普天間

「抑止はユクシ(嘘)」by琉球新報

「ほとんどの2月13日付新聞の1面トップはムバラク政権崩壊・大統領辞任の記事だったと思います。ところが沖縄の地元2紙はちがいました」──ブログ「地元紙で識るオキナワ」さんの2月14日のエントリの書き出しです(こちら)。この日、沖縄の2紙は、鳩山前首相のインタビューを1面トップにもってきたのでした。

最近、私は、政治家の言葉に向き合っていません。腹が立つばかりで、建設的なことがなにひとつ書けないからです。鳩山さんのインタビューにも脱力感を覚え、なにか言わなくてはと思うのですが、気が重くて、きょうまで放置していました。いまも気が重いことに変わりはありませんが、思い切って向き合うことにします。引用は、琉球新報「鳩山前首相一問一答 見通しなく『県外』発言」(2月13日付、
こちら)によります。

「民主党は沖縄ビジョンの中で、過重な基地負担を強いられている沖縄の現実を考えた時に、県民の苦しみを軽減するために党として『最低でも県外』と決めてきた。鳩山個人の考えで勝手に発言したというより党代表として党の基本的考えを大いなる期待感を持って申し上げた。見通しがあって発言したというより、しなければならないという使命感の中で申し上げた。」

「最低でも県外」は、鳩山さん個人の思いではなく、民主党の方針だったということが、まず確認されました。「しなければならないという使命感」、けっこうではありませんか。政治家なら、そうでなくてはなりません。ところが、これに続く「しっかりと詰めがあったわけではない」は、一言よけいというか、ふつう政治家は口が裂けても言わないたぐいの言葉ではないでしょうか。詰めがあったかなかったかなんて、たとえ訊かれたって答えなくていいのです。むしろ事前に詰めなんかなくたってかまわない、総理大臣というポジションに就いて初めて入手できる情報や人材を駆使して捜せばいいのです。この方、とことん正直というか、なんというか。

閣内が「県外」案で一致しなかったのは、「簡単じゃないとの思いから腰が引けた発想になった人も多かった。閣僚は今までの防衛、外務の発想があり、もともとの積み重ねの中で、国外は言うまでもなく県外も無理だという思いが政府内にまん延していたし、今でもしている。その発想に閣僚の考えが閉じ込められ」たのだそうです。「防衛、外務の発想」とは、「防衛、外務の官僚の発想」の意味であって、「その発想」とは「官僚の発想」でしょう。官僚が、大臣に個別にがんがんレクチャーした結果、大臣たちは簡単に「腰が引けた」わけです。これでは、政治家の存在意義が疑われます。官僚だけがいればいいということですから。

なんでそんな人を選んだのか、北澤防衛相は「防衛関係に安定した発想を持っているということだった。テーマを決めてそのための大臣だという前に、リストを決めてその中で一番ふさわしい人という形で当てはめていった」結果だというのです。「テーマ」とは、このばあい「国外、県外」実現だとしたら、そういうことは問わなかったし、任命時に「国外、県外に向けて働くように」と厳命をくだすこともしなかったのです。政治家としてどのような考えかではなく、ただ分野ごとに実力がありそうだったり、経験が豊富だったりする人を選んだわけで、これではいくら総理大臣がなにかを実現しようとしても、最初からむりというものです。

北澤サンは、「どこまで防衛省の考え方を超えられるか、新しい発想を主張していくかということが本当はもっと勝負だった気がする」とのことですから、鳩山さんの目からは、すぐに防衛官僚に籠絡されてしまったと見えていたのでしょう。岡田前外相は、「民主党が圧倒的な国民の支持を得て政権を中心的につくらせてもらったのだから、党のビジョンはしっかり打ち出すべきだと思った。一致して行動していただきたいという思いはあった」、つまり党首の言うことをぜんぜん聞かなかった、ということです。

そして極めつきは、やはり外交防衛官僚です。鳩山さんの「国外、県外」案という新しい発想を受け入れない土壌が「本当に強くあった。私のようなアイデアは一笑に付されていたところはあるのではないか。本当は私と一緒に移設問題を考えるべき防衛省、外務省が、実は米国との間のベース(県内移設)を大事にしたかった。官邸に両省の幹部2人ずつを呼んで、このメンバーで戦っていくから情報の機密性を大事にしようと言った翌日に、そのことが新聞記事になった。極めて切ない思いになった。誰を信じて議論を進めればいいんだと」

官僚組織がまったく言うことを聞かなかったのです。官僚たちの顔は、上司である総理大臣ではなく、アメリカに向いていた。アメリカこそが官僚たちの上司なわけです。鳩山さんは、5月の連休にオバマ大統領と直談判しようとしたけれど、それがつぶれたのも、お膳立てをすべき官僚組織が動かなかったからだし、官僚に入れ知恵された閣僚たちがてんでに足を引っぱったからでしょう。「密使」を置くことに失敗したのも、同様の理由でしょう。そして、首相のもとには岡本行男という買弁が何度も押しかけた。その手筈をととのえたのは、官僚でなくて誰だというのでしょう。

閣僚は腰が引けている、官僚はいっかな思い通りに動かず、冷笑的。これでは誰だって、「極めて切ない思いにな」るでしょう。でも、そこで突破口を見いだし、力技で道を切り開くのが政治家ではないでしょうか。それを、沖縄の人びとはじめ、政権交代を支持した人びとは期待したのではなかったでしょうか。「殺されたっていい」と言い放った首相もかつてはいたのです。「自分自身の力量が問われた」(この部分はウェブには出ていませんが、「地元紙で識るオキナワ」さんの紙面写真から読み取れます)、ようするに自分には力がなかったと認めたわけです。「極めて切ない」はこちらのセリフです。

私たちは、いったん国の舵取りを任せた人に、「相手は沖縄というより米国だった。最初から私自身が乗り込んでいかなきゃいけなかった。これしかあり得ないという押し込んでいく努力が必要だった」と、あとから反省されても困ります。「オバマ氏も今のままで落ち着かせるしか答えがないというぐらいに多分、(周囲から)インプットされている。日米双方が政治主導になっていなかった」と、官僚主導はおたがいさまみたいなことをおっしゃっていますが、オバマさんは外国の、海兵隊の一基地の問題なんて、さして関心がなかったのではないでしょうか。日本の首相の首が飛ぶほどの一大事だとの認識がなかったから、周囲にまかせっきりだったのだと、私は思います。

官僚は総理大臣を裏切り、忠誠など誓いませんでした。党幹部も閣僚の大部分も、党首の公約をなかったことにして、その手足となって働きはしませんでした。そんな連中は、即刻更迭すべきだったのではないでしょうか。そうすれば、アメリカに隷属するのではない、新しい、よりよい日米関係の始まりを思い描いていた人びとは、鳩山政権への支持をさらに強め、それが内閣や官僚組織を動かし、アメリカに対する外交力を強めたのではなかったでしょうか。鳩山さんという人は、そういう「冷酷な」ことのできない方なのですね。人がいいというのも、政治家、しかもその頂点に立つ総理大臣としては考えものです。

ここまで書いたら、がっくり疲れてしまいました。じつはこれは前置きです。正直な鳩山さんは、じつに重要なことを証言してしまいました。それはあしたに回します。

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「政治的無人島」

ほかのことを書く予定でしたが、急遽変更します。

嘉手納基地の滑走路を補修するために、1年半にわたって嘉手納所属機が普天間を使用するそうです。以前、普天間基地を閉鎖し、海兵隊を一時的に嘉手納に移す、という案が浮上していたことがあって、私も、ほんの短い間なら緊急避難として嘉手納周辺の方々にがまんしていただくのもひとつの考え方かもしれない、と思いました。ところが、森本ナントカさんだったか、岡本ナントカさんだったか、外務省関係者や当時の自公政権の人びとは、「嘉手納にいるのは空軍、普天間は海兵隊、空軍と海兵隊は伝統的に仲が悪いので、それは考えられない」と訳知り顔に一蹴していました。

嘘だったわけです。

世界一危険な、クリアゾーンもない、米国内法に照らせば違法の、日本の法律に照らしてもついこのあいだの騒音訴訟で違法とされた、沖縄の人びとは撤去しか要求していない普天間に、さらに多くの戦闘機が蝟集するのです。那覇空港も使うかもしれないのだそうです。その根拠が地位協定だというのなら、この決定は、地位協定の問題を強く、これ以上ないほど強く顕在化させるという、きわめて政治的な狙いをもっていることになります。米軍自体が、こちらが地位協定の見直しを迫らざるをえなくしているのだと受けとめるしかありません。そうでないのなら、あまりに政治的に愚かしいふるまいであるか、あるいはこちらをとことん馬鹿にしたふるまいです。どうせ日本のヘタレ政府は唯々諾々とのむに決まっている、沖縄の、日本の市民の反対など蟷螂(とうろう)の斧、いつものように無視すればいいのだ、と。

21日には、岩国所属機が鳥島にクラスター爆弾を落としました。日本はクラスター爆弾禁止条約締結国です。失礼ではありませんか。政府は厳重抗議すべきです。宮古島の平良港には、「親善友好」を掲げて掃海艇が入港し、グリーン在沖米総領事は「最近はソマリアや東シナ海、南シナ海、朝鮮半島で緊張が高まる中、航海自由の原則が大切だ」とぬけぬけとうそぶいて、「親善友好」なんて大ウソで、軍事的示威行動以外のなにものでもないと言い放ちました。なんとまあ、いけしゃあしゃあと。

「政治的無人島」、これは琉球新聞社説(9月23日)の表現です。主権者の民主主義的意志決定による統治が無効の島。中央政府が統治の意志を放棄している島。怒りが収まりません。以上、すべてはブログ「地元紙で識るオキナワ」さんの23日の記事で知りました。この日のブログに挙がっているすべての新聞記事を、どうかあなたもじっくり読んでください(
こちら)。

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ラム爺のなつかしい歌が聞こえる 米議会、軍事予算大幅カット

03年、ラムズフェルド米国防長官(当時)は、市街地の真ん中にある普天間飛行場を視察して、「こんなところで事故が起きない方が不思議だ」と言いました。当時は、「あのラムズフェルドですら」という受けとめ方が主流だったように思います。これ以降、普天間は「世界一危険な米軍基地」として、沖縄県外にもよりいっそう強く印象づけられるようになりました。

けれど、あれはむしろ「ラムズフェルドならでは」の発言だったのではないでしょうか。当時、ラムズフェルドが進めていた世界規模の米軍再編(トランスフォーメーション)は、装備をハイテク化し、海外展開の米軍を、即応力を残しつつ縮小し、できるだけ米本土に引き上げることをねらっていたはずです。ラムズフェルド国防長官は、国外基地を視察するたびに、ここは残すべきか、閉鎖するべきかを考えていたに違いありません。そうした目で見ればこそ、普天間のマイナス要素もおおきく映り、あの発言になったのではないでしょうか。あれは、徹頭徹尾、軍事的合理性に裏打ちされた発言です。なにも、ラムズフェルドさんが沖縄に理解をしめすような、人権と民主主義を重んじる政治家だからだったのではなかったと、私は思います。

