1: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:30:24.95 ID:1XLzcCXL.net

千歌(……何にも夢中になれない)

千歌(……何にも全力になれない)

千歌(……何をしても楽しくない)

千歌(……何をすれば良いのかわからない)

千歌(こんな普通以下の千歌は…)

千歌(この先、生きてても輝くことなく死んでいくんだ…)

千歌(だったらもうここで終わらせよう…)

千歌(この海に飛び込んで…)



………………………………



2: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:32:59.42 ID:1XLzcCXL.net

梨子「ちょっと!何やってるの!」ガシッ

千歌「…離してよ…千歌はもう死にたいの…」

梨子「ダメよ!入水自殺なんて!絶対苦しいんだから!」

千歌「見ず知らずの人に…そんなこと言われる筋合いないよ…」

梨子「落ち着いて?こんなことする必要ないって」

千歌「貴方に何がわかるの…」

梨子「とにかく止めましょう!こんなこと」

千歌「……ほっといてよ!」

梨子「ほっとけない!」

千歌「…貴方には関係ないでしょ!!」バシッ

梨子「きゃっ!!」フラッ

千歌「!!」

バシャンッ!と音をたて、名も知らない少女は海面に叩きつけられる。

千歌(……も、揉み合ってる内に……突き飛ばしちゃった……)

すかさず落ちた場所を見ると海中に沈む彼女の姿がかろうじて見れた。

千歌(ど、どうしよう……あぁ……どんどん沈んでいく……)

しかし、次第に彼女の姿も見えなくなる。落ちた場所からはブクブクと泡がたっていたが、数秒後にはそれも途絶えた……

千歌「…………」ガタガタ……

それは生命の終わりを暗喩しているようだった……

千歌「…ど、どうやら千歌は人を殺してしまったらしい…」ワナワナ


3: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:33:42.91 ID:1XLzcCXL.net

千歌「………………」

千歌「だ、だから言ったんだ!」

千歌「…ほっといてって!」

千歌「千歌は悪くないからね……」

千歌「………………う、恨まないでよ……!」

そう絶叫するように吐き捨てると、足早にその場所から離れようとした。

しかし……

梨子「ぶはぁっ!」バシャッ!

千歌「…!!」

梨子「ぜぇ………ぜぇ………」

千歌「…………」

梨子「はぁ……はぁ……」

千歌「………ぶ、無事みたいだね?」

梨子「全然無事じゃないわよ!!」



……………………………………


5: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:34:17.47 ID:1XLzcCXL.net

~あれから数日後~


あの時、千歌が出会った女の子は…千歌の通う学校の転入生だったみたい……

翌日、運命的な再会をして……凄い気まずかったよ…

でも、あんなことをしたのに千歌の事を咎めたりしないんだ……

気にしてないのかな?

あの子は千歌の事を全く避けない……

それどころか…………

まぁ千歌には関係ないや……

もうすぐ千歌は、この世からおさらばするんだから……

絶対、するんだから……


6: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:35:42.67 ID:1XLzcCXL.net

~屋上~


千歌「…………」


梨子「千歌ちゃん!」ガチャッ!

曜「…………」


千歌「……また邪魔しにきたの?」


梨子「千歌ちゃん!やめよう?」

千歌「…止めないでよ」

梨子「そ、そんな所から……落ちたら危ないよ!とっても痛いと思うし……」

千歌「…梨子ちゃんには関係ない」

梨子「関係なくないよ!」

千歌「…ない!」

梨子「ある!!!」


7: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:36:49.20 ID:1XLzcCXL.net

曜「…………」

梨子「ちょっと……曜ちゃんも黙って見てないで何とか言ってよ……」

曜「そんなに死にたいなら、さっさと飛び降りたら!!」

梨子「!!」

曜「早く降りなよ!」

梨子「ちょっと!なんでそんな言い方するのよ!?」

曜「どうせ死ぬ勇気もない癖に!この構ってちゃんが!」

梨子「曜ちゃん!」

千歌「そんなに言うなら、今すぐ飛び降りてやる…!」

梨子「ダメよ!」

曜「落ちろ!」

梨子「千歌ちゃん!やめて!」

千歌「………」

梨子「千歌ちゃん!!」

曜「早くしろ!」

梨子「だめ!」

千歌「……ただ」

梨子「……?」


8: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:37:22.79 ID:1XLzcCXL.net

千歌「曜ちゃんに指図されて飛び降りるのは不本意だね…」

梨子「……千歌ちゃん?」

千歌「…………今日の所は止めておくのだ…」

梨子「えっ……?」

曜「………」

梨子「……曜ちゃん…まさかこれを予期して…」

曜「ヘタレ千歌!いつになったら本当に死ぬんだ!」

梨子「曜ちゃん!」

曜「意気地無しが!」

梨子「ちょっと!友達なんでしょ?もうちょっと優しくしてあげてよ!」

曜「あんな腑抜け知るもんか!」

梨子「なんでそんな事言うの!」

曜「転校生風情が詮索しないでよ!」


千歌「ふん………どうせ千歌なんて…」


9: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:38:00.83 ID:1XLzcCXL.net

~理科室~


千歌「これにこれを混ぜれば……」

梨子「…!…な、なっな…な…何してるの!!」

千歌「離れて……皆も死んじゃうよ」

曜「今度は硫化水素か!いちいち回りくどいんだよ!」

梨子「そんなの絶対苦しいよ……やめよう?ね?」

千歌「…………」

曜「ビビってんのか?」

梨子「曜ちゃん!黙って!」

曜「お前が黙れ!余所者がっ!」

千歌「……」スッ

梨子「待って!待って!待って!!」

千歌「…………」

梨子「他の人にも…危害が出ちゃう……お願いだから…やめて?」

千歌「…………」

梨子「…無関係の人は巻き込みたくないでしょ?」

千歌「……………まぁ…確かに…それは不本意だね」

梨子「……千歌ちゃん」

千歌「今回だけは…梨子ちゃんに免じて止めてあげるのだ…」

曜「…………」

梨子「……」ホッ

曜「こうなるのを予期してたんだろ!」

梨子「曜ちゃん!?」

曜「本気で死ぬ気がないのが見え見えなんだよう!」

梨子「ちょっと!追い込まないでよ!」

曜「うるさい!口出しするな!」


千歌「ふん……どうせ……千歌なんて…」


10: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:38:53.65 ID:1XLzcCXL.net

~校庭~


千歌「これでよし……」

梨子「千歌ちゃん!木に縄なんて縛り付けて何する気?」

曜「今度は首吊りか!」

千歌「もう邪魔しないでよ……千歌は楽になりたいんだ……」

梨子「ダメよ!まだこれからじゃない!千歌ちゃんの人生!」

曜「そんな枝にくくりつけちゃって、すぐ折れて終わりだよ」

千歌「大丈夫だよ、千歌は曜ちゃんより軽いし」

曜「はぁ?相撲取りみたいな名前の奴が何言ってんのよ!」

梨子「やめてよ!二人とも!」

千歌「さよなら、皆」

梨子「ダメ!待って!」

曜「だから折れるって言ってんじゃん」

千歌「これでやっと……」


『ちょっといいかな?君たち?』


千歌「……?」

『遊んでる所、悪いんだけども』

梨子「よ、用務員のおじさん?」

『おじさんね、この辺を掃除しないといけないだわ』

千歌「あっ…はい……」

『申し訳ないんだけど向こう行っててもらっていいかな?』

千歌「あっ…はい……ご、ごめんなさい」

『こっちこそごめんね』

千歌「いえ……」

梨子「…………」

曜「…………」

千歌「…………」


千歌「ふん…どうせ千歌なんて……」


11: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:39:42.62 ID:1XLzcCXL.net

~廊下~


梨子「ち、千歌ちゃん!そんなの危ないから……おっおっお、下ろして……お、お話ししよう?」

千歌「…………」

曜「今度はナイフか?度胸あんのかよ!」

梨子「挑発しないで!」

千歌「これを首筋をあてて勢いよく引くだけで千歌は楽になれるんだ……」

梨子「やっやめなさい!」

曜「やってみろ!」

千歌「二人共もっと離れてよ、千歌の返り血がついちゃうよ」

梨子「ダメ!そんなことしちゃ!」

曜「また、出来ない理由探しか!」

千歌「やるよ」

梨子「やめて!」

曜「早くやれ!」


ダイヤ「何やってるですか!貴方達!!」バシッ!


千歌「…っ!」

ダイヤ「学校にこんなものを!このナイフは没収します!」

千歌「あっ……」

梨子「……」ホッ

曜「……よかったな!出来ない理由ができて!」

梨子「曜ちゃん!?」

曜「今回は流石に引くに引けない状態だったもんな!」

梨子「やめてよ!!」

曜「うるさいんだよ!転校生が!」


千歌「……どうせ……千歌なんて……」


13: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:40:38.12 ID:1XLzcCXL.net

~帰り道~


千歌「…………」テッテッ

梨子「…………」テッテッ

曜「…………」フラフラ

千歌「ついてこないでよ…」

梨子「そんなこと言ったって、ほっとけないし」

千歌「ふん………」

曜「人が死ぬとこ見てみたいしね~」

梨子「曜ちゃん!」

千歌「…………」

梨子「どこにいくの?千歌ちゃん」

千歌「…海」

梨子「………」

千歌「心配しなくても今日は飛び込まないよ………」

曜「度胸がないから?度胸がないからか!」

梨子「やめてってば!!」

千歌「今日は海を眺めていたい気分なの………」

梨子「……ロマンチックね」

曜「気取っちゃってさ…」

千歌「海の音だけが千歌を癒してくれるんだ…」

梨子「音?」

千歌「波打つ音…飛沫の音…海鳥の声………風の音………ほら、耳をすましてみて」

梨子「………」

曜「……ふん、雑音だよそんなの」


14: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:41:30.60 ID:1XLzcCXL.net

……………………………………

梨子「………本当だ…耳をすませば………いろんな音が聴こえてくる…」

千歌「………まるで海が演奏してるみたいでしょう?」

曜「はぁ?」

梨子「…そうね」

曜「は?」

梨子「ね?」

曜「………」

千歌「……死ぬときはこの音に包まれて死にたいな」

梨子「………千歌ちゃん」

曜「まーた始まった」

千歌「…泡のように消えていきたい」

梨子「…人魚姫みたい」

千歌「海中の音に包まれてみたいな…」

梨子「………海中の音?」

曜「…………」

千歌「全てを癒してくれそうだもん…」

梨子「………私も聴いてみたい…」

曜「…………海中の音ねぇ…」

千歌「………」

梨子「………」

曜「………だったらさぁ」


15: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:42:13.30 ID:1XLzcCXL.net

~海上~


果南「寒い…寒い…こんな時期にダイビングにくるなんて…」

曜「そんな時期にお客様が来てくれて良かったね」

果南「はぁ………しかし、なんで急にダイビングなんて…」

千歌「海中の音を聴きたいんだ…」

果南「海中の音?」

梨子「とっても素敵だろうなって話してたんです」

果南「そんなの人間の耳に聴こえるわけないでしょ」

曜「よし、早速潜るよ」

梨子「楽しみね」

千歌「………ふふ」

果南「聞いてないし」


16: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:42:57.69 ID:1XLzcCXL.net

~~~


梨子(これが海の中………)

曜(ふわぁ~あ)ブクブク

千歌(………不気味なくらい無音だ)スイスイ

曜(何も聴こえないじゃん)スイスイ

梨子(ちょっと二人共、速いよ!…置いてかないで…)ブクブク

千歌(………いや)

梨子(ダメだ…全然追い付かない…)ゴボゴボ

千歌(なんだろう?不思議な音が聴こえる)

梨子(息が…)ゴゴボ

千歌(………)

梨子(………たす…け…)ブクブク

千歌(………)

曜(………)

梨子(…)ゴボッゴボゴボボボ

曜(………ん?)

千歌(………)


17: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:43:40.35 ID:1XLzcCXL.net

~~~


梨子「ぶはぁっ!」

曜「苦しいなら海面に出なよ!」

梨子「だって二人を…見失っちゃうし」ゼェゼェ

曜「都会っ子の癖に!無無茶して!」

梨子「ごめんなさい…千歌ちゃんは?」

曜「ふん!まだ潜ってるよ」


18: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:44:14.94 ID:1XLzcCXL.net

~~~


千歌(………)

千歌(記憶には…ないけど胎内の音みたい)

千歌(なんだかとっても落ち着く…)

千歌(このまま死ねたら気持ちいいだろうなぁ…)

千歌(もう疲れたよ…)

千歌(………このまま息を吐き尽くしたら)

千歌(楽になれるかな…?)

千歌(………………)ブクブク


19: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:44:53.06 ID:1XLzcCXL.net

~~~


子供の頃から自分は普通だと思ってた…

なんでも出来る曜ちゃんが側にいて…

そんな凄い曜ちゃんがいるから…

曜ちゃんに出来て自分には出来ない事があっても…

曜ちゃんは特別だからって…

出来ない自分の事は深く考えなかった…

でもそうじゃなかったんだ…


『えー千歌ちゃんそんなことも出来ないのー?』

『また失敗しちゃったの?』

『千歌は気を付けないとダメよ?他の人よりも何倍も』


気付けば私は、普通以下に成り下がってた…


21: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:45:27.68 ID:1XLzcCXL.net

~~~


千歌(このまま海に溶けてしまいたい………)ブクブク

千歌(思い残した事なんてないし………)ブクブク

千歌(…………)プク

千歌(息が尽きた…)

千歌(……………)

千歌(意識が遠退いてく…)

千歌(このまま…)

ドン

千歌(………………ぁ)

ドン

千歌(………………音?)

ドン

千歌(…………鼓動かな……?)


22: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:46:14.40 ID:1XLzcCXL.net

~~~


果南「大丈夫かぁ~」

梨子「はい!大丈夫です」

曜「ふん、心配かけさせてくれて…」

梨子「心配してくれてたの…?」

曜「はぁ?誰が!」

千歌「ぶはぁっ!!」バシャッ!

梨子「千歌ちゃん!」

千歌「………はぁ…はぁっ!」

梨子「大丈夫?」

千歌「………聴こえたよ…」ゼェ…ゼェ…

曜「………何が?」

千歌「海の音………皆は聴こえなかった…?」

梨子「………」

曜「………」

果南「そんなの幻聴だよ」

梨子「………実は私も……意識が消えそうになった瞬間聴こえたの…ゴゴゴゴって聴こえて…その後…トン…トン…ってリズムで…」

果南「それは死にかけた時の、自分の血管の音だね」

千歌「本当に?」

梨子「うん!」

果南「聞いてないな…」


23: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:47:01.09 ID:1XLzcCXL.net

千歌「私も意識が遠退いてく瞬間に…」

梨子「意識が遠退く?」

千歌「え?」

梨子「まさか…海の中でまた死のうとしたの?」

千歌「い、今はそんなのどうでもよくて…」

梨子「どうでもよくない!」

千歌「………ごめん」

梨子「もうやめてよ……!」

千歌「うん…」

曜「………………」

梨子「…どうしたの曜ちゃん?」

曜「実は私も……」

梨子「曜ちゃんも聴こえたの?」

曜「………うん」

果南「えぇ…」

曜「なんて言っていいかわかんないけど………命の音って言うのかな」

千歌「命の音………」

梨子「神秘的…」

曜「生命の鼓動を体中に感じた」

千歌「そう、鼓動……」

梨子「全ての始まりを感じる鼓動…」

曜「なんだかこの星の一部になれた気がしたんだよね」

千歌「うん……自分達は地球の子供なんだって」

曜「自分一人の命じゃないって…そう感じる瞬間だった…」


24: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:47:34.27 ID:1XLzcCXL.net

梨子「………ふふふ!」

曜「…どうしたの?」

梨子「ごめんなさい…面白くて笑ってるんじゃないの…ふふ」

曜「?」

梨子「嬉しくて」

曜「嬉しい?」

梨子「なんだか私達、今ここで生まれてきたような気がしない?」

千歌「……生まれてきた?」

梨子「そう…そしたら、二人の事がまるで姉妹みたいに思えてきちゃって……」

曜「姉妹…ね…」

梨子「双子や三つ子の赤ちゃんって、こんな気持ちなのかしら?」

千歌「?」

梨子「私ね、今二人の顔が見れて凄く嬉しいの!」

曜「……………」

千歌「………ふっ」

梨子「あはは!」

曜「ふふふっ」

千歌、梨子、曜「あはははは!あはははははは!あはは!」



果南「………なに言ってんの…あの子達…」ドン引き


25: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:48:08.44 ID:1XLzcCXL.net

~~~


千歌は曜ちゃんのせいにしてたのかな?

出来ない自分を正当化するために…

でも、誰のせいでもないんだよね…

だから苦しいんだよね…

出来ない自分を見るのは…

出来ない自分を認めるのは…


~~~


梨子「あははは!」

千歌「…ねぇ曜ちゃん」

曜「………なに?」

千歌「ごめんね?」

曜「………なにが?」

千歌「なんでも!」

曜「……………うん!」

梨子「あはははは!!」

曜「ちょっと…笑いすぎだよ!梨子ちゃん」

梨子「だって…嬉しくって」

曜「まったく」

梨子「……曜ちゃん?」

曜「ん?」

梨子「私の名前…初めて呼んでくれた!」パァッ

曜「そうだっけ」

梨子「そうだよ!」パァッ!

曜「あんまり喜ばないでよ恥ずかしいなぁ…」

千歌「曜ちゃん照れてる!」

曜「からかわないで!」


26: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:48:43.87 ID:1XLzcCXL.net

~~~

あれから3人はいつも一緒にいるようになった……

3人でいると毎日とっても楽しかったし……

あの音を聴いてからは、まるで世界が変わったみたいで……

何をしても楽しかった……

でも、変わったのは世界じゃなく……

私達の方かな…?


28: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:49:32.39 ID:1XLzcCXL.net

~数日後~


梨子「曜ちゃん、もう一回やって」

曜「よく聴いといてよ~」

曜は持っていた金属バットで校舎の窓ガラスを叩き割る。

ガシャーン!と音をたてて壊れるガラス。
飛び散った破片が床にジャラジャラと音をたてて降り注いだ。

千歌「す、すごい…」

梨子「あぁん……」

曜「……」ゾクゾク

その甘美な音に3人は魅了されていた。

梨子「……まるで大ホールで浴びる歓声のようね」

曜「浴びた事あるの?」

梨子「………まぁ、昔ね…」

曜「ふーん」

千歌「もう一回、聴きたい…」

曜「仕方ないなぁ、もう1発やりますか!」

ガシャーン!

ジャラジャラ………

千歌「あぁ………」

梨子「何回聴いても飽きないわ」

曜「う~ん、最高…」

千歌「もう一回!」

曜「よーし………」


ダイヤ「ちょっと!貴方達!」


曜「げっ」

ダイヤ「何やってるんですか!」

曜「逃げるよ!」


29: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:50:33.24 ID:1XLzcCXL.net

~~~

あの日変わったのは……

私達の関係だけじゃなくて…

私達の感性も変わってしまったみたい……


30: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:51:14.51 ID:1XLzcCXL.net

梨子「グラウンドなんか出て何が聴こえるの?」

千歌「ちょっと待ってて今探してるから」

曜「何を?」

千歌「不発弾」

梨子「不発弾!?」

曜「もしかして爆発音を聴こうとしてるの?」

千歌「うん」

梨子「爆発音?私も聴きたい!聴きたい!」

千歌「ここは沼津市だからね…探せばあるはずだよ」

梨子「私も手伝う」

曜「私も!」

千歌「ここかな」

梨子「そこかも」

曜「よ~そろ~」



果南「ちょっと!3人共!グラウンド荒らさないでよ!」


32: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:51:47.23 ID:1XLzcCXL.net

~~~

あれから毎日……

私達はまるで音に取り憑かれたように…


34: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:52:30.33 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「火の音…落ち着く…」

梨子「木の燃えるパチパチって音が可愛いね」

曜「ねぇねぇ!この本なんて燃やしたら良い音鳴りそうじゃない?」

梨子「うわぁ!楽しみ!早速入れてみてよ!」

曜「ほーい」ポイ

ボボボ

パチ…パチ…

…ジリ

梨子「………!」

千歌「ほぉ………」

曜「おぉ………」

梨子「………うぅっ」ポロッ

千歌「…どうしたの?」

曜「…泣いてるの?」

梨子「ごめんね、悲しい訳じゃないの……でも、さっきの音…なんだか……とても儚かったから」グスッ

千歌「本には書かれている事以外にも1冊1冊歴史がある……」

曜「それが朽ちる音だね………」

梨子「これもまた命の音なのかな…」


花丸「ちょっと何やってるずら!学校の本を燃やしたらダメずらよ!」


曜「次はこの聖書燃やしてみようか」

千歌「分厚い……」

梨子「どんな音が聴こえてくるかな?」

花丸「あわわわわ……」


35: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:53:12.88 ID:1XLzcCXL.net

~~~

音を求める探求者に変わっていったんだ…

~~~


ダイヤ「まったく!」

千歌「………」

ダイヤ「貴方達は何がしたいんですか!」

千歌「何って……?」

梨子「……う~ん…知的好奇心の探求かな?」

千歌「うん、それです」

ダイヤ「…窓ガラス割ったり、グラウンドの土を掘り返したり、学校の本を燃やす行為が?」

千歌「はい」

ダイヤ「意味がわかりませんわ……」

梨子「音が聴きたいんです!私達は…」

ダイヤ「音?」

ガシャーン!!!

ダイヤ「な、何ですか!」

曜「おぉ………」

梨子「曜ちゃん!何したの?」

曜「綺麗な壺があったから…つい」

梨子「凄いよ!今日一番の素敵な音だった!」ゾクゾク

千歌「体中が震える…」ブルブル

曜「だよね!だよね!」ハァハァ

ダイヤ「………」


36: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:53:57.86 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~


千歌「まさか停学になるなんて………」

曜「どうするのこれから?」

梨子「自宅謹慎って言われたけど」

千歌「やっと夢中になれる事に出会えたんだ…家になんかにいられないよ…」

梨子「だよね」

曜「しょうがないなぁ、手伝うよ」

千歌「本当?」

曜「うん」

梨子「私も手伝うわ」

千歌「えへへ…ありがとう…」

~~~

曜「よーし!いくぞー!」

曜は工事現場から勝手に持ってきたドリルを使い、おもむろに道路を削り出す。

ガガガガガガガガッ!

ギギギギギギギギッ!


梨子「凄い…」

千歌「規則性のある綺麗な音だ…」

曜「これさぁ!道路の黒っぽい所だと!この音だけど」ガガガガ!

曜「白っぽい所だと!この音だよ!」ギギギギギギッ!!

梨子「そっちの方が軽い音なのね」

千歌「同じ道路でも全然違うんだ…」

曜「よし!今度は電柱やってみよう!」

梨子「どんな音がするのかな?」

千歌「楽しみだね!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!……ドッシャーン!!


37: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:54:37.97 ID:1XLzcCXL.net

~~~


ダイヤ「はい、もしもし」

ダイヤ「はい、はい……」

ダイヤ「そうですが………」

ダイヤ「…えぇ?」

ダイヤ「うちの生徒が公共物を破壊している?」


~~~


ダイヤ「………自宅謹慎と言いましたよね」

千歌「………」

ダイヤ「いったい何が貴方達をそこまで駆り立てるんですか…」

ガシャーン!!

