2017年4月13日(20号)
第4部 第153話「絶対的無双」 (1132回)

 現代によみがえった剣豪・宮本武蔵とSTAT(特殊戦術急襲部隊)の死闘もクライマックスだ。
 武蔵がついに二本目を抜く。
 宮本武蔵の代名詞である二刀流だッ!

 両手に刀をもち、上方にかかげる姿は範馬勇次郎のポーズに似る。
 宮本武蔵と範馬一族は血縁関係にあるかも説ですね。
 普通は両手で使用(つか)う日本刀を片手で使用(つか)う。
 常人の二倍の筋力が欲しいところだ。
 やっぱり範馬的な天然パワーをもっているのかも。

 さて、ここで回想開始だ。
 STAT副長の警部・田沼彦二は部下から質問を受けていた。
 日本刀一本だけしかもたない相手に発砲して良いのか、と。

 やはり、STATは銃撃をためらっていたようだ。
 精鋭部隊の誇りとして、銃をもたぬ相手に発砲できないのだろう。
 飛び道具を持たぬ相手を射殺するぐらいなら、死んだほうがマシという高いプライドがあるのかも。
 負けること、死ぬことが恥じではない。銃を持たぬ相手に発砲することが恥なのだ。
 精鋭には命よりも大事なものがある。誇りだッ!
 うむ、少年マンガっぽい。

 田沼は相手が誰であろうと、銃を持っていなかろうと、遠慮しないと言う。
 これもまたプロ意識だ。
 任務を達成してこそプロである。
 社会人の大人としては、こっちの方が好きだな。

 副長だけあって田沼は常識的なことを言う。
 だが、残念なのは田沼がNo.2であることだ。
 隊長の島本頼至は武蔵をナメきって不用意に近づき、武蔵を見失った。
 島本が斬られて、田沼が指揮を引きついだ時点で、すでに詰んでいたのだ。

 野球で言えば、9回に20点差でマウンドを託されたようなものである。
 ハッキリ言って敗戦処理ですね。
 やることは、プレッシャーの無い状況で自分の実力を見せる自己アピールぐらいだ。

 最初から田沼が指揮をとっていたら、普通に距離を取って、普通に一斉射撃して、普通に圧勝していただろう。
 美学も誇りもない、釣り堀での釣りよりも楽な勝利だ。
 精鋭部隊の誇りが凡庸な勝利を許さなかったのだろうか。
 確かに絵にならないし、一方的な虐殺で印象が悪そうだ。

 勝利を追及する方へのプロ意識にあふれている田沼は、武蔵に斬殺された。
 そして、宮本武蔵が二刀を抜く。
 銃器を持たぬ相手に銃は使えない。
 STATたちは、誇りとともに死ぬしかないのか!?

「動きなさるな」
「動けば本人――」
「或いは誰かの首が跳ぶ」


 宮本武蔵が宣言する。
 もちろんSTAT隊員は死など恐れていないのだろう。
 だが、射殺する覚悟ができていない。
 動いてもやることが無いから動けないのかも。

 田沼につづく、No.3は名乗り出ないようだ。
 STATたちは指揮官不在で動けない。
 最小単位である5~10人ぐらいの隊に隊長がいると思うのだが、この場には名乗りでれないのか。
 警察官も公務員だから規則にはキビしいのかも。

 武蔵は次のリーダーを求めるが、だれも名乗りでない。
 訓練されたSTATは命令がないと動けないようだ。
 そして、ついに武蔵が決着とする。

「終了(おわ)り!!!」
くるま乗って」
「速やかに撤退ッッ!!!」
「残った者は斬るッッ!!!」

『逆らう理由は見ようともせず』
『逆らわぬ理由以外は目にも入らない』
『この日……』
『もっともスムーズな「動き」だったという』


 武蔵の命令で、STATたちが動いた!
 精鋭らしい素早い動きでたちまち撤収していく。
 この素早い動きは、さすが精鋭部隊と言えるかもしれない。

 STATも、命令さえあれば、ちゃんと動けるんですね。
 近づく前に射撃命令を出していれば勝てたかもしれない。
 むなしい、仮定の話ですが。

 武蔵に斬られた十数名の遺体をあえて見ず、無いものとして動いたようだ。
 戦死した仲間はいないから、とうぜん敵討ちなどの感情は起きない。
 怒りも、悲しみも、憎しみもなく、たんたんと帰っていくのだった。

 武蔵vs国家の第二ラウンドも、武蔵の圧勝だッ!
 前回は武蔵も油断して、電撃をくらっていた。
 だが今回は無傷の勝利である。

 完璧すぎる勝利だけに、今度は武蔵が油断をしそうだ。
 と、なれば武蔵の油断につけこんで刃牙たちが奇襲をかけるチャンスかも。
 次回、刃牙は動くか、動かざるか!?
 気持ち的にはすでに動いているらしいンだけど、見える形で動くかどうかって事ですよ。


 せっかくの精鋭STATを出したが、まったく役にたたなかった。
 想像以上にダメダメだ。
 けっきょく武器や人数を集めても、本人たちにヤる気がないとダメってことですね。

 武士道を説く『葉隠』では、戦国時代の武士が目指すスタイルを「曲者(くせもの)」と言っている。
 時代劇で忍者とかが潜んでいると、「やや、曲者!」と言って槍で刺すような感じに出てくる「曲者」です。
 忍者の別名ではなく、油断できないヤツという意味合いだ。