米議会が、軍事予算を大幅カットしたそうです。沖縄の海兵隊のグワム移転費用も例外ではありません。後者だけをあげつらってあたふたする必要はなく、ラムズフェルドが打ち出したトランスフォーメーションが、その後の米経済の後退や、中国が安定した大国として台頭してきたことも相俟って、いよいよ現実味を帯びてきたと理解すべきでしょう。

沖縄にいる海兵隊は、第31遠征隊ですが、アメリカはこれを解体して米本土の遠征隊に吸収させるのではないかという話は、かなり前からありました。理由は、予算難です。アメリカは、世界展開させてしまった軍隊を維持するお金が、ついに底をついたのです。ローマ帝国は、帝国内にはりめぐらせた軍用道路であるローマ街道を経済的に維持できなくなって滅びましたが、アメリカは今まさにその轍を踏むかどうかの瀬戸際にあるのです。

沖縄の海兵隊をグワムに移転させるには、当初の費用でも足りず、つい最近、日本に増額を求めてきていたのに、アメリカ自体が負担する費用までが削られようとしているのです。第31遠征隊の解体は近いのではないでしょうか。それに抵抗しているのが、もちろん海兵隊、そして軍部ですが、それは将官のポストが減るからだそうです。どこかで聞いたような話です。

在日米軍基地は、抑止のためでもなんでもない、アメリカの軍人のポストのために必要とされているなんて、アメリカ議会すら、そんな無駄金使うわけいかないと言っているなんて、合理性など皆無のこの話、もういいかげん終わりにしたいものです。こちらはあわてず騒がず、新基地建設などのためにばたばたする必要はありません。そうではなく、宜野湾市長の伊波さんが、普天間基地を憲法違反として訴える、という考えを示されましたが、そういうことをやっていくべきだと思います。基地使用の差し止めなんていうのもいかがでしょうか。ラムズフェルドさんを環境破壊の廉で米本国で告訴したように、アメリカの基地の基準に照らして普天間は違法だと、アメリカで裁判を起こし、そちらでも基地使用差し止めをねらう、なんていうのも有効なのではないでしょうか。

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やっぱりガセネタ! 「米国防省が日米安保解消を研究というサンケイ情報」

4月23日にこの情報をお伝えしながら、なんだかアヤシイと思ってつらつら書き連ねました(こちら。それでも、素人の憶測だけでは安心できなかったので、軍事評論家の神浦元彰さんに質問しました。神浦さんは、メールでの質問にご自身のサイトでていねいに答えてくださるのです。そのお返事を以下に貼りつけます。神浦さん、沖縄の県民大会にお出かけになる前のご多忙の中、ありがとうございました。


とんでもないデタラメ情報です。ウソもウソ、よほど日米安保に偏見を持っている方の見方です。

日本とアメリカの同盟関係は、経済発展する中国を睨んだ太平洋の最重要軍事同盟です。アメリカが普天間飛行場の問題で破棄できるような同盟ではありません。

そのようなインチキを流す人がいるから、このHPの軍事情報が重要だと思います。

そんなデタラメで一番困るのはアメリカです。日本がアメリカと同盟関係を破棄すれば、中国と同盟を結ぶことは確実です。そんな悪夢をアメリカが許せる訳がありません。

これからは軍事同盟に限らず、他の分野でも日米関係は重要になります。日米が対等の関係で、より親密な同盟関係が必要になります。


この、「デタラメ情報」を報じた加藤昭サンというサンケイ系のジャーナリストは、「よほど日米安保に偏見を持っている方」だと、神浦さんは切って捨てます。どんな「偏見」なのかはおっしゃっていませんが、私は、加藤サンは旧政権と外務省が後生大事にしてきたかたちでの日米安保を至上のものとしていて、こちらがいささかでも逆らうとそれを解消されてしまう、そうしたら日本は滅びるしかない、と信じているか、あるいは信じているフリをしているので、こうした脅しをかけたのだ、と思うのですが、いかがでしょうか。

神浦さんのご意見では、日米安保はアメリカにとって欠くべからざるもので、普天間の一事でフイにできるものではない、ということのようです。私は、日米安保なんていいかげんやめてほしいのですが、それはさて措き、だったらこちらはアメリカに強気で出ることができる、ということです。

鳩山さんは、オバマさんに言えばいいのです。「普天間の代替地をほしいなんて、それも海兵隊が統合運用でき、しかも住民が受け入れ賛成の代替地を沖縄にほしいなんて無理難題をふっかけるのでしたら、SACOどころか、安保の見直しについてもお話し合いをさせていただかなければなりませんよ。沖縄に行ってきましたが、米軍基地にはお引き取り願いたいという沖縄の人びとの思いは固いと受けとめました」

そして鳩山さん、デリー持続可能な開発サミットでリーダーシップ賞を受けられたあなたが、米紙に「世界の政治指導者25人」に選ばれたあなたが、たかが在日米軍の一遠征軍の、もっとも小規模で、ローテーション部隊であるためにいつもはほとんど留守にしている一師団の一基地ごときの問題で総理の座を擲(なげう)ったら、あなたを選んだ私たち全員が世界の笑いものです。

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「普天間移設先は北マリアナが最適地と上院が可決」って、あなた!

きょうも、南風椎さんへのお返事が書けません。気持ちがぞわぞわしてしまっては、あの静謐なブログの主に向けて、ひとことも書けないのです。

ぞわぞわの理由は「世田谷通信」、「きっこのブログ」にときどき現れるニュース記事です。きっこさんのすばらしい情報網がとらえる内外のニュースには、いつも唖然呆然愕然とさせられます(きっこさん、「政権交代政権という卓袱台、ひっくり返していいの?」をツイッターで広めてくださってありがとうございました)。

おととい22日のニュースときのう23日のニュースにもびっくりしました。

北マリアナ連邦の上院が、米海兵隊基地の誘致に全会一致で賛成した、というのが、おとといの「世田谷通信」です。「上院」を、アメリカ合衆国の上院かと早とちりしたのは、きっこさんのいたずらに引っかかったのかも知れません。上院は9人、それが9人とも賛成したというのです。

これは政治家のみなさんの意思表示であって、市民のみなさんの意志はまた違うかも知れないということを踏まえた上でも、このニュースを「何故か中央のマスコミがまったく報じない」(きっこさん)のは、まさに「開いた口がふさがらないコイノボリ」(きっこさん)です。

沖縄タイムズと琉球新報はちゃんと伝えています(こちらこちら)。ところが、米海兵隊基地問題を考えるのに重要なこの情報を、中央メディアは提供していません。これでは、沖縄とそれ以外で、私たちの判断が食い違う虞(おそれ)があります。これは恐ろしいことです。決議は日米の政府に伝えるそうです。鳩山さんにはもう伝わっているのでしょうか。平野サン、まさか握りつぶしてなんかないでしょうね。

全文を貼りつけます。適宜、改行しました。


「普天間移設先は北マリアナが最適地と上院が可決」(世田谷通信)

サイパン島、ロタ島、テニアン島など14の島からなる北マリアナ連邦の上院議会は、16日、北マリアナを普天間飛行場の移設先の最適地として検討するように求める誘致決議を全会一致で可決した。

上院議会の決議の内容は、普天間飛行場と在沖米海兵隊の移転先について北マリアナを「最適地」とし、「移設を心から歓迎している」と強調している。「最適地」とする理由については、

(1)東南アジアにおける防衛戦略上、地理的に優位

(2)自然環境が豊かで近代施設、娯楽施設も提供でき、在沖米海兵隊員や家族の生活に適している

(3)テニアンは1999年、土地の3分の2を米国防総省と賃貸契約を結んでいる

(4)志願兵の割合が高いなど米軍に対する協力体制ができている、

などを挙げている。当初は上院と下院が同時に決議する予定であったが、下院議会の決議が27日に変更になったため、当初から北マリアナ移転案を主張して来た社民党の照屋寛徳議員(沖縄基地問題対策プロジェクトチーム座長)は、下院議会の決議後、官邸に対して北マリアナへの移設を本格的に検討するように重ねて求める方針。

照屋氏は「北マリアナの皆さんがテニアンへの移設を強く望んでいることの表明です。より現実的で実効性のある案として真摯に受け止め、政府は移設先として本格的に検討してほしい」と話した。(2010年4月22日)


つぎに、きのうの「世田谷通信」です。


米軍の準機関紙がテニアン移設案を好意的に報道」(世田谷通信)

米軍の準機関紙である「スター・アンド・ストライプス紙」が、21日付で、普天間飛行場のテニアン移設に好意的な内容の記事を掲載した。

記事では、初めに「日本ではすべての場所が海兵隊普天間飛行場の移設を受け入れられないと言っているが、テニアン島では議員らが誘致のための推進運動をしている」と書かれ、北マリアナ諸島の上院議会で「沖縄の米国海兵隊航空部隊の移転先としてテニアンが最善の場所である」という決議を全会一致で可決したことを報じている。

そして、テニアンの3分の2の土地がすでに米国防総省に賃貸されていることや、第二次世界大戦の時にテニアンがB29爆撃機の主要飛行場として利用されていたこと、海兵隊の司令部が置かれるグアムからわずか80マイルの距離であること、北マリアナ諸島の人々にとって海兵隊の誘致が大きな経済的利益につながることなどをあげている。

一方、日本国内に関しては、当初の案であった辺野古が住民の反対によって実現不可能になったことや、水面下での政府案とされていた徳之島も住民の反対によって実現不可能になったことなどから、日本国内で移設先を探すことは極めて難しくなったと書かれている。(2010年4月23日)


グワムからテニアンまで80マイルとありますが、これは130キロメートル弱です。アメリカ側が主張する、人員と輸送機は120キロ以内に位置しなければならない、という条件にぎりぎりで合致します。米海兵隊基地国外移設の、アメリカ側のお膳立てはもう整っている、ということです。

米軍に近い筋が、テニアンにすくなくとも拒否反応をしていないということを、私たちは知る必要があります。なにもあくせくして国内だ、県内だと、「移設先」を捜すことはないのかも知れないのですから。

基地受け入れ先探しより、地元の合意があり、人員と輸送機を近くに置ける基地の用地など、県内にも国内にもないのに、なぜアメリカはそういうことをこの期に及んで言ってくるのかを考えたほうが、実りあるかも知れません。なぜ無理を承知でそのような条件を出すのか、と。私は、アメリカは海兵隊基地を日本に置くことをとっくに諦めて、かわりにお金をせしめるつもりなのではないかと、勘ぐっています。

