1: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/13(日) 00:11:07.62 ID:avnveVLw.net




4: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/13(日) 00:17:40.85 ID:avnveVLw.net

――――――



ことり「はぁ、はぁ……。もうすぐ着くよー、穂乃果ちゃん」

穂乃果(……この道、やっぱりことりちゃんが向かってるところって……)

バッ

ことり「っ! どうしたの、穂乃果ちゃん。手、離しちゃダメだよ」

穂乃果「もう、やめて……」

ことり「えっ、なに?」

穂乃果「もう、やめてよぉ……っ! ことりちゃんは穂乃果を、どうするつもりなの……っ!?」

ことり「あ、聞きたい? あのねー、まずは前みたいに、こーそくしてねー」

穂乃果「やめて……やめてよぉ……」グスッ

ことり「えっ……。泣いてるの? 穂乃果ちゃん」

穂乃果「うっ、うぅ……。どうして? どうしてこんなことするの……?」

穂乃果「やだよ……。ことりちゃん、怖いよぉ……っ! もう、やめてよぉっ!」

穂乃果「うっ、えぐっ……。怖い、怖いよぉっ! やだよ、もう……っ!」

ことり「あはは、怖いってそんな、穂乃果ちゃん……」

穂乃果「どうして穂乃果に、酷いことするのぉ……? ことりちゃん、ひどいよぉ……っ!」ポロッポロッ 

ことり「……酷い? ふふっ、私が?」

穂乃果「うっ、うぅ……。うみ、ちゃん……」

ことり「あはは……。穂乃果ちゃん」

穂乃果「うっ、ひぐっ……たすけてぇ、うみちゃぁん……っ!」

ことり「いい加減にしてよ」


6: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/13(日) 00:27:47.27 ID:avnveVLw.net

穂乃果「ふっ、うぅ……えっ?」

ことり「あぁ、ううん。そうじゃないの、そうじゃなくて……」

ことり「……うーん、だからさ。穂乃果ちゃんはいつまで、『そんな感じ』でいるつもりなのかな、って」

穂乃果「えっ……えっ?」

ことり「いや、あのさ……。ほら、私そんなに、酷いことしてるかな?」

穂乃果「うっ……だ、だって」

ことり「してるって言うなら、謝るよ。ことりが酷いことをして、それで穂乃果ちゃんが傷ついてるっていうなら……今までしたこと、全部謝るよ」

穂乃果「……」グスッ

ことり「でも私はね、今までずっと穂乃果ちゃんにしてきたことを、『悪いこと』だなんて思ってない……。穂乃果ちゃんはいつか絶対私を受け入れてくれるって、信じてたから」

ことり「だから本当は、謝るつもりもなかったんだ……。でもそれが私の勘違いだったなら、やっぱり謝る。どんなことをしてでも、償うよ」

穂乃果「う、うっ……」

ことり「……ねえ、穂乃果ちゃん」ズイッ

穂乃果「ひっ!」ビクッ

ことり「今日はね、『楽しい道具』をいっぱい持ってきたの……。この前よりも楽しいことが、いっぱいできるよ」

穂乃果「うっ、うぅ……」ブルブル

ことり「あはは、走ってきたから穂乃果ちゃん、汗ビッショリだね。いい匂い……」スンスン

穂乃果「や、やめて、こないで……。やだ、やだぁ……」

ことり「……」



ことり「……やっぱり、穂乃果ちゃん――」

穂乃果「……えっ?」









ことり「『悦んでる』、よね……?」

穂乃果「――っ!!」ビクッ


8: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/13(日) 00:41:26.81 ID:avnveVLw.net

ことり「やっぱりそうだったんだね、穂乃果ちゃん……」

ことり「『穂乃果ちゃんはいつか絶対私を受け入れてくれる』んじゃなくて……とっくのとうに、受け入れてくれてたんだね?」

ことり「ずっと、もしかして、って思ってたんだ……。そう、だから、『あの時』も――」


『穂乃果ちゃんに抵抗する気がなくなったら、縄を解いてあげるからね。その頃には穂乃果ちゃんも、理解してくれてると思うから……』

『穂乃果、大丈夫ですかっ!? 今、縄を……もうほとんど解けてるようですが――』


ことり「私は縄を、すぐに緩めたんだ……」

穂乃果「……グスッ。よろこん、で……よろこんでなんか、ないよぉ……」

穂乃果「こんなことされてよろこぶ人なんか、いないよぉ……っ!」

ことり「……ぺろっ」

穂乃果「ひゃぁっ!?」

ことり「ん~……」スンスン

穂乃果「あっ、やぁ……///」

ことり「……」

ことり「……あはっ、本当に可愛いなぁ、穂乃果ちゃんは」

穂乃果「はぁ、はぁ……えっ……?///」

ことり「我慢してるんだね……。穂乃果ちゃんはそれを『いけないこと』だって思ってるから、必死に我慢してるんだ……」

ことり「体はこんなに、悦んでるのに……っ!」

穂乃果「はぁ、はぁ……やだ、はぁ、うぅ、やだぁ……///」

ことり「『やだ』……? ねえ、穂乃果ちゃん、なにが嫌なの?」

穂乃果「はっ、はぁ……」

ことり「なにが嫌なの? 私のしてることの、なにが酷いの?」

ことり「穂乃果ちゃん、悦んでるじゃんっ! 気持ちいいんでしょっ!? 穂乃果ちゃんはこんなに気持ちよくなってるのに、私のしてることの何が酷いのっ!?」

穂乃果「ちがっ、きもちよくなんてっ……」

ことり「気持ちいいんでしょっ!? 汗を舐められて、匂いを嗅がれて、抱きつかれて、縛られて、髪に顔を埋められて、シャツの中に入られることが、気持ちいいんだよねっ!?」

穂乃果「いや、いやぁ……っ!」
 


12: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/13(日) 00:58:04.30 ID:avnveVLw.net

ことり「言ってよっ! なにが嫌なのっ!?」

穂乃果「うっ、うぅ、やめて……」

ことり「ねえ、それは本当に、嫌がってるのっ!? そうだ、ずっと、何かおかしかったんだよ……っ!」

ことり「だって女の子が『可愛い』って言われて、『いい匂い』って言われて、嬉しくないわけないもんねえっ!?」

穂乃果「っ! そ、それは……」

ことり「そうでしょっ!? 穂乃果ちゃんは最初から、私のことを……本気で嫌がってなんかいなかったんだっ!」

穂乃果「いやぁっ! ちがっ、ちがうよぉ……っ!」

ことり「穂乃果ちゃん……っ! 私はこんなに穂乃果ちゃんを、悦ばせてるんだよっ!? 私のしてることは本当に、『悪いこと』なのっ!?」

穂乃果「こわい、こわいよ、やだよぉ……」ブルブル

ことり「怖い怖い、って……っ! 穂乃果ちゃんは一体あの日からずっと、何に怯えてるのっ!?」ガシッ

穂乃果「ひぅっ!」ビクッ

ことり「私っ!? それとも、私のしてることっ!? ううん、違う――」

ことり「穂乃果ちゃんは、『私のしてることに悦んでる、自分』に怯えてるんだっ!!」

穂乃果「っ!! う、うぅ~っ……」

ことり「穂乃果ちゃんが怖がってるのは……自分自身、なんだ」

ことり「私に何かされるたびに、自分の意志とは無関係に、体が反応しちゃって……それが、怖いんだね」

ことり「私がエッチなことをするたびに、自分が自分でなくなりそうで、頭がおかしくなっちゃいそうで、それが、怖いんだ」

穂乃果「うっ、うぅ、えぐっ……」

ダキッ

ことり「……大丈夫、穂乃果ちゃん。私も、だよ」

穂乃果「うっ、うあぁあ……」

ことり「私も、怖い……。だって『レベル5』を嗅いじゃったら、私、どうなっちゃうか分かんない……。それがたまらなく、怖いの」
 


15: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/13(日) 01:11:27.83 ID:avnveVLw.net

              
ことり「でも……それ以上に、ワクワクしてる」

穂乃果「う、うあぁぁあ、あぁ……」

ことり「だってさ、絶対気持ちいいよ。きっと頭じゃ理解できないくらい刺激が強くて、今までに感じたことのない体験ができるんだ」

ことり「どんな感覚なんだろうね……。すごく、ワクワクするよ」スッ

穂乃果「うぅ、ひぅ……」

カチカチカチッ!

ブワッ

ことり「……んぅぅぅ」ギュゥゥ

穂乃果「あっ……?」ビク

ことり「んんんぅぅぅぅ――」スゥゥゥゥ

穂乃果「あぁっ!? あっ! あ、ああぁっ////」ビクン!

ことり「ぺろ、ぺろっ! ちゅぱっ! んん、うぅぅぅぅっ! んぅっ!」スゥゥゥ

穂乃果「あっ! ああぁぁぁあぁっ! あぁあぁああぁっ/////」ビクンビクンッ!

ことり「ん、ふぅ、はぁ、はぁ……」

カチカチカチ

フッ

ことり「……今の百倍気持ち良いことを、後でしてあげる」

ことり「どう、怖い……? それとも――わっ」

穂乃果「はぁ、はぁ……や、らぁ……」トロォン

ことり「……ふふっ。すごくエッチな顔してるね、穂乃果ちゃん」
  


19: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/13(日) 01:20:11.50 ID:avnveVLw.net

 
――――


穂乃果の家、前



ことり「着いたよ、穂乃果ちゃん……」

穂乃果「うっ、うっ、うえぇえぇん……」

ことり「『天国に一番近い場所』……。穂乃果ちゃんの、お部屋だよ」

穂乃果「ひっ、うっ、うぅ……」

ことり「お店、閉まってるね……。お父さんとお母さんは……?」

穂乃果「うぅ……。りょこう……にっ、いって……」

ことり「いないんだ……。雪穂ちゃんはこの時間はまだ、学校かな……」

ことり「……奇跡的に二人きりだね、穂乃果ちゃん」

穂乃果「うっうぅ、ないっ、でぇ……」

ことり「えっ。なに……?」

穂乃果「わ、ないでっ……いわない、でぇ……っ!」

穂乃果「おねがい……っ! うみちゃんには、グスッ、いわないでぇ……っ!」

穂乃果「ほのかが、へんたいだって、こと……っ! ひぐっ、しられたく、ないよぉ……っ!」

ことり「……」

ことり(穂乃果ちゃん程度で変態なら、海未ちゃんは変態の女神様だよ……)

ことり「分かった、内緒にしとくよ。それじゃ、裏口から入ろうか」

穂乃果「う、うええぇえん……」


ズキン


ことり「……っ」

ことり(頭いたい……)

ことり(やっぱり私、何か大事なことを忘れてる……)

ことり(どうして穂乃果ちゃんを見てると、そう思うんだろう……)
 


41: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 20:20:00.69 ID:6PUGRPXz.net

   
――――


絵里「はぁ、はぁ……っ!」

にこ「うっ、く……っ!」

凛「あはは、そろそろ疲れてきたみたいだねー。えっと……」

凛「……えりちゃんと、にこちゃんっ!」

海未「……はぁっ!」ダッ

凛「あと、うみちゃんもね」ダンッ!


ガシッ、ドサァ……


海未「うぐっ……! は、離してくださいっ!」

凛「いいよー、はいっ」パッ

海未「はぁ、はぁ……っ」

海未(なんて身軽さと、速さ……。まるで本当の、猫みたいです……っ!)

真姫「……ことりはもうだいぶ、遠くへ行ったみたいね」

凛「うーん、凛たちもそろそろ行ってもいいんじゃないかにゃ?」

真姫「ダメよ。一応あっちから連絡があるまでは、時間を稼ぐ約束だから」

凛「そっかぁ。じゃあもう少し遊ぼうか、みんなっ」

海未「くっ……」

海未(武道を嗜む私、小さくて身軽なにこ、運動神経抜群の絵里を持ってしても、凛一人を抜くこともできないとは……)

海未(ほのキチにまさか、ここまでのパワーがあるなんて……一体『覚醒』とは、なんですか……?)
 


44: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 20:31:42.88 ID:6PUGRPXz.net

   
真姫「……ふふっ。やっぱりすごいわね、覚醒したほのキチは」

希「真姫ちゃん……」

真姫「なにかしら?」

希「さっき、計画はまだ終わってないって……。どういうことなん……?」

真姫「……ああ。だから、そのままの意味よ。私が後でことりからスイッチを借りて、あんたの代わりにまた、『μ'sのほのキチ化』を進めてあげる」

海未「なっ……!?」

希「真姫ちゃん……。でももう、ウチは……」

真姫「メンバー全員をほのキチ化することで、『μ'sを一つにする』……。素晴らしい考えだと思うわ。だから私はあんたに、協力したのよ」

希「でも……でも、こんな……っ! ここまで人を変えてしまうなら、やっぱりほのキチ化なんて、やめるべきや……っ!」

真姫「……は?」

希「ウチが、間違ってた……。やっぱりあのスイッチは、恐ろしいものやった……っ! ほのキチになんて、誰もなっちゃいかんかったんやっ!」

希「ごめん、ごめんなさい……っ! 凛ちゃん、真姫ちゃん……ことりちゃんっ! ウチは、こんなつもりじゃ……っ!」

絵里「の、希……」

にこ「馬鹿ね、あんた……」

真姫「ええ。ほんとに馬鹿だわ」

希「……えっ?」

真姫「分からないの? あのスイッチは、『ここまで人を変えてしまう』からこそ、素晴らしいものなんだってことが」

海未「……なんですって?」

真姫「凛、ジャンプ。思いっきり」

凛「おっけー」
 


45: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 20:46:39.63 ID:6PUGRPXz.net

   
ググッ……


海未「……?」


ダァンッ!


海未「――っ!?」

にこ「は……?」

絵里「なっ、うそ……!?」


グルンッ

……シュタッ


凛「お、っとと……へへー」フラ

にこ「ちょ、ちょっと……。今、3メートルは跳んだわよ……っ!?」

真姫「ほのスメルを嗅いだ直後なら、4メートル近く跳ぶわ」

にこ「えっ……」

海未「……」

真姫「あとは、そうね……。今の凛は、100メートルを5秒で走りきるわ。そりゃいくら走っても、簡単に追いつかれるわけよね」

絵里「っ! そ、そんなのもう、人間じゃ、ない……」

真姫「ふふっ。もしもこの異常なまでの運動神経を、μ'sのメンバー全員が持っていたとしたら……素敵だと、思わない?」

海未「……はい?」

真姫「つまり『μ'sのほのキチ化』により、メンバー全員を凛のように『覚醒』させるの。そしたら一体、どうなるか……」

真姫「どんな高度なダンスも軽々こなし、どんな過酷なライブだろうと、無尽蔵の体力で乗り切っていく……『最強のスクールアイドル』が、誕生するの」

希「真姫ちゃん……真姫ちゃんの考えって……」

真姫「あのA-RISEさえも、足元にも及ばない……。ラブライブの優勝だって、目じゃないわ」

海未「……そういう、ことですか」

真姫「言ったでしょう? 『私はラブライブを諦めない』、ってね……」

真姫「……まあ、お客さんの前で4メートルもジャンプしたら、ドン引きされるでしょうけど」
 


46: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 20:54:50.51 ID:6PUGRPXz.net

  
真姫「だから安心して、希。あんたの願いは私が叶えてあげる……あんただって、ほのキチにしてあげる」

希「ダメや、そんなん……。そんなことしたら、あかんよ……っ!」

希「真姫ちゃんは、そんなこと考えてなかったやん……っ! ウチに協力してくれてた時は、そんなこと言ってなかったやんっ!」

希「真姫ちゃんは……μ'sはもう一度一つになれるって、信じてたからっ! だから『ラブライブを諦めない』って、言ってたんやろっ!?」

真姫「そうね。これはほのキチになってから、思いついたことだし。やっぱりなってみないと分からないことって、あるわよね」

真姫「ほのキチになってから、色々なことを考えるようになった。目が覚めたように頭がスッキリして、曲作りも捗るようになった」

真姫「あんたも『なって』みればいい。『こっち側』にくればいい。そしたら、理解できるわ」

希「……っ!!」

海未「ダメですよ、希。あなたには、義務があります。自分の犯した罪を償う、義務が……」

海未「『あっち』に逃げることは、許しません。『こっち』であなたは、罪を償うんです。ほのキチになろうだなんて、二度と考えないでください」

希「……」

真姫「……だから、どっちみち全員ほのキチになるんだってば」

凛「あーもう、話長いよっ! 次は誰が凛に挑戦するのーっ!?」

海未「……」

凛「えりちゃんか、にこちゃんか……それともまだ一回も挑戦してない、のぞみちゃんか、かよちゃん、かにゃ?」

花陽「……」

希「……」

にこ「どうする、海未……。今の状態じゃあの二人は、無理よ」

絵里「けど私たちでももう、どうしようも……」

海未「……いえ。まだ希望は、あります」

絵里「……」

海未「最後の力を、振り絞って……いけますか、二人とも」

絵里「……分かったわ」コクン

にこ「ったく。仕方ないわねー……」
 


47: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 21:05:44.65 ID:6PUGRPXz.net

  

『ほのスメルを嗅いだ直後なら、4メートル近く跳ぶわ――』


ダダッ!


真姫「三人一気に、別方向に……。それはもう何度も、試したでしょ?」

凛「んー、どっちいこうかにゃー……。よしっ!」

ドヒュンッ!

ガシッ! ドサァッ!

絵里「きゃぁっ!」

凛「えりちゃん捕まえたーっと。そんでぇ――」

ギュンッ!

ガシッ! ドサァッ!

にこ「いっったいわねーっ!」

凛「にこちゃんも捕まえた。最後は……」

凛「……あっちか。遠いなぁ――」

ヒュン……ッ!


海未「はぁ、はぁ……っ!」タッタッタッ……

凛「まてーっ!」

海未「はぁ、はぁっ! ぜぇ、ぜぇっ!」

凛「まてまてーっ!」

海未「はぁっ! はぁーっ!」ダダッ!

凛「まっ……」

凛「……」



凛「……あれ? 追いつけない……」
 


50: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 21:11:27.54 ID:6PUGRPXz.net

 
真姫「凛っ! もういいわ、戻ってきなさいっ!」

凛「っ! はーいっ!」

ヒュン



絵里「……うまく、いったわね」

にこ「ええ……。海未の言う通りだったわ。やっぱり、凛のヤツ……」

にこ「もう、『燃料切れ』みたい」

絵里「彼女たちほのキチが最高のパフォーマンスを発揮できるのは、『ほのスメルを嗅いだ直後』だけ……。それから時間が経つにつれて、彼女たちの『燃料』は減っていく」

絵里「さっきことりがスイッチを押して、レベル4を三人で嗅いでたのは……燃料の、『補充』をしていたのね」

にこ「はぁ、つかれたぁ……。もうここからじゃ流石に追いつけないでしょ」

絵里「ええ。あっちが手遅れでなければいいのだけど……」

にこ「あとは海未に任せましょ。ほのキチやらほのスメルやら、もう頭がおかしくなりそう……」

絵里「そうね。頭も体も、とにかく疲れたわ……」

にこ「制服も泥だらけだし、最悪よ……。はぁ~、帰ったら洗わなきゃ……」

絵里「……」

にこ「どうしたのよ?」

絵里「……なにしてるの、あれ?」

にこ「……うん?」



スンスンスン……
 
 


51: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 21:17:32.13 ID:6PUGRPXz.net

   
真姫「……そのくらいにしておきなさい」

凛「うぅん、もうちょっと……///」スンスン

真姫「バカ。ほんとに追いつけなくなるわよ。いい? あいつの走った方向は遠回りだから、ここをまっすぐ行けば……」

凛「ん、おっけー……」

凛「……」

凛「……ちょっと本気出すから、掛け声お願いしていい?」

真姫「めんどくさいわね……」

真姫「……『いちについて』」

凛「……」ググッ

真姫「『よーい』――」



絵里「く、クラウチングスタートっ!?」

にこ「ちょっと待ってよっ! あいつはもう、燃料切れのはずじゃ――」



真姫「――『どん』っ!」

凛「……っ!!」


ドギュンッ!!

 


54: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 21:25:38.92 ID:6PUGRPXz.net

  
 
……

ドサッ……


海未「うっ……」

凛「ゲームオーバー、だね」

絵里「海未……」

にこ「そんな……」

海未「くっ、うぅ……」

海未(最後の賭け、だったのに……。これでも、ダメなんですか……っ!?)

海未(いえ、確かに一度は、撒いたはずです……。一体、何が……? まさか燃料切れどころか、ここにきて更にスピードを上げてくるなんて……)

絵里「……海未、アレよ。凛はアレを嗅いで、スピードを取り戻したんだわ」

海未「アレ……?」

真姫「……どうやらコレが気になるようね。いいわ、見せてあげる」バッ

海未「……『ほ』?」

真姫「穂乃果の練習着よ」

海未「――っ!!」

真姫「これにはほのスメルが、たっぷり詰まってる……。補充には十分なほどにね」

海未「ど、どうしてあなたが、それを……」

真姫「ことりから借りたのよ。なんで彼女が持ってたのかは、知らないけど……」

海未(け、結局盗んだんですかっ! ことり……っ!)
  


55: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 21:32:06.10 ID:6PUGRPXz.net

  
凛「さて。まだ、やるのかにゃー?」

絵里「う、海未……」

にこ「どうすんのよ……」

海未「はぁ、はぁ……」

真姫「凛はまだまだ余裕だけど、あなたたちの体力はもう限界のようね。ま、よく頑張った方だわ……」

海未「……」

海未(……万策、つきましたか)

海未(ごめんなさい、穂乃果……)

海未(私はあなたを、助けることが……)


ザッ


海未「……っ!」

真姫「……へえ」

凛「……あははっ。やっと、やる気になったんだ?」

  



凛「かよちゃん……っ!」ニヤァ

花陽「……」

花陽「凛ちゃん……」



花陽「……っ!!」


ダッ!

 


62: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 22:27:01.24 ID:6PUGRPXz.net

 
凛「……っ!? むっ!」


ドンッ!


花陽「……きゃっ!」ドテッ

凛「……ふーん」

花陽「……はぁっ!」ダダッ!

凛「そうくるんだ。意外だね。でも……」


ドンッ


花陽「あうっ……!」ズザ……


海未(花陽……。凛を抜こうとするのではなく……凛に、『向かって』いってる……?)

真姫(ふん。凛を直接『押さえつけて』、その隙に他の三人に抜かせようってわけ。だけど……)

絵里(ダメ……っ! 凛は、力も格段に上がってるっ! 無闇に向かっていっても、突き飛ばされるだけだわ……っ!)

にこ(む、無理よ花陽、あんたじゃ……っ!)


ドンッ!

ズザァッ!


花陽「ぅ……っ!」

凛「……うーん。ちょっと弱すぎるよ、かよちゃん」

凛「あっ、分かった。かよちゃんは『かよわい』から、『かよ』ちゃんなのかな?」

花陽「はぁ、はぁ……」


64: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 22:36:00.84 ID:6PUGRPXz.net

……

ドンッ……


花陽「うぁっ……!」ドサッ

凛「んー……」

真姫「……もう、無駄よ。あなたたちの狙いは分かってる」

海未「……」

真姫「花陽を囮にして、自分たちの体力の回復と、凛の疲弊を狙ってるんでしょう?」

真姫「そんなことしても、無駄。凛は疲れることなんてないし、ほのスメルは練習着でいくらでも補給できる」

真姫「あなたたちはもう……詰んでるのよ」

にこ「……」

絵里「……花陽」

花陽「はぁ、はぁ……っ!」ダッ!


海未(……花陽を囮になんて、誰も考えていませんよ)

絵里(私たちは花陽を、信じてるのよ……。この状況を突破できるのは、きっともう、彼女しかいない……)

にこ(なんとかしなさいよ、花陽……。凛はあんたの大切な、親友でしょ?)


花陽「……ああぁっ!!」

凛「……っ!」ドンッ!


ドサァ……ッ!

 


65: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 22:43:06.48 ID:6PUGRPXz.net

  
花陽「うっ……」

花陽「ふっ、うぅ……」グスッ

凛「……」

凛「……もう、やめなよ」

花陽「うっ、えうっ、うっ……!」ポロッポロッ

凛「泣くぐらいだったらもう、やめなよ。こんなの、いじめてるみたいで、全然楽しくないにゃ」

花陽「うっ、ひぐっ、うあぁあっ!」ダッ!

凛「……っ」ドンッ!

花陽「あぅ……っ!」ドサッ……!

海未「は、花陽……」

真姫「……あなたたち、止めてあげなさいよ。花陽、もうボロボロじゃない」

真姫「分かるでしょ? もう、あなたたちの負けなの。おとなしくしてれば、悪いようにはしないわ」

にこ「くっ……!」

絵里「仕方ないわ……。花陽にこれ以上、無理をさせるのは――」

花陽「まだですっ!!」

絵里「っ!?」

花陽「はぁ、はぁ……っ!」ググッ!

凛「……」

希「……花陽ちゃん」
 


66: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 22:53:22.19 ID:6PUGRPXz.net

   
凛「……ごめんね、かよちゃん。凛、勘違いしてたよ」

花陽「はぁ、うっ、うぅ……」

凛「弱いなんて言って、ごめん。そんなことなかったね、かよちゃんは……」

花陽「はぁ、はぁ……っ!」

凛「かよちゃんは、強いよ。それにすごく真剣で、まっすぐで……。こんなに根性がある人、凛、初めて見た」

凛「なんていうか……凛はそういう人、好きだな」

花陽「うっ、うっ、わ、わたし、は……っ!!」グッ……

凛「だから、その……。ねえ、かよちゃん……」

凛「……もし、よかったら、なんだけど」

花陽「うっ、ひぐっ、うぅ……っ!」

凛「これが全部、終わったらさ……。かよちゃん、凛と……」

花陽「わた、しは……っ!」ググッ



凛「おっ、お友達に、なって――」

花陽「私は、『かよちゃん』なんかじゃないっ!!」


凛「……えっ?」

花陽「私は……昔からいつだって、凛ちゃんの、一番の親友の――」




花陽「――『かよちん』だっ!!」



ダダッ!

 


69: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 23:02:07.76 ID:6PUGRPXz.net

  

ツルッ

ドテェンッ!


海未「っ!?」

にこ「あぁっ!?」

絵里「痛っ……っ!」

希「こ、転ん……」

真姫「……」


真姫「……終わったわね」



凛「……」

花陽「……」

凛「……あの」

花陽「……」

凛「だ、大丈夫? その……」

花陽「……」


ガバッ!


凛「――っ!?」

花陽「凛……ちゃんっ!」


ドタァンッ!


凛「っ!? うぐっ、うぅ……っ!?」

花陽「凛ちゃんっ!!」


ギュウゥ……

 


70: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 23:06:45.38 ID:6PUGRPXz.net

   
絵里「や、やったっ!」

にこ「あの凛を、押さえつけたわっ!」

真姫「……無駄よ。花陽の力じゃ、今の凛を押さえつけることなんて、無理……」

真姫「すぐに押し返されて、終わりだわ」

海未「……」


ギュゥ……ッ!


凛「むぐっ……! ど、どくにゃ……っ!」

花陽「凛ちゃん……っ! 凛ちゃんっ!」

凛「はなすにゃぁ……っ! う、うぐぐ……っ!」

花陽「はなさないっ! 絶対に、もう、二度と……っ!」ガシッ

凛「なっ、なんなのっ!? ちょ、やめ……っ!」

バフッ

花陽「お願い、凛ちゃん……っ! うっ、うぅ……っ!」ムギュゥ

凛「んぅっ!? ん、んぐ、む、むねが……」

花陽「目を、覚まして……っ! ひぐっ……。思い出してっ!」ポロッポロッ

花陽「私のこと、思い出してよぉっ! 凛ちゃぁんっ!!」

凛「――――っ!?」
 


72: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 23:16:55.88 ID:6PUGRPXz.net

  
フワァ……


りんちゃんっ! おはようっ!

りんちゃんっ! いっしょにかえろうっ!

わぁ、かわいいっ! りんちゃん、スカートすごいにあうよっ!


りんちゃんっ!


凛ちゃん……っ!



あ、あのね……。

わがまま、言ってもいい……?

もしね、私が……アイドルやるって、言ったら――


一緒に、やってくれる……?


