読書

ドローンを使ってテロと戦う『キル・リスト』と『ドローン情報戦』感想

 ゴールデンウイークでチャンピオンもお休みなので、たまには読んだ本の話など。


キル・リスト


 ちょっと古い本ですが私の好きな作家フレデリック・フォーサイスの小説です。
 宗教テロリストと戦う米国情報部が、ネットでテロを扇動する“説教師”を探し出し、追い詰めていく。
 まさに、人間狩り(マンハント)の話だ。
山奥にすむ老人に話を聞きに行ったり、引きこもりのハッカーをスカウトしに行ったりと、地道な作業のすえに“説教師”を追い詰めていく。
 なお、途中で主人公の身内が“説教師”の示唆によるテロで亡くなるので、私怨が混じるのが、同氏の『オデッサ・ファイル』的な感じですね。

 で、タイトルの『キル・リスト』なんですが、これはホワイトハウスが非公開に作成しているリストのことだ。
 テロリストたち危険な(米国にとって)人間をまとめていて、見つけしだいブッ殺して良し! のリストらしい。
 そりゃ、そんなリストは公開できないだろう。


ドローン情報戦:アメリカ特殊部隊の無人機戦略最前線


 で、こちらは米国の特殊部隊デルタでドローンの情報分析を行っていた人が、米軍などの関係者の検閲を経て出版した本だ。
 一般教養としてドローンのことも多少知ったほうが良いだろうと思って読んだんですが、内容がなかなか面白い。

 特殊部隊デルタは中東などに行って、日々テロリストを上空から監視して正体と居場所を突き止め襲撃する。
 デルタには始末すべき人物リストがあって、著者は彼らテロリストを追い詰めるため睡眠時間を削り寸暇を惜しんでドローンからの映像を凝視する日々なのだ。
 って、そのまま『キル・リスト』じゃねェか!
 もう非公開ではないのか!?
 と、小説と現実が交差する二冊の本でした。

 あと、『ドローン情報戦』で面白かったこぼれ話をいくつか紹介します。

 この著者は情報技術者なので実戦には出ない。
 だが特殊部隊デルタ(日本ではデルタフォースと読んでいる組織の事だろうが、文中ではデルタとしか書かれていない)の実行メンバーが席にやってきて、早く標的を見つけてくれとせかす場面が多々ある。
 デルタの戦闘員たちは、平和な日常よりも銃弾の飛び交う実戦を欲しているのだ。

『彼らは敵がたくさん待ち受ける建物のドアを吹き飛ばす感覚、戦闘の興奮を渇望していた。それで正気を保っているのだ。一般人は、兵士たちもできれば実戦を避けたいのだと考えがちだ。普通の軍隊ならそうかもしれないが、特殊部隊員たちはまず例外なくその反対だ。彼らはそのために生涯をかけて訓練している。生まれついての戦闘員なのだ。彼らと長くいればいるほど、ほとんどの隊員は無難に任務をこなして母国に戻って普通の生活をするより、アメリカのために戦って死ぬ方を選ぶ者たちだと分かった。』

 まるでバキ世界の住人のようなメンタリティーだ。
 こういう話を知ると、昔の戦士階級の人は、やっぱり戦闘狂がけっこういたのかもしれないと思えてくる。
 実戦の興奮を知ってしまうと、日常が退屈すぎるのだろうか。

 著者は情報分析官として、ドローンからの映像をほとんど不眠不休でチェックしている。
 風呂にも入らず、服も着替えず、のめりこむ。
 そんな彼の栄養源は冷蔵庫に常備されたエナジードリンクと、コーンフレークだ。
 いや、これは絶対に身体に悪い。

 新しい任務が追加されると、まず冷蔵庫を開けてエナジードリンクを取り出す。
 横から見ていると、確実にエナジードリンク中毒だ。
 日本人なら栄養ドリンクなんだうな。
 米国ではエナジードリングの会社が景気良さそうだけど、こういう使われかたしているんだろうな。

 なお、休暇の息抜きはX-BOXをやっているようです。
 中東なので米国人向けの娯楽施設が少ないのだろう。
 PSや、任天堂の名前は出てこない。
 やっぱ、米国人はX-BOX大好きってことなんでしょう。
 遊ぶゲームも愛国的にアピールするため、PSや任天堂の名前が検閲対象という可能性もありますが……

新・餓狼伝「巻ノ四 闘人市場編」感想

 けっこう前に読み終わっているんですが、小説・餓狼伝の感想です。
 今回のは刃牙とも少し関わっていますね。

 カイザー武藤との激闘を制した丹波文七に新たなオファーがある。
 闇試合である闘人市場のレフリーをやらないかと言う誘いだ。

「おまえさん、ふたりの試合を見たくはないかい」
「それも、一番近くでだ」

 と言うワケで丹波文七は今回戦わずにレフリーです。
 その試合は磯風露風vs姫川源三だ。
 曲者オッサン対決だぞ!

