皆様、こんにちは~


 足底板を使用しているプロダンサーの方が、足底板の調整にみえました

 以前のブログはこちらです

(151)「プロダンサーの足底板」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/48524369.html


☆ 歩行評価 ☆


 1年ぶりに彼女の歩行評価をしたのですが・・・

 う~ん、なんか変な歩き方をしてるなぁ・・・・


 プロのダンサーは、振り付けによって色々なダンスをします。舞台に向けて、一定期間、特殊な動きを、繰り返し繰り返し練習します。

 足でいえば、トウシューズやバレエシューズ、ダンスシューズ、時にはハイヒールや裸足、草履などなど、何でもありの世界です


 一般的に、足の誘導方向が頻繁に変わることは少なく、足底板の調整を1年に2~3回すれば大丈夫です。(ケガや手術をした後の回復期には変化が激しいこともあり、2~3カ月に一度の調整が必要な場合があります。)

 ところが、プロダンサーの彼女は、足の使い方などが定期的に変わるため、2~3カ月に一回、足の誘導方向が変わることも多いのです。もちろん、足だけでなく、身体全体の状態も同様です。


 それにしても、この歩行、変だなぁ・・・今までになかった、彼女の歩行パターンだなぁ・・・

 すると、彼女が「1か月以上前に、ふくらはぎの打撲をしたんですよ」と。

 ふ~ん・・・ えっ!? ちょっと、ふくらはぎ、触らせて・・・

 やっぱり・・・


 彼女のふくらはぎの外側、腓骨筋に沿って硬結があり、腓骨筋の滑走不全を起こしていました。

 彼女の歩行が、右足だけ後足部が回内できない歩行パターンになっている原因は、打撲の後遺症によって、腓骨筋の滑走不全になっていることが考えられました。


歩行の際、かかとを接地すると後足部がわずかに回内して、足部を安定させています。

足の痛みなどで通院する方で、この「かかとを接地すると後足部がわずかに回内」するということが、うまく出来ていないパターンが多くあります。

例えば、偏平足の人でかかと接地の際に回内しすぎる過回内足の人と、かかと接地の際に中間位か回外のままの過回外足の人です。

また、腓骨筋の滑走不全があると、腓骨の動きが悪くなるため、後足部の回内ができにくくなることがあります。  
 腓骨筋の滑走不全はどのようなときに起こりやすいかというと、元々後足部が過回外足で回内可動域の少ない人、過回内足・過回外足などの足のタイプに関わらず足関節捻挫を繰り返している人、足関節周囲の骨折や打撲、腓骨筋腱炎などがあると起こりやすいと考えられています。


 足の解剖学や用語がわからない方は、以下のブログも参考にしてください

(74)「シンスプリント 1 (どのような足のタイプに多いのか)」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/36687284.html
(36)「有痛性外脛骨のテーピング 2 」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/20386970.html 
 
(38)「膝立ち・つま先立ちのストレッチ」
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/20803386.html


 さて、なぜ腓骨筋の滑走不全があると、腓骨の動きが悪くなり、後足部の回内ができにくくなるのでしょうか?

 次は、私の大好きなマニアックな内容なので、興味のない方は読み飛ばして、後半だけお読みください^^;


☆ 腓骨の動きに関する解剖学 ☆

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①これは足関節を前面から見たところです。(「結果の出せる整形外科理学療法、運動連鎖から全身をみる」より)

 足関節(距腿関節)は、脛骨(右側の太い骨)と腓骨(左側の細い骨)と距骨(脛骨と腓骨の下方にある骨)によって構成されています。

 三つの骨にはそれぞれに対応する関節面があり、ほぞ穴(ankle  mortise、果間関節窩)になっています。

脛骨の内果は、腓骨の外果よりも上方、前方に位置し、内外果を結んだ線は膝関節軸に対して外旋しています。この構造は、外がえしの方向へは骨性要素で安定をよくし、内がえしの方向へは骨性制限が弱いため足部が不安定になります。(その不安定性により、内がえし捻挫が多いのです。)

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三つの骨は、脛骨の内果と距骨が三角靭帯、腓骨の外果と距骨が前・後距腓靭帯、脛骨と腓骨が前・後脛腓靭帯でそれぞれ連結されています。(腓骨の外果と踵骨の間にも踵腓靭帯があります。)(これらの靭帯は、足関節捻挫のときに損傷する靭帯ですので、チェックしておいてくださいね^^)