ダイヤ「………」

梨子「曜ちゃん!」

曜「やっぱこの音だよね!」

梨子「本当に最高よ…この音」ゾクゾク

曜「ね?ね?」ハァ…ハァ…

ダイヤ「………」


38: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:56:07.64 ID:1XLzcCXL.net

~公民館~


千歌「まさか薬物検査されるなんてね」

曜「侵害だよ」

梨子「感性が多感になっただけなのにね」

曜「しかし、ここで待てって言われたけど何なんだろ」

梨子「音がそんなに聴きたいなら聴かせてやるってダイヤさんが言ってたけど…」

千歌「あっ…ダイヤさんだ…」

曜「なんか運んでるよ」

梨子「あれは、お琴ね」

曜「おとこ?」

梨子「演奏するみたい…」



ダイヤ「………………」

トゥララララララララ~♪

千歌「!」

曜「これは!」

梨子「………なんて繊細な」ゾクゾク

ラン♪

タラン♪

梨子「弦から奏でられる音色が鼓膜を震わせるわ…」

曜「体中の血管があの弦になったみたいに震えてる」ガクガクガクガク

千歌「頭のなかにイメージが…浮かんでくるよ…」ガクガク

梨子「平安時代にタイムスリップしたみたい…」

曜「私達、源氏なのかな…」

タラン♪


39: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:56:49.48 ID:1XLzcCXL.net

ラララララ♪

千歌「白い靄がかかってる…死後の世界みたい…」

ラララララタラタラララン♪

梨子「うっ……!」

曜「あぁぁぁ!」

梨子「………みをつくし
恋ふるしるしにここまでも…
めぐりあひけるえにはふかしな…」

曜「………数ならで
なにはのこともかひなきに
などみをつくし思ひそめけん…」

タラタラララン♪

千歌「………ぁぁ」

千歌(……この感覚………海中の時に似てる)

千歌(懐かしくて………温かくって)

千歌(………)


………………………


千歌「………?」

梨子「………もう終わっちゃったの?」

曜「そんなぁ………これじゃ生殺しだよぉ…」

ダイヤ「………」スッ

梨子「………あれ?ダイヤさん…奥にある大きな太鼓の所に行ったわ」

曜「まさか…あれを…」

千歌「…!」


41: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:58:09.60 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「はぁっ!」

ダン!ダン!ダン!
ダダダダダン!
ドドン!

千歌「音の衝撃が…!」

梨子「これが生で聴く打楽器…!」

曜「………すごっ!」


ダイヤ「はい!」

ドドン!ドドン!

千歌「空気が………建物が震えてる!」

梨子「まるでこの公民館全体が楽器みたい…」

曜「それどころか…私、自身が…」

千歌「………!」


42: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:58:43.87 ID:1XLzcCXL.net

梨子「あっ……!」ブルブル

曜「楽器になっちゃう…楽器になっちゃうよう!」ガタガタガタガタ

ダイヤ「とおぉっ!」

ダダダダドドン!

千歌「音の衝撃が………」

梨子「私達の体まで震わせて」ブルルルルルル

曜「音色が私達の体でも奏でられてる!」ブルルルルルル

千歌「骨が震えてるのが感じられる…」ブルルルルルル

ダイヤ「ていやっ!」

ダダダダダン!ダン!ダン!ドドン!

梨子「そんなっ…中でも外でも…音が響いて………」ビクッビクッ

曜「意識が………途切れる………!」ブルブル

千歌「……あっ」ガクガク

千歌(これは……)

千歌(……生命の……鼓動だ……)

千歌(……海中で聴いた)

千歌(……命の……音……!)


ダイヤ「これが音を!」

ダン!ダダダダ…ドドン!
ドドン!ダダダダ!

ダイヤ「楽しむということですわ!」

ダダン!


43: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 13:59:38.11 ID:1XLzcCXL.net

~数時間後~

千歌(気がついたら……自分の部屋にいた……)

千歌(誰が運んでくれたんだろ……)

千歌(…………)

千歌(あれが音楽…か…)

千歌(今までもたくさん触れてきたのに…)

千歌(なんで今更…)

千歌(こんなにも新鮮に感じて)

千歌(こんなにも心を震わせるの?)

────────────

梨子『なんだか私達、今ここで生まれてきたような気がしない?』

────────────

千歌(そうか……)

千歌(…あの時……生まれ変わったから)


44: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:00:12.55 ID:1XLzcCXL.net

~~~

梨子(…………)

梨子(海の音を聴いてから変わってしまったみたい)

梨子(諦めた筈なのに、表現したいと思ってる)

梨子(ピアノで…あの海の音を…あの打楽器のような衝撃を…)

梨子(でも無理よね…)

梨子(もうこの手じゃ…)

梨子(左手……これ以上…広がらないだもん………)

梨子(…………)

梨子(………ふふ)


45: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:00:45.59 ID:1XLzcCXL.net

~~~


曜(よいしょ……)

プワァーーーー!

曜(船の汽笛こんな音なんだ…)

曜(小さい頃から聴いてた筈なのに)

曜(大好きな音だった筈なのに)

プワァーーーー!

曜(今聴くと細かい音までよく聴こえて)

曜(もっと好きになっちゃった…)

曜(もう一回……)

プワァーーーー!

曜(……ふふふ)

『曜!何時だと思ってるんだ!』


47: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:01:22.57 ID:1XLzcCXL.net

~翌日~


梨子「音楽をやりたい?」

千歌「うん…」

曜「また、急だねぇ…まぁ気持ちはわかるけど」

千歌「本当?」

曜「…じゃあさ、そういう部活に入る?」

千歌「部活かぁ……」

梨子「吹奏楽部とかあるの?この学校」

曜「どうだったかなぁ、でも最近音楽系の新しい部活が設立されたらしいけど……」

梨子「新しい部活?」

曜「え~と……確か…ゴシックメタル部?……とか言ったっけ…」


49: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:02:40.98 ID:1XLzcCXL.net

~体育館~

善子「今日も私達のミサに集まってくれてありがとう!」

『うぉー!』


千歌「凄い歓声……」

曜「先月、始めたばっかりらしいけど」

梨子「大人気ね」


善子「まずはいかれたメンバーを紹介するわ!ドラムのずら丸!」

花丸「花丸ずら!」シャンチャンバァ~ン

善子「ギター!ルビィ!」

ルビィ「ピギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」


梨子「す、凄いシャウト…」

曜「頭が割れそう………」

千歌「……うぅ」


ダイヤ「ルビィったら……なんて…はしたない……」ワナワナ


善子「そしてヴォーカルはこの私…」

『善子ー!善子ー!』

善子「ヨハネよ!!」


梨子「凄い…設立して1ヶ月しか経ってないのに…もうテンプレが出来上がってるの…?」

曜「天ぷら?」

梨子「始まるみたいよ…」


51: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:03:35.75 ID:1XLzcCXL.net

~Daydream Warrior~

善子「気配が消えた?私の呼吸が…
荒く激しく 辿るてがかり」

ルビィ「探しながらも 見つけたくない
見つけたらすぐ 攻撃しなきゃ!」

善子「どうしてあなたが敵なのか」マイク スッ

『きっと誰にもわからない!』


梨子「マイクパフォーマンスも完璧ね…」

千歌「観客も歌うんだ…」

曜「すごい、一体感を感じるね……」


善子「こんなに惹かれた訳さえも」マイク スッ

『本当のことはわからない!』

花丸「悪い夢なんだ」

バンッ!


梨子「黒い羽が!」

曜「たくさん舞って…」

千歌「別世界みたい…」


52: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:04:21.64 ID:1XLzcCXL.net

善子「光と闇のDaydream !」

『Daydreamer!』

善子「黒いとびらの向こう…待ち受けるのは…」

『運命に』

善子「抱かれた私の Lost love」

善子、花丸、ルビィ「あの日知った優しさだけ 忘れないと!
額伝う 汗をぬぐい…
自らの手で終わりにしよう!」


善子「ルビィ!」

ルビィ「ピギィッ!ピギィッ!!」ガンッ!ガンッ!


梨子「あっ!ツインテールの子がギターを床に叩きつけて破壊してる!」

曜「あれも演奏の一部なの?」

千歌「凄い…気迫…」


ダイヤ「ルビィ……なんて野蛮な……」アワワワッ


善子「花丸!」

花丸「ずら~!」ゴクゴク…ブオォ!


梨子「あの子は、何かを口に含んで火を吹いたわ!」

曜「!!吐いた火が空に舞う羽に引火して!」

梨子「空中で次々に燃え広がってる!」アワワ

曜「まるで地獄みたいだ……」ガクガク

千歌「……こ、これが………バンド!」

梨子「音だけじゃない……視覚的にも楽しませようとしてるのね……」

曜「この光景……本当に現実なの……?」


ダイヤ「……悪夢ですわ」クラッ


53: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:05:04.52 ID:1XLzcCXL.net

~~~


曜「体育館全焼だって」

梨子「あっという間だったもんね」

曜「そのせいでゴシックメタル部は無期限の活動休止みたい」

梨子「あらま」

千歌「………」

曜「やりたかった?バンド」

千歌「……ううん、千歌には向いてないかな…ああいうのは…」

梨子「そう思う」

曜「他に音楽活動っていってもなぁ」

梨子「…………」

千歌「梨子ちゃんは何かやってなかったの?」

梨子「私?私は…………」

梨子「ピアノ…やってたよ……」

千歌「ピアノを?」

曜「聴きたい!」

梨子「でも、もうやめたんだ…」

千歌「どうして?」

梨子「いろいろあってね」

曜「……?」

曜(……左手が震えてる?)

梨子「………で、でも二人に教える事くらいなら出来るよ?」


54: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:05:40.95 ID:1XLzcCXL.net

~音楽室~

梨子「これがドレミ」

千歌「うん」ポロロン♪

梨子「この3つだけでも曲が弾けるんだよ」

千歌「そうなの?」

梨子「ドレミレド ドレミレドレ~ってやってごらん」

千歌「うん」ポロロンロロン ポロロロロローン♪

曜「チャルメラだね」

千歌「すごい、弾けた…」

梨子「ふふ、次はチューリップ弾いてみようか……」


…………………………


梨子「もうこんな時間だ」

千歌「本当だ…」

梨子「楽しかった?」

千歌「うん……」

曜「梨子ちゃんは教え方が上手いね」

梨子「子供の頃の……先生の真似よ」

曜「良い先生だったんだね」

梨子「えぇ、とっても…」

曜「ふふ…」クス

梨子「ところで曜ちゃんは弾かないの?」

曜「……私?…私は、いいかなぁ……」

梨子「そう?」

千歌「……?」

曜「そんなことよりそろそろ帰ろうよ、終バスの時間だよ~!」バッ!

梨子「あっ!待ってよ曜ちゃん!!」

千歌「……」

曜「ほら、千歌ちゃんも急いで!」

千歌「……あっ…うん!」


55: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:06:16.29 ID:1XLzcCXL.net

~~~


梨子(あれから数日)

梨子(千歌ちゃんの演奏は上手いわけじゃないけど)

梨子(音を奏でる楽しさを聴いてる人にも感じさせてくれる)

梨子(そんな素敵な演奏)

梨子(私もあんな風に、また弾きたいなぁ…)

梨子(……なんてね)


~~~


ガラッ

曜「あれ?千歌ちゃんは?」

梨子「用事があるとかで後で来るって」

曜「そっか」

梨子「曜ちゃんも弾いてみない?」

曜「えぇ?どうしよ…」

梨子「興味ない…?」

曜「…………実は前からちょっと弾いてみたかったの」

梨子「ふふ、だと思った」

曜「……でも、千歌ちゃんが来るまでの間だけね」

梨子「?」


56: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:06:56.09 ID:1XLzcCXL.net

~~~

曜「~~♪」

ララン ラン ララララン♪
ラララララララン ララン ララン ララン♪

曜「以上、月の光でした~」

梨子「………」

曜「あれ?」

梨子「………す、凄いよ…曜ちゃん」

曜「え?」

梨子「楽譜を見ただけで……完璧過ぎる…天才だよ…」

曜「そんな言い過ぎだって…」

梨子「本格的にピアノ始めた方が良いって!」

曜「いや、そういう興味はないし…」

梨子「なんだったら私の先生を紹介して…」

曜「もう、いいってば!」


────
──────
────────


千歌「………………」

~~~

曜ちゃんはいつもこうだ…

なんでも器用にこなせて…

ズルいなぁ…


57: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:07:47.07 ID:1XLzcCXL.net

~砂浜~

千歌「………」

千歌「………はぁ」

千歌「…………」


ダイヤ「……あら、千歌さん」

千歌「………」

ダイヤ「…どうしたんです?こんなところで?」

千歌「………別に」

ダイヤ「また前みたいな顔つきに戻ってますよ?」

千歌「………関係ないでしょ」

ダイヤ「音を探して暴れ回るのも迷惑ですが、また死にたがりに戻られるのも迷惑ですわ」

千歌「……貴方には……ダイヤさんにはわからないよ」

ダイヤ「なにがです?」

千歌「………ダイヤさんも何でも完璧にこなせる人だもん、そんな人に千歌の気持ちはわからないよ」

ダイヤ「………そうですわね」

千歌「否定しないんだ」

ダイヤ「自分を低く評価するよりましです」

ダイヤ「自分の可能性を潰すのはいつだって自分なのですから」

千歌「………出来る人の意見だね………」

ダイヤ「そうでしょうか?」


梨子『千歌ちゃーん!』

曜『おーい!』


ダイヤ「…あら、お友達が来ましたよ」

千歌「………」


58: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:08:49.68 ID:1XLzcCXL.net

梨子「どうしたのこんなところで…」

曜「あっダイヤさん」

ダイヤ「どうも」

千歌「…………」

梨子「千歌ちゃん?」

曜「?」

千歌「………皆にはわかんないよ」

梨子「…どうしたの?急に……」

曜「千歌ちゃん……?」

千歌「出来ない人の気持ちなんてわかんないよ!」

千歌「頑張っても上手に出来ない人の気持ちなんて…」

千歌「後から追い抜かれる気持ちなんて……」

千歌「私だけ出来ない時の気持ちなんて……」

千歌「わからないでしょ!」

千歌「皆には出来るのに私には出来ないなんて……」

千歌「こんなの……」

千歌「まるで障害者みたいじゃん!」

梨子「……っ!」ビクッ

曜「…梨子ちゃん?」

梨子「な、なんでもない……」

ダイヤ「呆れましたわ…千歌さん……貴方ね…!」

千歌「完璧超人が説教しないでよ!」

曜「千歌ちゃん…」

千歌「曜ちゃんもだよ!」

曜「……?」

千歌「なんでも出来る完璧超人!」

千歌「……曜ちゃんのピアノ聴いたよ…」

曜「……!」


59: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:09:32.46 ID:1XLzcCXL.net

千歌「やっぱり凄いや……曜ちゃんは……」

曜「そんなこと……」

千歌「謙遜しないでよ!わかってた癖に!」

千歌「最初にピアノ教えてもらったとき曜ちゃん断ったよね!」

千歌「あれって、自分は私より出来るって思ったからでしょ!」

曜「…………」

千歌「曜ちゃんは昔からそう!そうやっていつも千歌を下に見て!見下してて!」


千歌「………ムカつくんだよ!!」


曜「!!」

曜「…………」

曜「……本気で…言ってるの?」

梨子「…千歌ちゃん!曜ちゃんがそんな風に思ってる訳ないでしょ!」

ダイヤ「千歌さん、お友達に何て事を言うのです」

千歌「うるさい!!!!!!」

千歌「皆…うるさい……!」

千歌「…………千歌は…」

千歌「……千歌は……」


ブルルル…


千歌「…………」


ブルルルルルル…


千歌「…………?」


ブルルルルルルッ!


千歌「……ヘリ…コプター?」


60: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:10:07.01 ID:1XLzcCXL.net

~上空~

ブルルルルルルッ!

鞠莉「oh!あんな所に沼津の小市民共がいまーす!ギリギリまでヘリで近付いてビビらせてあげましょう!」


~砂浜~

梨子「……あれ…こっちに近付いてくるよ………」

曜「墜落しそうな勢いだね…」

千歌「そんなことより…この音…」

曜「……うん…まるで…地上の生き物を威圧するような…エンジン音…」

梨子「凄く…怖い…原始的な…恐怖…まるでDNAに組み込まれまれてるみたい…」ガクガク

千歌「プロペラが風を斬る音も…」

曜「ギロチン台に拘束されて死を待つような感覚」ゾワッ

千歌「も…もっと…近くで聴きたい!」ハァ…ハァ…

曜「近付こう!」

梨子「うん!」

千歌、梨子、曜「おーい!あはは!あはは!」ダッダッダッ



ダイヤ「…………えぇ」ドン引き


62: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:11:14.65 ID:1XLzcCXL.net

~上空~

ブルルルルルルッ!

鞠莉「!!」

鞠莉「沼津の小市民共が狂ったように、こちらに走り寄ってきてまーす!」

鞠莉「NO……このままだと………」

鞠莉「ぶつ…かる…!」アタフタ

ブルルルルルル…

ドオォォォォン!


………………


ガシャン!


鞠莉「…大惨事でーす」ゴホッゴホッ

梨子「凄い音だったね…」

千歌「でも、あっけない最後だったね」

曜「あんなに威圧感のあった存在も地に墜ちた瞬間、鉄の塊になるんだもんね」

鞠莉「……けほっ……なんなんですか貴方達は……」

梨子「それはこっちの台詞だと思うけど……」

鞠莉「……あら?貴方は…桜内梨子さん?」

梨子「……そ、そうですけど…?」

鞠莉「こんなところで偶然出会えて丁度よかったわ!」

梨子「?」

鞠莉「私は小原鞠莉」

梨子「……はぁ」

曜「……大富豪の娘さんだよ」ヒソッ

梨子「えっ!」

鞠莉「小原グループ主催の音楽祭が開催されるので、そこにあなたにもエントリーして頂きたく探していたんです」

梨子「音楽祭ですか……?」


63: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:11:50.54 ID:1XLzcCXL.net

鞠莉「yes!貴方、ピアノがお上手なんですってね」

梨子「私は……」

鞠莉「是非、弾いてもらいたいんです」

梨子「……ごめんなさい……もうピアノはやめたんです」

鞠莉「oh!それは勿体ない……」

梨子「すみません……」

鞠莉「ですが、才能ある者はその力を使う義務があるんですよ?」

梨子「…………」

曜「……義務?」

千歌「…………」

鞠莉「どうか考え直してくれませんか?」

梨子「……出来ないんです」

鞠莉「Watts?」

梨子「左手の……」スッ

鞠莉「?」

梨子「指が……これ以上広がらないんです…怪我をして……」

千歌「えっ…」

曜「……」

鞠莉「…oh………ごめんなさい……そうでしたか……」

梨子「こちらこそ…期待に応えられずに…」

千歌「…………」


ダイヤ「ちょっと鞠莉さん!どういうことですか!この有り様は…」

鞠莉「oh!ダイヤ!ひさしぶり~!」


千歌「…………」


64: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:12:37.58 ID:1XLzcCXL.net

~夜~


千歌(…………梨子ちゃん)

────────────

千歌『出来ない人の気持ちなんてわかんないよ!』

千歌『頑張っても上手に出来ない人の気持ちなんて…』

千歌『後から追い抜かれる気持ちなんて……』

千歌『私だけ出来ない時の気持ちなんて……』

千歌『わからないでしょ!』

千歌『皆には出来るのに私には出来ないなんて……』

千歌『こんなの……』

千歌『まるで障害者みたいじゃん!』

────────────


千歌(千歌……最低な事言っちゃった……)

────────────

千歌『曜ちゃんは昔からそう!そうやっていつも千歌を下に見て!見下してて!ムカつくんだよ!』

────────────

千歌(曜ちゃんにも……酷いこと……)


65: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:13:11.50 ID:1XLzcCXL.net

~~~


曜(…………)

曜(……出来る人か)

曜(出来る人には義務があるの?)

曜(出来るから?出来ない人がいるから?)

曜(わかんないよ…)

曜(……千歌ちゃん…私ってそんなに凄い人なの?)