花陽「凛ちゃん……っ!」ギュゥ

凛「……」


この、におい……

懐かしい感じがする……

それに、なんだか、すごく……

安心する……

……

あぁ、そっか……。

この『匂い』は……

凛の、大好きな――

  
   

  

凛「……かよ、ちん?」

花陽「……えっ?」
 


74: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 23:22:11.11 ID:6PUGRPXz.net

   
凛「あれ……? かよちん、だ……」

花陽「り、凛、ちゃん……?」

凛「どう、したの……? どうして、泣いてるの……?」

凛「どうしてそんな、泥だらけで……」

花陽「凛ちゃんっ!? わ、私のことが、分かるのっ!?」

凛「……あはは、なに言ってるの。かよちんは、かよちん、でしょ……?」

花陽「……っ!! あっ、あっ……」

花陽「凛ちゃん、凛ちゃぁん……っ! うっ、うあぁぁあ……っ!」ギュゥ

凛「あ、あはは、苦しいよ、かよちん……」


真姫「……」

海未「……?」

にこ「なにが、起きて……」

絵里「まさか……。いえ、でも、まだ……」

希「……っ! り、凛ちゃんっ!!」


花陽「えっ……?」

凛「……希ちゃん? あれ、みんなも……」

希「け、携帯――」



希「あの時は、携帯貸してくれて、ありがとうっ!」
 


75: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 23:29:32.45 ID:6PUGRPXz.net

   
凛「……」

凛「携帯……?」

希「凛ちゃん……」

凛「……あっ」


凛「そういえば……。あの時希ちゃん、結局何のメールを打ってたんだにゃ?」


希「……っ! はは、あははっ……」

花陽「……」

にこ「えっ……? ど、どういう、こと?」

絵里「ちょ、ちょっと、これって……」

海未「……ほのキチになった凛からは、どう頑張っても希の情報は、引き出せませんでした」

海未「記憶障害によって……。しかし今、その記憶が戻ったということは……」

真姫「……っ!」ギリッ

にこ「つ、ついに…」

絵里「凛が……」

海未「ええ。ほのキチから――」

花陽「うっ、うあぁああん……」ボロッボロッ





「「元に、戻ったぁーっ!!」」

  


76: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 23:34:40.08 ID:6PUGRPXz.net

 
絵里「やった……やったわっ!」

にこ「はぁー、もう。手間かけさせてくれたわねー」

海未「はは……」

花陽「凛ちゃん……っ! よかったよぉ、うあぁぁぁんっ!」ギュゥ

凛「えっ、なに? どういうこと……?」

希「ごめんね凛ちゃん、ウチのせいで……。本当に元に戻ってくれて、よかった……っ!」

凛「希ちゃん……? ていうか、メールは……」

希「……ん? んー。ないしょっ」



真姫「ど、どうして……っ! ほのキチから元に戻るなんて、一体どうやって……っ!?」

海未「……凛。あなた、今までのことを、覚えてますか?」

凛「んっ、んぅ……。思い出せない……。なんだかすごく長い、夢を見ていたような……」

海未(ほのキチの時の記憶は、覚えていないようですね……)

凛「覚えてるのは、夢の中に、かよちんがいて……。かよちんが凛を、抱きしめてくれて……。かよちんの匂いがして……」

花陽「え、ええっ?」

希「ちょっと、待って……『匂い』?」

絵里「なるほど。花陽の『匂い』を嗅いで、凛は元に戻ったのねっ!」

海未「ですが匂いを嗅ぐだけでいいなら、元に戻れるタイミングは今までも……」

にこ「きっとあんなに強く抱きしめてたんだから、匂いも強かったのよっ!」

花陽「っ!!」カァァァ

絵里「ハラショーっ! 『かよスメル』が『ほのスメル』に、打ち勝ったんだわっ!」
 


77: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/14(月) 23:40:55.01 ID:6PUGRPXz.net

  
花陽「うぅ……」

絵里「あっ、ごめんなさい、花陽……」

真姫「な、なによそれ……。そんな、馬鹿な話が……」

にこ「……ということは」

海未「ええ。真姫も、元に戻れる可能性が――」

真姫「……くっ!」

ダッ

にこ「あっ、逃げたっ!?」

海未「追いましょうっ!」

絵里「待ってっ! 真姫は私たちが追うわ。あなたは、ことりと穂乃果をっ!」

海未「……そうですね。では、お願いしてもいいですか?」

絵里「ええ……。私たちが必ず、真姫を元に戻して見せるわ」

にこ「花陽っ! あんたはボロボロだから、凛と保健室に行きなさいっ!」

花陽「う、うん……」

凛「うぅ~ん、なにがなんだか……」

海未「……花陽。ありがとうございます。あなたのおかげで、不可能と思われていた、ほのキチを元に戻す方法が分かりました」

花陽「う、ううん、私は何も……。さっきのは、偶然みたいなものだったし」

海未「いいえ、偶然なんかではありません。私たちが、凛をどうやって突破するか、考えている中で……。あなただけは必死に、凛を『元に戻す』ことを考えていた」

海未「あなたは凛から逃げることを考えず、立ち向かっていこうとした……。あなたの勇気が凛を、元に戻したんです」

花陽「……」

海未「……凛を頼みます、花陽」

花陽「……うんっ!」
 


113: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 22:10:28.64 ID:bLDC92YR.net

 

タッタッタッ……


真姫「……はぁ、はぁっ!」

真姫(くっ……! まさかほのキチから元に戻る方法が、存在するなんて……っ!)


スゥゥ、スゥゥ……

真姫「はぁ……っ!」

真姫(私は凛と違って、動けるタイプのほのキチじゃない……っ! 運動は苦手だし、足も遅い……っ!)

真姫(せめてこうして練習着でほのスメルを補給しながら、全力で逃げるしか……っ!)


ザッ!


真姫「っ!?」

絵里「見つけたわよ、真姫っ!」

真姫「くっ……!」クルッ

にこ「ぬあぁっ!」ガバッ!

真姫「きゃぁっ!?」ドサッ

真姫(い、いつの間に、後ろに……っ! はさみ打ちなんて……っ!)

にこ「捕まえたわよー、真姫ぃ」ガシッ

真姫「は、離せっ!」ジタバタ

にこ「ははっ。凛に比べたら全然チョロいわねー、あんた」

真姫「チョロいっていうなぁっ!」
 


116: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 22:20:10.43 ID:bLDC92YR.net

  
にこ「まあ、とにかく……」ズイッ

真姫「ひっ……!?」

にこ「……んっ」ギュゥ

真姫「むぐっ……」

にこ「μ'sで一番いい匂いがする、にこにーの匂いよ……。これであんたも、元に戻るはず……っ!」

真姫「うぐぅっ……」

にこ「お、思う存分、嗅ぐといいわ。大サービス、なんだからねっ。くっ、ふふっ……」ギュウギュウ

真姫「こ、こんなので……」

にこ「ふふっ……。ほら、どう? 穂乃果より、いい匂いでしょ?」

真姫「こんなの、でぇ……っ!」

にこ「ちょ、ちょっと、早く元に戻りなさいよっ! にこだって、恥ずかしいんだからねっ!?」

真姫「じゃあ早くどけばっ!?」ドンッ!

にこ「うわぁっ!?」ドタッ

絵里「にこっ!?」

真姫「はぁ、はぁ……っ!」フラ

真姫「ざ、残念だったわねっ! にこちゃんの匂いなんかじゃ、元には戻らないんだからっ! あははっ!」


タッタッタッ……


にこ「なっ……」
 


118: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 22:29:59.79 ID:bLDC92YR.net

  
絵里「そんな……『にこスメル』じゃ、ダメだって言うの?」

にこ「……」

絵里「くっ……。え、『えりスメル』なら、いけるかしら……? そうよね、私も、頑張らなきゃね……っ!」

絵里「にこっ! 追うわよ――って、にこ?」

にこ「……」フラッ

ガクッ

にこ「にこの匂いなんかじゃ、戻らないって……。『なんか』って……」

絵里「……えっと、にこ?」

にこ「絵里……。私そんなに、臭い?」

絵里「えっ!? そ、そんなこと……」

にこ「なんで、どうして……。ち、ちゃんと、お風呂入ってるのに……」

にこ「臭い……。私、臭いんだ……。なによ、臭いアイドルって……」

絵里「ちょ、ちょっと……」

にこ「こんなんじゃ、アイドル失格よぉぉ……っ!」ズーン

絵里「に、にこぉ……っ!」

絵里(ここにきて、にこの心が折れるなんて……)

絵里(どうしよう……。真姫を追わなきゃいけないけど、でもにこを、ここに置いてくわけには……)

絵里「……」

絵里「あっ、あれは……?」
 


119: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 22:41:34.25 ID:bLDC92YR.net

   
タッタッタッ……

真姫「はぁ、はぁ……っ! あれ? 追ってこない……っ!」

真姫「諦めたのかしら? ふふっ、やったっ! 勝ったわっ!」

真姫「見てなさい……。あとでスイッチで全員、ほのキチにしてやるわ……っ!」

真姫「あうっ!?」バフッ

希「……」

真姫「……の、希――」

ダキッ

真姫「――っ!? むぐっ……」

希「真姫ちゃん……」ムギュ

真姫「くっ……。ふっ、ふふっ……っ! 無駄よ、希……っ!」

希「……」

真姫「あ、あんたの匂いでも、私は戻らないっ! こんなの、なんでもないわっ!」

希「……」ムギュゥ……

真姫「んっ、んぅ……。む、むひゃっへいっへんの、わはんにゃいのっ!?」

真姫「……ぷはっ! ば、バカねっ! 凛が花陽の匂いで戻れたのは、奇跡みたいなものだったのよ!」

真姫「二人は親友同士だから……っ! 昔からの思い出とか、二人だけの大切な何かが絡み合って、だからこそ、戻れたのっ!」

希「……」

真姫「でも、私は……っ! 今まで誰ともそんな思い出、築いてこなかったっ! 本当の親友なんて、私には一人もいないのっ!」

真姫「だから、私は戻れないっ! 誰も私を戻すことなんて、できないっ!」

真姫「もう二度と、元の私には……っ! 戻れないのよぉっ!!」
  


121: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 22:55:43.01 ID:bLDC92YR.net

   
ムギュゥ

真姫「むぐぅ……っ!?」

希「……ほんとにそう思ってる? 真姫ちゃん」

真姫「な、なにがよ、はにゃしなさいよぉっ!」

希「真姫ちゃんには、あるやん……。ウチらと築いてきた、思い出が」

真姫「――っ!!」

希「短い時間だけど……。真姫ちゃんにとって、μ'sで過ごしてきた時間は、大切な思い出にはならなかったん?」

真姫「うっ、そ、そんなの……」

希「真姫ちゃん。ウチらは、真姫ちゃんの『本当の親友』には、なれなかったん……?」

真姫「……う、うぅ」

ギュゥ……

希「……違うよね」

希「真姫ちゃんは、μ'sが大好きなんやもんね……。だからウチに協力してくれたんやろ?」

真姫「……」

希「ありがとうな、真姫ちゃん。ウチの計画に、協力してくれて……」

真姫「の、のぞ、み……」

希「ウチを信じてくれて、ありがとう。μ'sのことを想ってくれて、ありがとう……」

希「計画は、失敗しちゃったけど……。ウチ、真姫ちゃんに相談して、本当によかったよ……っ!」
 


123: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 23:03:11.00 ID:bLDC92YR.net

 

フワァ……


真姫「……」

真姫(あたたかい……)

真姫(いい、におい……)


そうだ……。

私はμ'sが、大好きだったんだ……。

いつも口では冷めたことを、言ってるけど……

でも、本当は――


穂乃果「真姫ちゃんっ!」

海未「真姫っ!」

ことり「真姫ちゃぁんっ!」

凛「まーきちゃんっ!」

花陽「真姫ちゃん……っ!」

にこ「真姫っ」

絵里「真姫ーっ!」

希「……真姫ちゃんっ」


私はμ'sが、大好きだったんだ。

だってμ'sには、みんながいるから……。

私の大好きな、みんながいてくれるから……。

ずっと、『本当の親友』なんていなかった。

だけどいつの間にか私の周りには、たくさんの人がいて。

私の名前を呼んでくれる、みんながいて……。


いつの間にかμ'sは、私の大切な居場所になってたんだ――

 


127: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 23:09:21.39 ID:bLDC92YR.net

  
真姫「……」

希「……真姫ちゃん」

真姫「……離しなさいよ」

希「えっ……?」

真姫「はぁ……。頭がクラクラする……」

希「ま、真姫ちゃん……? もしかして」

真姫「……あー」スッ


真姫「この練習着、早く穂乃果に返してあげなきゃね……」

希「っ! も、元に、戻ったんやねっ!?」

真姫「まあ、そうね……」

希「よ、よかった……っ! よかったぁっ!」グスッ

真姫「な、なに泣いてんのよ、らしくないわね……」

希「だって、ウチのせいで、真姫ちゃんは……っ!」

真姫「バカ。私は自分の意志であんたに協力して、自分の意志でほのキチになったのよ」

希「……」

真姫「だって、私も……。その、あんたと同じで――」
 


128: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 23:12:57.85 ID:bLDC92YR.net

   

『……ごめんな、いきなりこんな話して』

『ほんとよ。急に呼び出すから、なにかと思ったら……。ほんと、意味わかんない』

『そ、そうだよね、変だよね、やっぱり……。ごめん、今した話、全部忘れて……?』

『……』

『あはは……。それじゃ、また明日、学校で……』

『待ちなさいよ』

『えっ……?』

『ついてきて。スイッチ、私の部屋にあるから』

『……真姫ちゃん?』

『あんたの計画に、協力してあげるって言ってんの。感謝しなさいよね』

『ど、どうして……?』

『……べつに』



『ただ……私も、あんたと同じで――』




真姫「――μ'sのことが、すっ、好き、だから……」

希「……真姫ちゃん」

希「えへへ、ありがとう。ウチなんかの匂いで、元に戻ってくれて……」グスッ

真姫「は、恥ずかしいからやめてよ、そんな言い方……」
 


131: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 23:26:18.45 ID:bLDC92YR.net

  
絵里「あっ! 真姫、元に戻ったのねっ!?」

真姫「……迷惑、かけたわね」

希「えりち……」

絵里「そう、『のぞスメル』で、戻ったのね……」

希「……えりち。改めて、ごめんなさい。ウチがしようとしてたことは、間違いやった……」

絵里「……いいの。あなたはあなたなりに、μ'sを想ってくれてたんでしょう?」

絵里「あなたがメンバーの誰よりもμ'sを愛してくれてるのは、みんな分かってるんだから」

絵里「そしてきっと、そんなあなたの匂いだからこそ……真姫も、元に戻れたんだわ」

希「うん……。ありがとう、えりち……」

にこ「ま、真姫……あんた、元に戻ったのっ!?」

絵里「あっ、にこっ! そうなのよ、『のぞスメル』で……」

真姫「……まあ、戻ったわ」

にこ「なっ……。の、希、ですってぇ……っ!?」

希「えっ、う、うん……」

にこ「……」ジロッ

真姫「な、なによ……?」

にこ「に、にこの匂いじゃ、戻らなかったくせに……っ!」イライラ

真姫「はぁ……?」
 


134: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 23:32:37.21 ID:bLDC92YR.net

 
にこ「なによ、そんなに希は、良い匂いだったわけぇ……?」

真姫「べ、別にいいじゃない、そんなこと……」

希「に、にこっち……?」

にこ「あー、そうっ! いいわよ、どうせ私は、く、く、臭いわよっ!」

真姫「はぁっ!? なに言ってんのよっ!」

にこ「ふんっ! 元に戻れてよかったわね、真姫っ! それじゃとっとと、学校に戻るわよっ!」

絵里「にこっ!?」

真姫「に、にこちゃん……。別ににこちゃんは、臭くなんか……」

にこ「真姫っ!」

真姫「っ! な、なによ……」

にこ「次にあんたがほのキチになるようなことがあったら、絶対、にこの匂いで戻ってもらうんだからっ!」

真姫「は……?」

にこ「むしろ今度は、にこの匂いで、メロメロになっちゃうといいわっ! 磨き上げられた、にこの匂いに、あんたは虜になっちゃうのよっ!」

真姫「だから、なに言ってんのよ……?」

にこ「きっと、そうなるわっ! その時は興奮して、にこを襲ったりしないでよねっ!? この変態っ!!」

真姫「だ、誰が変態よっ!」

にこ「行くわよ、絵里っ!」

絵里「え、ええ……」


スタスタ……


真姫「なんなのよ……?」

希「ふふっ……愛されとるなぁ、真姫ちゃんは」
 


136: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 23:38:10.43 ID:bLDC92YR.net

  
希「ウチらも、戻ろか。花陽ちゃんと凛ちゃんも、待っとるし」

真姫「……そうね」

希「……ねえ、真姫ちゃん」

真姫「なによ?」

希「きっと……ウチらには最初からスイッチなんか、必要なかったんやな」

希「だってμ'sは、いくらバラバラになっても……こうしてまた、『一つ』になろうとしてる」

希「ことりちゃんの言う通り、ウチらは何もする必要なかったんや……。μ'sはこんなにも、強いんやから」

希「そんな『μ'sの可能性』を、信じきれんかった……ウチらの、負けやな」

真姫「ん……」

真姫「……希」

希「うん?」

真姫「その、なんていうか……」

真姫「……これからも、よろしくね」

希「……あははっ。なにそれ?」

真姫「なんでもないわ……。とにかく、これでμ'sももうすぐ、元通りね」

希「うん……あとは……」

真姫「ええ……」



真姫「ことりが、元に戻れば……」

希「大丈夫。きっと海未ちゃんなら、やってくれるはずや……」
 


138: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/17(木) 23:46:20.35 ID:bLDC92YR.net

  
――――――


タッタッタッ……


海未「はぁ、はぁ……っ!」


海未(ことりの思考回路からして……。彼女が向かった場所は、一つっ!)

海未(穂乃果の部屋で、間違いありません……っ! なぜなら、あそこは……っ!)

海未(ほのスメルが常に漂う、この世で唯一の場所……っ! いわば、ほのスメルの『聖地』っ!)

海未(レベル5を今日中に、迎えるというのなら……。彼女も最高の場所を、選ぶはずです……っ!)


海未「はぁ……っ!」


海未(随分時間をロスしてしまいましたが、まだ最悪の事態にはなってないはず……っ!)

海未(ことりのやり方からして、いきなりレベル5へ挑戦することはない……。もっと下のレベルで、『耐性』をつけてから挑むはず)

海未(しかしそれでも、穂乃果は辛い思いをしてるかもしれない……っ!)

海未(急がなくては……っ!)


海未「……ことりぃっ!!」


海未(今度こそ、決着を着けます……っ!)

海未(この数日間の、スイッチに纏わる、全ての……決着をっ!)
 


208: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 20:44:16.40 ID:6teL6ujv.net

――――

穂乃果の部屋




ことり「……」

穂乃果「……」


ことり「……えっと、どうしようっか?」

穂乃果「……」グスッ

穂乃果「……。ことりちゃんに、任せるよ」

ことり「だよね。うーん……」

ことり(……やりたいことは、いっぱいあるんだけど)

ことり(でも……。いざ好き放題できるとなると、何から始めたらいいか迷うなぁ……)

ことり(前に私の部屋に連れ込んだときは、勢いでやっちゃったところもあるし……)

ことり(うーん……とりあえず)


カチカチッ!

ブワッ


ことり(まずは……『2』ぐらいでいっか。うわっ……)

ことり(す、すごい……。やっぱ私の部屋で感じた時とは、全然違うよぉ……///)

ことり(元々ほのスメルが充満してる、穂乃果ちゃんの部屋だもんなぁ……っ! レベル2でも、こんなに……///)

ことり「はぁ、はぁ……っ////」スンスン

穂乃果「……」

穂乃果「……ことりちゃん」

ことり「えっ、なに?///」


穂乃果「その、手に持ってるのって……」


211: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 20:48:01.89 ID:6teL6ujv.net

ことり「……」ササッ

ことり「なに、なんのことー? 別に、なんでもないよー?」

穂乃果「……そっか」

ことり「そうそう。穂乃果ちゃんはただ、ことりに身を任せてくれればいいんだよー」

ことり「そしたら……。ことりは穂乃果ちゃんをすっごく気持ちよくしてあげるから」

穂乃果「……」

穂乃果「ん……///」コクン

ことり「ふふっ……。やっぱり素直な穂乃果ちゃんが、一番可愛いよっ♪」

ことり(家の人はいないし、前の反省を生かして、部屋の鍵もかけてある……)

ことり(だから例え海未ちゃんたちが追いついてきたとしても、この部屋に入ることはできない)

ことり(それに……。今は穂乃果ちゃんも、抵抗しなくなったしねっ♪)

ことり(やっとだ……。やっと誰にも邪魔されず、穂乃果ちゃんを好き放題できるんだ……)

ことり「……じゃあ、はじめよっか。穂乃果ちゃん」

穂乃果「う、うん……」

ことり「……」ガバッ

穂乃果「あっ……//」

ドサッ……

ことり「……ふふっ。まずはこの縄で、また縛ってあげるねっ」ズイッ

穂乃果「こ、ことりちゃん……」

ことり「嬉しいでしょ……?」

穂乃果「……//」

ことり「あはっ……」


ことり「あははははっ!」



ことり(やっと――っ!)


213: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 20:57:35.01 ID:6teL6ujv.net

   

ガラッ!


ことり「えっ――」


「だぁああぁあぁっ!」


バフッ!


ことり「っ!? いったぁいっ!」


バフッ! バフッ!


ことり「ちょ、な、なにっ!? ざぶとんっ!?」

穂乃果「あっ……」

「おねえちゃんに……っ! 手を出すなああああっ!!」

ことり「はっ……!? うわっ!」

ドタァン!

「……っ! ちょうどいいところに縄がっ!」

グルングルン

ことり「え、ええーっ!?」

「……よしっ!」



雪穂「やったーっ! 悪者からお姉ちゃんを、守ったぞーっ!」

穂乃果「ゆ、雪穂……?」
  


215: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 21:04:20.33 ID:6teL6ujv.net

   
ことり「なっ……」ギシギシ

ことり(し、縛られちゃった……)

ことり「なんで、雪穂ちゃんが……」

ことり「なんで雪穂ちゃんが、『部屋の中』にいるのっ!?」

雪穂「押し入れに隠れてたの。お姉ちゃん、大丈夫?」

穂乃果「う、うん……」

ことり「か、隠れてた……っ!? 一体いつから……っ! ていうか、学校はっ!?」

雪穂「今日は風邪でお休みしたんだ。もう治ったけど。それよりも……」

雪穂「……ことりちゃんだったんだね。お姉ちゃんを悲しませてたのは」

ことり「えっ……?」

穂乃果「……っ!」

ことり「……な、なんのこと?」

雪穂「とぼけても無駄だよっ! 二週間くらい前、お姉ちゃんが、泣きながら家に帰ってきた日があった……」

雪穂「海未ちゃんに連れられて……。何があったのか聞いても、二人は何も教えてくれなかった……っ!」

雪穂「それから最近まで、お姉ちゃんはずっと元気がなくて……っ! ずっと、心配だったっ!」

雪穂「でも……無理やり事情を聞いたら、お姉ちゃんは教えてくれた。『友達が変になっちゃった』って……」

雪穂「それでさっきたまたま、窓から見ちゃったの。家の前でお姉ちゃんが、泣いてるのを……」

雪穂「……隣でことりちゃんが、笑ってるのをっ!」

ことり「……っ!」

雪穂「だから私は押し入れに隠れて、確かめようとしたんだっ! ことりちゃんがどんな風に、『変わっちゃった』のかを――」

雪穂「そしたら……。あ、あなたはお姉ちゃんに、なんてことをしようとしてるのっ!?」

ことり「うっ……」
  


216: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 21:09:35.32 ID:6teL6ujv.net

  
雪穂「最低だ、あなたはっ! お姉ちゃん、もう大丈夫だからねっ!」

穂乃果「雪穂……」

ことり「……違うんだよ、雪穂ちゃん」

雪穂「……なにが?」

ことり「私はね、ただ、穂乃果ちゃんを悦ばせてあげたかっただけなんだ。別に何も悪いことなんて、するつもりはなかったんだよ」

雪穂「よ、喜ばせるって……。あ、あなたはお姉ちゃんに、エッチなことをしようとしてただけでしょっ!?」

ことり「だからぁ……。それが穂乃果ちゃんの、望んでたことなんだよ」

穂乃果「っ!!」

雪穂「は? なに言って……」

穂乃果「ち、ちがう……」

雪穂「ほら、お姉ちゃんも違うって……」

ことり「……穂乃果ちゃん、また嘘つくの?」

穂乃果「っ!」ビクッ

ことり「違わないよね、穂乃果ちゃん……? 穂乃果ちゃんは、期待してたんだもんね? エッチなことを……」

穂乃果「うっ……」

雪穂「でたらめ言わないでっ! お姉ちゃんが、そんなこと……」

ことり「穂乃果ちゃん……。穂乃果ちゃんはまたそんな嘘をついて、ことりを悪者扱いするの……?」

ことり「ことりは、悲しいよ……。ことりは素直で正直な穂乃果ちゃんの方が、好きだよ……」

穂乃果「あ、あっ……」

雪穂「……お姉ちゃん?」
 


217: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 21:16:56.77 ID:6teL6ujv.net

   
ことり「お願い、穂乃果ちゃん……。ことりを、助けて?」

ことり「『本当のこと』を、雪穂ちゃんに教えてあげて……? 『同意の上』だって……。ことりは何も、悪いことなんてしてないんだって……」

穂乃果「うっ、うぁ……」

ことり「穂乃果ちゃんは……『悦んで』くれてたんだよね? だったらことりは、なにも悪くないよね?」

雪穂「あ、あなたね……っ!!」

穂乃果「こ、ことりちゃんは……悪く、ないよ……」

雪穂「っ!? えっ……」

ことり「うん……そうだね。それは、どうして?」

穂乃果「うっ、うぅ、そ、それは……」

穂乃果「い、言えない、よぉ……っ!」

ことり「穂乃果ちゃん。このまま私が縛られたままじゃ……気持ち良いこと、できないよ?」

穂乃果「……ぅ」

ことり「素直になって、穂乃果ちゃん。ほら……言ってごらん?」

ことり「『穂乃果はエッチなことが大好きな女の子です』って……。今の穂乃果ちゃんなら、言えるよね」


グイッ!


ことり「っ!」

雪穂「いい加減にしてよ、ことりちゃん……っ! お、驚いたな、まさかそこまで、変わっちゃってたなんて……っ!」

雪穂「な、なにがあったかは、知らないけどさぁ……っ! とにかくこれ以上、お姉ちゃんに変なことをするなら――」

穂乃果「や、やめて、雪穂っ!」

雪穂「……えっ?」

ことり「……」ニヤリ

穂乃果「違うの、ことりちゃんは、悪く、ないのぉ……っ!」

穂乃果「ことりちゃんは、穂乃果のために……っ! だって、穂乃果は……」

穂乃果「え、エッチなことが……だ、大好き、だからぁ……」
  


218: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 21:23:53.62 ID:6teL6ujv.net

     
雪穂「……なっ」

穂乃果「う、う、うぅぅ……」

雪穂「なに言ってるの、お姉ちゃん……?」

ことり「あ、あはは……っ!」ゴロン

ことり(ダメだよ、雪穂ちゃん。手足を縛ったくらいで、安心しちゃ……)

ことり(ほのキチを止めたいなら、まずは『口』を塞がなきゃ……なんて、雪穂ちゃんは元々ほのキチのことなんて、知らないか)

ことり(よかった……。家に入る前に、済ませておいて……)

ことり(早めに穂乃果ちゃんを『目覚めさせて』おいて……本当に、よかった)


『穂乃果ちゃん自身が、いつか必ず私たちの行為は正しいって証明してくれる――』


ことり(これで私の、勝ち……)

ことり(タイムアップだよ、海未ちゃん――)


ことり「あっはははははははぁ――っ!」



穂乃果「うっ、うぅ、ごめん、ごめんね、雪穂……っ!」

穂乃果「お姉ちゃんがへんたいで、ごめんねえ……っ!」

雪穂「へ、変態、って、そんな……」

穂乃果「わ、私は……っ! 私は匂いを嗅がれて喜ぶ、へんたいだったのぉ……っ!」

雪穂「に、におい……?」

ことり「あはは、あはっ……!」
   


220: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 21:29:59.14 ID:6teL6ujv.net

  
ことり「あははっ、あはっ。はぁ、はぁ……」

穂乃果「う、うぅ……」

雪穂「……お姉ちゃん」

穂乃果「ごめん、ごめんね……。嫌いに、なったよね?」

雪穂「よ、よく分かんないけど、大丈夫だよ。私別に、そんなことでお姉ちゃんのこと、嫌いになったりはしないから」

穂乃果「ほ、ほんと……?」

雪穂「うん……。それに、えっ、エッチなことされて喜ぶのは、そんな恥ずかしいことでもないんじゃない……かな?」

雪穂「わ、私にはまだ、よく分かんない、けどさ……」

穂乃果「雪穂……」

ことり(……やっぱり、たいしたことないや。雪穂ちゃんまだ、中学生だもんねえ)

ことり「ふふ……っ。ねえ、雪穂ちゃん」

雪穂「な、なに……?」

ことり「そろそろ縄、解いてくれないかな? ほら私、穂乃果ちゃんに『続き』をしてあげなきゃいけないからさぁ……」

雪穂「えっ。でも……」

ことり「『でも』、なに? もう分かったでしょ? 穂乃果ちゃんが、それを望んでるの」

ことり「穂乃果ちゃんは、私とエッチなことをしたいって、思ってるの。だから早く、解いて?」

雪穂「く、うぅ……」

ことり「いいよ、気にしないで。雪穂ちゃんが私のことを悪い人だと『勘違い』して、叩いたり縛ったりしたこと、別に怒ってないから」

雪穂「……っ!! う、わ、分かったよ……」

雪穂「ご、ごめんなさい、私の早とちりで、余計なことをして……」

ことり(……本当に、さっさと口を塞いじゃうべきだったね、雪穂ちゃん)
 


222: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 21:35:35.61 ID:6teL6ujv.net

   
雪穂「じゃあ……」

ことり「うんっ、お願いっ♪」

ことり(さて……。縄が解けて雪穂ちゃんが部屋を出ていったら、ゆっくり穂乃果ちゃんを堪能しよう……)

ことり(色々なことをしよう。今日のために妄想してきた色々なことを、現実にしよう)

ことり(穂乃果ちゃんもきっと、悦んでくれる……。きっとさっきみたいな、エッチな顔をしてくれる……っ!)

ことり(徐々にスイッチのレベルも上げて、レベル4を、部屋に充満させて……)

ことり(体が慣れてきたら……。とうとう、『レベル5』だ……っ!)

ことり(楽しみだなぁ……。一緒に天国に行こうね、穂乃果ちゃん……)


穂乃果「……うっ」ズズッ

穂乃果「ふっ、う……」ゴシゴシ

穂乃果「……雪穂」

雪穂「な、なに……?」

穂乃果「その……。雪穂は、どうしたらいいと、思う?」

雪穂「わ、わたしは……」

雪穂「……正直ことりちゃんのことは、信用できない。このまま縛っておいた方が、いいと思う……」

穂乃果「……」

雪穂「でも……それよりも私は、お姉ちゃんの気持ちを優先したい、かな……」

穂乃果「……ありがとう、雪穂」ニコッ


ことり(……? なに話してるんだろ?)

