新宿のネイキッドロフトはふしぎな場所です。コリアンタウンのはずれにあって、席数わずか30かせいぜい40。外との仕切りは透明ビニールシートで、表の職安通りを時折オートバイがバリバリ音立てて通り過ぎます。けれど、ここでの語り、歌、演奏は、自由度が高い。
12月13日、ここで原子力政策についてのトークライブがありました。司会は河野太郎さん(衆議院議員)、ゲストは飯田哲也さん(NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)と、 鈴木達治郎さん(原子力委員会委員長代理)です。豪華な顔ぶれにも拘わらず、参加費はビールなど入れても2000円ほどです。こういう討論をテレビでやってくれればいいのに。むりなのでしょうね。最後のほうで、メディアの問題もすこし取り上げられました。
当日はUSTREAMとニコニコ動画が中継し、アーカイブで見ることができます(こちら)。すべて書き起こしたくなる内容ですが、そうもできないので、インデックスをつくりました。何分経過した頃にどんな話題がとりあげられているかを書き出したのです。ご興味のあるところをご覧ください。全体は2時間ほどでした。
冒頭〜
なぜ核燃料サイクル政策に批判的な鈴木さんが原子力委員会委員長代理になったのか。
10:00〜
経産省の官僚主導でエネルギー政策が変質していき、国を挙げて原発輸出を推進する方向へ暴走していった。ここまでの話は、飯田さんが「世界」1月号にくわしく書いた。
21:00〜
ベトナムへの原発輸出は相手国として選ばれただけで、世界の「原子力ルネサンス」の内実は、インド中国をのぞけば言われるほどでもない。原発プラント輸出は経済・政治リスクがありすぎる。
31:00〜
IAEA非加盟のインドに原発技術を提供することへの懸念。鈴木さんも河野さんも、核不拡散の見地から反対していた。
40:00〜
原発輸出に政府保証はつけるべきでない。再生可能エネルギーや天然ガスのほうが現実的なのに、各国が原発をほしがるのは潜在的核技術のため。原子力委員会は市民の声を求めている。
50:00〜
六ヶ所再処理施設。ウラン不足を前提にした高速増殖炉などの原子力エネルギー長期計画は、狂いまくり、お金を使いまくっている。核兵器の原料であるプルトニウムの扱いは慎重でなければならない。
1:03:00〜
96年にもんじゅが止まったあと、核燃リサイクルはプルサーマルのためというりくつが浮上した。プルサーマルをするなら、遠くまで輸送しなくてすむところにまとめるべき。プルサーマルを佐賀県がOKしたら、六ヶ所でアクティブが始まり、リサイクルが完成したかのように喧伝されたが、九電の燃料はフランスからのもので、六ヶ所とは関係ない。詭弁。
1:17:00〜
原子力委員会が新しい大綱をつくるので、意見を寄せてほしい。会議は常に録画して翌日にはオープンにし、データを公開して透明性を高める予定。電力会社の圧力がかからないNHKは、もっと取り上げるべき。
1:27:00〜
電力会社の地域独占と高い電気料金のおかげで、高くつく原発が可能になっている。自然エネルギーのほうが、安いし、投資回収が早い。
1:34:00〜
放射性廃棄物の最終処分。技術的には基層処分が可能だが、フィンランドとスウェーデン以外はどこも立地に苦労している。最終処分のめどが立ってから六ヶ所は動かすべき。新設増設も10年凍結して議論すべき。1万年も心配しなければならない原発技術に頼らねばならないほどエネルギーは困ってない。NUMOのソフトなコマーシャルは、お金があまっているからやっているだけであり、無意味だし、よくない。
ふう。主な要点も押さえられたとは思えません。正確でもないだろうし、ここに書き出したことは、すべてが意見の一致点というわけではありません。かなり3人の共通認識であることを書いたつもりですが、結局、私がこれはと思ったことをメモしたに過ぎません。とにかく、すばらしい討論でした。お3人は、かなりの部分、事実認識や意見を共有していて、その上で見解の相違をわかりやすく提示してくださいました。こういう方がたがエネルギー政策を担当したらいいのに、と思いました。
無批判な原発推進派ではない鈴木さんのような方が原子力委員会委員長代理になったことは、千載一遇の僥倖と言うべきです。鈴木さんの任期中(あと2年)のうちに、いい方向が出るよう、ひいては次期委員長になってくださるよう願わずにはいられませんでした。
客席に、原子力委員会付きの、佐々さんとおっしゃる官僚の方が、自己申告によると、「鈴木さんのお目付役ではなく、お友だちという立場で」来ていました。ときどきコメントを求められていましたが、大綱策定会議の審議をUSTやニコ堂で配信することは、「メディア出身の委員が顔出しをいやがるのでむりかも」とおっしゃっていました。なんとエグイ現実、なんと正直な方。
河野太郎さん、すばらしい企画をありがとうございました。原子力委員会のサイト(こちら)は、たしかに意見を寄せることができるようになっていました。委員長代理は率直な意見を寄せてほしい、と繰り返していました。なにかあったら、私もここに投書しようと思います。