曜(……どうすればいいの…)

曜(…………)


66: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:14:02.11 ID:1XLzcCXL.net

~数日後~


~校門~


千歌「…………」ムスー

鞠莉「ハーイ」

千歌「…………」ムッスー

鞠莉「あの時の子ねー」

千歌「…………」チラッ

果南「おっ千歌じゃん、おはよー」

千歌「…………」フンッ

鞠莉「千歌っていうの?じゃあ千歌っちって呼ぼうかしら?」

千歌「…………」

鞠莉「今日はお一人で通学?」

千歌「…………」

果南「最近、授業サボってるらしいね」

鞠莉「ワーオ!不良さんで~すね!」

千歌「…………」

果南「まぁ…ほどほどにしなよ?二年生なんだし」

千歌「…………」


千歌「……ふん!」


68: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:14:36.61 ID:1XLzcCXL.net

~~~


梨子(私達はあれから、3人で集まることもなくなった……)

梨子(千歌ちゃん……学校には来てるらしいけど)

梨子(クラスには顔を出さないの……)

梨子(なんでこんなことになっちゃったんだろ……)

梨子(私が……ピアノなんて教えたからかな……)

梨子(……曜ちゃんの方は)

梨子(……あれから更にピアノの練習をしてて)

梨子(正直、プロのレベルに達していると思う)

梨子(でも、最近の曜ちゃん……)

梨子(なんだか人が変わってきてるみたい……)


69: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:15:14.63 ID:1XLzcCXL.net

~放課後~


梨子「……曜ちゃん、凄く上手になったね……」

曜「そう?」タラン♪

梨子「世界に通用すると思う……」

曜「言い過ぎだって」

梨子「コンサートでも出てみない?私、コネはあるから出れる所探してあげるよ」

曜「えぇ……」

梨子「…興味ない?」

曜「……実は…ちょっとある」

梨子「だと思った」

曜「自分の力がどんなものなのか、私の演奏で皆がどんな顔をしてくれるのか、凄く気になるの……」

梨子「……曜ちゃん」

曜「試したいのかな……確かめたいのかな……自分の力を…」

梨子「力…」

曜「凄く……うずうずしてるの……」

梨子「…………」

曜「急に、こんな気持ちになるなんて……変かな?」

梨子「そんなことないよ!」

曜「そうかな……」

梨子「うん……」

梨子「よし!じゃあ探しておくね!」

曜「本当?」

梨子「もちろん」

曜「……ありがとう」


鞠莉『その必要はありませーん!』ガラッ


曜「へっ?」

梨子「……ま…鞠莉さん?」


70: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:15:53.91 ID:1XLzcCXL.net

~屋上~

千歌「………」

千歌「………はぁ」

千歌「…………」


ダイヤ「……千歌さん、こんなところにいたんですね」

千歌「…………」

ダイヤ「サボりはいけませんよ」

千歌「今は放課後だよ」

ダイヤ「朝からここにいたんでしょう?」

千歌「……関係ないでしょ」

ダイヤ「私は生徒会長ですよ?生徒に勝手なことをされると一番困りますわ」

千歌「自分の事ばっか……」

ダイヤ「貴方もそうでしょう?」

千歌「誰も千歌の事なんて……」

ダイヤ「……心配して欲しいんですか?」

千歌「…………別に」

ダイヤ「……千歌さん大丈夫です?何か悲しいことがありました?元気を出してください」ナデナデ

千歌「やめてよ気持ち悪い」パシッ

ダイヤ「めんどくさい人ですわ」

千歌「…………」

ダイヤ「そんなことより……何の用か知りませんが鞠莉さんが呼んでるんです、一緒に来てください」

千歌「……?」


71: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:16:30.05 ID:1XLzcCXL.net

~理事長室~


梨子「なんなんですか?こんな所に連れてきて……」

曜「あっ……」

千歌「……」

梨子「…千歌ちゃん」

千歌「……」フイッ

善子「話って何なのよ!」

花丸「マルは図書委員の仕事で忙しいずら」

ルビィ「ピィギギギギギギッ!!」抗議のピィギ

ダイヤ「ルビィ!はしたないから、それはやめなさいと言ったでしょう!」

ルビィ「チッ!」

果南「騒がしいなぁ」

鞠莉「静粛に!」

………………

鞠莉「皆さんに集まってもらったのは音楽祭についてです」

善子「音楽祭?」

鞠莉「yes!この沼津市をPRするために音楽祭を開催する事になりました!!」パンパカパーン



……シーーン


72: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:17:13.19 ID:1XLzcCXL.net

鞠莉「………え~、ごほん」

鞠莉「…ジャンルを問わず…沼津の小市民共があらゆる音楽で場を沸かせ競いあう」

鞠莉「ミュージックバトルロワイヤルを開催するんです!!」

鞠莉「そして、なんと!その様子は全世界にネット配信されます!凄いでしょう?」

ダイヤ「話が見えませんわね、それと私達を集めた事と何か関係が?」

鞠莉「おおありです!貴方達、浦の星女学院の生徒にも是非出場して貰いたいの!」

ダイヤ「は?」

曜「誰でも出れるんですか?」

鞠莉「細かい選別はありますが沼津市民なら誰でもチャンスはありまーす」

鞠莉「しかも、我小原グループ主催の祭!私が裏を回せば簡単に出れるでしょう!」

鞠莉「ただ1つの意気込みさえアピールしてくれれば皆さんを音楽祭にエントリーしますよ!!」

曜「意気込み?」

鞠莉「この廃校になる浦の星女学院を救おうという熱い意気込みでーす!!」



………………


73: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:17:50.16 ID:1XLzcCXL.net

梨子「…………廃校に?」

曜「……なるの?」

鞠莉「イエース!」

ダイヤ「この浦の星女学院が?」

果南「廃校に?」

鞠莉「イエース!」


曜「………………」


ダイヤ「………………」


鞠莉「……?」


鞠莉「……あっ!廃校といってもまだ決定じゃなくて、この音楽祭の結果次第では…」

曜「廃校なんてどうでもいい!」

鞠莉「……え?」

曜「どうでもいいけど!音楽祭には出たい出たい出たい!」

梨子「全世界に曜ちゃんの実力を誇示するチャンスだもんね!」

鞠莉「……?」

曜「でも、この学校の為じゃないと出場出来ないなんて……」

梨子「そういう事にして参加したら?」

曜「私…嘘はつけないよう……」

鞠莉「あれ?思ってた反応と違う……」


74: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:18:26.64 ID:1XLzcCXL.net

善子「ちょっと!廃校ってどういうことよ!」バンッ!

鞠莉「ッ!」ビクッ

善子「私達1年なのよ?廃校するなんて知ってたらこんな学校受けなかったわよ!どうしてくれるの!」

ルビィ「そうだよ!」

花丸「ずら!」

鞠莉「oh……それは……」アワワワッ

ダイヤ「鞠莉さん!廃校だなんて聞いてないですよ!」バンッ!

鞠莉「ひっ…!」ビクッ

果南「鞠莉は昔からそういう所あるよ…問題を先伸ばしにして手遅れになってから相談しにきたりさ」

鞠莉「いや、あの……」

ダイヤ「これはどういうことなんです!」グイッ

鞠莉「あわわわわ…」

千歌「…………」スッ

鞠莉「ちょ、ちょっと千歌っち……どこに……?」

千歌「馴れ馴れしく呼ばないでよ!」

鞠莉「!!」

千歌「……千歌には関係ない、音楽祭も……廃校も……」

鞠莉「ちょ、ちょっと待って……」

ダイヤ「鞠莉さん!逃げないでください!」

善子「どうするのよ!私達!」

鞠莉「…え~と、あの~」


75: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:19:26.75 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「…………」

千歌(廃校なんてどうだっていい)

千歌(音楽祭もだ…)

千歌(千歌には……関係ないし)

~~~

千歌「…………」

梨子「待ってよ!千歌ちゃん」テッテッテ

千歌「…………」

梨子「どうして避けるの!」

千歌「……ほっといてよ」

曜「まーた、やさぐれ千歌ちゃんに戻ってるよ」

梨子「急に教室にも顔を出さなくなったし、どうしたのよ……千歌ちゃん」

千歌「関係ないでしょ!」ギロッ

梨子「…………」

曜「なに?今度は不良キャラ?全然怖くないんだけど」

千歌「……」ギロッ

曜「ふん!かかってきなよ!私の事、昔っからムカついてたんでしょ?」

梨子「曜ちゃん…?」

曜「それとも殴る事すら出来ないのかな?」

千歌「…っ!」

梨子「やめて!千歌ちゃん」

曜「こいよ!」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)


77: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:20:21.33 ID:1XLzcCXL.net

千歌「………このっ!」ダッ

曜「かかってこい!!」

千歌「やぁっ!」ドゴッ!

曜「───っ!」クラッ

梨子「曜ちゃん!」

曜「……ふっ」フラッ

千歌「はぁ……はぁ……」

曜「…全然痛くないね!……そんなへなちょこパンチじゃ!」

千歌「…………」

曜「もう一発きなよ!」

千歌「……っ!」

梨子「やめて!!千歌ちゃん!」

千歌「……はぁっ!」バキッ!

曜「っ……がっ!効かないな…」フラッフラッ

梨子「もうやめてよ!!!」

曜「響かないよ!全然……」

千歌「…………」

曜「もう終わりなの?」

千歌「このっ!」

梨子「もうやめてっ!!!!」


鞠莉「んー?何の騒ぎでーす?」


梨子「ま、鞠莉さん?」

鞠莉「理事長室から逃げてきました、それよりこれは……」

梨子「二人を止めてください!」

鞠莉「oh!殴りあいですか、良いですね青春でーす」

梨子「はい?」

鞠莉「やれぇ!殺しあえぇ!!」

梨子「!!」


78: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:21:20.06 ID:1XLzcCXL.net

千歌「このっ!」ゲシッ!

曜「うっ………」フラッ

千歌「やぁっ!」バキッ!

曜「…くっ!」フラッ

廊下には人が人を殴る生々しい音が響き渡る……

梨子「やめてよ…!!」

梨子(こんな音……聴きたくない……!)

千歌「てやぁっ!」ドカッ

曜「うっ……」ヨロッ

一方的に殴られていた曜は、ついに倒れ込んでしまった。

梨子「曜ちゃん!!」

鞠莉「oh!ストップ!」

鞠莉が慌てた様子で曜に近付いていく。

梨子「ま、鞠莉さん?」

倒れた曜を抱えて無理矢理立ち上がらせる。

鞠莉「OK!さぁもう一発ぶちかましてやりなさい!」

梨子「な、何やってるんですか!!」


79: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:21:59.92 ID:1XLzcCXL.net

千歌「…………」

曜「…………ごほっ……やれよ……バカ千歌!」

千歌「………………」

千歌「う、うおぉぉぉぉぉっ!」スッ

梨子「ダメ!!!」ダッ

千歌が曜に目掛けて繰り出した全力の右ストレート。

それは二人の間に、割って入ってきた梨子に直撃した。

千歌「!!」

梨子「っ!!」

曜「………梨子ちゃん!」

千歌のパンチを食らった梨子は壁に頭から突っ込む形で吹っ飛んでいく。

バコンッ!と音をたてた後、彼女は壁に頭だけ埋まった状態になっていた。

鞠莉「………!」

千歌「あっ……あっ……」ワナワナ…

曜「…り、梨子ちゃん!!!」



鞠莉「ワーオ…」ドン引き


80: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:22:47.57 ID:1XLzcCXL.net

~数日後~


~砂浜~


千歌「………」

千歌「…………」

千歌「……………」


ダイヤ「千歌さん……」

千歌「…………また、ダイヤさんか」

ダイヤ「不満でしょうか?」

千歌「……もしかして私のストーカーなの?」

ダイヤ「学校に来ない生徒を指導するのも、私の仕事のうちです」

千歌「ふーん」

ダイヤ「……どうかしたんですか?」

千歌「……関係ないでしょ」

ダイヤ「…喧嘩したんですって?」

千歌「向こうが悪いんだよ…挑発してきたから…」

ダイヤ「梨子さんも?」

千歌「……勝手に飛び出してきたから…自業自得だよ……」

ダイヤ「最低ですわね」

千歌「ふん……いつも千歌ばっかり悪者だ…」

ダイヤ「それこそ自業自得です」

千歌「…………」

ダイヤ「…………」


81: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:23:36.27 ID:1XLzcCXL.net

千歌「……本当は」

ダイヤ「……?」

千歌「こんなんじゃダメだってわかってるのに……」

ダイヤ「…………」

千歌「千歌は最低な子だ……」

ダイヤ「…………」

千歌「なんで…あんなこと……」

ダイヤ「謝れば許してくれますわ二人とも」

千歌「どうかな……」

ダイヤ「大丈夫ですよ…それに二人とも貴方の事を心配してましたよ?」

千歌「会ったの?」

ダイヤ「えぇ…たいした怪我でもなく普通に学校へ通っていますわ」

千歌「…………」

ダイヤ「安心しました?」

千歌「……うん」

ダイヤ「………早く仲直りしなさい」

千歌「許してくれるかな」

ダイヤ「貴方が元気におはようと挨拶するだけで、十分元に戻れますよ」

千歌「……そうかな」

ダイヤ「えぇ…友達なんですから」

千歌「…でも、もし仲直り出来ても……また千歌が何か言っちゃいそうで」

ダイヤ「言ったって受け入れてくれますよ、貴方が逃げなければ」

千歌「………二人といると劣等感が凄いんだ」

ダイヤ「劣等感?」


82: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:24:26.37 ID:1XLzcCXL.net

千歌「梨子ちゃんは優しくて千歌の事をいつも心配してくれるけど」

千歌「それが対等な関係とは思えなくて」

千歌「下に見られてる気がして…」

ダイヤ「彼女はそんな風に思う人には見えませんが」

千歌「うん、だからそんな風に見ちゃう千歌が凄く小さい人間みたいに思えて」

ダイヤ「…………」

千歌「曜ちゃんはね、昔から何でも出来て子供の頃は憧れだったんだよ」

千歌「最初は追い付きたいって思ってたけど、いつの間にか諦めちゃった」

千歌「自分は曜ちゃんと違って普通なんだって」

千歌「だから出来なくても仕方ないっていろんな事を諦めてたら」

千歌「いつの間にか普通以下になっちゃって」

千歌「それから曜ちゃんには、凄い劣等感を感じるようになっちゃった…」

千歌「それで高校一年の時は冷たくしちゃってたんだ」

ダイヤ「でもまた仲良く出来たじゃないですか」

千歌「うん………曜ちゃんのせいじゃないって自分のせいなんだって気付けたから」

千歌「でも、自分のせいだって思ったら凄く苦しくって」

千歌「それであんな事があったから…抑えきれないで…また酷いこと言っちゃった」

ダイヤ「……ピアノですか」

千歌「うん…最初は楽しかったけど」

千歌「自分で演奏してくうちに下手くそだなって思えてきて」

千歌「もっと上手くなりたいって思っても、なかなか思い通りにならなくて」

千歌「そんな時に曜ちゃんの演奏を偶然聴いちゃって……」

千歌「千歌なんかよりも上手で……」


83: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:25:09.85 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「……別に下手でも、良いじゃないですか…貴方は貴方の演奏をすれば」

千歌「……そんなの許せないよ」

ダイヤ「……完璧主義なんですね」

千歌「……?」

ダイヤ「自分を他人と比べて、そして自分に完璧を求めすぎる」

千歌「……だって完璧じゃなきゃ意味ないじゃん」

ダイヤ「そうでしょうか?」

千歌「ちゃんとしなきゃ、上手に出来なくちゃ……何の意味もないじゃん」

ダイヤ「上手に出来ないなら……」

千歌「?」

ダイヤ「貴方はテニスやバレー等のスポーツは一生やらないんですか?」

千歌「それは……」

ダイヤ「他の事だってそうです……上手に出来ないなら、それをやることに何の意味もないと……そう感じるんですか?」

千歌「……」

ダイヤ「一番大事なのは貴方がやりたいかどうかでしょう?」

千歌「……ふん、そんなの出来る人の意見だ…」

ダイヤ「……はぁ」

千歌「…………」

ダイヤ「貴方は他人のために生きてるんですか?」

千歌「………どういうこと?」

ダイヤ「やりたくないならやめていいんです」

ダイヤ「やっていて辛いならやる必要ありません」

ダイヤ「一番大事なのは自分がやりたいか、やっていて楽しいか、ただそれだけなんですから」

ダイヤ「他人はどうしてるか他人がどう思うかを考えるのも大切ですが」

ダイヤ「自分が好きな事をする上では、そんなもの何の関係もありませんわ」

ダイヤ「貴方は…貴方がしたいことをするべきです」

千歌「……お説教はやめてよ」

ダイヤ「お説教のつもりはなかったのですが…」

千歌「……ふん」


84: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:26:38.41 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「…………」

千歌「…………ねぇ」

ダイヤ「はい?」

千歌「……また太鼓……聴かせてよ」

ダイヤ「……今度の音楽祭で披露しますわ」

千歌「…出るの?」

ダイヤ「はい」

千歌「……学校のため?」

ダイヤ「それも少しはあります……でも一番あるのは、私があの学校に無くなって欲しくないからです」

千歌「…………」

ダイヤ「………自分のために演奏しますわ」

千歌「………そう」

ダイヤ「……えぇ」

千歌「…………」

千歌(……ちぇ)

ダイヤ「…?」

千歌「………………」


85: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:27:11.64 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「…あぁ」

千歌「?」

ダイヤ「今、聴きたいのですね?」

千歌「……べ、別に……そうじゃないし」

ダイヤ「今日は都合が悪いんです、申し訳ありません」

千歌「……そんなこと言ってない」

ダイヤ「そうですか?」

千歌「ふん……」

ダイヤ「……明日、練習でよければ聴きます?」

千歌「……本当?」

ダイヤ「えぇ……ただし1つ条件を」

千歌「……なに?」

ダイヤ「私の仕事を手伝う…」

千歌「…………」

ダイヤ「どうでしょう?」


86: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:27:51.20 ID:1XLzcCXL.net

~翌日~


ダイヤ「来ましたね」

千歌「別に…暇だからね…」

ダイヤ「今から問題のあるグループの所へ行きます」

千歌「不良?」

ダイヤ「いえ、そうではないのですが……少々厄介な人達ですわ」

千歌「……」

ダイヤ「もう、朝の練習を始めてるでしょうし、早速向かいますよ」


87: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:28:59.89 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌(あぁ…この子達か……)

善子「そのくらい良いじゃない!」

ダイヤ「そんなもの認められません!」

善子「なんでよ!」

ダイヤ「ただでさえ、この前体育館を全焼させたのに、この火薬量は今度こそ洒落になりませんわ!」

千歌(最初から洒落になってないよ…)

善子「パフォーマンスよ!音楽祭を盛り上げるためのね!」

ダイヤ「実際に観に来られる方の中には外国の方もいます!何かあれば国際問題に……」ワナワナ

善子「考えすぎよ」

千歌(この子達、何するつもりなんだろう)

ルビィ「うぜぇー」

ダイヤ「!!…ルビィ!今、何と言いました…?」

ルビィ「うぜぇって言ってんだよシスコンおばさん」

千歌「…ぷっ!」


88: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:29:34.41 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「ルビィ!」

ルビィ「なんだよ!」バンッ!

ダイヤ「!」ビクッ

ルビィ「いつも私の邪魔ばかりしやがって、おとなしく私の言う通りにしてろカス!」中指シュッ

ダイヤ「…なっ!」

ルビィ「私がやりたいって言ってんだから黙って協力してろよ!」

ダイヤ「なんて事を言うのです…」

ルビィ「お前は私の御機嫌伺いだけしてれば良いんだよ!」

ダイヤ「……ル、ルビィ」

ルビィ「それが姉であるお前の運命だ!」

ダイヤ「…………」ボーゼン

千歌(随分、はっきり言う子だな…)

花丸「待つずら!やめるずらよ!」

ダイヤ「……は、花丸さん?」

ルビィ「マル……!」

花丸「……ダイヤさん!ルビィちゃんの話をちゃんと聞いてあげてほしいずら!」

ダイヤ「……はぁ!?私が?さっきから聞いてるでしょ!これ以上何を聞けって言うんです!」

花丸「ルビィちゃんから逃げないであげてください!」

ダイヤ「貴方は何を言ってるんですか?」

ルビィ「言いたいことはまだまだあるぞ!」

ダイヤ「なっ!」

千歌(ちょっと可哀想になってきた……)


90: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:30:15.69 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ダイヤ「…………」フラッフラッ

千歌「ダイヤさん、フラフラ歩いてると危ないよ……」

ダイヤ「ほっといてください」

千歌「…………」

ダイヤ「はぁ……」

~~~

鞠莉「oh!可愛い秘書さんをお連れですね、ダイヤ」

果南「ダイヤの家来になっちゃったの?千歌?」ニヤァ

千歌「ふん!」

ダイヤ「千歌さん、ハンコを」

千歌「……えーと…はい」スッ

果南「ふふふ」ニヤニヤ

千歌「……」ムスー

~~~

ダイヤ「そろそろ授業が始まります」

千歌「…………」

ダイヤ「…自分の教室に
顔を出したくないなら、別にここにいても構いませんが…いつまでも、こういう訳にはいきませんよ?」

千歌「……ふん、先生みたい」

ダイヤ「先生だったら問答無用で教室に引きずってますわ」

千歌「…………」

ダイヤ「では私は行きますので」

千歌「仕事……やっとこうか?」

ダイヤ「授業を疎かにしてまで、やらないといけない仕事は学校にはありませんわ」

千歌「…………」

ダイヤ「それでは」ガラッ

千歌「…………」


91: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:31:10.29 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「うわぁ凄い書類の量……」

千歌「こんなのいつも一人でやってるの?」

千歌「まぁ……たいして手伝ってないし、今日もいつもと変わんないか」

千歌「あの人、こんなことを毎日……」

千歌「本当に自分のためにやってるの?」

千歌「……きっと出来る自分に酔ってるんだよ」

千歌「ナルシストっぽい顔してるしね……」

千歌「…………ふわぁ~」

千歌「……ねむ……ちょっと寝ちゃお……」


~~~


最近、楽しくない……

なんでかな?

一人だから?

二人と喧嘩したから?

三人でいられなくなったから?

つまんないなぁ一人は……

寂しいなぁ一人は……

寂しいと……

冷たいな……


92: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:31:56.15 ID:1XLzcCXL.net

~~~


千歌「…………ん」

千歌「…ありゃ」

千歌「お昼まで寝ちゃった……」

千歌「でも……まだ眠いや……」

ダイヤ「……」ガラッ

千歌「……あっ」

ダイヤ「居眠りですか?」

千歌「……家で寝てるよりましでしょ」

ダイヤ「……物は言いようですわね」

千歌「……」グルルー

ダイヤ「ふふ、お腹が空いたんじゃありません?」

千歌「そりゃお昼だからね」

ダイヤ「一緒に食べましょう」

千歌「…うん」

ダイヤ「素直でよろしい」

千歌「……いつもここで食べてるの?」

ダイヤ「そういうわけではありませんが」

千歌「寂しいね」

ダイヤ「……」イラッ

千歌「冗談だよ、本当は私のためだよね?」

ダイヤ「別にそういうわけでもありませんわ」

千歌「ふーん、どうだか…」


93: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:32:32.36 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ダイヤ「食べますよ」

千歌「うん……」

千歌(誰かと一緒にご飯食べるなんて久しぶり……)

千歌(ちょっとだけ楽しいかな……)

千歌(…………)

千歌(この人、千歌なんかに構ってどうしたいんだろ……)

千歌(これも生徒会長の仕事のうち?)