ことり(ま、いっか……。別にもう、私が口出しすることもないし……)


穂乃果「……ことりちゃん」

ことり「あ、どうしたの? 穂乃果ちゃんが私の縄を、解いてくれるの?」

穂乃果「ごめんね。もうちょっと、このままで……我慢、してくれる?」

ことり「うんっ、もちろんだよっ。もうちょっと、このままで……」


ことり「……この、まま?」

穂乃果「このまま、海未ちゃんが来るのを待とう……?」
 


226: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 21:45:26.35 ID:6teL6ujv.net

  
ことり「は……?」

雪穂「おっ……お姉ちゃんっ!?」

ことり「えっ、なになに、海未ちゃん? なに言ってるの?」

穂乃果「私、もう分かんなくなっちゃったの……。何が、正しいのか……」

ことり「だから、何を言ってるのっ!? 何が正しいのかなんて、そんなの……っ!」

穂乃果「ことりちゃんは悪くないし、正しいと、思う。だけど……。私、馬鹿だから、自分の判断が信じられないの」

穂乃果「だから、海未ちゃんの意見も、聞きたい……。海未ちゃんだったら何て言うのか、知りたい」

穂乃果「昔から、分からないことがあったら……。私は『二人』に相談するのが、いつものことだったから……」

ことり「はぁ……っ!?」

雪穂「は、はは……」

ことり「ちょ、ちょっと待ってよ……。私は『穂乃果ちゃんと』、エッチなことがしたいんだよっ!?」

ことり「それで、穂乃果ちゃんも私にエッチなことをされて、『気持ちよくなりたい』ん、だよねっ!?」

穂乃果「それは……」

ことり「私たち二人の気持ちは、通じ合ってるんだよっ! 今ここでエッチなことをすることで、私たち二人とも、幸せになれるんだよっ!?」

ことり「私たちは、『同意の上』なんだっ! この世でそれ以上に正しいことなんて、ないんだよっ!」

穂乃果「で、でも私はその、海未ちゃんの意見が……」

ことり「海未ちゃんは今、関係ないでしょっ!? どうして友達同士でエッチなことをするのに、他の友達の意見が必要なのっ!?」

穂乃果「か、関係なくないよ……。だって、海未ちゃんは……」

ことり「幼馴染だとしても、今は関係ないよ……っ! だってこれは、私と穂乃果ちゃんの――」

穂乃果「海未ちゃんが好きなのぉっ!!」

ことり「――っ!!?」




ことり「今、なんて……?」

穂乃果「わっ、私、海未ちゃんのことが、好き……なの……」

穂乃果「だから、関係なく、ないよ……」
   


227: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 21:53:07.10 ID:6teL6ujv.net

       
ことり「す、好き、って……」

雪穂「……うそ」

穂乃果「……私とことりちゃんの気持ちは、通じ合ってなんかない。だって、私は……」

穂乃果「その、エッチなことは……好きな人としかしちゃいけないって、思ってるから」

ことり「――っ!!」

穂乃果「でも、ことりちゃんの言ってることも、正しいって思うよ」

穂乃果「だってことりちゃんは、私のために……。私を喜ばせようと、してくれてるんでしょ?」

穂乃果「それが、悪いことなわけないもん……。だから……」

穂乃果「私とことりちゃんの意見、どっちが正しいのか、分からないから……。海未ちゃんの意見も、聞きたいんだ」

ことり「あ、あはは、なに言ってるの、穂乃果ちゃん」

ことり「さっき言ってたじゃん……。自分が変態だって海未ちゃんに、知られたくないって……。海未ちゃんの意見も聞くなら、そのことも説明しなきゃいけないよ?」

穂乃果「えっ? あっ……」

ことり「気づいてなかった、の……? ほんっとうに、バカなんだから……」

穂乃果「……えへへ。でも、仕方ないよね。説明しなきゃ、いけないなら……」

ことり「っ! 仕方ない、って……」

雪穂「……無駄だよ、もう。お姉ちゃんの性格は、あなたが一番よく知ってるでしょう?」

ことり「……っ!」

穂乃果「あっ! でも、海未ちゃんのことが好きだっていうのは……そ、そっちはまだ、内緒にしておいてねっ!?」

ことり「……」

ことり(穂乃果ちゃんは海未ちゃんのことが、好き……)


ズキン


ことり(はぁ……)
   


239: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 23:10:55.25 ID:6teL6ujv.net

        
ことり(あたま、いたい……)

ことり(……)


ことり「わかったよ……」

穂乃果「ありがとう……。ゆ、雪穂もだからねっ!?」

雪穂「分かってるって。いやー、にしても、海未ちゃんかぁ」ニヤニヤ

穂乃果「に、ニヤニヤしないでよぉー……」

ことり「……」


ことり(……まだだ)

ことり(まだ、終わってない……。穂乃果ちゃんと二人きりにさえなれれば、まだいくらでも……)

ことり(そうだ。この状況をひっくり返す方法が、まだ……)


ことり「……」チラッ

雪穂「あははっ、これは大ニュースだぞー。早く来ないかなー、海未ちゃん……」

穂乃果「だ、だから、内緒だってばぁっ!」ポカポカ


ことり(『右ポケット』……)

ことり(……できる、かな)

ことり(ううん、できる。ことりなら……)


ことり(やれる……。私なら……っ!)


ことり「海未ちゃんは、来ないよ」

穂乃果、雪穂「「えっ?」」
  


240: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 23:16:58.11 ID:6teL6ujv.net

   
穂乃果「え、っと……」

雪穂「来ない……? どういうこと?」

ことり「私のスカートの『右ポケット』に入った、携帯電話がね……今、震えたの」

ことり「それが、合図なんだ……。『全部終わった』っていう、合図」

雪穂「終わったって、なにが……。ていうか、誰からの合図?」

ことり「実は真姫ちゃんと凛ちゃんも、『こっち側』でね……。二人はたった今まで、海未ちゃんやみんなを足止めしてたの」

雪穂「……はぁ」

穂乃果「あっ、そ、そういえば二人共さっき、『ここは任せて』って……」

雪穂「ふぅん、一応本当なんだ。それで……?」

ことり「合図がきたってことは……。『みんなとの戦いを終えて、二人ともこっちに向かってる』って、ことだよ」

雪穂「っ!?」

穂乃果「えっ……」

ことり「終えたっていうのはもちろん、『こっち側』の勝ちで、ってこと……。だから海未ちゃんたちは今頃私みたいに、縛られちゃってるんじゃないかなぁ?」

穂乃果「そんな……」

ことり「で、私みたいなのが今からもう二人、ここに来るわけだけど……。どうしよう、大ピンチだねえ?」

雪穂「……」

ことり(……大丈夫。雪穂ちゃんなら必ず、気づく……)
   


241: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 23:23:11.78 ID:6teL6ujv.net

    
雪穂「……ピンチ? なにが?」

ことり「……えっ?」

雪穂「よく分かんないけど……。そんなの、あなたの携帯からメールでも打って、二人を止めればいいだけでしょ?」

ことり「……」

雪穂「『こっちには来なくていいよ』……ついでに、『必要なくなったからみんなの縄も解いちゃっていいや』。こんな感じで打てば、なんとかなるでしょ」

ことり「……なるほど。雪穂ちゃん、頭いいね。その手が、あったか」

雪穂「お姉ちゃんよりは、頭良いつもりですよー、っと」スタスタ

穂乃果「ひ、酷い……」

雪穂「ではポケットの方、失礼しまーす……」ゴソゴソ

ことり「……」

雪穂「……って、あれ? これ、携帯じゃ――」


ドンッ!


雪穂「っ!? けふっ……」

ポロッ 

穂乃果「えっ……ゆ、雪穂っ!?」


コロン


ことり「っ!」ドタァン



ことり(やった……)

ことり(スイッチが、落ちたっ!)
   


242: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 23:27:29.37 ID:6teL6ujv.net

       
ことり「はぁ、はぁ……っ!」モゾモゾ

ことり(早く、スイッチのところへ……っ!)


雪穂「いっ!」ドテッ

穂乃果「雪穂……っ!」タタッ

雪穂「ったぁ……」

ことり(ことりの渾身のタックルで、雪穂ちゃんは壁まで吹っ飛んだ……。この距離なら、間に合わないっ!)

ことり(穂乃果ちゃんは……よし、思った通りっ!)

ことり「はぁ……っ!」モゾモゾ


雪穂「いたた……。や、やられたぁ、くっそぉ……」

穂乃果「ゆ、雪穂、大丈夫……っ!?」

雪穂「うん、大丈夫……」

穂乃果「ケガとかは……っ!」ササッ


ことり(ふふっ……。ダメだよ、穂乃果ちゃん……。そんなに雪穂ちゃんに、『近づいちゃ』……)

ことり(いつも、そうだ……。穂乃果ちゃんは優しいから、いつもそうやって心配して、真っ先にこっちに駆け寄ってくる……)

ことり(でもそれじゃ、ダメなんだよ……。穂乃果ちゃんが近づけば近づくほど、『匂い』は強く感じちゃうんだから)

ことり(私の時も、そうだった……。きっと凛ちゃんや真姫ちゃんの時も、そうだったんでしょう?)

ことり(私たちほのキチは、そんな穂乃果ちゃんの優しさから、生まれたんだよ――)


コロン


ことり「あはは……っ!」

ことり(スイッチ――っ!)
    


248: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 23:36:17.35 ID:6teL6ujv.net

    
ことり(レベルはさっき『2』まで上げてあるから、2回、押すだけでいい……)

ことり(大丈夫。手足が縛られてても……。うつ伏せになれば、スイッチを押すことはできるっ!)


ことり「はぁ、はぁ……っ! えいっ!」ググッ


カチッ!


ことり(『アゴ』で――)


カチッ!


ことり(やったっ!)

ことり(くらえ、雪穂ちゃんっ! 超至近距離での――)


穂乃果「ほ、ほんとに大丈夫? 雪穂……」

雪穂「大丈夫だってばー。それより、ことりちゃんを……」チラッ

雪穂「……? なに、やって――」


ことり(――レベル4、ほのスメルっ!!)



ブワァッ!
  

   


253: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 23:43:16.89 ID:6teL6ujv.net

      
ことり「あっははははは……っ!」

雪穂「……ん、しょ」スクッ

穂乃果「あ、雪穂……」

雪穂「はぁー、もう……」

ことり「あははははははっ!! す、すごぉいっ!」

雪穂「この期に及んで、まだ何か企んでたなんて……」

ことり「すごい、すごいよっ! なにこれっ!? 全然違うっ! あははっ///」スゥゥゥ

雪穂「ったく、年下相手にやってくれたね、ことりちゃん……」

ことり「すごいすごいすごぉいっ! 穂乃果ちゃんの部屋で嗅ぐレベル4は……っ! レベルが、違うっ///」ゴロンゴロン

ことり「はぁ~……/// やばい、やばいよぉ……っ! こ、これ、やばい……っ! また気絶、しちゃうかも……///」ビクビク

雪穂「……さ、さっきから、どうしたの? キモいよ?」

ことり「はぁ~、わっかんないのぉ? こ、この、においのよさが……っ///」ゴロンゴロン

雪穂「におい……? なんの匂い?」

ことり「だからぁ、においだよぉ、ほのかちゃんの……ふぁ……」ゴロン

雪穂「お姉ちゃんの……? いや、ちょっとよく意味が……」

ことり「……」

ことり「……な」





ことり「なんで、平気なの……?」

雪穂「は……?」
   


260: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 23:50:22.45 ID:6teL6ujv.net

     
ことり「うっ……はぁ、はぁ……ど、どうして……」

雪穂「……??」

ことり「どうして、効かないの……? ほのスメルが……」

雪穂「ほのすめる……?」

ことり「ま、まさか……」


ことり(『妹』、だから……?)

ことり(生まれたときからずっとほのスメルが、身近にあったから……?)

ことり(レベル4にも気づかないくらいの、とんでもない『耐性』が……雪穂ちゃんには、あるってことっ!?)


雪穂「……なに言ってんだか」

雪穂「ていうか……これ、なに? 携帯の代わりに出てきたけど……」ヒョイ

穂乃果「あっ……や、やっぱりこれ、見たことある……」

雪穂「えっ?」

ことり「あ、あは、あはははっ!」

雪穂「っ! こ、今度はなにさ……」

ことり(レベル2で何も反応がなかった時点で、おかしいと思ってたけど……)

ことり(まさか穂乃果ちゃん以外に、ほのスメルを『嗅げない』人が、この世にいたなんて……)

ことり「はぁ、はぁ……。あはは……っ!」ゴロン





ことり「私の負け、かな……」
 


262: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 23:55:38.73 ID:6teL6ujv.net

    
雪穂「えっ……? 今、なんて……」

穂乃果「……あっ、そうだ。『腹筋の回数を数える道具』だ。ことりちゃん、海未ちゃんに返してなかったんだ?」

ことり「……腹筋なんて、口で数えればいいでしょ」

穂乃果「あっ、そうだよね。じゃあ……」

ことり「お皿を数える道具でもないよ。それは……」

ことり「……穂乃果ちゃんの匂い、『ほのスメル』を、強くさせるスイッチだよ」

穂乃果「……へっ?」

雪穂「なんだそりゃ……」

ことり「嘘だと、思う? ふふっ……。別に、信じなくてもいいよ。どうせ二人には、分からないんだし……」

ことり「ただ、一つ言っておくよ……。穂乃果ちゃん」

穂乃果「えっ……」

ことり「はぁ、はぁ……」スゥ

ことり「穂乃果ちゃんの匂いは……。もう良い匂いだとか、そんな言葉じゃ言い表せないくらい、すごいんだよ……」

ことり「人を、ここまで狂わせちゃうくらいの……。そんな、この世のものとは思えない、とてつもなく刺激的な匂いなんだ」

ことり「気絶しちゃいそうなくらい、頭が溶けちゃいそうなくらい、気持ちがいいんだ……」

ことり「すごく体が、熱くなるんだ……すごく、エッチな気分になるんだ……」

ことり「穂乃果ちゃんのにおいを、かいでる……と、ね……」

穂乃果「……」
  


263: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/22(火) 23:59:16.99 ID:6teL6ujv.net

      
雪穂「ちょっと……。あなた本当、なに言って……」ゾッ

雪穂「びょ、病院……。病院、行ったほうが……」

ことり「ふ、ふふっ……」


ことり(気持ちいい……)

ことり(なんだか眠たく、なってきちゃった……)

ことり(このまま眠ったら……起きた時には頭の痛みも、消えてるのかな……)

ことり(そうだったら、いい、な……)

ことり(あぁ……)

ことり(なんて……なんて気持ち良いんだろう……)

ことり(そっか……)

ことり(ここが、『天国』だったんだ……)

ことり(ここが……今、この場所が……)

ことり(……しあわせ、だなぁ)

ことり(ことりは、いま……。とても、しあわせ、です……)




ことり「でも……」


ことり「やっぱり、かいでみたかったなぁ……」



ことり「レベル、5……」
  
  


264: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:07:58.13 ID:oR87IQZt.net

    
雪穂「……ことりちゃんっ?」

雪穂「ちょ、ちょっと、寝ちゃったのっ!? ことりちゃんっ!」

穂乃果「……」

雪穂「も、もぉー、なんなの、ほんとに……」


ピンポーン


雪穂「っ!?」ビクッ


ピンポーンピンポーン


雪穂「……海未ちゃん来たみたいだね。私、ちょっと行ってくるよ」

穂乃果「……」

雪穂「お姉ちゃん?」

穂乃果「えっ? あ、うん……」

雪穂「もう大丈夫だと思うけど、一応ことりちゃん見ておいてね」

穂乃果「うん……」

雪穂「じゃあ、すぐ戻るから」


バタン
 


265: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:10:07.16 ID:oR87IQZt.net

   
ことり「……」スゥスゥ

穂乃果「……」


ドクン



『なにそれ?』『小っちゃいボタンが二つ付いてるね……』


『あああぁ、あぁあっ///』『あぁ、ほ、ほのか、ちゃぁん……////』『それ……その、スイッチ……だ、め……』

『はぁはぁ、穂乃果ちゃん、すごいよ、いい匂いだよぉ……』『これから穂乃果ちゃんに、すごくエッチなことをしようと思うの』

『あなたはなにをやってるのですか、ことりっ!?』『このスイッチがどれだけ危険な物なのか、まだあなたには分からないのですかっ!?』

『私はあの時、レベル4まで嗅いだんだよ……』『いつか必ずお泊り会、しようねっ』

『どうしてそんな嘘つくのっ!? そんな嘘ついてまで……っ! 海未ちゃんは自分を、騙し続けるのっ!?』

『な、なに、なにこれぇ……////』『あっ、だ、だめ、だめぇ……っ!』『だめええええぇーっ!////』

『どうしてみんなまだ、部屋にいるの?』『早く出てってよっ! 凛は、穂乃果ちゃんの体から出る匂いしか嗅ぎたくないのっ!!』

『私をμ'sに誘ってくれて、ありがとうっ』『穂乃果……ごめんね』『今までずっと、ごめん……。そして、これからも……』

『私はこれからおかしくなって、私が私じゃなくなって、それで……』『あんたに酷いことをいっぱいするかもしれないし、変なこともたくさんするかもしれない』

『どうして……? どうしてウチから、スイッチをっ!?』『ウチのしてきたことは、間違いだったんっ!?』

『ことりちゃんも、穂乃果ちゃんも、みんなも、全員が幸せになれる、μ'sにしたくて……ウチは……っ!』


『みんな、気を付けてくださいっ! この匂いを嗅いでしまったら、ほのキチになりますっ!!』



穂乃果「……」


穂乃果「ぜんぶ……」


 

  
  

穂乃果「私のせい、だったんだ……」


   


266: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:21:46.89 ID:oR87IQZt.net

  
――――


ピンポーンピンポーン

ドンドンッ!


「――っ!!」

雪穂「あー、はいはいっ。今開けますからーっ!」

ガチャッ

雪穂「こんにちは、海未ちゃん」

海未「っ!? ゆ、雪穂……? どうしてここにっ!?」

雪穂「いや、私の家なんだけど……」

海未「穂乃果はっ!?」

雪穂「部屋にいるよ」

海未「えっ……。あの、ことりも一緒ではありませんでしたか?」

雪穂「うん、ことりちゃんも部屋だよ」

海未「っ! や、やはりですかっ! あの、実はことりなんですが――」

雪穂「ことりちゃんならもう大丈夫。私が、縛っておいたから」

海未「……えっ?」

雪穂「ふふっ。さっ、上がって上がってー」

海未「は、はぁ」

雪穂「いやぁー、よかった、海未ちゃん来てくれて。私たちだけじゃ、どうしたらいいか分からなくてさぁ」

海未「……??」


267: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:26:05.43 ID:oR87IQZt.net

タン、タン

雪穂「とりあえず部屋入ったら、ことりちゃんを何とかしてよ、海未ちゃん」

海未「えっと……。今は、縛った状態なんですよね?」

雪穂「そうなんだけど、それでも大変だったんだよ。今はもう寝ちゃったから、大丈夫だと思うけど……」

海未「……あの、確認ですけど、穂乃果は無事なんですね?」

雪穂「もちろんっ」

海未「い、一体私が来るまでの間に、なにが……?」

雪穂「後でちゃんと説明するよ。その代わり、そっちも色々説明してよね?」

海未「……はい」

海未(雪穂は一体、どこまで知ってるんでしょうか……?)

海未(いえ、今は、穂乃果の無事を確認することが先決です……)

タン


雪穂「お姉ちゃーんっ」


ガチャッ……


雪穂「海未ちゃん、きたよー」

穂乃果「……」


穂乃果「……海未、ちゃん?」

海未「あっ……」

 


海未「ほのか――」


268: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:28:51.64 ID:oR87IQZt.net

 
   
――『それ』は、決して回避できなかったわけではない。


例えばことりが、気絶する前に二人にちゃんと、『指示』を出せていれば。

例えば穂乃果が、考え事をするよりも先に、まず『スイッチ』に意識を向けていれば。

例えば雪穂が、『ことりが気絶した原因』について、もう少し深く考えていれば。

例えば海未が、『もう少し早く』この部屋に辿り着いていれば。



この事件の結末は、大きく変わっていたことだろう。


だけど『それ』は、起こってしまった。

回避できるはずだった、『それ』は。



雪穂がその扉を、開けてしまったことで――


ブワァッ!


海未「――っ!!?」



起きてしまった。


すなわち……


『ほのスメルレベル4が充満した部屋』に、『海未が入室してしまう』という、最悪の事態が。




海未「あ、あぁ……///」





海未「ああぁぁああぁああぁーっ!?//////」ビクンビクンビクンッ!

   


274: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:36:04.44 ID:oR87IQZt.net

海未「あぁ、あぁああぁあ……///」


あるいは、必然だったのかもしれない。


そもそも意識があったとしても、ほのキチであることりが『スイッチのレベルを下げる』旨の指示を二人に出せていたかどうかは、分からない。

ほのスメルを認識できない穂乃果が、すぐに『スイッチの下ボタンを押す』という行動に移れなかったのは、無理もないだろう。

ましてやスメルを認識できない上、何も事情を知らない雪穂が、この事態を想定できるはずもない。


穂乃果「海未ちゃんっ!?」

雪穂「ど、どうしたのっ!?」


海未が何の対策もせずに部屋に足を踏み入れてしまったことは、彼女の危機意識の甘さが招いた、致命的なミスだったと言えるが――

それも雪穂の言葉に安心しきってしまったからこそ起きたミスなのだと考えれば、仕方がなかったのかもしれない。


海未「あ、あぁ、ぁ……」


ドサッ


雪穂「海未ちゃんっ! しっかりしてっ!」

穂乃果「海未ちゃん……うみちゃぁんっ!!」



偶然か、必然か。

今ここに、ことり、凛、真姫に続く……





『第4のほのキチ』、園田海未が誕生したのであった。





第2部、『発症者』、完。

第3部、『レベル5』に続く。

   




275: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:38:10.71 ID:kvr04UEY.net

乙!3部も楽しみに待ってる


282: 名無しで叶える物語(聖火リレー)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:43:10.28 ID:eioBYiXm.net

雛見沢やんけ!


284: 名無しで叶える物語(たこやき)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:45:27.50 ID:T5/Dij2o.net

おつ


285: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 00:48:25.56 ID:BvWY35Vp.net

長編やなぁ


295: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 01:31:53.42 ID:hgWNEP19.net

終わると思ったらまだ続くのかw
楽しみに待ってます!


306: 名無しで叶える物語(ささかまぼこ)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 09:59:31.45 ID:fbJYg4Md.net

最大の味方が最大の敵になるって怖いな


311: 名無しで叶える物語(あゆ)@\(^o^)/ 2015/09/23(水) 13:46:06.92 ID:4MEB/8v+.net

現実は非情である




371: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 21:01:07.91 ID:dIy7IXgs.net

――――第3部、『レベル5』




チュンチュン


ことり「……」

ことり「ん、んぅ……」


ムクッ


ことり「ふあぁ……」

ことり「……」ゴシゴシ

ことり(……朝だ)

ことり(あ、もうこんな時間……?)

ことり(学校、行かなきゃ……)



ことり「……」

ことり「……べつに、いっか。ゆっくり行けば……」

ことり「どうせ今日も、一人なんだし……」


ズキン


ことり「……はぁ」

ことり(やっぱり治らないなぁ、この痛み……)


376: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 21:09:58.37 ID:dIy7IXgs.net

   
――――


ことり「……」


スタスタ


ことり(……なんか、一人で登校するのにも慣れてきちゃったな)

ことり(別に、いいけど……)

ことり(……)

ことり(昨日あれから、どうしたんだっけ……)

ことり(確か穂乃果ちゃんの部屋で、寝ちゃって……)

ことり(目が覚めた時にはもう、夕方で……)

ことり(穂乃果ちゃんと雪穂ちゃんと……あと、海未ちゃんがいて……)

ことり(それで……えっと、ボーっとしたまま、家に帰って……)

ことり(お母さんに、学校サボったこと、怒られて……)

ことり(バッグはにこちゃんと絵里ちゃんが、届けてくれてて……)

ことり(ご飯食べて……お風呂入って……歯磨きして……)

ことり(……)



穂乃果「あっ、きたきた。おーいっ!」

ことり「……」

海未「遅刻してしまいますよ、ことりっ! 急いでくださいっ!」

ことり「……」



ことり「……えっ?」




穂乃果「おはよう、ことりちゃんっ!」

海未「おはようございます、ことりっ」
 


377: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 21:19:18.96 ID:dIy7IXgs.net

    
――――


スタスタ……


穂乃果「なんかこうやって、三人で学校に行くのも、久しぶりだねえ」

海未「ふふっ、そうですね」

ことり「……」

穂乃果「ことりちゃん?」

ことり「……二人とも。どうして、待っててくれたの?」

穂乃果「えっ? あぁー」

穂乃果「……ことりちゃんと久しぶりに、学校行きたいなー、って思って」

ことり「えっ……」

海未「私は少し、心配だったのですが……。穂乃果がどうしても、と言うので」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん……。私と一緒でも、いいの?」

穂乃果「うん……。これからはまた、前みたいに三人で、学校にいこっ?」

ことり「……どうして?」

穂乃果「えっ?」

ことり「だって私、今まで、穂乃果ちゃんに……。き、昨日だって……」

穂乃果「……」
  


379: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 21:26:11.36 ID:dIy7IXgs.net

  
穂乃果「……言ったでしょ? ことりちゃんは、なにも悪くないって」

ことり「……でも」

穂乃果「むしろ悪いのは、私の方だよ……」

ことり「えっ……?」

穂乃果「私、反省してるんだ……。何も知らないで、ことりちゃんのこと、避けてたこと……」

穂乃果「……私のせい、だったんでしょ? 全部……」

ことり「っ!?」

穂乃果「ことりちゃんが、おかしくなっちゃったのも……。私の、その……」

穂乃果「に、匂いが、原因なんでしょう……?」

海未「……穂乃果。無理しないでください」

穂乃果「ううん、ダメだよ……。私、ことりちゃんに、謝らなきゃ……」

ことり「あ、謝るって……」

穂乃果「ごめんなさい、ことりちゃん……。私のせいで……。ごめんね……」

ことり「……」

海未「穂乃果……」


ことり(なにこれ……?)

ことり(なんで穂乃果ちゃんが私に、謝ってるの……?)
   


380: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 21:32:23.81 ID:dIy7IXgs.net

  
ことり「う、海未ちゃんは……?」

海未「はい……?」

ことり「海未ちゃんは私のこと、怒ってるでしょう……?」

ことり「だって私、また海未ちゃんを騙して、裏切って……」

海未「……そうですね。私はまだあなたを、完全に信用しきれてはいませんが」

海未「でも……。穂乃果があなたを許したのなら、私もあなたを許そうと思います」

ことり「えっ……」

海未「少なくとも一緒にこうして、登校するぐらいには……あなたを信用するということです」

海未「……それと」

海未「私も、ごめんなさい。何度もビンタをしてしまって……痛かったでしょう?」

ことり「……」

ことり「うん、痛かった……」

穂乃果「あははっ、分かるよ。私も前にされたときは、痛かったなぁ」

海未「思い出させないでください……」


ことり(海未ちゃんまで、謝るなんて……)

ことり(……そういえばいま私、穂乃果ちゃんの隣、歩いてる)

ことり(いつもなら、海未ちゃんが間に入ってくるはずなのに……)

ことり(そこまで私のこと、信用してくれてるってこと……?)
  


381: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 21:38:20.39 ID:dIy7IXgs.net

   
穂乃果「とにかくこれで、私たち三人とも、仲直りだねっ!」

ことり「……仲直り?」

海未「そうですね」

穂乃果「ふふっ、海未ちゃん、ことりちゃぁんっ」ギュッ

ことり「わっ……」

海未「っとと……いきなりくっつかないでくださいよ」

穂乃果「へへー、いいじゃんっ。ね、ことりちゃん?」


ことり「……っ!!」

フワ……


ことり(穂乃果ちゃんの、匂いがする……)

ことり(あぁ……やっぱり、良い匂いだなぁ……)

ことり(頭が蕩けそうな……甘い、匂い……)


ことり「はぁ、はぁ……///」スンスン

穂乃果「……ことりちゃん?」

ことり「ほ、穂乃果、ちゃん……」

穂乃果「ど、どうしたの?」


ことり(あぁ……ダメだ。やっぱりこれには、逆らえないよ……)

ことり(ほんと私って、ダメだなぁ。せっかく二人に、許してもらえたのに……)

ことり(どこまでいっても、私は……『ほのキチ』、なんだ……)
 


383: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 21:57:54.48 ID:dIy7IXgs.net

   
――――

教室


女子A「ごめんなさいっ! 南さんっ!」

ことり「……えっ?」

女子B「この前は酷いことして、本当にごめんなさい……っ!」

ことり「ど、どうしたの、急に……」

女子A「南さん……。あの時練習着を盗もうとしてたんじゃなくて、穂乃果ちゃんに届けようとしてたんでしょ?」

ことり「え、あっ……」

女子B「園田さんから、聞いたよ。ごめんね、私たちの、勘違いだったんだよね……」

女子A「な、なのに私、南さんのこと、叩いちゃった……。最低なのは、私の方だよね……」

ことり「ううん、そんな……気にしないで?」

女子B「で、でも……」

女子A「そうだっ! 南さん、私のこと引っ叩いていいよっ!?」

ことり「ええっ!?」

女子B「あ、わ、私もお願いっ! 思いっきりやっていいからっ!」

ことり「ええー……」


ことり(……)

ことり(また、謝られちゃった……)
   


384: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 21:59:32.09 ID:dIy7IXgs.net

   
――――

放課後……



凛「ことりちゃん……」

ことり「あっ……。どうしたの、凛ちゃん?」

凛「その、この前のこと、ことりちゃんに謝りたくて……」

ことり「……この前って、屋上でのこと?」

凛「うん……。凛、ことりちゃんに、酷いこと言っちゃったよね……」

凛「ごめんね……。ことりちゃんの気持ちも知らないで、凛は……」

ことり「い、いいよ、そんな……」

凛「ことりちゃんは、変態なんかじゃない……。ただ穂乃果ちゃんのことが、大好きなだけなんだよね?」

ことり「う、うん……」

凛「そ、その……。汗を舐めたくなる気持ち、凛も、分かるよ。うんっ」

ことり「えっ!?」

凛「あ、ご、ごめんっ。今のナシっ! え、えっと、えっと……」

凛「……こ、ことりちゃんのそういう積極的なところ、凛も見習ってみるよっ!」

ことり「……それって、花陽ちゃんの汗を舐め――」

凛「違うってばぁっ! うぅ~///」

ことり「あはは、冗談だよ。こっちこそごめんね、あの時は喧嘩腰になっちゃって」

凛「う、ううんっ。気にしてないにゃっ!」


ことり(また謝られた……)

ことり(……)

ことり(そっか……)

ことり(凛ちゃんは元に、戻れたんだね……)
   


385: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 22:06:09.88 ID:dIy7IXgs.net

   
――――



真姫「そう……。結局あなたは、元に戻れなかったのね」

ことり「うん……」

希「ことりちゃん……」

ことり「……真姫ちゃんは、どうやって元に戻ったの?」

真姫「わ、私は……」チラッ

希「あっ、ウチの匂いを嗅いでもらって、それで……」

ことり「……そっか」

希「こ、ことりちゃんも、きっと戻れるよっ! 例えばほら、海未ちゃんの匂いなら……」

ことり「……」

真姫「……ことり。そもそもあなた、元に戻りたいって言う気持ちはあるの?」

ことり「……えっ?」

真姫「元に戻れる方法は、まだちゃんと分かってるわけじゃないけど……。きっとなにより大事なのは、本人の『意志』なんだと思う」

真姫「少なくとも、私はあの時……『このままじゃいけない』って、『元に戻りたい』って、強く思ったの。そうしたら……戻れたわ」

ことり(元に戻りたいっていう、意志……)

ことり「私、は……」

希「ことりちゃんが戻りたいって言うなら、ウチ、何でも協力するよ?」

真姫「……前にも言ったけど、困ってることがあるなら、なんでも相談しなさいよね」

ことり「……ありがとう」

真姫「それと……ごめん」

ことり「えっ?」

真姫「あんたに罪を被せたこと……。謝るわ。本当に、ごめんなさい」

ことり「……」


ことり(また……)
  


386: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 22:09:00.02 ID:dIy7IXgs.net

    
――――



にこ「あんた、今日はあんまり穂乃果にセクハラしないのね」

ことり「……にこちゃん、絵里ちゃん」

絵里「元に戻ったわけじゃ……ない、のよね?」

ことり「うん……。正直今すぐにでも穂乃果ちゃんに、飛びかかりたいよ……」

にこ「あぁ、なんも変わってない……」

絵里「ま、まあまあ。我慢できてるだけ、進歩じゃない?」

ことり「我慢……」

ことり(そういえば、なんで私、我慢してるんだろう……?)

