【偉人録】郷土の偉人

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◆京都・読書之森 行雲流水−第二代京都市長 西郷菊次郎の生涯− /京都(毎日新聞・2018/2/11)



NHK大河ドラマ「西郷どん」は、初回平均視聴率(関東地区)が15・4%と過去10年で最も低く、先行きが心配されたが最近はまずまずの数字のようだ。
私も毎週楽しみにしている視聴者の一人。

京都が、禁門の変や薩長同盟締結など西郷隆盛が活躍した明治維新の舞台となることもあり、今後の展開に注目している。
そんな中、隆盛の息子・菊次郎が第2代京都市長を務めたと知り、「これを機に」と関連書を探して手に取った。

本書は、菊次郎の生涯を史実に基づきながら描く歴史小説。

菊次郎は1861年、安政の大獄の影響で奄美大島に流された隆盛と島民の娘、愛加那との間に生まれた。

米国留学後、17歳で隆盛とともに西南戦争に参戦。右足に銃弾を受け、片足を切断したものの生還した。

その後は、外務省勤務などを経て京都市長を6年間務め、「京都市三大事業」といわれる第2琵琶湖疏水の建設▽上水道の整備▽四条通や烏丸通などの道路拡築と市電敷設−−に取り組んだ人物だ。

1904(明治37)年に京都市長に就任。
外国への見聞の広さ、薩摩閥に顔が利く人脈の広さから推された。

菊次郎は、東京遷都で衰退の危機に瀕(ひん)していた京都の立て直しは、「琵琶湖疏水の水力をどれだけ有効に利用できるかに掛かっている」と確信。
本書終盤では、苦心して事業を推し進める様子が描かれる。

問題は資金の確保。3事業の予算は、当時の市年間歳出額の約8倍。

日露戦争直後で資金難にあえぐ国からの援助は期待できず、菊次郎は外債の募集に奔走する。

世界的な経済恐慌などの困難を乗り越え、09年にようやくフランスの銀行からの大型融資が決定。着工から約4年間で完成した。

疏水は現在も約147万の京都市民の水道水源であり、約4倍に拡幅した烏丸通など幹線道路は流通を支えている。

筆者は、京都の街を近代的機能を持つ都市に改造した菊次郎の功績は極めて大きいと称賛する。

本書前半は、単身9歳で奄美大島から鹿児島の西郷本家に呼び寄せられた菊次郎少年の戸惑いや寂しさを丁寧に描きながら進む。

12歳から2年半に及ぶ米国留学は、語学力ほぼゼロの状態から薩摩藩の仲間とともにスタート。

宣教師「ぼぶ」との船中での出会いや寄宿先の教会での暮らしなどを通じ、異国文化や英語を学んでいく明治初期の少年たちの姿が生き生きと描かれる。

激烈な西南戦争での戦いなど数奇な運命を生きた菊次郎の一生を丹念に追った一冊だ。

原作「西郷どん!」(林真理子著)は菊次郎の市長就任のシーンから始まるだけに、大河ドラマで菊次郎が今後どう描かれるのかも気になるところ。

本書では菊次郎から見た隆盛像も描かれ、隆盛が生きた時代の空気を菊次郎の視点から読み取ることができる。
大河ドラマと並行して読み進めても楽しめそうだ。


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