 姫川源三は例の菊式で毒を使うらしい。
 厳重なチェックを潜り抜けて姫川源三は菊の花を咲かせることができるのか!?
 この辺は見事なトリックというか、上手い罠を考えますね。

 で、レフリー丹波だけど闇試合だから、みんなレフリーすら武器にしようとしている!
 丹波君はレフリーやってても弄られる運命なのか。
 でも丹波もレフリーだけど負けていないぞ!
 カイザー武藤に勝ってからの丹波はなんか若返ったというか、良い意味で吹っ切れた感じですね。

 試合とは別に姫川源三は秘伝書『秘聞帳』を持っていて、その秘伝書争奪戦が最近のテーマだったんですが、今回問題解決しちゃった。
 今時、秘伝とか暗殺の歴史も無いでしょうと、当然と言えば当然のことを言いだす。
 でも昔やった悪事が世間に広まると風聞が良くない。
 という事で公開焼却処分されてしまう。
 たしかに日本史の貴重な資料なんだけど、どこまで本当かわからん資料だし、これもアリだろうな。

 そして、格闘技のイベントをやることが発表される。
 これは餓狼伝・最大トーナメントか!?
 ついに餓狼伝の最終局面に入るらしい。
 こりゃ、今までの猛者が勢ぞろいしてフィナーレを飾りそうだ。

 丹波と姫川勉はもちろん出るだろう。
 堤城平も退院しているぞ。
 磯村露風も刺客を送り込んでくるだろう。

 さらに謎の新キャラも出てきている。
 無銭飲食のオッサンはともかく、覆面忍者・葛城流忍術の猿神跳魚(さるがみとびお)は葛城流と言うだけに葛城無門との関係が疑われる。
 葛城無門が二十歳ぐらいのとき182cm 90kg強だったが、猿神跳魚は183cm 102kgだ。
 成長期は終わったが筋肉をつけたと考えれば同一人物かも。

 とにかく、秘伝書争奪戦も解決し、餓狼伝は決着へ向けて動きだした。
 グレート巽はイベントに出場するだろう。
 しかし、松尾象山はビッグネームすぎて出場しにくいだろうな。
 優勝賞品の隠し副賞が松尾象山への挑戦権だったりして。


 「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」感想で『地下格闘技大会』の存在が明らかになった。
 で、やっぱり夢枕獏が妄想を刺激されたらしく、生まれたのが『闘人市場』ですね。
 これはバキ外伝『ゆうえんち』の『ゆうえんち』と同じものだろう。
 同じ地下試合を別の名前で呼んでいるだけだ。
 今回の餓狼伝は『獅子の門』から久我重明がチョイ役で出てきた。
 やっぱり、地下試合への案内人は暗器の重明なんだな。

 それと、平直行『格闘技のおもちゃ箱』の帯は夢枕獏が書いている。

 試合前の作戦会議のシーンなどは、ぼくも勉強になった。と書いているんですけど、違う所で影響受けたようですね。
 平直行は前田日明に次のように言われた。
「お前にいつも、誰よりも近くで世界のトップの試合を見せてやる」
「平、リングスでレフェリーをやれ」
「そうして毎回世界のトップを近くで見ておけ」

 こりゃ、丹波も良い経験できたワケだ。
 悩みも無くなり、今の丹波文七は燃えたぎっている。
 このまま最終決戦に突入か!?