にこ「……ま、あんたもあんたなりに、変わろうと努力してるってことよね」

絵里「ごめんなさい、ことり。あなたを今まで、邪険にして」

ことり「……」

絵里「希の話を聞いて、ハッとしたわ……。もちろん希はやり過ぎだったけど、仲間を受け入れられなかった私たちにも、責任の一端はあると思うから」

にこ「そう、ね……。あんただって、悪意があってやってるわけじゃないもんね……」

にこ「その……ごめん。あんたの気持ち、考えてあげられなくて……」

ことり「……そんな、二人が謝ることないよ」

にこ「……私の気が済まないのよ」

絵里「ことり。元に戻っても、戻らなくても……あなたは私たちの、大事な仲間よ」

にこ「ただし、また穂乃果に変なことしたら、その時はおしおきだからねっ!?」

ことり「……うん、分かった」



ことり(……)
   


387: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 22:12:17.45 ID:dIy7IXgs.net

   
――――



ことり「ユニットごとの練習だけど……穂乃果ちゃんは?」

花陽「あ、タオル持ってくるって……」

ことり「そっか。じゃ、二人で練習始めてよっか」

花陽「あっ……あの、ことりちゃんっ」

ことり「え、なぁに?」

花陽「その……。ごめんね、今まで」

ことり「……なにが?」

花陽「私、実は最近ずっと、ことりちゃんのこと、怖いって思ってて……」

花陽「おかしいよね、友達なのに……。ごめんなさいっ、本当に」

ことり「あはは、そんなこといいよ、気にしないで」

花陽「……怖いなんて、私の勘違いでした。ことりちゃんはやっぱり、優しいね……っ!」

ことり「……そう、かな。でも私、今までみんなに色々迷惑かけちゃったし……」

花陽「た、確かに色々、大変なこともあったけど……でもそんなトラブルを乗り越えたことで、私たちはもっと強くなれたと思うの」

ことり「えっ……?」

花陽「みんなの絆も、より深まったと思うし……それに、えっと……」

花陽「り、凛ちゃんとも、もっと仲良くなれた気がするし……//」

ことり「……あはは」

花陽「な、なのでっ! 私は逆に良かったと、思いますっ!」

ことり「そっか……」

花陽「うん……っ! それに大変なのは昨日までで終わりっ! 今日からはまた、いつもの楽しい日常が続いていくんだからっ!」

花陽「って、練習は大変だけどね……。えへへ……」

ことり「……」


ことり(昨日までで終わり……。今日からはまた、いつもの楽しい日常が……)
   


389: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 22:39:27.00 ID:dIy7IXgs.net

  
――――


穂乃果「ふぅー、休憩にしよっか」

花陽「私、飲み物買ってくるねっ! 二人は、何がいい?」

穂乃果「スポーツドリンクで、お願いっ」

ことり「私は、お水でいいよー」

花陽「分かった、行ってくるっ!」

  

ソヨソヨ


穂乃果「はぁ……」

ことり(穂乃果ちゃん、汗ビッショリだ……)

ことり(どうしよう、舐めたい……。ああ、ペロペロしたいよぉ……っ!)

穂乃果「ここら辺、風が気持ちいいよぉ。ことりちゃん」

ことり「そ、そう?」

穂乃果「うん……ほら、こっちこっち」

ことり「えっ……じゃ、じゃあ、私も……」

ことり(って、ちょ、ちょっと待って私、こんなに近づいたら……)

ことり(ふわぁあぁ、穂乃果ちゃんの匂いが、においがぁ……///)スンスン


ソヨソヨ スンスン


穂乃果「ふふっ、気持ちいいねえ……」

ことり「き、気持ちいい~……///」
  


391: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 22:46:08.14 ID:dIy7IXgs.net

    
穂乃果「……ことりちゃんとこうして二人で話すのも、久しぶりだね」

ことり「ふあぁぁ~/// えっ、何言ってるの? 昨日だって二人で話したじゃんっ」

穂乃果「えっ? あ、そうじゃなくって……。みんながいる屋上で、普通に話すのがさ」

ことり「あー、そういうこと? 確かに……」

ことり「……」

ことり(そうだ……)

ことり(そういえばどうしてみんな、私と穂乃果ちゃんを、二人きりにさせてるの?)

ことり(いつもならもっと警戒してるのに……。どうして……)

ことり(……)


ことり(……私のことを、信じてる、から?)

ことり(友達、だから……? 仲間だから……。もう私が穂乃果ちゃんになにもしないって、信じてるから?)

ことり(今日からはまた楽しい日常が戻ってくるって、信じてるから……)


穂乃果「……ことりちゃん。あのね」

ことり「……?」

穂乃果「私……。昨日、海未ちゃんのことが好きって、言ったけど……」

穂乃果「す、好きって言うのは、その……あの」

ことり「分かってる。穂乃果ちゃんは海未ちゃんと、恋人同士になりたいんでしょ?」

穂乃果「っ!! あ、えっと、うぅ……///」

ことり「……ふふっ。それで、それがどうかしたの?」

穂乃果「あっ……あのね、その、昨日はちゃんと言えなかったけど……」

穂乃果「私、ことりちゃんのことも、大好きだよ」

ことり「……」

穂乃果「ことりちゃんは、私の一番の親友だから……そう思ってるから。だから――」


穂乃果「これからもよろしくね、ことりちゃんっ」
   


392: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 22:50:42.24 ID:dIy7IXgs.net

   
スクッ


穂乃果「……ことりちゃん?」

ことり「……やめてよ」

穂乃果「えっ……」

ことり「そんな顔で……そんな匂いで、そんなこと言わないでよ……」

ことり「もう、無理だよ……。我慢、できないよ……」

穂乃果「……」

ことり「私のこと、もう分かってるでしょう? なのにどうしてそんなこと、するの……?」

ことり「も、もう、ダメ……。は、早く、逃げるなら、今のうちだよ」

穂乃果「ことりちゃん……」

ことり「はぁ、はぁ、あっ、あぁ、なにしてるの、早く……」


ことり(あぁ、だめ……。嗅ぎたい。嗅ぎたい、かぎたい、かぎたい……)

ことり(ぐっちゃぐちゃになるまで穂乃果ちゃんを、嗅ぎ貪りたい……っ!)


ことり「穂乃果ちゃん……っ!!」ガシッ

穂乃果「……っ!」

ことり「いいんだねっ!? 逃げないってことは、『いい』ってことだよねっ!?」

ことり「穂乃果ちゃんっ! 穂乃果ちゃん、穂乃果ちゃん、ほのかちゃん――」

穂乃果「……ことりちゃん。私もう、怖くないよ」

ことり「穂乃果ちゃんっ!!」

穂乃果「……」ニコッ

ことり「……っ!」



ことり(穂乃果ちゃんの肩、震えてる……)
  


393: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 22:56:15.62 ID:dIy7IXgs.net

  
ことり「穂乃果、ちゃん……?」

穂乃果「……えへへ」


ことり(そっか……。穂乃果ちゃんも私のことを『信じてる』から、抵抗しないんだ……)

ことり(私のことを、『親友』だと思ってくれてるから……。私と『仲直り』できたって、信じてるから……)


ことり「……っ!!」ダッ

穂乃果「あっ、ことりちゃん……っ!」


ガチャッ

バタンッ!


ことり「はぁ、はぁ、はぁっ!」タッタッタッ

ことり「あ、あぁ、あぁ……」


ことり(どうして……?)

ことり(どうしてみんな、私なんかのことを信じてくれるの……?)

ことり(どうしてみんな、私なんかに優しくしてくれるの……?)

ことり(……どうしてみんな、私なんかに謝るの?)



ことり(謝らなきゃいけないのは、私の方なのに……っ!)



ことり「あぁああぁああぁあっ!!」
   


395: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 22:58:50.03 ID:dIy7IXgs.net

  
――――――

部室


ガラッ


ことり「うわあぁああぁあっ!!」


ガシッ

ことり(穂乃果ちゃんの、バッグ……っ!!)

バッ 

ドサドサ

ことり(穂乃果ちゃんの、制服、シャツ……っ!)

ガッシィ

ことり「はぁ、はぁ、あぁ、あぁああぁっ!」ガバッ

ことり「んん、むぐっ、んんん……っ!」スゥゥゥ

ことり「んんっ! ぷは、んん、んんんっ!!」スゥスゥ

ことり「ぷはぁっ! う、うぅ、んんん……っ!」ギュウゥゥ

ことり「あぁ、あぁ、んん、むぐっ、うぅぅ……っ!」

ことり「はぁ、はぁ……っ! うっ、うぅ~……」ガクッ

ことり「うっ、うっ、うあぁあ……」

ことり「うっ、ひぐっ、あぁ、あぁ、あああぁ……」

ことり「うあぁああぁあん……っ! あああぁあぁん……っ!」
  


396: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 23:07:05.40 ID:dIy7IXgs.net

  
ガラッ


海未「……何をしてるんですか、ことり」

ことり「うっ、えぅ、うみ、ちゃん……?」

海未「あなたが急に屋上を飛び出していったので、追って来てみれば……。それは、穂乃果の服ですか?」

ことり「うぅ、うみちゃん、わたし、わたしぃ……っ!」

海未「……とりあえず、これで涙を拭いてください」スッ

ことり「ふっ、うっ、うぅ……」ゴシゴシ

海未「立てますか?」グイッ

ことり「あ、ありがと、う……」スクッ

ことり「うっ、うぅ……」

海未「……どうしたのですか、一体」

ことり「海未ちゃん……私もう、ほのキチじゃいられないかも……」

海未「はい……?」

ことり「おかしいな……。前はこんなんじゃなかったのに。周りのことなんか気にしないで、堂々と穂乃果ちゃんの匂いを嗅げたのに」

ことり「みんなに避けられても、海未ちゃんに叩かれても、穂乃果ちゃんに怖がられても、なによりもまず、自分の欲望を優先できたのに」

ことり「今は……それが、できなくなっちゃった」

海未「……」



ことり「私も……。そろそろ元に戻らなきゃいけない時が、来たのかな……」

  


397: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 23:11:48.95 ID:dIy7IXgs.net

  
海未「ことり、あなた……」

ことり「はぁ……」

ことり「……なんかもう、どうでもよくなっちゃったな」

ことり「もう……元のことりに戻っちゃおうかな」

海未「……」

ことり「私さえ戻れば……。今度こそμ'sは元通りになって、またいつもの日々が戻ってくるんだし」

ことり「それにスイッチももう、雪穂ちゃんにとられちゃったし……。私一人が頑張ったところでもう、取り返せる自信もないし」

ことり「頭も痛いし……もう、いいや」

ことり「さっさと元に戻って……。みんなや穂乃果ちゃんに、謝ろう……」

海未「……随分、変わりましたね。ことり」

ことり「変わったのはみんなの方だよ。あんなに優しくされたんじゃ、やり辛くて仕方ないや……」

海未「一連の事件を通して、みんなのほのキチに対する考え方が、変わったのでしょう。きっと……」

ことり「そうみたいだね……。はぁ、なんだか、こんな気持ちになる日が来るなんて、思ってもみなかったな……」

ことり「……ねえ、海未ちゃん」

海未「なんですか?」

ことり「匂い、嗅がせて? 海未ちゃんの匂いだったら私、元に戻れるかもしれないから……」

海未「……」

海未「……分かりました」

ことり「ありがとう……」

海未「ですがその前に一つ、お聞きしたいのですが」

ことり「うん? なぁに……?」

海未「……ことり」

  


 
海未「『レベル5』を嗅ぎたいとは、思いませんか?」
   


400: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 23:20:00.89 ID:dIy7IXgs.net

  
ことり「……」

ことり「……えっ?」

海未「私と一緒に、スイッチを使って、ほのスメルレベル5を嗅ぎませんか?」

海未「未知の世界へ……『新世界』へ、行ってみたいとは思いませんか」

ことり「えっ……海未、ちゃん……?」

海未「……ふふっ」

ことり「ま、まさか……海未ちゃん……」

海未「ええ、そうです。私もあなたと同じ、『ほのキチ』になったんです」

ことり「っ!!」

海未「ようやく私も『知る』ことができました。あなたの言った通りでしたよ。レベル4は、意識が飛んでしまうくらい刺激的でした……」

ことり「……い、いつ? いつ、レベル4なんて……」

海未「昨日です。あなたを追って、穂乃果の部屋に辿り着いた私は……扉を開けた瞬間に、レベル4を体験することになったんです」

ことり「……それって」

ことり(そうだ……。思い出した……)

ことり(確かにあの時、私は……雪穂ちゃんを倒すために、スイッチを押して、レベル4を部屋に充満させた……)

ことり(結局雪穂ちゃんには効かなかったし、私は耐えられずに気絶しちゃったけど……。あの後すぐ部屋に、海未ちゃんも来たんだ……)

ことり(雪穂ちゃんはスイッチの仕組みを知らなくて、レベルを下げなかった……。だから海未ちゃんは、レベル4を嗅いじゃったんだ……)

ことり(……あれ? でも……)

ことり「私が起きた時には海未ちゃん、先にもう起きてた、よね?」

海未「そうですね」

ことり「……えっと、海未ちゃんは、どれくらいで起きたの?」

海未「はぁ、どうでしょう……」

海未「……2、3分くらいじゃないですか?」

ことり「……」

ことり(2、3分……っ!?)
  


402: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 23:28:07.25 ID:dIy7IXgs.net

   
ことり「ちょ、ちょっと待って……私、どれくらい眠ってたっけ……」

海未「3時間ほどでしょうか。穂乃果と雪穂は心配そうにしていたので、彼女たちには『ただ眠っているだけだ』と説明しておきました」


ことり(……前に私や凛ちゃん、真姫ちゃんがレベル4を嗅いで倒れた時は、病院に運ばれて、半日ぐらいは眠ってたのに)

ことり(そんな短い時間で海未ちゃんは、ほのキチに変わったっていうの……?)

ことり(そ、それに……)


海未「スイッチのレベルも、私が下げておきました。あの場では、とりあえずことりを起こすことが、先決だったので」

海未「スイッチのことについては……雪穂に説明を求められたので、ある程度は話しました。穂乃果は既にその危険性に、気づき始めていたようですが……」

海未「……もちろん、『レベル4を嗅ぐとほのキチに至る』という点は伏せました。それにすぐ起きたこともあって、二人は私のことは特に心配していなかったようです」

海未「なので、私がほのキチになったことは……あなた以外、誰も知りません」


ことり(朝会った時も、教室で話してた時も、練習中も……今日一日中ずっと、海未ちゃんは『いつもの海未ちゃん』だった……)

ことり(今この瞬間に、いきなりほのキチに変わったんじゃないかって思うくらい、今日の海未ちゃんは、全然ほのキチらしくなかった……)

ことり(こんなの、誰も気づくわけない……。ここまでほのキチだってことを、隠し通せるものなの……?)

ことり(おかしい……。海未ちゃんは私たちとは、何か違う……)

ことり(まるで今の海未ちゃんは、希ちゃんがなれなかった、『不完全なほのキチ』――)


海未「スイッチの方は、事情があって今は雪穂が持っています」

海未「まあ、でも……結局最後には私の手に、堕ちることになるのですが」


ことり(――海未ちゃんは、ほのキチなのに、理性を保って、感情をコントロールして、社会に溶け込める能力があるんだ……)

ことり(それは私たちの誰にも、できなかったこと……)

ことり(……『不完全』なんかじゃない。海未ちゃんは――)


ことり(『完全なほのキチ』に、なったんだ……っ!)
    


404: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/02(金) 23:33:20.68 ID:dIy7IXgs.net

   
ことり「す、すごい……」

海未「……」

ことり「すごいよ、海未ちゃん……。こんな穏やかなほのキチ、見たことない……」

ことり「や、やっぱり海未ちゃんには、素質があったんだ……。私ずっと、信じてたんだ……っ!」

ことり「だって海未ちゃんは、私と同じ……ううん、私以上の、変態だもの……っ!」

海未「私は変態ではありません」

ことり「……」

海未「それで、どうするんです? このまま元に戻るのか、それとも……」

海未「私と共に、『新世界』へと旅立つのか……」

ことり「……そんなの、決まってるよ」




ことり「私、レベル5を嗅ぎたい……」

ことり「もう全部、どうでもいい……。私はただ、欲望のままに、穂乃果ちゃんの匂いを嗅ぎ尽くしたいっ!」

ことり「だから私を連れてって、海未ちゃん……新しい世界へっ!」

海未「……良い顔になりましたね、ことり。それでこそ、ほのキチです」

海未「最高の体験をしましょう、一緒に……」

ことり「うん……っ!」


ことり(いつもの楽しい日常なんて、もういらない……)

ことり(海未ちゃんがくれる、刺激的な『非日常』を……っ! 私は全力で楽しむんだっ!)
   


429: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 21:10:01.19 ID:7/KAkGZQ.net

   
――――


海未「では、計画の流れを説明します」

海未「この後練習終わりに私が穂乃果に、『穂乃果の部屋に久しぶりに三人で集まらないか』と、提案します」

海未「穂乃果の家についたら、私が雪穂から、スイッチを返してもらいます。私の言葉なら、彼女は間違いなく信用しますから」

ことり「分かった……。あれ、でもどうして、昨日のうちに返してもらわなかったの?」

海未「私がスイッチを持っていることが知れれば、真姫に返さなくてはいけなくなるでしょう?」

ことり「うん」

海未「ですから昨日私は自分の携帯を使って、雪穂に、真姫への電話をかけさせました」

ことり「電話……? 真姫ちゃんに?」

海未「雪穂には、こう説明しました。『真姫ならスイッチを処分できますが、今の彼女はほのキチになってしまい信用できないので、あなたにスイッチを預かってもらいたい』と」

海未「雪穂もそれで納得しました。そして電話で、真姫にその旨を伝えさせました」

海未「実際にほのキチになっていたのは事実なのですから、真姫は負い目を感じたのでしょう。彼女は電話越しにそれを、承諾しました」

海未「これでしばらくの間、真姫や他のみんなは、スイッチは雪穂が持っていると思い込む……」

海未「あとは普通に雪穂からスイッチを返してもらえばいい……。昨日のうちでは流石に不自然なので、今日、です」

海未「理由は、『今日学校で確認したら、真姫が元に戻っていた。もう信用できるから、彼女に返したい』、とでも言っておけば良いでしょう」

ことり「なるほどー。うん、確かに雪穂ちゃんなら信じると思うよ。雪穂ちゃん、海未ちゃんのことはすごく信頼してるみたいだし……」

ことり「でも、どうしてそこまでするの? ことりならそんな回りくどいことせずに、昨日のうちに返してもらっちゃうけどなぁ」

海未「私はただ、平穏に暮らしたいだけなんです。前のあなたみたいにみんなに追い回されたりだとかは、御免です」

ことり「平穏に……?」

海未「ええ。ほのキチだとバレることもなく、のんびりと……。普段通りの日常を、みんなと過ごしながら……」

海未「たまに刺激を求めて、レベル5を嗅ぐ。そんな生活を、私は送りたいんです」

ことり「……あはは、やっぱりすごいや。海未ちゃんは」

ことり(……なんかことりが思ってた方向とは少し違うけど、ま、いっか)

ことり(海未ちゃんについていれば、レベル5を嗅げるのは確かなんだし……)
  


430: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 21:12:30.57 ID:7/KAkGZQ.net

   
海未「それで、私が雪穂のところへ行っている間ですが……」

ことり「ことりが穂乃果ちゃんを縛っておけばいいんだねっ!?」

海未「違います」

ことり「ええーっ? じゃあ睡眠薬入りマカロンで、眠らせたりとかっ!?」

海未「違います。あなたの性癖は野蛮すぎます。いいですか、ことり」

海未「あなたは、何もしなくて結構です」

ことり「えっ……」

海未「穂乃果と談笑でもして、私がスイッチを持ち帰るのを待っていてください」

ことり「えぇー。でもそれじゃ穂乃果ちゃんに、抵抗されちゃうかもしれないよ?」

海未「いきなりやり過ぎるからいけないのです。彼女を怖がらせるから、抵抗されるのです」

海未「優しく、丁寧に……。少しずつ、快感を与えていくのです。そうすればきっと、彼女も私たちを受け入れてくれるはずです」

ことり「そっか。私は我慢できなくて、いきなり激しくし過ぎちゃったから……」

海未「そういうことです。とにかく、私のやり方を見ていてください。必ず穂乃果を、『こちら側』に引き込んでみせますから」

ことり「……ねえ、海未ちゃん」

海未「はい?」

ことり「どうして私を誘ってくれたの? 別に私がいなくても、海未ちゃんの目的は果たせるはずだよね?」

海未「何を言ってるのですか。先に誘ってくれたのは、あなたの方でしょう?」

ことり「へっ……?」


『……ことりっ!!』

『怒らないでよぉ。じゃあさ、貸すのが嫌だったら、一緒に使おう?』


海未「『二人でスイッチを使おう』、とね……」

ことり「……あっ」

海未「ふっ、それではそろそろ、屋上に戻りましょうか」

ことり「海未ちゃん……」

海未「ことり。私たち幼馴染の関係は今夜、より深まることになるでしょう。楽しみですね……」

ことり「……あはっ。そうだね」

ことり(これがほのキチになった、海未ちゃんの考え方……)

ことり(無理やり穂乃果ちゃんを快楽に目覚めさせるんじゃなくて……。ゆっくり時間をかけて、優しく堕落させていく……)

ことり(普通のほのキチじゃ、絶対できないやり方だなぁ……)


431: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 21:15:46.34 ID:7/KAkGZQ.net

    
――――――

屋上



穂乃果「あ、海未ちゃん、ことりちゃん。遅かったね」

ことり「ごめんね、いきなり飛び出して……。ちょっと、気分悪くなっちゃって」

海未「ことりはしばらく隅っこのほうで、休憩していてください……」

海未「……っと、穂乃果」

穂乃果「うん?」

海未「今日もご両親は、旅行から帰らないんですよね?」

穂乃果「うん。明日までは、雪穂と二人きりだよ」

海未「では練習が終わったら、ことりと二人で、あなたの部屋にお邪魔してもよろしいでしょうか」

穂乃果「えっ?」

海未「ほら、私たちせっかくこうして、仲直りできたんですし……」

穂乃果「あっ、そっかっ! じゃあ幼馴染の仲直りの記念として、今夜はパーティだねっ!」

海未「いいですね、パーティ。今日は夜まで、遊びましょう」

穂乃果「うんっ!」

ことり(まあ確かにある意味、今夜はパーティだけど……。能天気だなぁ、穂乃果ちゃん。さっき私に襲われかけた、ばかりなのに)

ことり(可愛いなぁ、可愛いなぁ……あぁー)

ことり(なーんか海未ちゃんのおかげで、やる気が出てきちゃったなぁ……。よし、決めたっ)

ことり(海未ちゃんが雪穂ちゃんのところに行ってる間に、一足先に穂乃果ちゃんを襲っちゃおう)

ことり(海未ちゃんには、何もするなって言われてるけど……。私は海未ちゃんみたいに我慢なんてできないし、仕方ないよねっ)


穂乃果「楽しみだねーっ」

ことり「ふふっ、そうだね……」

海未「ええ、楽しみです……」
  


434: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 21:41:20.62 ID:7/KAkGZQ.net

  
――――――


穂乃果の部屋



穂乃果「ふぅ、今日も疲れたぁー」バフッ

ことり「ご飯、どうしよっか?」

海未「作るなら、雪穂も入れて四人分の食材を、買に行かなくてはなりませんね」

穂乃果「私もう、外出たくないー。そうだ、出前とろうよ出前っ!」

ことり「いいかもっ。せっかくのパーティだし、豪華にしよっか」

穂乃果「そうしようっ!」

海未「では出前は、後で頼むとして……。パーティと言ったらまず、これですよね」スッ

穂乃果「えっ……と、トランプ?」

ことり「海未ちゃん、まさか……」

海未「今度は負けませんよ、二人とも……っ!」ゴゴゴ

穂乃果「そ、それこそ後で、いいんじゃ……。私、お腹すいたよぉ」

ことり「あ、あはは……私も、かな」

海未「……仕方ありませんね。ではこれは食後の楽しみにとっておきましょう」

穂乃果「それより、なに頼むっ!? 私、お寿司が良いなぁー」

海未「お寿司ですか……ことりは何か、希望は?」

ことり「私は、みんなが食べたいものでいいよぉ」

海未「私も特に希望はありませんが……雪穂にも聞いてきますね」

穂乃果「うんっ、お願い」

海未「……それでは」


バタン


ことり「……」チラッ

穂乃果「お寿司、お寿司ー♪」
 


435: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 21:42:31.64 ID:7/KAkGZQ.net

   
――――

コンコン


「……? どうぞー」


ガチャッ


雪穂「あっ……」

海未「こんにちは、雪穂。お邪魔しています」ニコッ

雪穂「いらっしゃい、海未ちゃん。今日は、どうしたの?」

海未「今日は久しぶりに穂乃果とことり、三人で、遊ぼうかと思いまして」

雪穂「えっ……。その、ことりちゃんも……?」

海未「はい。今は、穂乃果の部屋にいます」

雪穂「ええっ……。お、お姉ちゃんと二人きりにさせておいても、大丈夫なの?」

海未「心配し過ぎですよ、雪穂。ことりはもう、大丈夫です」

雪穂「そ、そうなの……?」

海未「ええ。だから安心してください。私たち幼馴染は……ようやく、仲直りできたんです」

雪穂「そっか……。海未ちゃんがそう言うなら、大丈夫か……」

海未「……」ニコッ

雪穂「えっと、それで……」

海未「今夜の夕食は、出前をとろうという話になったのですが……。雪穂、なにか希望はありますか?」

雪穂「出前か……どうせお姉ちゃんが、我儘言ったんでしょ?」

海未「ええ、まあ……」

雪穂「私は何でもいいや。そっちに任せるよ」

海未「分かりました。では……。あっ、そうそう」

雪穂「えっ?」

海未「あのスイッチ、どうしました?」
  


436: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 21:52:03.18 ID:7/KAkGZQ.net

  
雪穂「……」

雪穂「あ、ああ……。スイッチ?」

海未「はい。昨日あなたに預けましたよね?」

雪穂「えっと、しまってあるよ。一応、鍵もかけてあるけど」

海未「厳重に保管して頂いて、ありがたいのですが……。今そのスイッチ、出せますか?」

雪穂「……どうして?」

海未「返して頂きたいのです。スイッチの処分の目途が、立ったので」

雪穂「ほ、ほんとに?」

海未「はい。今日学校で、真姫と会ったのですが……。彼女、正常に戻っていたんです」

雪穂「えっと、じゃあ……真姫さんはもう、信用できるんだね?」

海未「私が保証します」

雪穂「分かった。じゃあ今、出すね。ちょっと待ってて……」ゴソゴソ

海未「……」

雪穂「……」ガチャッ

海未「……取り出せました?」

雪穂「うん……。あの、海未ちゃん」

海未「なんです?」

雪穂「その……本当に、ありがとう。お姉ちゃんのこと……」

海未「……はい?」

雪穂「聞いたよ。ずっとお姉ちゃんのこと、守ってくれてたんだよね……?」

雪穂「その、なんだっけ……。ほのキチ、っていうのから」

海未「……ええ、まあ」


437: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 21:55:15.84 ID:7/KAkGZQ.net

  
雪穂「私、何も知らなくて……何もできなかった。本当に海未ちゃんがいてくれて、よかったよ」

海未「いいですよ、そんなの……。私だって穂乃果のことが、大事なんですから」

雪穂「……それに比べてことりちゃんときたら、最悪だよ。お姉ちゃんに変なことばっかりしてたんでしょう?」

海未「……」

雪穂「私、あの人のこと、もう……信用できない」

海未「……そんなこと言わないでください。ことりだって、反省してるみたいですし」

海未「それに、そのスイッチさえ処分できれば……。もう同じことは、二度と起きないんですから」

雪穂「……そう、だよね」

海未「ですから、雪穂……」

雪穂「『レベル5』って、言ってた気がするの」

海未「……なんです?」

雪穂「ことりちゃん、昨日、眠る前に……。『レベル5を嗅いでみたかった』って、言ってた気がするんだ」

雪穂「私の聞き間違いじゃ、なければだけど……」

海未「それが、どうかしましたか?」

雪穂「このスイッチは、お姉ちゃんの匂いを強くするスイッチなんだよね……?」

海未「そうですが?」

雪穂「レベルっていうのが、匂いの強さのことを表してるんだとして……。『レベル5を嗅いでみたかった』っていうのはつまり、ことりちゃんは『レベル4までしか嗅いだことがない』ってことだよね」

雪穂「つまり、ことりちゃんは……。レベル4までの匂いで、あんな風に変わっちゃったってことになる、よね?」

海未「……それが?」

雪穂「この液晶画面の数字が、そのレベルを示しているんだとしたら……。今は『0』に、なってるけど……」

雪穂「……昨日、海未ちゃんが部屋に入った後、急に倒れちゃったでしょ? すぐに起きたけど……」

雪穂「確かあの時、数字は……『4』になってた、気がするの」

海未「……」


439: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 22:00:34.56 ID:7/KAkGZQ.net

雪穂「大丈夫、だよね……?」

海未「……当たり前じゃないですか」

雪穂「信用しても、いいんだよね……? 海未ちゃんを……」

海未「安心してください、私はほのキチになどなっていません。私は穂乃果の幼馴染ゆえ、ほのスメルには耐性がありますから」

雪穂「同じ幼馴染のことりちゃんよりも……?」

海未「同じ幼馴染のことりよりもです。なんなら穂乃果に確認してみてください。今日一日の、私の行動を……」

海未「私は決して穂乃果に、変なことをしたりはしていませんから」

雪穂「そう、だよね……。海未ちゃんは、私の代わりにお姉ちゃんを、守ってくれてたんだもんね……」

海未「ええ……」

雪穂「それにどう見たって、今の海未ちゃんは、いつもの海未ちゃんだし……」

海未「ええ……っ!」

雪穂「だから信用するべきなのは、ことりちゃんじゃなくて、海未ちゃん……」コロコロ

海未「その通りです……っ! ですから、雪穂……っ!」

海未「早くその、スイッチをっ!」

雪穂「……」

雪穂「……ごめんなさい」

海未「……はい?」

雪穂「もう少し、私が預かっててもいいかな。このスイッチ……」

海未「……」



海未「……残念です、雪穂」


440: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 22:07:56.91 ID:7/KAkGZQ.net

  
ガシッ


雪穂「っ!?」

海未「力ずくで奪うことは、したくなかったんですがね……」

雪穂「……は、ははっ」

雪穂「やっぱ、そうだったんじゃん……。この、嘘つき……っ!」

海未「……っ!」ググッ


ドタァン!


