いよいよ憲法も最終章になりました。第10章「最高法規」です。

ぜひ熟読吟味していただきたいと思います。なぜなら、第97条を、自民党改憲案はさっくり削っているのです。

この条項に、いったいどんな不都合があるのでしょう。人類が長い歴史の中で基本的人権をかちとってきた、というのがよくないのでしょうか。だったら、人権は外からの借り物ということになってしまうから? すべては自前のものということにしたいから? だとしたら、なんて料簡が狭いのでしょう。そう言うのなら、世界のすべての憲法に書かれている人権は、借り物です。借り物のどこがいけないのでしょう。わたしはむしろ、悠久の人類史という潮に浮かぶ船に、胸を張って乗り合わせている晴れがましさを覚えます。

ところで、第97条には、人権は人類の共有財なのだから、憲法に書かれている人権は、それを拡充するのなら変えてもいいけれど、制限する改憲はしてはいけない、という意味があります。自民党改憲案を書いた人びとは、そこが気に入らなかったのでしょうか。きっとそうです。自民党改憲案は、さんざん人権を制限する改悪をほどこしていますから、第97条はそれらの条文と矛盾します。削除するよりほかなかったのでしょう。


第97条
この憲法が日本の人びとに保障する、
基本的な人権は、
人類が自由をもとめ、
長いあいだ戦ってえた成果です。
いくたびとなく、きびしい試練をのりこえて、
ゆるぎないものであることを証(あか)された成果です。
この基本的な人権が、
永久に侵してはならないものとして、
今と未来の世代の人びとにゆだねられます。

第98条
この憲法は、この国の最高の法です。
法律や、法令や、詔勅や、そのほかの政府が決めたことは、
憲法の条項とあいいれなければ、
拘束力がなく、したがう義務はありません。
日本がむすぶ条約や、さだめられた国際法は、
誠実にまもられます。



やさしいことばで日本国憲法
           (マガジンハウス刊) 
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