日々是趣味之為

趣味に生きる大学生改め、しがない田舎勤め人の雑記帳。

えー、久しぶりの更新ですね。
毎度のことで唐突ですがバイクが増えました

実は半年ほど前にXTZ125を売りまして、DT200WRという本格的なオフ車に乗り換えた…のですが、おかげで通勤の足がなくなってしまいました(考えなし)。
というわけで通勤バイク、それもこの際だから乗ったことのないスクーターを…と考えた私に、ひとつの天啓が閃きました。

「スクーターといえばあのヘンテコなバイクがあるじゃないか!」

思いつきのままにヤフオクをあさり、出物を発見したがために勢いそのままに購入に至ってしまったそのヘンテコバイク…そう、ヤマハ・トリシティ(2016モデル)です。
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「トリシティ」の名前はバイクに乗っている人なら、多少流行に疎くても「ヤマハが変な三輪バイクを出した」ということぐらいは聞いたことがあるのではないでしょうか?
三輪バイク自体は、国内メーカーでは例がないものの、イタリアのピアジオが前二輪の三輪バイクを生産しており国内でもごくごく稀にみることがあります。またアフターマーケットですが後輪を二輪にしたトライクも時々見ます。

トリシティは前者の前二輪タイプ。が、ピアジオの三輪とは一味違うらしく、ヤマハの新機軸、LMW…リーニング・マルチ・ホイールを盛り込んだ機種です。
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リーニング、つまり傾き、バンクをとることができる、というのがこのLMWの最大のウリ。聞くところによるとかなり特殊な操作感だというピアジオの三輪とは一線を画す、通常のバイクと同じような感覚でバンクして操作できるという。

コンセプトモデルのMWT-9(MT-09三輪化:先日NIKENとして発表)といい、後続も期待できるLMW…どんなものか、これは乗ってみるしかない!ついでに通勤にもよさそうだし!
と、毎度のごとく本末転倒感が出てきましたが、購入してはやくも1年ほどが過ぎたので(ようやく)インプレを書いてみたいと思います。

毎度おなじみ、いいとこ・悪いとこの○×形式で行きたいと思います。
以下インプレ。


【◯良い所】

○抜群の安定性

初めて乗ってびっくりしたのがこの安定性
…いやそこ地味とか言わない。正直説明するのも難しいので試乗してみてくれ!といいたいですが。

直線、コーナー、そして低速時の挙動。あらゆる面で安定している感じがあります。
そりゃ三輪なんだから当たり前…と思われる方もいるかもしれませんが、このトリシティはLMWの名前の通り傾きます。むしろ転びます。普通のバイクと同じで立ちゴケもぜんぜんありえます。

しかし、操作感は普通のバイクとほとんど変わりません。その上で安定感があるというのがすごいです。
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バイパスで全速で走っても、山道でタイトなコーナーを曲がるときも、市街地で10km/hで角を曲がる時も安定している。ギャップなどにも強く、片輪が段差に乗り上げても路肩のような傾いた地面でもごく自然に走ります。
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前二輪というレイアウトに加え、フロント14インチ、リア13インチのスクーターとしては大きなホイール径も安定性に寄与しているのでしょう。
車格でいえば125ccスクーター同等~ちょい上、ビッグスクーター以下のトリシティですが、安定性はビッグスクーター並かそれ以上かもしれません。

それでいて、実は意外と切り返しも軽い。バンクさせていっても変な抵抗がなく、素直に寝てくれます。本当に従来のバイクの延長線上にある三輪という感じで、初めてのバイクでもバイクに乗りなれた人でも楽しめるバイクでないかなというのが僕の感想です。


画像出典:YAMAHA公式の紹介動画(長いですw)
 



○低速での挙動

前項でも言いましたが、これも特筆すべき点。
トリシティは15km/h以下~停止寸前の低速での操作感がすばらしくいい。市街地の交差点で一時停止して、右左折して発進…こんなシチュエーション、普通ならふらふらしてもおかしくない状況ですが、トリシティは安定してゆったりと曲がってくれます。
何も考えずスロットルを大きく開けて発進しながらクイッ、と曲げても難なく安定して曲がります。フロントが滑る心配がまったく感じられません。
シティコミューターとしての用途が大きいスクーターである上で、これはかなりのメリットです。
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一方で矛盾するようですが、小回りも結構利くというのがポイント。
スクーターゆえのハンドル切れ角の大きさもあいまって、旋回半径はかなり小さいです。多少慣れればハンドルをフルロックして曲がる…なんてのも問題なくできてしまいます。ずんぐりした車体とは裏腹に、駐輪場のような狭いスペースでも取り回しに困ることはほぼありません。

おそらく20度というバイクとしては極端に立ったキャスター角(正確には違いますがフロントフォークの傾き具合と考えていただければ)のおかげでしょうか。ちなみに普通キャスター角はSSで25度程度、スクーターでは27度程度、アメリカンだと30度を越えます。超過激といわれるBuellのXB12なんかで21度です。
一般にキャスター角は小さいほど安定性が下がり、運動性(小回り)が利きます。普通の二輪スクーターで20度なんてしたら危なくて走れたもんじゃないと思われます。
トリシティは前二輪による安定性の向上でこの小さなキャスター角による不安定さを吸収し、小回りと安定性を両立している…と推測されます。



○ブレーキ性能

もうひとつトリシティが素晴らしいのはそのブレーキ力
125ccスクーターという枠を超えた優れた制動力、そしてブレーキ時の安定感は一度ブレーキをかけてみればはっきりと分かるレベルです。
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考えてみれば元々バイクと言うのはブレーキング時にはフロントに力がかかるものなわけで、そのフロントが2輪あるならブレーキング力が上がるのは当然。おまけにこいつはある意味でスクーターにあるまじきダブルディスクなわけで…小径ホイールゆえに制動力に限界のあるスクーターとしてはまったく破格のブレーキ力です。
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かといってカックンブレーキになるような感じはなく、実に安心して使えるブレーキというのもすばらしい。
加えてこいつには連動ブレーキが搭載されており、リアブレーキを握ると適当な割合でフロントが利いてくれるため、楽チンな上、不慣れな人でも割と安定してブレーキがかけられます。

普段使いでの安心もさながら、これが生きるのは、後述するタンデム時、そして急ブレーキの時です。
フロントブレーキを強く効かせるときと言うのは、バイクの構造上どうしても不安定になるのですが、トリシティは前二輪という構造上、このブレーキによる前荷重の状態が非常に安定します。そのためパニックブレーキでの転倒の心配がかなり大きく軽減されます。
こう考えると非常によくできているなぁ、と思う次第です。ABSつきモデルだとなおさら完璧でしょうね。


○タンデム性能

すでに軽く触れましたが、トリシティの大きなメリットのもうひとつの大きなメリットがこのタンデム性能でしょう。
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スクーターゆえの乗り心地のよいシート、タンデムステップ、外装一体のグラブバーが標準装備…などなどパッセンジャーにも嬉しいところは多いのです。
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が、ライダーにとっても嬉しい所があります。
それが前述のブレーキ性能。個人的にタンデムの時というのは、特にブレーキに気を使います。下手に強めにブレーキをかけると車両がぐっと前に傾くのでパッセンジャーにも負担をかけますし、車両がことさら不安定になるので結構怖いです。
かといってじんわりブレーキをかけると制動距離が伸び…あまり気分のよいものではありません。

しかしトリシティはブレーキ力が高い上に安定しており、その上フロントの安定性が高いので強めにブレーキをかけてもライダーは怖くありません。LMW機構の構造上、フロントサスのストロークが短く姿勢の変化が少ないこと(LMW機構はリーニング機構がサスの一部を担っているため)、またスクーターゆえにリアが重く、車両としての挙動が落ち着いているのも一因かもしれません。
正直、市街地でタンデムする分には下手なツアラーよりよっぽど快適かと思います。っていうかパッセンジャーの重量でリヤが跳ねなくなるので二人乗りのほうが快適なぐらいです。
ちなみに悲しいかなパワーがないので、スロットルを雑に開けてもパッセンジャーが怖くないというのも一応プラスでしょうか(笑)



○デザイン

「第三の移動体」というキャッチコピーのトリシティですが、デザインもそれに見合って、ありきたりなバイクとは一味違う近未来的なコンセプトを感じさせるものです。

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ありていに言ってカッコイイです。少なくとも私はそう思います。デザインに定評があるはずのイタリア車であるピアジオの三輪…のなんともいえない微妙なデザインと比べれば雲泥の差かと。
フロント周りのボリューム感のあるデザインとは逆に、普通のバイクとほぼおなじリア周りは若干さびしく感じますが、これもまたトップケースをつけると非常に似合います。

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トップケースをつけた状態だと高級感が出ますね。



○スクリーンがついている

デザインの関係上でしょうか、最初からそこそこサイズのあるスクリーンが付いています。
バイパスを走るときなどはかなり嬉しい装備ではないでしょうか。



【×悪い所】

×遅い

はい、最大の不満点はここですね。所詮125ccのスクーターとはいえ圧倒的に遅い
もっともこいつのエンジン自体は、ヤマハがASEANでのベストセラーMio系統の水冷エンジンで、割と元気がいいやつなのですが、いかんせんベースモデルのMioが100kg切るぐらいの車重なのに対し、トリシティは150kg以上あります。それでいてエンジンは同じで10馬力そこそこなので、パワーウェイトレシオはそのまま2/3以下の15kg/hp。下手をすれば一昔前の50cc原付に負けます。シグナルGPやってもまず惨敗です。