雪穂「うっ、痛……っ!」

ガバッ

海未「……あまり年上をからかうものではありませんよ、雪穂」

雪穂「っ! ふ、ふふっ……。結局海未ちゃんも、そうなんだ。残念は、こっちの台詞だよ……」

雪穂「海未ちゃんには本当に、感謝していたのに……っ! まさかあなたまで、変態だったなんてっ!」

海未「私は変態ではありませんっ!」ググッ

雪穂「変態でしょうがっ! こんなスイッチを、欲しがるなんて……っ!」

海未「スイッチを、渡しなさい……っ!」

雪穂「嫌だ……っ!」

海未「あなたの力で、私に勝てると思ってるんですかっ!? ケガをする前に、渡したほうが身のためですよっ!」

雪穂「嫌だっ! 絶対に、渡さない……っ! ケガしたって、渡すもんかっ!」

雪穂「お姉ちゃんは、私が守るんだ……っ! 例えあなたが敵になっても、私だけはお姉ちゃんを、守り続けるんだっ!」

雪穂「お姉ちゃんを、泣かせる奴は……私が絶対に、許さないんだからぁっ!!」

海未「……っ!」
  


442: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 22:15:00.11 ID:7/KAkGZQ.net

  
雪穂「わあぁあぁっ!」ジタバタ

海未「くっ……暴れないでくださいっ!」

雪穂「力で勝てるなんて、思ってないよ……っ! でもこのスイッチさえ離さなければ、私の勝ちだっ!」

海未「……」

海未「……ならば仕方ありませんね」ガシィ

雪穂「っ!? な、なに……?」

海未「……」ギュウゥ

雪穂(っ! なんでこんな、体をくっつけて……。そんなことしても、スイッチは……っ!)

海未「今からあなたに、とてもハレンチなことをします」ボソッ

雪穂「っ!?」ビクッ

海未「それが嫌なら、おとなしくスイッチを渡してください。5秒待ちます」

海未「『5』……」

雪穂「は、なに、それ……? そんなの、脅しになってないよっ!」

海未「『4』……」

雪穂「私、知ってるんだからねっ! あなたたちほのキチは、お姉ちゃんにしか興味ないんでしょうっ!?」

海未「『3』……」

雪穂「お姉ちゃんから聞いてるんだからっ! 凛さんがほのキチになった時に、あんなに仲良しだった花陽さんに、全く興味を示さなくなったってっ!」

海未「『2』……」

雪穂「そうだ……。そのことも気にしてたんだ、お姉ちゃんはっ! 『私のせいだ』って、何度も、何度も……っ!」

雪穂「お姉ちゃんは、なにも悪くないのにっ! 悪いのは全部、あんたたちほのキチなのにっ!!」

海未「『1』……」

雪穂「やれるものならやってみろ、この変態っ! 妹の私なんかで、コーフンできるんならねっ!!」 


ペロッ……


雪穂「――っ!!?」
  


446: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 22:27:26.09 ID:7/KAkGZQ.net

 
海未「……ふふっ」

雪穂「あっ、えっ……? 今、なにを……」

海未「汗を舐められた経験は初めてですか、雪穂?」

雪穂「えっ……」

ペロッペロッ

雪穂「ひゃあっ!? な、なにをして……」

海未「ふふっ……」ガバッ

雪穂「っ!」

雪穂(ま、また、くっついて……)

海未「……んん」

海未「んんん~……っ!!」スゥゥゥ

雪穂「あ……っ!?」

雪穂(なに……? なにしてんの……?)

海未「んんん、んんっ! ふぐっ、うむっ」スゥスゥ

雪穂「あっ、あぁ、あっ……?」

海未「んんんんっ! んんん、むぐっ、うぅぅっ!」スゥゥゥゥ

雪穂「あ、ああぁっ!? あぁ、や、あ、ああぁあ……っ!」

海未「ぷはぁっ! ふ、ふふっ、んっ、んんんんっ!」ギュゥ

雪穂「ああああぁああぁっ!?」ビクンッ!

雪穂(な、なに、これぇ……)
 
  


447: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 22:30:46.66 ID:7/KAkGZQ.net

  
海未「うっ、ぷはぁっ! ふぅ、ふふっ……!」

雪穂「はぁ、はぁ、あっ、あぁ……」

海未「ふふふ……。やはり『似て』いますね……流石、姉妹と言ったところでしょうか。実に、良い匂いです」

雪穂「な、なに、言って……」

海未「ただ、違う……。ほのスメルとは、根本的に違う。あなたの匂いは、『良い匂い』止まりです」

雪穂「に、におい、って……。はぁ、ぁ、私のにおい、嗅いでたの……?」

海未「どうしました? 顔が真っ赤ですよ? さっきまでの威勢は、どこにいったのでしょうか」

雪穂「なんで……。なんでこんなこと、するの……」

海未「あなたの考えは正しいです。妹だからといって、あなたは穂乃果の代わりにはなり得ません。他のほのキチでは、きっとあなたに興味など示さないでしょう」

海未「ですが、残念……私はほのキチの中でも特別でしてね。他と違い、あらゆる感情をコントロールできるんです」

海未「ですから匂いの似ているあなたを、『穂乃果だと思い込む』ことで、自分の気持ちを奮い立たせたんです。言ってる意味、分かりますかね?」

雪穂「あ、ぅ、や、やめて……におい、かがないで……」

海未「……スイッチ、渡してくれます?」

雪穂「っ! い、いや、だ……」

海未「そうですか。では……」グイッ

雪穂「っ!? いやっ、なっ、なにしてんのっ!?」

海未「いえ、今度はシャツの中の匂いを、嗅がせて頂こうかと思いまして」

雪穂「ひっ! や、やだ、なに考えてんのっ!? ばかぁっ!!///」

海未「バカ? バカはあなたでしょう、『穂乃果』……」

雪穂「……っ」ガタガタ
  


451: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 22:38:18.46 ID:7/KAkGZQ.net

  
海未「……んんっ!」ガバッ

雪穂「あっ、だめ、だめえっ! やだぁっ///」

海未「んんんんんぅぅぅぅぅっ!!」スゥゥゥゥゥ

雪穂「ああ、あぁああ、あぁああぁ……っ!///」

海未「ぅぅぅぅ、ぷはっ、ふふっ、ふふふっ! い、いいじゃないですか、雪穂っ!」

雪穂「あ、ああぁ、あ……////」

海未「あなたの汗の匂い、なかなか良いですよっ! 穂乃果とは違った味わいがあって、実によかったですっ! ふ、ふふっ……!」

雪穂「もう、やだぁ……」グスッ

海未「スイッチ、どうです?」

雪穂「グスッ、うっ……」フルフル

海未「そうですかっ! では次は、脇の方とかいってみましょうかっ!?」ワクワク

雪穂「っ!? もうやだぁっ! そんなところ、嗅がないでよぉっ!!」

海未「雪穂、仕方がないんです。これは、罰なんですよ。いいえ、『教育』といっておきましょうか」

海未「女子中学生が女子高生に逆らうということが、どういうことなのか……。身を持って、知りなさい」

雪穂「……っ」ゾッ

海未「……ふふっ。薄着で部屋にいたことが災いしましたね、雪穂……」

雪穂「ふっ、う、うぅ~……」ポロッポロッ

雪穂「うっ、うぅ、やだよぉ、う、うええぇん…っ!」

海未「……んっ、んんー」スゥゥ

雪穂「あ、あぁ、うぅ、たす、けてぇ……っ!」

雪穂「ひぐっ、うええぇぇん……。たすけて、おねえちゃぁん……っ!」
  


453: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:01:07.40 ID:7/KAkGZQ.net

   
ガチャッ



海未「……?」クルン

雪穂「うっ、うぅ……」



ことり「……海未ちゃん?」

海未「おお、ことりっ! ちょうどいいところに、来ましたねっ」

ことり「遅いから、こっちの様子を見に来てみたんだけど……。どうして雪穂ちゃんに、馬乗りになってるの?」

海未「それがですね、聞いてくださいよ。雪穂の匂いがですね、思ったよりも良いんですよっ!」

雪穂「……う、うぅ」

ことり「……ほんとっ? それは、すごい発見だねっ!」

海未「どうですっ!? ことりも一緒にっ!」

雪穂「っ!? い、いやぁ……」

ことり「ん~、でもやっぱりことりは、穂乃果ちゃんの方がいいかなぁ」

海未「そうですか……。ところでことり、汗ビッショリですけど、どうかしたんですか?」

ことり「えっ? あっ、あはは、何でもないよっ」アセアセ

海未「そうですか……」

ことり「それより、スイッチはっ?」

海未「……それがですね、雪穂が頑なに離さないんですよ」

ことり「ええー。雪穂ちゃん、すごいなぁ。根性あるねえ」

海未「……それで、雪穂。二対一になっちゃいましたけど……。まだスイッチ、渡す気になりません?」

雪穂「うあぁ、あぁ……」

海未「では今度こそ、脇の匂いを……」

ことり「……あれ?」
 


454: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:05:57.03 ID:7/KAkGZQ.net

  
海未「どうしました?」

ことり「……」ググッ

雪穂「……っ」

ことり「とれたぁ」ヒョイ

海未「あっ……」

ことり「雪穂ちゃん、だいぶ力が弱ってたみたい。簡単にスイッチ、取れたよ」

海未「でかしました、ことりっ! ようやくスイッチが、戻りましたね……っ!」

雪穂「ふっ、う、ぅ……」グスッ

ことり「ふふっ。じゃあことりは、穂乃果ちゃんのところに戻ってるけど……。海未ちゃんは、どうする?」

海未「私はもう少し、雪穂を堪能することにしますっ!」

雪穂「っ! な、なん、で……」

海未「ごめんなさい、こんなはずじゃなかったんです……。でも、あなたが悪いんですよ? あなたが思ったより私好みの匂いをしていたのが、いけないんです」

雪穂「や、ぁ……」

海未「ふふっ……では、失礼しますよ。脇の方を……」

ことり「海未ちゃん」

海未「……はい? ことり、まだいたので――」
 

ガバッ!

 
海未「――っ!?」

ことり「……海未ちゃん」

海未「む、ぐっ……っ!?」



海未(こ、ことり……? なぜ私に、抱きついて――)



ことり「お願い、海未ちゃん……っ!」



ギュゥゥ……




ことり「元に、戻ってぇっ!!」
   


455: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:07:24.86 ID:7/KAkGZQ.net

   

フワァ……


海未「ふぁ、あ、ぁあ……」

ことり「海未ちゃん、海未ちゃぁん……っ!」ギュゥ

海未(これは……この、匂いは……っ!)

海未(ま、まずい、このまま、では……っ!)

ことり「海未ちゃん――」

海未「うっ、ぐっ、あぁああっ!」ドンッ!

ことり「きゃあっ!?」ドテッ

海未「はぁ、はぁ、あ、あぁ……」フラ

海未「……あ、あなた、ことりっ! 一体、なぜ……っ!」

ことり「うっ、海未、ちゃん……」

海未「なぜ私を、元に戻そうなどと……っ!? 一体、どういうつもりですかっ!?」

ことり「はぁ、はぁ……っ!」

海未「……」

ことり「海未ちゃん、もうやめよう……? こんなこと……」

海未「ことり……。あなた、まさか……」

ことり「もう全部、終わりにしよう……っ!? そうしたらまた、三人で……っ!」

海未「そんな……。学校にいた時はまだ確かに、『ほのキチだった』はずなのにっ!!」

ことり「海未ちゃんっ!」

海未「ことりっ! あなた――」



 



海未「――いつの間に、元に戻ったんですかっ!?」

ことり「……っ!」
  


458: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:16:29.23 ID:7/KAkGZQ.net

  
ことり「……」

海未「い、一体、いつ……。誰の匂いを嗅いで、元に戻ったんですか……っ!?」

ことり「そんなの……海未ちゃんしか、いないよ」

海未「私、ですって……っ!? 私の匂いを嗅ぐタイミングなんて、今まで一度も……っ!」

ことり「ありがとう、海未ちゃん。約束、守ってくれて……」

海未「やく、そく……?」

ことり「『いつか必ずあなたを元に戻して見せる』って……。前に、言ってくれたよね」

ことり「私、海未ちゃんのおかげで、元に戻れたよ……」スッ

海未「……っ! それは……」

ことり「……これ、返すね」

海未「まさかそんな物で、元に戻ったとでも言うのですか……っ!?」

ことり「うん。気づかなかった? 部室で海未ちゃんと、話をした後……。屋上に戻ってから、私は暇さえあれば『これ』を嗅ぎ続けていたんだよ」


『うぅ、うみちゃん、わたし、わたしぃ……っ!』

『……とりあえず、これで涙を拭いてください』


ことり「あの時海未ちゃんが貸してくれた、ハンカチ……」

海未「……」
  


460: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:21:20.47 ID:7/KAkGZQ.net

  
海未「……ほのキチから元に戻る方法は、まだ詳しく分かっているわけではありません」

海未「しかし、ハンカチに付着した程度の匂いで……そんな間接的な方法で元に戻れるとは、予想外でした」

ことり「……」

海未「ずっと、演技をしていたんですね……。私が『ほのキチでない』ことを装っていたように、あなたは『ほのキチである』ことを装っていた……」

海未「……私を元に戻すための、一瞬の隙をつくために」

ことり「……海未ちゃん、もう戻ろう? お願いだから……」

ことり「それとも……。私なんかの匂いで戻るのは、嫌……?」

海未「……」

海未「……ことり」スタスタ

ことり「う、海未ちゃん……?」

海未「右手に持っているそのハンカチ、返さなくても、結構ですよ?」

ことり「えっ……」

海未「その代り、私は……」


海未「……左手に持っているスイッチの方を、返して頂きますからっ!!」バッ

ことり「っ!!」


ガシィッ!
  


463: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:28:21.16 ID:7/KAkGZQ.net

  
海未「……っ!?」

雪穂「ことりちゃん、早くっ!」ググッ……

ことり「ゆ、雪穂ちゃん……っ!」

雪穂「私が押さえているうちに、早く海未ちゃんを戻してっ!!」

海未「雪穂っ!? あ、あなた……っ!」

ことり「……っ!」バッ

海未「くっ……!」

海未(こんなところで、戻るわけには……っ!)

海未(私には、使命がある……っ! レベル5を嗅ぐという、使命がっ!!)

海未「……ああぁあっ!!」ググッ

雪穂「……えっ!?」グルン

ドタァンッ!!

雪穂「っ! あぅ……っ!」

ことり「雪穂ちゃんっ!?」

雪穂(あの体勢から、投げられるなんて……。なんて、力……)

海未「……ことりぃっ!!」ガシッ

ことり「うわぁっ!?」

ブンッ

ドタァッ!!

ことり「っ!! う、ぅ……」

ポロッ

ことり(っ! スイッチが……っ!)
   


464: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:31:04.45 ID:7/KAkGZQ.net

   
雪穂「こ、ことり、ちゃん……スイッチ……」

海未「はぁ、はぁ……」

ことり「う、うぅ、いっ、たぁ……」

雪穂「はやく、スイッチが……」

ことり「っ! う、うぅ……」

ことり「うあぁあぁっ!」バッ


ことり(海未ちゃんよりも先に、スイッチを……っ!)


海未「……く、あぁあっ!」ガバッ


海未(ことりよりも早く、スイッチに……っ!)


雪穂(二人とも、飛び込んだ……っ! どっちが先に……っ!?)


ドサァッ!



ガシッ




雪穂「――っ!!」

海未「はぁ、はぁ……」

ことり「うっ、ぅ……」

海未「はぁ……。くっ、ふふっ……」



 
海未「……スイッチは、頂きました」ニヤァ

雪穂「っ! くっそぉ……っ!」

海未「ふふっ、あとは……っ!」

ダッ
  


466: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:36:10.80 ID:7/KAkGZQ.net

   
雪穂(っ!? 扉の方に……っ! 逃げる気だっ!)

雪穂「はぁ、はぁ、まてぇっ!」ダッ

ことり「はぁっ! う、海未ちゃん……っ!」ダッ

ガチャッ バァンッ!

ドタドタッ!


海未(穂乃果の部屋に……っ!)


ガチャッ! バァンッ!



海未「穂乃果っ!!」

穂乃果「えっ……?」ビク

海未「穂乃果……っ! 私についてきてくださいっ!」

穂乃果「え、えっと、あの……。海未ちゃん、さっきの音って――」

海未「今は時間がありませんっ! とにかく私を信じて、こちらにっ!」

穂乃果「ど、どうしたの、海未ちゃん……?」

海未「いいから、早くっ!」



雪穂「だめえっ! お姉ちゃんっ!!」
 


467: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:37:43.13 ID:7/KAkGZQ.net

  
穂乃果「ゆ、雪穂……?」

雪穂「お姉ちゃんっ!! そいつの言うことを、信じちゃダメっ!!」

海未「……っ! くっ!」

ことり「穂乃果ちゃん……っ!」

穂乃果「……こ、ことり、ちゃん」

ことり「さっき言ったことを思い出して、穂乃果ちゃんっ! 海未ちゃんは、もう……っ!」

穂乃果「……っ!」

雪穂「お姉ちゃんっ!!」

海未「……穂乃果っ!」グイッ

穂乃果「っ!?」

ことり「う、海未ちゃんっ!? 待って……っ!」

海未「私があなたを守りますっ! ですから……私を、信じてくださいっ!!」ガシッ

穂乃果「う、海未ちゃん……? うわぁっ!?」

雪穂「な、なにを……っ! そっちは、窓――」


ガラッ


海未「しっかり掴まっていてください、穂乃果――っ!」

雪穂「っ!? ま、まさかっ!」

ことり「待ってっ、ダメっ! 海未ちゃん――」


バッ……!
 


470: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:44:42.32 ID:7/KAkGZQ.net

 
ダンッ!


穂乃果「っ!」

海未「う、ぐっ……」

海未(凛を見習ってやってみましたが……。案外できるものですね)

海未「さぁ、行きましょう、穂乃果……。立てますか?」

穂乃果「う、海未ちゃん……私、どうすれば……」

海未「……とにかく、走りましょう。二人に追いつかれる、前に」

海未「事情は後で説明します。ですから、今は……私についてきてください」

穂乃果「……」

穂乃果「……わ、わかった」コクン

海未「ありがとうございます、穂乃果。それでは、手を……」

穂乃果「うん……」


ギュッ

タッタッタッ……



雪穂(まさか、お姉ちゃんを抱えながら、二階から飛び降りるなんて……)

雪穂「……」

雪穂「スイッチも、とられて……お姉ちゃんも、連れてかれちゃった……」


ガクッ


雪穂「私、お姉ちゃんを、守れなかった……」

雪穂「うっ、う、うぅ……」


472: 名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/03(土) 23:49:21.25 ID:7/KAkGZQ.net

 
ことり「……」

ことり「雪穂ちゃん、ごめんね……」

雪穂「うっ、うぅ、うあぁあ……っ!」

ことり「ごめんなさい……っ! 雪穂ちゃんまで、巻き込んで……っ!」

ことり「まさか海未ちゃんがあそこまでするなんて、思わなかったの……っ! 怖かったよね、雪穂ちゃん、ごめんね……っ!」

雪穂「私のことなんて、どうでもいいっ!!」グイッ

ことり「っ!! うっ……」

雪穂「グスッ……。どうすんのっ!? お姉ちゃん、連れてかれちゃったよっ!?」

雪穂「スイッチだって、とられちゃったじゃんっ! ねえ、どうすんのさっ!!」ググッ

ことり「……っ」

雪穂「あなたにさっき電話で言われたことを、信じたから……っ! 私は海未ちゃんに、スイッチを渡さなかったんだよっ!?」

雪穂「なのに……っ! あなたがスイッチをとられて、どうするのっ!? ねえっ!!」

ことり「ごめん……、ごめんなさい……」

雪穂「私には分かるよ、ことりちゃん……っ! さっき、距離的には有利だったはずなのに、どうしてあなたが先にスイッチを、とれなかったのか……っ!」

雪穂「あなたには……海未ちゃんと敵対する覚悟が、欠けてるんだっ! だから、スイッチをとられちゃったんだよっ!」

ことり「……っ!!」

雪穂「甘いんだよ、ことりちゃんは……っ! うっ、うぅ、どうするのぉ……っ!?」

雪穂「あんな人に、スイッチを渡しちゃって……。お姉ちゃんは、どうなっちゃうの……っ! うっ、うぅ……」

ことり「……ごめん、なさい」

ことり「ごめんなさい……」


    
ことり(……やっぱりことりは、ダメな子だ)

ことり(いつまでたっても、穂乃果ちゃんと海未ちゃんの後についてくだけの、ダメな女の子――)
 


514: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:00:17.63 ID:P/Rj4SMO.net

   
――――――――
――――――
――――
――


数十分前……


ことり「――それでね。海未ちゃんは、ほのキチになっちゃったの。しかも、すごく理性的な……」

『ほのキチって……』

ことり「スイッチで強くなった穂乃果ちゃんの匂いを嗅いで、頭が変になっちゃった人のことだよ」

『……はぁ』

ことり「でね。この後私と海未ちゃんで、そっちに向かう予定なんだけど……。海未ちゃんが、雪穂ちゃんの部屋に来ると思う」

『えっ?』

ことり「……その時に海未ちゃん、雪穂ちゃんが持ってるスイッチを欲しがると思うから、絶対に渡さないでほしいの」

『……』

ことり「それでできるだけ、時間を稼いでほしいの。私は穂乃果ちゃんの部屋で、やることがあるから……」

『……そっか』

ことり「お願い……できる、かな?」

『あのさ……』

ことり「うん?」

『私があなたのことを、信用すると思う?』

ことり「……」

『お姉ちゃんに昨日、あんなことをしておいて……よくそんなことが言えたよね』

『あなたを信用するくらいなら、当然、海未ちゃんの方を信用するよ。ずっとお姉ちゃんを守ってくれてた、海未ちゃんを』

ことり「……だよね。じゃあ、一つだけ」

『……なに?』

ことり「スイッチ、渡してもいいけど、すぐには渡さないで……目の前に出して、海未ちゃんの反応を、よく見てみて」

ことり「いくら理性的でも、スイッチを目の前に焦らされたら、ほのキチであることを隠し切れないはずだから――」
 


516: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:03:51.06 ID:P/Rj4SMO.net

  
――――――――
――――――
――――
――


海未「……それでは」


バタン


ことり「……」チラッ

穂乃果「お寿司、お寿司ー♪」

ことり「……穂乃果ちゃん」

穂乃果「あっ、でもお寿司なんて頼んだことバレたら、お母さんに怒られるかな……。ま、バレなきゃいっか」

ことり「穂乃果ちゃん、聞いて?」

穂乃果「えっ、な、なに?」

ことり「私ね、元に戻ったんだ」

穂乃果「……へっ?」

ことり「今までのことりはずっと、なにか変だったでしょ? それは、『ほのキチ』っていう状態なんだけど……」

ことり「……それからさっき、戻ったの」

穂乃果「ほ、ほんと……?」

ことり「うん……」

穂乃果「じゃ、じゃあ、ことりちゃんはもう……」

ことり「……ごめんなさい」

穂乃果「えっ……」

ことり「ず、ずっと、穂乃果ちゃんに、へっ、変なことして……っ! ごめんなさいっ!」

穂乃果「……」

穂乃果「……ううん、いいよ」

ことり「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「よかったね、ことりちゃん。元に戻れたんだ……」

穂乃果「やっと、いつものことりちゃんに、戻ってくれたんだね……っ! よかった、よかったよぉ……っ!」

ことり「……ふふっ」


ことり(やっと、謝れた……)
 


518: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:07:18.41 ID:P/Rj4SMO.net

  
ことり「……それでね、もう一つ、大事なことを伝えなきゃいけないんだ」

穂乃果「えっ、なに?」

ことり「私の代わりに、ね……。今度は海未ちゃんが、おかしくなっちゃったんだ」

穂乃果「……えっ」

ことり「前の私みたいにね、なっちゃったんだ……。だから私、これから海未ちゃんを元に戻そうと――」

穂乃果「ま、まって、ことりちゃん」

ことり「えっ?」

穂乃果「海未ちゃんは、おかしくなんてなってないよ? だって今日も全然、普通だったもん」

ことり「……それはね」

穂乃果「昨日海未ちゃん、言ってたもん。海未ちゃんはね、えっと……匂いに、耐性があるんだって」

穂乃果「確かに倒れちゃっても、すぐに起きたし……。海未ちゃん、普段から鍛えてるから、そういうのに強いのかもねっ」

穂乃果「だから全然平気だって、心配いらないって、言ってたよっ」

ことり「違うの、穂乃果ちゃん。聞いて?」

穂乃果「な、なに?」

ことり「それは全部、嘘なの。海未ちゃんは自分がおかしくなったことを、隠そうとしてるの」

穂乃果「……」

ことり「今日一日普通に見えたのも、そういうことなんだよ。海未ちゃんは……まともな『フリ』をしてたんだ」

穂乃果「そんな……」
 


519: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:11:44.56 ID:P/Rj4SMO.net

 
穂乃果「それって私やみんなを、海未ちゃんが騙してた、ってこと?」

ことり「……そう、なるね」

穂乃果「あ、あはは……。考え過ぎだよ。海未ちゃんはそんなこと、しないもん……」

ことり「違うの。穂乃果ちゃん……海未ちゃんはもう、いつもの海未ちゃんじゃないの」

穂乃果「……っ!」

ことり「だから、その……。今は海未ちゃんいないから、今のうちに……」

ことり「……なるべく遠くへ逃げてくれるかな、穂乃果ちゃん」

穂乃果「っ! な、なんで……?」

ことり「私、これから海未ちゃんを元に戻すために、戦わなきゃいけないんだ……。でも……」

ことり「もしもの時に私、穂乃果ちゃんを守りきれる自信ない。私は海未ちゃんみたいに、強くないから……」

ことり「だから、お願い、穂乃果ちゃん……」

穂乃果「……」

穂乃果「や、やだ……」

ことり「えっ……」

穂乃果「どうして……? どうして私が海未ちゃんから、にげるの……?」

ことり「……だ、だから、それは」

穂乃果「海未ちゃんは……ずっと私を、守ってくれてたんだよ……?」

穂乃果「なのに、なのにどうして、そんな海未ちゃんから、逃げなきゃいけないの……っ!?」

ことり「穂乃果ちゃん……っ!」
 


520: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:18:00.98 ID:P/Rj4SMO.net

 
穂乃果「嘘だよ……。海未ちゃんが、おかしくなったなんて……」

ことり「嘘じゃない、よ……」

穂乃果「言ってたもんっ! 海未ちゃん、『大丈夫』って、言ってたもんっ!!」

ことり「っ! だ、だから、それは、嘘で……」

穂乃果「違うよっ! どうしてそんなこと、言うのっ!? 酷いよ……っ!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん……」

穂乃果「やめてよ、そんなこと言わないでよ、ことりちゃん……」

ことり「穂乃果ちゃん、どうして私のことは、信じてくれないの……?」

穂乃果「っ!!」

ことり「わ、私よりも、海未ちゃんの方が、好きだから……?」

穂乃果「……うぅ」

ことり「私のこと、親友だと思ってくれてるなら……お願い。信じて、穂乃果ちゃん……っ!」

穂乃果「うぅ、ぅ……っ!」

穂乃果「なん、で……」

ことり「えっ……?」

穂乃果「なんで……? ことりちゃんが元に戻って……。それでもう、終わりじゃないの……?」

穂乃果「私たち、仲直りできたんじゃないの……? またいつもの私たちに、戻れたんじゃないの……っ!?」

ことり「穂乃果ちゃん……?」

穂乃果「なんで、今度は海未ちゃんが……? もう、やだ、もうやだよぉ……っ!」
 


522: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:23:48.69 ID:P/Rj4SMO.net

  
ことり「お、落ち着いて、穂乃果ちゃん?」

穂乃果「また、なの? また私の、せいなの……?」

ことり「っ! えっ……」

穂乃果「私のせいで……っ! 今度は海未ちゃんまで、おかしくなっちゃったの……っ!?」

穂乃果「また、だ……っ! また私のせいで……っ!」

ことり「ち、違うよ、穂乃果ちゃんのせいじゃ……っ」

穂乃果「うああ、あぁあぁぁ……っ!」

穂乃果「もうやだ、もうやだぁ……っ! なんなの、私……っ!」

穂乃果「なんなの、私の匂いって……。もうやだよ、こんな体……っ!」

ことり「……っ!」

穂乃果「ごめん、ごめんなさい、海未ちゃん、ことりちゃん、みんなぁ……っ!!」

穂乃果「穂乃果がこんな体だから、こんな匂いだからぁっ! ごめんなさぁい……っ!!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃんは、なにも悪くないよっ! 悪いのは、あのスイッチで……っ!」