週末、国会議員のみなさんは、選挙区に帰って、国会報告会などを開くのですよね。その席で支持者に、米海兵隊基地を受け入れる可能性はあるかどうか、訊いてみてはいかがでしょう。そして週明け、その答を鳩山さんのところに集約するのです。結論は、「受け入れを容認するところはひとつもありません」でしょう。鳩山さんは、これを対米交渉を後押しする材料として、民主主義国の首相として、自信をもってオバマさんに伝えればいいと思います。「鋭意捜しましたが、わが国のどこにも、貴国が出した条件にみあう場所はありませんでした」と。


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鳩山さん、なぜ自分を追い詰める? 全国シール投票結果「米軍基地はいらない どこにも」

5月末までに決着をつけると言い、3月末までに政府案をまとめると言い、鳩山さんはなぜこうまで自分を追い詰めるような発言をするのでしょう。しかも、普天間基地問題について語る時の表情は明鏡止水、時には微笑みさえ浮かべ、政治と金の問題で時に屹度(きっと)語気を強めるのと対照的なのです。

その穏やかさが気になります。

まだ表に出ていない妙案があるのだろう、と言う人もいます。けれどそう言う人も、それがどこなのか、わからないと付け足します。沖縄の人びとは、辺野古陸上部も含め、県内のどこにもっていくのも反対だと表明しています。基地に反対してきた人びとだけでなく、しかたないとしてきた人びとまでが、ついにほんとうの思いを公然と口にしたのです。もう、基地容認に引き返しはしないでしょう。これで、沖縄県内のどこかなどという提案がなされたら、沖縄の世論に火がつくでしょう。

2月20日から3月7日まで、全国28カ所で、ネットの呼びかけに応えた市民たちが、街頭でシールを貼ってもらうという方法で、米軍新基地について「世論調査」をしました。これは、マスメディアの世論調査のサンプル数が1000前後とすくないことに疑問をもった金沢の方が数年前に始めたもので、これまでいろんなテーマで行われてきました。あくまでも中立の立場で、というのが約束事です。問題を解説したチラシは用意しますが、それもシールを貼ってもらってから渡すのがルールです。

今回、回答したのは4446人でした。そのうち、なんと2872人が「国内のどこにもつくらない」でダントツ1位、全体の65%でした。次に多かったのが「わからない」で622人(14%)、3位が「沖縄県外」515人(12%)、「沖縄県内」と答えたのは437人(10%)で、いちばん少なかったとのことです


いくつかある新聞記事から、琉球新報沖縄タイムズをご紹介します。沖縄県外の人びとも、沖縄に米軍基地があるのはよくないことだと考えているんだ、と全国の人びとの思いを受けとめる喜びが、行間からじわっとにじみ出ているような気がするからです。今回のシール投票は、沖縄県と沖縄県外が、人びとの気持ちのレベルでしっかりとつながっていることを示した画期的なものだったと、私は感動を禁じ得ません。

鳩山さんは、こうした民意をどのようにうけとめるのでしょう。この民意を民主主義政治家として、アメリカにたいする、あるいは国内の反対派にたいするご自身の力の源泉として行動したあかつきに、もしも万が一、万々が一、政権運営に頓挫するようなことがあったら、政権の座を降りるのでしょうか。それもあるのではないかと、最近の穏やかな表情から、私は考えてしまうのです。もしも総理の座と引き替えに、新たな米軍基地はつくらないということを不動の事実としたなら、鳩山さんは歴史に名を残すのではないしょうか。つとに米軍常駐なき安保を唱えていた鳩山さんです。「宇宙人」の異名をとる、「とんでる」発想をする鳩山さんです。それはありうるのではないか、と思うのです。

今、民主党は急速に支持を落としています。けれど、この「敵失」は自民党の復活にはまったく結びついていません。ですから、もしも鳩山さんが首相の座と引き替えに、このくにのどこにも米軍新基地をつくらないことにしたら、支持を失いかけている民主党は信頼をおおきくとりもどし、連立政権は、年金制度改革や天下り法人の整理をはじめとして、引き続きこのくにの立て直しに邁進するのではないでしょうか。

希望のバイヤスかかりまくりの観測ですが、書いておきます。

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「恐ろしいですね」と仲井真知事 「普天間は重要でない」とナイ教授

この連休に、平野官房長官が沖縄を訪れました。平野サンは、普天間基地問題に年末から本腰を入れるようになったそうで、4日には、「首相は黙っていてください。この問題は私に任せてほしい」と鳩山首相に言ったそうです(NIKKEI NET)。鳩山さんも負けてはいません。「県民の思いを官房長官に十分理解してもらうことがスタートラインだ」と、平野サンを送り出しました。鳩山さんの言うとおりです。沖縄の人びとの思いを知れば、選択の幅はおのずと狭まってくるでしょう。

ところがどうして。沖縄で「県内移設反対」「騒音どうにかしろ」「危険や米兵犯罪どうにかしろ」の大合唱に迎えられても、平野サンはめげません。仲井真知事に、「決断をお願いするかも」と、どきっとするような発言をしました。これをとらえて
日経は、まるで平野サンが引導を渡しに行ったかのような書きっぷりです。讀賣は、どうせ辺野古なのさ、という落ちをつけています。

この平野サンの発言に、仲井真知事は、「『正直言って「あれっ?」っていう感じだ。(政府は)県外移設を検討していると思っていた』と首をひねった」そうです(1月11日付東京新聞)。そして、平野サンにたいして口を突いて出たのが、「恐ろしいですね」でした。わかります、その気持ち。人の痛みがわからない人は恐ろしい。

平野サンは、事前に外交評論家・岡本行夫サンのレクチャーを受けたそうです。岡本サンが、寺島実郎さんに代わるかたちで鳩山さんにすり寄っているらしいことが気になっていましたが、さっそく心配が現実になりました。岡本サンのレクチャーが、平野サンの耳栓の役割を果たしたのかもしれない、と思うからです。

上司である鳩山さんには「黙っていてください」と言い、沖縄の人びとのことばはただ聞いたふりをして、平野という人はいったい誰の意を体して動いているのでしょうか。鳩山さんと、沖縄をはじめとする主権者ではないことは、この際、はっきりしました。この人に米軍基地問題なんて任せられないことも。

岡本サンは、アメリカの利益になることしかしないことで、外務省の主流を歩いていた元外交官ですが、そのアメリカの、泣く子は黙らないけれど外務省や自民党などの対米追従派は黙る「アーミテージ・リポート」、日米「同盟」の進化を迫るその第二弾の共同執筆者、ジョーゼフ・ナイ・ハーバード大名誉教授が、
1月6日付のニューヨークタイムズ紙にごく短い一文を寄せています(「個別の問題より同盟が大事」)。記事からは、アメリカでは、「日本、なんか問題あるみたいだけど、なんなの?」という程度の認識しかなく、ナイさんに解説を頼んだ、という印象が伝わってきます。そこでナイさんが言っているのは、だいたいこんなことです。

東京では、日米関係の危機なんて言ってるけど、米軍基地の移転が、過去のこんがらがったいきさつもあって頓挫しているだけだ。

10年以上前、わたしも関わった日本政府との交渉で、とくに危険な普天間基地を人口の少ない地域とグワムに移すことになった。ここへ来て日本には、沖縄の米軍基地の県外・国外移設を公約に掲げた鳩山政権が誕生した。ペンタゴンは、10年以上も死に体になっている従来案に戻れと、鳩山政権をせっついているが、狙いはそこにもりこまれた海兵隊の維持と引っ越しの費用だ


注目はここからです。

日本の新政権にはガツンと言ってやればいいんだ、と考える人びとがワシントンにいる。だが、それはおバカなやり方だ。鳩山政権は、アメリカからの圧力と、アメリカに譲歩したら連立を離脱すると脅す左翼政党の板挟みになっている。ここはしんぼう強く、りこうに立ち回るべきだ。

普天間なんて、何の価値もないし(it is worth noting)、新政権はほかにも、対等の同盟関係とか、中国とのいい関係とか、東アジア共同体とか、わけのわからないことを言い出している。今年は日米安保50年だが、基地問題でごたごたするとムードが悪くなるし、在日米軍基地をもっと減らさなければならなくなるかもしれない。とにかく、台頭する中国と核をちらつかせる北朝鮮が存在するこの地域の安全保障のためには、日本という気前のいいホスト国の援助(generous host nation support)で米軍が居続けるのがいちばんだ。

日本は、自分で結論を出せない時、暗黙のうちに『外圧(gaiatsu)』をかけてほしがるが、今回はそうではない。アメリカが新政権を見くびって日本人を怒らせたら、普天間を獲得してもその見返りはあまりにも大きい


ナイさんは、あくまでもアメリカの国益に立って、「角を矯(た)めて牛を殺すな」と言っているわけです。普天間なんて、無価値なんだそうです。日本は太っ腹なんだそうです。従来案にこだわるのは、お金のためなんだそうです。でも、新政権に外圧は通じないこと、日本のわたしたちを怒らせたらたいへんだということも含めて、これらの元国防次官補の認識は、あながち的外れではないのではないでしょうか。

ナイさんが携わった交渉のカウンターパートナーが、当時外務省北米局にいた岡本サンでした。岡本サンは今回、沖縄の米軍基地交渉に長年関わった、誰よりもこの問題にくわしい専門家として、平野サンにレクチャーしたそうです。ナイさんが一基地の存続にこだわるなと言っているのに、岡本サンはその県内移設にこだわっているらしい。この、当時の交渉の実務担当者同士の微妙な食い違いは、注目に値します。つまり、普天間基地を県内でたらい回しし、沖縄に集中させるかたちでなんとしても米軍を置いておきたいのは、アメリカではなくむしろ日本の一部の人びとに他ならない、ということだからです。

仲井真さん、こんど平野サンに会ったら、「怖いですね」ではなく、「怖いですよ」と言ってください。「沖縄を怒らせたら怖いですよ」と。岡田外相は、きょうハワイでクリントン長官と会うことになっていますが、岡田さんもクリントンさんに言ってください、「新政権、なめたらかんがぁ」って。

(「かんがぁ」は中部地方のことば、「いかん」の「い」が発音されないのでこうなります。「だめよ」という意味です)
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「抑止のための米海兵隊大村基地」の軍事的合理性?

