開業して1年。まあまあ順調だったか。しかし、一区切りはついていない。まだまだすべてが進行中だ。ここらで一度立ち止まって振り返ったほうがいいのかどうか。


進行中と書いて、進行中でないことって何だろうと思う。例えば科学理論。これがいつまでも進行中のままだと使えない。いったん理論として確立され、進行中でなくなったところでようやく使えるようになる。でも、その陰でまだ不完全な部分をさらに精緻な理論にするために、立ち止まることなく研究は続けられる。いったん進行を止めて現場で利用される理論と、立ち止まることなく続けられる研究と、その2つの側面を押さえておくことは重要だ。

例えばニュートン力学と相対性理論。あるいは相対性理論と量子力学。いったん確立された理論がさらなる研究の進行により別の理論で置き換えられたり、その一部に包含されたりする。


エビデンスというのも、またその一部として同じ構造にある。発表された研究結果進行中の臨床試験というのも同じである。いったんランダム化比較試験で有効とされた治療が、後の研究で無効とされたり、またその逆というのもしばしばある。

ごく最近でも心筋梗塞後のリハビリテーションの効果について、以前のメタ分析で有効(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=15121495)とされたものが、最新の単独のランダム化比較試験で無効とされている。(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=22194152


科学理論もエビデンスも、すべては常に進行中である。あらゆる科学情報は、その進行中の一断面を見ているに過ぎない。そう考えることはとても重要だ。

開業1年、それもまた一断面を見るという作業だ。ここはあまり一断面にこだわらず、むしろ進行中なのだ、ということで1年は経ったのだが、あまり振り返らず、立ち止まらず、しばらくはひたすら進んでいきたいと思っている。