穂乃果「うあぁ、ああぁあぁぁっ!」

ことり「あ、あぅ、穂乃果ちゃぁん……」オロオロ

ことり(そっか、穂乃果ちゃん、ずっと無理して……。本当はこんなに、思い詰めてたんだ……)

ことり(ど、どうしよう、なんて言ってあげれば……)

ことり(分かんない、分かんないよぉ……っ! こんな時、海未ちゃんなら……)


523: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:25:43.21 ID:P/Rj4SMO.net

   
ことり「あ、あの、穂乃果ちゃん……っ」

穂乃果「うっ、うぅ、あぁあぁ……っ!」

ことり「だ、大丈夫だからっ! ことりが、必ず全部、元通りにして見せるからっ!」

穂乃果「うぅ、ことりちゃぁん……」

ことり「海未ちゃんも、私が戻して見せるからっ! だから、私を信じてっ!」

穂乃果「う、ぅ……」

ことり「……穂乃果ちゃん」

穂乃果「……」グスッ

ことり「ごめん、私、もういくね……」

穂乃果「……どうしたら、いいの?」

ことり「えっ?」

穂乃果「わ、わたし、どうしたら、いいの……? おしえてよ、ことりちゃん……」

ことり「……」

ことり「……大丈夫、何も心配しなくていいよ」ニコッ

穂乃果「……っ」

ことり「穂乃果ちゃんは、ただここで……。私と海未ちゃんが戻ってくるのを、待っててくれればいいから」

ことり「すぐに、終わらせるから……。そしたらまた、三人で、遊ぼう?」

穂乃果「……」

穂乃果「……うん」コクン

ことり「ありがとう、穂乃果ちゃん……」


バタン
 


525: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:45:04.08 ID:P/Rj4SMO.net

  
――――――――
――――――
――――
――


そして、現在……



トボトボ


ことり「……」

ことり(もうお外は、真っ暗だな……)


『どうすんのっ!? お姉ちゃん、連れてかれちゃったよっ!?』


ことり(……どうして)

ことり(どうして穂乃果ちゃんは海未ちゃんに、ついていったんだろう)

ことり(どうして私じゃなくて、海未ちゃんを、信じたんだろう……)

ことり(……当たり前か。穂乃果ちゃんは、海未ちゃんのことが好きなんだから……)

ことり(ううん。それ以前に、今までずっと味方だった海未ちゃんと、敵だった私とじゃ……どっちのことを信じるかなんて、分かりきったようなものだよね)


ことり「……はぁ」

ことり「二人とも、いなくなっちゃった……」


『あなたには……海未ちゃんと敵対する覚悟が、欠けてるんだっ!』


ことり「覚悟……。してなかったわけじゃ、ないのに」

ことり「どうして私は、こんなに、ダメなんだろ……」


ことり(いつも、そう……)

ことり(いつも私は、穂乃果ちゃんと海未ちゃんに、甘えてばかりで……)

ことり(二人に頼ってばかりで……。一人じゃなにも、できなくて……)

ことり(私は……)


526: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:52:27.26 ID:P/Rj4SMO.net

  
ことり「……」

ことり(だけどもうここには、二人はいない)

ことり(もう頼れる人は、どこにもいない……)


ことり「じゃあ私は一体、誰に頼ればいいの……?」


ことり(……違う)

ことり(誰かに頼ることばっかり、考えちゃダメだ……)

ことり(私だって、一人で――)

にこ「あんたバカなの?」

 



ことり「……えっ?」

にこ「私たちに頼ればいいじゃない」

ことり「にこちゃん……?」

絵里「そうよ。私たち、仲間でしょう?」

希「せやで、ことりちゃんっ」

ことり「絵里ちゃん、希ちゃん……」

真姫「こんなところにいたのね、まったく……」

凛「あ、いたっ! かよちん、こっちこっちっ!」

花陽「ことりちゃんっ! も、元に、戻ったんだねっ!?」

ことり「み、みんな……どうして……?」


527: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 22:54:36.24 ID:P/Rj4SMO.net

 
絵里「亜里抄の携帯を通して、雪穂ちゃんから私に連絡があったのよ」

ことり「ゆ、雪穂ちゃん……?」

絵里「事情は全部聞いたわ……。海未が、ほのキチになったのね?」

ことり「……っ!」

にこ「しかもスイッチを奪った上に、穂乃果も連れて逃げるなんて……」

真姫「状況は最悪ね。前から思ってたのよ、海未にスイッチを持たせたら、危険だって……」

真姫「……海未って、ほのキチになる前から、ほのキチみたいな子だったしね」

花陽「で、でも、まだそんなに遠くには行ってないはずだよっ!」

凛「みんなで協力して、海未ちゃんを探そうっ!」

希「せやね。まずは手分けして……」

ことり「み、みんな、あの……」

絵里「どうしたの?」

ことり「……い」

ことり「今まで、ごめんなさい……っ!」

にこ「……なによ、急に」

ことり「わ、私、ずっとみんなに、迷惑をかけて……っ! 謝るのは私の方だったのに、ずっと謝れなくてっ!」

花陽「ことりちゃん……」

ことり「本当に、ごめんなさいっ!」

凛「いいよいいよっ。そんなことより……」

希「……うん、元に戻れて本当に良かったなぁ、ことりちゃんっ」

ことり「……みんな」
 


528: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 23:04:06.34 ID:P/Rj4SMO.net

  
真姫「ことり。そういえば、あなたはどうやって戻れたの?」

絵里「そうね、参考までに聞いておきたいわ。多分、海未……いえ、『うみスメル』で戻ったのよね?」

希(その言い回し気に入っとるんかなぁ、えりち)

ことり「うん……これで、戻ったの」スッ

真姫「……? これ、ハンカチ?」

にこ「まさか、海未の……? ちょ、こんなもので、戻れるもんなの?」

ことり「これを練習の合間に、ずっと嗅いでたら……いつの間にか、戻れてたんだ」

絵里「『ずっと』、か……。ハンカチにそこまで海未の匂いが染みついてるとは思えないけど、嗅いでた時間が関係してるのかしら」

真姫「待って。私の考えだと、匂いはきっかけに過ぎなくて、強さや時間は、そこまで重要じゃない……。大事なのは、本人の気持ちなんじゃないかって、思うの」

花陽「本人の気持ち……?」

真姫「『元に戻りたい』という、意志よ。ことり、あなたやっぱり心の中では元に戻りたいって、思ってたのね?」

ことり「……」

ことり「……わかんない」

真姫「えっ?」

ことり「お、思い出せない……。元に戻る前の私が、どんなことを考えてたのか……」

絵里「思い出せない……?」

希「ほのキチの時の記憶がないの? 凛ちゃんみたいに……」
 


529: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 23:12:35.79 ID:P/Rj4SMO.net

  
凛「でもさっきことりちゃん、謝ってくれたにゃ。ってことは……少しくらいは、覚えてるんじゃないのかにゃ?」

ことり「……っ!」

真姫「そうね……。例えば凛は、ほのキチでいた時の記憶は全く、覚えてないのよね?」

凛「うん……。でももちろん、穂乃果ちゃんにはちゃんと謝ったよ。悪いことしてたのは、確かだと思うから……」

真姫「私の場合は、概ね覚えてるわ。どうしても思い出せないことが、一つだけあるけど……」

希「うーん。ことりちゃんは、どこまでほのキチの時のこと覚えてるん?」

ことり「ご、ごめん、何にも覚えてない……」

花陽「何にも……? 本当に?」

ことり「うん……。もう全然分かんない……」

絵里「あっ、そうだわ。さっき雪穂ちゃんから聞いたんだけど、あなた、海未の前でほのキチのフリをしていたんですってね?」

ことり「っ!?」

絵里「それで隙をついて、海未を元に戻そうとしたとか……」

にこ「へえーっ、すごいじゃないっ!」

ことり「あはは、でもそれは、失敗しちゃって……」

希「あれ? でもほのキチの時のことを覚えてなきゃ、フリなんてできんよね?」

ことり「……」

にこ「……ちょっと。ことり、どっちなのよ? あんた結局、覚えてるの?」

ことり「わ、ワタシ、ニホンゴ、ワカリマセーン……」

にこ「懐かしいごまかし方してんじゃないわよっ!」
 


530: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 23:22:22.70 ID:P/Rj4SMO.net

 
ことり「う、うーん……」

真姫「ことり、本当に覚えてないの? 穂乃果の匂いを、嗅いでたこととか……」

ことり「っ!」

凛「穂乃果ちゃんの汗を、舐めてたこととか……」

ことり「っ!!」

花陽「れ、練習着を、盗んだこととか……」

ことり「っ!?」

にこ「『はぁ~、久しぶりのレベル4っ!! 穂乃果ちゃぁん~っ////』って台詞とかも、ホントに覚えてないのね?」

ことり「あ、あぁ……」

絵里「どうやら覚えてなさそうね……。残念だわ。ことりの記憶が、海未を元に戻すための重要な手掛かりになるかと思ったのだけど……」

希「まあまあ、仕方ないやん。ことりちゃんだって思い出したくても、思い出せないんやし……」

ことり「思い出したくないんだよぉ……」

希「……へっ?」

ことり「う、わぁ、なんで、思い出させるのぉ……? みんな、酷いよぉ……っ!」

ことり「必死に忘れようと、してたのにぃ……っ! あ、あぁ、だめ、だめええ……っ!」

にこ「こ、ことり?」

ことり「うあぁあ、わ、私、なんてことを……。や、やめて、きえてぇっ! いやぁあぁっ」

ことり「あぁあぁ~っ! ちがっ、ちがうのぉっ! こんなの、ことりじゃないぃぃっ……!」ガクッ


真姫(頭抱えて、うずくまっちゃった……)

絵里(み、耳まで真っ赤だわ……。そういえば、そうだった……)

花陽(ずっとほのキチのことりちゃんばかり見てきたから、忘れてました……)

凛(ことりちゃんが……)


ことり「いや、いやぁぁっ! うぐ、きえて、きえてぇ……っ! うぐ、うぅ~……////」



((μ'sで一番、ピュアな女の子だってことを……)
  


533: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/09(金) 23:28:36.03 ID:P/Rj4SMO.net

  
にこ「あぁ……悪かったわ、ことり。顔上げなさいよ」ポン

ことり「うぅ、もうやだぁ……。しんじゃいたいぃ……」

希(ほのキチの時とのギャップがすごいわ……。何でこんな子が、あんな風になっちゃうんやろ)

絵里(きっとフリの方も、相当無理してやったのね……)

花陽(ある意味ことりちゃんが、一番のスイッチの被害者かも……)

ことり「う、ぅ……で、でも、ことりの記憶が、手掛かりになるなら……」

真姫「いいわよ、無理に思い出そうとしなくて……。それより早く、海未を追うわよ」

凛「うーん、でも、行先に心当たりはあるのかにゃ?」

絵里「一番可能性が高いのは、海未の家かしら……」

真姫「じゃあ海未の家には私とことり、凛の三人でいくわ」

にこ「いいけど……。元ほのキチで固まってるのは、理由があるの?」

真姫「もちろん。万が一の時のために、少しでもほのスメルに耐性があるメンバーの方がいいでしょ?」

花陽「なるほど。三人は一度、レベル4まで嗅いでるから……それだけ耐性も強いんだね」

絵里「じゃあ残りの4人は、手当たり次第秋葉原を捜索よ」

にこ「もう夜だし、早く見つけ出さないと、色々な意味で危ないわね」

真姫「それじゃ、何かあったら携帯で連絡を取り合いましょう」

凛「急ごうっ!」

ことり「うんっ……」


タッタッタッ……

 


557: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 21:02:58.05 ID:gJpQcdSQ.net

 
――――

繁華街


スタスタ



海未「大丈夫ですか、疲れてませんか、穂乃果?」

穂乃果「う、うん……。大丈夫だよ」

海未「靴をあなたの家に置きっぱなしにしてしまったので、私の家から持ってくることになってしまいましたが……歩き辛くはありませんか?」

穂乃果「ううん、平気だよ。海未ちゃんの靴、ピッタリだよ」

海未「それならよかったです」

海未(……さて)

スッ

海未(一度手放した、この『ほのスメル増幅スイッチ』……。その後色々な人の手に渡りましたが、最後にはやはり、私のところに戻ってきてくれました)

穂乃果「あっ、そのスイッチ……」

海未「はい、先ほど雪穂から、返してもらったんです。なので今はもう、私の物です」

穂乃果「そ、そうなんだ……」

カチッ

フワァ

穂乃果「あっ……」

海未「……」スンスン

海未(そう、確か穂乃果と歩くときはいつもこうして、レベル1を漂わせて楽しんでいたんでしたね……)

海未(以前の私は、どうかしていました。こんな素晴らしいスイッチを、手放そうとするなんて……)

穂乃果「あの……海未ちゃん」

海未「はい?」

穂乃果「今、その……。押した、よね……?」

海未「はい、押しましたが?」

穂乃果「えっと、じゃあいま私の匂い、つ、強くなってるの……?」

海未「ええ、とてもいい香りですよ。それがどうかしましたか?」

穂乃果「そ、そっか、うん、なんでもない……///」カァァ
 


559: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 21:16:14.21 ID:gJpQcdSQ.net

 
ガヤガヤ


穂乃果「……」

海未「どうかしましたか?」

穂乃果「あ、うん……。こうして夜に海未ちゃんと二人きりで、街を歩くことなんて、滅多にないなぁと思って」

海未「確かにそうですね」

穂乃果「……え、えっとさ。私たち今、どこに向かってるの?」

海未「それは……ごめんなさい、まだ内緒です」

穂乃果「……」

海未「ありがとうございます、穂乃果」

穂乃果「えっ?」

海未「私のことを、信じてくれて……。こうしてついてきてくれて、ありがとうございます」

穂乃果「そ、それは……海未ちゃんが手を、引いてくれるから……」

海未「じゃあ私が今この手を離したら……あなたは私から、離れていきますか?」

穂乃果「……」

穂乃果「分かんないよ……」

海未「……分かりませんか」

穂乃果「うん……もう何も、分かんない……」

穂乃果「なんで海未ちゃんについてきたのかも……なんで雪穂やことりちゃんの言うことを聞かなかったのかも、分かんない」

穂乃果「誰を信じたいのかも、これからどうしたいのかも、分かんない。穂乃果は自分のことが、分からないよ……」

海未「……」

穂乃果「ねえ、海未ちゃん……?」

海未「はい?」

穂乃果「今の海未ちゃんは……いつもの海未ちゃんじゃ、ないの……?」
 


560: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 21:18:05.88 ID:gJpQcdSQ.net

   
海未「……」

穂乃果「海未ちゃんも、なっちゃったの……? 私の匂いを嗅いで、その……」

穂乃果「前のことりちゃんみたいに、おかしくなっちゃったの……?」

海未「……今の私は、そんな風に見えますか? いつもの私には、見えませんか?」

穂乃果「ううん、おかしくなっちゃった風には、見えない……」

海未「そうでしょう?」

穂乃果「でも……いつもの海未ちゃんにも、見えないよ」

海未「……」

穂乃果「本当は、どっちなの……? ことりちゃんが言ってたことが、嘘なの? それとも……」

穂乃果「海未ちゃんが私を、騙してるの? 私はどっちを、信じればいいの……」

海未「……その答えを出すのは誰でもありません。どちらを信じるか、決めるのはあなた自身です」

穂乃果「……」

海未「ですから私の言葉を聞いて、よく考えてください」

穂乃果「えっ……?」

海未「今の私は、ほのキチです」

穂乃果「っ!! そう、なんだ。やっぱり、海未ちゃんも……」

穂乃果「海未ちゃんも、私のせいで……っ!」

海未「自分を責めないでください、穂乃果。あなたはなにも悪くないんですから」

穂乃果「でも……」

海未「それにあなたが思っているほど、ほのキチになるということは悪いことでもないんですよ」

穂乃果「えっ、そうなの……?」

海未「ええ。確かに以前は私も、ほのキチを否定していましたが……実際になってみて、分かりました」

海未「ほのキチになるというのは、こんなに幸せな気持ちになれるものなのだと……」

穂乃果「幸せ、なの? 海未ちゃんは、今……」

海未「ええ。ですからむしろ私は、あなたに感謝したいくらいなんです。あなたのおかげで私はほのキチになり、幸せになれました」

穂乃果「……」
 


563: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 21:30:54.55 ID:gJpQcdSQ.net

  
海未「ですから後は、あなた次第なんです」

穂乃果「私、次第……?」

海未「つまり、私がほのキチであるということを、知った上で……。どういった選択を、するのか」

海未「今の私を受け入れ、このままついてくるのか……。それとも、ことりたちのところへ戻るのか」

穂乃果「そ、そんな、そんなの……」

海未「ことりはきっと、私を今度こそ元に戻そうと考えています。もし彼女の目論見が成功すれば、今度こそ、全ては元通りです」

穂乃果「っ!」

海未「この手を離せば……。またいつもの日常が、戻ってくるかもしれない。それをあなたは、望みますか?」

穂乃果「わ、私は……」

海未「……それとも――」


「あっ、ちょっと待って、そこのお二人さんっ」


穂乃果「……えっ?」ビクッ

海未「……?」クル


男A「おっ……。ほ、ほら、見てみっ!?」

男B「うわ、やっべーっ! マジだ、超可愛いっ!」

男C「すげー、大当たりじゃん。やるなぁ」

男A「なっ、言ったろっ。やっぱ可愛い子は、匂いも違うんだよっ!」


穂乃果「えっ……な、なに、この人たち……?」

海未「……」
 


567: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 21:35:48.29 ID:gJpQcdSQ.net

 
男A「すれ違った時に、良い匂いがしたのよ。女の子の香りっていうかさぁ」

男B「よくやったっ! いやぁ君たち、可愛いねえ。二人でこれからどこ行くのー?」

男C「もしよかったらさぁ、お兄さんたちと一緒に、遊ばない?」

穂乃果「……え、あっ」

海未「……」

カチッ

フッ

海未(……迂闊でした。夜の街中でスイッチを使うなんて、こんな輩が現れることは、想定できたはずなのに……)


男A「あれ、ていうかその制服って確か、音ノ木坂じゃね?」

男B「あー、確か今流行りの、スクールアイドルで話題になってる学校だよな」

男C「でもこの子たちも、アイドル並に可愛いぜ。もしかして、そのスクールアイドルなんじゃね?」

男A「やべー、だったら超興奮するわーっ!」

穂乃果「ど、どうしよう、海未ちゃん……」

海未「……ごめんなさい、急いでるので、そこどいてもらえますか?」

男B「えっ、急いでんの? なんか予定ある感じ?」

男C「ちょっとだけでいいからさぁ、遊ぼうよー。いいでしょー?」

男A「そっちの彼女はどう? ちょっとくらいなら大丈夫っしょ?」

穂乃果「っ! あっ、そ、その……」ビクッ

ギュッ

海未(穂乃果……握る手が、強くなって……)

海未(こうなったのも私の責任。私が何とかしなくては……)

海未(しかし、男性が三人も相手では……せめて穂乃果だけでも、先に……)
 
 


568: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 21:39:50.48 ID:gJpQcdSQ.net

 
海未「……穂乃果、先に」

男B「あぁ、そんな怯えなくても大丈夫だよ。お兄さんたち、優しいから」

男C「手なんか繋いじゃって、仲良しなんだねえ、君たち」

男A「ていうかさ、さっきめっちゃ良い匂いしたんだけど。香水とかつけてるん?」

男B「ははっ、いつまで言ってんだよ。そんなに良かったのか」

男C「んー、もうちょい近づかねえと分かんねえなー」ズイッ

穂乃果「ひっ!?」ビクッ

男C「あ、ごめーん、別に怖がらせる気は」

海未「……いい加減にしてもらえます?」

男C「……あ?」

海未「それ以上しつこくするなら、大声出しますよ」

穂乃果「う、海未ちゃん……」

男C「へえー、君、うみちゃんって言うんだ。可愛い名前だねえー」

男B「うみちゃん、全然動じないんだね。すげー。俺、うみちゃん好きだわ」

男A「俺はそっちの彼女かなぁ。ねえ、君は何て名前なの?」

海未「……行きましょう、穂乃果」グイッ

穂乃果「あっ……」

男C「待てったらっ!」ガシッ!

穂乃果「っ!? いたっ……」


海未「……っ!!」


ザワッ……

 


569: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 21:42:50.28 ID:gJpQcdSQ.net

  
海未(……なんです、この感覚は?)


男C「いいだろー、ちょっとくらい。ねえ、えっと……ほのかちゃん?」ググッ

穂乃果「ひっ、ぁ……」

男A「あー、結局強引に連れてくパターンね」

男B「まあ仕方ないっしょ。こんな可愛い子、滅多に出会えないだろうし」


海未(全身の血が熱く煮えたぎるような、この感覚は……)


男C「ねえ、ほのかちゃん。君のお堅いお友達をさぁ、説得してやってよ」

穂乃果「……うぅ」

男C「ねえねえー……。あれ、うみちゃん、どうかした?」

ガシッ 

男C「なに、腕なんか掴んで。やめろってこと? やだよー」

男A「ははっ、こいつタチわりぃー」

ググッ

男C「……? ん……」


海未(心の奥底から湧き上がる、この黒い感情は……)


ググ、ギ……

男C「……っ!? あっ……!」

男B「……? おい、どうした?」


海未(体の内から溢れ出る、この力は、一体――)


ミシ……ッ!

 


571: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 21:46:50.62 ID:gJpQcdSQ.net

    
男C「っ!? あぁあぁぁっ!!?」

男A「おいっ!? どうしたっ!」


ミシ、ミシ……


男C「いてえっ! あ、あがっ、や、やめ、いぎゃあぁあぁっ!」

男B「おいおい、マジかよっ!? 女の子だぞっ!?」

男C「あぁあぁっ! わ、悪かった、いっ、は、離してくれぇっ!」

海未「汚い手で、二度と穂乃果に触らないでください」

男C「わ、分かったっ! 分かったからぁっ!」

パッ

男C「うっ、うぐ、ぅ~……」

男A「嘘だろ、おい……」

男B「そ、そんなに強えのかよ……?」

海未「あなた方も試してみますか?」

男A「っ! い、いやぁ、いいですっ!」

男B「すんませんっしたぁっ! おい、行くぞっ!」

男C「い、いてぇよぉ……、うええぇ……」

タッタッタッ……


海未「……」


グッ

海未(……なるほど。これが、『覚醒』というヤツですか)

海未(理解できました。これだけの力があれば……もはや、誰にも負ける気がしません)
 


572: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 21:55:33.38 ID:gJpQcdSQ.net

  
ザワザワ


「すげー、見た? 今の……」

「女の子が大人の男を、泣かせてたよ……」


海未「……穂乃果、大丈夫でしたか?」

穂乃果「……」

海未「穂乃果?」

穂乃果「えっ、あっ、うん……」

海未「……少し目立ちすぎてしまったようです。先を急ぎましょう」

穂乃果「う、うん……」

海未「手を……」スッ

穂乃果「……」

ギュッ

海未「……」

海未(穂乃果の手、震えています……)


スタスタ……


海未「……怖い思いをさせてしまって、ごめんなさい。私のせいです」

穂乃果「そ、そんな、海未ちゃんは、悪くないよ……」

海未「……穂乃果」

穂乃果「えっ……?」

海未「もしかして、ですけど……」

穂乃果「……」


『いてえっ! あ、あがっ、や、やめ、いぎゃあぁあぁっ!』

『おいおい、マジかよっ!? 女の子だぞっ!?』


海未「穂乃果が怖がっているのは……私、ですか?」
 


573: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:01:59.85 ID:gJpQcdSQ.net

  
ピタッ

海未「……? 穂乃果?」

穂乃果「怖いわけ、ないよ……」

海未「……えっ」

穂乃果「だって海未ちゃんは、私を守ってくれたんだよ……? そんな海未ちゃんを、怖がるわけないじゃん……」

海未「穂乃果……」

穂乃果「助けてくれてありがとう、海未ちゃん……。海未ちゃんが助けてくれなかったら、私、わたし……っ!」

穂乃果「怖かったよぉ……。グスッ、ありがとう、海未ちゃん……」

穂乃果「うっ、うぅ、ひぐっ、うわぁあぁん……っ!」

海未「……」

ダキッ

穂乃果「っ!! う、うみ、ちゃん……?」

海未「私についてきてください、穂乃果」

穂乃果「えっ……?」


海未「私があなたを、守り続けます」

海未「必ずあなたを、幸せにして見せます」


海未「ですから、どうか私を『選んで』ください、穂乃果……」

ギュゥ

穂乃果「……っ!」

穂乃果「あ、あぁ、ぁ……」
 


574: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:03:11.17 ID:gJpQcdSQ.net

 
フワァ……


穂乃果(海未ちゃんの、匂いだ……)

穂乃果(昔からいつも一緒にいて、何度も嗅いできた、匂い……)

穂乃果(でも、どうして……? どうして今は、こんなに……)

トクン

穂乃果「……///」

海未「……穂乃果」

穂乃果「うみ、ちゃぁん……」

海未「はい……?」

穂乃果「わ、わたし、海未ちゃんに、ついてく……」

海未「ほんとですか?」

穂乃果「うん……」

海未「ありがとうございます。穂乃果……」

ギュゥ……

穂乃果「あ、ぅ……」

海未「……穂乃果」

穂乃果「う、ん……?」

海未「大好きですよ」

穂乃果「――っ!!」
 


575: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:04:21.41 ID:gJpQcdSQ.net

 
海未「大好きです、穂乃果……」

穂乃果「わ、ぁ、うあぁ~……////」シュー

海未「穂乃果……?」

穂乃果「わ、ひゃひ、もぉ……」

海未「えっ、はい?」

穂乃果「っ! わっ、私、も……」

海未「……そうですか。嬉しいです」ニコッ

穂乃果「……ぁ、ぅ」

穂乃果(か、顔が、熱いよぉ……//)


ドキ ドキ


穂乃果(海未ちゃん……)

穂乃果(いつも私を守ってくれる、海未ちゃん……)

穂乃果(私……一体いつの間に、こんなに……)

穂乃果(海未ちゃんのこと、好きになっちゃってたんだろ……)


576: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:07:45.42 ID:gJpQcdSQ.net

 
スタスタ……


海未「……」

穂乃果「……//」ドキドキ

穂乃果(夜の街に、海未ちゃんと二人きり……)

穂乃果(なんか、デートしてるみたい……)

海未「あっ……。穂乃果、お腹すいたでしょう?」

穂乃果「えっ?」



モグモグ……

海未「この辺にもクレープ屋さん、あったんですね」

穂乃果「う、うん……。あの、ありがとう。奢ってもらっちゃって……」

海未「いいですよ、このくらい。おいしいですね、クレープ」

穂乃果「うん……」



スタスタ……

穂乃果「海未ちゃん……」

海未「はい?」

穂乃果「海未ちゃんは今、幸せなんだよね……?」

海未「はい、幸せですよ」

穂乃果「私も、幸せ……」

海未「……ほんとですか?」

穂乃果「うん……すっごく……///」

ギュッ

穂乃果「海未ちゃん……」

海未「……穂乃果」


スタスタ……
 


578: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:33:31.52 ID:gJpQcdSQ.net

 
――――

廃墟


ギィ……


海未「こっちです、穂乃果」

穂乃果「……ここ、なに?」

海未「私たちだけの、秘密の場所です」

穂乃果「ひみつの……」

海未「とりあえず、座りましょうか」

穂乃果「あれ……? どうしてこんなところに、クッションが……」

海未「昨日のうちに、準備しておいたのです。ふぅ……」

海未「……ライトも一応用意しておいたのですが、今夜は月が出ているので、十分明るいですね」

穂乃果「……」

海未「……ここなら、誰も来ることはありません。二人きりです」

穂乃果「ふ、二人きり……」

海未「ええ……。このスイッチを使って、思う存分、あなたの匂いを嗅げます」スッ

穂乃果「海未ちゃんは……わ、私の匂い、嗅ぎたいの?」

海未「はい。特に『レベル5』は、私もまだ嗅いだことないので……。非常に、楽しみです」

穂乃果「レベル、5……?」

海未「このスイッチの、最大レベルです。まだ誰も嗅いだことのない、最も強いあなたの匂いです」

穂乃果「そ、そう、なんだ……。海未ちゃんは、そこまで、私の匂いを……?」

海未「はい。私はあなたの匂いが、大好きなんです」

穂乃果「っ! あ、ありがとう。うれしい……///」
 


579: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:34:39.22 ID:gJpQcdSQ.net

  
海未「……穂乃果」

穂乃果「海未ちゃん……私なんだか、眠たくなってきちゃった……」

海未「歩き疲れてしまいましたか。昨日のうちにこの辺は軽く掃除しておいたので、寝ころんでも大丈夫だと思いますが……」

穂乃果「……じゃあ、ちょっとだけ、寝ちゃおっかな」ゴロン

海未「はい……」

穂乃果「海未ちゃん……。私が眠ってる間、その……」

穂乃果「……自由に、してくれていいから」

海未「ふふっ。ありがとうございます」

穂乃果「おやすみ、海未ちゃん……」

海未「おやすみなさい……」

海未「……」


海未(……昨日穂乃果の家から帰ったあとに、探し回って、見つけたこの場所……)

海未(本当は穂乃果の部屋で済ませるのが、最高だったのですが……。万が一計画が失敗した時にと、逃げ場所を用意しておいてよかったです)

海未(しかし雪穂ならともかく、ことりに邪魔されるとは……まさか彼女が元に戻るとは、想定外でした)

海未(まあ、今のことりでは……何の手がかりもなくこの場所に辿り着くことは、不可能でしょうが)

海未(誰にも邪魔されない、この場所で……私は、今夜……)


カチ、カチ、カチ、カチ――


ブワァッ!


海未「……っ!! ふふっ……」

海未(レベル4……っ! 頭がおかしくなってしまいそうな、この刺激的な匂い……っ!)

海未(しかし、レベル5をなるべく長く嗅ぎ続けるためには……。このレベル4にすら耐えられるほどの、強い『耐性』をつけておく必要がある……っ!)

海未(まずは、30分……いえ、1時間は、このままで……)

海未(そして、1時間後には……いよいよ、レベル5です……っ!)
 