蓮池透さんとの対談でも、このブログのどこかでも言ったのですが、わたしたち市民は生活するのに忙しいのです。軍事のことを考える暇はありません。けれど、それがわたしたちの生活を脅かすとなると、いやでも考えざるをえません。

ところが、考えようとしても知識がありません。いきおい、メディアの諸説を受け入れることになります。もしもそこに、必要十分な情報が提供されていなかったら、もしもある意図によるバイヤスのかかった見方があふれていたら。わたしたちは、いつでも過去の過ちを犯し、好戦的な方向に駆り立てられる危険があります。今は「大本営発表」ではないのだからそんなことはない、なんて言えないと思います。「大本営」の側も、先般の失敗から学んで巧妙になっているでしょうから。危機を煽ることで売り上げを伸ばそうとするマスメディアの体質は、完全に過去のものとは言い難いでしょうから。

こんなことを考えるのは、米海兵隊普天間基地の県外移設先候補として、長崎県が挙がっているからです。今このくににとっての軍事的脅威は、合理的に考えるなら、ない、と思います。ロシアと中国とは、ともに経済圏をつくってやっていく間柄です。攻撃し合うなんて、互いに損です。残るは北朝鮮ですが、これも合理的に考えれば、日本を攻めるのは大損です。あちらの体制が滅亡しますから。

けれど、軍事的脅威を言いたい人びとは主張します。北朝鮮に限っては、非合理な動機で弾道ミサイルを撃ったり、海から潜入したりするかも知れない、と。でも、理にかなっていないことをするにも、それなりの理由があるでしょう。それは、こちらが彼(か)のくにをそこまで追い詰めたばあいです。こちらの外交の失敗です。

ですから、政府にちゃんとした外交をさせることがすべてなのですが、百歩も千歩も譲って、合理に基づかない軍事的脅威について考えてみます。喧伝されているのは、まずはミサイルですが、北朝鮮は短距離弾道ミサイルノドンを200基から、ことによったら300基以上、実戦配備していると言われます。射程距離は1000〜1300キロ、列島をほぼカバーし、沖縄はぎりぎり届くか届かないかです。中長距離のテポドンの実戦配備はまだのようです。

米海兵隊は、海と空から戦場に急行する部隊なので、ミサイルに対処するものではありません。軍事的脅威やそれへの抑止を言い募る人びとがもっともあげつらいたがる「ミサイルの脅威」には、無関係なのです。ただし、ミサイルの標的にはなります。それを、北朝鮮から見て沖縄より近く、より狙いやすい長崎にもっていくことに、どういう軍事的合理性があるのでしょうか。ミサイル戦の緒戦で全滅するのが落ちではないでしょうか。

それやこれやで、普天間基地の沖縄県内移設の可能性が限りなくゼロに近づいた今、代わりに浮上した長崎など国内のどこかに移すという話は、軍事的合理性とは無関係のなんらかの思惑で、米海兵隊にぜんぶグワムに行かれては困る、かっこだけでもとどまってほしいということだとしか、考えられないのです。違います? 違うんだったら、どなたかこのド素人に教えてください。
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偽装献金会見がX’masプレゼントでなくお中元だったら

鳩山さんは、秘書さんたちが起訴された24日に記者会見をしました。翌25日には予算案が発表され、またしても記者会見。これ、順序が前後していたら、「予算と引き替えに鳩山のクビを」と意気込む勢力を、より利することになっていたでしょう。お役所の御用納めもにらんだ、薄氷の日程だったのでしょうか。

「井戸塀政治家」という、なつかしいことばを思い出しました。政治活動のために田畑も家も蔵も手放して、最後は井戸と塀しか残らなかった政治家、という意味です。政治資金規正法には、この井戸塀政治を禁止する、という意味合いもあります。金持ちが政治を牛耳ってはいけない、という考え方です。たしかに、イタリアのベルルスコーニさんみたいな人が出てくるのは、わたしもなんだかなあと思います。でも、足尾銅山鉱毒事件に奔走した田中正造は「赤貧洗うがごとし」、典型的な井戸塀政治家でした。

ところでこの会見、4、5カ月前の、民主圧勝という観測が出ていた衆議院選挙の最中にやるわけにはいかなかったのでしょうか。結果、民主党はこれほど勝ちはしなかったでしょう。それでも、自民党は負けたと思います。つごうの悪いことをつまびらかにした上での勝ちのほうが、新政権の正統性を強めたことは確かです。そうすれば、政権奪取後、いらぬことで政敵やマスメディアに攻撃の材料をあたえずにすみました。

案の定、26日になると鳩山さんは、「米海兵隊全面グワム移転はむり」と言い始めました。代替施設は長崎の大村と、具体的な地名もちらつきます。抑止力が失われる、というのがその理由です。800人程度の海兵隊なんて、抑止力になどなりませんし、抑止すべきどんな危険があると言うのでしょう。抑止力を持ち出すのは、対米追従で権力を保持しようとする人びとのよく使う手です。抑止力を口にしたとき、鳩山さんはついにかれらの手に落ちたか、と愕然としました。

なぜ案の定かというと、この間のメディアの新政権叩きがそろそろ功を奏してきたと思うからです。実権は小沢、から始まって、3党不協和音、閣内不一致、天皇政治利用、日米「同盟」の危機。わたしの見るところ、とんちんかんなことで騒いでは、判で捺したように、鳩山決断力あるいは指導力に疑問符、と結論づけます。マニフェストにいたっては、こだわるのはよくないと言い、変更すればするでそれをまた叩く。これだけ寄ってたかって叩けば、支持率は下がるに決まっています。

でもこの間、新政権は大仕事をやっています。なんと言っても、予算のつくり方をがらりと変えたことです。官僚の出してくるものにちょこっとお化粧直しをするのが、政治家の役目ではなくなりました。政務次官などの政治家どうしが熾烈なやりとりをして、決めていった。不十分を言うのはたやすいことです。でも、これを数年続けたら、このくにの予算はこれまでとはまったく違ったものになるでしょう。

事業仕分けだって、あれだけの短期間で2兆円弱でしたか、削れたのはすごいことです。あれはサンプル調査であって、無駄を生む同じ仕組みがほかの分野にもあることが学習できたわけで、あと数年、経験を積んでスキルも上げた人びとがこれを続けたら、効果は絶大でしょう。

けれど、マスメディアは新政権を叩き続けた。そして、これまで批判されてきたこととは違って、理由が根も葉もなくはない偽装献金問題での謝罪。鳩山さんは自信をなくしているのではないでしょうか。それで、安保外交の方針を大胆に転換するのが怖くなった。アメリカと言うより隠然たる対米追従勢力、それを代弁するメディア、そしてそれに操られた世論が怖くなった。そして、たしかに辺野古ではないにせよ、「抑止力のために米海兵隊に残って『もらう』」発言をした。

こうしてみると、メディアの新政権叩きは、支持率を落として政治力を殺ぐことにより、米軍基地を国内にとどめ置き、それによって対米追従を続けるため、という一点に向けてのことだったと思わざるを得ません。メディアには、この政権は、将来に向けてこのくにのあり方を変えるという使命を帯びているのだ、という認識が稀薄です。メディアが権力を批判するのは当然です。それでも、その批判のしかたには、ともにこのくにの将来を開いていくために、世論形成に貢献するような、正確な情報を提供しようという意志が感じられません。

しかし、それでも、です。「政権交代政権」としての鳩山政権に期待する人は、自民党の政権復帰を望む人より多いこと、どんなにバイヤスのかかった世論調査を見ても明らかなのです。それを、メディアがきちんと分析したりていねいに伝えたりしないだけの話です。ここは、なんとしてでも新政権に踏ん張っていただきたいところです。
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嘘をついている人の顔 「呼びつけられた」藤崎駐米大使

クリスマスだというのに、きのうに続いてマスメディアの偏向ないしレベルの低さとメディアリテラシーについて、考えこんでしまいました。

まず、12月23日の
TBSニュースをご覧ください。呼び出されたとする藤崎大使の主張を、クローリー次官補が否定した、という内容です。藤崎大使の表情にご注目。動画はいずれ消えるので、記事を貼りつけておきます。

普天間移設問題をめぐり、藤崎駐米大使が21日にアメリカのクリントン国務長官に呼ばれ、会談したと話しましたが、これについてアメリカ側は、「大使は呼ばれたのではなく、国務省に立ち寄った」と説明しました。

「(クリントン)長官が大使を呼ぶというのは、めったにないことでございますが・・・」(藤崎一郎駐米大使)

21日、藤崎大使は、クリントン国務長官に呼ばれて国務省を訪れた、と述べました。これについて、国務省のクローリー次官補は呼び出しを否定しました。

「大使は(クリントン長官に)呼ばれたのではなく、国務省に立ち寄ったのだ」(国務省・クローリー次官補)

そして、訪れた理由については、「普天間問題の解決には、さらに時間が必要だ」との日本側の立場を伝えるためだったと説明しました。

アメリカ側は、大使の呼び出しを否定することで、「異例の会談」との印象を払拭し火消しに走った形ですが、双方の食い違いは、ギクシャクする日米関係を象徴するものといえそうです。(23日11:28)

同じことを、
FNNはこのように伝えています。こちらも、記事を貼りつけておきます。

アメリカ軍の普天間基地移設問題で、日本政府が結論を先送りしたことについて、アメリカのクローリー国務次官補は22日、「計画実施のスケジュールに与える影響を懸念している」と述べ、あらためて日本政府に早期決着を求めた。

クローリー次官補は、「(結論先送りが)現行計画の履行スケジュールに与える影響を、われわれは懸念している」と述べ、日本政府に早期決着を求める姿勢を示したほか、「現行計画が沖縄の負担軽減と、日本の防衛、アジアの安全保障にとって最善の道だ」として、日米合意通りの移設を要求した。

この問題をめぐっては、クリントン国務長官が21日に藤崎駐米大使を呼び出し、現行の日米合意の履行を求めていて、クローリー次官補によると、この会談で、藤崎大使は「もう少し時間が必要」との考えを示したという。


このふたつのストーリーが
同じニュースソース(米国務省サイトに公開されている会見)をもとにしているとは、にわかに信じがたいことです。

なぜこんなに違うのか、その謎の鍵は、2つの局が22日のクローリー次官補の会見の、べつべつの部分を強調したことにあります。

TBSは、映像として、以下の問答の【 】でくくったところを切り取りました。英語力がおぼつかないので、できれば直接、米国務省サイトにあたってください。

質問者:きのうの国務長官と日本大使の会見について何か情報は? 普天間について話すために来てほしいと、長官が言ったと聞いていますが。

クローリー:その、わたしが思うにですね、日本大使はカート・キャンベル副長官と会うため、またクリントン長官と会うために立ち寄った、ちょっと立ち寄ったんですね。会談で大使は、合意に至るにはもうすこし時間が必要だと。わたしたちは、あいかわらず現行案が最善だと信じていますが、この件にかんしては日本側と協議を続けるつもりです。

質問者:「ちょっと立ち寄った」とおっしゃいましたが、大使を呼びつけたわけではないと言いたいわけですね。

クローリー:そうです、よろしいでしょうか……

質問者:政府が閉まっていた日にですよ、しかも…… 

クローリー:【大使は、わたしが思うにですね、わたしの、つまりわたしは大使が呼びつけられたとは考えていません。ほんとに大使が会見を求めてきたのだと、考えています。】