そして当然ながら坂道ではちっとも加速しない。ちょっと上ってる道だとやっとこ60km/hでしょうか。
ちなみに平地だとメーター読みでMAX 95km/hぐらいでしょうかね。125ccだからこれはこんなもんか、投影面積のデカさの割には頑張ってるほうでしょう。

…と、ボコボコにしましたが、そうはいっても原二スクーターですので乗用車に比べれば出足は良いです。通勤快速アドレスのごとくロケットスタートこそ望めませんが、「原二」の快速っぷりを期待せずに足として使う分にはそこまでストレスではないでしょう。



×足元が狭い

これはLMWの弱点のようで、フロント周りにかさばる前後左右4本のフォーク2個のタイヤ、それを支持するパラレログラムリンク…といったボリューミィなメカニズムが配置されているため、どうしてもレッグシールド部が張り出してしまい、結果足元が狭くなってしまいます
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まあ普通は問題ない程度なのですが、座る位置によっては長身の人だとひざがレッグシールドに当たって非常に鬱陶しいようです。トリシティのシート自体は比較的大きいので、意識的に深く座るようにすれば大丈夫…だとは思いますが。
(写真はシートの段差にお尻が当たるよう、深めに腰掛けた状態です。おそらくコレが正規のポジションだと思いますが)

ちなみにシートの形状的に浅く腰掛けると尻が滑りやすく、おまけにレッグシールドにひざも当たりやすいので、そういう意味でも深く腰掛けて上半身が直立~若干前傾の姿勢が望ましいのかもしれません。


⇒2017モデルでは若干大柄になって足元が広くなったようです(公式HPより)
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×収納力

スクーターの強みであるシート下のトランク。が、こいつのトランクは大柄な車格に見合わず20L125ccスクーター最低クラスです。ヤマハの国内ラインナップの中ではアクシストリートの22L以下で最下位。フルフェイス1個がギリギリ入る程度。レインコートを入れてるとへたすりゃメットが入りません。
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写真のヘルメットはSHOEIのXR1100(中サイズ程度のフルフェイスヘルメット)です。

またフロント周りのLMW機構に圧迫されてダッシュボードのポケットはナシ、コンビニフックはありますがそもそもフットボード周り自体が狭いので、床置きを含めあまりかさばるものも厳しいでしょう。
まあ、リアキャリアとトップケースをつければ解決するので、購入するならぜひセットで買いたいものです。


⇒2017モデルから23.5Lに容量がちょっと増えてトランク内のLEDランプが追加されたようです





×センタースタンドが磨り減る

トリシティはバンク感がよく、スッと寝かせられることはすでに述べたとおりです。
そして前二輪のためバンクしても安定しており、自然とバンク角も深くなり…。
と、その結果このスクーターに起こる悲劇が「毎度センタースタンドを擦る」です。
実際私は納車から30秒でセンタースタンドをすりましたw

逆に言えばそれぐらい簡単に寝るのですが、とはいえセンタースタンドを頻繁に擦ると塗装がはがれて錆びてきますし見た目も良くないです。
下手をすればコーナーでバンク中にセンタースタンドが接地し、リヤが浮いて転倒…なんてことにもなりかねません(というか実際に一度やりました)。
あまり倒し過ぎないように心がけるしかありませんね。

ちなみに私はそれが嫌だったので、いっそのこととセンタースタンド自体を外してしまいました
以来、バンクしてどこかを擦るということはなくなりました(当たり前)。



×外装の色あせ

おそらくこれは赤色のモデル特有だと思うのですが、結構すぐに外装が色あせます。
私のはワンオーナー車の1年落ちで買ったのですが…まあ驚くほど外装が色あせていまして。通勤でバリバリ乗っていたようですが、とはいえ1年でこれか…という感じです。
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割れた外装を交換した時の新旧外装。写真だとわかりにくいですが上の古い外装は結構色あせてます。

元々車などでも赤色の塗料は対候性が悪いという話は良く聞かれるので、仕方ないかなと言うところではあります。
屋外保管の際はカバーで日よけを忘れずに



【△どちらともいえない】

・すり抜け性能は意外と悪くない

前二輪というと、すり抜け性能はいかにも悪そう…と私も買う前は思っていましたが、所感としては意外と悪くはないです。
そもそもトリシティの前二輪はぴったり車体の幅と同じぐらいで出っ張ってはいないので、タイヤを擦るような状況では車体そのものを擦ってしまいます。逆に言えばスクーターの車体が通れる場所なら前二輪は問題なく通過できるわけです。ブレーキディスクも車両内側についているので心配なし。
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また前二輪のおかげで走破性がよく、路肩の段差が付いた砂利っぽい道でもそれなりに安心してすりぬけができます。

とはいえ、縁石ギリギリを無理やりすり抜けて…という状況に向くかといえば当然NOです。また車重もそこそこあるので、無理は禁物です。


・連動ブレーキは個人的に微妙

トリシティは左レバー(リアブレーキ)がフロントと連動するUBSになっています。これはフロントよりも必ずリヤが先に滑るように力を配分してくれるのだそうで、不慣れな人ほど恩恵は大きそうですし、片手でブレーキがOKというのは楽チンです。
が、個人的にはリアブレーキで微妙に速度を調整して…という動作ができないのは非常に気持ち悪いです。フロントが連動するので、どうしても強めにブレーキがかかってしまいますし。
試行錯誤した結果、うまいことやれば一応連動ブレーキを解除することはできました。とはいってもリアブレーキのフィーリングが悪くなるのでお勧めできるかと言うと微妙ですが(一応リアロックできる程度にはちゃんと制動できます)。


・意外と飛ばせる

フロント二輪のグリップ力、バンクでの安定性、制動力十分のブレーキ…と聞くと、結構峠道なんかでは飛ばせそうな気がしますよね。

気がするだけです。

実際「意外と」飛ばすことはできます。正直、結構面白いです。ただし下手にバンクを深くすると上述のようにセンタースタンドを擦って危険ですので、取り外さないとまずそうですが。
またLMW機構自体の構造上、バンク角にはおそらく45度程度までという制限が付くようで、それ以上だと片輪が浮くので危険でしょう。
また非力ですので、やはりアップダウンがある道では加速も思うままになりません。それなりには楽しいのですが、やはりスポーツバイク並みの走行ができるか?といえばまず無理ですね。スクーターとしてはこれでも頑張っているほうでしょう。

とはいえ、鈍重な125ccスクーターでこれなのですから、ヤマハが開発しているというMT-09のLMW(NIKEN)は本格的にスポーツを志向して作ってきそうですし、中々期待が持てるのでは?と思いますね。



・燃費はそこそこ良好

最近のバイクはどいつもこいつもやたら燃費がいい印象ですが、高燃費が求められるASEANスクーター譲りのエンジンだけあってトリシティもWMTCモード値で38.8km/Lとそれなりに高燃費です。おおよそ実燃費もこの程度です。
125ccクラスの中では中の下というところでしょうか。これも車重の割には頑張っているほうかと思います。もっとも他の125スクーターの感覚で出足を良くしようとスロットルをガバ開けするともう少し悪くなるでしょうが。
タンク容量は6.6Lなので航続距離は250km程度。スクーターとしては上々ですし、ツーリングに行けばもう少し燃費はあがるので250km間隔の給油でも問題なさそうです。


・価格は若干高めだがこれでも安い

トリシティの希望小売価格は35.8万円。これは同じヤマハの125ccスクーターで一番高いNMAXの35.1万円とほぼ同じ値段です。
複雑なLMW機構、タイヤが1個多くフォークも通常の2本→4本と色々高くつきそうなのにこの値段と言うことは、ヤマハとしてLMWに注目してもらうため薄利にしてでも買ってもらおう、という戦略的なお値段でしょう。
機能という観点で言えば格安といっても過言ではない気がします。

とはいえ、125ccスクーターのエントリーモデルの20万円前半に対して+10万円、ミドルクラスの車両に対して+5万円…やはり高いといえば高いのも事実でしょう。こればかりは買う人の懐具合次第ですね。
まだまだ発売から日が浅いために、中古市場はさほど値下がりしていないので、余裕があれば新車を買うのがお勧めです。




【総評】

前二輪の奇抜さとは裏腹に、安定性の高い自然な乗車感優秀なブレーキタンデム性能燃費などなど、日常の足としてはおおよそ理想的なバイクといえるでしょう。特に走行安全性能に優れているため、毎日の通勤の足としてはかなりおすすめできるかと思います。


一方で同クラス内で比較するとメットインの小ささやレッグシールドのポケットがないなどユーティリティの弱さが目立ちます。
もっともここはトップケースをつけることでカバー可能で、これさえつければ普段使いにおいては車重ゆえの降りてからの取り回し以外、ほぼ死角のない性能といえそうです。前述のようにトップケースをつけてもそこそこ納得できる値段ですしね。