580: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:37:32.24 ID:gJpQcdSQ.net

  
――――――


花陽「はぁ、はぁ……」

絵里「そっちはどうだった……?」

凛「ううん、ダメにゃ……。全然見つからないよ……」

にこ「くっ……。あいつら一体、どこいったのよ……っ!」

希「真姫ちゃんたち、海未ちゃんの家には行ってみたん?」

真姫「一度、家には戻ってたみたいだけど……。すぐにまた、どこかへ行ってしまったみたいなのよね」

希「うぅーん……」

にこ「どうすんのよ……。何の手がかりもないんじゃ、キリがないわよ」

真姫「……スイッチを使って穂乃果の匂いを楽しむのが目的なら、二人きりになれる個室とかに入ってる可能性が高いわよね」

にこ「なにそれ……。カラオケとか、漫画喫茶とか?」

希「もしかしたらホテルって可能性も……」

花陽「ほ、ホテル……//」

真姫「分かんないけど、とにかくそういう場所を探してくしかないでしょ」

絵里「聞き込みも重要ね。何かと目立つ二人だし、もしかしたら見た人もいるかも……」

ことり「……」

絵里「ことり?」

ことり「……えっ?」

絵里「あなたも、何か手がかりになりそうなことを思い出せたら、言ってね?」

にこ「そうね。ほのキチの時の自分を思い出したくない気持ちは分かるけど、でも……」

ことり「違うの……。ずっと、思い出そうとしてるの……」

にこ「えっ?」

ことり「だけど、思い出せないの……。ほのキチの時に見たこととか、聞いたこととかは、思い出せるんだけど……」

ことり「ほのキチだった『ことり自身』が、何を考えていたか……。そのことだけは、どうしても思い出せないの……っ!」

にこ「ど、どういうこと……?」

希「……」
 


582: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:40:03.61 ID:gJpQcdSQ.net

  
希「そういえば、ことりちゃん……。ほのキチだった時のことで、思い出せないこともあるかもやけど……」

希「『ほのキチから戻ったことで、思い出した』こともあるんやない?」

ことり「……っ!」

絵里「そういえば、海未が言ってたわね。あなたほのキチの時に、『何か大切なことを忘れてる気がする』って、言ってたらしいじゃない」

にこ「あぁ、言ってたっけ、そんなこと。なんか、思い出せたの?」

ことり「……うん、一応」

にこ「へえ……?」

ことり「でもね、思い出してみたら、全然たいしたことじゃなかったんだ」

花陽「そ、そうなの?」

ことり「うん……。少なくとも、海未ちゃんを探す手掛かりには、ならないかな……」

絵里「そう……」

ことり「ごめんね、役に立たなくて……」

真姫「謝ることはないわよ。それじゃ、また手分けして探しましょう」

にこ「ま、そうするしかないわね」

凛「凛、頑張るよーっ!」

ことり「……」


ことり(分からない……。ほのキチだったことりが、何を考えてたのか……)

ことり(なんで……? なんで何も、思い出せないの……?)

ことり(どうしてことりは、こんなにダメなの……)


ヴーヴー
 


583: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:42:10.28 ID:gJpQcdSQ.net

  
ことり「……?」

ことり(メール……? 誰から――)

ことり「っ!!」


にこ「私たちは、こっちを探すわ」

絵里「それじゃ、私たちはこっちを――」

ことり「待ってっ!」

にこ「っ! なによ……?」

希「どうしたん、ことりちゃん?」

ことり「み、みんな、ありがとう……」

凛「えっ……? な、なに?」

ことり「手伝ってくれて、ありがとう……。ここからは、私一人でいいから……」

花陽「えっ!?」

真姫「な、なに言ってるのよ、あんた一人じゃ……」

ことり「わ、私なら、大丈夫。この中で一番ほのスメルを嗅いできたのは、私だし……。きっと私が一番、耐性があると思うから」

真姫「違うわよっ! あんた一人で、どうやって海未を見つけ出すのかって聞いてるのっ!」

ことり「……場所、分かったの」

真姫「……は?」

にこ「分かった、って……」

花陽「ほ、本当、なの……?」

ことり「うん。だからここからはもう、ことり一人で大丈夫……。後は私に、任せて」

ことり「私が必ず海未ちゃんを、元に戻して見せるから」
 


584: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:45:08.27 ID:gJpQcdSQ.net

 
絵里「でも、一人でなんて……。確かに海未はスイッチを持ってるし、みんなで乗り込むのは、危険かもしれないけど……」

凛「じゃあせめて、凛と真姫ちゃんがついてくよ。それなら……」

ことり「ううん、二人だって、もう一度レベル4を嗅いだら、ほのキチにならないって保証はないでしょ?」

にこ「それを言ったら、あんただって……」

真姫「そうよ。それに、次に海未がスイッチを押したとき、それがレベル4とは限らない」

真姫「いえ、間違いなく、彼女は今度こそ『レベル5』を押す気だわ。そうしたら、流石にあんたでも無理よ……」

ことり「万が一そうなっても、ほのキチになるのはことり一人だけで済むし……。被害は、少なくて済むよ」

にこ「ま、まあ、そうだけど……」

にこ(正直、ほのキチになった時に一番厄介なのが、ことりなのよね……)

絵里(一人だけで済むとは言っても、ことりだけは絶対に二度とほのキチになってほしくないんだけど……でも……)

絵里「……あなたがそこまで言うなら、あなたに任せるわ、ことり」

にこ「そうね……。やっぱり海未を元に戻せるのは、あんただけだろうし」

希「でも、危なくなったらすぐ、連絡してな……? ウチら、すぐ駆けつけるから」

花陽「うんっ。ことりちゃん、頑張って……っ!」

凛「海未ちゃんを元に戻して、今度こそμ's復活にゃーっ!」

ことり「みんな、ありがとう……」

真姫「はぁ、仕方ないわね……。それじゃ、私たちは帰るけど……」

真姫「……その前に、あんたに伝えておくわ」

ことり「えっ……?」

真姫「『ほのキチから元に戻る方法』。その、私が導き出した結論を――」


585: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:49:40.32 ID:gJpQcdSQ.net

  
――――――


タッタッタッ……


ことり「はぁ、はぁ……っ! 海未ちゃん……っ!」

ことり(急がなきゃ……っ!)

ことり(レベル5……。それを嗅いじゃったら、海未ちゃんはもう、元には戻れないかもしれない……っ!)

ことり(それだけは、絶対ダメ……っ! 穂乃果ちゃんだって、そんなの望んでないっ!)

ことり(私が……私が二人を、助けるんだ……っ!)

ことり(いつも二人に助けられてきた、私が……っ! 今度は、私がっ!)


「それにしてもさっきの、ほんとにすごかったよねー」

「ねー。あんな可愛い子が、男の人を片手でやっつけちゃうなんてさー」

「かっこよかったなぁー。あんな人に守られたら、絶対好きになっちゃうよー」

「あー、分かる。まあ、女の子だけどね……」


ことり「はぁ……。はぁ……」


「でもなんかさ、遠くだからよく見えなかったけど……。誰かに似てなかった?」

「えっ……? あー、そういえば……」

「そうだ、えーっと、μ'sの……。海未ちゃん?」

「そうそう、そんで隣にいたのが、穂乃果ちゃん――」


ことり「ま、待ってっ!?」

「「えっ?」」
  


586: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/11(日) 22:52:17.47 ID:gJpQcdSQ.net

  
女A「あっ……」

女B「あれ……? μ'sの……こ、ことりちゃん?」

女A「わぁ、本物だぁー。可愛いーっ!」

ことり「あ、あはは、ありがとうございますっ。それで、えっと……」

ことり「い、今の話……ほんと、ですか?」

女B「えっ? う、うん……」

女A「でも、ほんとに海未ちゃんたちだったかどうかは……」

ことり「二人はどっちへっ!?」

女B「えっ……。あ、あっち、かな……」

ことり「ありがとうございますっ!」


タッタッタッ……


女A「どうしたんだろ?」

女B「さぁ……」



ことり(そっか……海未ちゃんは……)

ことり(ほのキチになった海未ちゃんは、今でもちゃんと穂乃果ちゃんのことを、守ってあげてるんだね……)

ことり(すごいな……。やっぱり海未ちゃんは、すごいよ……。いつだって海未ちゃんは、強くて、かっこよくて……)

ことり(優しい……)


ことり(ほんとに、なんで忘れちゃってたんだろ……)

ことり(こんな、当たり前なこと……。私にとっては当たり前すぎて、全然たいしたことじゃないけれど……)

ことり(でも絶対に、忘れちゃいけない気持ちだった……)



ことり(そうだ……。私は昔からずっと、海未ちゃんのことが、好きだったんだ――)
  


649: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 21:39:01.19 ID:rkpA3g6l.net

『そ、そのだうみです……よ、よろしくおねがいしますっ』

『あっ……。みなみことりですっ。よろしくねっ、えっと……』


『……う、うみちゃんっ』


私の一番の親友の穂乃果ちゃんが、かくれんぼの最中に連れてきた女の子……それが、海未ちゃん。

最初は仲良くなれるか、不安だった。ことりはいつも積極的な穂乃果ちゃんとは、違うから……。

海未ちゃんはとっても恥ずかしがり屋さんで、いつも下を向いてるような女の子だった。

……不安だった。正直、すごく不安だった。

だけど――


『うえぇえぇん……ふえぇえぇん……』

『あ、あの、こと……み、みなみさんっ、だいじょうぶですかっ?」

『うわぁああぁんっ! あああぁあん……っ!』

『こ、ころんじゃったんですか……? え、えっと、あの……』

『あぁぁあぁん……いたいよぉ……』

『……こ、このハンカチ、つかってくださいっ。なかないで、みなみさん……っ』


それ以上に海未ちゃんは、優しい女の子だった。

いつの間にか、私と海未ちゃんは、仲良しになってた。

いつの間にか、私と穂乃果ちゃんと海未ちゃんの、三人でいることが多くなってた。

穂乃果ちゃんと、海未ちゃん……二人といると、なんだかすごく安心するようになってた。

一番の親友で、ずっと仲良しで、大好きだった穂乃果ちゃんと……。

……海未ちゃんと。

月日が流れて……いつの間にか、海未ちゃんは下を向かなくなってた。

いつの間にか、海未ちゃんは強くてかっこよくて、凛々しい女の子になってた。

いつの間にか、海未ちゃんはみんなの憧れになってた。

いつの間にか、私は。


海未ちゃんのことばかり、見るようになってた。


650: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 21:42:55.84 ID:rkpA3g6l.net

  
『海未ちゃんが好きなのぉっ!!』


そして私は、一番大好きな親友の、そんな気持ちを知ってしまった。

ううん、本当はずっと前から、分かってたんだ。

いつかきっと穂乃果ちゃんは、海未ちゃんのことを好きになるって……。


そして海未ちゃんの方も、そんな穂乃果ちゃんのことが、昔からずっと好きなんだってことも。


私は海未ちゃんのことばかり見てたけど……海未ちゃんはずっと、穂乃果ちゃんのことばかり見てたんだってことも。


気づいてた。

だから……私は決めたんだ。


ことり(もしも二人が、『恋』をすることになったら……。私はそれを、全力で応援するって)

ことり(私の初めての友達と、私が初めて恋をした女の子……)

ことり(私の大好きな二人が、幸せになれるなら……。ことりもそれだけで、幸せだから――)



ことり「だから、止めるんだ……。こんな、間違ったこと……」

ことり「二人に幸せに、なってほしいから……。海未ちゃんを、元に戻すんだ」

ことり「全部元通りに、なって……。海未ちゃんと穂乃果ちゃんが、一緒になれたら……」

ことり「その時やっと、私は……」


やっと私は、自分の恋を諦められるんだ。
 


651: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 21:48:36.81 ID:rkpA3g6l.net

   
ことり「はぁ、はぁ……」

ことり「……っ!!」


タッタッタッ……


ことり(だからこの気持ちを私が海未ちゃんに伝えることは、きっとない……)

ことり(でも、それでいいんだ……。私は二人の恋を応援するって、決めたんだから……)


ことり(……なんてそんなの、ただの言い訳だ)

ことり(本当はただ私に、海未ちゃんに告白する勇気が、ないだけ……)

ことり(……)

ことり(……でも)

ことり(もしもほのキチの時の、私なら……)

ことり(あの時くらい、積極的なことりになれたら……)


『はぁはぁ、穂乃果ちゃん、すごいよ、いい匂いだよぉ……//』

『気づいたんだ……っ! 私はずっと、穂乃果ちゃんのことが、大好きだったんだっ! ってっ!』

『ぺろっぺろっ、おいしぃっ! 穂乃果ちゃんの汗、おいしいぃよぉっ!』


ことり「っ!! だ、だめだめっ!////」ブンブン

ことり「な、なんでこんなこと考えてるの……。あ、あんなの、ことりじゃないもん……っ!」

ことり「ことりは二度とほのキチになんか、ならないんだから……っ! はぁ、はぁ……っ!」



ことり「はぁっ……。あれ……?」

ピタッ

ことり「……」

ことり「このメール、まだ、続きが――」
 


652: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 21:53:28.38 ID:rkpA3g6l.net

    
――――――


穂乃果「……」スゥ

海未「……」

スンスン

海未(どれくらい時間が経ったのでしょう……。レベル4にも、もうだいぶ慣れてきました)

海未(……どれ、少し近づいてみましょう)

海未「……」ズイッ

穂乃果「……」

海未「……穂乃果」

スゥゥゥ

海未「……っ」

海未(なんて、すごい……。至近距離での、レベル4……)

海未(……)

ポチポチ

穂乃果「ん、ぅ……」

海未(シャツのボタンを、少し開けて……首元に、鼻をくっつけて……)

スン……

海未「……っ!!」

海未(ゼロ距離での、レベル4……。恐らくことりですらまだ、試したことのない匂い……)

海未(気絶しそうなほどの、刺激的な匂い……でも……)

海未(今の私なら、耐えられる……っ!)
 


653: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 21:55:43.08 ID:rkpA3g6l.net

  
海未(あぁ、穂乃果……あなたは……)

海未(あなたはどうして、こんなにも良い匂いがするのですか?)

海未(昔から、ずっとそうです……。私は子供の頃からずっと、あなたの匂いに惑わされてきました)

海未(ほのキチになる前から……。スイッチのことなど、知る前から――)

海未(私はいつだって、あなたの匂いを嗅いで、満たされてきました……)

スッ

海未(……もう、十分でしょう)

海未(準備は、整いました……。あとはもう一度、もう一度だけ、スイッチを押すだけ……)

海未(それだけで……私はまだ誰も見たことのない、『新世界』へと辿り着けるのです)

海未(ほのスメル、レベル5……。正真正銘、最上級の、穂乃果の匂い……)

海未(……もはやこの世界に、何の未練もありません)

海未(一緒に旅立ちましょう、穂乃果……)


ザッ


海未「……」


海未「……まさかここまで来るとは、思いませんでしたよ」






海未「ことり……」

ことり「……海未ちゃん」
 


657: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 22:03:43.09 ID:rkpA3g6l.net

  
海未「よく分かりましたね、ここが……」

ことり「……うん」

海未「どうして、ここだと……?」

ことり「『メール』で、教えてもらったの」

海未「メール……? 誰からのですか?」

ことり「それは、ごめん……。言えない、かな」

海未(……どういうことですか? 昨日たまたま見つけたばかりのこの場所を、特定できる人物などいるはずが……)

ことり「はぁ、はぁ……」

海未「……お疲れのようですね。随分、探し回ったのではないですか?」

ことり「そ、そう、だね……。はぁ……」

海未「お一人ですか? てっきり凛や真姫ぐらいは、連れて来るかと思いましたが」

ことり「みんなには途中まで協力してもらってたけど……。今は、一人だよ……」

海未「……まあ、いいでしょう。それで、なにかご用ですか?」

ことり「海未ちゃんと、穂乃果ちゃんを……迎えに来たの」

海未「迎え……ですって?」

ことり「うん……。一緒に、帰ろう? こんな暗い場所に、いつまでもいないで」

ことり「みんな、心配してるよ? だから、帰ろうよ、海未ちゃん……」

海未「お断りします」

ことり「っ! う、海未ちゃん……」

海未「帰るなら、お一人でどうぞ。私はまだしばらく、ここにいます」

ことり「……そんな」

海未「それとも……」

海未「……やはりあなたも体験していきます? 『レベル5』を……」スッ

ことり「っ!? ま、まってっ!」
 


658: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 22:10:31.53 ID:rkpA3g6l.net

 
海未「……『まって』?」

ことり「はぁ、はぁ……っ!」

海未「いいでしょう、待ちますよ。別に私は、そこまで急いでるわけではありませんので」

海未「でも……。あなたは、そうじゃないでしょう?」

ことり「はぁ……」

海未「今この場所には、レベル4が充満している……。あなたもそれを分かってるからこそ、そうやって、『対策』をしているのでしょうが」

ことり「……っ」グッ

海未「息を止めつつ、私のハンカチで、鼻を覆うことで……。だけど、分かっているはずです」

海未「そんな対策が、いつまでも続けられるわけではないことくらい……。長時間この場所にいれば、いずれあなたはまた、レベル4を嗅ぐことになる」

海未「そうしたら再びあなたは、ほのスメルを貪る、ほのキチとなるのです」

ことり「……な、ならないもん」

海未「はい?」

ことり「も、もう私は、ほのキチになんて……ならないもん」

海未「ほう。では、どうするんですか? ここにいる限り、あなたがほのキチになる危険性は常に付きまといますよ?」

海未「それとも……力づくで私から、スイッチを奪ってみますか?」

ことり「そ、そんなこと、できっこないよ……」

海未「分かってるじゃないですか。今のあなたでは、覚醒した私に勝つことなど不可能です」

海未「と、なると……。もう諦めるしかないように、思えますが」

ことり「ううん、そんなことないよ……。まだ方法は、あるもん。この部屋からほのスメルを、一瞬で消す方法が……」

海未「……それは、一体どういった方法ですか?」

ことり「簡単だよ……。海未ちゃんが元に戻ればいいんだ。そしたら戻った海未ちゃんが、スイッチのレベルをリセットしてくれるもん……」

海未「……」
 


659: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 22:15:25.75 ID:rkpA3g6l.net

   
海未「ふふっ」

海未「ふふっ、ふっ、ふふふっ……っ!」

海未「そうですよね……。あなたの目的は最初から、私を元に戻すことですものね」

ことり「……」

海未「ですが……残念ながら現時点において、私には元に戻りたいなどという意志は一切ございません」

海未「そんな私を、あなたは本当に、元に戻すことができるんですか?」

ことり「うん……やって、みるよ」

海未「……ほう」

ことり「だから、海未ちゃん。私と、『勝負』してくれないかな?」

海未「勝負……?」

ことり「うん。これから私が海未ちゃんを、元に戻して見せるから……」

ことり「……海未ちゃんが元に戻ったら、私の勝ち」

海未「……」

ことり「それまでに私がギブアップするか、レベル4に耐えられなくて、ほのキチになっちゃったら……海未ちゃんの、勝ち」

ことり「それと勝負中に、スイッチを使うのは、ナシ……。っていうルールで、どうかな」

海未「……その勝負を受けることによって、私にどんなメリットがあるのですか?」

ことり「特に、ないけど……」

海未「ならばどうしてそんな勝負を、私が受けると思うのですか?」

ことり「えっ。受けて、くれないの……?」

海未「……」
 


660: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 22:21:42.35 ID:rkpA3g6l.net

   
海未「はぁ……」

海未「……いいでしょう。今回は、あなたの思惑に嵌ってあげます」

海未「その勝負、受けて立ちますよ。戻せるものなら戻してみてください、ことり」

ことり「ありがとう……」

ことり(やっぱりだ……。こうやって勝負形式にしちゃえば、海未ちゃんの性格なら絶対に断らない……)

ことり(や、やった。これでレベル5を少しだけ、先延ばしにできた……)

ことり(このチャンスを逃しちゃ、だめだ……。これが海未ちゃんを元に戻す、最後の機会かもしれない……。頑張らなきゃ……っ!)

ことり「ぷはっ、はぁ、はぁ……」スゥゥ

海未(……息継ぎのタイミングで、私のハンカチを思い切り吸って、ほのスメルをごまかしているようですね)

海未(今はそれで何とかなっているようですが……時間の問題でしょう)


ことり「じゃ、じゃあ、勝負開始ってことで……」

海未「はい。どんな方法を使っても、構いません。私を元に戻してみてください」

ことり「……」

スタスタ……


穂乃果「……」スヤスヤ


ことり(穂乃果ちゃん……待っててね。すぐに、終わらせるから……)

ことり(そうしたら、三人で……。また仲良く一緒に、帰ろうね)


ザッ


海未「……」

ことり「じゃあ、いくよ……?」

海未「ええ、いつでもどうぞ」

ことり「……」


ガバッ
 


662: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 22:26:50.75 ID:rkpA3g6l.net

    
――――――――
――――――
――――
――



真姫「まず、ほのキチから元に戻る条件として、今分かっていることは二つ」

真姫「一つは、穂乃果以外の、誰かの『匂い』を嗅ぐこと。これは多分、必須条件ね」

絵里「でも、誰の匂いでもいいわけではないわよね?」

凛「きっとそうだよ。だって凛は、大好きなかよちんの匂いだったからこそ、戻れたんだもんっ」

花陽「り、凛ちゃん……//」

真姫「でもね。実は凛はほのキチになった直後、病院で起きた時に、一度花陽の匂いを嗅いでいるのよ」

凛「えっ、そうなの?」

真姫「ええ。でもその時は、『匂いが混ざっちゃうから』とか意味わかんないこと言って、花陽を追い出したのよね」

凛「ええっ!? うそだっ、凛はかよちんにそんなことしないよっ!」

花陽「……」ズーン

凛「わぁっ! 違うの、かよちんっ! これは何かの間違いにゃあっ!」

ことり「つまり、その時は大好きな花陽ちゃんの匂いでも、凛ちゃんは戻らなかったってこと……?」

希「そういえば、真姫ちゃんもにこっちの匂いじゃ、戻らなかったんよね。真姫ちゃんはにこっちのこと、大好きやのに」

真姫「は、はぁっ!? べ、別に好きなんかじゃっ」

にこ「真姫が戻らなかった理由なんて、分かりきってるわよ」

真姫「えっ?」

にこ「にこが、く、臭かったからでしょ……。ふん……」

真姫「そんなわけないでしょっ! にこちゃんは、ちゃんと良い匂いだったわよっ!」

にこ「えっ……? そ、そうなの?」

真姫「そうよ。あ、当たり前でしょ……」

にこ「……//」

希(にこっちって、ほんまに照れてる時は黙るんやな)

絵里(ていうか、よっぽど気にしてたのね……)
 


663: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 22:44:09.80 ID:rkpA3g6l.net

  
真姫「ちなみに私の場合は誰が好きとかないから、きっとμ'sの誰の匂いでも良かったのよ。希でもにこちゃんでも、他の誰でもね」

希(誰が好きっていうか、μ'sの全員のことが好きやからな、真姫ちゃんは……)

ことり「え、えっと、つまりただ匂いを嗅ぐだけじゃ、ダメだってことだよね……?」

真姫「そう。凛は花陽の匂いで戻れたはずなのに、私はにこちゃんの匂いで戻れたはずなのに、その時は戻れなかった」

真姫「そこで……。ほのキチに戻るための、『もう一つの条件』。問題は、こっちよ」

希「もう一つの条件って?」

真姫「私の推測だけど……。それは、『気持ちの変化』よ」

にこ「よく分かんないんわね……」

真姫「本当は『元に戻りたい』って意志が重要だと思うんだけど。でも基本ほのキチは、自分から元に戻りたいなんて思わないのよね」

絵里「今までのほのキチを見てると、そうね。特に海未は、手強そうだわ」

真姫「だから、まずは……なんでもいい。とにかく『気持ちを変化させること』が、大事なのよ」

真姫「ほのキチは、基本的に穂乃果と、ほのスメルのことしか考えてない。そんなどうしようもないほのキチを、正気に戻す方法は――」

真姫「まず他の誰かの匂いで、ほのスメルから気を逸らすこと。その隙に、ほのスメルに固執する強固な気持ちを、柔らかく溶かして、正常な形に『変化』させること」

真姫「これが私の考える、『ほのキチから元に戻るプロセス』よ」

ことり「……」
 


664: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 22:44:53.80 ID:rkpA3g6l.net

       
真姫「ことり。まずはあなたの匂いを、海未に嗅いでもらうの。抱きついたりできれば、確実だけど……。もしかしたら、近づくだけでもいいかもしれない」

真姫「大事なのは、その後……。海未の気持ちを、どう揺さぶるか」

真姫「私や凛のケースから考えると、彼女の気持ちを揺さぶる、確かな武器になり得るのは――」


『目を、覚まして……っ! ひぐっ……。思い出してっ!』

『私のこと思い出してよぉっ! 凛ちゃぁんっ!』


『ウチを信じてくれて、ありがとう。μ'sのことを想ってくれて、ありがとう……』

『計画は、失敗しちゃったけど……。ウチ、真姫ちゃんに相談して、本当によかったよ……っ!』



真姫「――あんたの、『言葉』よ」
   


665: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/15(木) 22:45:41.85 ID:rkpA3g6l.net

   
――――――――
――――――
――――
――


ギュゥゥ


海未「……」


ことり(よ、よし、とりあえず海未ちゃんに、抱きつけた……。これなら海未ちゃんの匂いを私も嗅げるし、ほのスメルの対策にもなる……)

ことり(とにかく海未ちゃんを元に戻すためには、私の匂いを嗅いでもらわなきゃ。真姫ちゃんも、これは必須条件だって言ってたし)

ことり(でもこれだけじゃ多分、ダメなんだ。問題は、ここからどうするか……。なんだけど)

ことり(……『言葉』、か――)


グイッ


ことり「――へっ?」


グルン

ドタァンッ!


ことり「っ!!?」

海未「……」

ことり「いっっ――」


ことり「――ったぁあぁいっ!!?」

海未「……ごめんなさい。投げる時に、力が入り過ぎてしまったみたいです」

ことり「ぁあ……っ! いた、ぁい……」

ことり「ど、どう、してぇ……ひどいよ、うみちゃぁん……」

海未「酷いって……。私は元に戻りたくなんてないのですから、抵抗するのは当然でしょう」

ことり「っ!! そ、そんなぁ……う、うぅ~……」グスッ

ことり「ふえぇぇんん……。お、おしり、いたいよぉ……っ!!」

海未「……あの、もしかしてこれ、『勝負アリ』というヤツなのでは?」

ことり「うえぇえぇん……っ!」
  


680: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:03:25.87 ID:HbNGDs2c.net

  
海未「……あっ?」

ことり「あ、あぁ、うわぁあぁ、ぁ……」

ことり「っ!! あっ、あぁ……///」

海未「……あぁ、『吸ってしまった』ようですね。床にたたきつけられた衝撃で、対策が崩れましたか……」

海未「このハンカチは、返してもらいますね」スッ

ことり「あっ……! うっ、ひぐっ、うぅ~……」

海未「しかし短時間とはいえ、あなたはこれまでに三度、レベル4を嗅いでいます。ある程度の耐性は、できてるようですね」

海未「なのですぐには、ほのキチ化には至らないでしょう……。そのまま息を止め続けられるのなら、ですが」

ことり「うっ、はぁ、あ、あぁ。はぁっ、はぁっ……」

ことり(いたい……っ! いたいよぉ、苦しいよぉ……)

ことり(でも、それ以上に……あ、あぁっ///)

ことり(頭が、蕩けちゃうぅ……。だめ、だめえ……っ////)

ことり(今、意識を失ったら……また、ほのキチになっちゃう……っ!)

ことり「はぁ、はぁっ! うっ、うぅ、えぐっ……」

海未「……それで、どうします? もう、やめておきますか?」

ことり「うっ、や、やめないもん……っ! ま、まだ、ことりは、立てるもん……っ!」ググッ

海未「そうですか。力の調整が難しいので、次もあまり手加減できる自信はないのですが……」

ことり「っ!? あぅ、海未ちゃん、やっぱり痛いのも、ナシにしよ……?」

海未「……善処します」
 


682: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:13:01.63 ID:HbNGDs2c.net

 
ドタァンッ!


ことり「ひゃぁあんっ!」

海未「ごめんなさい、痛かったですか? 先ほどよりは力を抜いたつもりですが……」

ことり「いったぁい……っ! ふえええぇん……っ!」グスッ

ことり「っ! うっ、あ、あぁあぁ……。はぁ、はぁ……///」

海未「またいくらか吸ってしまったようですね。このままではそう遠くないうちに、あなたは再びほのキチになるでしょう」

海未「いっそ、『なってみる』というのもいいんじゃないですか? 今のあなたのままじゃ、間違いなく私には勝てないんですから」

海未「ほのキチ化したあなたなら、いい勝負ができるかもしれませんよ。『彼女』の厄介さは、私が一番よく知ってますから……」

ことり「だ、ダメ、だよ……。ほのキチになったら、また、忘れちゃう……」

海未「忘れる……?」

ことり「もう忘れたく、ない……。だから私はもう、二度とほのキチには、ならない……っ!」ググッ

海未「……ことり。もう、やめにしません? 痛いのはもう、嫌でしょう?」

ことり「い、嫌、だけど……。ここで諦めるのは、もっと嫌だよ……っ!」

海未「……」
 


683: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:13:39.09 ID:HbNGDs2c.net

 
海未「……花陽は」

ことり「えっ……?」

海未「花陽は、諦めませんでした。本当に、最後まで……。痛い思いをしてもボロボロになっても、凛が元に戻るまで、決して彼女は諦めなかった」

海未「そして、奇跡が起きました……。彼女の勇気が、奇跡を起こし……凛は元に戻ることが、できました」

海未「それは確かに、素晴らしいことです。そんな彼女を、私は尊敬しますし……感謝も、しています」

海未「ですが、それはたまたま結果がそうだったから、良かったというだけの話です」

ことり「……」

海未「『たまたま奇跡が起きたから』、良かったものの……。あのまま凛は元に戻らず、ただ花陽がケガをしただけで、終わっていた可能性だってあるんです」

海未「もしかしたら、もっと大きなケガをして……。『あの時すぐに諦めておけばよかった』と、後悔することになっていた場合だって、考えられるんです」

ことり「な、なに、言ってるの……? 海未ちゃん……」

海未「『諦めない』という選択は、必ずしも正しいとは限らない、という話です」
 


684: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:16:54.46 ID:HbNGDs2c.net

   
海未「あの時の花陽には、誰もが驚かされました。普段は弱気な彼女に、あそこまでの根性と、勇気があったなんて……」

海未「きっと凛という親友のためだからこそ、彼女はあそこまで頑張れたんでしょう。でも『普通は』あそこまで、人は頑張れない……」

海未「だから別にあの時花陽が諦めていたとしても、きっと誰も彼女を責めたりはしなかった。私の言っていることが、分かりますか、ことり?」

ことり「う、うぅ……」

海未「しかも今回は、あの時とはまた状況が違います。なにせ今度は私が、ほのキチになってしまったのですから」

海未「そうですね。凛が『速さ』に特化したほのキチだとしたら、私は『力強さ』に特化したほのキチとでも言っておきましょうか」ググッ

パキ、パキ

ことり「……っ!?」ビクッ

海未「とても女の子の手とは思えませんよね。怖がるのも、無理はありません」

海未「私は別に、あなたにケガをさせるつもりはありませんが……それでもこれ以上続ければ、どんなことになるかは想像がつくでしょう」


『あんな可愛い子が、男の人を片手でやっつけちゃうなんてさー』


ことり「ひっ、う……」ブルッ

海未「ここには眠っている穂乃果と、私と、あなただけ……。他に誰も助けてくれる人は、いません」

海未「そもそも、無茶だったんです。あなたみたいな人が、たった一人でこんな場所に、来るなんて……」

海未「あなたは、花陽とは違う。あなたは『諦めるべき』です」

ことり「や、やめて……。うっ、ぅ、言わないで、海未ちゃん……」

海未「あなたのことは、私が一番よく知っています……」

海未「あなたは可愛くて、おっとりしていて、お洒落で、服飾が得意で、秋葉原のメイドカフェでアルバイトをしていて、親友に誘われて、最近スクールアイドルを始めた――」


海未「――ただのか弱い、『普通の女子高生』です」
  


686: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:23:19.44 ID:HbNGDs2c.net

  
ことり「……っ」グスッ

海未「私に投げられた痛みと、息を止め続ける、苦しみ……。そして脳を刺激する、ほのスメルの快楽――」

海未「こんなの、普通の女子高生が耐えられるわけありません。本当は今すぐ、逃げ出したいはずでしょう?」

海未「いいんです、それで。あなたはこんなところにいるべきではありませんし、こんな時間に、こんなことをしている場合ではないんです」

海未「あなたは弱いんですから。でも、それでいいんです。女の子なんですから……。それが、『普通』なんですから」

ことり「うぅ、うっ……」

ことり(分かってる、そんなの……。私がダメなのは、弱いのは、私が一番よく知ってる……っ!)