さらなるデータ野球の革新『ビッグデータ・ベースボール』感想

 『マネーボール』感想を書いたところ、その後の大リーグの動向がワカる本として、『ビッグデータ・ベースボール』を紹介していただきました。
 さっそく読んでみたんですが、大リーグのデータ解析はここまで進んでいたのかと驚愕する。
 今後の大リーグは毎年進化していくだろう。

 『ビッグデータ・ベースボール』の主人公は、20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツだ。
 『マネーボール』のオークランド・アスレチックスもそうなんですが、ピッツバーグ・パイレーツも貧乏球団である。
 誰もが認める優秀な選手は年俸が高いので雇うことができない。
 貧乏球団が生きのこるには知恵を絞って誰も気が付いていない優秀な選手・戦術を捜すしかないのだ。

 『マネーボール』時代の2002年は、まだ選手の守備力を評価しきれていなかった。
 だが、2013年には野手の守備をあるていど評価できるようになっている。
 さらに、2007年からはPITCHf/xと呼ばれる自動投球認識システムが球場に設置され、投手の投げる球を詳細に分析できるようになった。
 これらから得たデータで、ピッツバーグ・パイレーツは守備の強化をはかる。
 打者に合わせた守備シフト、ゴロを打たせる配球、ストライクの判定を有利にするキャッチャーの技術ピッチフレーミングの三本の矢だ。

 崖っぷちの弱小球団ピッツバーグ・パイレーツは守備革命で見事に復活する。
 ただ、『マネーボール』のオークランド・アスレチックスの時とはちがい運良く勝てたと思われていない。
 データ野球はすでに大リーグでの常識となっているのだ。
 どこかの球団が成功したら、そのデータはすぐに解析されてしまう。

 いっぽうで閉鎖的な大リーグ村はまだ健在だ。
 ピッツバーグ・パイレーツのように手段を選ばず勝ちたいという動機が無いと、なかなか選手たちは変わろうとしない。
 もっともデータ野球の大きな流れは止められないのだろうけど。
 また2014年3月に発表された「スタットキャスト」というシステムは野手の守備評価をより詳細に評価できるようになる。
 2015年からメジャーリーグすべての球場で「スタットキャスト」が採用される事になった。

 「スタットキャスト」により、新たな評価が生まれているかもしれない。
 2017年現在では、まだそういう話は聞こえてこないが、どうなんだろう。
 日本語ウキペディアの「スタットキャスト」を見るかぎり、日本にはほとんど情報が流れていない感じですね。

 で、大リーグのデータ野球に対して、日本の野球が遅れているという話も出てくるだろう。
 だが、プロ野球にとって最重要な目的は顧客満足度をあげることだ。
 その結果として、観客動員数や客単価を上げて球団を潤わせる。

 顧客満足度を上げるイチバンの方法は試合に勝つことだ。
 だが、あまり勝ちにこだわると地味でしょっぱい試合になる事が多い。
 少なくとも格闘技の試合はそういう傾向があった。
 もっとも、野球は歴史が長いから勝ちにこだわりつつ派手さも失わない知恵があるのかもしれないが。

 日本の野球はテレビ中継の激減や、ファン離れを経験して、よりファンに楽しんでもらえるイベントになるように改善してきた。
 今は勝ちにこだわる野球よりも、ファンサービスを重視したほうが良いんじゃなかろうか。
 そうは言っても、最下位の球団とかは勝たないとファンが離れていくかもしれない。
 やっぱりデータ野球は弱者の武器なのかも。

 日本の事情はさておき、そのうちに大リーグから評価しにくいんで日本でもスタットキャストなんかを導入せよと外圧がかかるだろう。
 たとえば二刀流の大谷翔平選手は投手としての評価と、打者としての評価が日本の基準だとハッキリしない。
 でも、外国人スター選手を雇うような金持ち球団は切羽詰まっていないんで、もうしばらく現状のままでしょうけど。

 これからしばらくはデータの収集・蓄積と分析で新しい戦略・戦術が生まれるだろう。
 データ野球は今まさに進化中だ。
 来年も新しい要素が発見されるかもしれない。
 日本も最下位の球団とかが導入して躍進するかも。
 具体的に言うと千葉ロッテマリーンズなんだけど、ロッテが活躍すると浦安鉄筋家族でのネタにもなるぞ!