ほぼ同じようなことがビッグスクーターにもいえそうな内容ですが、ポイントとしては、

・価格:通常のスクーター>トリシティ>ビッグスクーター
・収納トリシティ≦通常のスクーター<ビッグスクーター
・取り回し:通常のスクーター>トリシティ>ビッグスクーター
・すり抜け:通常のスクーター≧トリシティ>ビッグスクーター
・タンデム:通常のスクーター<トリシティ≒ビッグスクーター
・安定性:通常のスクーター<ビッグスクーター≒?トリシティ

と、収納を除くおおよその点で通常のスクーターとビッグスクーターの中間に位置するということです。
価格面でビッグスクーターよりはかなり安いこと、すり抜けがビッグスクーターより容易で、取り回しが楽なこと、そして原付二種という維持費の安さが明確なメリットでしょうか。

通勤用に始めてバイクを買う人、バイクにそれなりに乗っているが日常の足としてスクーターが欲しい人、などなど初心者からベテランまで、コミューターとして受け入れられうる、キワモノ感がありながら実は万人受けするバイクではないか、というところでインプレをまとめようかと思います。




【カスタム点】

○トップケース

何はともあれ、まずはレビューで何度も言ったように、走行性能と引き換えにスクーターの命・収納を失った足バイクトリシティにほぼ必須といっても過言ではない収納の強化です。

これさえ着ければほぼ欠点のないシティコミューターになりますし、この39Lのサイズなら大きめのメットの収納にも困りません。あと個人的にはケース付いたほうが見た目も好み
なおボックスステーの取り付けには、テール周りのカウルに少しばかり穴あけ加工が必要になります。まあちょっとしたドリルなりがあればさほど難しくはないですが、面倒ならお店で頼みましょう。


YAMAHA ヤマハ ワイズギア/ユーロヤマハトップケース 39L
YAMAHA ヤマハ ワイズギア/ユーロヤマハトップケース 39L MT-07
 

YAMAHA ヤマハ ワイズギア/ユーロヤマハトップケース ユニバーサルプレート
YAMAHA ヤマハ ワイズギア/ユーロヤマハトップケース ユニバーサルプレート 汎用
 
YAMAHA ヤマハ ワイズギア/ボックスステー
YAMAHA ヤマハ ワイズギア/ボックスステー トリシティ125




これに加えて、下記の2個のどちらかのキーシリンダーをチョイス。

Aタイプ:こっちだと車両とキーが共通な1キーにできます。ただし自分のキーに合わせて金具を組み込む作業が必要なのでちょっと面倒
YAMAHA Europe  ヤマハヨーロッパ/ユーロヤマハトップケース用キーシリンダーA(ワンキータイプ)
YAMAHA Europe ヤマハヨーロッパ/ユーロヤマハトップケース用キーシリンダーA(ワンキータイプ) TMAX530
 


Bタイプ普通の鍵です。別に鍵が2本でも気にしない人、面倒くさがりな人はこっちでいいかも。

YAMAHA ヤマハ ワイズギア/ユーロヤマハトップケース用キーシリンダーB
YAMAHA ヤマハ ワイズギア/ユーロヤマハトップケース用キーシリンダーB TMAX530





○F. FABRI サマースクリーン

純正のスクリーンもいいのですが、サイズがやや小さい
冬場やバイパスでの快適さを求めるならももう一回り大きいのがいい、とはいえ大きすぎるとデザインが…という兼ね合いからこれをチョイス。夏場に乗っててもさほど辛くない程度の風の当たり方です。

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デザインもよくて中々おすすめ。


F.FABBRI ファブリ/スクリーン サマータイプ
F.FABBRI ファブリ/スクリーン サマータイプ TRICITY125-155(2014-2018)




○YSS リヤショック

スクーターのサスペンションというのは悲しいほどにチープです。元々スポーツ性能などもとめるバイクじゃないのでそれでいいのですが、それでも乗り心地がよくなるなら少し良いものを…ということでこれをチョイス。

コスパ安定のYSSですね。プリロードのみの調整ですが、乗り心地を良くするならコレで十分。
リヤショック自体、2万キロも走ればそれなりにヘタってしまうので、メンテナスとして交換してしまうのもアリでしょう。純正品とさほど大きく値段も変わりません。
YSS ワイエスエス/YSS リアショック 340mm
YSS ワイエスエス/YSS リアショック 340mm トリシティ125




足バイクならこんだけいじれば十分でしょう。


皆さんの参考になれば嬉しいですm(__)m
コメント、質問等お待ちしています。

月に寄りそう乙女の作法は素晴らしいゲームである。

これまでプレイしてきた数々のゲームの中でも、一番に心に残ったかもしれない。どころか、これから先もこれほど僕の心を揺さぶるゲームはないかもしれない。それぐらいに好きだ。
この作品を世に生み出してくれたソフトハウスのNavel、そしてシナリオライターの東ノ助氏には本当に心から感謝している。
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しかし残念ながら世間様では知っている人なぞ皆無に近い、ニッチなジャンルのゲームである。
そういうわけで、シリーズが完結した今更も今更だが、その良さを自分なりに文章にしたためて、「月に寄りそう乙女の作法」シリーズ(以下つり乙)のことをあわよくばもう少し世に広く知らしめたい次第。


まあ、とはいえ「ルナ様かっこいい」「朝日かわいい(※主人公)」「神様ルナ様仏様」みたいな散文的なレビューは多々ネット上に存在しているので、ここはもう少し踏み込んで、キャラゲーにとどまらない「つり乙」の面白さ、僕の心を揺さぶるものが何かを考察しながらレビューしてみようと思う。



0. あらすじ

つり乙シリーズは2012年から2018年に渡って、全6作が発表されたシリーズである。
というわけでまずは一応全作品を紹介しておこうと思う。


月に寄りそう乙女の作法(本編)
乙女理論とその周辺(前作アナザーストーリー)
乙女理論とその後の周辺(前作アフターストーリー+新規シナリオ)
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月に寄り添う乙女の作法2(本編)
月に寄り添う乙女の作法2.1 ExSxPAR(前作アフターストーリーその1)
月に寄り添う乙女の作法2.2 AxL+SA(前作アフターストーリーその2)
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大まかにいって小倉朝日こと大蔵遊星くんが主人公の初代三部作と、その20年後の彼の息子である小倉朝陽こと桜小路才華くんが主人公のつり乙2 三部作に分かれる。
うち「その後の周辺」「2.1」「2.2」はいわゆるファンディスク的な色合いが濃く、本編と言うべきものは「つり乙」「つり乙2」、そして「乙女理論」だろう。

まあ既に初見の方は何が何だか状態だと思うので、詳細なあらすじはWikiでも読んでもらうことにして。
言いたかったのは、一見してファンディスクに見える「乙女理論とその周辺」は第二の本編といっても過言ではない、単体で完成した素晴らしいストーリーだということだけである。なお個人的にはこれが本編と言われても一向に異論はない。
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「つり乙」「つり乙2」「乙女理論」ともに、基本的なストーリーの構図はどれも同じ
デザイナーを夢見る主人公が、さる事情により身分を偽り女装(!)し、お嬢様の付き人となってお嬢様服飾学校に通う…という感じである。
これだけ聞くとギャルゲーらしいぶっ飛んだ設定なのだが、一方でそのストーリーの本質に目を向けると、全く違うものが見えてくる

つり乙シリーズのストーリーは実はどれも一貫していて、まとめると「服飾の世界で夢を追いかける主人公が、自分に足りない何かを求めて努力し、その中で大切な人と出会い、成長していく」というお話である。
夢を追う主人公ヒロインとの出会い成長という、言ってみれば王道ともいえるストーリーであり、古典ゆかしきボーイ・ミーツ・ガールともいえるのである。
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ぶっとんだ設定の影に隠れがちだが、実は服飾というテーマに絡めた王道的な骨太のストーリー。これがつり乙の魅力の根幹だと思う。
そしてその骨格を彩る三つのポイントを、自分なりに考察しながら紹介してこうと思う。




1.四次元的に作り込まれたキャラクター

つり乙のキャラクターは生きている。

古今東西、ストーリーに合わせて動く薄っぺらいキャラクターは数あれど、キャラクター自らがが動くことでストーリーを作り出しているような、そんな作品も少数ながら存在する。そしてそれは決まって名作である。

語弊を恐れず言えば、それはキャラクターの「現実味」とも言える。
例えば悲しい出来事がありキャラが涙を流すとして、それを「悲しいことがあったから彼は泣いている」という表面的なストーリーとして捉えるか、「ああ、彼はあの出来事を悲しく思ったから泣いているんだな」と感情移入して捉えるかで、受け取り方はまったく違う。

その点で、つり乙のキャラクター描写は傑出している。
つり乙の登場人物は感情豊かであり、嬉しければ笑い悲しければ沈み込み時には不機嫌になったり怒ったり、テンションが上りすぎてあとで我に返って落ち込んだり、とにかく喜怒哀楽が生き生きと描写されている
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それも主人公に限らず、どのキャラクターも生き生きとしている
だからそんな「生きた」キャラクター同士が時に笑い、喧嘩し、競い合い、心を通わせるストーリーとても胸を打つのだ。

