EBM実践にとって欠かすことのできない情報源の1つにACP Journal Clubhttp://acpjc.acponline.org/) がある。これは前回紹介したHaynesが編集長として、1991年に創刊された論文の要約集である。
もともとは2カ月に1回発行される独立した雑誌だったが、現在はアメリカ内科学会の機関紙であるAnnals of Internal Medicineの月の後半の号の巻末に掲載されている。
 
このACP Journal Clubに採用される論文は厳しいクライテリア(http://acpjc.acponline.org/shared/purpose_and_procedure.htm)を満たした質の良い論文だけで、この雑誌に載っている論文はそれなりに信頼性が高いものと考えて間違いない。

さらにこの論文要約にはいくつかの特徴がある。
1つは、構造化抄録と呼ばれる細かいメニュー形式の抄録を採用していること、
もう1つは表題が結論になっていることである。
構造化抄録についてはまたいずれ説明の機会を作りたいと思うが、今回は表題が結論になっている部分を是非強調しておきたい。ACP Journal Clubの実際の目次を見てみると、そのことの意味が一目瞭然である。
http://www.annals.org/content/current#ACPJournalClub

 
* Noninvasive ventilation reduced need for intubation in elderly patients with acute hypercapnic respiratory failure

* Vitamin E supplementation increased risk for prostate cancer in healthy men at a median of 7 years

 

上記のように、表題が記載されているのだが、通常の論文とは異なり、表題を読むだけで結論がわかるようになっている。2つ目の論文はビタミンEの投与は前立腺がんのリスクを増すという衝撃的なものである。
 
EBMの実践を日常的なものにするために、このACP Journal Clubの目次だけでもざっと読むことをぜひお勧めしたい。こんな結果の臨床試験があるんだ、という意外な結果を示す論文がけっこう多い。
この目次を眺めていると、これはちゃんと論文で勉強しないと、という気持ちになってくる。そうしたら、ぜひそのうちの論文の1つを使って、仲間とともに抄読会を開催しよう。

 
抄読会の開催方法については、著書に記載があるので参考にしていただければ幸いである。
 
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97EBM%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-%E5%90%8D%E9%83%B7-%E7%9B%B4%E6%A8%B9/dp/4524253688