皆様、こんにちは~

 先日の「成人バレエ愛好者のためのセミナー」で、撮らせて頂いた写真の中で、2名の方から「足首が伸びない、足の甲が出ない(足関節・足部の底屈制限)」という訴えがありました。

 このテーマ(足関節・足部の底屈制限)は、バレエをやっている方にとって、最も関心が高いテーマなんですよね^^;

 というわけで、今回は「足首が伸びない、足の甲が出ない(足関節・足部の底屈制限)」をテーマに書いていきたいと思います。

 
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①②この方は、50歳代半ばでバレエの練習回数週3回、バレエ歴は20年です。


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③④こちらの方は、50歳代半ばでバレエの練習回数週1回、バレエ歴4年です。



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二人とも、「足首をもう少し伸ばしたいけど、何とかならないか」という希望や疑問を持っていました。

バレエでは、足関節と足部を最大底屈して使います。

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⑤足関節と足部を最大底屈してトウシューズで立った時の荷重軸は、脛骨、距骨(黄色の矢印部分)、舟状骨、ケツ状骨、第2,3中足骨、第1~3足指です。

 足関節の底屈角度が足りないとトウシューズでうまく立てません。

 バレエダンサーは、脛骨と距骨の軸の角度(脛距角)が165度くらい必要だそうです。脛距角が150度くらいだと、足の甲がきれいに出ないと言われています(小川正三著:ダンサーズヘルスケアブック)。

 
 また、足部の底屈は、距骨(黄色の矢印部分)、舟状骨、ケツ状骨、第2,3中足骨、第1~3足指をつなぐ各関節で少しずつアーチを描くように行われてもいます。

 底屈の可動域は、それぞれの骨の形によってある程度決まっています。

骨の形でとくに問題となるのは、距骨の後ろ部分の形状です。一般的には距骨の後方が丸くなっているので、その場合は足関節の底屈可動域に問題はありません。しかし、距骨の後方が突起状になっている(距骨後突起)場合や過剰骨(三角骨)がある場合は、足関節の底屈を制限します。

 距骨後突起や三角骨の存在は足関節の底屈を制限するため、トウシューズで立った時のアライメント(足関節と足部を最大底屈してトウシューズで立った時の荷重軸は、脛骨、距骨、舟状骨、ケツ状骨、第2,3中足骨、第1~3足指)が正しくできないので、足関節の前方や後方の痛みの原因になっています。

 距骨後突起や三角骨があるかどうかはレントゲンを撮ればわかります。三角骨があって痛みなどの炎症を繰り返し手術で三角骨を除去しているバレエダンサー&バレエ愛好者の方も多いです。三角骨はバレエにとって重要なテーマなのですが、今回は足に痛みはないけど足首や足の甲が伸びない方をテーマに書いていきたいと思います。

術者が他動的に足関節や足部に牽引をかけながら底屈を矯正することによって、その方の最大底屈の可動域を示すことができます。

 ①②の方を、私が足関節・足部を引っ張りながら底屈してみました。彼女の足関節の底屈可動域はやや制限があるくらいでしたが、バレエをするのに問題がある程度ではありませんでした。しかし、中足部(足の甲の部分)の底屈可動域が少なかったです。彼女は、バレエ歴20年、週3回のレッスンをしていますので、バレエも上手ですし、トレーニングもよくやっています。したがって、足関節や足部のコントロールは良くできている方だと思います。でも、今後のトレーニングによってまだ底屈可動域が増加する可能性もあります。

 ③④の方も、私が足関節・足部を引っ張りながら底屈してみました。するとこの方は、③④の写真よりも足関節も足部も底屈可動域が大きかったのです。自分で底屈した時よりも、他動的に底屈した方が可動域が大きくなることは、彼女の足がまだトレーニングによって底屈できる可能性を示しています。彼女は、バレエ歴4年、週1回のレッスンですので、バレエ愛好者としては初心者でもあります。バレエのレッスン回数を増やしたり、セラバンドなどで足のトレーニングを続けることで、まだまだ足を底屈できるようになるわけです。

 それは、何故なのか??