これはボイス、BGM、グラフィック、SE、そしてなにより何気ない日常の喜怒哀楽を描写することが許されるこの種のゲームでこそもっとも見事に表現できるものだと思う。ADVにキャラゲーが多いのはそういうことである。
つり乙のこうしたところは、ある意味ADVゲームの真骨頂とも言えるだろう。


さて、そんな生きたキャラクターにさらなる深みを与えるのが、過去の描写である。
キャラクターの過去を描写し、現在の行動に説得力をもたせるのは使い古された手法だ。これを使いこなすのは難しく、だが十全に生きれば素晴らしい効果を発揮する。

そしてつり乙シリーズの人物の「歴史」の構築は見事である。
特に主人公に対しては、それだけで短編小説がガッツリ書けるような「物語」を用意していて、事実初代つり乙の出だし3幕は全て主人公・遊星くんの自分語りである。これがまた「悲惨」をいくつ重ねても足りなさそうな重い話で…まあそれはさておき。
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もっとも薄っぺらい昔語りならそのへんの適当なラノベ主人公でもできる。
つり乙のそれが素晴らしいのは、こうしたキャラクターの「過去」が、キャラの「現在」に見事に繋がっていることだ。
初代主人公の遊星くんは、重く辛い過去を背負いながら、それでも母親の言葉を胸に誠実に生きようと心に決め、尊敬できる人との出会いから前向きに人生を生きる意思を持ち、憧れの人と同じ服飾の道を目指す夢を追いかけた。そうした「過去」が「現在」=キャラクターを作り、「未来」=ストーリーを作っていくという一貫性。こうした時間的な奥行きが、生き生きとした描写と相まって、つり乙のキャラクターに創作物とは思えない説得力と与え、読者の感情移入を誘っているのだ。
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そのキャラクターの四次元的な作り込みは、主人公だけにとどまらない。程度の差こそあれ、全てのキャラクターに対してそれがなされている。ヒロインは勿論、ストーリーに関わるキャラ、クラスメートAで済まされる端役まで。
特に端役の扱いは見事で、あえて明確に名前を出さず「生徒A」としておきながらも、時折ふとした会話に本名がちらつくことでかえって印象が強まり、またさりげない日常の中でもキャラにきちんと過去の設定や、主人公その他のキャラへの感情を持っていることをしっかりと感じさせる。
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つり乙シリーズはこのように大変丁寧な描写がなされた作品であり、最初のあらすじの項でも言ったようにこうした「骨太」さこそがつり乙の面白さの秘密のひとつなのである。




2.美しく心に残る言葉

三行でまとめてくれ。と世に人は言う。

短い端的な言葉は心に残りやすい。それは短い言葉そのものが、あるエピソードと結びついて様々なことを想起させるためである。
実はつり乙には、こうした心に残るフレーズが多い
それは誰かの口癖であったり、座右の銘であったりするのだが、これが本当に素敵なのである。

例えば件の主人公、遊星くんが心に刻んでいる言葉として「誰かのためになるのは本当に素敵なこと」という言葉がある。これは亡くなった母が幼い日の彼に言って聞かせた言葉
これそのものは本当に何気ない言葉に聞こえるし、インパクトとしてはことわざや偉人の名言にはとてもかなわないだろう。

だが、この言葉は間違いなく読者の胸にじんと残る。それは他ならぬ遊星くんがその言葉を胸に刻んで成長し、その言葉そのままに誰かを助けられる優しい人になり、あまつさえその言葉がトーリーの要所で記憶の中の母の声で再び彼と読者の胸に響くからである。
言葉そのものではなく、言葉を胸に刻んだ彼の行動と、その言葉を胸にしまった過去の出来事や思いまでが揃って、初めてそれは「美しい言葉」として心に残るのだ。
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もう一つ好きな言葉として「意思が希望を生んで、希望が夢を育てて、夢が世界を変えるんだ」というのがある。
初めて見たあなたは「綺麗な言葉だな」としか思わないかもしれない。だがつり乙をプレイしたあと、それがどのようなドラマや感情の中で生まれどんな影響を与え誰かの心へ刻まれていったのか。こうした言葉が、いかに前の章で語ったようなキャラクターの過去と現在を結びつけ、未来へつながる橋渡しとなったかを知った時、きっとこの言葉はあなたの胸にも残るだろうと思う。
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ちなみにこれは初代つり乙から、つり乙2の息子の才華くんまで受け継がれる言葉で、ある意味つり乙シリーズの世界観とストーリーをもっともよく体現した言葉かもしれない。
こうした美しい言葉を体現する、とても「暖かな」世界観とストーリーが、つり乙シリーズの言葉に出来ない魅力である。少し人生に疲れた時、後ろ向きな時、本当に元気をもらえる作品だと思う


蛇足だが、つり乙には「迷言」とも言えるフレーズも豊富である。

「やる気、マンゴスチンです!」

思わずずっこけそうな脱力フレーズだが、なんとシリーズを通しての主人公が前向きにやる気を出す時の口癖である。
まあ、ありふれた言葉の組み合わせで素晴らしいフレーズを作るという意味では、上記の印象的なフレーズと同じであり、やはりライター東ノ助氏の非凡な言語センスを象徴している……とかそれっぽくまとめておこう。




3.服飾というテーマの奥深さ

服を作るのは、誰のため?

このゲームの大きなテーマの一つとして据えられているのが「服飾」である。
ありふれた学園モノとの大きな違いがここで、主人公たちは服飾の技術を学び、才能を研磨し、切磋琢磨しあいながら、ともに手を取り合って一つの作品を生み出していく
それはスポーツや部活動、あるいはバトルアクションといった通常ジュブナイルにつきものの主題とは一味ちがうのである。そしてこれがつり乙シリーズのストーリーの深みを生み出しているとても重要な要素であると思う。


まず服飾は、人の心を動かす
服飾とは芸術であり、その元になる優れたデザインを生み出せる人間は、歌や絵画と同じくそれだけで無条件の尊敬を受けうる。つまり「同世代の中で一目置かれる」というキャラクターの立ち位置に問答無用の説得力を生み出すことができる。
例えば某女装学園モノでは、主人公が美人であったりスポーツ学業万能であったりしたために誰からも一目置かれ、やがて「お姉さま」と慕われる立場になるわけだが、やはりやや非現実味が伴う。しかしつり乙の場合は「デザインが傑出している」というただそれだけで、一目置かれる根拠になるわけである。

とはいえ、もちろんシリーズのテーマだけあってこの服飾周りの描写は力が入っており、「ただ上手だから称賛される」というのではなく「評価を受けることと人の心を動かすことには天と地ほどの差がある」「真に優れた創作物は人の心を動かす」といったように、それが並大抵のことではないことが理解できるようになっている。
時にはそうした人の心を動かす創作物そのものが、ストーリーを大きく展開させる役割を果たしている。
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つり乙では服飾という芸術が、キャラクターの立ち位置に説得力を生み、またストーリーの肝として展開に説得力を持たせることとなっているのである。



次に、服飾は競い合うと同時に共同作業でもある。
これはスポーツや部活動などとは明確に違う点で、作中でもデザイン画のコンクールや作品の評点、ステージでのドレスのコンペティションなど、実力を競い合う描写は多数出てくる。それにゆえにお互いがライバルといった関係も多く描写されるし、一方で才能の有無が残酷なまでにものをいう服飾という世界の厳しさも垣間見せる。
しかし他方で、服飾とは共同作業なのだ。デザインを書くデザイナーだけではなく、それを現実的な形状に落とし込み布の形状を製図するパタンナー、それを縫い上げる縫製係、多人数での作業を指揮する製作進行管理などなど。勿論一人で色々できる万能な人もいるのだが、やはり得手不得手があり、そうした所をお互い補い合って、初めて素晴らしい作品が生み出せる
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競争と、協力これは背反しそうでありながら、スポーツ物なんかではチームという枠組みでくくられることで、あまり前面に出続けることはない。あってもポジション争いとか、一個のエピソードで収まる程度だろう。
しかし服飾は違う。ある時はデザイナーとパタンナーとして協力したペアが、別の時にはどちらもデザインがしたいからと別のチームでライバルとして競う…なんていうのもごく当たり前に起こるし、同じチーム内でデザイナーの座を争うなんてことも、逆にライバル同士の協力という展開も容易に存在しうる。
またいわゆる「才能の壁」というものがどれほど高く絶望的なものかということも重ねて描写がされており、その壁を乗り越えるということ自体が一つのドラマとなりうる
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お分かりいただけただろうか。ストーリーの中でドラマを生み出すにあたって、服飾という題材は柔軟性において非常に優れているのである。




