ドクターナゴーの「EBM Diary」

  • ブログの紹介
    「求められることに対してお役に立てることが医師としてのやりがい」をモットーに、Evidence-based medicineのあれこれなどを綴っていきます。 2011年6月に東京・西国分寺で開業。開業してから今まさに進行していることも紹介できればと考えています。
  • 著者プロフィール
    名郷直樹(なごう なおき) 1961年名古屋生まれ。86年自治医科大学卒。95年、作手村国保診療所所長、2003年地域医療振興協会地域医療研究所地域医療研修センター長、東京北社会保険病院臨床研修センター長を経て、11年武蔵国分寺公園クリニックを開院。著書に『EBM実践ワークブック よりよい治療をめざして』、『人は死ぬ それでも医師にできること』、『治療をためらうあなたは案外正しい』など。

2013年01月

EvidenceUpdatesを利用しよう:その日の5分のひとつとして

先日、長崎大学で研修医のための情報検索と題して、2時間半の実習を行った。

ポイントは以下の2つだ。どちらも無料のサービスである。使わない手はない。

1) PubMedClinical Queries を使おう。

2) EvidenceUpdates を登録して毎日論文要約を読もう。



1) については、このブログでも以前紹介した。
http://blog.livedoor.jp/ijimaster-blog3/archives/5153145.html



今日は2) の EvidenceUpdates を紹介しよう。
 
この EvidenceUpdates は、BMJ とマックマスター大学の HIRU(Health Information Research)
http://hiru.mcmaster.ca/hiru/) が合同して提供する最新論文の情報サービスである。
120以上のジャーナルを、1論文あたり最低3人のレビュアーで評価し、relevance と interest の2つで7点満点として論文を採点し、登録者にメールで情報を提供してくれるサービスである。
 
私は通勤電車の中で、このサービスで送られてくる論文要約を1~2点読むことを日課にしている。「その日の5分」のひとつのやり方である。

このページの向かって右上にある ‘Free registration here’ をクリックして
http://plus.mcmaster.ca/evidenceupdates/Registration.aspx から簡単に登録できる。
個人情報を入力し、関心領域を入力し、メールで送られてくる頻度を設定し、送られる論文の点数の基準を入力するだけである。



ちなみに私は6点以上で登録している。そうすると、1日に送られてくる論文がプライマリケア領域に限ると大体1~2論文となる。
どれくらいの論文が対象になるかは、関心領域を設定し点数を設定した時に、その下にグラフで表示される。このグラフを参考に、関連領域や点数の基準を決めるとよい。



ぜひ今からでも登録して、毎朝の論文要約チェックを日課にしよう
10年後には、大きな財産になっているに違いない。




体罰が問題になっているが……。

今回はちょっと嫌な話題。


体罰が問題になっている。
このことがずっと引っ掛かっている。
どこに何を書いても同じ話題になる。

確かに体罰は問題だ。
しかし当事者は、それが一番良い方法だと思っていたりするし、それを支持する人もいる。
それが許されるべきことではないし、いかに時代錯誤かは言うまでもないが、そこにあからさまな悪意がない場合も多いのではないかという気もする。
むしろ善意がある。
もちろん、地獄への道に至る善意だったわけだが
……。
 

それに対して、コトバの暴力というのもある。
コトバの暴力をふるう人には、はっきりした悪意があることが多い。やり方も巧妙だ。
そして、体罰と同様、自分自身は安全なところにいて、決して自分には危害が及ばないように用いられる。

私はこうした暴力も同じように怖いし、こうしたコトバの暴力で命を落としている人はもっと多いかもしれないと思う。

 

私の以前の職場も、コトバの暴力が横行していた。
多分、今も同じだろう。

「給料分働け」
「お前に払う給料はない」
「ままごとやられちゃ困る」
「学級会は終わりだ」

会議などで集まるたびに個人的に罵倒され、会議の場でも他の職員の前で罵倒された。
自分としては、それほど評価されたいとも思わないけど、罵倒されることはないと思う。
その後すべての会議の出席は拒否したが、「理事としての責任を果たせ」と追い打ちが来た。
もちろんそんなこと言われて出席するわけないんだけど。

さらにこの団体を辞めた後、ある雑誌に前職での不愉快な状況について数行書いたところ、どこで嗅ぎつけたのが知らないが、「そういうことを書くな」と人づてに言ってきた。
私はもう職員でも何でもなく、何を書こうとあなたの知ったことじゃないんだけど。
「言うな」と言われれば言われるほど、もっと言ってやろうと思う。
それが普通の反応でしょう。言えるかどうかは別として。


こういうことは絶対忘れないな。



で、体罰の話に戻るんだが、私も言い返しておかなければならない、そう思ったのだ。
今回の事件で。
だから、体罰に対しても、言い返したり殴り返してやればよかったのだ。
でも、それは現実的には難しいだろう。
それなら、その現場を録音して、ビデオに撮って、ネット上で流してやればよかったのだ。
それが無理でも、「こんなことされた」とはっきり文字にしてやればよかったのだ。


これもコトバの暴力だろうか?