Tweet
12月13日、ここで原子力政策についてのトークライブがありました。司会は河野太郎さん(衆議院議員)、ゲストは飯田哲也さん(NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)と、 鈴木達治郎さん(原子力委員会委員長代理)です。豪華な顔ぶれにも拘わらず、参加費はビールなど入れても2000円ほどです。こういう討論をテレビでやってくれればいいのに。むりなのでしょうね。最後のほうで、メディアの問題もすこし取り上げられました。
当日はUSTREAMとニコニコ動画が中継し、アーカイブで見ることができます(こちら)。すべて書き起こしたくなる内容ですが、そうもできないので、インデックスをつくりました。何分経過した頃にどんな話題がとりあげられているかを書き出したのです。ご興味のあるところをご覧ください。全体は2時間ほどでした。
冒頭〜
なぜ核燃料サイクル政策に批判的な鈴木さんが原子力委員会委員長代理になったのか。
10:00〜
経産省の官僚主導でエネルギー政策が変質していき、国を挙げて原発輸出を推進する方向へ暴走していった。ここまでの話は、飯田さんが「世界」1月号にくわしく書いた。
21:00〜
ベトナムへの原発輸出は相手国として選ばれただけで、世界の「原子力ルネサンス」の内実は、インド中国をのぞけば言われるほどでもない。原発プラント輸出は経済・政治リスクがありすぎる。
31:00〜
IAEA非加盟のインドに原発技術を提供することへの懸念。鈴木さんも河野さんも、核不拡散の見地から反対していた。
40:00〜
原発輸出に政府保証はつけるべきでない。再生可能エネルギーや天然ガスのほうが現実的なのに、各国が原発をほしがるのは潜在的核技術のため。原子力委員会は市民の声を求めている。
50:00〜
六ヶ所再処理施設。ウラン不足を前提にした高速増殖炉などの原子力エネルギー長期計画は、狂いまくり、お金を使いまくっている。核兵器の原料であるプルトニウムの扱いは慎重でなければならない。
1:03:00〜
96年にもんじゅが止まったあと、核燃リサイクルはプルサーマルのためというりくつが浮上した。プルサーマルをするなら、遠くまで輸送しなくてすむところにまとめるべき。プルサーマルを佐賀県がOKしたら、六ヶ所でアクティブが始まり、リサイクルが完成したかのように喧伝されたが、九電の燃料はフランスからのもので、六ヶ所とは関係ない。詭弁。
1:17:00〜
原子力委員会が新しい大綱をつくるので、意見を寄せてほしい。会議は常に録画して翌日にはオープンにし、データを公開して透明性を高める予定。電力会社の圧力がかからないNHKは、もっと取り上げるべき。
1:27:00〜
電力会社の地域独占と高い電気料金のおかげで、高くつく原発が可能になっている。自然エネルギーのほうが、安いし、投資回収が早い。
1:34:00〜
放射性廃棄物の最終処分。技術的には基層処分が可能だが、フィンランドとスウェーデン以外はどこも立地に苦労している。最終処分のめどが立ってから六ヶ所は動かすべき。新設増設も10年凍結して議論すべき。1万年も心配しなければならない原発技術に頼らねばならないほどエネルギーは困ってない。NUMOのソフトなコマーシャルは、お金があまっているからやっているだけであり、無意味だし、よくない。
ふう。主な要点も押さえられたとは思えません。正確でもないだろうし、ここに書き出したことは、すべてが意見の一致点というわけではありません。かなり3人の共通認識であることを書いたつもりですが、結局、私がこれはと思ったことをメモしたに過ぎません。とにかく、すばらしい討論でした。お3人は、かなりの部分、事実認識や意見を共有していて、その上で見解の相違をわかりやすく提示してくださいました。こういう方がたがエネルギー政策を担当したらいいのに、と思いました。
無批判な原発推進派ではない鈴木さんのような方が原子力委員会委員長代理になったことは、千載一遇の僥倖と言うべきです。鈴木さんの任期中(あと2年)のうちに、いい方向が出るよう、ひいては次期委員長になってくださるよう願わずにはいられませんでした。
客席に、原子力委員会付きの、佐々さんとおっしゃる官僚の方が、自己申告によると、「鈴木さんのお目付役ではなく、お友だちという立場で」来ていました。ときどきコメントを求められていましたが、大綱策定会議の審議をUSTやニコ堂で配信することは、「メディア出身の委員が顔出しをいやがるのでむりかも」とおっしゃっていました。なんとエグイ現実、なんと正直な方。
河野太郎さん、すばらしい企画をありがとうございました。原子力委員会のサイト(こちら)は、たしかに意見を寄せることができるようになっていました。委員長代理は率直な意見を寄せてほしい、と繰り返していました。なにかあったら、私もここに投書しようと思います。
Tweet