クローリーさんって、例の「肩すくめ会見」と言い、あせって考えをことばにまとめようとするとき、つんのめるような話し方をなさるんですね。いいキャラしています。この言い方からするとクローリーさんは、藤崎大使が「キャンベルさんいますか? いらっしゃるなら、ちょっと立ち寄っていいですか? クリントンさんならもっといいのですが」みたいなノリで国務省にアポを入れてきた、と受けとめているようです。

この日、「政府が閉まっていた」のは、大雪のためです。質問者は、官庁が業務停止しなければならないほどの大雪の日に、外国の大使を呼びつけるなんてことがあるのか、と言いたかったのでしょう。実態は、機を見るに敏な藤崎大使がその日の朝、「大雪で政府のオフィスが閉まってる。長官は暇だろう。アポ入れてみよう」と判断した可能性が高いと、わたしは見ます。

クローリー次官補の会見に戻ります。コペンハーゲンでの鳩山首相とクリントン長官の会話の中身を知っているかとか、なにしろ歩きながらとかディナーをとりながらの話ですからねとか、核密約の証拠が日本で出ましたねとか、あと、北朝鮮問題などについてのやりとりが続き、この日の会見の最後に、また普天間問題を蒸し返した記者がいて、クローリー次官補がこう言った、その一部の映像をFNNは切り取り、字幕付きで報道しました。【 】でくくったところです。

 クローリー:わたしが言いたいのは、日本は政権交代したということです。政権移行にはむつかしいものがあると理解しています。これはわたしたちも経験したばかりです。そしてわたしたちは、日本と作業を続けていこうと。【はっきりしているのは、そのために現行案の実施に遅れが出るのでは、という潜在的な懸念があるということです】が、わたしたちは日本と緊密に話しあいを続け、問題解決につとめていくつもりです。

クローリー次官補は、ここに引用した以外にも、「何度も言ってきたように」と、日本側と協議を続けること、政権交代した日本が方針を決めるには時間がかかることを理解していることを、「この日も」口を酸っぱくして繰り返していました。たいするに、遅れへの懸念への言及は、わたしの見る限り、ここ1箇所です。

TBSとFNN、どちらが正確にアメリカ政府の意向を伝えているかは明らかです。重要なことに、TBSのこのニュースは、これにかんする第2報です。第1報は、FNNも真っ青の、「アメリカが怒ってる!」という論調でした。つまり、TBSは訂正放送をしたわけです(そう謳ったわけではありませんが)。「ニュースのTBS」は腐ってない、まだまだだいじょうぶだ、と思わせるエピソードです。

もっともTBSの、「双方の食い違いは、ぎくしゃくした日米関係を象徴するものと言えそうです」というまとめはないでしょう。ぎくしゃくさせたい勢力が日本の外務省、そしてマスメディアにいるということであって、日本の内閣と米政府は、相互理解のもと、時間をかけて落としどころを真剣に協議しているのですから。

FNNとつるむかたちで「長官が大使を呼ぶということは、えー、めったにないということでございますが」と、伏せた目を横にきょときょと向けながら、せいいっぱい虚勢をはって話した藤崎サン、これが、人が嘘をついているときの表情なんですね。

岡田外相も、こういう奸臣をかかえてたいへんです。召還して真偽のほどを問い糾すべきではないでしょうか。というか、普天間基地は県外・国外へ、と主張している政権の意向を呈して働く気がないのですから、クビです、クビ。そういうことのために、政治家が省庁の長なわけでしょう。

時の政府に逆らってクビになった外交官はいます。天木元レバノン大使は、イラク攻撃反対の具申書を出して、実質、クビになりました。しかし、具申するのは大使の職務です。職務を果たしたらクビというのは不当だとは、名古屋高等裁判所も認めました。しかるに藤崎大使は、両国政府と国民にまっ赤な嘘をつくというかたちで、政府の方針に逆らったのです。これは、外交官として完全にアウトです。天木さんのケースとはまったく異なります。

いえ、これは事実に反します。天木さんは外務省の方針に逆らったので、外務省からクビになったのです。時の政権の方針は、外務省と一致していたというだけの話です。外務省には、政府も国会も差し置いて、われこそは国家なり、と考える一派がいるのです。

いっぽう、藤崎大使はその外務省の方針を体現しています。そして、現政権の意向は外務省の方針と一致していません。だから外務省は、自分から岡田外相に事情をつまびらかにして、藤崎大使を召還し罷免するかどうか裁可を求める、なんてことはしない。つねに外務省は時の政府とは関係なく、外務省の権力保持のために対米追従という方針を貫く、そのために今回は、「クリントン長官から呼び出しを食らいました、これはゆゆしきことです」という一芝居を打ち、メディアが騒いだ、というわけです。岡田さんは、これを放置なさるのでしょうか。

わたしたち市民は英語がよくわからないし、だいいち生活するのに忙しいのです。マスメディアがこんなにバイヤスをかけた報道しかしないとしたら、もうどうしたらいいのか、とほうにくれます。

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オスプレイの哀しみ 辺野古にも高江にも普天間にも降りられない

鶚(ミサゴ)はタカ派、ではありません、タカ目タカ科の猛禽で、北半球の海辺に住み、急降下して魚を捕らえます。英名オスプレイ。米海兵隊の次期主力輸送機MV22の別名です。海兵隊所属の現役輸送用大型ヘリはもうぼろぼろで、この新機種への切り替えが進んでいます。

オスプレイはプロペラ機です。でも、両翼についている2つのプロペラがばかでかい、異様な姿をしています。そのままでは、プロペラの先が地面につっかえて、離着陸できません。それで、プロペラをヘリコプターのように水平にして離着陸します。それが、急降下するミサゴになぞらえられているのでしょう。オスプレイは、ヘリのように垂直の離着陸ができ、ふつうの飛行機のように高速で長い距離を飛ぶことができるという、ヘリと飛行機のいいところを兼ね備えているのです(写真はこちら)。

辺野古と東村高江に基地がつくられたとしたら、そこに配備されるのはこのオスプレイです。ところが、これまでの防衛省の環境アセスメントはいいかげんなうえ、オスプレイは想定していません(
資料)。オスプレイ配備は、アメリカでは何年も前に決まったことなのに、「正式の通知がないので、従来型のヘリで環境アセスをやった」というのが、旧政権の説明でした。オスプレイが配備されることなんて、秘密でもなんでもありません。外務省や防衛省は知っていたはずだし、問い合わせれば簡単に確認できたことです。きっと、知っていることにしたくなかったのでしょう。向こうから言ってこない以上、その事実はないことにするというのは、核持ち込みに限らず、このくにの対米追従勢力の対米追従勢力たるゆえんだったことがうかがわれます。

オスプレイは、開発段階でたくさんの死者を出しています。その安全性に疑問符がつくのです。また、出力が現役ヘリの4倍以上というそのすさまじい騒音が、滑走路を辺野古沖にちょっとずらしたぐらいで緩和されるものなのか、なにしろ環境アセスしてないのですから、まったくわかっていません。陸上につくりでもしたら、騒音被害は防げません。

高江はさらに深刻です。ここは、一度行ったことがありますが、ヤンバルの森をひかえた楽園のようなところです。でも、すでにヘリパッドが15ある上にあと6つの増設が予定され、計画通りだと、合計21のヘリパッドにちいさな集落がすっぽり囲まれることになります。今でさえ、爆音をとどろかせて、なんてのどかな表現では足りません、音を通り越した、まるで引き裂かれる世界の断末魔のような大気の状況を突如出現させながら、集落と目と鼻の先のうっそうとした亜熱帯の森の茂みから輸送ヘリの巨体がぬっと浮き上がる光景は、人を底なしの恐怖にたたきこみます。それが、もっと大きなオスプレイだったら……考えるだけでも恐ろしい。

今月5日、前原沖縄担当相は、「オスプレイが配備されれば環境影響評価(アセスメント)をやり直さなければならない」と言いました(記事は
こちら)。あたりまえのことながら、この時期、よく言ったと思います。「移設」が遅れれば、切り替え時期の決まっているオスプレイの配備先は、普天間しかありません(記事はこちら)。そんなことになろうものなら、こんどは宜野湾市民が黙ってはいません。「世界一危険な基地」に危険きわまりないオスプレイが来るというのですから。

ここへきて、防衛省が情報を隠し、市民を甘く見、環境アセスなんて適当にやっておけばいいのだ、としてきたツケが回ってきたのです。「なにぃ? 環境アセスにオスプレイを想定しなかっただと? そんないいかげんなことで『どうぞおいでください、当方に不都合はございませんから』と言ってきたのか?」と怒るのは、普天間、辺野古、東村高江をはじめとする沖縄の人びとや、その人びとと心をひとつにするすべての人びとだけではないはずです。アメリカの当局が怒ります。もしもかれらに、国是である民主主義と人権を尊重する気があれば、「同盟」国当局のサボタージュを怒ります。

海兵隊はもう、八方塞がりです。にっちもさっちもいきません。このくにのどこにもオスプレイを置くことはできないのに、オスプレイへの切り替えは着々と進んでいるのです。時間がありません。計画どおりにオスプレイを配備したければ、海兵隊はこのくにから出ていくしかありません。旧政権下の防衛省の不作為のせいで、海兵隊はお引き取り願うしかないところに、とっくに追い詰められています。前原沖縄担当相の環境アセスやり直し指示は、もしかしたら海兵隊基地縮小、閉鎖への、最後のとどめになるかもしれません。

米海兵隊が、たとえ沖縄の基地はグワムの本拠地を補完するものであったとしても、それを失うことの責めは、前政権と、皮肉なことに事実関係と手続きをごまかしてでも、かたちだけでも海兵隊を沖縄にとどめ置きたかった対米追従勢力が負うことになります。鳩山政権の責任ではありません。

これらは、沖縄の人びとにとっては何年も前から周知のことでした。でも、「本土」ではメディアがあまり伝えないので、知らない人もいると思います。それで、ここに簡単にまとめておきました。
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米政府は怒ってなんかいない 普天間基地問題とメディア

さとうまきこさんは、入念な情報収集と分析で、いつもいろいろなことを教えてくださいます。きょうのBCCメールはとくに興味深かったので、ご紹介します。

きょうもきょうとて、このくにのテレビニュースは、「鳩山政権、終わってる」と言いたくて、その筆頭に在沖縄米軍基地のことでアメリカとの溝が深まった、もうだめだ、と言い立てています。

絶句し、苦笑しながら肩をすくめるクローリー次官補の映像、わたしも数回見ましたから、このくにのテレビは繰り返し流しているのでしょう。「怒りを通り越してあきれている」とコメントした局もありました。しかし、その前後のやりとりは、以下のとおりだったそうです。

バンクーバーのSatokoさんは、deferを「任せる」となさっていますが、もっとへりくだったニュアンスではないでしょうか。ジーニアス英和辞書には、「〔人・意見・希望などに〕(敬意を表して)従う,譲る」とあり、「承(うけたまわ)る」あたりが妥当なのではないかと思います。そうすると、「日本政府がその立場を表明するなら承ります」というどの意味になると思います。We'd be happy to obligeも、ばかていねいなほどの鄭重な言い回しではないでしょうか。英語はよくわからないので、自信はありませんが。