ことり(そうだ……。私は二人と違って、『普通』だから……。何も持ってない、平凡な女の子だから……)

ことり(いつだって、『特別』だった二人の後ろに、ついてくだけだった……)

ことり(どんなことにも積極的で、いつも明るい笑顔でみんなを引っ張る、穂乃果ちゃんと……)

ことり(真面目で清楚で、凛とした姿がかっこよくて、いつだってみんなの憧れだった海未ちゃん……)

ことり(そんな二人の傍で、私はいつも、ニコニコ笑ってるだけで――)


ことり「うっ、ぅ……で、でも、でもぉ……っ!」

海未「……」

ことり「い、今だけは、諦めたく、ない……っ! 諦めたく、ないよぉ……っ!!」

ことり「だ、だって、こんなの、間違ってるもん……っ! だから、だからぁ……」

ことり(私は、二人のために……。二人の、幸せのために――)


ことり「海未ちゃん……っ!」

ガシッ


海未「……っ!」

ことり「海未ちゃん、お願いだからぁ……。目を、覚ましてよ……っ! 正気に、戻ってよぉっ!!」
 


687: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:31:18.74 ID:HbNGDs2c.net

  
海未「……ことり」

ことり「はぁーっ。はぁーっ……」

ことり(意識、が……。もう、だめ……)

ことり(頭も、体も……。もう、限界だよ……)

ことり(おねがい、海未ちゃん……。私の『言葉』、届いて――)



海未「……いい加減にしてください」

ことり「……えっ?」

ドンッ!

ことり「っ!? あっ……」フラッ

ドサッ

ことり「あ、ぅ……」

海未「これだけ言っても……まだ、分からないんですか?」

ことり「う、海未、ちゃん……」

海未「どうして、諦めないのですか? どうして、分かってくれないのですか……っ!?」

ことり「えっ……」

グイッ!

ことり「っ! うっ……」

海未「私は元に戻る気はありませんっ! ですからもう、諦めてくださいっ!」

ことり「ふっ、うぅっ、やだっ、やだぁ……っ!」

海未「っ! だったらはっきり、言いましょうか……っ!?」

ことり「ひぐっ、うっ、うぅ」

海未「『私たち』の邪魔をしないでください、ことりっ!!」

ことり「――っ!!」
 


688: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:36:39.11 ID:HbNGDs2c.net

  
ことり(じゃま……?)


海未「ことり……あなたは一体なんのために、ここまでするんですか?」

ことり「……っ! わ、私は……」

海未「あなたは先ほど、『こんなの間違ってる』と言いましたね……。なにも、知らないくせに」

海未「もしかしてあなたは、『私のため』だとか……あるいは『穂乃果のため』だとか、そんな理由で、ここまで来たんじゃないんですか?」

ことり「っ!!」

海未「そうだとしたら……。勘違いも甚だしいです」

ことり「……」

海未「いいですか、ことり……」

海未「……私と穂乃果は、先ほど、『幸せ』を誓い合ったんです」

ことり「……えっ」

海未「レベル5を迎えることで……。今夜、私と穂乃果は、幸せになれるんです」

海未「それをどうしてあなたは、邪魔するのですか?」

ことり「そ、それは……」

海未「やめてくださいよ、お願いですから……。あなた一体、どういうつもりなんですか?」

海未「ことり……。あなたは私たちの幸せを、願ってはくれないのですか……?」

ことり「……」


ことり(私は……二人のことを、邪魔していただけ……?)
 


690: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:41:53.09 ID:HbNGDs2c.net

  
ことり(私は……何をしてるんだろう?)

ことり(昔からずっと……。自分の幸せなんか、どうでもよくて……。ただ二人が幸せなら、それでよかった――)

ことり(だってそれが、『ことりの幸せ』だから……。二人が幸せそうなのが、嬉しくて……。だから私はいつも、ニコニコ笑ってたんじゃないの……?)

ことり(なのにどうして私は今、二人の幸せを、邪魔して……)

ことり(全部、勘違いだったんだ……。ことりが勝手に、『海未ちゃんが元に戻ることが二人の幸せにつながる』って、思い込んでただけで――)


ことり「ごめん、なさい……」

海未「ことり……?」

ことり「ごめんなさい、海未ちゃん……。私、どうか、してた……」

ことり「わ、私、ずっと、二人に幸せになってほしかったの……。それが、ことりの幸せなのに……」

ことり「うっ、うぅ、ごめんなさい、ごめんなさぁい……」

海未「……選んでください、ことり」

ことり「……えっ?」

海未「もう一度、ほのキチになりたくないのなら……。『こちら側』に来たくないのなら、今すぐ帰ってください。レベル5は、あなたがこの場所から離れたのを確認してから押します」

海未「ですが……。もしもあなたにまだ、『その意志』があるのなら――」

海未「このまま一緒に、レベル5を迎えましょう」

ことり「……私、も?」

ことり「私もここにいて、いいの……?」

海未「当然です。あなたは私たちの、幼馴染なんですから」

ことり「……」


ことり「……ありがとう、海未ちゃん」



ことり(こんな時なのに……。やっぱり海未ちゃんは、優しいな……)

ことり(……ごめんね、みんな。私、無理だったよ)

ことり(私には……二人の幸せを邪魔することなんて、できなかったよ……)
 


691: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:46:47.57 ID:HbNGDs2c.net

  
ゴロン

ことり「……海未ちゃん?」

穂乃果「……」スヤスヤ

海未「どうせですから、こうして三人で寝ころびながら、レベル5を迎えましょう」

ことり「そう、だね……」

海未「……勝負の方は、私の勝ちですね」

ことり「えっ? あ、うん……」

海未「ふふっ……」

ことり「……あはは」

ことり(……これで、いいんだ)

ことり(海未ちゃんが、笑顔でいてくれるなら……。穂乃果ちゃんが安心して眠れるなら、それでいいんだ)

ことり(そして、そんな二人の近くに、私もいられるなら……こんなに幸せなことは、ないよ)

ことり「ねえ、海未ちゃん……」

海未「はい……?」

ことり「海未ちゃんは、その……」


ことり「……穂乃果ちゃんのこと、好き?」

海未「ええ。もちろんです」

ことり「それは、例えば……世界で一番とか、そのくらい?」

海未「そうですね……そう言っても、過言ではありません」

ことり「……ふふっ、そっか」

海未「……?」


ことり(よかった……。二人はやっぱり、両想いだったんだ)

ことり(昔から思ってたんだ……。二人は、お似合いだって。私なんて、入れる隙間もないくらい……)

ことり(でも海未ちゃんは、私も『ここにいていい』って、言ってくれた……)

ことり(うれしい、な……)



ことり(……)
  


692: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 21:52:42.15 ID:HbNGDs2c.net

  
海未「……では」スッ

ことり「……」



ことり「……海未ちゃん、私ね」

海未「はい?」

ことり「ほのキチだった時に、忘れてたことがあるの……。今はもう、思い出せたんだけど」

海未「……あぁ。そういえば、前に言ってましたね。何か大切なことを、忘れてる気がすると……結局、なんだったんです?」

ことり「それがね、思い出してみたら、そんなに大したことじゃなかったんだ」

海未「ふっ、そうですか。よくあることですね」

ことり「うん……。だから、言わないでおくね」

海未「なんですか……気になるじゃないですか」

ことり「あはは。でもね、実は……」


ことり「……『もう一つ』、あるの」

海未「もう一つ……?」

ことり「これはまだ誰にも言ってないけど、実は私、『もう一つ』思い出したことがあって……。それで……」

ことり「……本当に大切なのは、そっちの方だったんだ。本当に忘れちゃいけなかったのは、そっちの方だった……」

海未「……」

ことり「もう一度ほのキチになったら、また忘れちゃうかもしれないから……。だからレベル5の前に、確認しておいてもいいかな?」

海未「構いませんが……。確認、とは?」

ことり「うん……。あれはね。確か、高校に入ってすぐの時……。ちょうどμ'sが始まる、一年くらい前、だったかな」

海未「一年前……?」

ことり「海未ちゃん、私ね……」


ことり「私、見ちゃったんだ……」



ことり「誰もいない教室で……海未ちゃんが、一人で――」





ことり「体操着の匂いを、顔を真っ赤にして、必死に嗅いでる姿を……」
  


704: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:02:46.46 ID:HbNGDs2c.net

   
海未「……」

海未「……見間違い、では?」

ことり「ううん。あれは確かに海未ちゃんだったし、体操着だったよ……」

海未「……そう、ですか」

ことり「海未ちゃん……。海未ちゃんは……」

海未「……」ムクッ

海未「いえ、やっぱり見間違いのはずです。私はそんなこと、した覚えは――」

ことり「海未ちゃん……私、知ってるんだ」

海未「は……?」

ことり「ごめんね、今まで黙ってて……。でも実は私、結構前から気づいてたの。穂乃果ちゃんは、気づいてなかったみたいだけど……」

海未「な、なにをですか……?」

ことり「……」ムクッ

ことり「いつも海未ちゃんが、穂乃果ちゃんの匂いを、こっそり嗅いでたこと」

海未「……」
 


705: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:04:08.12 ID:HbNGDs2c.net

  
ことり「スイッチとか、関係なくて……。海未ちゃんは、ずっと昔から、子供の頃から、穂乃果ちゃんの匂いを嗅いでたんだよね」

ことり「いつも穂乃果ちゃんのことばかり、見ていた海未ちゃんは……。いつも穂乃果ちゃんの匂いばかり、嗅いでたんだよね」

ことり「私、いつも二人の近くにいるから、気づいてたんだ……。海未ちゃんが穂乃果ちゃんの傍にいるときは、いつも鼻をスンスンさせてたこと……」

海未「な、なにを言ってるんですか……。そんなこと、ほのキチになった今ならともかく、普段の私がするわけないじゃないですか」

海未「しかも、子供の頃からなんて。そんな前からこっそり幼馴染の匂いを嗅いでたなんて、まるで変態みたいじゃないですか」

ことり「……そう、だね」

海未「嗅ぐなら堂々と、です。なぜなら私は、変態ではありませんから」

ことり「海未ちゃんは最近、口癖みたいに言うようになったよね……。『私は変態じゃない』、って」

海未「だって、仕方ないじゃないですか。私は変態では、ないんですから……」

ことり「……でもね、私、思うの」

海未「なんですか?」

ことり「堂々と嗅ごうがこっそり嗅ごうが、同じことなんじゃないのかな、って」

海未「……」



ことり「海未ちゃんは、変態だよ」
  



708: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(笑)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:06:02.15 ID:N9aPn95x.net

やっぱり海未ちゃんは変態だったか



710: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:11:53.27 ID:HbNGDs2c.net

  
海未「違います」

ことり「……」

海未「なにを言い出すかと思えば……そんなことで私を、揺さぶろうとしていたのですか」

海未「くだらない……。私はスイッチを手に入れるまで、穂乃果の匂いを意識的に嗅いだことなんてありません」

ことり「……じゃあ」

ことり「海未ちゃんは……どうして最初にスイッチを使おうと、思ったの?」

海未「っ!? は、はぁ……?」

ことり「真姫ちゃんから最初に、貰って……。それで、どうして使おうと思ったの?」

海未「……っ」

ことり「私みたいに、ほのキチだったわけでもないし……。希ちゃんみたいに、ちゃんとした目的があったわけでもないのに……」

ことり「穂乃果ちゃんの匂いを強くするスイッチなんて使って、どうするつもりだったの?」

海未「うっ……」

ことり「色んな人がスイッチを、使ってきたけど……。一番最初にそれを使い始めたのは、海未ちゃんだったんだ」

ことり「どうして……? そんな変なスイッチ、普通の人だったら使ったりしないよ……?」

海未「く、ぅ……っ!」ギリ
 



713: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:13:14.86 ID:in1tC9S5.net

唐突な原点回帰



714: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:13:45.87 ID:HbNGDs2c.net

  
ことり「ねえ、海未ちゃん……。私、ビックリしたんだよ。最初に、海未ちゃんが穂乃果ちゃんの匂いをこそこそ嗅いでることに、気づいた時……」

ことり「普段は真面目でしっかり者の海未ちゃんが、どうしてこんな変なことしてるんだろう、って」

海未「なっ……」

ことり「最初は、分からなかった。どっちが本当の、海未ちゃんなのか……」

ことり「……でもやっぱり真面目な方が、本当の海未ちゃんなんだよね。だから、変なことをしてる方の自分が、自分で許せなかったんじゃないの?」

ことり「だから海未ちゃんは、頑なに、自分が変態だってことを、認めようとしなかったんでしょう……?」

海未「なにが、いけないのですかっ!?」

ことり「えっ……?」

海未「好きな人の匂いを嗅ぐことの、何が変なのですかっ!? 私は何も、変なことなんてしませんっ!」

海未「だって私は、穂乃果の『全部』が、好きなんですからっ! その『匂い』も、含めて……っ!」
 


734: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:38:31.11 ID:HbNGDs2c.net

 
海未「ええ、認めますよっ! 私は昔から、穂乃果の匂いをこっそり嗅ぎ続けてきましたっ!」

海未「そんな私がスイッチを使う理由なんて、一つです……もっと穂乃果の匂いを、嗅ぎたいっ! それだけですっ!」

海未「でも、それの何が変なのですかっ!? 好きな人の匂いを嗅ぎたいと思うのは、当然じゃないですかっ!?」

ことり「好きな人……。そっか、そうだよね……」

海未「……最後の足掻きとしては、なかなかでしたよ。まさかこんな話を、持ち出してくるとは……」

海未「大方、『スイッチを渡さないとこの話を穂乃果にバラす』とでも言って、私を脅すつもりだったのでしょう?」

海未「確かにほのキチである私を、穂乃果は受け入れてくれましたが……。流石に子供の頃から匂いを嗅いでいたなんてことが知れれば、彼女も私を拒絶したでしょう」

ことり「……どうかな。だって海未ちゃんが穂乃果ちゃんの匂いを嗅いでたのは、それだけ好きだったからなんでしょう?」

海未「ええ、そうですが……」

ことり「だったら多分穂乃果ちゃんは、それも受け入れてくれるよ。穂乃果ちゃんも海未ちゃんのことが、大好きなんだから」

海未「……ではあなたは結局、なにがしたかったのですか?」

ことり「私はただ、確かめたかっただけだよ。あの日教室で見たことの、真相を……」

海未「……体操着の件ですか。この際ですから、それも認めますよ」

海未「穂乃果のことが好き過ぎて、ついやってしまったんです。まさか見られてたとは思いませんでした……流石に少し、恥ずかしいですね」

ことり「……」


735: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:39:50.41 ID:HbNGDs2c.net

  
ことり「あ、あは、は……」

海未「……どう、しました?」

海未「ことり……どうして、笑って……」

海未「……? いえ、泣いて……いるん、ですか?」

ことり「うっ、ぅ、あは、ははは……」グスッ

ことり「違うよ……。海未ちゃんは、勘違いしてるよ……」

海未「……はい?」

ことり「うん……。私もあの時教室で、『最初に見た時』は、そう思ったよ? だって、気づいてたから……。海未ちゃんのそういう『趣味』を、私は知ってたから」

ことり「だから、見た時にすぐ思った。『あっ、海未ちゃんが穂乃果ちゃんの体操着の匂いを、嗅いでる』って――」

ことり「でも……でも、ね……? よく見たら、ちが、ったんだ……」

ことり「ちがったの……。だって、あそこは……」

海未「……」

海未「ま、まさ、か……」

ことり「うっ、えぐっ、よく、見たら、ね……? あ、あそこは……」


ことり「『穂乃果ちゃんの席』じゃ、なくて……」






ことり「『私の席』、だったんだ……」





海未「……あ、あぁ」

ことり「あの時、海未ちゃんが、嗅いでたのは……。穂乃果ちゃんの体操着じゃなくて――」




ことり「私の体操着、だったんだよ……」
 


742: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:46:01.22 ID:HbNGDs2c.net

  
海未「うわあぁああぁああああ――っ!!?」

 
ことり「ね、ねえ、海未ちゃん……?」

海未「ああ、あああぁあ、あああぁっ!!」

ことり「グスッ、ねえ、海未ちゃん。『確認』、しておきたいんだけど……」

海未「あぁああぁっ! う、うあぁあぁあ……っ!」

ことり「海未ちゃんが穂乃果ちゃんの匂いをこっそり、嗅いでたこと……。私は気づいてたけど、でも穂乃果ちゃん本人は、気づいてなかったんだよね……?」

海未「あ、ああぁあ、だめ、だめです、ちがっ」

ことり「でももしもそれが、穂乃果ちゃんがただ鈍感だったから、『気づかなかった』んじゃなくて……」

ことり「海未ちゃんが、いくら周りに気づかれても『絶対に本人にだけは気づかれないように』気をつけながら、嗅いでたんだとしたら……」

ことり「そのせいで穂乃果ちゃんが、匂いを嗅がれてたことに、『気づけなかった』んだとしたら――」

海未「だめ、だめですっ、ことり、いやぁああぁあっ!」

ことり「私の場合も、そうだよね……?」

海未「あ、あっ、うわあぁあぁあっ!」

ことり「私が海未ちゃんに、『ずっと匂いを嗅がれてたとしても』……それに『気づけなくても』、おかしくないよね……?」

海未「あっ、あぁ……」

ことり「う、海未ちゃんは……。私の匂いも、穂乃果ちゃんと同じように……」

ことり「昔からずっと、こっそり……。私にバレないように、嗅いでたの……?」

海未「う、うぐぅ~……」ガクッ

海未「ば、バレてしまいましたぁ……っ! ついに、バレてしまいましたあぁあぁぁ……っ!」

ことり「海未ちゃん……」
 


749: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:54:42.49 ID:HbNGDs2c.net

  
海未「うっ、うぐっ、だって、仕方ないじゃないですかぁ……」

ことり「えっ……?」

海未「あなたたち二人は私にとって、魅力的過ぎたんです……」

ことり「……え、ええっ?」

海未「だって……だってっ! 昔の私は、臆病で、恥ずかしがり屋で、友達なんて一人もいなくて……っ!」

海未「そんな時、初めて出会えたんです……っ! 私の下の名前を呼んでくれる、『友達』にっ!」

ことり「……っ!」

海未「一緒にいて、こんなに楽しいと思える人、今までいなかったんです……っ! 『あなたたち二人』は、私の最初の友達で、最高の友達だったんですっ!!」

ことり「う、海未ちゃん……」

海未「あなたたちは、私に色々なことを教えてくれました……。毎日がすごく新鮮で、幸せでした……」

海未「でもある時、ふと気がついてしまったんです……」

海未「ある日、私たちは三人で並んで、いつも通りお喋りをしていました……私が真ん中で、隣にあなたと、穂乃果――」

海未「そんな時、初めて意識したんです。二人から漂ってくる、その『匂い』を……」

海未「すごく安心する、匂いでした……。幸せな気持ちで、いっぱいになりました……」

海未「全人類の中で……今この場所で、この匂いを嗅いでる私が、一番幸せなのではないかと……本気で、そう思いました」

海未「いつまでも嗅いでたいと、思いました。この幸せな匂いを、いつまでも……」

海未「……それからです。二人の匂いを、こっそり嗅ぐようになったのは」

海未「大好きな、『二人の匂い』を……っ!」

ことり「……」
 



750: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(もんじゃ)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:55:06.71 ID:78ReIi+j.net

マケミちゃんいいぞ~



751: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 22:56:53.47 ID:HbNGDs2c.net

 
ことり「そ、そっか、それで……」

海未「うっ、うぅ、私は……っ!」

海未「私は……私はぁっ! う、うぅ~っ」ポロッポロッ

ことり「う、海未ちゃんっ、どうしたのっ!?」

海未「私は最低ですっ! グスッ、最低、ですぅ……っ!」

ことり「さ、最低、って……」

海未「あなたの言う通りです……っ! 私は、へ、変態なんです、うぅ……っ!」

ことり「……っ!」

海未「穂乃果を抱きしめる資格なんて、私にはないんです……っ!」

海未「あなたを叩いたり、偉そうに説教できるような立場の人間じゃ、なかったんですぅ~……っ!」

海未「ずっと私は、自分のことを棚に上げて……っ! でも本当は、どのほのキチよりも、私の方が変態なんですっ!!」

海未「ごめんなさい……っ! ごめんなさいっ!」

ことり「あ、あの、海未ちゃん……?」

海未「ごめんなさい、ことり……っ! ごめんなさぁいっ! うあぁああぁっ!」

海未「ずっとあなたの匂いを、嗅いでたんですっ! ずっとずっとずっと、ずっとだったんですぅっ!」

海未「穂乃果だけじゃなかったんですっ! 私はあなたの匂いまで、こっそり嗅いでたんですぅ……っ! あ、ああぁ~っ!」

ことり「……」

海未「あぁあ、ぁ、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃぃ……っ!!」

海未「私は、変態です……っ! どうしようもない、変態なんですよぉ~っ!! うあぁああぁあぁ……」ボロッボロッ

ことり「海未、ちゃん……」
 


757: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 23:03:03.39 ID:HbNGDs2c.net

 
海未「大好きだったんですぅ……っ! ごめんなさいぃ……っ!」

ことり「……っ」

海未「好き過ぎて、我慢できなかったんです……。あ、あぁあっ、あの時もぉ……っ!」

海未「体育の授業で、汗を流しながら走ることりを見て、つい興奮してしまって……っ! やってしまったんですぅっ!!」

ことり「っ!!」

海未「誰もいないと思って、教室であなたの体操着の匂いを、思う存分堪能してたんですぅ……っ!」

ことり「ど、どうだった、の……?」

海未「ことりの汗の匂いがしましたぁ~っ!!」

ことり「そっか……」

海未「最高でしたぁっ!! うわぁあぁあぁぁあん……っ!」

ことり「そっ、そっか……。うん、うん……」
 


758: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 23:04:09.94 ID:HbNGDs2c.net

  
ことり「海未ちゃん、泣かないで……。私のハンカチ、使って……?」

海未「あなただって、泣いてるじゃないですかぁっ!!」

ことり「っ! グスッ、う、うん、そうだね……」

海未「ごめんなさい……っ! 気持ち悪いですよね、最悪ですよね、こんなの……っ!!」

海未「こんな思い、させたくなかった……。あなたを泣かせたく、なかった……っ!」

海未「自分の幼馴染が変態だなんて、知らせたくなかったっ! ごめんなさい、ことりぃ……っ!」

ことり「う、ぅぅ……ひぐっ、ちがう、ちがうの、海未ちゃん……」

海未「ち、ちがう、って……」

ことり「いいの、きもちわるくなんて、ないの……。ことりはね……」

ことり「ことりは、うれしいの……。うれしいんだよ、うみちゃん……っ!」

海未「っ! な、なに言って……なんでこんなことされて、嬉しいんですかっ!?」

ことり「だって、だって……」


ことり(海未ちゃんは昔からずっと、穂乃果ちゃんのことばかり、見てたんだと思ってた……)

ことり(よかった、最後に確かめられて……。そうだったんだね、海未ちゃん……)

ことり(海未ちゃんは、ちゃんとことりのことも、見ててくれてたんだね……っ!)


ことり「ふっ、うぅ、よかった、うれしいよぉ……っ! うみちゃぁん……っ!」ポロッポロッ

海未「うあぁああぁんっ! わ、わけわかんないですよ、あなたぁ……っ!」ポロッポロッ
 


766: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 23:11:06.92 ID:HbNGDs2c.net

 
海未「ふ、っ、うぅ……」ズズッ

ことり「……う、ぅ」

海未「お、お願いします、ことり……」

ことり「グスッ……えっ……?」

海未「穂乃果には、言わないでくれませんか……? 私が変態だということ、知られたくありません……」

ことり「……」

ことり「……ふふっ。最初から言うつもりなんて、ないよっ」

海未「……ことり」

ことり「ありがとう、海未ちゃん……もう、いいよ」

海未「えっ……?」

ことり「もう私は、満足……。あとは海未ちゃんの、好きにして?」

海未「……」

ことり「スイッチ、押していいよ。もう我慢できないでしょ?」

ことり「ごめんね、こんな話して……。恥ずかしい思い、させちゃって」

海未「い、いえ……」

ことり「レベル5……私も、一緒に嗅ぐよ。そうしたら、海未ちゃんの知られたくないことも……。私また、全部忘られるから」

ことり「私さえ忘れちゃえば、そうしたらもう、他の人に知られることもなくなるでしょう?」

海未「……もしかしてあなた、それで一人でここに……?」

ことり「……」

海未「……分かりました。それでは」

ことり「……うん」



海未「……押しますね、ことり」

ことり「どうぞ、海未ちゃん……」



ことり(さようなら、海未ちゃん……)

ことり(……穂乃果ちゃんと、お幸せにね――)

 

カチッ

 


773: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 23:18:59.31 ID:HbNGDs2c.net

 
ブワッ……


ことり「……」

ことり(……これが、レベル5、かぁ)

ことり(すごい……。いい匂いだなぁ……あははっ)

ことり(あぁ、なんだか……)

ことり(なんだか……)

ことり(……)


 
ことり(なんだか、たいしたことないな……)

ことり(私の感覚が、おかしいのかな……。正直レベル4の方が、すごかったような……)

ことり(うぅーん……)

ことり(……あれ?)


ことり「……う、海未ちゃん?」

海未「……」

ことり「それ……。画面……」

ことり「『3』って、なってるけど……もしかして……」

ことり「今押したのって、『下ボタン』――」


カチカチカチッ!


ことり「っ!?」

フッ

ことり(に、匂いが、消えた……。海未ちゃんが、レベルを、リセットした……)

ことり(どうして――)


海未「ありがとうございます、ことり」


海未「あなたのおかげで……。元に、戻れました」
   


774: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 23:22:26.88 ID:HbNGDs2c.net

   
ことり「えっ……? 海未ちゃん、も、元に、戻ったの……?」

海未「はい、戻りました」

ことり「ほんと、に……?」

海未「私は今、先ほどあなたが言った通り、自分でスイッチのレベルをリセットしました……。これがその証明には、なりませんか?」

ことり「……」

海未「……と言っても、元に戻ったところで、私が変態であることに変わりはありませんが」

海未「元々私自身、ほのキチとの境界が曖昧な人間だったんです……。私がどうしようもなく罪深い人間であることは、変わりません……」

ことり「大丈夫だよ、海未ちゃん」ギュッ

海未「……」

ことり「海未ちゃんは、自分でスイッチのレベルを『0』にした……。海未ちゃんはスイッチを、否定できたんだよ」

ことり「だから……もう、大丈夫」

海未「……ことり」
 


775: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 23:23:45.39 ID:HbNGDs2c.net

  
ことり「それに……。変態なのは、海未ちゃんだけじゃないよ」

海未「えっ……?」

ことり「私だって、匂いを嗅がれて嬉しがるような、変態だよ。海未ちゃんと、同じだよ……」

海未「お、同じじゃありませんよ……。嗅がれる方より嗅ぐ方が、変態に決まってます……」

ことり「あはは、そうかな……」

海未「そうです……」

ことり(……でもね、海未ちゃん)

ことり(穂乃果ちゃんも、そうだったんだよ……。これは内緒だって約束したから、言わないけど……)

ことり(穂乃果ちゃんも、同じ……。匂いを嗅がれてよろこぶ、変態だったんだ……)

ことり(だから私たち幼馴染は、三人とも、変態だったんだよ……)

ことり(おかしな話だけど……。三人一緒なら、なんだか心強い気がしない? 海未ちゃん――)


ことり「……帰ろう、海未ちゃん」

ことり「私たちの……いつもの、日常に」

海未「……」


海未「……はいっ」
 



777: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(新疆ウイグル自治区)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 23:26:34.01 ID:HbNGDs2c.net

ここまでで。一度のレスに書ける量が減ってきたんで、早めに次スレ行くかもしれません




780: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(庭)@\(^o^)/ 2015/10/17(土) 23:28:07.66 ID:bCnKTFVH.net


まってるよー


802: 名無しで叶える物語@10/11名前欄変更投票・詳しくは議論スレへ(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/10/18(日) 03:05:47.83 ID:t8Nj30Tj.net

乙乙
待ってるよ











元スレ:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1442070667/