政治家や官僚の言い回しには独特のものがあって、わかりにくいものです。とくに、解散や政府内人事といった政局にかんするものは、片言隻句から新聞などが絵解きをしてくれて、そういう意味なのか、とわかった気になってきました。そこに、メディアの存在意義はあったと、すくなくとも私にとってはあったと思います。ですから、メディアがことがらをねじ曲げて伝えたとしたら、私のような政治の門外漢はたあいなく間違った認識を持たされかねません。

共産党の赤嶺議員が、イラク自衛隊派遣について、鳩山内閣の考え方をただす質問主意書を出しました。それにたいする政府の答弁書が出て、一部で物議を醸しています。その筆頭が、赤嶺議員の所属する党派が出している「しんぶん赤旗」で、「イラク派兵 鳩山内閣が正当化 戦争支持の検証棚上げ 赤嶺議員に答弁書 野党時の主張翻す」と、かなりセンセーショナルに伝えています(記事はこちら)。 

「戦争支持の検証棚上げ」というのは外れてはいません。答弁書は「将来の課題」と言っていますが、これは「今すぐやる気はありません」ということでしょうから。

けれど、「イラク派兵を正当化」というのは、答弁書のどこをどう読んでも出てきません。この答弁書、まさに木で鼻をくくるの類の、何も言ってないに等しいものです。「イラク攻撃は、国連決議でOKになったと、当時の政府は考えていました」と忖度(そんたく)したり、「自衛隊の活動が非戦闘地域なら違憲ではないでしょう」と論評したり。終始、他人事(ひとごと)です。議員は、鳩山政権はどう考えるかを訊ねているのです。当時の政府の考え方など、訊いてはいません。そして、名古屋違憲判決で、当時バグダッド空港が非戦闘地域だったなんてとんでもないと断定され、「非戦闘地域なら」という前提は崩れています。

後者についての答弁書の件(くだり)を引用します。

「同法第八条第三項に規定する実施区域が、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域であるなど、同法の規定に従って行われるものである限りにおいては、違憲となるとは考えていない。」

こうした文章の「くせ」は知りませんが、「行われるものである限りにおいては」というのは、事実ではなく一般論としての前提に読めます。事実なら、「行われたものである限りにおいては」と、過去形にするのではないでしょうか(まあ、悪文ですけど)。過去形で事実を述べ、それは違憲ではないと締めくくれば、自衛隊のイラク派兵という過去の事実を合憲として追認していることになりますが、そうではない以上、鳩山政権はイラク派兵を正当化していると断定するのは勇み足です。なのに、見出して「正当化」と謳(うた)うのは、赤旗のミスリード、感情的な反撥を見込んだミスリードであって、ポピュリズムの手法だと思います。

でも、今すぐ検証するつもりはないというのは、先に書いたように、赤旗の言うとおりです。政権が変わったのだから検証は容易だし、野党時代にあれだけ反対したことを市民は忘れている、などと高をくくらないほうが、政権のためだと、私は思います。

名古屋での3月20日の集会で配布された質問主意書と答弁書のコピーです。クリックしてじっくりお読みください。そして、鳩山政権はイラク派兵を正当化したかどうか、ご判断ください。


_100319主意書/答弁書



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