5月3日、山下俊一・長崎大学教授は、福島の二本松で住民に向けて講演しました。その、主に質疑応答から教授の発言を抜き出し、論理の流れに沿って語句を補いながら組み立てたのが以下の文章です。福島県立医科大学の入学式での記念講演(記事はこちらからも引用しました。私のでっち上げだと思われるなら、文末にその時の動画を載せましたので、あとでご覧になって確かめてください。教授が言いたかったことを論理立てて並べるとこうなると、私は思います。

ようするに、教授は非常時における国民の受忍義務を説いているのです。この論理、どこかで聞いたような気が……そうだ、311の3日前に参加した、東京大空襲集団訴訟の集会で、生き残った高齢の原告の方がたが涙ながらにおっしゃっていたのが、裁判所から冷たく言い放たれた、この国民の受忍義務なのでした。


「今は非常事態なのです。みなさんの暮らしているところには放射性物質が降りそそぎました。みなさんの町は汚染されています。でも、みなさんはここにこれからもずっと住み続けるしかありません。ほかに選択肢はないのです。逃げられないのなら、ここで道を切り開いていくしかありません。

私は福島県から、放射線健康リスク管理アドバイザーに任命されました。みなさんが放射線とどのようにつきあっていけばいいかを助言するのが役目です。結論を言うと、どうぞ安心して、安全だと思って日常生活を送ってください。10マイクロシーベルト時なら布団を干してもだいじょうぶです。お子さんを砂場で遊ばせてください。私の孫も遊ばせろとおっしゃるなら、それでみなさんが信じてくださるなら、おやすいご用です。マスクも必要ありません。あんなものは気休めです。

なぜなら、国が年20ミリシーベルトと基準を定めたからです。私には、日本国民として、国の指針に従う義務があります。みなさんにもあります。私は、個人的には100ミリシーベルトでもだいじょうぶだと思っています。なぜなら、それ以下の被曝の発ガンリスクは、科学的には証明されていないからです。でも、国は年20ミリシーベルトと決めました。ですから、100ミリシーベルトでも安全だなどと言うと、私は文科省から指導を受けることになるでしょうが、甘んじて受けるつもりです。

放射能汚染地区に住み続けなければならないのは、みなさんだけではありません。広島でも長崎でもそうでした。私の親も長崎で汚染された水を飲み、戦後復興に尽力したのです。チェルノブイリでも、550万人がそういう状況で生活しています。チェルノブイリでは、原発事故の影響だとはっきりと証明できているのは、ヨウ素による子どもの甲状腺ガンだけです。ほかの病気の原発事故との因果関係は、証明されていないのです。

みなさんは、将来子どもの体に影響が出るのではないか、と心配しています。けれど、将来のことは誰にも分かりません。神のみぞ知るなのですから、今イエスかノーか答えよ、と私に言われても困ります。子どもは安全だということに私の首を賭けろと言うなら賭けます。もっとも、安全かどうかわかる頃には、私は死んでいますけれど。

健康への影響をつきとめるには、膨大な数の疫学調査がいります。病気が放射線のせいかどうかを調査するには、みなさん福島県民全員の何十年にもわたる協力が必要なのです。6日に、私はこちらの県立医科大学の入学式で記念講演をしますが、「この大学で学ぶ君たちは、放射線について世界一の学識を身につけ、医療の現場で実践してほしい」という話をしようと思っています。

土壌への累積についてですが、たしかに文科省は過去の積算を出していません。けれど、3月12日から月末までのデータもそのうち出ると思います。それを踏まえて、20ミリシーベルトが安全か安全でないかが議論され、いずれ教育委員会や県、国が回答すると思いますので、それまでしばらくの間お待ちいただきたいと思います。

とにかく、国民には国の指針に従う義務があります。みなさんにおかれては、不安を持って将来を悲観するのではなく、安心してここで今までどおり生活していただきたい。私がここに来たのは、みなさんやみなさんの子どもたちが安全かどうかをお伝えするためではありません。そうではなく、国民の義務として国の方針に従って安心すべきである、ということをお話しするのが、私の目的なのです」(拍手)

山下俊一氏講演(5月3日・二本松市)【後半/質疑】



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