【前置き】

AI/AISキャンセルというのは時々聞かれるカスタムですが、これは一体なんなのか?というと意外とわかっている人は少ないのではないでしょうか。

AIまたはAISというのは、Air Induction Systemのことで、簡単に言えばエンジンから出てきた高温の排ガスに新鮮な空気を吹き込むことで燃え残りのガソリンも燃やしてクリーンにしよう、という環境規制対策のシステムです。
まあ分かりやすく言えば、アフターファイヤを意図的に起こしているといえばよいでしょうか(燃え残りのガスが微量なので派手な燃焼にはなりませんし、厳密には違いますが)。


このAIS、今の話を聞けば分かるように環境負荷の点を除けばユーザーにメリットはさしてありません。かといって別にデメリットもなく、本来はエキゾーストやマフラーを変更した際に、吸排気バランスが崩れることにより多発するアフターファイヤを防止するためのカスタムだそうです。
…と思いきや、聞くところによれば「AIキャンセルをするとエンジンブレーキが弱くなる」という話が。

これはR3の低回転での不自然なエンブレの強さに不満を持っていた私には朗報。
とはいえ本当にエンブレが弱まるのか?それこそプラシーボではないのか?そもそもエキゾーストにO2センサがあるのにFIのシステムに悪影響はないのか?
しかしエンブレが自然になるというのは事実魅力的…

悩んでも仕方ないし、モノとしては結構安い(2000円そこら)なので、物は試しとやってみました。

K-FACTORY Kファクトリー ケイファクトリー/2次エアーキャンセルプラグセット
K-FACTORY Kファクトリー ケイファクトリー/2次エアーキャンセルプラグセット YZF-R25



以下取り付け方法とインプレです。



【取り付け】

まあこれはシンプルと言えばシンプル、AISの配管を引き出してそこに先程のキットで栓をするだけです。
とはいえこのAISにアクセスするためには、R3のカウルを結構なところまで外さねばなりません。頑張っていきましょう。

まずはサイドパネルフロントパネルを外します。
こちらについてはR3/R25のロングスクリーンの記事を参照。

続けてライダーシートを外します。タンデムシートを外した後、シート後ろのタンデムシートとの間にあるカバーを外せばライダーシートを固定しているネジが見えるので外せばOK。

その上で、AISにアクセスできるように燃料タンクを外します
そのために燃料タンクを覆っている左右のタンクカバーと、次いで上のタンクカバーを外します(写真取ってないしネジ外すだけなので省略)。
その上で燃料ホースを外してやればタンクを取ることができます。

そうすれば車体右側のエンジン脇に、AISのエアカットオフバルブ↓が見えるはず。
(ちなみに写真撮影時は、車体横のカウルを外してアクセスしました。本来の方法ではないですがこれでもアクセスできます)

DSC_0022~03

あとは説明書に従って、ホースを抜いて詰め物をして終わり!



【インプレ】

いやいや、作業はちょっとめんどくさかったけど、流石にこんな子供だましでエンブレが変わるわけが…。

あ、変わったわ。

これは確かにプラシーボでなくエンブレの感覚が変わります。
なんというか、個人的な感覚は入りますが「自然な感覚のエンブレ」になります。
純正状態の、3500rpmぐらいから下で急激に効き始めるつんのめるようなエンブレではなく、回転数に比例して制動力のかかる感じがします。

街乗りの時はもちろん、低速での取り回しの時のスロットルオフ時にバランスを崩しにくくなったり、比較的低回転でスポーツ走行をしてる時に無用なエンブレが効いてくる煩わしさがなくなり、走行感は中々に良くなりました

これで2000-3000円ぐらいなら個人的には大満足です。
心配していたエキゾーストのO2センサによる影響も、500km程度走ってみましたが特になし。
純正のエンブレの感覚が好きじゃない方は試してみてはいかがでしょうか。

K-FACTORY Kファクトリー ケイファクトリー/2次エアーキャンセルプラグセット
K-FACTORY Kファクトリー ケイファクトリー/2次エアーキャンセルプラグセット YZF-R25
 




【蛇足:なぜエンブレが弱くなるのか?の考察】

まずAISの動作について整理します。
まず、AISが働くのはエキゾースト内です。正確にはエキゾーストバルブから排気が出た直後、バルブが閉鎖されたタイミングで新気を導入し、燃料させつつ排気しているという具合でしょう。
ということは、AISが動作するとエキゾースト内で新たに燃焼が起こった結果、排気の圧力(静圧)・温度が上昇するはずです。

エキゾースト内の静圧が上がるということは、排気抵抗が上昇するということ。
これはひいてはエンジンが排気行程に入る際にピストンを押し上げるのに必要な力=エンジンの抵抗=エンブレが強くなるという形で現れると推測できます。

つまりAISが動作するとエンブレが強くなるというのは、エキゾースト内で静圧が上昇することが原因だろうと考えられます。


しかしそうなると、エンブレが強くなる低回転でしかAISは動作していないということになります。
実はこれを裏付けるのが、本来AISはアイドリング付近の排ガス浄化しかできないシステムであるという話(参照:二次空気導入装置:吸引式 - Wikipedia)。
事実、考えてみればそもそもR3/R25にかぎらずAISは新気導入のための積極的な負圧を持たず、よって排気脈動による負圧が生じる低回転付近でしか動作しないと考えられます。

ここからは想像ですが、ヤマハのAISのエアカットオフバルブ(空気のオンオフを切り替える弁)にはカプラが刺さっており、なんらかの電子的な制御でオンオフを切り替えている=AISのオンオフを切り替えているようです(おそらく安定的な動作のため)。
このオンオフのトリガが、アイドリングないし減速時の3500rpm以下という負圧が生じやすい(と思われる)タイミングに設定されており、その結果このタイミングでAISが動作しエンブレが急激に効いてくるという現象が起こっているのではないでしょうか。


大分見えてきたように思えますね。
まあそうなると、AISを塞いでキャンセルしてしまえば、エキゾースト内での燃焼による静圧の上昇はなくなる=エンブレが段付きで効かなくなるというのは筋が通っているかな、と言う感じです。

…ちなみにこの推理が正しいとすれば、エアカットオフバルブについているカプラを外せば、エアカットオフバルブのソレノイドバルブ(電磁弁)が動作しなくなります。
もしこのソレノイドバルブが常時閉(通電無しの際は閉じている)タイプであればカプラを抜くだけでAISキャンセルと同じ効果を得られる可能性がありますね。

まあ推測に推測を重ねた結論なので正しいかは分かりませんが、ぜひ誰かにトライしてもらいたいところです。
(もしこのブログを見てトライした方、ぜひ結果をコメントいただければ嬉しいです)


以上、蛇足でした。