 足関節(距腿関節)を背屈するとankle  mortiseに挟まれて骨性に安定しますが、足関節(距腿関節)を底屈すると不安定になります。

 足関節(距腿関節)を背屈すると腓骨は開排・挙上・内旋し、足関節(距腿関節)を底屈すると腓骨は集練・下制・外旋します。

 つまり、腓骨は、足関節(距腿関節)を背屈・底屈するときに、安定をよくするために外側や内側へ、上方や下方へ、内側や外側に回旋したりして動いているのです。

 その動きは、骨性要素だけでなく、筋肉も重要な働きをします。(ああ、やっと、大好きな筋肉の話にたどりついた^^;)

 
 前足部に体重をかけて足関節(距腿関節)に底屈がおこると、腓骨に付着し足アーチを形成する長腓骨筋・後脛骨筋・長母指屈筋が活動し、腓骨を引き下げてankle  mortiseを深くし、15~20度斜走している下腿骨間膜に導かれて外果を内方移動させ、荷重時の外側支持を有効にしています。(「結果の出せる整形外科理学療法、運動連鎖から全身をみる」より)


 そこで、腓骨筋の解剖学を復習してみましょう^^

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③④

 長腓骨筋は、脛骨の外側、腓骨頭、腓骨の外側から始まり、外くるぶしの後ろを通り、第5中足骨の後ろを通り、内側けつ状骨と第1中足骨の裏につきます。

 
短腓骨筋は、長腓骨筋の下層にあり、腓骨の外側面から始まり、外くるぶしの後ろを通り、第5中足骨の付け根についています。

腓骨筋の作用(役割)は、足の底屈と回内です。

腓骨筋の滑走不全があると、腓骨の動きが悪くなるため、足関節(距腿関節)を背屈すると腓骨は開排・挙上・内旋底屈すると腓骨は集練・下制・外旋などの動きを制限し、荷重したときに腓骨が挙上しないため、かかと接地のときに後足部が回内しにくくなるのです。



☆ 歩行評価の続き ☆


 彼女の腓骨筋に滑走不全を見つけた私は、歩行評価の途中で腓骨筋のリリースをさせてもらいました。

 基本的に足底板の患者さんに施術は行わないのですが、彼女の場合は今まで何度も通院していたこともあって、ある程度彼女の身体の状態を把握できましたので、丁寧に腓骨筋のリリースをしました。

 かかと接地をしたときに回内できないということは、足関節捻挫のリスクが高くなるので、舞台前の彼女をこのまま返すわけにはいきませんでした^^;


 それから、今回の彼女の主訴は、右足の外反母趾の痛みでした。

 私は、2年以上彼女の足を見せてもらっていますが、今までに一度も外反母趾の痛みを訴えたことはありませんでした。

 彼女の歩行が、右足だけ後足部が回内できないパターンになっていることによって、蹴り出しの時に急激に親指に乗ってしまうために外反母趾の痛みが出ている可能性がありました。

 打撲をしたときは、もちろん局所のマッサージなどはしてはいけないわけですが、組織内で皮下出血が起こり、その修復がうまく出来ずに、筋肉の硬結や滑走不全が残ってしまうことがあります。

 筋肉の硬結や滑走不全は、骨や関節の動きを悪くしますので、正常な動きのパターンを阻害します。

 彼女の足には、足底板だけでなく、腓骨筋のリリースなどの施術が必要だと感じたのです。


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⑤日常生活で使用するスニーカー用の足底板を調整し、今回はダンスシューズとダンス用のパンプスにもパットを貼って対応しました^^

 本番、頑張ってくださいね~



 私は、そんなダンサーさんを心から応援しています



 
目次(過去記事をお探しの方のために)
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/46271926.html
ストレッチ総集編
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/39591859.html
色々な足総集編
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/48241232.html
足のトレーニング総集編(三角骨、長母趾屈筋腱炎・腱鞘炎)
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/47792766.html
足関節捻挫後のトレーニング(リハビリ)
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/49979025.html
テーピング総集編
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/50408725.html
足底板と靴の総集編
http://blog.livedoor.jp/ikejimasekkotuin/archives/52301213.html







いけちゃん


 池島接骨院

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