最後に、そして何より重要なのが、服飾とは心のつながりと切っても切れないものだ、ということ。
個人的には、つり乙の服飾というテーマの中で、明確に言葉にはされないが一貫して貫かれているのがこのことだと思う。
それだけに、ここで多くを語りすぎるのは避けたいと思うし、ぜひ本編をプレイしてその意味と、キャラクターたちが心を通わせる過程をその目で見届けて欲しい。
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こんな意味深で思わせぶりな説明で締めてしまって申し訳ない。
ただ言いたいのは、服飾というテーマは本当にドラマ性に富んでいて、つり乙というゲームのストーリーを構成するにあたって切っても切れない、素晴らしい題材だったということ。
骨太なストーリーの骨格に、流麗なラインを見事に肉付けしているのは間違いなくこの服飾というテーマである。
これに着目して、自身の経験を生かしてうまくシナリオにした東ノ助氏には脱帽するほかない。




4.おわりに

思い入れがある上に多作で、おまけに何度もプレイしたシリーズなので、ちょっとそれっぽくレビューするつもりが随分と長々と書いてしまった。
こうして自分の考えを言語化して気づいたのは、いかにつり乙シリーズが丁寧に作られた作品かということだと思う。


奇想天外な設定ながら王道的で骨太なストーリー
とても丁寧に作り込まれ、喜怒哀楽の描写で生きて動くキャラクターたち。
ストーリーを通じた世界観を象徴する、平易で、しかし美しい言葉の並び。そのキャラクターとの結びつき
そしてストーリーに説得力とダイナミズムを生む華やかで厳しく素晴らしい服飾の世界という題材

何度プレイしても彼らに共感して笑い、悲しみ、感動し、世界の素晴らしさに感謝できる。
老若男女をとわず誰の心にも届きうる、普遍的なテーマを持っている作品だと、僕は思う。
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既にプレイした人たちには共感してもらえたならとても嬉しい。
そしてまだプレイしたことのないあなたに、つり乙シリーズに興味を持ってもらえたならば、まったく本望としか言いようがない。


ではつり乙シリーズを通してプレイしてのこのレビューを、ルナ様にならったこの言葉で締めようと思う。

「大変に気分がいい!」
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5.蛇足

ここからは今からつり乙シリーズをプレイしようと思っていただけたあなたへの申し送りです。
以前は、ハードがあるならPS VitaもしくはPS4でプレイするのが手軽…と思われていたが、最近はPC版もFull Voice Editionとして「つり乙」「乙女理論」とも再販されているので、PC、PS4、PSVita、どれも都合のいい方を選んで大丈夫である。

個人的にはシステム周りが一番優れているのはPC版だと思うし、コンシューマーではカットされているシーンが拝めること、PC版以外では発売していないタイトルも多いことなどからPC版をおすすめする
ただPS4/Vita版もカットシーンの代わりに、多少の追加シーン(ボリューム的には少しだが)が追加されているため、ファンとしてはこれも捨てがたい。

言うまでもないが僕は全部買いました。


PC版
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月に寄りそう乙女の作法 -FullVoice Edition-
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『乙女理論とその周辺-Ecole de Paris-』 -FullVoice Edition-
812PTcD0SWL._SL1500_
乙女理論とその後の周辺 -Belle Époque- Limited Edition
PS4版(※「乙女理論」「その後の周辺」は未発売)
71+6P4hIOXL._SL1000_
月に寄りそう乙女の作法 ~ひだまりの日々~ - PS4
PS Vita版(※「その後の周辺」は未発売)
71zgnQAObEL._SL1000_
月に寄りそう乙女の作法 ~ひだまりの日々~ - PS Vita
71EZ3EwIrLL._SL1000_
乙女理論とその周辺 -Bon Voyage- - PS Vita



なお以前の「つり乙」PC版には主人公のボイスがなく、続編の「乙女理論」にボイス追加パッチが付属していた。「乙女理論」のほうも同じく続編の「その後の周辺」にて追加されていたが、今では上記のとおり単品でセットになっているため、PC版もお求めやすくなっているという経緯がある。

「なお主人公ボイスなんていらねーよ」と思われるかもしれないが、この作品に限ってはこれがあるかないかで感情移入の度合いがまるで違うので、騙されたと思ってフルボイスでプレイして欲しい。嘘だと思うなら製品サイトでサンプルボイスを聞いてみてもいい。


細かい話1。
PC版では「乙女理論とその周辺」に遅れて「乙女理論とその後の周辺」で追加されたエッテルートが、PS4/Vita版では「乙女理論とその周辺」に同梱されている。エッテルート自体は中々の出来なので、「乙女理論とその周辺」に限ってはPS4/Vita版を買うのがややお得である。
もっとも「乙女理論とその後の周辺」のその他のコンテンツはPS4/Vitaでは拝めないので、それが嫌ならPC版で3本買うのを推奨。

細かい話2。
PC版にしかない大人向けなシーンは、個人的にはぜひぜひ見て欲しい。特にルナ様ルートは…。
だからエロシーンの途中に笑わせるのはやめろって言ってるだろ!!(唐突)



そして続編の「月に寄りそう乙女の作法2」はコンシューマー化はされていない。プレイするにはPC版を買う必要がある。
こちらもFull Voice Editionとして音声追加ディスクがセットで売っているので、一本で完結できる。
どうしても初代「つり乙」シリーズと比べられがちだが、個人的には「つり乙2」もそのエッセンスを継承し、少し違う形で見事に仕上げている作品だと思っているので、ぜひプレイしてみて欲しい。

8144eMh-6NL._SL1500_ (1)
月に寄りそう乙女の作法2 -FullVoice Edition-


ファンディスク要素の2.1と2.2も、本編を気に入ったなら買う価値はあると思う。
なお重ね重ね本当に個人的な感想なのを注記するが、2.2収録の「アトレストーリー」は中編程度の長さながら兄妹間のガチ近親相姦をおちゃらけ抜きで描いたシリーズ中最も異色のシリアスかつ重い話だが、私はこれがすごく心に残っている。

81UWFJk+pqL._SL1500_
月に寄りそう乙女の作法2.1 E×S×PAR!!
716KHIFF-tL._SL1280_
月に寄りそう乙女の作法2.2 A×L+SA!!









長文お読みいただきありがとうございましたm(__)m














6.さらに蛇足

ここは本当に蛇足。個人的なシリーズ通しての各ルートの評価。
書いたあとで「あ、これは本当に蛇足だな」と思って反省したのだが、書いた以上はせっかくだし掲載せねばという貧乏性の産物である。
どうか読んでほしくないが掲載したいという矛盾した心持ちをご理解いただいて見て見ぬふりをしていただきたい。



1位「乙女理論とその周辺」りそなルート
2位「月に寄りそう乙女の作法」ルナ様ルート

つり乙の看板、ルナ様ルートとりそなルートは甲乙つけがたいが、ヒロイン力ではルナ様に軍配が、他キャラを含めたストーリーとしての完成度ではりそなに軍配があがる。今回は苦慮の末、りそなルートを1位とした。
大蔵家、特に衣遠兄様を交えた大蔵家ルートともいうべきりそなルートはシリーズ筆頭の傑作。
そしてルナ様ルートはいうまでもなく、つり乙を決定づけた顔とも言うべきシナリオ。


3位「月に寄りそう乙女の作法2」エストルート

メインヒロインは強い。シナリオのメリハリの面では少し弱いが、つり乙2では一番好きなルート。
おしりメロン。


4位「月に寄りそう乙女の作法2.2」アトレルート

異色のガチ近親相姦ルート。つり乙でも他に類を見ないシリアスさと重さ。
しかしなぜかものすごく心に残る。つり乙2ではある意味一番、つり乙シリーズの「哲学」を徹底してるのかもしれない。


5位「月に寄りそう乙女の作法」ユーシェルート

ルナ様1強とはいえユーシェのヒロイン力もかなり高い。
服飾と才能をテーマにしたストーリーは見応え充分だが、色んな意味で相手が悪かった…。


6位「乙女理論とその後の周辺」エッテルート

遅れてやってきたがその甲斐はあった。エッテもそうだが、アンソニーの兄ちゃんが株を爆上げ。
完成度高くまとまってる。


7位「月に寄りそう乙女の作法2」ルミネルート

才華くんの壁ドンシーンがクライマックス。キミこそ主人公だ。いろいろこじらせてる君が好き。
ファンディスクでのブラコン・シスコンっぷりも好物。


さて独りよがりのランキングもこの辺にしておこうと思う。
取って付けたようで恐縮だが、つり乙シリーズのルートはどれも総じてレベルは高い。これ以外のルートがつまらないというわけではなく、他が魅力的すぎるのだとご理解いただきたい。

こんな蛇足に惑わされず、ぜひ全てのシナリオを存分に楽しんでいただければ嬉しい限りである。

【前置き】

AI/AISキャンセルというのは時々聞かれるカスタムですが、これは一体なんなのか?というと意外とわかっている人は少ないのではないでしょうか。

AIまたはAISというのは、Air Induction Systemのことで、簡単に言えばエンジンから出てきた高温の排ガスに新鮮な空気を吹き込むことで燃え残りのガソリンも燃やしてクリーンにしよう、という環境規制対策のシステムです。
まあ分かりやすく言えば、アフターファイヤを意図的に起こしているといえばよいでしょうか(燃え残りのガスが微量なので派手な燃焼にはなりませんし、厳密には違いますが)。