 解剖学を復習しましょう^^

「立て膝のストレッチ」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/20803386.html

バレエの動きでなるべく腓腹筋を使わないようにする理由の一つには、腓腹筋は膝裏を通過しますので腓腹筋を収縮させると膝が曲がりやすいのです。
 また、
腓腹筋ヒラメ筋は、アキレス腱となって踵骨の後ろについていますので、下腿三頭筋を収縮させることによって足首の後ろを縮めてしまいます。それによって三角骨障害が起こりやすくなります。また足首の後ろを縮めることによって、距骨の動きが悪くなりルルベやポアントでのアライメント異常を起こすため、色々な足の痛みに関連しています。 

 ③④の方は、自分で底屈した時よりも、他動的に底屈した方が可動域が大きくなりました。つまり、「術者が他動的に足関節や足部に牽引をかけながら底屈を矯正することによって、その方の最大底屈の可動域を示すことができる」という状態を、自分で行えるようになれば今よりも底屈可動域が出るわけです。

 その方法は、筋肉の使い方にあるのです。

 結論から言ってしまうと・・・

足首を伸ばした時、アキレス腱が筋張って見えるのは、腓腹筋ヒラメ筋を使って足首を伸ばしているからなんです^^;バレエでは、足首を伸ばす時にアキレス腱のスジが見えないように伸ばさなければいけません^^;

 「色々な足 1 」に出てくる先生方のアキレス腱がきれいにしまわれていることに注目してください^^

http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/6131136.html

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⑥⑦⑧下腿部の後面深層にある後脛骨筋、長指屈筋、長母指屈筋と、にある長腓骨筋、短腓骨筋を筋力強化をすることで、足首の後ろを縮めずに距骨を前に押し出して、足関節の最大底屈ができるようになります

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⑨⑩また、下腿部の前面にある前脛骨筋、長母子伸筋、長子伸筋、第3腓骨筋を効率よく使うことで、足指を伸ばしたり、関節に空間を作ることができるのです。

 例えば、セラバンドを使って足指でグーパーをするトレーニングがあります。
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/5153650.html

 このトレーニングは、始めての方には難しいと思います。足指を曲げる筋肉と伸ばす筋肉のバランスが悪いと中々うまくできません。

 バレエでは、足裏の筋肉が重要と言われていますが、足背の筋肉を使うことも重要なのです。例えば、トウシューズの中の足指は、床に突き刺すように指を伸ばして使わなくてはいけません。また、足指・足関節・膝関節・股関節などの各関節に空間を作るようにして関節を動かすなどの使い方は、上体の引き上げと、足部の先端の筋肉で引っ張り合うように使うことが重要なのです。

 それから、もう一つ重要なポイントは、足首よりも先にある筋肉【足筋(足の内在筋)】の強化です。足の内在筋には、以下のようたくさんの筋肉があります。

足背:短母子伸筋、短子伸筋
足底:母子球筋:母子外転筋、短母子屈筋、母子内転筋
    小指球筋:小指外転筋、短小指屈筋、小指対立筋
    中足筋:短子屈筋、足底方形筋、虫様筋、底側骨間筋、背側骨間筋

 これらの筋肉は、共同また拮抗しながら足部の細かい動きをします。バレエにとって重要なことは、これらの筋肉を強化することで、足の甲のアーチを作ることにも作用します。


 写真のモデルさんたちも、成人からバレエを始めたというデメリットも多少ありますが、下腿の深層筋や足の内在筋を強化することによって、今現在よりも足関節・足部の底屈可動域が増加していくと思います
筋肉というのは、何歳になってもトレーニングによって変えられるものなんです

 バレエって、本当に奥が深いですよね^^;
でも、50歳代になってもトレーニングよって変えられることがまだあることがわかれば、頑張れます


 私も、少しでも皆様のお役にたてるように、これからも頑張って勉強していきます


 ふ~年内に間に合った~ 来年も宜しくお願いします
 皆様も、良い年をお迎えくださいませ



いけちゃん


 池島接骨院
http://homepage3.nifty.com/ikejimasekkotuin/