千歌(それとも……千歌のため?)

~~~

ダイヤ「習字が得意なんですか?」

千歌「まぁね…」

ダイヤ「他に得意な事は?」

千歌「卓球とか…?逆上がりも得意…かな」

ダイヤ「たくさんあるじゃないですか」

千歌「こんなの特技でもなんでもないよ…」

ダイヤ「そんなことありません、立派な特技ですわ」

千歌「…………ふん」

ダイヤ「今度、一筆お願いしても?」

千歌「……あんまり、期待しないでよ」

ダイヤ「期待はしますわ、私のために書いてもらうんですから」

千歌「……ふん!」


94: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:33:27.53 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ダイヤ「さて、これから清掃活動に行きますよ」

千歌「清掃?掃除の時間にやればいいじゃん」

ダイヤ「その前に校舎を見て回って、掃除後にも確認しに行くんです。怠ったりしていないか確認するために」

千歌(小姑みたい)

ダイヤ「では、行きますよ」


96: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:34:07.00 ID:1XLzcCXL.net

~~~


千歌「窓ガラス、ピカピカだね、新品みたい」

ダイヤ「誰かさんが叩き割ってくれましたからね」

千歌「割ったのは千歌じゃないもん」

ダイヤ「……」

千歌「備品も所々綺麗になってる」

ダイヤ「貴方達が壊しまくったからですわ」

千歌「ふーん、覚えてないや」

ダイヤ「…………」

千歌「あっ、この廊下のこの部分汚れてるよ」

ダイヤ「どこですか?」

千歌「これこれ」

ダイヤ「あぁ、それは……落ちない汚れですわ」

千歌「本当?」

ダイヤ「えぇ」

千歌「消しゴムで擦ったら消えるかもよ」

ダイヤ「無理だと思いますが」

千歌「じゃあ試してみる?」

ダイヤ「はい?」


97: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:34:42.20 ID:1XLzcCXL.net

~~~

廊下の黒い汚れがついてる箇所に消しゴムを擦り付ける。

千歌「よいしょ…よいしょ」ゴシゴシ

ダイヤ「…………」

千歌「う~ん」ゴシゴシ

ダイヤ「…………」

千歌「……おっ!」ゴシゴシ

ダイヤ「…………」

千歌「へへーん」ゴシゴシ

ダイヤ「…………」

千歌「ダイヤさん!」

ダイヤ「はい」

千歌「ほら見てよ!」

ダイヤ「……まぁ」

さっきまであった汚れ……

それは全く落ちず、それどころか横に広がって大きくなっていた。

千歌「えへへ」

ダイヤ「…………」


98: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:36:03.04 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ダイヤ「見回りを続けますよ」

千歌「はーい」

ダイヤ「今度は外です、壁やフェンスなどに異常がないか確認してください」

千歌「はいはい」

ダイヤ「…………」

千歌「……ん?ここのフェンスちょっと穴空いてるね」

ダイヤ「あら、本当ですね……後で針金で補強しておきましょう」

千歌「……」

ダイヤ「どうしました?」

千歌「この穴……頑張ればくぐれるサイズ」

ダイヤ「私には無理ですわ」

千歌「まさか……この学校に侵入者が……」

ダイヤ「大丈夫ですよ、不審者がいればすぐ見つかります」

千歌「そうかな」

ダイヤ「行きますよ」

千歌「…………」


ガサ……


千歌「?」


近くの茂みが揺れる。


千歌「風かな?」


ガサ…ガサ…


千歌「いや……」


千歌「なにかいる?」

ガサガサガサガサ…

千歌「もしかして……」

千歌「侵入者が……」


99: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:36:56.10 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「どうしました?千歌さん」

千歌「あっ……あそこに……」

ダイヤ「?」

激しく揺れ動く茂み……

千歌「ひぃっ!」

ダイヤ「大丈夫です、こちらに」

そう言われてダイヤの後ろに隠れた。

それと同時に茂みから勢いよく何かが飛び出してくる。


ダイヤ「……あれは!」

千歌「!!」


『キュー』


千歌「…………」

千歌「……なんだアライグマか」

千歌「脅かさないでよね……」


ダイヤ「いえ、アライグマも大分危険ですよ?」

千歌「はぁ~びっくりした」

ダイヤ「とにかく自治体に連絡しましょう」

千歌「私達で捕まえちゃおうよ」

ダイヤ「やめてください、危険です」

千歌「心配しすぎだよ、あんなのに…」スッ


『ギュッーー!!!!』


千歌「ひぃっ!」ギュッ

ダイヤ「もう!挑発するからですよ!」

千歌「ごめんなさい!」


100: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:37:29.83 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「とにかく、ゆっくりと刺激しないように逃げますよ」

千歌「わ、わかった」


ソローリ……ソローリ……


千歌「…………」

ダイヤ「…………」

千歌(ゆっくり……ゆっくり……)

千歌(…………)

千歌(…あっ)

千歌(私、ずっとダイヤさんの背中にくっついてた……)

千歌(恥ずかしいなぁ……)

千歌(でも…ダイヤさんの背中)

千歌(くっついてると……凄く……落ち着く……)

千歌(……温かい)


101: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:38:02.37 ID:1XLzcCXL.net

~~~


ダイヤ「あの後、アライグマはちゃんと回収されたみたいですね」

千歌「用務員のおじさんが素手で蛇掴むみたいに捕まえたんだって」

ダイヤ「流石ですわ」

千歌「それで、この後はどうするの?」

ダイヤ「もう見回りは終わりですね。この後、私は溜まった書類を片付けます」

千歌「千歌もその手伝い?」

ダイヤ「いえ、千歌さんは善子さんの所に行って危険な事をしないよう見張ってください」

千歌「えぇ~」

ダイヤ「分担作業です」

千歌「……妹さんに会いたくないから千歌に行かせるんでしょう?」

ダイヤ「…………」

千歌「いいよ、ダイヤさんのために行ってあげる」ニヤニヤ

ダイヤ「早く行きなさい」

千歌「えへへ」

ダイヤ「ちゃんと監視してくださいよ、一緒になって変な事件を起こさないように」

千歌「う~ん、頑張るけど……」

ダイヤ「信用してますわ」

千歌「…………うん」


102: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:38:42.25 ID:1XLzcCXL.net

~~~

善子「別に危険な事なんてしようと思ってないのよ?」

千歌「はぁ…」

善子「ただちょっと会場の一部を爆破して、そこから溢れる天界の光を演出したいの」

千歌(十分危険だよ…)

善子「大体、うるさ過ぎるのよあんた達は、そうやって心配ばかりするから事故が起きるんだわ」

千歌「?」

善子「集団意識よ!皆がそう思うから現実になるの!事故は起きるものじゃなく皆の意識が起こすものなんだわ!」

千歌「う~ん?」

善子「あんたもそう思うでしょ?」

千歌(さっきからなんでタメ口なんだろう…?)

千歌(…下に見られてる?)

千歌(一応、先輩なんだけどなぁ……)


ルビィ「きひひ!うちのバカ姉貴はどうした?」ダラー

千歌(うわっ……口の周り真っ赤じゃん……何食べてたのこの子)

ルビィ「ビビって来れねぇか!あーはっはっはー!」

千歌「…………あはは」

千歌(早く帰りたい……)

千歌「……ん?」

花丸「…………」

千歌(この子はまともそうだね……なんでこんな連中と絡んでるんだろ……)


103: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:39:26.54 ID:1XLzcCXL.net

善子「そうだ!ずら丸!あんたはやりたいことないの?」

花丸「ずら?」

善子「演出よ、この前みたいに炎の海を作り出したいとかさ」

ルビィ「あれマルの意見なんだよね!最高だったよ!」

千歌「!!」

善子「そもそもなんで急に、火とか炎とかに夢中になっちゃったわけ?」

花丸「それは……」

ルビィ「それ、私も気になるわ!」

花丸「マルね……前に聖書を燃やしてる先輩達を見たずらよ…」

善子「聖書を?」

ルビィ「燃やす?」

千歌(……先輩?)

────────────


花丸『ちょっと何やってるずら!学校の本を燃やしたらダメずらよ!』

曜『次はこの聖書燃やしてみようか』

千歌『分厚い……』

梨子『どんな音が聴こえてくるかな?』

花丸『あわわわわ……』


────────────

千歌(……この子!あの時の田舎娘!)


104: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:40:01.30 ID:1XLzcCXL.net

花丸「その先輩達が聖書に火をつけると、とっても冒涜的な火柱を立てたずら……」

花丸「それがとてつもなく美しくて……」

花丸「マル、もう一回あれが見てみたいずらよ」

善子「ふーん、じゃあ聖書燃やしてみる?」

花丸「マルも何回か再現しようとして燃やしてみたんだけど、どうもやり方が違うみたいで…」

善子「やり方?」

花丸「あの時の先輩達みたいなやり方をしないと、美しい火柱は起こせないと思うずら」

ルビィ「じゃあそのイカれた先輩を捕まえて再現させてみようよ!」

千歌「!」

花丸「でも名前も知らないずら…」

善子「顔くらい覚えてるでしょ」

花丸「その行為に注目してたから、あんまり顔は見てないずら…でもおぼろ気には覚えてるずら…」

千歌「…………」ダラダラ

花丸「……ずら?」

千歌「…………」ダラダラ

花丸「……あれ?この人……」

千歌「…………」ダラダラ


105: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:40:42.15 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ルビィ「まさかこいつがその先輩だったとはな!」

千歌「い、いやぁ……」

花丸「あれからマルも色々調べて探してたずら、会えて光栄ずら!」

善子「そんなに凄い人なの?」

花丸「今日までこの人の正体には辿り着けなかったけど、噂はたくさん聞いたずらよ!」

ルビィ「噂って?」

花丸「学校の聖書を燃やした他にも、殺人ガスを校舎にバラまこうとしたり、校舎中のガラス叩き割りまわったりしたって」

善子「ひぇぇ……」

花丸「あと通学路の電柱をへし折ったのもこの人ずら!」

ルビィ「マジかよ!最高にイカれてんじゃんこいつ!」

千歌「ま、窓ガラスと電柱は曜ちゃんがやったことで……」

ルビィ「よし!こいつもうちらのメンバーに加えよう!」

千歌「えぇ!」

善子「ちょっと待ってよ!そんな危険な人を入れて大丈夫なの?」

ルビィ「ビビってんじゃねぇよ!堕天使様がよ!」バンッ!

善子「ひぃっ!ごめんなさい!」

花丸「千歌さん!マル、早くあの炎を見たいずら~」

千歌「え~と……」

ルビィ「勿体つけないでやってみせてくれよ!火の元はたくさんあるんだ!派手にやろうぜ!」

千歌(……とんでもないことになっちゃったよ)


106: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:41:18.25 ID:1XLzcCXL.net

~~~

善子「ほら、聖書と火薬はここにあるわよ」

千歌「………う、うん」

花丸「他にも何か必要ずら?」

千歌「……いや、あの……」

ルビィ「ん?」

千歌「……ほ、本当にやるの?」

ルビィ「当たり前だろうが!」

花丸「早く見たいずら!」

千歌「でも……危ないし」

ルビィ「はぁ?今更危険もクソもないだろうが!毒ガスまいて無差別に殺そうとしてた奴がよ!!」バンッ!

千歌「いや……あれは自分が死ぬために…」

花丸「もう我慢できないずら!早く!早く!」ハァハァハァ!

ルビィ「マルのためにも早いとこ頼むわ!」

千歌「あのですね……」

ルビィ「はよしろや!!」バンッ!

千歌「はい!」


千歌(……燃やし方なんて、そんなの適当に燃やしただけだけど)

千歌(…普通に燃やせば満足してくれるかな?)

千歌(……期待に答えられなかったらどうなるんだろ)

千歌(……それにどっちにしたってダイヤさんに怒られちゃうよ)

千歌(…………どうしよう)

千歌(………………)

千歌(ひとまずここは自分の身のために……)

千歌(…再現するしかない)

千歌(……あの日は結構風が強い日だったっけ)

千歌(……多分、風のせいで火柱が上がったんだと思うけど……)

千歌(……とりあえず)

千歌「じゃあ、ちょっと準備するね?」


107: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:41:58.76 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「こうしてっと」プスプス

千歌(あの日と全く同じように出来た)

千歌(焚き火を作って、ある程度火が大きくなったら)

千歌(そこに聖書を投げ込めば良いだけ)

千歌(火薬もあるけど必要ないよね)

千歌(そもそも燃える物じゃなくて爆発物だし)

千歌(聖書もこの前と似た厚さの物を持ってきたし)

千歌(神聖な物だから、もしかしてヒマワリの油が染み込んでたかもっていう……)

千歌(そういう可能性も加味して油も塗っておいた)

千歌(たぶん、上手くいってくれるはず……)

千歌「よし、じゃあ……やるよ…」

花丸「ずら!」ハァハァハァハァハァ

ルビィ「楽しみだな!」

善子「大丈夫なの……?」

千歌「えいっ!」ポイッ


108: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:42:39.35 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ボオオオオオオオオオオオオッ!

ルビィ「すっげえ火柱……」

善子「まるで炎の竜巻みたい…」

花丸「吸い込まれそうずら」

千歌「あぁ……」

ボオオオオオオオオオオオオッ!

千歌「………嘘…あんな高くまで…」ボーゼン

花丸「渦の中に苦しんでる人の姿が見えるずら…」

善子「凄い恨めしそうに…」

ルビィ「私達を引きずり込もうと手を伸ばしてる奴もいるな」

千歌(…この子達には何が見えてるの?)

ルビィ「おい!天高く上がった火柱から火の雨が!」

花丸「この世の終わりみたいな光景ずら~」

善子「あぁ!プロメテウスよ!」

千歌(まずい、被害が大きくなる!何とかしないと…)ダッ

千歌「熱っ!」ジュッ

千歌(ダメだ……火の雨が邪魔して近付けない……)

千歌(どうしよう……)

千歌(…………あぁ)

千歌(……最悪だ…)

千歌(…………火薬に引火しそう…)

ルビィ「ヒャッハーーー!」

花丸「美しいずら…こんなもの見せられたら……もうマルは美しいものしか愛せないずらよ…」

善子「プロメテウス!こんな事のために人間に!その力を!」

千歌「あぁぁぁっ……」ブルブル


110: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:43:13.24 ID:1XLzcCXL.net

~~~

果南「千歌一人に任せて本当に平気?」

ダイヤ「私は身内でしたから舐められましたが、千歌さんは2年生で先輩なんですし、ルビィ達に舐められる事もないでしょ」

果南「どうかな~」

鞠莉「ミイラ取りがミイラに!ってパターンもあり得るわよ?」

ダイヤ「はい?」

鞠莉「そそのかされて危険な事に協力したりとか……」

ダイヤ「大丈夫ですわ」

果南「でも千歌には前科もあるしな~」

ダイヤ「信用してます」

鞠莉「でもでも!あり得ない話ではないわよ?」

ダイヤ「……もし、そうなった時は…」

ドカーーーーーーン!

鞠莉「Watts!?」

果南「何の音!?」

ダイヤ「…………」


111: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:44:23.80 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~


ダイヤ「何をやっていたんですか!」

千歌「……ごめんなさい」

ダイヤ「まさか貴方が率先してこんな事故を起こすなんて!」

千歌「…………」

ルビィ「うるせぇなぁ!皆、無事だったんだから良いだろ!」

ダイヤ「貴方は黙ってなさい!」

ルビィ「はぁ?誰に向かって口きいてんだよ!!」ガシッ

ダイヤ「離しなさい」

ルビィ「嫌だね!このままぶん殴ってやる!」

ダイヤ「……」

ルビィ「謝ったら許してやるぞ!ほら、地面に手をついてあや──」

パシンッ!

ルビィ「……っ!」

ダイヤ「…………」

千歌「!!」

千歌(……あぁ……ダイヤさんがルビィちゃんを殴っちゃった……)

ルビィ「…………っ」

千歌(こんなの…殺し合いになっちゃうよ……)


112: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:45:00.21 ID:1XLzcCXL.net

ルビィ「…………」

ダイヤ「…………」

ルビィ「………………うっ」

千歌(…………?)

ルビィ「うっ……ううっ」ポロ

千歌(……な、泣いてる?)

ルビィ「うぇ……うっうっ」ポロポロ

ダイヤ「………」

ルビィ「うぅっ……お姉ちゃん…うっ…ごめんなさい……」グスッ

ダイヤ「…………」

善子「…………うっ」

花丸「…………ううっ」

千歌「?」

善子「うぅっ……うっうぅっ」ポロポロ

花丸「ずらぁ……うぅっ」ポロポロ

千歌「なんで二人まで……」

善子「ルビィが……泣いてるのみたら……悲しくって……うっうっ」

花丸「ずらぁ~……うぅっ」

千歌「そんな幼稚園児みたいな……」


………………………………


113: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:45:34.07 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「それでは貴方には、今回の責任をとって始末書を書いてもらいます!」

千歌「はい……」

ダイヤ「まったく、懲りませんわね貴方も」

千歌「今回のは不可抗力っていうか……」

ダイヤ「身から出た錆でしょう、そこに付け込まれたんですから」

千歌「……はい」

ダイヤ「こういう事になるんですから、もう2度と変な事はしないように」

千歌「……はい」

ダイヤ「…………」

千歌「ごめんなさい……」

ダイヤ「もういいですわ」

千歌「でも、信用してくれたのに……」

ダイヤ「…………」

千歌(嫌われちゃったかな……)

ダイヤ「?」

千歌「…………」

ダイヤ「……はぁ」

千歌「?」

ダイヤ「別に嫌いになどなってませんよ?」

千歌「…えっ?」

ダイヤ「だからそんな顔しないでください」

千歌「…うん」

ダイヤ「まったく」

千歌(……?)

千歌(……なんで、千歌の気持ちわかったんだろ?)

千歌(なんでもお見通しなのかな?)

千歌(不思議な人……)


114: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:46:11.19 ID:1XLzcCXL.net

~音楽室~


曜「~♪」タラララン♪

梨子「……」パチパチパチ

曜「どんどん上手くなってる……自分でも感じるよ……」

梨子「…そうね」

曜「ネットでさ…いろんなピアニストの演奏を聴いたんだけど……どれもこれもたいしたことないなって」

梨子「…………」

曜「私の方が凄いなって思っちゃって」

梨子「…………」

曜「こんな風に思うのって、最低かな?」

梨子「…自分に自信を持つのは大切な事だよ」

曜「えへへ、ありがと」

梨子「…………」

曜「ねぇ?」

梨子「なに?」

曜「梨子ちゃんと私……」

梨子「…………」

曜「どっちが上手いかな?」

梨子「…………」


115: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:46:53.67 ID:1XLzcCXL.net

~~~

梨子(千歌ちゃんと口論してから……)

梨子(千歌ちゃんと喧嘩してから……)

梨子(曜ちゃんはピアノの世界にどっぷりと……のめり込んだ……)

梨子(毎日、ずっと練習して……)

梨子(凄いスピードで成長してる……)

梨子(たぶん、今の曜ちゃんは怪我する前の私よりも……)

梨子(曜ちゃんが何を思ってピアノに熱中してるのか……)

梨子(私にはわからないけど……)

梨子(ピアノに夢中になってくれたのは嬉しかった……)

梨子(でも……最近の……)

梨子(曜ちゃんの……演奏は、どこか機械的で…)

梨子(なんだか少し怖いの…)


116: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:47:27.97 ID:1XLzcCXL.net

~生徒会室~


千歌「はぁー疲れたー」

ダイヤ「お疲れ様ですわ」

千歌「いつもこんなことしてるの?」

ダイヤ「貴方達が問題さえ起こさなければ、暇な日もありますよ」

千歌「…ごめんなさい」

ダイヤ「素直ですわね」

千歌「その方が良いでしょ?」

ダイヤ「急に媚びないでくださいよ」

千歌「えへへ」

ダイヤ「それより最後の見回りに行きますよ」

千歌「はーい」


117: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:48:02.88 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ダイヤ「掃除もちゃんと行われてますね」

千歌「学校の備品も異常なし」

ダイヤ「消耗品も補充されてます」

千歌「フェンスも補強したし」

ダイヤ「トラブルも起きてないみたいですね」

千歌「じゃあ……問題なし?」

ダイヤ「そうですね」

千歌「ということは……」

ダイヤ「これで今日の作業はおしまいです」

千歌「おわったー!」

ダイヤ「お疲れさまですわ」

千歌「うん…」

千歌「…………」

千歌「……?」

千歌(やっと…終わったのに)

千歌(なんか……寂しいなぁ……)

千歌(なんでだろう?)

千歌(……もうちょっと、やっていたかったのかな……)

千歌(これが終わったら……また一人……)

千歌(胸が……なんだか冷たく感じる……)

千歌「…………」

ダイヤ「さて、それじゃあ行きましょうか」

千歌「……?」

ダイヤ「早く帰る支度をしなさい、行きますよ」

千歌「へっ?どこに?」

ダイヤ「どこって約束したじゃありませんか」


118: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:48:51.25 ID:1XLzcCXL.net

~公民館~


千歌(そうだ約束してたんだ)

千歌(一番の目的だったのに……)

千歌(なんで忘れちゃってたんだろ?)

千歌(それにしても……)

千歌(この太鼓)


千歌「近くで見ると凄い迫力……!」

ダイヤ「当然ですわ、世界を震わせる楽器なのですから」

千歌「この距離で……正面で……聴かせてくれるの?」

ダイヤ「練習ですから好きな所で聴いてください、ただ危ないですから私には近付かないように」

千歌「はーい」

ダイヤ「…………」

千歌「……」ドキドキ

ダイヤ「はぁ!」

ドドン!!

千歌「!!」

千歌(凄い……音の波動で後ろに倒れちゃいそう)


119: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:49:25.12 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「いやっ!」

ドンドンドンドンドンドン!

千歌(身体中がピリピリする)

千歌(この前と比べ物にならないくらい身体が震えてる)ガクガク

ダイヤ「てやっ!」

ドドン!ドンドンドンドン!

ドドン!!ドンドンドンドン!!

千歌(……凄い)

千歌(これ以上この距離で聴いたら気絶しちゃいそう……)

千歌(……ちょっと横に移動して)

ダイヤ「とぉっ!」

ドドン!ドドン!ドドン!

ドンドンドンドン!

千歌(……あっ)

千歌(…横から見るとダイヤさん、まるで踊ってるみたい…)

千歌(……バチを持ってる手が残像のように何本にも見えて)

千歌(まるで阿修羅みたいだ…)

ダイヤ「ていやっ!」

ドンドンドンドンドンドン!

ドドン!ドドン!ドドン!

千歌(凄い汗…)

千歌(でも…)

千歌(凄く綺麗…)


120: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:50:10.46 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ダイヤ「ふぅ…」

千歌「お疲れ様、これタオル」

ダイヤ「ありがとうございます」

千歌「凄く綺麗だったよ」

ダイヤ「音色がですか?」

千歌「ダイヤさんが」

ダイヤ「なっ!や、やめてください!」

千歌「ふふふ」

ダイヤ「……//」

千歌「……命の音」

ダイヤ「…?」

千歌「…それがまた聴こえたよ」

ダイヤ「なんですか、それ」

千歌「海の中で聴いたんだ、生命の鼓動を…」

千歌「それが、聴こえるまで千歌は人生に退屈しちゃって」

千歌「何をしても子供の頃みたいに楽しくないし」

千歌「何をしようにも上手に出来ないし…」

千歌「何を始めるにも、もう遅いのかなって」

ダイヤ「まだ高校生のお子様が何を言ってるですか」

千歌「でも、この年で何かを始めるって凄く大変だよ」

千歌「出来ない自分と向き合わないといけないし」

千歌「周りからバカにされたりもする…」

千歌「だから楽しくなくなる」


121: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:50:55.84 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「…千歌さん、前にも言ったでしょ」

千歌「……」

ダイヤ「自分がやりたい事を、自分が楽しい事を」

千歌「わかんないだもん!やりたい事も…楽しい事だって…」

千歌「最初は楽しくても、どんどん飽きてきて」

千歌「周りと比べて、上手に出来てなかったら…やっぱり凄く無意味な事をしてるみたいで」

ダイヤ「この世に無意味な事なんてありませんわ」

千歌「でも、結果が出なかったら…」

ダイヤ「結果も大事です、でも1番大切なのは貴方がそれをして…」 

ダイヤ「どう感じ、どう変化していくかですわ」

千歌「変化?」

ダイヤ「いろんな経験をしてごらんなさい」

千歌「……経験って」

ダイヤ「とにかく行動する事です。この世にはやってみたら意外と……という事がたくさんありますわ」

千歌「やるまでが大変なんだよ……千歌は…勇気がないから……」

ダイヤ「誰でも初めては怖いです」

千歌「ダイヤさんも?」

ダイヤ「えぇ」

千歌「……うそだ」

ダイヤ「本当ですよ」

千歌「…………」


122: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:51:29.86 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「千歌さん」

千歌「……なに?」

ダイヤ「……怖いなら……苦しいなら……辛いなら……」

ダイヤ「逃げ出したって良いですよ?」

ダイヤ「自分がそれを許せるなら……」

千歌「…………」

千歌「そんなの……」

千歌「……許せないよ」

千歌「だから、こんなに……悩んでるんじゃん……」

千歌「こんなんじゃダメだって……自分が一番わかってて」

千歌「だから…それを一番許せないのは自分で……」

千歌「でも、どうして良いかわからないんだ……」

千歌「わかったとしても……それをする勇気は千歌には……」

ダイヤ「…貴方は、命の音を聴いて……何かが変われると感じたんですよね…」

千歌「……うん」

ダイヤ「だから、あんな奇行を……行動を繰り返してきた?」


123: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:52:02.55 ID:1XLzcCXL.net

千歌「……そう」

千歌「……ざわざわしてたの」

千歌「生まれ変わったみたいで……」

千歌「視野が変わったみたいに、今までの光景が新鮮に思えて」

千歌「何か変わりそうで……」

千歌「いろんな音を聴いたら、変われそうな気がして……」

ダイヤ「ふふ、あったじゃないですか?始める勇気…」

千歌「あの頃はちょっとどうかしてたんだよ……」

千歌「今、思うと変だよね……あんな事して」

ダイヤ「本当ですわ」

千歌「ごめんなさい」

ダイヤ「でも、その前の死にたがりさんと比べたらましですわ」

千歌「……」

ダイヤ「どうせ千歌なんて……」声マネ

千歌「……もう!思い出させないでよ!」


124: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:52:35.57 ID:1XLzcCXL.net

~音楽室~


タラララン♪タッタッタン♪
 
曜(私は……完璧超人……)

曜(昔っから…千歌ちゃんを苦しめた…完璧超人……)

曜(……だったら…どうすればいいの?)