このAIS、今の話を聞けば分かるように環境負荷の点を除けばユーザーにメリットはさしてありません。かといって別にデメリットもなく、本来はエキゾーストやマフラーを変更した際に、吸排気バランスが崩れることにより多発するアフターファイヤを防止するためのカスタムだそうです。
…と思いきや、聞くところによれば「AIキャンセルをするとエンジンブレーキが弱くなる」という話が。

これはR3の低回転での不自然なエンブレの強さに不満を持っていた私には朗報。
とはいえ本当にエンブレが弱まるのか?それこそプラシーボではないのか?そもそもエキゾーストにO2センサがあるのにFIのシステムに悪影響はないのか?
しかしエンブレが自然になるというのは事実魅力的…

悩んでも仕方ないし、モノとしては結構安い(2000円そこら)なので、物は試しとやってみました。

K-FACTORY Kファクトリー ケイファクトリー/2次エアーキャンセルプラグセット
K-FACTORY Kファクトリー ケイファクトリー/2次エアーキャンセルプラグセット YZF-R25



以下取り付け方法とインプレです。



【取り付け】

まあこれはシンプルと言えばシンプル、AISの配管を引き出してそこに先程のキットで栓をするだけです。
とはいえこのAISにアクセスするためには、R3のカウルを結構なところまで外さねばなりません。頑張っていきましょう。

まずはサイドパネルフロントパネルを外します。
こちらについてはR3/R25のロングスクリーンの記事を参照。

続けてライダーシートを外します。タンデムシートを外した後、シート後ろのタンデムシートとの間にあるカバーを外せばライダーシートを固定しているネジが見えるので外せばOK。

その上で、AISにアクセスできるように燃料タンクを外します
そのために燃料タンクを覆っている左右のタンクカバーと、次いで上のタンクカバーを外します(写真取ってないしネジ外すだけなので省略)。
その上で燃料ホースを外してやればタンクを取ることができます。

そうすれば車体右側のエンジン脇に、AISのエアカットオフバルブ↓が見えるはず。
(ちなみに写真撮影時は、車体横のカウルを外してアクセスしました。本来の方法ではないですがこれでもアクセスできます)

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あとは説明書に従って、ホースを抜いて詰め物をして終わり!



【インプレ】

いやいや、作業はちょっとめんどくさかったけど、流石にこんな子供だましでエンブレが変わるわけが…。

あ、変わったわ。

これは確かにプラシーボでなくエンブレの感覚が変わります。
なんというか、個人的な感覚は入りますが「自然な感覚のエンブレ」になります。
純正状態の、3500rpmぐらいから下で急激に効き始めるつんのめるようなエンブレではなく、回転数に比例して制動力のかかる感じがします。

街乗りの時はもちろん、低速での取り回しの時のスロットルオフ時にバランスを崩しにくくなったり、比較的低回転でスポーツ走行をしてる時に無用なエンブレが効いてくる煩わしさがなくなり、走行感は中々に良くなりました

これで2000-3000円ぐらいなら個人的には大満足です。
心配していたエキゾーストのO2センサによる影響も、500km程度走ってみましたが特になし。
純正のエンブレの感覚が好きじゃない方は試してみてはいかがでしょうか。

K-FACTORY Kファクトリー ケイファクトリー/2次エアーキャンセルプラグセット
K-FACTORY Kファクトリー ケイファクトリー/2次エアーキャンセルプラグセット YZF-R25
 




【蛇足:なぜエンブレが弱くなるのか?の考察】

まずAISの動作について整理します。
まず、AISが働くのはエキゾースト内です。正確にはエキゾーストバルブから排気が出た直後、バルブが閉鎖されたタイミングで新気を導入し、燃料させつつ排気しているという具合でしょう。
ということは、AISが動作するとエキゾースト内で新たに燃焼が起こった結果、排気の圧力(静圧)・温度が上昇するはずです。

エキゾースト内の静圧が上がるということは、排気抵抗が上昇するということ。
これはひいてはエンジンが排気行程に入る際にピストンを押し上げるのに必要な力=エンジンの抵抗=エンブレが強くなるという形で現れると推測できます。

つまりAISが動作するとエンブレが強くなるというのは、エキゾースト内で静圧が上昇することが原因だろうと考えられます。


しかしそうなると、エンブレが強くなる低回転でしかAISは動作していないということになります。
実はこれを裏付けるのが、本来AISはアイドリング付近の排ガス浄化しかできないシステムであるという話(参照:二次空気導入装置:吸引式 - Wikipedia)。
事実、考えてみればそもそもR3/R25にかぎらずAISは新気導入のための積極的な負圧を持たず、よって排気脈動による負圧が生じる低回転付近でしか動作しないと考えられます。

ここからは想像ですが、ヤマハのAISのエアカットオフバルブ(空気のオンオフを切り替える弁)にはカプラが刺さっており、なんらかの電子的な制御でオンオフを切り替えている=AISのオンオフを切り替えているようです(おそらく安定的な動作のため)。
このオンオフのトリガが、アイドリングないし減速時の3500rpm以下という負圧が生じやすい(と思われる)タイミングに設定されており、その結果このタイミングでAISが動作しエンブレが急激に効いてくるという現象が起こっているのではないでしょうか。


大分見えてきたように思えますね。
まあそうなると、AISを塞いでキャンセルしてしまえば、エキゾースト内での燃焼による静圧の上昇はなくなる=エンブレが段付きで効かなくなるというのは筋が通っているかな、と言う感じです。

…ちなみにこの推理が正しいとすれば、エアカットオフバルブについているカプラを外せば、エアカットオフバルブのソレノイドバルブ(電磁弁)が動作しなくなります。
もしこのソレノイドバルブが常時閉(通電無しの際は閉じている)タイプであればカプラを抜くだけでAISキャンセルと同じ効果を得られる可能性がありますね。

まあ推測に推測を重ねた結論なので正しいかは分かりませんが、ぜひ誰かにトライしてもらいたいところです。
(もしこのブログを見てトライした方、ぜひ結果をコメントいただければ嬉しいです)


以上、蛇足でした。

【前置き】
かねてよりツーリング派の私は、バイクを買ったらまずロングスクリーンやハンドガードを付けるのがお約束。
やはり高速でのツーリング長距離ツーリングでの疲労軽減、そして冬季のツーリングでの快適性ではロングスクリーンの防風性は他に代えがたいものが有ります。

が、ことR25に関しては…なぜだ、ロングスクリーンがない…

スクリーン自体は結構出てるのですが、「スポーツスクリーン」「レーシングスクリーン」などショートスクリーンばかりが目につきます。かといって防風性が高そうなものは形が好みじゃなかったり…。

最近になってある程度ロングスクリーンのラインナップも出てきたようですが、中でも私が気になっていたのは「アサヒ風防」のスクリーン

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旭風防 af アサヒ風防/スクリーン YZF-R25


オーソドックスな形状に「純正より20mmアップ70mmロング」というスペックから想像できる良好な防風性。
これだ!と購入を決め、品薄なのか納期を待つことしばし。

先日到着し、取り付け、そして初ツーリングでのテストを済ませたのでインプレと取り付け方法について記事にします。



【インプレ】

まず今回の記事執筆の時点では、バイパスで100ほど出した程度で高速道路での走行はしていないことを注記しておきます。
が、先に言ってしまえば高速を走ってみるまでもなく防風性が極めて良好なのが一般道でもはっきり分かるほどの効果だったわけですが。

まあ、まずは見た目から。

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ライダーから見るとこんな感じ。見た目にも純正スクリーンより大きいです。

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前から見るとこんな感じ。やはり一回り長いのが分かります。
どちらかと言えば純正の面構えのほうが好きなものの、個人的には悪くないかな?という感じ。まあR3/R25のフロントカウルの構造上、ロングスクリーンを付けると多少バランスが悪くなるのは仕方ない所でしょう。

問題は肝心の防風性。
どんなロングスクリーンでも同じですが、だいたい70km/hぐらいまでで走っている時はさほど違いは感じません。
80km/hを超えてきたところで、効果がわかってきます。明らかに純正スクリーンより走行風の流れが上側に変わっています

イメージ的には、軽く体を伏せるだけで首から下にまったく風が当たらなくなる感じ。また思いっきり伏せれば、ヘルメットに風が当たっているかわからないレベルまで走行風を防いでくれます

通常のポジションでも体へ当たる風はかなり減っています。走行風の影響はサイズ相応に十分低減されているとみていいのではないでしょうか。
今回は山道主体のツーリングでしたが、高速などで長距離をハイペースで走るツーリングなら効果はかなり大きいと思われます。

用途が合う人なら、値段分の価値は十分あるのではないでしょうか



旭風防 af アサヒ風防/スクリーン
旭風防 af アサヒ風防/スクリーン YZF-R25





【取り付け方法】

さて…普通スクリーンの交換などは、ネジを何本か外せば簡単に終わりですね。
そんな風に考えていた時が私にもありました…

正直に言えば、R3/R25のスクリーン交換、少し面倒です。スクリーンを外すためだけに、ボディのカウルを数点外さねばなりませんので。
いやカウルをある程度触り慣れているなら大丈夫なんですがね。分からない人には辛いし、カウルを割ってしまうというプレッシャーも有りますんで。

