準備は02年からですから、用意周到に進めてきたものです。

東京都は、1100棟のおおきなオフィスビルと300カ所のおおきな工場に、02年から07年まで毎年、CO2の排出量と削減計画を出すよう求め、このたびそれをふまえて排出枠を割り当てたのです。そして、排出量を20年までに17%削減する義務を課しました。達成できなければ、その分の1.3倍の排出枠を、達成してあまっているところから買わされる、それをしないと罰金50万円を払ったうえに事業所名が満天下に公表されるというきびしい制度が、4月1日、東京でスタートしました。

上限を決める(キャップ)、義務や罰を科す。この2つがそろって初めて、キャップ・アンド・トレードというCO2排出権取引制度は機能します。トレード(取引)、つまりお金で片をつけるだけではだめで、本気でCO2を減らすつもりなら、キャップ(排出枠)が重要なのです。

国もこのあいだ、地球温暖化対策基本法案をまとめましたが、そちらは「総量規制を基本としつつ」と言いながら、「原単位方式」も加味するかも知れないという、いいかげんなものです。総量規制は、事業所ごとに排出枠を割り当てる東京都のやり方で、確実にCO2を減らすことが見込まれます。それにたいし、原単位方式は、たとえば車1台つくることで出るCO2に上限枠を設けるものです。そうすると、生産台数が増えれば、総量としてCO2排出が増えてもかまわないことになり、排出量規制としては大甘なものです。

経営側も労組も、挙げて民主党についているというのは、こういうばあい困ったものだと思います。とくに、経済成長期からCO2を盛大に排出してきた産業分野の大企業では、経営への負担がおおきいとか、雇用や賃金が心配だとか言って、労資どちらも総量規制には大反対なのですから。それを押して、とにもかくにも「総量規制を基本としつつ」と、総量規制に重点を置いた基本法案ができたことには、これではCO2の25%削減なんて夢のまた夢とは思いますが、それでも、やはり旧政権とはひと味もふた味も違う新政権の気概と努力を感じます。

東京の話に戻ります。対象となる施設から出されるCO2は、都全体の排出量の20%ですから、この新制度がうまくいくと、20年には東京から排出されるCO2が3〜4%カットできることになります。

東京は国を尻目に、CO2カットの王道を行くのです。かっこいい! 国の基本法案にちょっともやもやしていたので、すかっとしました。石原サンは、オリンピック誘致やら築地移転やら漫画やアニメのキャラクターの素行監視(!)をもくろむやら、とんでもないことをいろいろやってくれますが、これは快挙です。すなおに拍手です。大きなオフィスビルや工場で働くみなさん、たいへんでしょうが、この世界でも第3番目に導入される制度に、誇りをもってチャレンジしてください。応援しています。

このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote