全31条もある第3章「人びとの権利と義務」もこれで終わりです。

第38条は、打ちこみながらため息が出ました。これらの憲法上の重い取り決めを、捜査機関は、裁判所は、国ははたして守っているでしょうか。

長期の拘束は、拷問に等しいとみなされ、そこで得られた自白は証拠にはならない、ということを厳密に解釈すれば、いったいいくつの裁判がやりなおしを余儀なくされるでしょう。自白だけ有罪にしてはならない、ということは、物証がなければならない、ということです。言うまでもないことですが、状況証拠も物証ではありません。なのに、状況証拠がなんと幅をきかせていることか。

裁判所に期待がもてない国に、希望はありません。


第38章
だれも、自分につごうの悪いことを
むりに言わせられてはなりません。

強いられたり、拷問されたり、脅されたりして言ったことや、
長いあいだ逮捕されたり
拘束されたりしたあげくに言ったことは、
証拠としてみとめてはなりません。

自分にとって不利な証拠が、本人の自白しかないときは、
有罪とされたり、罰をうけたりすることが
あってはなりません。

第39条
それが行われたときには法にかなっていたり、
罪ではなかったことで、
刑事上の責任を問われることはありません。
ひとつの犯罪で2度、処罰してはなりません。

第40条
逮捕されたり拘束されたりしてから、
無罪ということになったら、
国にたいして埋めあわせをもとめる訴えを
おこすことができます。



やさしいことばで日本国憲法          (マガジンハウス刊) 
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