ともあれ、以下の記者会見を読めば、クローリー次官補の「しどろもどろ」は、なにがあっても日本を刺激しないよう指示されていたために、もっと強圧的に出るべきでは、と迫る質問者を躱(かわ)すのに四苦八苦していた結果だとわかります。

では、さとうさんのメールをお読みのうえ、このくにのメディアがかけたバイヤスのほどを計ってください。クローリー次官補の苦労も、このくにのメディアにかかっては水の泡というわけです。


( Bccで少しのかたに勝手にお送らせて頂きます)
普天間問題について、バンクーバーにいるSatoko さんのブログの記事が本人から送られてきました。

http://peacephilosophy.blogspot.com/

おもしろいので興味のあるかたは読んでください。下記に抜き出します。その下は雰囲気がわかるように、問題の「やりとり」を少し抜き出したものです。このマットさんは「いらいらしている」という言葉を引き出したかったように感じられます。

さとう

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日本のメディアは横並びで「海兵隊トップのコンウェー司令官は普天間先送りを「遺憾」」としたと報道している。

「国務省のクローリー次官補(広報担当)も同日の記者会見で、移設先修正をめぐる再交渉には応じない考えを重ねて示した。 」(共同)

このクローリー氏と「マット」と呼ばれる記者のやり取りを見てほしい。「再交渉に応じない」などとはどこにも書いていない。
 
まず 「I will defer to the Government of Japan to describe its position」(日本政府にその立場を表明することを任せる)と始めている。

2006年「ロードマップ」に沿う意向、引き続き協議を重ねる姿勢、沖縄の問題が複雑で日本側にも時間が必要なことに対する理解を示し、最後には 「We'd be happy to oblige.」 ((日本側がもっと時間が必要というのなら)喜んで従います))とまで言っているのだ。

「任せる」から始まり「従う」に終わったこの話のどこから「再交渉に応じない考えを重ねて示す」という、あたかも強硬的な態度を取ったかのような解釈ができるのだろうか。そして、この、何か収穫(日本政府の普天間決定延期に対する否定的な反応)を持って帰らないと、奥さんに殺されるといった勢いの記者は一体何者か。その「奥さん」は誰なのか。心当たりのある人は教えてほしい。

