていたのかもしれません。


その後1992年に大学へ異動してからは、CD-ROMでの検索でした。
MEDLINEの1年分が1枚のCDに収められており、そのCDを交換しながら10年分を1時間かけて検索するというようなものでした。
これはある意味、へき地でのパソコン通信を介した検索よりも大変でした。情報検索の環境は、当時すでに大学は後れを取っていたと思います。

へき地医療の現場は案外いけている。
電話回線さえあれば、大学とへき地診療所の情報格差は乗り越えられる、そんな手ごたえを最初に感じた瞬間だったかもしれません。


そんな中、PaperChasehttp://www.paperchase.com/による100ドル使い放題のサービス提供PubMed無料化と、時代は一気に流れていきました。


 コレステロールの話題が途中で放置されていますが、しばらくは情報検索環境の変遷について書いていきたいと思います。