曜(……千歌ちゃんの可能性を奪った罪はどう償えばいいの?)

曜(…………簡単だ)

曜(……出来ることをやればいい)

曜(……千歌ちゃんの代わりに…私が……全部!)

曜(……そして今は弾けなくなった、梨子ちゃんの代わりに…)

曜(…私を認めてくれた……梨子ちゃんの代わりに)

曜(……だから…梨子ちゃんを)

曜(他の人達を…)

曜(私は越えるっ!)

曜(…それが私の……)

曜(出来ることで……)

曜(やるべき義務だ……!)


125: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:53:11.41 ID:1XLzcCXL.net

コンコン…… 


曜「?」

果南「やぁ!遅くまで精が出るね~」ガチャ

曜「……果南ちゃんか」

果南「もう皆、帰っちゃったよ」

曜「そう」

果南「曜も早く帰らないと」

曜「帰るよ……もうちょっとしたらね」

果南「そう?」

曜「……」

果南「楽しい?」

曜「?」

果南「ピアノ」

曜「…………楽しいとか楽しくないとかじゃないよ」

果南「ん?」

曜「これをやるのが……今の私の…………」

果南「…曜?」

曜「義務なの…」ギリッ

果南「…………」



果南(…曜、どうしちゃったんだろ?)


127: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:53:46.52 ID:1XLzcCXL.net

~公民館~


ダイヤ「千歌さんも太鼓、叩いてみます?」

千歌「えっ……いいの?」

ダイヤ「もちろん」

千歌「……上手に出来るかな」

ダイヤ「別に上手にやる必要はありませんよ」

千歌「でも……」

ダイヤ「ここには私しかいませんし、他人の評価を気にする必要もありません」

千歌「……ダイヤさんは下手とか思ったりしない?」

ダイヤ「下手でも上手でも、貴方が楽しんでくれれば、それだけで嬉しいですわ」

千歌「なにそれ」

ダイヤ「貴方の笑顔が見たいというだけです」

千歌「…ふーん//」

~~~

千歌「てい!」

ポン!ポポン!

千歌「えいや!」

ポポン!ポンポンポン!

千歌「そいや!」

ポポンポン!ポンポン!ポポン!


128: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:54:29.29 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「ぜぇ……ぜぇ……」

ダイヤ「お疲れですわね」

千歌「凄く体力を使うね……」

ダイヤ「そうですね、でも闇雲に叩きすぎですわ」

千歌「そうなの?」

ダイヤ「力任せに叩けば良いという訳ではありませんからね」

千歌「難しいなぁ…」

ダイヤ「…楽しかったですか?」

千歌「うん……とっても楽しかった」

ダイヤ「それは良かったです」

千歌「…………」

ダイヤ「…………」

千歌「……なんでダイヤさんは…」

ダイヤ「?」

千歌「千歌に…こんなに優しくしてくれるの?」

ダイヤ「さぁ……なんででしょうね」

千歌「私の事、好きだったり?」

ダイヤ「危なっかしくて、ほっとけないからですわ」

千歌「ちぇ…」

ダイヤ「……手のかかる不良生徒ですからね」

千歌「むぅ………じゃあ…もし、千歌が良い子になっちゃったら、もう構ってくれないの?」

ダイヤ「はい?」

千歌「もしそうなら、ずっと悪い子でいたいなぁ」

ダイヤ「まったく、困った人ですわね」


129: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:55:08.56 ID:1XLzcCXL.net

千歌「明日も明後日も……」

ダイヤ「?」

千歌「…………」モジモジ

ダイヤ「なんですか?」

千歌「……ダ、ダイヤさんといたいなぁ」

ダイヤ「…急にどうしたんですか」

千歌「だって…今日は……凄く楽しかったから…」

ダイヤ「………」

千歌「…………迷惑かな…?」

ダイヤ「………貴方が私と一緒にいたいなら」

千歌「え?」

ダイヤ「ずっと側にいてくれて構いませんわ」

千歌「……本当?」

ダイヤ「今日1日、私も貴方と一緒にいて楽しかったですし」

千歌「…………」

ダイヤ「千歌さん?」

千歌「……えへへ……嬉しいのに……」

千歌「涙が出てきちゃった……」グスッ

千歌「…恥ずかしいから……ちょっと向こう行っててよ……」

ダイヤ「…まったく、自分勝手ですわね」


130: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:55:54.90 ID:1XLzcCXL.net

~浜辺~


梨子「はぁ……はぁ……」テッテッテ!


梨子(なんで……なんでこんなことに!!)


梨子(これ以上……走ったら……)ゼェ…ゼェ…


梨子(し、死んじゃう……)


『わん!!!』


梨子「いやっー!」


梨子(でも、走るのをやめても……)


梨子(死んじゃうよ!)


『わん!わん!』


梨子「だ、誰かーー!」ハァ…ハァ…


梨子(足がもう、おぼつかない……!)ヨロ…ヨロ…


梨子「助けてっー!」ゼェ…ゼェ…


『わん!わん!』


梨子「きゃっ!」バタン


疲労と足元の悪さから、ついに転んでしまう。

それは彼女にとって死を意味していた……

梨子「あっ……あぁ」

地面に倒れた無防備な彼女へ、襲いかかるように犬は駆け寄ってくる。

『わん!わん!わん!』

梨子「……ひぃっ!」ガタガタ…


131: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:56:30.74 ID:1XLzcCXL.net

数秒後には、この犬に首もとを噛まれる……!

そんな自分の姿が容易に想像出来た。

梨子「うぅ……」

『わん!!!』バッ

梨子(いやっ!……曜ちゃん……助けてっ…!)


もうダメだと思い、目を強く閉じる。

しかし、どれだけ経ってもあの獣の牙が、自分の喉を引き裂く事はなかった。

梨子(……?)

恐る恐る目を開けるとそこには……


鞠莉「ハーイ!何やってるんですか?」


梨子「…………えっ?」

『ハッ!ハッ!』

犬は梨子に覆い被さる前に、鞠莉に首輪を掴まれ仁王立ちのような体勢で止まっていた。


梨子「……た、助かったぁ」ホッ


鞠莉「大袈裟ねー!たぶん、この子は遊んで欲しかっただけよ?」


梨子「はぁ……はぁ……」


132: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:57:08.21 ID:1XLzcCXL.net

~~~


さっきの犬は後から走ってきた飼い主に引き渡された。

梨子「リードつけないで散歩させるなんてどうかしてるよ……」

鞠莉「まぁこの辺ではそういう風習はないかもね」

梨子(風習とかいう問題なの?)

鞠莉「ところでこんな所で奇遇ね」

梨子「あっ……はい」

鞠莉「もしかして私に会いに来てくれたとか?」

梨子「えっと、あの…」

鞠莉「なんて冗談よ!あははは!」

梨子「いえ……実はそうなんです」

鞠莉「えっ?」


133: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:57:42.37 ID:1XLzcCXL.net

~~~


鞠莉「会いに来てくれるなんて嬉しいなぁー!」

鞠莉「何して遊びましょう?テレビゲーム?ボードゲーム?カードゲーム?」

鞠莉「それとも外で遊びましょうか!!」

梨子「いえ、あの……」

鞠莉「おっと!sorry?女の子同士ですもん!まずはお喋りの方が良いよね!」

鞠莉「女子会を開きましょう!紅茶とcoffeeどちらがお好み?」

梨子「えーと」

鞠莉「両方準備しましょう!ケーキとクッキーも出すわ!とっても美味しいのよ」

梨子「そうじゃなくて……お話が……」


134: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:58:15.84 ID:1XLzcCXL.net

~~~


鞠莉「はぁ……遊びに来たんじゃないのね」シュン

梨子「ご、ごめんなさい」

鞠莉「…………」シューン…

梨子(そんなに遊びたかったの?)

鞠莉「それで……なんですか話とは?」

梨子「ええと……音楽祭の事で…」

鞠莉「あぁ、曜さんの事なら心配ご無用ですよ。ちゃんとエントリーしてますから参加できまーす」

梨子「そうじゃなくて…」

鞠莉「Watts?」

梨子「私も…参加したいんです」

鞠莉「……貴方が?」

梨子「ダメでしょうか…」

鞠莉「いえ、ありがたい事ですが……貴方は怪我をしてるのでは?」

梨子「簡単な曲なら弾けると思うんです」

鞠莉「easy?」

梨子「……はい」


135: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:58:51.72 ID:1XLzcCXL.net

~夜~

~公民館~

千歌「ねぇねぇ、隣座っても良い?」

ダイヤ「離れたりくっついたり忙しい人ですわね、勝手になさい」

千歌「わーい」

ダイヤ「…………」

千歌「こうやってくっついてると安心するね」

ダイヤ「…そうですね」

千歌「ダイヤさんって……お母さんみたいで……安心するなぁ…」

ダイヤ「なっ…失礼な!貴方と1年しか違わないんですよ?」

千歌「ふふ……」

ダイヤ「まったく……」

千歌「……悩み事たくさん聞いてくれて……嬉しかった……」

ダイヤ「……先輩の勤めですわ」

千歌「…………ありがとう」

ダイヤ「……どういたしまして」

千歌「…………」

ダイヤ「…………」

千歌「…………」スヤァ…

ダイヤ「千歌さん?」

千歌「…………」スー

ダイヤ「寝ちゃいましたか……」

千歌「…………」スー

ダイヤ「まったく……」

千歌「…………」スー

ダイヤ「これじゃあ帰れないじゃないですか…」


136: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:59:25.70 ID:1XLzcCXL.net

~~~

温かい……

人とくっついて寝るのは……

とっても温かいなぁ……

~~~


千歌「…………ふわぁ~」

千歌「……いつの間にか寝ちゃってた」

千歌「…………あっ」

千歌「……ダイヤさんも寝ちゃってる」

千歌「…ずっと同じ体勢でいて来れたんだ…」

千歌「……えへへ」

千歌「……そうだ、ダイヤさんが寝てる間に…」


137: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 14:59:59.90 ID:1XLzcCXL.net

~朝~


ダイヤ「………………ん?」

千歌「おはよう、ダイヤさん」

ダイヤ「…………」

千歌「……おはよー」

ダイヤ「…………」

千歌「…ダイヤさんって目覚め悪い人?低血圧?」

ダイヤ「……私、なんで貴方に膝枕されてるんですか?」

千歌「えっ?ダイヤさんが勝手に倒れてきたんだよ?」

ダイヤ「…そんな筈ありません」

千歌「本当だもん」

ダイヤ「……まったく」

千歌「まだ朝早いけど二度寝します?」

ダイヤ「しません!」


~~~


ダイヤ「昨日はそのまま寝てしまったので銭湯に行きましょう」

千歌「朝風呂だー」

ダイヤ「朝食は喫茶店ですませます」

千歌「喫茶店で朝食なんてお洒落だね!」

ダイヤ「さぁ準備して行きますよ」

千歌「はーい」


138: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:00:41.99 ID:1XLzcCXL.net

~銭湯~

千歌「いい湯だな~」

ダイヤ「……ふぅ」

千歌「朝からこんな広いお風呂を貸し切りなんて凄いよ」

ダイヤ「1番風呂ですね」

千歌「泳いじゃおうかな~」

ダイヤ「はしたないですよ」

千歌「やっぱりお母さんみたいだ~」

ダイヤ「むっ……」

千歌「はぁ~上がったらフルーツ牛乳飲みたい」

ダイヤ「…まったく、失礼な人」


~喫茶店~

千歌「これが喫茶店のモーニングセットかぁ~」

ダイヤ「本当は和食が良かったのですが仕方ありませんね」

千歌「エッグベーコンにトースターにサラダ、それとミカンゼリー!」

ダイヤ「貴方みたいな育ち盛りの子には、物足りない量ではなくて?」

千歌「う~ん、かもね」

ダイヤ「ほら、私のミカンゼリーあげますわ」

千歌「本当?やったぁ!」

ダイヤ「ふふ」

千歌(…やっぱりお母さんみたいじゃん)モグモグ


139: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:01:15.99 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「…だいぶ時間に余裕あるけど…もう行くの?」

ダイヤ「……そうですね、早めに登校しておいて損はありませんし」

千歌「でも早すぎるし、ちょっと遠回りして行こうよ?」

ダイヤ「まぁ……少しくらいなら良いですけど」


~住宅街~


千歌「へぇーこんな道あったんだ」

ダイヤ「新鮮ですわね」

千歌「あっ!抜け道がある、通ってみたいな…」

ダイヤ「ダメですよどこに出るかわかりませんし」

千歌「えぇ~」

ダイヤ「人様のお庭に出てしまうかもしれませんし」

千歌「う~ん、それは気まずいね……」


141: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:01:53.32 ID:1XLzcCXL.net

~商店街~

千歌「……静かだね」

ダイヤ「まだ、そんな時間じゃありませんからね」

千歌「準備してる人はちらほらいるけど」

ダイヤ「そうですね」

千歌「…………」

ガタ……ゴトッ……

千歌(今は静かだけどこれから活気になっていく気配を感じる…)

サッ……サッ……

千歌(そんな音だね…)


ワーワー…


千歌「……ん?」

ダイヤ「どうしました?」

千歌「……あれ」

ダイヤ「……観光客でしょうか?」


『早く来すぎたね……』

『だからもう少し時間が経ってからにしようと言ったんです!』

『まぁまぁ、どこかで時間を潰せば良いだけなんだから』

『そんな場所あるんですか?』

『えーと……』

『まったく…』


千歌「揉めてる?」

ダイヤ「みたいですね」


142: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:02:34.30 ID:1XLzcCXL.net

『何か発見があるかもしれないし!この商店街を探索しようよ!』

『だから、そのお店がまだやってないですよ』

『どこかもう開いてるお店があるかもしれないじゃん』

『なんでそんな……』


『……だって…可能性感じたんだ…そうだ…ススメ!』


千歌「!!」


『後悔したくない目の前に僕らの道がある~』


千歌「急に歌い出したよ…」

ダイヤ「しっ!見てはいけません」


『Let's go! Do! I do! I live!』


千歌「ひぃ!3人とも急に踊り出した」ビクッ

ダイヤ「関わらないようにしましょう…」


『Yes,Do! I do! I live!』


千歌「何なの?あれ」

ダイヤ「恐らくミュージカルか何かの……練習でしょうか?」


『Let's go,Let's go! Hi!!』


千歌「ミュージカル?」

ダイヤ「えぇ」

千歌「あれが…ミュージカル…」ドキドキ


144: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:03:08.72 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「…ミュージカルってなんなの?」

ダイヤ「簡単に言えば歌でお芝居をするんです」

千歌「歌でお芝居…」

ダイヤ「正確に言えば歌と躍りとお芝居を合わせた物ですね」

ダイヤ「何をもってミュージカルと呼ぶかはきちんと定義されているんですが…」

ダイヤ「多様化が進んでるので歌のお芝居という、ふんわりとしたイメージで問題ないでしょう」

ダイヤ「感情を表したい場面では、そういう歌を歌ったり踊ったりするんです」

千歌「ミュージカルか~」

ダイヤ「あれも音楽ですわ」

千歌「…いろいろあるんだね」

~~~

千歌「そろそろ学校に着いちゃうな……」

ダイヤ「憂鬱ですか?」

千歌「うん…」

ダイヤ「……早くあの二人と仲直りしなさい」

千歌「えっ?」

ダイヤ「だって、それが原因でしょう?」

千歌「…うん」

ダイヤ「友達なんですから、すんなり元の関係に戻れますわ」

千歌「……そうかな」

ダイヤ「そうです」


145: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:04:13.09 ID:1XLzcCXL.net

~生徒会室~

鞠莉「おはよう!ダイヤに千歌さん!」

千歌「……」

ダイヤ「また、ずいぶん早くから」

鞠莉「二人を待ってたのよ」

ダイヤ「私達を?」

鞠莉「正確には千歌さんに話がね…」

千歌「……なんですか?」

鞠莉「曜さんが音楽祭に参加することになりました」

千歌「……そう」

鞠莉「そして梨子さんも参加しまーす!」

千歌「……梨子ちゃんも?」

鞠莉「yes!」

ダイヤ「無茶しますわね」

鞠莉「えぇ、でも止めちゃダメよ……彼女、本気だもん」

ダイヤ「…………」

千歌「それが何なの?私には関係ない…」

鞠莉「貴方にも参加してもらいたいんですよ」

千歌「千歌が?冗談でしょ…」

鞠莉「嫌ですか?」

千歌「当たり前でしょ、千歌は楽器なんて弾けないし」

鞠莉「梨子さんの話だと音楽の才能があると言ってました」

千歌「私には才能なんてないよ、全然上手でもないし…」

鞠莉「上手い下手は楽器のスキルでしょう?梨子さんが言っていたのは音楽の才能、感性ですね」

千歌「意味わかんない…」


146: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:04:52.41 ID:1XLzcCXL.net

鞠莉「とにかくエントリーしときましたのでよろしくお願いしまーす」

千歌「勝手に決めないでよ」

鞠莉「自信がなければ逃げても良いのよ?」

千歌「変な挑発はやめて…!」

鞠莉「私の家に来ればピアノがありますから、好きなだけ練習してもらって構いませんよ?」

千歌「ちょっと…勝手に話を…」

鞠莉「それではアディオス!」

千歌「…………」

ダイヤ「相変わらず強引ですね」

千歌「絶対出ないからね!!」



ダイヤ(………しかし、何を考えてるの?鞠莉さん…)


148: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:05:29.92 ID:1XLzcCXL.net

~~~


ダイヤ「千歌さん、この書類をまとめといてください」

千歌「はい」パチン

ダイヤ「…………」

千歌「…………」

ダイヤ「…………」スラスラ

千歌「……私って役に立ってるかな?」

ダイヤ「?…いないよりは立ってますが…?」

千歌「…なら良いけど」

ダイヤ「…………」

千歌「…………」

ダイヤ「千歌さん、ハンコを」

千歌「…はい」スッ

ダイヤ「…………」ペタン

千歌「…………」


149: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:06:08.30 ID:1XLzcCXL.net

~~~


ダイヤ「そろそろ部活動の朝練が始まる時間ですわ」

千歌「もうそんな時間?」

ダイヤ「反省した昨日今日で無いとは思いますが、念のため善子さん達の様子を見に行きましょう」

千歌「はーい」


~~~


花丸「あの炎はこれで再現するずら」

ルビィ「これなら確かに危なくないけど…」

善子「ちょっと地味よね」

花丸「素材だけが見せ方じゃないずらよ」

善子「というと?」

花丸「こーしてみたり」

ルビィ「あっ面白そう!」

善子「良いわね!それ!」



ダイヤ「大丈夫そうですね」

千歌(昨日と様子が全然違う…)


150: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:06:49.78 ID:1XLzcCXL.net

~~~


ダイヤ「彼女達さえ問題を起こさなければ、音楽祭も無事に開催出来るでしょう」

千歌「そうだね」

タンララン♪

ダイヤ「……あら?ピアノの演奏が聴こえますわ」

千歌「……」

ダイヤ「曜さんでしょうか?」


~~~


曜「…………」

タンラララララララタンララン♪

ラララララララタンララン♪



ダイヤ「ショパンの革命ですね」

千歌(最初に聴いた時より格段に上手くなってる……)

ダイヤ「とてもお上手ですわ」

千歌(でも……なんでだろ……)

千歌(楽しさを感じないよ……)

千歌(曜ちゃんの演奏から楽しさを……)

千歌(なんだか、ロボットみたいだ……曜ちゃん)


151: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:07:24.28 ID:1XLzcCXL.net

~~~


ダイヤ「さてと、見回りもこれくらいにして」

千歌「…………」

ダイヤ「私はそろそろ自分の教室に……」

千歌「…………」

ダイヤ「そんな寂しそうな顔しないでくださいよ」

千歌「だって……」

ダイヤ「またお昼になったら戻ってきますわ」

千歌「……うん」

ダイヤ「今日も授業に出ないなら、その分きちんと自習をしていてくださいよ」

千歌「はーい」


152: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:07:56.96 ID:1XLzcCXL.net

~~~


千歌(とは言っても一人じゃやる気でないよね)

千歌(というわけで音楽室に来てみたけど……)ジー

千歌(この時間、音楽の授業をやるクラスはないみたいだね)

千歌(久しぶりにピアノ弾いてみようかな……)

千歌(これはさっきの曜ちゃんの楽譜だ……)

千歌(…………)

タンンララ…ラタンララン♪

ラララタンラ…ラランラ…ラン♪

千歌(全然ダメだ……)

千歌(やっぱり千歌には向いてないよ)

千歌(音楽祭の事はきちんと断ろう)

千歌(…………それにしても曜ちゃんどうしちゃったんだろ)

千歌(なんだか怖かったな……)

千歌(全然楽しそうじゃなかった)

千歌(…………)

千歌(でも、そもそも楽しいってなんだろ?)

千歌(梨子ちゃんは『千歌ちゃんは楽しそうに演奏してるね』って言ってたけど)

千歌(楽しいってどうやるんだろ)

千歌(わかんないな)

千歌(…………)

ポロロンロロン ポロロロロローン♪

千歌(えへへ、チャルメラ)


153: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:08:47.55 ID:1XLzcCXL.net

~昼~

ダイヤ「ちゃんと自習してましたか?」

千歌「してたよ~」

ダイヤ「本当ですか?」

千歌「うん」

ダイヤ「なら良いのですけど」

千歌(本当はやってないけどね)

ダイヤ「では、お昼ご飯にしましょうか」

千歌「うん」


154: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:09:21.26 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ダイヤ「楽しいのやり方?」

千歌「うん」モグモグ

ダイヤ「……わかりませんね」

千歌「……そう」

ダイヤ「楽しいというのは感情ですから、やり方も何もないんじゃないでしょうか」

千歌「じゃあ楽しかったのに楽しくなくなったらどうすればいいの?」

ダイヤ「楽しくなくなるとは、飽きるとか嫌いになるとかですよね」

千歌「たぶん…そうかな?」

ダイヤ「飽きたのでしたら、やり方を変えてみては?」

千歌「やり方?」

ダイヤ「普通にやってても楽しくないという事ですわ。なにか違ったやり方でやれば、また楽しめるようになるかも知れません」

千歌「う~ん」

ダイヤ「嫌いになったのであれば原因を探して向き合うしかありませんね」

千歌「難しいね」

ダイヤ「貴方の場合、上手に出来ないのがストレスみたいですし、そこをどうにかするのが1番だと思いますが」

千歌「どうにかって…上手くなれって事?」

ダイヤ「それもありますし、気にしないという手もあります」

千歌「気にしないって言ったって…」

ダイヤ「貴方は自分が楽しみたいんですか?それとも他人を楽しませたいんですか?」

千歌「……う~ん?」

ダイヤ「いろいろと……よく考えてみた方が良いかも知れませんね」

千歌「…………」


155: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:09:58.40 ID:1XLzcCXL.net

~夕方~


ダイヤ「ふぅ、今日は何事もなく終わりですね」

千歌「平和だったね」

ダイヤ「ずっとこうだと良いのですが」

千歌「…………」

ダイヤ「帰りましょうか」

千歌「うん」

~~~

千歌「明日も手伝って良い?」

ダイヤ「ご自由にしてください」

千歌「……ダイヤさんはどう思ってるの?」

ダイヤ「はい?」

千歌「……千歌に手伝ってほしいと思ってる?」

ダイヤ「…………」

千歌「……」

ダイヤ「思ってますわ」

千歌「本当?」

ダイヤ「えぇ」

千歌「…やった!」

ダイヤ「はしゃがないでください」

千歌「えへへ…」

ダイヤ(まったく……新しい妹が出来たみたい) 

ダイヤ(いえ、どちらかと言うと……)

ダイヤ(娘が出来たみたい…?)