(ここまでブログ)

~~~~~~~~~~~~~~~~

(上記の解説のあと、やりとりの最後の3分の1ほどの訳 この「やりとり」はブログ内にURLがあります)

質問者(マット):ちょっといいかい―この問題全体について。日本の新政権がこんなに時間をかけているのはすこしいらいらする(frustrating)ことじゃないかい? 

クローリー次官補:日本側と作業を続けるつもりだ。我々はこれらが日本側にとって複雑な問題だと理解している。彼らは様々な問題でいま処理のスピードがあがってきているところだ。僕は...とは思わないが。

質問者:これまでも時間をかけてきたと君は思わないかい、キャンベルが日本に何度くらい行ったのかを考えれば。

クローリー:2,3度だ。

質問者:それに日本側も担当者たちをこちらに来させたし。だから、

クローリー:我々は日本側と作業を続けるつもりだ。

質問者:じゃ、引き延ばしもありかい―このままずっと引き延ばさせるつもりかい?

クローリー:ロードマップ(日米合意)があるんだ。それに基づいて計画しつづけるが、しかしこれから数週間か数ヶ月は日本とハイレベル協議を続けるつもりだ。

質問者:本当に「ロードマップ」という言葉を使いたいのかい。他の話においては(笑い)そのロードマップではどこにも行き着かないよ。だから・・

クローリー:もしそれがグアムに至るならばね(笑い)

質問者:まじめに話そう、PJ.まじめに聞いてるのだから

クローリー:マット....

質問者:どれくらい日本にぐすぐすさせておくつもりかい?

クローリー:我々の認識では、沖縄の駐留米軍は沖縄の人々にとり大きな影響をあたえており、そしてそれはまた日本の人々にとって非常に重要で利害をもつものであるということだ。我々は日本政府と協議を続けるつもりだ。

質問者:(マット):しかしそれでは質問にこたえていない。日本にどれくらい引き延ばしさせるつもりなのかい?

クローリー:マット...

質問者:なんだい、単純な質問だろう。

クローリ:広報官は肩をすぼめた、と記録させとこう(笑い)

質問者:それじゃ君には(期限が)わからないのかい?

クローリ:何を?

質問者:分からないかい?これ(日本の引き延ばし)は無期限に続くかもしれないし、そうなったら(米国)政府にとってやっかいだろう?

クローリー:僕は、この日本政府とのやりとりを、無期限とはきめつけないよ。日本政府は我々に、この問題を解決するためにもう少し時間をかけたいと示し、そして我々は喜んで応じるつもりだ。

.......(”マット”は引き下がるが、別の話題からまたこれにもどってくる!)

質問者:日本の基地問題に戻っていいかな? 実際、日本政府は普天間基地の移設値を探そうとしていて、全く別の(聞き取れず)、そして僕の質問は、米国は。。。

................................

質問者:米政権はそれを受け入れることができるのか?

クローリー:現行計画があり、我々はそれが前に進む最善の方法だとかんがえるが、さっきも言ったように、我々はこれを日本政府と協議し続けるつもりだ。

質問者:ああ、我々みんなロードマップが最善だとわかっている、がしかし日本政府はあらたな場所を考えている、だから僕の質問は..

クローリー:それはわかっている。われわれはこの問題を日本政府と協議し続けるつもりだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

繰り返し、日本側と協議し続ける、作業を続ける、という言葉がクローリ国務省次官補からでてきます。「いらいらするだろう?」という誘導尋問にはひっかからず、数週間から数ヶ月は日本と協議する、と言っています。

さとう
 

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やっぱり Marines wanna go home 全国紙ってやつは!

おととい26日、伊波洋一宜野湾市長が鳩山由紀夫首相と会い、普天間基地の移設についての提言を渡しました。NIKKEI NETによると、「伊波市長は『沖縄県民の負担軽減を海兵隊のグアム移転を通して実現してほしい。首相を信じている』と訴え」たそうです。

ところが、
沖縄タイムスによるとずいぶん違います。こちらでは、市長は首相に、「米太平洋軍司令部のグアム統合軍事開発計画で、普天間の代替施設としてグアムの既存施設が盛り込まれているなどとして、辺野古以外の移設について再検証を要請した」、となっています。

日経では、市長は負担軽減をお願いしたことになっていますが、じっさいは、宜野湾市は米軍文書を独自に読み込み、解釈して、その結論を首相につきつけた、あるいは講釈してあげたのです。この違いはなんなのでしょう。日経は、ただお願いするしかない、いかにも弱い立場の市長像を演出し、その説得の中身はすっ飛ばしています。

でも、その中身が重要なのです。米軍は射撃場や訓練場の近いところに海兵隊をそっくり移す、それはグワムのアンダーセン空軍基地であり、この計画が出た2006年からの米軍の動きは、宜野湾市の独自の情報収集と分析によると、すべて計画に沿っている、と市長は主張したのです。

なあんだ。だったらわたしのこれっきゃないでしょ 在沖縄米軍基地始末も、ガセネタにまんまと乗せられた無知丸出しの立論でしかありません。相手のある交渉ごとだと、アメリカの言い分を真に受けて、いっしょけんめい考えてあげて損しました。

宜野湾市は、ではなぜグアムに移るのは司令部機能だけで、その後も海兵隊基地は沖縄に残るという「誤解」がまかりとおっているのか、ということも分析しています。それは、国会答弁に立った官僚や参考人と学者のことば遣いに問題があったと、当該の国会答弁を引用して論証しています。26日には院内集会を開いて、与党の議員たちに説明したとのことで、米軍の計画の解読ともども、早くも
市のサイトに載っています。宜野湾市長とそのブレーンの力量のほど、そして努力には、頭が下がります。

だったら、ゲイツさんやオバマさんの、辺野古移転要請って、いったいなんだったのでしょう。米軍ははじめからそんなもの当てにしていなかったのだとしたら、すべてが大がかりで人騒がせなお芝居に見えてきます。つまり、米軍は沖縄から出て行くつもりで、だけど土壇場まで辺野古辺野古と騒いで交渉カードの値打ちを高め、最後には、辺野古をあきらめてあげるからお金をちょうだいね、と言いたいのでしょうか。そして同時に、「対等な日米関係」を謳う鳩山さんに点数を稼がせてあげて、日本の新政権に貸しをつくるという、「一粒で二度おいしい」(古いですね)作戦だったのでしょうか。

沖縄の自民党県連も、結論が年を越したら普天間にある基地は県外に行ってもらう、と言い始めました。嘉手納をとりまく自治体はこぞって、嘉手納になんか来るな、と言っています。社民党と国民新党は共同で、与党内で普天間問題を話しあう場をもつべきだ、と言い出しました。そしてなにより、沖縄の人びとの7割は県外に移設しろ、と言っています。来年1月の名護市長選挙では、辺野古移設反対の候補が勝つという観測がもっぱらです。

こういう、辺野古移転への逆風がさまざまな方面から吹き荒れるすったもんだの状況で、年内に辺野古移転という結論を出すことは、鳩山政権にどんなメリットももたらしません。かくなるうえは、名護市長選で辺野古移設反対の候補が、勝つどころか圧勝するとの予測が立つほどにこの選挙をもりあげ、選挙という手続きによって調達される、民主主義における唯一の正統性をよりいっそう強く押し出して、「最終的にはわたしが結論を出す」という鳩山さんを、国外移転よりほかに選択の余地のないところへと追い込んで「あげる」のがいいと、わたしは思います。
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これっきゃないでしょ 在沖縄米軍基地始末

おおぜいの方に怒られてしまうかもしれませんが、ないことにできない現実から出発して、田中宇さんの言う官僚の権力の源泉を干上がらせ、基地が居座る町に1日も早く平穏な日々を取り戻すために、もっとも実現可能性のある方策はなにか、考えてみました。

普天間は、戦争中にアメリカ軍が村を占領したのがそのまま継続している、誰の目にも明らかな不法占拠です。しかもその危険性は、70年代から日米政府も認めていましたし、あのラムズフェルドも「こりゃひどい」と言いました(その裏にあった「陰謀」は今は措きます)。

土地使用の正統性があやしく危険というふたつの問題が、普天間にはあります。どちらが喫緊の問題かと言えば、もちろんその危険性です。よって、基地は今すぐ閉鎖、海兵隊はとりあえず嘉手納に移します(嘉手納のみなさん、ごめんなさい)。

岡田さんの嘉手納統合案にアメリカが反対するのは、有事の時に手狭になるからだそうです。
11月19日の東京新聞朝刊にも、一面トップで出ていました。だったら、当座は有事の時だけは普天間も使える、ということにしておけばいい。普天間の返還は先に延ばします(普天間のみなさん、ごめんなさい)。岡田さんの嘉手納統合案を、暫定・普天間返還先延ばしという条件付きで採用するわけです。

そうしておいて、日米政府には米軍基地、とくに海兵隊基地について、鳩山さんの言うように「日米合意を前提とせず」に、現実を踏まえて真剣に話しあい、早急に結論を出していただきます。いつまでに結論を出すかは、あらかじめ期限を切っておきます。事業仕分けのように、体育館で見物に囲まれるなかでやってくれたらいちばん望ましい、というのは冗談でもなんでもありません。

その際、有事をにらんでいろいろ協議したい向きには、そうしていただいてかまいません。でもじっさい、海兵隊が「活躍」できそうな有事なんて、このあたりには起きやしません。在沖縄米軍基地がにらむ周辺有事の筆頭は、台湾海峡有事だそうです。でも、とくに馬英九サンが総統の座に着いてからというもの、台北と中国各地を結ぶ定期航空便はいったい何路線あるのかと思うほど、中台関係は緊密になっています。また、北朝鮮が何かしたら、それはアメリカなり日本なり中国なりの外交の失敗ですから、これは自力で避けることができるし、避けること、外交交渉を失敗させないことが、各国の主権者が政治家につきつけている至上命令です。

アメリカは、中国との軍事交流をしきりにやりたがり、それをつうじて中国に、「戦うまいぞ」というサインを送っています。アメリカも日本も、勝手向きは火の車なのです。中国ともどことも、戦っているばあいではありません。中国だって、アメリカや日本に軍事的打撃を与えよう、などというばかげた提案をする人がいたら、一笑に付すでしょう。その実力もありませんし、そんなことをして緊張を高め、諸外国との通商のうえになりたつ今の経済成長路線を頓挫させるなど、そんな実利にあわないことを中国がするわけがありません。

鳩山さんは東アジア共同体と言い、オバマさんは太平洋国家アメリカと言う。両方けっこうなことです。けっして相反するビジョンではありません。東アジアが安定し、繁栄するには、たとえば遠い将来に共同体という夢を見据えた友好的な関係がたいせつです。鳩山さん好みに、友愛にもとづく関係、と言ってもかまいません。そして、アメリカが太平洋のかなたに望んでいるのは、やはり安定し、繁栄する東アジア経済圏です(個人的には、経済成長とか繁栄とかいうのはぴんとこなくて、「心豊かに食べていける」のほうがいいと考えますが、今それは措くとします)。

そこに日本が立ち位置を確固としたものにする、その目的で、鳩山さんは東アジア共同体を提唱したのでしょう。東アジアから政治的軍事的緊張を排除する仕組みこそが、ここで商売をしたいアメリカの望むところです。いままでアメリカは武器ビジネスに重点を置いていましたが、今回のオバマさんアジア歴訪を見る限り、非軍事の民生部門でもっとビジネスを展開したい、というように変わってきています。それは、中国も望むところでしょう。ですから、日本は東アジアの安定に向けて率先して努力して初めて、アジアにおけるアメリカのよき友たりうるのです。

日本とアメリカは、せっかく政権が交代したのです。両国とも、いままでの洗脳じみた冷戦的極東有事という想定をいったんご破算にして、現実を見据えたうえで、基地問題にかんして政権党の名に恥じない民主主義を実行してほしいと思います。そうすれば、米海兵隊基地問題の解決の出口は、ひいては、やれ冷戦だ、やれ反テロ戦争だと喧伝した勢力(日本では外務をはじめとする官僚機構)がいまだに後生大事に担ぐ日米安保条約、その「核の傘」の将来像も、誰の目にも明らかに浮かび上がってくると、わたしは思います。
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Marines wanna go home  田中宇さんの分析1

田中宇さんのメルマガには、いつも教えていただいています。わたしのアタマには難しすぎる分析もありますが、なんとか食らいついて数年が経ちます。

とりわけおとといの記事は、どうしても多くのみなさんに読んでいただきたく、URLを紹介すればすむことではありますが、あえて2回に分けて転載します。沖縄の基地のことが、歴史的経緯や今後の展望をふくめ、いっきに理解できます。わたしは、自分がなんとなく考えていたことが、「根源的」という意味でラディカルに論じられていて、十二分に納得し、また意を強くしました。

1回目の要点は以下のとおりです。
・普天間の基地が危険なのは、戦争末期、そこが米軍に占領されたあと、朝鮮戦争が始まるまで放置され、その5年の間に戻ってきたもともとの住民が、しかたなくその周りに密集して住みついたため。
・普天間が海兵隊基地として本格的に機能するのは、71年の沖縄返還直前に、日米政府が沖縄に米軍基地を移動させたときから。当時はベトナム戦争の最中だった。
・85年、アメリカは冷戦終結を見越して、沖縄の基地、とくに危険な普天間を返還し、軍全体を徐々に引き上げようとした。
・日本政府はそれを阻止すべく、「おもいやり予算」を増額し始めた。米軍基地は、日本政府が買収して、いてもらっているというのが現実。
・在日米軍の駐留費の75%は日本が負担していて、それは世界の国々が負担している米軍駐留費の半分に達する。
・そもそも海兵隊は紛争が起こりそうな地域に常駐する部隊ではなく、加えて技術革新により沖縄はおろか米本土外にいる理由をとっくに失っている。しかも、アメリカはかつての仮想敵、中国とパートナーシップを結んでおり、日本をめぐる地政学的条件は激変している。

9月2日にも書いたことですが、米海兵隊は「おもいやり予算」があるから沖縄にいるのです。では、なぜ日本政府は米軍を引き止めてきたのか、驚愕の事実は2回目の転載に譲ります。一気にそこまで読みたい方は、田中さんのメルマガのURLをクリックしてください。


田中宇の国際ニュース解説 無料版 2009年11月15日
http://tanakanews.com/

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★日本の官僚支配と沖縄米軍
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 この記事は「沖縄から覚醒する日本」の続きです。
http://tanakanews.com/091104okinawa.htm

 前回、沖縄のことを書いた後、状況をもう少し知るために沖縄に行って来た。11月8日に沖縄県宜野湾市で開かれた「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民集会」に参加した。翌日は、米軍施設の建設を止める運動が根強く続いている現場である名護市の辺野古(へのこ)と、東村の高江に行った。11月8日の県民集会は、米軍海兵隊の普天間基地(普天間飛行場)の移設問題に絡むものだった。今回は、私の沖縄訪問について書こうと思っていたが、いろいろ調べていくと、私個人の経験談を書く前に、書くべき巨視的なことがたくさんあることに気づいた。今回は、普天間基地の問題を中心に、日米同盟の本質について、自分なりに考えたことを書く。