というわけで、取り付け方法について解説します。


① サイドパネルを外す

R3のリアサスペンション交換でも外した箇所ですね。というわけであちらから丸写しですが。

サイドパネルというのは、この赤◯で囲ったカバーのことです。こいつは黄◯で囲んだネジ2本と、裏側のグロメット(ゴムの輪)への差込2点の計4点で固定されています。
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ネジを外したら、あとはグロメットでの取付点付近を思い切って引っ張りましょう。スポン、と抜けるはず。
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② フロントパネルを外す

フロントパネルは、ハンドル周りのメーターの隣についているパネルです(下の写真でちょっとズレているやつです)、

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このパーツは2点ネジ止め+3点をリベット止めされています。リベットというのは、

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こんなパーツです。真ん中のプラスネジを緩め方向に回せば頭が浮いて外れ、止める時はこの頭を押し込むだけでカチっとはまります。
これが先程外したサイドパネルの裏側1点+フロントパネルの横側(フロントフォークがあるメーター下の空間のところ)に2点の計3箇所です。

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外すとこんなふうに、フロント周りのカウルを留めているネジが見えてきます。


③ ウインドシールドAssy.を外す

ここまで左右のカウルを外すと、メーターの下でヘッドライトとフロント周りのカウルを留めているネジが見えるはず。これを左右1本ずつ外します。
すると前方向にスライドさせれば↓のようにフロントのカウルとスクリーン、その下のカバーがまとめて外れるはずです(ちなみにこの写真はもうバラけた状態なのでイメージ図です)。

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④ ウインドシールドAssy.をバラしてスクリーンを交換

スクリーンは樹脂ネジでゴムダンパーを介してカウルに固定されています。これを緩めて、あとはちょと爪の引っ掛かりを外してやればスクリーンは外れます。
あとは逆の手順で新しいスクリーンを取り付けて、Assy.に組み直しましょう。
ちなみにこの時、フロントのカウルにピンがあるので、これがスクリーンに上手く嵌って、カウルとスクリーンが隙間なく噛み合っていることを取り付け前に確認してください(隙間が空いていたら上手く取り付けられるまで頑張りましょう)。


⑤ ウインドシールドAssy.を車体に組み付けてカウルを組み直す

あとは今までのを元に戻すだけです。
フロントのカウルとを取り付ける時は、同じように前からスライドさせて、↓の裏側にあるつ目が上手くはめ込めるように頑張りましょう。

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カウルは思ったより割れにくいので、ビビらずに。しっかり浮きなく嵌っているかを確認して次に進みましょう。でないとやり直す羽目になります…。
フロントパネルのはめ直しは知恵の輪的に多少手こずりますが、上手くがんばってください。

頑張れとしか言えなくてアレなんですが、カウルのはめ込みってマジで気合試行錯誤ほどほどの力加減ぐらいしかコツがないもので…すみませんm(__)m
しいていうなら、カウル同士が噛み合う溝や爪をしっかり把握してから着けると楽かもしれません。
フルカウルの整備って面倒くさいねorz

あ、くれぐれもネジ・リベットの入れ忘れにはご注意を!


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以上となります~。お疲れ様でした。

【前置き】

先日のリアサスのプリロード調整の記事でようやくサスペンションのセッティングの奥深さを知った私。
となると、俄然「いい」リアサスを買って試してみたくなるというのが人情。
というわけで…多少気は早いもののボーナスを当て込んでリアサスを購入してしまいました!(アホ)

今回はそのレビューと、取り付け方法の紹介です。
(取り付け方法だけ参考にしたい人はレビュー読み飛ばしてね)


今回購入したのはこちら。


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YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MXシリーズ】 MX366 YZF-R25


YSSというのはあまり聞き慣れないメーカーですが、タイでサスペンションを専業にしているメーカーだそうで。近年は日本でも代理店を通して販売を広げ、オーバーホールなどのアフターサービスも展開しているようです。
しかしやはりマイナーなのは否めない…。私も正直少し二の足を踏みました。

というわけで他に候補として上がったサスペンションをまずは紹介。
リプレース品のリアサスといえば有名なのは、やはり一番に思い浮かぶのはOHLINS。
OHLINS オーリンズ/リアサスペンション
OHLINS オーリンズ/リアサスペンション R25/R3/MT
 

ハイエンドなサスペンションの代名詞と言うべきOHLINS。こちらでお値段12万円ほど。
またオーリンズほどの知名度はありませんが、高性能なサスペンションとしてこちらも知る人ぞ知るのがNITRON。
NITRON ナイトロン/リアサスペンションモノショック NTR R3 シリーズ
NITRON ナイトロン/リアサスペンションモノショック NTR R3 シリーズ YZF-R25


こちらは15万円ほどもします。このイメージカラーの青がいかにもクール。
そしてこの2ケタ万円の高級品からは少しお求めやすい価格で最近登場したのが↓のKYBスペシャルのサスペンション。

YAMAHA ヤマハ ワイズギア/KYBスペシャルサスペンション リア
YAMAHA ヤマハ ワイズギア/KYBスペシャルサスペンション リア YZF-R25/R3・MT25/03


見た目にも鮮やかなオレンジカラーの別体ガスタンク式。お値段7.2万円
KYBというのは、ヤマハの純正によく採用されている国内の総合サスペンションメーカー。他ならぬR25の純正リアサスもKYB製です(ちなみに純正品の価格は3万円弱)。
純正品を作っているメーカーのアップグレード品なら適合性、性能アップはほぼ確実。値段もOHLINSやNITRONに比べればお手頃。
デザインもよく、正直こちらも迷ったのですが……。

YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MXシリーズ】 MX366
YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MXシリーズ】 MX366 YZF-R25


実はこのYSSのリアショック、上記3品と同じ別体式ガスタンクのフルアジャスタブル(取付長、プリロード、伸び/縮み減衰)でありながらお値段なんと6.6万円。先のKYBスペシャルより安く、OHLINSの半額です。

もちろん安かろう悪かろうでは意味が無いのですが、噂ではYSSは価格の割に性能も中々のものでコストパフォーマンスは良好との話。KYBのリプレース品と同程度の価格というのもそれなりに妥当感があります。

とはいえ大きい買い物なのでせっかくならいいものを…悩む気持ちもありましたが、考えてみればどだい私程度の腕前でOHLINSやNITRONなどのレース向けのサスを使いこなせるかといえば…まずムリ
どうせ高いサスを買っても持て余すなら、公道でのスポーツ走行向けをうたうこのYSSのMXシリーズの方がいいだろう(+失敗でも傷は浅い^^;)。

というわけで、このYSSのMX336を購入するに至ったわけです。
では毎度長い前置きの後は、レビュー&取り付け作業のレポートです。




【YSS MX366レビュー】

まず断っておくと、私はリアサスペンションの交換は初めてです。バイク自体のキャリアは10年ほどあるので、ある程度良し悪しは分かりますが、サスに関しては素人に毛が生えた程度です。
加えて、私の腕前は率直に言って世間で言えば中の上か上の下、バイクの運動理論はある程度わきまえているし峠でもそれなりに飛ばせますが、ポケバイなどでレースをしているガチな人にはまるで敵いません。
その程度の腕前という前提で聞いてください

とはいえ、これだけ断りを入れた後でいうのも何ですが正直……


こんなに変わるのか!!ってぐらい変わりましたね。ええ。


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リアサスを交換して早速、説明書通りにプリロード(前回の記事参照)を調整しただけで(あとはYSSのステッカーも貼って笑)、減衰については出荷時のセッティングのまま、ツーリングに出発。
正直、普通の道を走っている時はあまり差はわかりませんでした。プラシーボと言われればそれまでです。こんなもんか?と首をひねりました。

が……峠道に入って少しペースを上げ、コーナーに入った途端、驚くほどはっきりとした違いが現れました。
一言で言うなら、リアサスの挙動が非常に落ち着いたものになり、接地感がぐっとよくなったといいますか。

例えばコーナリング中、車体がバンクしている時に少し路面が荒れていると、今までは車体が不安定な状態でリアサスが暴れる(ボヨンボヨンと動くというか)のでとても怖く、コーナーへの侵入・脱出の時に思い切ったブレーキ・アクセルワークができませんでした。
それがリアサスを変えてからは、同じようなシチュエーションでもリアの動きがとても穏やかです
。減衰が効いているというのか、路面の凹凸が車体までまるで伝わっていないような感じすらします。

またコーナーへ切り込んでフロントブレーキを握り、コーナーの頂点で一気に車体をバンクさせる時も、フロントブレーキが効くことでリアへの荷重が弱くなっているはずなのに、しっかりリアタイヤが路面を噛んでいる感じが伝わってきます。
何が影響しているのか私にはわかりませんが、ブレーキ時のフロント荷重から、二次旋回でのアクセルを開いてのリア荷重に移る時の感覚が素晴らしく、車体が路面を舐めるように動くように思えます。

