「EBMの実践とその普及」ということは、いわば私のライフワークではあるけれども、
何でライフワークになるかというと、なかなか現場での実践は困難だし、
その普及となるといったい20年前と何が変わったのかという気もするわけで、
要は全然進んでいないから、ライフワークなのである


1997年、名古屋での第1回EBMワークショップの感想がいまだにWeb上に転がっている。
http://cochrane.umin.ac.jp/seminar_etc/nagou971207.htm

それを読んで、何だか複雑な気持ちになる。
当時、まだ私自身36歳であった。何か信じられない気持ちである。



これ以降、年に50回くらい講演やワークショップをやっているので
何百回と同じことを繰り返している



EBMの5つのステップ
 
・PECOによる問題の定式化
・情報源の紹介と利用法
・情報の批判的吟味法
・情報の患者への適用
・上記のステップの評価



上記の形式はゆるぎない。
内容は大きく変わった面もあるが、相変わらず高血圧や糖尿病、高コレステロールがネタの中心である。
そして現実の医療も、やはりあまり変わり映えしない
これらの日常的な病気に対し、EBMはいったい何をもたらしたのか




値段が安く効果が高い低用量の利尿薬は徐々に普及しつつあるかもしれないが、
値段が高くさして効果が高くないARBはいまだ断トツのシェア
 
論文捏造が明らかになった後もあまり変わる気配もない。


低リスクに対する高コレステロールに対する治療は多少控えめになってきたかもしれないが、
閉経前の女性が少しコレステロールが高いからといって、
「一応薬を飲んでおきましょう」、みたいな医療も相変わらずである




糖尿病に対する厳しい治療も、どれだけエビデンスが積み重なっても、
とにかく血糖を正常化したいという信仰にはまったく歯が立たない

無力感、と言っていいだろうか。
しかし地道にやり続けるしかない。


100年経てばその意味が分かる