April 01, 2005

ラファエロ 「聖チェチリア Santa Cecilia」

e3736066.jpgおそらく1513年から1515年の間。ボローニャ、国立絵画館。

これについて一本書いているので思い入れのある作品です。ボローニャに残る唯一のラファエロ作品で、以前は同じボローニャのサン・ジョヴァンニ・イン・モンテ教会にあったのですが、1798年にナポレオンがフランスへと持って帰ってしまいました。板絵の画層だけをはがして布にうつして丸めて持って帰るという、かなり乱暴な持ち去り方だったのですが、何度も修復されて、比較的良い保存状態で今に伝えられています。ナポレオン失脚後の1815年にフランスから返却され、それ以来国立絵画館にて保存、展示されています。
エレーナ・ドゥリオリ・ダッロリオDall’Olioという女性(後に列福)が注文したものです。彼女はモンテ教会内の聖チェチリアの聖遺物の前で幻視を見たことがきっかけで、当時の人気画家ラファエロへ同聖女の主題の絵を発注したのです。彼女は二人の知人を介してラファエロのパトロンである教皇レオ10世にお願いをし、聞き入れられました。教皇は1515年にボローニャを訪れているので、この時に作品が搬送されたかもしれず、随行したはずのラファエロが直接エレーナに納品したかもしれません。
エミリアーニが推察しているように、これは教皇領でも扱いにくい都市だったボローニャへの、政治的なプレゼントの意味合いがあったかもしれません。

中央で楽器を持って法悦の表情を浮かべているのが聖チェチリアです。左に聖パウロと福音書記者聖ヨハネ、右に聖アウグスティヌスと聖マグダラのマリアが並んでいます。この聖女がこの時期に好まれた題材だったことなどにはそれなりの面白い理由があるのですが、これは聖人便覧のカテゴリーでいずれ扱いましょう。聖女のこの格好も、当時の古代遺跡発掘などの成果を受けています。
ともあれ、この絵によって、聖チェチリアの図像は以後このスタイルをもとに描かれていくようになりました。

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