June 21, 2006

ルーヴル美術館展(東京芸術大学美術館)

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三週連続の展覧会見学の学外引率も今週が最後です。東京芸術大学美術館で開催中のルーヴル美術館展を観にいきます。<神話>が前半のテーマだった二年ゼミの学生さんたちが対象です。

 

昨年、横浜でやはりルーヴル美術館展があったのですが、あちらはアングルなどの絵画作品のコレクションで、今回は古代の彫刻作品が中心です。

 

図版は<ボルゲーゼのアレス(マルス)>です。私は東京芸術大学の出身なのですが、入学試験に石膏デッサンが三時間ほど(五時間だったかな)あるため、高校の美術室でひとり石膏デッサンをして準備しました。本番は結局ブルータスが出たように記憶していますが、練習で描いた作品のひとつがまさにこのアレスでした。自分たちが石膏デッサンのモデルとしていた作品のオリジナルなわけですから、それだけでなんとなく懐かしいような気持ちになるものです。

ボルゲーゼと呼ばれる所以は、ナポレオンがボルゲーゼ家から購入したためで、こうした作品群にはたいていこの“ボルゲーゼの”という名前が付いています。

二千年ほど前の作品ですが、それでも“コピー作品”であると説明すると学生さんはたいてい驚きます。前5世紀ごろの古代ギリシャにおいてブロンズで制作された彫刻作品には、こうした大理石によるコピーがかなり制作され、錆びない大理石作品の方がむしろ残っていることが多いのです。コピーといっても原作に忠実なものですし、年代的な重要性からも、当然ながらオリジナルと同等の価値を持つものとして扱われています。

大理石作品では、折れやすい細部を保護したり重さを逃がすために、もとのブロンズ作品には無かったはずの、指と指の間の支えや、このアレスのような背後の木などが加えられることがよくあります。

内覧会でまじまじと観てきました。ルーヴルには何度も行ったはずなのに、不思議なものでここまでじっくりこの作品を観たのは初めてでした。石膏モデルではわからない質感や、背中の筋肉の雄々しい盛り上がりなど、なかなかに楽しめました。

 

今回の展覧会には古代の良質な作品が山のように来ています。彫刻作品は図版で味わうことは不可能ですから、貴重な鑑賞機会です。また、当時の人々の生活を窺うことのできる興味深い作品群がかなり来ていることも見逃せない点です。 



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この記事へのコメント
こんばんは。
ルーヴル行くとどうしてもこういった彫刻作品は
二の次、三の次になってしまいますよね。
私も駆け足でしか観た記憶ありません。

今回は、ダ・ヴィンチもフェルメールもないので
心落ち着けて鑑賞できるはずです。きっと。

楽しみにしています。
よろしくお願いします。
Posted by Tak at June 21, 2006 21:28
おはようございます。駆け足で観たというよりもその間を通り抜けてしまったルーブルの古代彫刻を国内でゆっくりと観ることができるこの展覧会! 期待しています。
Posted by とら at June 22, 2006 07:50
> Takさん

かなり混んでいるようです。植物画展のときなどはゆったりと見学引率できたのですが…

例の日程も調整しないといけませんね
Posted by ike at June 24, 2006 08:50
> とらさん

実際のルーヴル美術館は数が多すぎるのでしょうね、一点一点の鑑賞時間はけっこう短くなってしまいます。私もいつも「通り抜けて」しまう感じです。
Posted by ike at June 24, 2006 08:52
今日もまた色々とお世話になりました。
おかげでふだん通過してしまう彫刻作品も
「こんな見方があるのか〜」と感心しつつ
素人なりに鑑賞することできました。
感謝感謝です。

TB送らせていただこうとしたのですが
どうもうまくいかないようです。スミマセン。
Posted by Tak at June 25, 2006 00:34
> Takさん

TBちゃんと届いております。いつもながら素晴らしい記事、ありがとうございます。

今年前半の引率+鑑賞会は、今回のギリシャ美術の中村るい氏や、プラド展の時の、スペイン美術専門家の貫井氏や小倉氏など、理想的な同行講師の方々にご同行いただけたのが何よりの素晴らしい幸運でした。

また秋以降も何かご一緒したいですね。
Posted by ike at June 25, 2006 22:24
池先生

土曜日は中村先生もご一緒にご引率していただきまして
大変ありがとうございました。

ギリシャの神々はやはり凛々しくて美しかったです。

360度ぐるっと像を見回すと立体的な美に圧倒されて
絵画を観る時と違うインパクトで造形美を堪能でき
ました。

今月はご講師の皆様にもご指導していただきまして
素晴らしい鑑賞会となりました。鑑賞会一同、御礼
申し上げます。
Posted by Julia at June 26, 2006 08:03
今回は、中村先生の専門家ならではの解説が聞けてとても勉強になりました。
人の多さにメモが取れなかったのが悔やまれますが。。。
このような理想的な場をご用意いただき、ありがとうございました!
Posted by Nikki at June 26, 2006 21:44
予想以上に素晴らしい作品が来ていたので驚きました。
またご専門の先生の話はポイントがはっきりしていて理解しやすかったと思います。ありがとうございました。

TBが反映されないので、感想記を載せたHPのアドレスを「とら」の名前と下記に張り付けてみます。
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/Children061.htm#060624
Posted by とら at June 27, 2006 23:14
> Juliaさん

皆さんのレポを拝見していると、やはり混みすぎで、というご感想が多いようですね。せっかくの理想的な講師にご同行いただいたのに、ちょっとだけ残念です。
Posted by ike at June 28, 2006 16:46
> Nikkiさん

では例の会合で!
Posted by ike at June 28, 2006 16:47
> とらさん

TB、うまくいきません、すみません。

素晴らしい作品群でした。数多くの方々がその良さに気づかれてあれほどの入場者で賑わっていること、美術史に携わるものとして幸せに思います。
Posted by ike at June 28, 2006 16:49