2019年1月31日(9号)
連載 第35回 巻の四「自分の技で、人を殺してみたい」

 葛城無門は師・松本太山のカタキである柳龍光に出会える場所"ゆうえんち"を探している。
 そして、ついに闇の武術家・久我重明により"ゆうえんち"がいかなる場所か語られるのであったッ!
 久我重明は志村礼二を弟子にしたこともある。
 美形で若く才能のあるキレやすい少年が好きなのかもしれない。
 重要なのは才能か? 美形か?

 それはさておき"ゆうえんち"についてだ。
『噂では、明治二〇年。』
 古いなッ!
 西暦で言うと1887年だ! 132年前だぞ!
 100年以上前の話だと、どれくらい信じて良いのかワカらんな。

 明治20年前後の日本では格闘技における転換期を迎えていた。
 武士身分の消滅により、剣術や柔術などの道場がすたれていったのだ。
 そんな中で、嘉納流柔術――講道館柔道の嘉納治五郎は柔道をスポーツ化することで生き残りをはかっていた。
 まあ、それは別の話で、今の大河ドラマ『いだてん』を見ていれば、嘉納治五郎が柔道だけに限らずスポーツを日本に定着させようとしていた思想と活動が見えてくるだろう。
 明治初期の物語は『真・餓狼伝』(AA)や『東天の獅子』(AA)の世界ですね。

 武術道場がすたれて行くなかで武芸者はなにを思ったのか。
 実力はあっても秘伝の技ゆえに表舞台に立てぬ武芸者たちもいる。

『葵流。
 竹宮流。
 須久根流。
 萩尾流。
 九鬼流(くかみりゅう)。
 当麻真玄流。
 紀伊丹天流。
 三輪神方流。
 伊賀活殺流。』


 餓狼伝に登場する『葵流』『竹宮流』『須久根流』、獅子の門で久我重明が使う『萩尾流』、キマイラに登場する『当麻真玄流』などなど……
 こりゃ、危険な流派の新年大入り福袋状態だッ!
 そりゃ表には出ることができない流派もあるよね。
 さらに、空手(唐手)やヤマト流もいるぞ!

 だが、彼等は身に着けた技を振るう機会を失った。
 太平の世の江戸時代でも、殺人技を使う機会などそんなに無かっただろう。
 でも、明治になってさらに悪くなった。
 というか、ぶっちゃけ本音は

『自分の技で、人を殺してみたい。』


 武術の、殺人術の究極は、やっぱり殺人の実行だ。
 登山家は山に登る。釣り人は魚を釣る。
 ならば武術家は、人を殺めないと完成しないのかも。

 そんな不満を抱えた武術家に、蘭陵王から試合の誘いが来るのだった。
 観客は蘭陵王ただ一人だ。
 これなら情報漏洩の心配も少ないし、思う存分ヤれる!

 最初は勝者に賞金が出ていたのだが、金目当ての弱い武術家まで集まるようになり、試合を有料に変更した。
 相手を殺すために金を払うようなものだ。

 敗れた方は、三割がその場で死に、二割は数日後に死ぬ。
 四割は回復不能のダメージを受ける。たぶん失明とかでしょうね。
 無事で済むのはわずか1割だ。

 勝者も試合後に1割が死ぬ。松本太山は、このパターンだろう。
 やっぱり、四割は回復不能のダメージを受ける。
 無事なのは5割だ。

 こんな過酷な試合が"ゆうえんち"である。
 なりたちは地下闘技場と同じだ。
 地下闘技場は戦国時代が終わり、平和な江戸時代になった時に生まれた。
 活躍の場が無くなった武芸者たちの不満解消として、闘技場を開催したのだ。

 地下闘技場は幕府による企画であり、観客も居たのだろう。
 わりと健全な格闘試合になったと思われる。

 だが、"ゆうえんち"は個人の開催で、無観客の試合だ。
 地下闘技場に不満をもった徳川さんの先祖が始めたという可能性もある。
 100年以上つづく"ゆうえんち"は蘭陵王も代替わりしながら運営されているようだ。

 と言うのが久我重明の話でした。
 たぶん萩尾流も過去に何人か"ゆうえんち"に出場したのだろう。
 そこに葛城無門も行くというのか。
 柳龍光以外の怪物も参加しそうだし、とても危険そうだ。

 だが、葛城無門は行くのだろう。
 そして、確率からすると……、誰かを殺すことになるかもしれない。
 でも、とりあえず参加料の500万円が泣きどころだ。
 葛城無門は、期日までに500万円を集めることができるのか!?


週刊少年チャンピオン2019年9号
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