全体として、リアタイヤの動きに非常に安定感が増し、ビビりの私でも安心感を持ってブレーキ、旋回、アクセルというコーナリングの手順をキビキビとこなす事ができます。
おそらくバイクの運動性の限界自体が上がっていますし、何よりバイクの挙動がライダーにとって安心感がある風に変化するので自然と上手く早く走れるようになった、と大いに感じます。


ちなみに、よくバイクのカスタムで言われるのが「プラシーボじゃないの?」という言葉。
パーツを変えたのだから変わるはず、という思い込みで「変わった気がする」と思い込んでしまう現象です。
今回に限ってそれはありません。なぜなら…一緒にツーリングに行った友人のR25と乗り比べたからです(笑)

R25とR3はエンジンこそ少し違えど車体は同じ。純正状態の友人のR25は大変良い比較になりました。リアサスを交換したR3から乗り換えると「純正のリアサスってこんなにボヨンボヨンしてたっけ?」と、数日前までそのサスで乗っていた自分のことを忘れて言いそうになります。
しまいには、交換してR3を乗った友人が一言。「俺もリアサス変えてみようかな…」と。ちなみに彼はバイクに乗り始めて1年未満、初めてのバイクがR25という新人ライダーですが、彼でもそう思うほどの違いがあったようです。



というわけで長々と書いてしまいましたが、感想としては「もっと早く交換すればよかった!超オススメ!」の一言につきます。

もっとも、本領を発揮するのはコーナーを曲がる時ですから、街乗りや直線道路を走るだけでは効果が実感しにくいパーツではあります。のんびり走るだけなら、純正のリアサスでも十分といえばそうかもしれません。
ですが、先程も言ったように、リアサスを交換することで車体の挙動が穏やかになり、コーナリングにも安心感と楽しさが増すのは間違いないです。

上手い人にはもちろん、コーナーが苦手という人にもぜひトライしてもらいたいパーツだな、というところでレビューをまとめたいと思います。

YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MXシリーズ】 MX366
YSS ワイエスエス/MONO LINE リアシングルショック 【MXシリーズ】 MX366 YZF-R25





【取り付け方法】

さて、ここからは同じくYSSのMX366を買ったor買う一歩手前の同志のための取り付けレポート。
というのも、このサスペンション、どこにも別体タンクの車体への取り付け方法が書いていません

はい、どこにもです。
付属の説明書にすら書いておらず、ネットには画像もレポートもなく、ただ謎のステーがゴロリと同封されているだけ。
私も最初は「これでいいのか…?」とさんざネットを探してから作業しましたので、そういう方の参考になれば。

ではまず、リアサスの交換方法から。
まずサスペンションを交換するためには、当然純正のリアサスを外さねばなりませんが…これがどうすればいいか分かりにくい。いや、基本は取り付けボルトを緩めるだけなんですが、ツールパス(工具の差込方)が一見して分かりにくい。
というわけで手順を踏みます。


① サイドパネルを外す


サイドパネルというのは、この赤◯で囲ったカバーのことです。
こいつは黄◯で囲んだネジ2本と、裏側のグロメット(ゴムの輪)への差込2点の計4点で固定されています。
BlogPaint

ネジを外したら、あとはグロメットでの取付点付近を思い切って引っ張りましょう。スポン、と抜けるはず。
カバーを外すと…おわかりでしょうか、リアサスが見えるようになりますね(交換後の画像でスミマセン)
DSC_0005~04

これで、リアサスの上側取り付けボルトにアクセスできるようになりました。


② マッドガードを外す

次に、リアサスの下側ボルトへのアクセスを邪魔するマッドガードを外します。
BlogPaint

マッドガードはリアサスの真後ろにある赤◯の部品です。
リアサス側からツールを差し入れてやればボルトが2本ありますので、これを外せばOK。


③ リアサスの上下ボルトを緩める

いよいよリアサスのボルトを緩めます。スイングアームとの下側の締結、フレームとの上側の締結をそれぞれ緩めます。指定トルクは58Nmなのでかなり固いですが、頑張って回しましょう(ハンドルスピナーとエクステンションを使うと楽かと思います)。

…が、決してまだボルトを抜いてはいけません
今のままではリアサスは車重で縮んだままになっています。当然、ボルトは非常に抜けにくいですし、ムリに抜けばボルトのネジ山を傷つけます。そもそもリアサスを抜いたら、バイクは後輪への荷重を支えられなくなるので大変危険です。


④ リアサスの荷重を抜く

というわけで、車体を軽く持ち上げて、リアサスに荷重がかかっていない状態にしてから(=リアサスが自然長になってから)作業をします。
オススメはジャッキを使う方法です。

パンタグラフジャッキなら、だいたいの車のトランクに非常時のタイヤ交換用のが1個入っているはずです。
それもなければ、ホームセンターで木材を適当な長さにカットしてきて使うとかですが…素直にジャッキを買うのをおすすめします。
KTC ケイティーシー/パンタグラフジャッキ ハンドル付
KTC ケイティーシー/パンタグラフジャッキ ハンドル付


さて、このジャッキでどうやってバイクを持ち上げるかといいますと…。

1.まずバイクにサイドスタンドをかけます
2.安全のため、フロントブレーキをタイラップ等で握りっぱなしにします
3.できればサイドスタンドも跳ね上がらないように紐なりたいラップで固定します
4.車体の下にジャッキを置いて、クランクケースの下側をジャッキで押し上げます

DSC_0004~05
こんな具合です。ジャッキで直接だとクランクケースが傷つくので、厚手の布か木板を挟むとよいでしょう。

こうすると、サイドスタンドとジャッキ、フロントホイールの3点でバイクが支えられて後輪が持ち上がります。

DSC_0005~05
分かりにくいですが、リアタイヤが浮いて下に隙間が出来ています(厚手のビニール袋が入る程度)。

ちょうどこの写真ぐらい、タイヤが浮くか浮かないかぐらいだと、ちょうどリアサスの荷重が抜けて、伸びも縮みもしていないところです。このタイミングでボルトを押すとすんなり抜けるはずです。


⑤ 元のリアサスを取り外す


⑥ 新しいリアサスを取り付ける

ちなみにこの時ですが、別体タンクにつながるホースは前側から出しましょう。後ろ側からだとフレームと干渉します。
またもう一つ注意点としては、リアサスの取り付けボルトは緩むと非常に危険なのでしっかりトルクをかけましょう。また取付時はグリス塗布が指定されていますので、リチウムグリスをねじ山に塗って締めましょう(これをしないと実質的な締結力が弱くなります)。


⑦ 別体タンクの固定

まずは付属のステーに割締めでタンクを固定。そしてこのステーを車体にどう固定するか、という話になりますが…。

DSC_0003~06

とはいえおそらく選択肢はほぼタンデムフットレストと共締めしかないでしょう。
ただここで問題なのは、付属のステーが明らかにネジ1本でしか留められない構造だということ…(上の写真を見れば分かると思いますが)。ネジ2本で固定されているタンデムフットレストに共締めすると、フットレストが片側だけ浮いてしまい危険です。

この場合、タンデムフットレストを片側だけ外してしまってOKならば、このタンク&ステーだけをネジでフットレストのネジ穴に固定してしまえばOKです。
(ただし逆側のフットレストはマフラーのステーを兼ねているため外せません…)

とはいえ、片側だけフットレストがないと見た目が締まらないし、第一ただでさえ少ないR3/R25のフックを引っ掛けるポイントが減ってしまいます(笑)

というわけで、ステーを共締めするのと逆側の方に同じ程度の板厚のワッシャーを噛ませましょう。
ステーのブラケットの板厚は約4mm、固定のボルトはM8なのでM8の外形15-16mm程度、厚さ2mmのワッシャーを2枚噛ますのがベストでしょう。
DSC_0002~06

ちなみに私の場合、既にこのタンデムフットレストにKIJIMAのヘルメットロックを共締めしておりまして(↓見ての通りタンデムフットレストと前後2箇所で共締め)、するとなんと…ボルトの長さが足りない…
KIJIMA キジマ/ヘルメットロック
KIJIMA キジマ/ヘルメットロック YZF-R25


とはいえこのメットロックは便利なので外したくない…となると、ボルトを長くするしかありません。
同じくM8で長さ首下40mm(元は35mm)のボルトを探し、購入。
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DSC_0005~07

ネジ長さが+5mm、厚さが+4mmなのでちょうどよい長さ。

DSC_0004~06
というわけで、無事タンクの取り付けも終了!

取付作業自体は、迷わずにスムーズに行けば30分程度で終わるでしょう。
ずいぶん記事が長くなってしまいましたがお疲れ様でした。


【蛇足】

ちなみに、これだけリアサスを褒めそやした後でいうのもなんですが…。
「リアサス変えたし…せっかくだからフロントも変えよっか♪」と、フロントサスもいじってしまいました(ォィ

こっちらの方も後ほど記事にしますので、よければご一読ください。
リアサスに負けず劣らずオススメのカスタムですよ。



【オークションのお知らせ】
YZF-R3を乗り換えたので、取り付けていたこのリアショックをYahoo!オークションに出品しています。
興味のある方はぜひご覧ください。

YSS MX366 別体タンク式リアショック

HyperPro フロントフォーク スプリング

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