ダイヤ(……って私達1年しか違いませんわ)

ダイヤ(まったく……手のかかる人です)


156: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:10:32.80 ID:1XLzcCXL.net

~~~


ダイヤ「今日も練習聴いてきます?」

千歌「ううん、後は音楽祭までの楽しみにとっておくよ」

ダイヤ「そうですか?」

千歌「寂しい?」

ダイヤ「いいえ」

千歌「……そう」

ダイヤ「……まぁ、少しだけ寂しいかもしれませんね」

千歌「本当?」

ダイヤ「多少ですわ」

千歌「えへへ」

ダイヤ「では、私は公民館に寄りますんで気を付けて帰ってくださいね」

千歌「…うん」

ダイヤ「さようなら」

千歌「さよなら…」バイバイ

ダイヤ「…………」



ダイヤ(まぁ……)

ダイヤ(いざ別れると…結構、寂しいですわね……)

ダイヤ(よく考えたら2日間、一緒にいたんですもん)

ダイヤ(無理もないですわ……)


157: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:11:10.04 ID:1XLzcCXL.net

~~~


千歌(……千歌は考えてみたよ)

千歌(いろいろ考えてみた……)

千歌(それでここにきた……)

千歌(これであってるか、わからないけど)

千歌(今やるべき事はきっと……)


158: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:11:54.19 ID:1XLzcCXL.net

~鞠莉宅~

ピンポーン

鞠莉「はーい!」

鞠莉「誰でしょうか?」

鞠莉「あら…」ガチャ

千歌「…………」

鞠莉「千歌さん?」

千歌「どうも……」

鞠莉「どうしたんですか?」

千歌「ちょっと用が…」

鞠莉「まさか!遊びに来てくれたんですか!」

千歌「ううん…」

鞠莉「ちょうど今、オリジナルカードゲームを作ってたんです!」

千歌「そうじゃなくてね…」

鞠莉「戦略性が強い物を作りました!将棋とかチェスの要素も加えた自信作でーす!」

千歌「千歌はね…」

鞠莉「それで一緒に遊びま…」

千歌「ピアノ!!!」

鞠莉「!!」

千歌「ピアノを弾かせて欲しいの!!」

鞠莉「……」

千歌「……」

鞠莉「oh……」

千歌「?」

鞠莉「残念です」

鞠莉「誰もマリーとは遊んでくれないんですね……」

鞠莉「しくしく」

千歌「?」

鞠莉「……ピアノですね…どうぞこちらに」


159: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:12:32.09 ID:1XLzcCXL.net

~~~

鞠莉「必要でしたら先生でも雇いましょうか…?」

千歌「いらないよ」

タラララン♪
タラララン♪

タタタタタ…タタタタタ…タタタタタ!

鞠莉(これは何の曲?適当に弾いてるだけ?)

千歌「~♪」

タラララン♪タタタタタ!タラララン♪タタタタタ!

鞠莉(でも……とても楽しそう…)


160: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:13:06.87 ID:1XLzcCXL.net

~~~

考えてみたよ

千歌は何がしたいのかを…

いろいろ考えても…

正直、わからない事だらけだったけど

なんで楽しかったのか?

なんで楽しくなくなったのか?

それはわかった……

梨子『千歌ちゃんはとっても楽しそうに弾くね』

曜『こっちも楽しくなっちゃうよ』

そうだ、3人でいたから楽しかったんだ…

2人が笑ってくれるから嬉しかったんだ…

もっと2人を楽しませたくって…

上手くならなきゃって勝手に思い込んで…

曜『~♪』

梨子『凄い…曜ちゃん!』

なのにくだらない嫉妬心で…

ごめんね……

だから千歌は、またピアノを弾くよ……

自分のために

二人のために


162: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:13:39.98 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「~♪」タララン♪

千歌(二人の事を思いながら弾くと)

千歌(楽しく弾ける……)

千歌(二人に聴いてもらえたら)

千歌(きっともっと楽しく……)

~~~

千歌「ふぅ…」

鞠莉「休憩しましょうか?」

千歌「うん」

鞠莉「ティータイムでーす」

千歌「ありがと」

鞠莉「……音楽祭には出てもらえると解釈して良いのよね?」

千歌「そっちが勝手に参加させたんじゃん」

鞠莉「でも、出たくない人を無理矢理舞台に上げて演奏させる事は出来ないし……」

千歌「……出るよ」

鞠莉「…そうですか」

千歌「上手には出来ないし、皆を楽しませたりは出来ないけどね」

鞠莉「感謝します…千歌さん…」

千歌「千歌で良いよ」

鞠莉「?」

千歌「キツい事言って、ごめんなさい」

鞠莉「何の事でしょう?」

千歌「覚えてないなら別に良いよ」

鞠莉「……………」

────────────

千歌『馴れ馴れしく呼ばないでよ!』

────────────

鞠莉(…気にしてくれてたのね)


163: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:14:24.66 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~


鞠莉「もしもし梨子さん?」

鞠莉「千歌っちも出場する事になりました」

鞠莉「……えぇ」

鞠莉「…大丈夫よ」

鞠莉「あの子、何かに気付いたみたいだから……」


164: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:14:57.83 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~


梨子(千歌ちゃん……出てくれるんだね……)


梨子「……」スッ

タン!

梨子(曜ちゃんがどんどん変わっていってる)

ラララララララタン♪

梨子(このままじゃ曜ちゃんは……)

ラララララララタン♪

梨子(なんとかして止めないと……)

ラン………………

梨子(この手がもう使い物にならなくなったとしても……)

梨子(……でも、私だけじゃ曜ちゃんは止めれない)

梨子(お願い……千歌ちゃん)

梨子(曜ちゃんを止めて…)


165: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:15:31.15 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~


曜「…………」

果南「曜!」

曜「……あぁ…果南ちゃんか」

果南「曜!you!元気ないよう?」

曜「……果南ちゃんのそういう所、面白くないよ」

果南「ありゃりゃ、冷たいねぇ」

曜「……何か用?」

果南「曜だけに?」

曜「……ばいばい」

果南「あーちょっとちょっと……」

果南「フラれちゃった」

果南「私じゃダイヤみたいには出来ないね」

果南「誰か曜をなんとかして~」


166: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:16:04.66 ID:1XLzcCXL.net

~翌日~


ダイヤ「今日は教室に行くんですか?」

千歌「うん」

ダイヤ「それは良かった」

千歌「何かご褒美くれる?」

ダイヤ「教室で授業を受けるのは当然の事ですわ。あげません」

千歌「ちぇ」

ダイヤ「…………」

千歌「…………」

ダイヤ「…緊張してます?」

千歌「うん」

ダイヤ「入ってしまえば楽ですわ」

千歌「わかってるんだけどね」

ダイヤ「梨子さんに迎えに来て貰います?」

千歌「いいよ…1人で行ける」

ダイヤ「なら、頑張ってください」

千歌「うん」

ダイヤ「……お昼、今日もここで食べましょうか」

千歌「えっ?」

ダイヤ「待ってますよ?」

千歌「……うん!」


168: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:16:37.88 ID:1XLzcCXL.net

~~~

教室の前……

扉を開けたら自分の教室……

なんだか緊張するな……

ずっとサボってたのに急に来て……

クラスの子達は何か思うのかな……

曜ちゃんや梨子ちゃんは何か思うのかな……

なんて……また他人の目ばかり気にしてる…

私は自分がしたいようにするんだ……!


171: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:17:16.30 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「おはよー」

『……おっおはよー』

『…久しぶりだね!』

千歌「うん、心配かけてごめんね」

梨子「……千歌ちゃん」

千歌「おはよー梨子ちゃん」

梨子「…おはよう!」

千歌「曜ちゃんも」

曜「…………」

千歌「おはよう」

曜「…………」

梨子「……曜ちゃん」

千歌「………」

曜「……千歌ちゃんさぁ」

千歌「なに?」

曜「…音楽祭出るんだって?」ギロッ

千歌「…………うん」

曜「出来ない人が出ていったって恥かくだけだよ?」

梨子「…ちょっと!」

千歌「かもね…」

曜「だったらやめときなよ」

千歌「…………」


173: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:17:57.09 ID:1XLzcCXL.net

曜「出来ない人間がさぁ!」バンッ

梨子「よ、曜ちゃん?」

曜「目障りなんだよ!出来ない癖にネチネチやめられない奴とか…」

曜「必死こいて努力して結果も出せない奴の姿とかさ!」

曜「勝手に頑張って!勝手に傷ついて!その挙げ句に出来る奴を妬み嫉むその醜い姿!」

曜「不愉快なんだよ!」

千歌「……」

曜「千歌ちゃんの事だよ!わかってる?」

梨子「やめて…曜ちゃん…」

千歌「……」

曜「出来る奴に任せとけば良いんだよ!」

曜「なんで自分でやりたがるの!出来ない癖に!」

曜「世の中は出来る奴と出来ない奴の2択!!」

曜「出来ない奴は無駄な事してないで自分が出来る事だけ探してやってれば良いんだよ!!」バンッ!

梨子「曜ちゃん…落ち着いて?」

曜「梨子ちゃんもだよ」

曜「そんな使い物にならなくなった手で何を演奏するつもり?チューリップでも弾くの?」

曜「今までどんな演奏をしてたか知らないけど、そういうのを晩節を汚すって言うんだよ」

曜「梨子ちゃんは私に任せて大人しくしてればいいの!」

曜「私は貴方が到達できなかった場所まで辿り着く!」

曜「凡人やそれ以下の人間がどれだけ努力しても到達できない場所へ!」

曜「行ってやるよ!私は!!出来る人間だからな!!!!」

曜「出来るからやってやるんだ!お前らのためにぃ!!!」

曜「お前らに出来ないから!わざわざ私がやってやるんだ!出来るからやってやるんだっ!!!」

曜「だから!おとなしくしてろ!!!」


174: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:18:30.20 ID:1XLzcCXL.net

梨子「曜ちゃん……」

曜「……はぁ…はぁ」

梨子「…………曜ちゃんは」

曜「……なに?」ハァ…ハァ…

梨子「…………出来るから……仕方なくやってるの……?」

曜「………」

梨子「楽しくないの?……ピアノ?」

曜「……………」

梨子「だったら……」

曜「…………」

曜(…やめてよ)

曜(そんな悲しそうな顔で見ないでよ……)

曜(どうすればいいか…)

曜(また、わかんなくなるじゃん…)

曜「………」

千歌「聴いてて!」

曜「……?」

千歌「私の演奏!音楽祭で!」

曜「…………」

梨子「千歌ちゃん…」

千歌「二人に聴いて欲しいから」

梨子「………うん」

曜「……………」


175: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:19:04.08 ID:1XLzcCXL.net

~~~

梨子「曜ちゃんずっとあんな感じなの……」

千歌「ごめん、千歌のせいだね」

梨子「そんなこと…」

千歌「梨子ちゃんも殴ってごめんね…」

梨子「私は良いの…それより曜ちゃんに…」

千歌「曜ちゃんにも早く謝りたい……だけど今の曜ちゃんには千歌の声は聴こえないよ」

梨子「そんなこと…」

千歌「だから待ってて…」

梨子「……えっ?」

千歌「必ず元の曜ちゃんに戻して……謝って……」

千歌「また3人で仲良く出来る日が絶対来るから……」

千歌「それまで待ってて?」

梨子「…………うん、わかった」

千歌「えへへ、ありがとう」

梨子(笑顔……)

梨子(千歌ちゃん、前みたいに戻ってる…)

梨子(良かった…)

千歌「私ね!3人でやりたいことがあるんだ」

梨子「やりたいこと?」

千歌「うん!全部終わったら話すね」

梨子「……うん、待ってるよ……ずっと!」


176: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:19:37.40 ID:1XLzcCXL.net

~昼~

ダイヤ「音楽祭、結局出るんですってね」

千歌「うん」

ダイヤ「絶対出ないと言ってましたのに」

千歌「心境の変化?かな……」

ダイヤ「鞠莉さんから聞いて驚きましたよ」

千歌「ダイヤさんには言ってなかったっけ」

ダイヤ「聞いてません。そういうのは直接教えて欲しかったです」

千歌「……怒ってるの?」

ダイヤ「そんなわけないでしょう、私は大人ですからね」

千歌「1年しか違わないのに?」

ダイヤ「1年も違いますわ」

千歌「まぁ怒んないでよ」

ダイヤ「だから怒ってませんって」

千歌「どうかなぁ?」

ダイヤ「怒ってませんわ」

千歌「はいはい」

ダイヤ「……ただ」

千歌「?」


ダイヤ(貴方から直接聞けなかったのが……少しだけ寂しかっただけです)

ダイヤ(……なんて、これじゃあ…私、本当にお母さんみたいじゃないですか…)

ダイヤ「………ふん」

千歌「?」


177: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:20:10.93 ID:1XLzcCXL.net

~夕方~


鞠莉「ハーイ!今日も来ましたね」

千歌「うん」

鞠莉「これは頼まれた楽譜でーす」ピラッ

千歌「ありがとう」

鞠莉「音楽祭まで時間もありませんが、マスター出来ます?」

千歌「完璧に弾く必要はないんだよ」

鞠莉「?」

千歌「伝えたい事が伝われば…」

鞠莉「……そうね!」

千歌「そういえばさ……」

鞠莉「なに?」

千歌「音楽祭っていつやるの?」

鞠莉「えっ?知らないの?」

千歌「うん、興味なかったし」

鞠莉「……明後日よ?」

千歌「………えっ?」

鞠莉「明後日の土曜」

千歌「…………」



千歌「えっ?」


178: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:20:45.63 ID:1XLzcCXL.net

~翌日~

ダイヤ「ふふふふ!わ、笑えますわぁ……」クスクス

千歌「笑いすぎじゃない……?」

ダイヤ「まさか日程すら把握してなかったなんて……ふふっ!」

千歌「もう……」

ダイヤ「だから出ると聞いて驚いたんですよ」

千歌「はぁ……」

ダイヤ「朝から大笑いしてしまいましたわ…」ハァ…ハァ…

千歌「……」ムスー

ダイヤ「しかし、大丈夫なんですか?」

千歌「?」

ダイヤ「演奏……練習もほとんどしてないでしょうに……」

千歌「平気だよ…上手に演奏する必要はないからね」

千歌「千歌は……ただ二人に聴いてほしいだけなんだ……」

千歌「私の演奏を……」

ダイヤ「千歌さん……」

ダイヤ(ふふ、いい顔になりましたね……千歌さん)


179: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:21:22.65 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌「…………」

千歌(今日は音楽祭前日……)

千歌(そういうことで…)

千歌(あの子達が…何かしないかの最終確認に……)

千歌(また一人で行くはめになっちゃった……)

千歌(この前みたいに舐められないかな……)

~~~

千歌「………はぁ」

善子「だから大丈夫よ!変な事なんて絶対しないから」

千歌「本当に?」

ルビィ「信じてくださぃ」ウルウル

千歌(この子、前と全然違うな……)

花丸「まったく妥協していない最高の演出を楽しみにしていてほしいずら!」

千歌(妥協してないって事は危険な事もやるって事なんじゃ…?)

善子「心配しないで……もう貴方に迷惑はかけないわ」

千歌「?」

善子「私達の代わりに罰を受けてくれたんでしょ?」

千歌(罰って言っても……始末書を書かされた事くらいだけど……)

善子「私達を庇ってくれて本当に感謝してるの」

千歌(先輩だから責任を取らされただけなんだけどね……)

善子「だから私達は、もう2度と貴方の期待を裏切らない…」

千歌(期待?…してた覚えが……)

善子「千歌先輩!私達を見守っていて!」

千歌「!!」

千歌(千歌先輩?)

千歌(……この子…初めて私の事を……)

千歌(敬ってくれた……!)ドキドキ…


180: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:21:59.87 ID:1XLzcCXL.net

千歌「まっ…まぁ、後輩を信じるのも先輩の勤めだし」

千歌「千歌は皆が何もしないって信じるよ」

善子「本当?」

千歌「もちろん」

善子「やったわ!」

ルビィ「良かったね!」

花丸「ずら~!」

千歌「あはは!」

千歌(はしゃいじゃって…可愛い所あるじゃないか…)

善子「じゃ、じゃあ!先輩なら……」

千歌「?」

善子「私達が困ったとき…助けてくれる?」ウルウル

千歌「!」ドキッ

千歌「……あ、当り前じゃん」

善子「やった!!」

ルビィ「やったね!」

花丸「ずら~」

千歌「あはは!」

千歌(まったく…可愛い後輩達め…)

善子「じゃあ!これ!」ドンッ

千歌「ん?」

善子「切るのを手伝って欲しいの!」

ルビィ「お願いします!」

花丸「ずら!」

千歌「…………」


千歌「えっ?」


181: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:22:34.03 ID:1XLzcCXL.net

~夕方~

ダイヤ「それで今日はずっと彼女達の手伝いをしてたんですか?」

千歌「うん……休み時間の度に集まっては黙々と作業を繰り返してたよ……」

ダイヤ「ふふ、良いように使われて」

千歌「……」

ダイヤ「流石あの子達の『先輩』ですわ」

千歌「むぅ……」

ダイヤ「人の事にかまけて、自分の事は大丈夫なんですか?」

千歌「う~ん……」

千歌(下手でも良いとは言ったけど)

千歌(……最低限は弾けないと…いけないよね…)

千歌「…………」

ダイヤ「早く鞠莉さんの所に行きなさい」

千歌「えっ?」

ダイヤ「残りの仕事は一人で出来ますわ」

千歌「でもダイヤさんも明日……」

ダイヤ「今まで貴方が手伝ってくれたおかげで十分過ぎる程、練習の時間は確保出来ました」

千歌「でも、私そんなに役に……」

ダイヤ「立ちましたよ?」

千歌「……えっ?」

ダイヤ「貴方がいてくれて…とても助かりました…」

千歌「……そんな」

ダイヤ「ありがとうございます……千歌さん」

千歌「……ダイヤさん」

ダイヤ「ほら、早く行きなさい、時間がないですよ」

千歌「………うん」

千歌「ありがとう…」

千歌「…ダイヤさん!」


182: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:23:08.16 ID:1XLzcCXL.net

~鞠莉宅~

鞠莉「いよいよ明日ね!」

千歌「うん」

鞠莉「準備は万全かしら?」

千歌「そう思う?」

鞠莉「…………」

鞠莉「……えーと」

鞠莉「今日は泊まると良いわ!!」

千歌「いいの?」

鞠莉「もちろん!」

千歌「じゃあギリギリまで弾かせてもらうね」

鞠莉「オッケー!でもちゃんと休憩はしなきゃダメよ?」

千歌「うん」

鞠莉「お茶淹れるわね」

千歌「ありがとう……」


183: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:23:41.51 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌(………………)

千歌(だんだん弾けるようになってきた)

千歌(完璧じゃないけど)

千歌(これが私の演奏)

千歌(音楽祭まで、あっという間だったな)

千歌(当り前だけど)

千歌(……千歌の気持ち)

千歌(二人に伝わるかな…)

千歌(…………)

千歌(きっと大丈夫)

千歌(だって私……)

千歌(ピアノ弾いてて…)

千歌(今が……一番……)


184: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:24:18.01 ID:1XLzcCXL.net

~~~


曜(………明日)

曜(いよいよ明日だ)

曜(全世界に見せつけてやる)

曜(私の実力をっ…!)

曜(知らしめてやるんだ!)

曜(それが私のやるべき事なんだ!)

曜(私の!)


185: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:24:51.08 ID:1XLzcCXL.net

~~~


梨子(いよいよ明日か…)

梨子(……音楽祭)

梨子(また演奏する事になるなんて思いもしなかった)

梨子(これが本当の最後になると思う…)

梨子(だからこそ…)

梨子(聴いて……)

梨子(二人とも……)


186: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:25:24.70 ID:1XLzcCXL.net

~翌日~


~音楽祭当日~


~会場~


果南「いよいよだね」

鞠莉「皆さん、いったいどんな演奏を聴かせてくれるんでしょう!」

ダイヤ「楽しみですわね」

千歌「………」

果南「緊張してんの?千歌~」ニヤニヤ

千歌「別にそんなんじゃないよ」

千歌「ただ……」

千歌(順番………私が一番最後か……)

千歌(一番最初も嫌だけど、一番最後も嫌だなぁ)

千歌(やっぱり…緊張してるや……)

鞠莉「そろそろ始まりまーす!」



──これより音楽祭を開催します


187: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:25:57.75 ID:1XLzcCXL.net

~~~

エントリナンバー1番
用務員のおじさん

『…お願いします』ペコッ


千歌「あっ…おじさんだ…」

果南「あー昔は歌手目指してたとか言ってたっけ」

鞠莉「何を歌うんでしょう」

ダイヤ「始まりますわ」


~孫~

『……なんで…こんなに…可愛いのかよぉ~』


千歌「演歌だ」

鞠莉「渋いわね」

果南「こぶしが回ってるね~」

ダイヤ「…な、泣けますわ」ホロリ


『孫という名の宝もの…』


果南「お孫さんが今年で5才なんだって」

鞠莉「感情がこもってるわけね」

千歌「……ダイヤさん?泣いてるの?」

ダイヤ「うぅ…うっ」ボロボロ


188: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:26:30.61 ID:1XLzcCXL.net

~~~


エントリナンバー5番
松浦果南さん

~アリオンの琴歌~


千歌「果南ちゃんサックスなんて吹けたんだ」

鞠莉「肺活量を活かした選択ね」

ダイヤ「しかし、アリオンの琴歌は四重奏の曲……一人でどう演奏するんでしょう」


果南「…………」


千歌「あっ果南ちゃん出てきた」

鞠莉「ワーオ!なんですかあのサックス」

ダイヤ「酸素ボンベを改造した物でしょうか?吹き出し口が4本あります、あれで四重奏を……?」


果南「~~~♪」

ドードドドードードードー♪


千歌「凄い不思議な音色」

鞠莉「改造楽器なんてバトルロワイヤルに相応しいじゃない!果南!」

ダイヤ「なんでもありですわね…」


189: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:27:05.69 ID:1XLzcCXL.net

~~~

エントリーナンバー8番
鹿角姉妹

~漫談~

聖良「はいーどうもー」チャンチャカチャンチャカチャン♪

理亞「…………」ジャラン♪

聖良「私達ね!姉妹で漫才させてもらってます」チャンチャカチャーン♪

理亞「…………」ジャラン♪


千歌「あんな子達、沼津にいたっけ?」

果南「沼津も広いからね」

鞠莉(沼津市民じゃなかったけど、可愛かったからエントリーしました、これもPRのためでーす!)

ダイヤ「姉妹漫談……クールですわ…」


聖良「えっ?なになに?理亞ちゃん」チャンチャカチャンチャカチャンチャカチャーン♪

理亞「…ゴニョゴニョ」

聖良「うん」チャーン♪

理亞「…ゴニョゴニョゴニョ」

聖良「なんと!」チャンチャカ♪

理亞「…ゴニョゴニョゴニョゴニョ」

聖良「んなアホな!」チャンチャカチャーン♪


千歌「何言ってるのか全然聞こえない…」

果南「そもそも、これって音楽なの?」

鞠莉「キュートだからオッケーよ!」

ダイヤ「私もルビィとやってみたいですわ……」


善子「ルビィ、姉妹漫談だって」

ルビィ「うわぁ……絶対やりたくないよ」

花丸「ずら~」


190: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:27:46.51 ID:1XLzcCXL.net

~~~


エントリーナンバー13番
津島善子、国木田花丸、黒澤ルビィ


善子「今日は私達のために集まってくれてありがとう!!」

シーーーーーン

善子「元気がないわね!ノッてるかしらー!?」

シーーーーーン


鞠莉「oh…」

千歌「……今日は善子ちゃん達の単独ライブじゃないんだよ…」

果南「あはは…」

ダイヤ(あの子達が問題起こしませんように…問題起こしませんように…)ブツブツ


善子「まったく!ノリの悪いオーディエンスね!」

善子「まぁ良いわ!私達の曲、聴きなさい!」


191: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:28:48.30 ID:1XLzcCXL.net

~Daydream Warrior~

善子「気配が消えた?私の呼吸が…
荒く激しく 辿るてがかり」


果南「へぇ、かっこいい曲じゃん」

鞠莉「クールね!」

千歌「………これって観客に歌わせる部分があったような…」


ルビィ「探しながらも 見つけたくない
見つけたらすぐ 攻撃しなきゃ!」


千歌「あわわ……」

千歌「そろそろきちゃうよ………」

千歌「……その部分」


────────────

善子『私達が困ったとき…助けてくれる?』ウルウル

────────────


千歌「……あー!もうっ!」


善子「どうしてあなたが敵なのか」マイク スッ

千歌『…きっと誰にもわからない!!!』


鞠莉「oh!千歌?」

果南「びっくりした急に」

ダイヤ「ふふ…流石、あの子達の先輩ですね」

千歌(もう…///恥ずかしいなぁ!)