 つまり、こういう場面で「同士討ちでも構わん撃て!」と銃を乱射したりするのが曲者である。
 どっちかと言うと、武蔵に組みついて「構わん、俺ごと撃て!」というのが曲者かも。
 いやいや、みんなが車にのる前に、こっそり抜け駆けして油断している武蔵を銃殺しちゃうのが曲者だ。

 戦国武将はこのような曲者をほめたらしい。
 規律とか、集団行動の面では悪影響があるような気がする。
 ただ、混乱の極みである戦場において、活躍するのはこういう曲者なのかもしれない。
 それが戦国大名の経験と実感なのかも。

 『葉隠』は太平の世になってから書かれた。
 オレの若いころは……的な説教が多く、その説教すら曲者から見たら太平のサムライだ。
 戦国時代の伝聞にでてくる曲者はやっぱりムチャクチャで、金にこまった武士が年貢米を強奪するようなムチャもある。(第三 一六、五二)
 隆慶一郎の小説『死ぬことと見つけたり』(AA)で使われているエピソードですね。

 異常事態に対応でいるのは、チョット異常な曲者のほうが良いらしい。
 刃牙とか、チョットどころでなく スゴい異常なんで、ピッタリだ!

 武蔵も戦国時代の人ですが、正確に言えば安土桃山時代(織豊時代)から江戸時代にかけて生きている。
 乱世から治世に向かう時代なので、平時だと曲者はちょっと扱いにくいと言われる事も多かっただろう。
 だから、ルールを守り集団の和を大切にする官僚的サムライに反感を持っていたのかも。

 今回、戦闘をここで収めたのは、戦わずして勝つという兵法の理想を体現したのだろう。
 あのまま戦っていたら、恐慌した隊員が同士討ちでも構わず銃を乱射したかもしれない。
 場をコントロールできているうちに、終わらせる。
 武蔵は戦士と言うより、兵法者として勝利した。

 『板垣恵介の激闘達人烈伝』で中国武術の蘇老師が『ボスとは戦う相手ではなくて話し合うべき存在であり、戦線の拡大と報復を防ぐために絶対必要な存在となる。』と語っている。
 その点、武蔵はボスをつづけて二人殺したので失敗だ。
 この辺が、一軍の将になりたかったけど実現しなかった宮本武蔵の弱点なのかも。

 STATも誰かが三番目として名乗りでて「同士討ちでも構わんから~(略)」と言いだしたら、武蔵も危なかっただろう。
 結果的には圧勝だったけど、楽勝ではなかった。
 今度こそ、本当に銃を撃つ気になっている部隊を派遣されたら、危ういな。

 あとは、曲者である刃牙さんにお願いするしかないか。
 でも刃牙はスゴい曲者なんだけど、戦わない方向に曲者の場合が多いので困る。
 まさに油断ならない曲者だ。


週刊少年チャンピオン2017年20号 [雑誌]
週刊少年チャンピオン2017年20号


------
・おまけ 新刊情報
刃牙道(16): 少年チャンピオン・コミックス 刃牙道16巻が発売される!
日本で武蔵が活躍しているころ、米国では大統領選が決着していたッ!
そうなったら、とうぜんアレですよ!
とにかく服を着ようや。
16巻は135話から143話までッ!
※ 連載時とコミックス時では話数が違っています

新・餓狼伝 巻ノ三 武神伝説編 (FUTABA NOVELS) 『新・餓狼伝 巻ノ三 武神伝説編』で、ついに松尾象山と磯村露風の出会いが語られる。
丹波文七も、梶原も、そして姫川も動きだす。
この風呂敷は、どこまで広がるのか?
感想書きました。「新・餓狼伝 巻ノ三 武神伝説編」感想

バキ外伝疵面 7 (チャンピオンREDコミックス) バキ外伝疵面7巻が発売だ!
ついにグランドマスター編も決着するぞ!
そして非日常な日常にもどる。
46話から53話まで!

真・餓狼伝 6 (少年チャンピオン・コミックス) 真・餓狼伝6巻が発売された!
真なる餓狼の伝記もこれで最後だ。せまる丹水流の闇に、丹波親子は対抗できるのかッ!?
最終巻は47話から!

獅子の門 鬼神編 (カッパ・ノベルス) 獅子の門 鬼神編が発売される!
ついに完結!
羽柴彦六と久我重明の死闘があるらしいぞ!
なんか主人公の少年たちの名前があまり出てないけど、完結なのにそれでイイのか?

バキ外伝 拳刃(1) (チャンピオンREDコミックス) バキ外伝拳刃1巻が発売だ!
若き日の愚地独歩がやっちゃイケないような技で暴れる!
基本的に必殺だから敵は再起不能だぞ。教育的に良くないから秘密だ!

バキどもえ(2) (少年チャンピオン・コミックス) 板垣先生公認の刃牙パロ『バキどもえ 2巻』が、発売だ!
梢江いじりは止まらず、漢キャラは萌え化が止まらない!
刃牙は生きのこれるのか!?

謝男(3) (ニチブンコミックス) 土下座・新伝説『謝男(シャーマン)3巻』が発売される。
土下座の男・拝にたいし、謝らない女が登場する! この勝負、どこに転がる!?
3巻は11話から。