2017年7月13日(33号)
第4部 第165話「花山流の気遣い」 (1144回)

 素手喧嘩(ステゴロ)最強ヤクザと言われる花山薫は素手にこだわる男だ。
 その相手である現代によみがえった宮本武蔵は斬殺大好きサムライである。
 この勝負、一方的に花山が不利なんだけど、対抗策はあるのだろうか?

 花山は左拳を犠牲にして武蔵の脇差を奪った。
 だが、せっかく奪った脇差を武蔵に返すという。
 刀対策どころか、武器を奪って有利になったのに返しちゃうのかよ。
 卑怯なことはしないというのが花山の美学だ。
 でも、この場合は武蔵のほうが強くて格上っぽいんだから、侮辱的な行為に見えるかも。

 美学も大事だけど、勝利こそが重要って場合もある。
 正々堂々と行動することが武士道なのだが、逆に勝つためなら手段を選ばない行動も武士道である。(佐伯真一「戦場の精神史」)
 『葉隠』にも二つの武士道が混在していて自家撞着になっていた。
 ある意味では、人間らしい矛盾に満ちた規範だ。
 どっちかと言うと、乱世では手段を選ばない武士道が多い。
 宮本武蔵は、手段を選ばぬ武士道だろうな。

 なりゆきで刀を奪われた以上、受け取れない。
 花山の申し出をことわった。
 相手の提案に乗るときは、その裏になにがあるのか考えたほうが良い。
 武蔵も深読みしたのかも。

 私たちは花山が卑怯なことをしないと知っている。
 武蔵も花山は卑怯なことをしないだろうと思っているだろうが、珍しく油断していないのだろう。
 花山でなく本部だったら、返す刀に罠を仕込む。<BR>  というか、仕込まれていたな。(15巻 127話
 乱世育ちの武蔵も現代にもまれて用心深くなったか。

 花山は左拳に刺さっている脇差を抜いて、武蔵へ投げつけた!
 武蔵は当然のように脇差をキャッチする。
 飛ぶハエをハシでつかまえることができる宮本武蔵ならではのキャッチだ。

 つうか、本部戦での罠は忘れていたらしい。
 安易に掴みすぎだ。
 短い攻防だったが、今までのやり取りで花山の性格を把握したのかも。

「気を遣わせたな」
「これなら受け取りやすい」


 花山流の気遣いか。
 武蔵も素直に受け取り、納刀した。
 あ、しまっちゃうんだ。
 てっきり二刀流になって襲いかかるのかとおもったよ。

 この武蔵はせっかく抜刀しても、わりとすぐに納刀しちゃう。
 勝負がついたのであれば、それも構わないんだろうけど、戦闘中に納刀する意味がワカらん。
 相手を油断させるためだろうか?
 もっとも武蔵も油断しているから、互いに油断してプラスマイナス・ゼロって感じだけど。

 左拳を斬られ、背中も斬られた花山は汗をながし、息もやや乱れている。
 なんと、やっぱりダメージあったのか!
 武蔵も両断する気で斬ったみたいだし、傷は浅くはないだろうな。
 普通の人なら、とっくに救急車を呼んでと泣きついている状態だ。
 冷静な大人である私なら、とっくに自分で110に電話かけている。(やっぱり動揺している)

 かなりヤバげな花山の姿を見て、けしかけた張本人である徳川・内海コンビも汗を流す。
 木崎のようすはワカらない。
 理性的に考えると、ココは止めるべきだ。
 だが、喧嘩師・花山の闘いを止める事はできまい。
 木崎は我が身を斬られるような思いで見守っているのだろう。

 斬られて血を流そうと、花山薫は闘いつづける。
 殴ると決めた瞬間、汗は引いていた。
 いままでと同じく、防御も反撃もいっさい考えぬ全力で攻撃に集中した打撃フォームだ!

 花山の戦力を知った武蔵は、戦いかたを変える。
 勝つためなら手段を選ばぬのも武士道なり。
 全力を尽くす花山の剛腕パンチを、よけるッ!
 そして、斬ったッ!
 少なくとも四太刀いれたぞ。

 花山の背中に彫られた「侠客立ち」に新たな切り傷が入った!
 鮮血がしぶく!
 さらなるダメージを受けたが、花山はまだ戦えるのか?

 気力でダメージや痛みを耐えることはできるかもしれないが、いつか限界がくる。
 この出血量だと、花山が意識を失うのも時間の問題か?
 気絶しちゃったら、武蔵が首を刎ねとばそうと狙っていそうだけど。
 花山大ピンチで次回につづく。


 花山と武蔵の戦いは、二つの武士道が戦っているかのようだ。
 正々堂々と戦う武士道と、勝つために手段を選ばない武士道がぶつかる。
 そうなると、手段を選ばないほうが勝つよな。
 正々堂々と戦うことが目標だと、勝たなくても良いって事になるんだし。

 花山にとって、この仇討ちは侠(おとこだて)を貫けるかどうかの戦いだ。
 負けて死のうと、侠客らしく戦うことができれば良し。
 こうなると武蔵は花山を殺すことはできても、屈服させることはできないだろう。

 まるで、夢枕獏が大仁田厚を評して言った言葉みたいだ。
『大仁田厚が、リングから発信しているのは、
「オレとオマエと、いったいどっちが強いんじゃ」
 ということではないのである。
「オレとオマエと、いったいどっちがプロレスを好きなんじゃ」
 大仁田厚が相手選手に仕掛けているのは、このような勝負なのである。
 つまり愛の勝負なのである。
 こういう勝負を仕掛けられたら、長州力だってこまってしまう。』(『闘人烈伝』解説)

 肉体ではなく精神の勝負に持ちこんだのだとしたら、花山の土俵だ。
 花山を斬り殺したとしても武蔵には敗北感が残るだろう。
 そのまま世の無常を感じて仏門に入ったりして。
 武田信玄や上杉謙信のように出家しても戦争やっちゃう人もいるんで、人斬りは治らないと思いますが。

 武蔵は、花山を斬るのに脇差を使わなかった。
 やっぱり、チョット気がとがめているのかも。
 気になって使えないのであれば、それは花山の気位勝ちになりそうだ。

 でも、返してもらったからには、二刀流で決着をつけたくなるだろう。
 五輪書でも、刀を腰におさめたままだと勿体ないから二本とも使いたいと書いている。
 宮本武蔵、人斬りの必殺二刀流をついに出すか?
 そして、完成直前である無刀の奥義については、完全に忘れてそうだ。

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