192: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:29:23.94 ID:1XLzcCXL.net

善子「こんなに惹かれた訳さえも」マイク スッ

千歌『…本当のことはわからない!』

花丸「悪い夢なんだ」


千歌(本当だよ…)


バンッ!


果南「テープが発射された」

ダイヤ「これですか千歌さんが昨日手伝わされた物は」

鞠莉「ヒラヒラたくさん舞ってビューティフルね!」

千歌(まだあるよね…)


善子「光と闇のDaydream !」

千歌『…Daydreamer!!!』


果南「おー!テープのグラデーションがまるで炎みたい」

鞠莉「しかも空調で渦巻き火柱のようになってまーす」

ダイヤ「なるほど、これなら安全ですし…何より本物の炎より美しい」

千歌「…………」ゼェ……ゼェ……


193: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:29:57.40 ID:1XLzcCXL.net

善子「黒いとびらの向こう…待ち受けるのは…」

千歌『運命に!!』

善子「抱かれた私の Lost love」

善子、花丸、ルビィ「あの日知った優しさだけ 忘れないと!
額伝う 汗をぬぐい…
自らの手で終わりにしよう!」



鞠莉「ブラボー!」パチパチ

果南「凄いね!」

ダイヤ「3人とも……素晴らしかったですわ」

千歌「…………」ヒィー……ヒィー……


194: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:30:45.44 ID:1XLzcCXL.net

~~~

エントリーナンバー15番
小原鞠莉

~Linoleum~


果南「鞠莉も参加者なの?」

千歌「主催者側なのに良いのかな?」

ダイヤ「NOFXの曲ですか、パンクですわね鞠莉さん」


鞠莉「Possessions never meant anything to me!」

鞠莉「I'm not crazy」

鞠莉「Well that's not true, I've got a bed,」

鞠莉「and a guitar!」


果南「鞠莉ノリノリだね」

千歌「ちゃんとした英語話せたんだ…」

ダイヤ「~♪」ヘドバン


195: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:31:34.56 ID:1XLzcCXL.net

~~~

エントリーナンバー17番
黒澤ダイヤ

~大太鼓~


千歌「ダイヤさんの番だ」

果南「お、ダイヤの名前が書かれた垂れ幕………達筆だね」ニヤニヤ

千歌「あれは……」

鞠莉「一体、誰がダイヤのために書いたのかしら」ニヤニヤ

千歌「ふん!」


ダイヤ「…………」ペコリ


ダイヤ「………はぁ!」

ドン…ドン…ドン…ドン…ドン…ドン…ドン…ドン!!


果南「小さい音から始まって」

鞠莉「どんどん大きくなっていきまーす」

千歌「体中の血が熱くなって…せり上がってくる感覚だ…」


ドン!ドン!ドン!ドン!!ドン!!


梨子「やっぱり凄いね…」

曜「…………」

曜(ふん……ピアノで頂点を取ったら次は太鼓だ…私に出来ない事なんてないんだから…!)


196: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:32:07.13 ID:1XLzcCXL.net

ドドン!

ドンドン!カッカッ!ドンドン!カッカッ!
ドンドン!カッカッ!ドンドン!カッカッ!


善子「どんどん早くなってく」

ルビィ「流石お姉ちゃん…」

花丸「かっこいいずらぁ~」


ドドン!カッ!ドンドン!カッカッ!
ドンドン!ドンドン!ドドン!ドンドン!ドドン!ドン!ドドン!


千歌「バチが乱舞のように」

果南「流石だねダイヤ」

鞠莉「やっぱりダイヤが1番クールよ!」

ドンドンドン!ドンドンドン!ドドン!カッ!ドンドン!カッカッ!

千歌「本当に……」

ドドン!ドンドン!ドドン!ドン!ドドン!ドンドン!!

千歌「かっこいいな…ダイヤさんは…」

ドンドン!カッ!ドンドン!ドドン!ドンドン!ドドン!ドン!ドドン!ドンドン!!ドンドンドン!!!


ダイヤ「はぁ!!」

ドドン!


197: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:32:45.15 ID:1XLzcCXL.net

~~~

エントリーナンバー18番
桜内梨子


ダイヤ「ふぅ…」

果南「おつかれダイヤ」

鞠莉「お疲れさま!」

ダイヤ「えぇ」

千歌「かっこよかったよ……」

ダイヤ「ありがとう、千歌さん」

千歌「うん…」

鞠莉「さーて、お次は……いよいよ梨子さんね」

千歌「……梨子ちゃん」

ダイヤ「何を弾くんでしょう」

鞠莉「簡単な曲と言っていたけど…」


~幻想即興曲~


ダイヤ「どこが簡単な曲なんです…」

鞠莉「oh…」

千歌「この曲…梨子ちゃんの…」



曜「……バカなんじゃないの…こんな曲……あの手で弾けるわけない…指が動くわけないじゃん……」



198: 名無しで叶える物語(庭) 2018/02/03(土) 15:32:48.10 ID:zlf/qXCw.net

ダイヤさんマジかっけえ……



199: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:33:29.37 ID:1XLzcCXL.net

梨子「…………」ペコリ

梨子「………」スッ

梨子「……」

タン♪

タララララ タララララ…

梨子(曜ちゃん…千歌ちゃん…)

タララララララララララララララララララ♪

梨子(これが私の演奏よ)

タララララララララララララララララララ♪

梨子(聴いて!)

タラララララララララララララララララララララララララン♪



鞠莉「great……」

果南「凄いね…あの子…」

ダイヤ「……まったく乱れてない」

千歌「これが……梨子ちゃんの……」


タララララララララララララララララララ♪

曜(これが梨子ちゃんの演奏……)


200: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:34:12.69 ID:1XLzcCXL.net

タララララララララララララララララララ♪

梨子(ッ!)

タラララララララララララララララララララララララララン♪

梨子(指が痛い…でもここさえ越えれば)

タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!

梨子(…最初の1分を弾ききれば)

梨子(後は…しばらく緩やかに…優しい世界を表現するだけ…)

タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!

梨子(ここさえ乗りきれば!)

タララララララララララララララララララ♪

曜(凄い…)

タララララララララララララララララララ♪

梨子(あとちょっと!)

タラララララララララララララララララララララララララン♪
ララララララララララララララ♪
ララララララララララララララ♪

梨子(……乗りきった!!)


ダイヤ(最初の難関は越えましたね…)

ダイヤ(しかし、この後も曲調がゆっくりになるとはいえ簡単とは言えません)

ダイヤ(それに最後には、もう一度繰り返さなければいけないんですよ…)

ダイヤ(貴方の指がもつんですか…?)

タララララン…♪


千歌「…………この曲は」


201: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:35:04.79 ID:1XLzcCXL.net

────────────

千歌『ショパンの幻想即興曲?』

梨子『その曲はね、とても世界で愛されてる曲なの』

梨子『有名だからタイトルは知らなくても聴いた事あるんじゃないかな』

千歌『梨子ちゃんはその曲が好きなの?』

梨子『うん』

梨子『でも、ショパンはこの曲を気に入ってなかったらしいの』

千歌『なんで?』

梨子『いろいろ言われてるけど本当の事はわからないなぁ』

梨子『この曲は表に出ることのない曲だったんだけど』

梨子『ショパンの死後、友達がこの曲を公表したのよ』

千歌『えぇ…本人が嫌がってた物を世に出すなんて…』

梨子『でも結果として皆に知られる名曲になった』

千歌『なんだか複雑だね』

千歌『なんでその友達は皆に公表したんだろ?』

梨子『さぁ…これも本当の事はわからないけど』

梨子『許せなかったのかな』

梨子『友達が作ったこんなに素晴らしい曲が世に出ないなんて…』

梨子『友達が自分の可能性を捨てるなんて』

梨子『許せなかったんじゃないかな……』

────────────

千歌(……梨子ちゃん)


202: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:36:21.19 ID:1XLzcCXL.net

タララララ♪

ダイヤ(最後の山場ですわ)

タララララララララララララララララララ♪

梨子(これが私の…)

タララララララララララララララララララ♪

梨子(最後の演奏…)

タラララララララララララララララララララララララララン♪

梨子(曜ちゃん!)

タララララララララララララララララララ♪

梨子(越えれる?)

タララララララララララララララララララ♪

梨子(私を!)

タラララララララララララララララララララララララララン♪

梨子(越えれるかしら!)

タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!

曜「………………」

タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!

梨子(越えてみなさいよ!)

タララララララララララララララララララ♪

梨子(天才だって言うなら!)

タララララララララララララララララララ♪

梨子(私の10年を越えてみてよっ!!!)

タラララララララララララララララララララララララララン♪
ララララララララララララララ♪
ララララララララララララララ…


203: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:36:54.46 ID:1XLzcCXL.net

梨子「……」スッ


梨子「……」ペコリ



鞠莉「ブラボー!!」パチパチ

パチパチパチパチパチパチ!

パチパチパチパチパチパチ!

ダイヤ「テンポの早い曲なのに1つ1つの音がしっかりしていました」

ダイヤ「素晴らしい演奏です」パチパチ

果南「ピアノとか、よくわかんないけど」

果南「とにかく凄かったのは伝わったよ」パチパチ

千歌「梨子ちゃん……」パチパチ


204: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:37:27.61 ID:1XLzcCXL.net

~~~


梨子(指、もう動かないわ)

梨子(でも、清々しい気分)

梨子「…………」

曜「…………」

梨子「曜ちゃん…」

曜「手、見せなよ」

梨子「平気よ」

曜「バカなんじゃないの!こんな無茶して」

梨子「心配してくれたの?」

曜「当たり前でしょ」

梨子「…今のが私の全力よ」

曜「…なにを言って──」

梨子「越えてみなさい」

曜「…………」


205: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:38:16.05 ID:1XLzcCXL.net

~~~

エントリーナンバー19番
渡辺曜


ダイヤ「曜さんの番ですね」

果南「頑張れよー曜!」

鞠莉「スーツなんて着て似合いますね」

千歌「………曜ちゃん?」

千歌(……なに…あの表情……)




~革命のエチュード~

曜(…越えてみろだって?)

タン!

曜(…越えてやるよ)

タラララララララララララ♪

曜(…誰にも私は負けない)

タン!

曜(誰にも!)

タラララララララララララ♪

千歌(この前と違う…)

千歌(前はロボットみたいだったのに…)

千歌(今は感情を剥き出しにした獣みたい…)


206: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:38:52.32 ID:1XLzcCXL.net

タタン!タン!

タララララ♪

曜(これが私の演奏だ!)

タタン!タン!

タララララ♪

曜(他人が積み上げてきた物全てを破壊する!)

タンタ!タランタンタン!

曜(他人の夢を破壊する!そんな私の演奏だ!)

タタンタタンタン!タタンタタンタン!

果南「曜…」

鞠莉「聴いてるだけなのに…」

ダイヤ「なんという気迫を感じるんでしょう」


千歌(曜ちゃん……)

千歌(なんでそんなに必死なの?)




曜(梨子ちゃん……)

曜(正直、あんなに凄いなんて思ってなかった…)

タランタラン!

曜(貴方の演奏を聴いて…)

曜(素直に感心した……)

タン…タン…!

曜(貴方の演奏を聴いて…)

曜(出来る出来ないとか、義務だとか……もうどうでもよくなっちゃったよ……)

タランタラン!

曜(なんでだと思う?)

曜(単純に貴方を越えたくなっちゃったからだよ…!)


207: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:39:35.32 ID:1XLzcCXL.net

タン…タン…!

曜(だって…私が一番じゃないと……もう気がすまないだもん!!)

タランラランラ!

曜(一番じゃないと満たされないだもん!)

タランラランラ!

曜(私が誰かの下なんて許せないんだもん!!)

曜(そんなの!)

曜(私が今まで越えてきた人達に失礼だ!!)


鞠莉「…………」

果南「……はは、聴いてるだけで精一杯だよ」

ダイヤ「鬼気迫るとは正に……」


曜(…この後はあらゆるジャンルで頂点を取ってやる)

タランラランラ…!

曜(ピアノはその布石だ!)

タンタンタンタンタタ!

曜(ここから私の!伝説が始まる!)

タンタンタンタンタタ!

曜(だから聴け!私の演奏を!)

曜(評価しろ!私をっ!)

曜(私を一番に……)

曜(一番にしろ!!!)


208: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:40:22.45 ID:1XLzcCXL.net

梨子「…………」

梨子「やっぱり、凄いや曜ちゃんは…」

梨子「……流石だよ」


千歌「曜ちゃん……凄いよ……」

千歌「でも……」

千歌「大切な事……忘れちゃったの…?」

千歌「曜ちゃん……」


曜(最後だ……!)

ダダン!

曜(これで……!)

ダン!ダン!

曜(ラスト……!)

ダッダン!

曜(…………)


…………


曜(………完璧だ!!!)


209: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:40:57.31 ID:1XLzcCXL.net

演奏が終わってから拍手が聴こえてくるまで長い沈黙があった。

パチ……パチ……

それは全ての観客が曜の演奏に圧倒されていたという証拠であり……

パチパチパチパチ!
ウォー!ヒューヒュー!

その後、巻き起こった今日一番の歓声は……

この大会の結果を暗に示していた……


パチパチパチパチ!
パチパチパチパチパチ!

果南「曜!良かったぞー!」パチパチパチパチ


鞠莉「凄い……演奏でした…」

ダイヤ「えぇ、本当に…」


ダイヤ「梨子さんも曜さんも完璧な演奏でした」

ダイヤ「曲の難易度で言えばどちらも同じくらい……」

ダイヤ「いえ、左手を酷使する革命の方が難しい……」

ダイヤ「そう、判断する人の方が多いかもしれませんね……」

ダイヤ「ピアノの評価はただ難しい曲を弾くだけでは決まりませんが」

ダイヤ「それでも曜さんの、あの鬼気迫る……」

ダイヤ「聴くものを圧倒する演奏……」

ダイヤ「あんなものを聴かせられたら……」



曜(越えた!越えた!越えた!)

曜(確実に越えた!)

曜(私は!)

曜(桜内梨子を完全に越えた!)

曜(私は!)

曜(私が1番だ!)


210: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:41:30.38 ID:1XLzcCXL.net

~~~


曜「……ふぅ」

梨子「凄いね、曜ちゃんは」

曜「当然だよ」

梨子「敵わないや…」

曜「…………」


千歌「…おつかれ、二人とも」


梨子「…千歌ちゃん」

曜「……ふん、私の後で……しかもラストなんてついてないね」

千歌「そうかな?」

曜「ついてないのはお客さんの方か!最後の最後に千歌ちゃんなんかの演奏なんて聴かされるんだからね!」

梨子「曜ちゃん!」

千歌「…聴いてて」

曜「…………」

梨子「……千歌ちゃん…」

千歌「2人には聴いてもらいたいから」


211: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:42:23.99 ID:1XLzcCXL.net

~~~

ラスト
エントリーナンバー20番
高海千歌

千歌「…………」


ダイヤ「何を演奏するつもりでしょうか」

果南「緊張するなよ千歌!」

鞠莉「ファイトよ千歌っち!」


千歌「…………」スッ


千歌「~♪」ポロロンロロン ポロロロロローン♪



曜「…………は?」

梨子「…チャルメラ?」


千歌「~♪♪」ポロロロロロン ポロロロロン


梨子「コンビニの入店音?」

曜「……はぁ?」


千歌「~♪~♪」ローンローンローンローン…ローンローンローンローン


梨子「学校のチャイム?」

曜「……くだらない!何を聴かせたいの?千歌ちゃんは!」


千歌「…………」


『ザワザワザワ』


梨子「……まさか終わり?」

曜「はぁ?しょうもなっ!もう帰る!」

梨子「結果発表まだだよ?」

曜「私が1番に決まってるでしょ!」


212: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:43:05.64 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「どういう事ですか…千歌さん」

果南「う~ん」

鞠莉「ふふふ」


千歌「……」スッ

~天国と地獄~

千歌「~♪」

テンテンテテテテ♪

テンテンテテ…テテ♪

テンテンテテテテテ…テテテテテンテテテ♪


梨子「なっ!」

曜「これは…!」


テンテンテテテテテテッ…♪

テンテンテテテテ♪

テンテンテテテテテ…テテテテテンテテテ♪


果南「運動会でよく聴くやつ?」

ダイヤ「ですね………」

ダイヤ「しかし…」


ダイヤ「…リズムが若干あってませんけど」

果南「………」

鞠莉「それが千歌スタイルよ!」


213: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:43:56.78 ID:1XLzcCXL.net

曜「何この下手な演奏!」

梨子「…………」


『クスクス』

『アハハ!』


曜「ほら!笑われてんじゃん!」

曜「だからやめとけって言ったんだよ!」

曜「恥かくだけだって!」

曜「……なのに」

曜「なのに!」

曜「どうしてそんなに……!」

曜「…笑ってるの!」


千歌「~♪」ニコッ

テンテンテテテ…
テンテンテテテテ
テンテンテンテテテテテテテテテ…


『あはははは!』


果南「皆、笑ってるね」

鞠莉「えぇ千歌もね」

ダイヤ「……若干あってないリズム、これはこの曲のドタバタ感を演出するためにあえて?」

鞠莉「……さぁ…どうかしら…」


214: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:44:35.05 ID:1XLzcCXL.net

善子「流石ね!会場をこんなに沸かせるなんて!」

ルビィ「私達の時は冷え冷えだったもんね…」

善子「ちょっとルビィ!」

花丸「なんだか楽しいずら」



梨子「ふふふ」

曜「何笑ってるの…」

梨子「だって楽しいんだもん」

曜「楽しい?」

梨子「千歌ちゃん、あんなに楽しそうにピアノ弾いてて」

曜「…………」

曜(楽しい……?)

曜(楽しいって何だっけ)

曜(楽しいって…)


215: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:45:32.79 ID:1XLzcCXL.net

────────────

梨子『曜ちゃん!千歌ちゃん!聴いて聴いて!』

曜『なに?』

千歌『?』

梨子『えい!』パリーン

千歌『これは!』

曜『フラスコの割れる音!』

梨子『凄い可憐な音色じゃない?』ハァ…ハァ…

千歌『本当だね…』ドキドキ

曜『も、も、もっと聴きたい!』ゾクゾク

~~~

梨子『学校にあるフラスコ全部集めたわ…』ハァ…ハァ…

曜『これを全部一気に割ったらいったいどうなっちゃうんだろ…』ハァ…ハァ…

千歌『じゃあ……やるよ?』

ガシャーン!
ジャラジャラジャラジャラ
ジャラジャラジャラジャラ

曜『あぁ……あっ』ビクッビクッ

梨子『まるで天使の合唱みたい……』ビクッビクッ

千歌『頭クラクラしちゃう』ビクッビクッ

ダイヤ『ちょっと!何の騒ぎですか!』


217: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:46:10.22 ID:1XLzcCXL.net

~~~

千歌『また怒られちゃった』

曜『じゃあもうやめる?』

千歌『やめない』

梨子『だよね』

千歌『だってこんなに楽しいんだもん!』

梨子『うん!』

曜『あははは!』

曜『うん、楽しい!』

曜『本当に毎日…』

曜『二人といると──』

────────────

曜「楽しい……」


曜「……あはははは」

梨子「曜ちゃん?」

曜「たしかに…」


曜「楽しいや…」


218: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:46:44.59 ID:1XLzcCXL.net

テンテンテテーテーテテテテテン♪

千歌「曜ちゃん!!」

テンテンテテーテーテテテ…テテン♪

千歌「ごめんね!!」

テンテレテンテレテンテレテロテン…レロテンロテンテレテンテレテンテレテロテンレロテンロ♪

曜「千歌ちゃん…?」

テン♪

千歌「またお友逹に戻ろうよ!!」

トン♪

千歌「また3人で一緒に!!」

テン♪

千歌「楽しいこと!!」

トン♪

千歌「たくさんしようよ!!!」

テーーーーーーーン…

千歌「……」ハァ…ハァ…

テン!!!

千歌「…………」



千歌「ね?」


219: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:47:43.84 ID:1XLzcCXL.net

曜「…………」


曜「まったく……」


曜「わがままばっかだよ……」


曜「千歌ちゃんは……」


曜「………」


曜「私も戻りたい……!」


曜「でも…」


曜「…………」


梨子「曜ちゃん」スッ


曜「……梨子…ちゃん?」


梨子「戻ろう?また3人に」


曜「……そんなの」


曜「……いいのかな……」


梨子「いいに決まってるでしょ?」


曜「……でも…私……」


220: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:48:38.53 ID:1XLzcCXL.net

千歌「曜ちゃん!!!」


曜「………千歌ちゃん」


千歌「三人と一緒にいたい!!」


千歌「ずっと……友達でいたい……」


千歌「だから、お願い!!」


曜「…………」


梨子「ね?」


曜「…………」


曜「……もう」


曜「……仕方ないなぁ」グスッ


パチパチパチパチパチパチ!!!

パチパチパチパチパチ!!

パチパチパチパチ!!


………………………………


221: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:49:35.23 ID:1XLzcCXL.net

~数日後~

梨子「あれから沼津も賑やかになったね」

『Are you looking for trouble?』

曜「そうだね」

『هل تتكلم اللغة العربية؟』

千歌「おはよーアミラ」

『une connasse.』

梨子「でもちょっと賑やか過ぎるかな?」

『It's crazy!』

曜「まぁね…」


千歌「でもでも!毎日いろんな人と話せてたくさん楽しいじゃん!」

梨子「……うん!」

曜「……そうだね!」


222: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:50:21.18 ID:1XLzcCXL.net

