2021年10月2日(44号)
第164回 転章「その仕度、整うておりましょうや」

 ゆうえんちがコミカライズ決定だッッッ!
 漫画はそのまま、藤田勇利亜が担当するぞ!
 今まで緻密で意欲的な挿絵を描いてきただけに、漫画版でも期待できそうだ。

 コミカライズをするので、やっぱり小説は終了するのだろう。
 しかし、小説の終了後すぐにコミカライズを連載するってのも妙な企画ですね。
 最近オチを知ったばかりになるのが、ちょっと残念かも。

 話を戻して、弘安の役に出現した謎の蒙古兵の話だ。
 日本兵の工藤三郎、坂田時宗、池端一之進たちは巨漢の蒙古兵に襲い掛かるが撃退される。
 そして、蒙古兵は重ねて問うのであった。

「仕度は整うたるかっ!?」

 その言葉を聞いて工藤三郎は都へ問い合わせの早馬を出す。
 そして、15日後に仕度が整っていないという返答が届く。
 巨漢の蒙古兵は落涙し、鎧を脱ぎ捨て海を泳いで去っていった。

 この謎の問答は九州の侍にまで浸透しているんですね。
 侍にとって重要で、みんな知っているべき情報ってことだ。
 戦闘方法、挨拶、服の着こなしなどと同じように、親から子へ教え合って伝わっているのだろう。
 都に問い合わせるという行為で合意が取れる程度に、皆に浸透している情報のようだ。

 そして舞台は変わって、戦国武将の織田信長の話だ!
 いきなり時代が飛んだな!
 300年ぐらい飛んだぞ!

 織田信長は相撲好きな人物だった。
 天正9年(1581年)、信長主宰の相撲会(すまいのえ)で、20人抜きを達成した猛者がいた。
 黒人のヤスケである。
 前(ゆうえんち1巻 3回感想)にも書いたが、このヤスケの孫が『大帝の剣』(AA)の主人公・万源九郎ですね。
 松本太山の大胸筋は万源九郎と似ているので子孫の可能性を感じている。

「千年前の約定、はたしにまいりました。その仕度、整うておりましょうや」

 相撲会で活躍し、褒美を取らせると言われたヤスケはそう言った。
 ヤスケも支度が整ったのかと尋ねる人だった! ヤスケもかよ!
 ワールドワイドだな!
 つまり、モンゴルだけでなく、キリスト教圏もしくはアフリカにも「支度が整ったか?」事件の因縁があるようだ。

 1000年の因縁とは大きく、いや長く風呂敷を広げたな!
 本当に1000年だと西暦600年以前になってしまう。
 聖徳太子が活躍したころの遣隋使(600年~618年)あたりだ

 隋は短期で滅んでしまうが、その後の唐とも日本は交流がある。
 当時の唐は国際色豊かな他民族国家で世界とも繋がっていた。
 このあたりで、世界のどこかと何かの約定をかわし「いつか仕度を整える」と約束したのだろうか?
 西暦800年ごろには空海が中国へ渡り国際的な知識を得るんだけど、関係あるかな?
 1000年前と大きく出たから、誤差も大きいかもしれない。

 ヤスケの時も仕度は整っていなかった。
 またもや泣く。
 そして、時代は飛んで文化7年(1810年)秋の雷電爲右エ門43歳だ!
 大相撲史上最強と言われる力士である。
 その雷電に声をかける者がいた。

「どうだ、仕度はできたか……」

「それは、我らのことか、それともおれのことか――」
「いずれでもよい」
「おれならば、仕度はいつでもできている」
「では、やろう」


 相手はどうやら黒人、もしくは肌が黒い人間のようだ。
 とにかく男は雷電に組みつき、さば折りで雷電の背骨と腰骨をへし折る。
 最強力士である雷電を破壊した!
 まあ、この時代は40歳で初老だし、雷電も衰えていたのだろう。

「嘘をついたな……」

 そういって男は去っていった。
 この相手も外国からの刺客なのだろうか?
 どうも勝てば良い訳でも無いようだ。
 納得のいく勝負ができるかどうかが大事なのか?
 つまり約定は、まだ果たせていない。

 準備ができていると言って勝負した力剛山も龍金剛に負けた。
 雷電と同じく支度が整っていなかった案件になりそうだ。
 独歩は龍金剛に勝ったけど、支度が整った宣言を聞いていないので無効だろうか?
 この約定は、まだ続いていそうだ。

 そして、気になるのがウロボロスの紋を持つ蛟黄金丸だ。
 彼らのルーツは日本以外にあるようだ。
 もしかすると、彼らも支度が整ったことを確認する一族かもしれない。

 蘭陵王を受け継いだ黄金丸は無門と勝負の約束をした。
 その時が来たら、こう問いかけるかもしれない。
「無門くん、支度は整っているかい?」

 この『ゆうえんち』は、もうすぐ終わるはずなのだが、まるで終わる気がしないぞ。


週刊少年チャンピオン2021年44号
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