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昔の話だが、個人の名誉にかかわることなので事実関係を整理しておく。朝日新聞の「パノプティコン」記事にコメントした石田英敬氏(東大情報学環教授)は、私がそれを揶揄したのに反論(?)して、次のように書いている。
3) 「石田は自分で立花隆に「私は元革マルで友達が殺された」と語っている。これが朝日新聞の「パノプティコン」のネタ元。|石田英敬 blog 立花隆『読書脳:ぼくの深読み300冊の記録』巻頭対談 ow.ly/R27U30aXgAN」」

4)「このときは石田が被害者だが、当時は革マルも「党派闘争で中核を殲滅する」と公言していた。彼が「日本にいられなくなった」のもそれが原因だが、自分のブログに書いて何も反省していない。2人殺されたのは大事件だったので、東大が彼を採用するときも前歴は知っていたはずだ。」(以上は池田のツイートから引用)
ずいぶんずさんな引用で、上記3)の引用符に囲まれた言葉は、私のブログにも、言及している立花隆の本のなかにも、どこにも存在しないフェイク引用である。

上記4)の一節は、石田は加害者でもあったはずだ、「それが原因」で「日本にいられなくなった」と推論しているようなのだが、何が根拠なのだろうか。(略)断っておくが、私も、殺された私の友人たちも内ゲバに加わったり手を貸したことは一度もない。(強調は原文)
これは何に反論しているのだろうか。彼は「ずさんな引用」とか「フェイク引用」だというが、事実は否定していない。「内ゲバに加わったり手を貸したことは一度もない」というが、私は彼が「内ゲバに加わった」とも「手を貸した」とも書いていない。「元革マルで友達が殺された」というのは、フェイクではなく事実である。

殺された四宮と富山は引っ越しを手伝っただけで、革マルとは無関係だった。襲撃されたのは石田氏が革マル派だったからで、当時もそう報道された。立花隆『中核vs革マル』にはこう書かれている。
革マル派活動家石田君が、最近中核派に狙われているらしいと気づき、住所を変えようとしていた。この日、三人の友人に手伝ってもらって朝から引越し作業をしていた。(略)石田君は二階から飛び降りて夢中で逃げ、引っ越しの手伝いにきていたもう一人の友人も逃げたが、富山隆君は逃げる途中でころんでしまった。そこを囲まれてバール、鉄パイプでメッタ打ちにされた。また、二階にいた四宮俊治君も逃げられないでいる所を踏みこまれ、これまたメッタ打ち。(Wikipedia、強調は引用者)
彼は立花氏との対談で、「私は一九七二年に東大に入ったんですが、立花さんはよくご存じのように、その頃は学生運動がどんどん暴力的になって、対立するグループの抗争が激しくなった頃でした。実は、立花さんの『中核vs.革マル』に私の名前が出てくるんですよ」と事実関係を認めている。

つまり「革マル派活動家石田君」とは、石田英敬氏のことである。革マルが「党派闘争で中核を殲滅する」と宣言していたことは事実であり、中核派と殺し合っていた。たとえ自分で手を下していなくても、石田氏は加害者たる革マル派の活動家だったのだから責任は重い。彼は自分の極左暴力集団としての活動をどう総括しているのか。

彼が学生時代に革マルの活動家だったことを、今さらあげつらうつもりはない。元極左の大学教師なんかいくらでもいる。問題は彼がその前歴を隠して「無益な受難性」などと被害者を装い、それを指摘した私を逆に攻撃していることだ。彼は今も山口二郎氏などと一緒に反政府活動を続けているが、こんな人物がフーコーの訳者では、日本で彼が理解されず、朝日新聞のようなトンチンカンな見出しをつけるのもしょうがない。