~~~

鞠莉「PRは大成功!」

鞠莉「いろんな国から我が高校への留学者も増え」

鞠莉「廃校の危機は去りましたー!」

ダイヤ「…はぁ」

果南「お疲れかな~?」

ダイヤ「当たり前でしょ……留学者が増えてから仕事の量が倍ですよ」

鞠莉「大変ね~でも、もうすぐ千歌っちが手伝いに来るからNo Problem!」

果南「ダイヤの専属秘書だもんね~」

ダイヤ「貴方達も手伝いなさい!」

~~~

花丸「善子ちゃん」

善子「なによ……ずら丸……」

花丸「モロッコの留学生が黒魔術教えてくれるって」

善子「本当!今すぐ行くわ!」ガバッ

ルビィ「大丈夫かなぁ…黒魔術なんて…危なくない?」

善子「大丈夫よ!堕天使の私がいるんだから!」

花丸「どういう根拠ずら」

善子「さぁ!行くわよ!ルビィ!ずら丸!」

花丸「はいはい」

ルビィ「うん!」


223: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:50:54.01 ID:1XLzcCXL.net

~~~


千歌「梨子ちゃん今度、手術するんでしょ?」

梨子「うん、音楽祭を見てたアメリカのお医者様が自分なら治せるって」

曜「またピアノ弾けるね」

梨子「うん」

千歌「曜ちゃんはピアノもうやらないの?」

曜「うん、もうやりきった気がして弾く気になれないんだ」

梨子「でもスカウトされたんでしょ?」

曜「全部、断った!私の夢はヨーソローだからね」

梨子「?」

千歌「ははは!」

梨子「……そういえば、千歌ちゃんが前に言ってた…」

千歌「?」

梨子「私達とやりたいことってなに?」

曜「なにそれ?」

千歌「あーそれね、実は…」


…………………………


224: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:51:28.20 ID:1XLzcCXL.net

~生徒会室~


ダイヤ「3人でミュージカルをやるんですか?」

千歌「うん」

ダイヤ「また急ですね」

千歌「歌と踊りは楽しいし、3人でやればもっと楽しいもん!」

ダイヤ「良いんじゃないですか、向いてると思います」

千歌「ほんとに?」

ダイヤ「えぇ」

千歌「……劇をやることになったら見に来てくれる?」

ダイヤ「特等席で予約しておきますわ」

千歌「えへへへ」



…………………………


225: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:52:03.34 ID:1XLzcCXL.net

~ある日の鞠莉宅~

鞠莉「そんなの!ミュージカルじゃないわ!!」

曜「あ~本場の人はうるさいなぁ…」

鞠莉「ミュージカルは3つの要素が上手く合わさってないといけないんだから!ただ物語を歌ってるだけなんてNonsenseだわ!」

曜「コーチ間違えたんじゃない?」

梨子「かもね…」

千歌「えへへ…」

鞠莉「ちょっと聞いてるの!!」


226: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:52:36.66 ID:1XLzcCXL.net

~ある日の海~


果南「またダイビングに来たの?」

千歌「うん、また海中の音が聴きたいんだ」

曜「果南ちゃんも一緒に聴く?」

果南「いいよ、3人みたいにおかしくなりたくないし」

梨子「どういう意味ですか?」

果南「いや…どういう意味も何も…」


227: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:53:09.72 ID:1XLzcCXL.net

~ある日の1年教室~


善子「あっ!」

ルビィ「留学生の子に教えられた通り儀式をしてたら……」

花丸「黒い炎が巻き起こったずら!」キラキラ

善子「やったわ!ついに成功よ!」

ルビィ「2週間もよくやり続けたね……」

花丸「ずら~!炎が竜のように教室を躍り回ってるずら!」パァッ

善子「す、すごい」

ルビィ「ま、また怒られちゃうよ!早く消して!」

善子「で、でも…消し方教わってない……」

ルビィ「えぇ!」

花丸「キレイずら~」キラキラ

善子「どっどうしよう……」

ルビィ「……あわぁぁぁ!」

キャーキャー!

ワーワー!

千歌「ちょっと!何の騒ぎ!」

善子「ち、千歌先輩……」ウルウル

ルビィ「助けてください」ウルウル

千歌「また火?いい加減にしてよ!」

花丸「ずら~!火の勢いが強まったずら!」

善子「この世の終わりだわ……」

ルビィ「うゅぅぅ……」

千歌「もう!またこんな!」


228: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:53:42.62 ID:1XLzcCXL.net

~ある日の生徒会室~


ダイヤ「……千歌さん」

千歌「はい」スッ

ダイヤ「……どうも」ペタッ

千歌「……」スラスラ

ダイヤ「……」スラスラ

千歌「……」スラスラ


鞠莉「…………」

果南「……なんか、会社みたいだね」


229: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:54:16.36 ID:1XLzcCXL.net

~ある日のCDショップ~

『あのぉ~人は…いっていってしまった』

『あの~人は…いっていってしまったぁ~……』


梨子「あれ?用務員のおじさん?」

曜「あー演歌歌手になったんだって」

千歌「沼津のCDショップでよく歌ってるっぽいね」

梨子「凄い影響力だったのね…あの音楽祭」

曜「あの姉妹漫談の子達もテレビでよく見るようになったしね」

千歌「沼津市民じゃないのがバレて問題になってたけどね…」


230: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:55:00.25 ID:1XLzcCXL.net

~ある日の休み時間~

『Are you planning to go tomorrow?』

鞠莉「where?」

『In your graveyard』

鞠莉「Who do you think you are talking to?」

『Rotten pig!』

鞠莉「あはははは!聞いた果南?この子面白いわね!」

果南「?」

千歌「…………」

鞠莉「I’m going to fucking kill you.」

『Bring it on!』

果南「……?」

千歌「…………」

鞠莉「ok…!」

『Hey!come on!』

果南「…………」

千歌「Break it up!」

果南「!!」

千歌「It won't do you any good.」

鞠莉「oh……」

『…ok』

鞠莉「sorry…」

『I'm sorry, too……』

千歌「……Good girl!」


果南「…………」


231: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:55:45.61 ID:1XLzcCXL.net

~ある日の千歌宅~


千歌「暑い……」

梨子「もう夏だもんね」

曜「うん」

チリーン……チリーン……

千歌「風鈴の音が風流だね……」

梨子「綺麗な音……」

曜「うん」


………………


232: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:56:35.97 ID:1XLzcCXL.net

千歌「そうか……梨子ちゃんと出会って3ヶ月か……」

梨子「……うん…でも、なんだか……もっと昔から一緒にいる気がしちゃうな」

曜「私達……姉妹だもんね」

梨子「あっ……」

千歌「そういえば……そんなことも言ってたね」

梨子「…………」


曜「……私達ここで生まれたみたい!」声マネ


千歌「あははははははは!!」


曜「双子や三つ子ってこんな気持ちなのかな?」声マネ


千歌「やめて!あはははは!笑い死んじゃう」ヒィー…ヒィー…

曜「似てた?似てた?」

千歌「うん、似てた!」

梨子「……バカにしてるの?」

曜「はは、ごめんごめん」

梨子「もう!」

千歌「あははは…」

曜「ふふふ…」

梨子「…………」


233: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:57:09.63 ID:1XLzcCXL.net

梨子「ふん……どうせ千歌なんて……」声マネ


曜「あはははは!めちゃくちゃそっくり!」

千歌「ちょっと!やめてよ!」


梨子「私はぁ!出来る人間だからなぁっ!!!」声マネ


千歌「あはははははは!!」

曜「ちょっと梨子ちゃん!」

梨子「ふふ、仕返しよ」

曜「もう!」

千歌「あはははは!」

曜「ちょっと!笑いすぎだよ!」

千歌「あははっ!だって……ふふふふっ」

曜「もう!!」

梨子「ふふ…」クスクス


234: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:57:42.89 ID:1XLzcCXL.net

~ある日の(新)体育館~


善子「今日も私達のミサに集まってくれてありがとう!」

『うおぉぉぉっ!』

『キャーーーーー!』

『yeeeeeah!!』

『メシアァァァァァァ!』

『ヒューヒュー!』

梨子「前より凄い歓声!」

曜「熱量が…」

千歌「大人気だね」



善子「じゃあイカれたメンバーを…」

『ヨシコー!!』カタコト

善子「ちょっと、まだ早い…」

『ヨハンよ!』

善子「ヨハネよ!!」

『あはははは!』ドッ

善子「もう!笑わないで!」


花丸「ふふ、なんだか毎日楽しいずらね!」

ルビィ「うん!」


235: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:58:15.91 ID:1XLzcCXL.net

~ある日の鞠莉宅~


鞠莉「良いですか?まずミュージカルの歴史から説明しますよ?」

曜「もう聞いたよ……」

鞠莉「貴方達が覚えないから何度も何度も説明してるのよ!」

曜「あーうるさいうるさい」

千歌「あはは……」

梨子「そろそろ劇でやるお話でも考えてみようか」

千歌「お話?」

曜「おっいいね~」

鞠莉「貴方達にはまだ早いです!まず基礎を!」

曜「わかった…わかったから」

千歌「あはは……」

梨子「どんな物語にしたい?」

千歌「えっ?」

梨子「千歌ちゃんが考えてきてよ」

千歌「千歌が……?」

梨子「うん!」


236: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:58:47.59 ID:1XLzcCXL.net

~ある日の生徒会室~


ダイヤ「…………」モグモグ

千歌「…………」モグモグ

ダイヤ「最近、調子はどうですか」

千歌「う~ん…楽しい…かな毎日」

千歌「ある日は海に行って、またある日は買い物に行って……」

千歌「そんな日常が続いてて…とっても楽しいよ」

ダイヤ「それは良かったです」

千歌「…………」モグモグ

ダイヤ「…………」モグモグ

千歌「こうやって二人でお昼食べるのもね……」

ダイヤ「私も楽しいですよ」

千歌「……//」モグモグ

ダイヤ「ふふ…」クスクス


237: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:59:22.79 ID:1XLzcCXL.net

千歌「……ダイヤさんはさ」

ダイヤ「はい?」

千歌「太鼓の奏者になるの?」

ダイヤ「さぁ……どうでしょう」

千歌「プロになりたくない?」

ダイヤ「なって欲しいんですか?」

千歌「う~ん……せっかくやってるなら…目指さないのは…」

ダイヤ「?」

千歌「ちょっと…勿体ないかなって……」

ダイヤ「……別に好きなことは、あくまで好きなことですわ」

千歌「好きな事を仕事にするのが幸せなんじゃないの?」

ダイヤ「そう思う人もいるでしょうけど」

千歌「?」

ダイヤ「人間はどんなに恵まれてても、次第に現状へ不満を抱くものですわ」

千歌「そうかな」

ダイヤ「私は普通に仕事をして音楽は趣味で楽しみたいですね」

千歌「そう……」

ダイヤ「……それに」 

千歌「?」

ダイヤ「その方が、貴方が聴きたい時いつでも聴かせてあげられますしね」

千歌「なっ//」

ダイヤ「ふふ」

千歌「……ふん//」


238: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 15:59:56.05 ID:1XLzcCXL.net

ダイヤ「千歌さんはどうするんです?」

千歌「え?」

ダイヤ「最終的にはミュージカルの劇団に入りたいとか?」

千歌「わかんない」

千歌「ミュージカルは今はやりたい事だけど…ずっとやりたい事なのかな?」

千歌「3人でやりたいからしてるだけだし」

千歌「でも、もしスカウトなんてされたら受けちゃうかも…?」

千歌「なんて、真面目にやってる人に失礼か……」

ダイヤ「良いんじゃないですか?チャンスが来たなら掴んでみても」

千歌「う~ん」

ダイヤ「来るかどうかはわかりませんが」

千歌「えへへ……そうだね」


239: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:00:30.48 ID:1XLzcCXL.net

千歌「はぁ……」

千歌「……あーあー!夢があったらなー」

千歌「人生に目的があったら…」

千歌「どう進めば良いのかわかるのに」

ダイヤ「夢くらい、これからでも見つかりますよ」

千歌「…そうかな」

ダイヤ「そうですよ、探してごらんなさい?」

千歌「うん……」


千歌(……夢を探す…か)


240: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:01:06.15 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~~~~


千歌(いろいろやりたいこと…考えてみたけど……)

千歌(やっぱり夢って見つからないなぁ)

千歌(これからも、このまま目的もなく…)

千歌(ふらふらと生き続けて…)

千歌(このまま…何も見つからないまま…何も出来ないまま…)

千歌(卒業して……大人になって……おばさんになって……お婆ちゃんになって……)

千歌(ずるずる、無駄に年だけとって死んでいくのかな……)

千歌(………………)

千歌(やめよ……不安になってきちゃった)

千歌(………………)

千歌(……劇のお話でも考えよ)

千歌(気分転換に明るいお話でも……)

千歌(う~ん、最初は人生に悩んでる主人公が……)

千歌(素敵な友達に出会って……素敵な先輩に出会って)

千歌(成長していくんだ)

千歌(そして、いろいろありながらも……)

千歌(最後は自分の夢を見つける……)

千歌(そんなお話とか?)

千歌(…………)

千歌(良いね…!楽しそう…!)


241: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:01:49.72 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~~~~


梨子「ミュージカルのお話もう考えてきたの?」

千歌「うん」

曜「速筆だね」

梨子「それ持って来てる?」

千歌「これに書いてきたけど…」ピラッ

梨子「読んで良い?」

千歌「……目の前で読まれるのは恥ずかしいから後で読んで……」

曜「どれどれー」ペラッ

千歌「ちょっと!」

曜「ほほーう」ジー

千歌「………恥ずかしいなぁ…もう」

曜「…………」ジー

千歌「…………」

曜「…………」パタン

千歌「…?」

曜「これやろう!」

千歌「決めるの早いよ…」

曜「私がやりたいの!梨子ちゃんも読んでみて」

梨子「うん」ジー

千歌「……うぅ」

梨子「………あら」ジー

千歌「……うぅぅ!」

梨子「…まぁ!」ジー

千歌「……うぅぅぅ!!」

梨子「なんてこと!」ジー

千歌「いちいちリアクションしないで!」


242: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:02:23.36 ID:1XLzcCXL.net

梨子「良いわね!このお話!」

曜「でしょ?」

梨子「決まり!これをやりましょう!」

千歌「えぇ~!」

梨子「この主人公、なんだか千歌ちゃんみたいで好きになっちゃった」

千歌「なっ!」

曜「もしかして自分がモデル?」

千歌「違うよ!!」

梨子「あと、この部分好きだなぁ」

曜「どこ?」

梨子「やってみたら、意外とって部分」

曜「あー私も好き」

千歌「読み上げないで!」

曜「ここの部分も好き」

梨子「どこ?」

曜「めげない!って決めた主人公がそれでも泣いちゃいそうになる所…」

梨子「あー!そこも可愛いよね」

千歌「もう!目の前でやめてよ!」

曜「よーし!」 

千歌「?」

曜「早速、来週やっちゃおうよ!」

梨子「早く披露したいもんね!」

千歌「ちゃっと早すぎない?」

曜「いいのいいの」

梨子「急いで準備しよう!」

千歌「えぇ……」


243: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:03:06.53 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~~~~


鞠莉「今週の土曜に公演ですって?」

千歌「……うん」

鞠莉「認められないわよ!そんなの!」

千歌「……やっぱり?」

鞠莉「まだミュージカルとは何かもわかってない貴方達に!公演だなんて!」

千歌「……うん」

鞠莉「まったく他の二人はどうしたんですか?」

千歌「準備しに行きました……」

鞠莉「勝手なことを……!」

千歌「……はは」

鞠莉「そもそも、どういうお話をするつもりなの!?」

千歌「……えーと」

鞠莉「……貴方の後ろに隠してるのは台本?」

千歌「これは……」

鞠莉「見せなさい!」バシッ

千歌「あっ……」


244: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:03:38.93 ID:1XLzcCXL.net

鞠莉「…………」ジー

千歌「うぅ……」

鞠莉「…………」ジー

千歌「うぅぅ……?」

鞠莉「…………」ジー

千歌「うぅぅぅぅ……?」

鞠莉「…………」パタン

千歌「?」

鞠莉「……まぁ、実践経験も大事ですね」

千歌「えっ?」

鞠莉「やってごらんなさい」

千歌「い、いいの?」

鞠莉「えぇ、その代わり現状で一番良いものを作り上げるのよ?」

千歌「……うん、わかった」

鞠莉「…頑張ってね?」

千歌「……ありがとう」

鞠莉「ところで……」

千歌「なに?」

鞠莉「この主人公を支えてくれた先輩って……」ニヤニヤ

千歌「モデルはいないよ!」

鞠莉「本当かしら?」ニヤニヤ

千歌「…いないもん!」フンッ


245: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:04:18.23 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~~~~


果南「ミュージカル?」

千歌「今週の土曜にやるの……」

果南「また急だね」

千歌「良かったら来て……これチケット」

果南「ん、ありがとう。観に行くよ」

千歌「忙しかったら無理に来なくてもいいよ……」

果南「なに?来て欲しくないの?」

千歌「そういう訳じゃないけど……」

果南「絶対観に行くね?」

千歌「……うん、ありがとう」

果南「千歌がどんな話書いたか気になるし」

千歌「えっ?なんで知って……」

果南「だってチケットに脚本、千歌って書いてあるし」

千歌「あっ!本当だ……」

果南「ふふーん」ニヤァ

千歌「…………」

果南「楽しみだなぁ」ニヤニヤ

千歌「もう!観終わった後、絶対からかいに来ないでよ!」

果南「どうしよっかな~ん」ニヤニヤ


246: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:04:51.57 ID:1XLzcCXL.net

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善子「ミュージカル?」

花丸「ずら?」

千歌「うん」

ルビィ「ルビィ達も観に行っていいんですか?」

千歌「いいよ、誘うためにチケットも持ってきたんだし」ピラッ

ルビィ「うわぁ!ミュージカルなんて生で観たことないから、凄く楽しみです!」ピョンピョン

善子「先輩の晴れ舞台…観ない道理がないわ!」

千歌「はは、ありがとう」

花丸「お話は千歌さんが考えたずら?」

千歌「……うん、そうだよ」

花丸「凄いずら!千歌さんがどんなお話を作ったのか凄く気になります!」

千歌「はは、あんまり期待しないで……」

花丸「ひょっとして千歌さん刺激的な武勇伝がお話に……!」

千歌「いや……そんなのないよ」

花丸「マル、千歌さんのバイオレンスなお話楽しみにしてますね!」

千歌「そんな要素ないって……」



千歌(……ちょっとだけあるかも)


247: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:05:25.49 ID:1XLzcCXL.net

~~~~~~~~


ダイヤ「おはようございます」

千歌「おはよう…」モジモジ

ダイヤ「?」

千歌「…………」モジモジ

ダイヤ「…………」

千歌「…………」モジモジ

ダイヤ「?」

千歌「…………ねぇ」

ダイヤ「はい?」

千歌「これ……」ピラッ

ダイヤ「なんですか?」

千歌「……と、特等席」

ダイヤ「……ミュージカルの?」

千歌「…………」コクッ

ダイヤ「約束覚えてたんですね」

千歌「……当たり前でしょ」

ダイヤ「ふふ、ぜひ見に行きます」

千歌「………ありがとう」

ダイヤ「楽しみですわ」

千歌「……そう」

ダイヤ「脚本…高海千歌…」

千歌「……うん」

ダイヤ「きっと素敵なお話でしょうね」

千歌「どうかな……」

ダイヤ「ふふふ」クスッ

千歌「……///」


248: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:06:20.79 ID:1XLzcCXL.net

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果南「いよいよ始まるね」

鞠莉「血の滲むような練習をさせてきました!期待してくださーい!」

ダイヤ「楽しみですわ……」


ルビィ「こういう舞台の時もポップコーンが定番なの?」

花丸「いや基本、飲食は禁止ずらよ」

善子「そうなの?でも入り口で売ってたし買ってきちゃったわよ」

花丸「なら……ここはいいのかな?」


果南「鞠莉…あのポップコーンは?」

ダイヤ「小原印の…ポップコーン?」

鞠莉「ふふーん」

ダイヤ「まったく商魂逞しいんだから……」


249: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:06:56.08 ID:1XLzcCXL.net

千歌『えー…大変長らくお待たせしました……』


果南「おっ千歌だ」


千歌『間もなく開演します』


鞠莉「さぁ見せてやりなさい!」


千歌『上映中は照明を全て落とさせてもらいます』


ダイヤ「千歌さん……本当に良い顔になりましたね」


千歌『非常口の照明も落とさせてもらいますので…』


善子「このポップコーン……火があんまり通ってないわね」

花丸「マル、ライター持ってるよ」

ルビィ「えっ!」


千歌『くれぐれも!!問題を起こさないように!!』


善子「なんだか私達を見て言ってない?」

花丸「気のせいずらよ」

ルビィ「花丸ちゃん……ライターしまって……」アタフタ


250: 名無しで叶える物語(あゆ) 2018/02/03(土) 16:07:28.90 ID:1XLzcCXL.net

千歌『…ごほん!何かありましたスタッフの指示に従ってください』


千歌『それでは……』


千歌『えーと……』チラッ


ダイヤ「?」


千歌『………えー』


ダイヤ「ふふ」ニコッ


千歌『…うっ//』


千歌『……えーと!お、お、お集まりして…!いただきまして!』

千歌『誠にありがとうございます!』

千歌『……大変長らくお待たせしました……』

千歌『ただいまより…開演します…!』

千歌『タイトル』

千歌『………………』

千歌『…ユメ語るより…ユメ歌おう』

千歌『……始まりです!』



おしまい




257: 名無しで叶える物語(庭) 2018/02/03(土) 16:13:08.22 ID:puw4IWcj.net

|c||^.- ^|| 素晴らしいダイちかでしたわ!


258: 名無しで叶える物語(庭) 2018/02/03(土) 16:13:57.37 ID:f+hknVrR.net

壁に頭だけめり込んだ梨子ちゃんクソワロタ


260: 名無しで叶える物語(湖北省) 2018/02/03(土) 16:22:24.11 ID:oxG3SVCM.net

乙!
めっちゃ面白かった!


267: 名無しで叶える物語(わたあめ) 2018/02/03(土) 19:43:48.83 ID:ncU8gpig.net

割と普通に考えさせられる話だった


268: 名無しで叶える物語(たこやき) 2018/02/03(土) 20:39:19.15 ID:3XrONzM2.net

おねいちゃんすこすこ


270: 名無しで叶える物語(家) 2018/02/03(土) 21:51:46.65 ID:FQi0YkfM.net

えっなにこれしょうもないと思ってたら最後まで読んじゃった……
面白かったです ありがとう






ラブライブ!サンシャイン!! B2タペストリー WATER BLUE NEW WORLD 約縦72.8cm×横51.5cm
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