 すべての飛行場には、離着陸する飛行機が墜落しても周辺住民を死傷させずにすむよう、滑走路の前後に、畑や山林、空き地、水面など、人が住まない地域(クリアゾーン、利用禁止区域)を帯状に用意する必要がある。しかし、普天間基地の周辺は、クリアゾーンがほとんど作れておらず、ゾーン内に住宅密集地や小学校が含まれている。基地の周辺は、びっしりと住宅街になっている(私は原付を借りて基地の外を一周した)。

https://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/ginowancity_futenma_masterplan.pdf
宜野湾市上空写真×普天間飛行場マスタープラン図

http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/070813_mayor_comment_heriroute1.pdf
米軍機の場周経路・侵入経路(宜野湾市ホームページ)

 普天間飛行場は、1945年4月に沖縄本島に上陸した米軍が、日本本土決戦に備え、戦火で焼け野原になった宜野湾市中心部の台地に急いで滑走路を作ったのが発祥だ。日本の降伏後、普天間飛行場は戦後5年間、使われない米軍基地として放置され、1950年の朝鮮戦争とともに再び米軍が使い始めた。この5年間に、もともと基地内の土地に住んでいた市民が、戦火を逃れた避難先や収容所から戻ってきたが、自宅の土地は米軍に強制的に借り上げられていたので、代わりに基地の周辺に密集して住むようになった。

https://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2581/2582/2008.html
普天間飛行場の概要

 普天間の北方には、米空軍の嘉手納基地がある。こちらは米軍が沖縄上陸時から、ずっと途切れなく飛行場として使い続けたため、避難していた地元住民が戻ってきたとき、飛行場の後背地を弾薬庫用地などとして広大に強制借り上げしてクリアゾーンを作った。しかも、嘉手納は滑走路の前面が海である。だが普天間は、米軍が基地として使わず放置していた間に地域住民が戻って家を建てたため、クリアゾーンがほとんどないままとなった。嘉手納と異なり、普天間の滑走路は海と平行している。米軍も、普天間は非常に危険な飛行場だと間接的に認めている。

http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/zone.pdf
普天間飛行場の事故危険性ゾーン資料

 日米両政府は、1971年の沖縄返還直前、駆け込み的に日本本土の米軍海兵隊のほとんどを沖縄に移動させる戦略をとったが、この時から普天間飛行場は本格的に海兵隊の基地になった。日本本土では、ベトナム反戦運動の影響で各地の米軍基地で海兵隊など戦闘要員の駐留に反対が強まったので、日本政府は、沖縄が米軍の占領下にある間に、本土の海兵隊を沖縄に移駐してもらい、本土復帰時に「沖縄は米軍基地の島」という既成事実ができているように仕組んだ。

 日本本土から沖縄に結集した海兵隊が普天間を拠点とした理由は、敵地への上陸・急襲作戦を任務とする海兵隊がヘリコプターを多用するので、クリアゾーンが欠如した普天間飛行場の使い道として、飛行機ばかりの空軍より海兵隊の方が良いという考えだったのだろう。しかし海兵隊も飛行機(固定翼機)は使う上、普天間は嘉手納を補助する役割も担ったため、飛行機の発着が多く、危険が残った。海兵隊を他の基地に移設し、普天間を閉鎖して土地を住民側に返還した方がよいという認識は、70年代から日米両政府にあった。

▼在日米軍を「買収」している日本政府

 米軍は、各基地の施設や設備についての計画を、数年ごとに「マスタープラン」としてまとめている。普天間基地については1980年と92年にマスタープランが作られた。これらは非公開文書だったが、92年計画を宜野湾市が入手し、公開した。その序文には「92年計画は80年計画を踏襲したものだが、それらとは別に85年にもマスタープランの草案が作られており、85年計画は草案が作成されたが採用されなかった」という趣旨が書いてある。

http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/123456789/6967/12/gabe2_02.pdf
MCAS FUTENMA, MASTER PLAN, June 1992

 これについて、沖縄の基地問題の専門家の間では「85年のマスタープラン草案は、普天間基地を閉鎖・返還する方向での施設計画だったのではないか」と推測されている。85年ごろ、海兵隊の司令官が地元の人々を招いて開いた宴会での挨拶で、普天間が危険な基地であることを認める異例の発言をしたことがあったという。

 当時の時代背景を見ると、米国のレーガン政権は82年にソ連と戦略兵器削減交渉を開始し、86年にはレーガンとゴルバチョフがレイキャビクで会談し冷戦終結に向けた話し合いが始まった。85年の段階で、米軍が冷戦終結を見越して、沖縄の基地を縮小する構想を持ち始め、一番危険な普天間基地の閉鎖・返還を考えたとしても不思議ではない。むしろ当然の話である。

 85年に米軍が普天間基地を閉鎖返還する計画を持っていたとしたら、なぜ91年の計画では再び恒久駐留の方針に戻ってしまったのかが疑問として残る。この疑問に対する私の答えは「思いやり予算」である。

 日米地位協定を根拠に、日本政府が米軍駐留費の一部を負担する「思いやり予算」は70年代に、基地で働く日本人の福利厚生や給料の一部を日本政府が出すことから始まったが、90年代に入って日本政府は負担を急増させ、米軍施設の光熱費や、施設の移転にかかる費用まで日本が負担するようになった。思いやり予算は、冷戦終結前後の10年間で4倍になり、年間約2500億円前後にまで増えた(95年以降は微減傾向)。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%9D%E3%81%84%E3%82%84%E3%82%8A%E4%BA%88%E7%AE%97
思いやり予算  ウィキペディア

 米軍は、80年代に冷戦終結を見越して日本から撤退していく方向を模索したが、それを見た日本政府が「駐留費を負担してあげるから日本にいてください」と頼んだ疑いが濃い。日本は、米軍を「買収」して駐留を続けてもらっている観がある。

 思いやり予算を出す前から、日本政府は、米軍基地用地の地代(賃料)や基地周辺住民への対策費も出しており、思いやり予算と合わせた総額は、85年に年間約3000億円だったのが95年には6000億円強へと倍増している(その後は微増傾向)。全部で4万人強の在日米軍は、一人当たり年間1000万円以上のお金を、日本政府からもらっている。こんなに金をくれるのだから、当然、米軍は喜んで日本に駐留し続ける。米軍が「次はもっと日本から金をふんだくってやろう」と思って高く吹っかける傾向になるのも自然な流れだ。

http://www.kasai-akira.jp/bt/updata/bt_20080327112334.pdf
在日米軍関係経費の推移

 05年の米国防総省の発表によると、日本政府は、在日米軍の駐留経費の75%(44億ドル)を負担している。世界規模で見ると、米軍が米国外での駐留で必要とする総額は年に約160億ドルといわれるが、そのうち米国自身が出すのは半分以下で、駐留先の地元国が85億ドルを負担している。44億ドルを出している日本は、全世界の地元国の負担の半分を一国だけで出してる。日本は、米軍の米国外での駐留費総額の4分の1を出している。日本だけが突出して米軍に金を出しているのだから、日本政府がその気になれば激減できるはずだ。日本政府が米軍を買収している構図は、ここからもうかがえる。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-9173-storytopic-3.html
“思いやり予算”日本突出 負担率、世界の50%超  2005年12月8日

▼海兵隊は米本土駐留が最適なのに

 普天間基地を拠点とする米軍の海兵隊は「第3海兵遠征軍」である。米軍海兵隊は3つの遠征軍で構成され、第1と第2は米本土に本拠地がある。第3遠征軍は米国外に本拠地を持つ唯一の遠征軍であり、1988年に正式に沖縄(うるま市のキャンプ・コートニー)に司令部が置かれた。すでに書いたように、日本駐留の海兵隊は沖縄返還直前(71年)から沖縄にいたが、正式に沖縄駐留となったのは88年である。この88年の正式化も、日本政府からの駐留費負担を急増してもらうことになったため、米側が形式を整えたのだろう。

http://en.wikipedia.org/wiki/III_Marine_Expeditionary_Force
III Marine Expeditionary Force   From Wikipedia

 海兵隊は、戦争が起こりそうな地域での恒久駐留が必要な軍隊ではない。軍人の生活上の利便性を考えれば、米本土に置くのが最良である。60−70年代のベトナム戦争、91年の湾岸戦争、03年のイラク侵攻のように、米国の方から戦争を仕掛ける場合には、米軍は何カ月も前から準備できるので、海兵隊を米本土から前線に送り出す時間は十分にある。

 50年の朝鮮戦争のように他国から同盟国が侵略された場合は、まずはその国の軍隊が応戦し、米軍は空軍戦闘機で援護し、その間に海兵隊を前線に空輸し、敵国によって占領されている地域に反攻的な急襲をかける。日本が他国から地上軍で侵攻された場合は、まず自衛隊が応戦する。そのために、北海道九州に陸上自衛隊が常駐している。そもそも、米国は世界中に諜報網を張りめぐらせているので、同盟国が攻撃される数カ月前に予兆を察知できる。米国は、ある日突然侵攻される状況になり得ない(わざと気づかないふりをして敵方の侵攻を誘発することは度々あるが)。

 このように考えると、海兵隊は日本国内に常駐する必要は全くない。特に、冷戦後はそうである。だから、沖縄の海兵隊は80年代に米本土に撤退を開始し、普天間基地を日本側に返還するつもりだったのだろう。それを日本が引き留め、駐留費を出して買収し、沖縄に駐留し続けてもらっている。海兵隊は、日本に金を出してもらえて、米国にいるよりも安上がりなので、沖縄にいるだけだ。

「地政学上の理由から、基地は沖縄になければならない」と「解説」する人がよくいるが、間違いである。米軍の現在の技術力からすれば、中国を仮想敵とみなす場合でも、沖縄に必要なのは、有事の際に使える港と滑走路だけであり、軍隊が常駐している必要はない(実際、米軍は冷戦後、沖縄本島より下地島の空港を有事利用したがった)。米国はここ数年、中国を戦略的パートナーとみなす傾向を強め、日本以上に中国を重視している。日本も、中国との東アジア共同体を作る方向に進んでいる。もはや中国は日米の敵ではない。これは地政学的な大転換であるが、米軍の沖縄駐留は必須だという人ほど、この地政学的な変動を全くふまえずに(意識的に無視して)語っている。茶番である。

http://tanakanews.com/b0605okinawa.htm
アメリカのアジア支配と沖縄

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なんだかなあの大統領

疾風(はやて)のようにやってきて、疾風のように去っていく……月光仮面ではありません(って、少々古いのですが)。合衆国大統領オバマさんです。

そんなことはどうでもいいのです。よくない!と言いたげな人びとも、テレビの中には散見されました。「中国には3泊する」「中国では若者とのトーク集会もする」……。そうした声をなだめるための「くすぐり」が、サントリーホールでのスピーチにはちりばめられていました。さすがアメリカ、さすがオバマさん、よくわかっていらっしゃる。

米中が接近すると日本が袖にされるのではと懸念する人びとは、ずっと前からいました。そういうことを口にするのは、従来の日米関係しかないと思い込んでいる向き、つまり共和党のアメリカと繋がってきた自民党系の人びとやメディアと考えていいと思います。日本の政権交代で対米関係が悪化するとか言う人も、みんなこの部類でしょう。そういう目で見ると、昨今、新聞の論説委員やテレビのキャスターやコメンテーターの色分けが、今まで以上にわかりやすくて面白い。

極め付きは川口順子サンです。このあいだ国会で質問に立って、「これはアメリカ大使館がインターネットテレビで監視してるんですよ」と、えらい剣幕で鳩山サンに言い募っていました。

若い人たちがよくやる、けっして感じのいいものではないリアクションをまねすると、「ハアッ?」です。それがどうした、です。どこの大使館でも、暇なら任地の国会はテレビウォッチするんじゃないでしょうか。川口サンは、「わたしは外務大臣として国会答弁していたとき、このくにの人びとではなくアメリカを意識して、アメリカに叱られないように、望むらくは気に入られるようにしゃべっていました」と白状したようなものです。

川口サンに代表される人びとは、嫉妬深い。そして疑心暗鬼です。つまり、自信がないんですね。「こんなこと言ったら嫌われちゃうかしら」「こうしてあげたら褒めてもらえるかしら」と、そんな心配ばっかりしています。鳩山サンは、そうではない対米外交を打ち出したのです。問題は、今回のオバマ来日でその姿勢を貫けたか、今後も日和らずに貫くかということです。

オバマ・スピーチは、無理して感動している人もいましたが、内容に新味ははなかったと思います。注目すべきは、その日本向けレトリックです。アメリカは今、アジアから、とくに中国などの新興国から「愛されるアメリカ」に大変身する必要に迫られています。物を買ってもらうため、そして国債を買ってもらうために。その思惑はオバマさんのスピーチの端々に伺えました。それは痛ましいほどで、却って凄味すら感じました。中国についても、そうした実際的な関係を強調して、日本の一部の人たちをなだめるのにやっきでした。

「向こうはなにしろお金を持っているからね、それをちらつかせて無理難題をふっかけてくるかもしれないんだよ。君もお金を持ってるけど、君はそんなことしない。貢いでくれるだけだ。さすがぼくの見込んだ君だ。なにしろぼくたちのつきあいは長いからね、来年でもう50年だよ。同盟だ、信じ合う仲なんだ。こんどは向こうに3泊するけど、君はなにも心配いらない。難しい相手だから、これくらいしないとならないぼくのつらい立場、君はわかってくれるよね。ぼくが心から信じているのは君だけだ、誓ってもいい。だから、この同盟、ぼくたちのいちばん重要な絆なんだから、君もたいせつに思ってくれ。そのためにも普天間のこと、早く決着つけようよ」

なにやら、ほかの女君のところに出かける光源氏が言いそうなセリフですが、オバマさんが日本で言いたかったのは、結局これに尽きるのではないでしょうか。わたしは演説全文を読んで、そう思いました。

そこで鳩山サンが情にほだされて、アジアにおける紫の上の役割を引き受け、物わかりよくなってしまっては困るのです。そんなことになったら、旧態依然の従属外交派となんら変わらなくなってしまう。普天間問題については、高官レベルで協議をするそうです。だったら、軍事や外交についてだけでなく、民主主義の分科会も設けていただきたい。日米は同盟(なんだかこのことばが連発されて、わたしはそのたびに心の中がぞわぞわしますが)ではなく、なによりも民主主義という価値観を共有する関係なのです。主権者の意向をうけて初めて権力の正統性が生じるのが、民主主義です。沖縄の民意を尊重するにはどうすべきか、協議する高官たちは、民主主義を一からお勉強し直してほしいと思います。
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「引き返す道はもうないのだから」表紙180


「引き返す道は

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・このブログから抜粋して、信濃毎日新聞に連載したものなども少し加え、一冊の本にまとめました。(経緯はこちらに書きました。)
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