おとといの深夜、NHKの閣僚記者会見を流しながら仕事をしていました(政府インターネットテレビの番組はこちら)。各閣僚にほぼ共通して投げかけられた質問は、「政治と金」でした。それぞれの答は、鳩山さんではなく小沢さんとの距離を陰に陽に表現していて、さても権力闘争とはすさまじいものだ、と思いました。

いっぽうで、普天間基地問題は閣僚のほうから触れられる、それも鳩山内閣頓挫のもうひとつの原因として、枕詞のように触れられるのがせいぜいでした。担当大臣のひとり、前原さんが典型的で、「政治と金」は終止符が打たれた、普天間は前内閣の方針に間違いはない、という論調でした。「沖縄の負担軽減」がお体裁のように付け加えられるのも共通していました。そこには「国外、最低でも県外」と言った鳩山さんも、県民大会を重視し、県内たらい回しでは「選挙にならない」と、渋い顔をますます渋くしていた小沢さんも表舞台から退場し、これからは日米合意を絶対的なものだと安んじてアナウンスすればいいのだとの安堵感、一件落着感が漂っていました。

マスメディアにしても、このところ沖縄の米軍基地問題をとりあげていたのは、沖縄のことをすべての人が真剣に考えるべきだと受けとめてのことではなく、鳩山政権を追い詰めることが目的だったのだ、鳩山さんが退陣した今は、もう報道価値がないのだと、苦い思いを噛みしめました。

けれど、これで終わったと思ったら大間違いです。閣僚のみなさんは、沖縄の人びとに説明する、納得してもらうとしか言いません。説明で納得するくらいなら、もうとっくにそうしているということが、なぜわからないのでしょう。今や、宜野湾や名護の市民だけでなく、沖縄の圧倒的多数の市民が、さらには全国の心あるおびただしい市民が、沖縄に米軍基地があり続けることに納得できないと、はっきりと言っているのです。8月までに、辺野古のどこにどんな方法でつくるのかを詰める作業が控えていますか、政府が何を言い出そうが猛反発をくらうこと、火を見るより明らかです。

ところで、菅さんは社民連時代の80年代、石垣島新空港建設にたいして、白保の珊瑚礁を守る立場から反対運動に加わっていました。菅さんは、スキューバダイビングが趣味なのです。だったら、辺野古の珊瑚礁を台無しにする総理にはなれないと思うのですが、いかがでしょうか。

市民派で政策通で、出処進退や攻め時攻めどころの見極めに鋭い勘をもちあわせ、なにより官僚との対決も厭わないといった評判の菅さんですが、財務相時代は、うつむいて官僚が書いたペーパーを棒読みする姿ばかりが目立ちました。野党時代のあの舌鋒鋭くまくしたてた菅直人はどこへ行ったのか、と思わざるを得ませんでした。

その謎の答は、今年1月26日の国会答弁にあります。子ども手当にまつわる消費性向と乗数効果を質問されて、立ち往生してしまったのです。官僚が、参考資料をつくらなかったのです。官僚の典型的なサボタージュです。財務大臣がこれしきの質問に答えられないというのは、たしかに問題ではありましょう。けれど、自分たちが仕える大臣の、経済理論にかんする認識に弱点があると察知したら、フォローするのが官僚の仕事です。それをあえてさぼった。財務大臣になって19日目、菅さんは衆人環視のなかで恥をかかされ、それ以来、官僚のペーパーをひたすら読み上げるようになりました。ほかのいろんなことでも、財務官僚の言いなりになってしまったのではないでしょうか。

財務省は今、自分たちが牛耳ることに成功した元大臣が総理大臣になったのですから、笑いが止まらないでしょう。これで、菅内閣のもとで悲願の税制改革(消費税率上げ)ができるのです。以下に問題の答弁映像を引用するのは、菅さんには申し訳ないけれど、役人はこういうことをするということを忘れないため、ただでさえ見えにくい官僚組織の動きに、今後私たち市民が少しでも監視の目を光らせることができるようになるためです。そして、これから菅さんが官僚の旧体質とたたかいつつ、本来の公僕としてその力を発揮してもらおうとするなら、それにかんしては応援を惜しまないと申し添えておきます。

でも、しつこいようですが、沖縄の米軍基地問題は別です。菅さんは、総理就任記者会見でニコニコ動画の記者さんの質問に答えて、「奇兵隊内閣」と言いました(首相官邸サイトの動画はこちら)。kiheitai の最初の i(アイ)が ai(アイ)になったら怖いと思いました。なにしろ「海兵隊内閣」ですから!




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