アニメ『鬼平 ONIHEI』の感想をリクエストされました。
毎週楽しく見ているんですが、いまさら書くってのも遅すぎる気がするんで、ざっくりした感想で行きます。
池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をアニメ化だ。
シブい。シブすぎる選択だ。
これって、どの辺の層を狙ってんだろ。
前に『ジョーカー・ゲーム』が同じ堀内賢雄主演でアニメ化していたんですが、シブいおっさん主人公アニメには底堅い需要があるんだろうか?
『鬼平 ONIHEI』も『ジョーカー・ゲーム』も面白いので、こういう路線も良いんですが。
鬼平と言えば、中村吉右衛門の鬼平というイメージが強い。
それに比べると、『鬼平 ONIHEI』は若い。
もう、お頭出すぎ! って感じにすぐ突出してしまう。
応援もまたず単騎突入が多いですよ。
命がけのお勤めしてんな!
ただ、この鬼平は若き日の鬼平なんだろう。
あんまり美食に舌鼓をうたないし。
もうすこし年をとると突撃も落ち着いて、美食もするようになるのだろう。
ところで、歴史上の長谷川平蔵はどんな人間だったのだろうか?
シグルイ感想などで二回ほど参考にした『旗本たちの昇進競争 鬼平と出世』(AA)に幾つかエピソードが書かれているので、これまたざっくり紹介します。
鬼平こと長谷川平蔵は庶民の人気バツグンだったらしい。
下々への思いやりにあふれ、罪人にたいしても温情をかけ、無宿の更生施設を設けるように建言したこともある。
『鬼平 ONIHEI』でも描かれているように、元犯罪者を目明し(岡っ引き)として雇う。
目明しは禁止されているらしいんで、上の評判は悪かったそうだが。
そう、長谷川平蔵は庶民の人気が高いのだが、それが嫉妬を買って出世できなかったのだ。
江戸時代は家柄で出世できる限界がだいたい決まっている。
長谷川平蔵は充分に奉行になれる家柄だったのだが、いつまでも火付盗賊改方という激務を押しつけられたまま出世できず、病死したのだ。
『よしの冊子』に平蔵の言葉が書かれている。
『平蔵は天役もなく、どれだけ職務に励んでも昇進の声がかからないので、大いに嘆息し、「もうおれも力がぬけ果てた。しかし越中殿の御ことばが涙のこぼれるほどありがたいから、それだけを力に勤めるほかには何の目当てもない。これではもう、酒ばかりを呑んで死ぬことになるだろう」と、同役などへ愚痴をこぼしているということだ。』
越中殿とは老中の松平定信のこと。
長谷川平蔵は出世できず無念のなかに死んだのかもしれない。
だが、庶民は平蔵の温情と活躍を感謝し、忘れずにいた。
教科書には松平定信の名前しか出てこないかもしれないが、現代人にとって長谷川平蔵――鬼平のほうがはるかに知名度がある。
鬼平の活躍はけっして無駄ではなく、二百年以上たった今でもその輝きが残っているのだ。
それを知れば長谷川平蔵の魂も、こぼすのはグチでなく涙のほうかもしれない。
毎週楽しく見ているんですが、いまさら書くってのも遅すぎる気がするんで、ざっくりした感想で行きます。
池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をアニメ化だ。
シブい。シブすぎる選択だ。
これって、どの辺の層を狙ってんだろ。
前に『ジョーカー・ゲーム』が同じ堀内賢雄主演でアニメ化していたんですが、シブいおっさん主人公アニメには底堅い需要があるんだろうか?
『鬼平 ONIHEI』も『ジョーカー・ゲーム』も面白いので、こういう路線も良いんですが。
鬼平と言えば、中村吉右衛門の鬼平というイメージが強い。
それに比べると、『鬼平 ONIHEI』は若い。
もう、お頭出すぎ! って感じにすぐ突出してしまう。
応援もまたず単騎突入が多いですよ。
命がけのお勤めしてんな!
ただ、この鬼平は若き日の鬼平なんだろう。
あんまり美食に舌鼓をうたないし。
もうすこし年をとると突撃も落ち着いて、美食もするようになるのだろう。
ところで、歴史上の長谷川平蔵はどんな人間だったのだろうか?
シグルイ感想などで二回ほど参考にした『旗本たちの昇進競争 鬼平と出世』(AA)に幾つかエピソードが書かれているので、これまたざっくり紹介します。
鬼平こと長谷川平蔵は庶民の人気バツグンだったらしい。
下々への思いやりにあふれ、罪人にたいしても温情をかけ、無宿の更生施設を設けるように建言したこともある。
『鬼平 ONIHEI』でも描かれているように、元犯罪者を目明し(岡っ引き)として雇う。
目明しは禁止されているらしいんで、上の評判は悪かったそうだが。
そう、長谷川平蔵は庶民の人気が高いのだが、それが嫉妬を買って出世できなかったのだ。
江戸時代は家柄で出世できる限界がだいたい決まっている。
長谷川平蔵は充分に奉行になれる家柄だったのだが、いつまでも火付盗賊改方という激務を押しつけられたまま出世できず、病死したのだ。
『よしの冊子』に平蔵の言葉が書かれている。
『平蔵は天役もなく、どれだけ職務に励んでも昇進の声がかからないので、大いに嘆息し、「もうおれも力がぬけ果てた。しかし越中殿の御ことばが涙のこぼれるほどありがたいから、それだけを力に勤めるほかには何の目当てもない。これではもう、酒ばかりを呑んで死ぬことになるだろう」と、同役などへ愚痴をこぼしているということだ。』
越中殿とは老中の松平定信のこと。
長谷川平蔵は出世できず無念のなかに死んだのかもしれない。
だが、庶民は平蔵の温情と活躍を感謝し、忘れずにいた。
教科書には松平定信の名前しか出てこないかもしれないが、現代人にとって長谷川平蔵――鬼平のほうがはるかに知名度がある。
鬼平の活躍はけっして無駄ではなく、二百年以上たった今でもその輝きが残っているのだ。
それを知れば長谷川平蔵の魂も、こぼすのはグチでなく涙のほうかもしれない。
やはり歴史に詳しいとらさんの感想は読み応えがありますね。
今後も可能な限りで構いませんので、戦記ものや歴史もののアニメの感想など書いていただけたら幸いです。