ビッグデータ・ベースボール 20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツを甦らせた数学の魔法
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『マネーボール』感想

マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
 前にグラゼニ感想でふれた『マネーボール』について雑感です。

 の内容をざっくり説明すると「の手法をもちいて大躍進した2002年アスレチックスを取材した本」です。

 『マネーボール』の主役はゼネラルマネージャー(GM)のビリー・ビーンである。
 ビーンは歴史的な逸材と言われ高校卒業後にドラフト1巡目でプロになる。
 だが、逸材すぎたため指導も挫折もほとんど受けなかったビーンはささいなスランプから立ち直れず、三流の選手として引退することになる。
 なぜ逸材と言われた自分が名選手になれなかったのか?

 自問したビーン(この人は頭も良い)はセイバーメトリクスを知り野球選手に必要な能力に新たな知見をえる。
 1997年にアスレチックスのGMになったビーンはセイバーメトリクスを元に「能力はあるけど野球界の常識では評価の低い選手」を安い年俸でスカウトし、貧乏球団アスレチックスを勝利に導いていく。
 2002年のアスレチックスは球団別年俸総額が30球団中28位だったが、勝利数が30球団中1位と効率よく戦えた。

 と言う話だが、セイバーメトリクスは万能の必勝法じゃない。
 アスレチックスもセイバーメトリクス至上主義ではなく、自分たちで分析解析をしている。
 GMビーンとアスレチックスが勝ったのはセイバーメトリクス+ビーンのトレード手腕だろう。
 でも、話がややこしいので、アスレチックスの手法もセイバーメトリクスと言っておきます。

 この本を読むまで米国人は合理的でデータ分析をちゃんとやるものだと思っていた。
 しかし大リーグは閉鎖的な大リーグ村の住人が自分たちの風習にしがみついている。
 1970年代に原型ができたセイバーメトリクスは野球のシロウトの理論として、大リーグから無視されていた。

 GMビーンも内部反抗にあいながら、改革をすすめ年俸総額が低いのに勝率の高い球団を作っていく。
 アスレチックスの費用対効果が高すぎると周囲も気が付いているのだが、GMビーンは「たまたま運が良かった」と言って3年ぐらいゴマカしている。
 セイバーメトリクスが重要視されていないから、ごまかせていたのだ。

 もっとも2002年の時点で、ゴマカしが効かなくなってきている。
 ビーンが目を付けた選手は他球団も気にするようになり、安く買えなりはじめた。
 さらに、ビーン自身がヘッドハンティングの対象になる。
 金に目が眩んでプロ入りした過去を思いだし、土壇場で断るのだが。

 『マネーボール』は2002年で終わっているが、ネタがバレたアスレチックスはこの年を頂点に落ちていくことが容易に想像できる。
 さらに言えば、セイバーメトリクスは万能じゃない。
 打者にとって重要な能力は出塁率と長打率である。この理論は正しいようだ。
 だが、それ以外はまだ分析が足りない。

 選手の守備力をどう評価すれば良いのかが難しい。
 守備範囲の広い選手は難しい打球にも追いつくのでエラーも出すことがある。
 楽にとれる球しか取ろうとしない選手はエラーがゼロになるが、守備が良いと言えない。

 アスレチックスでは、新理論を見つけてピッチャーの評価は奪三振・被本塁打・四死球・被長打率にかぎると考える。
 被安打とかは、守備や運に左右されるのでピッチャーの評価としてノイズが多い。
 なので野球統計学は、守備力の評価と、統合的な戦力評価方法であと二回革命が起きるだろう。
 AIによる学習で、防御力の評価を飛ばして統合評価が先に完成するかもしれないが。

 それとセイバーメトリクスが広まることの弊害がある。
 具体的には、四球の重要性が上がることで自然と試合時間が長くなるハズだ。
 今年の大リーグが敬遠を省略したのも、この影響じゃなかろうか。

 以前から野球は試合時間が長すぎると言われていた。
 勝つために四球を選ぶのは必要だろうが、はっきりいって四球じゃ試合は盛りあがらない。
 試合を面白くして、時間を短縮するため、野球はなんらかのルール変更が必要になるかも。

 それと、閉鎖的な大リーグ村みたいな組織はどこにでもある。
 ボクシングなどの格闘技にも統計学を利用した勝率の高い戦いかたが見つかるかもしれない。
 そして、それを取りいれることで優位に戦えるようになるだろう。
 「たまたま運が良かった」と言ってゴマカしちゃえば、3年は優位性を保てるぞ。

新・餓狼伝3感想

新・餓狼伝 巻ノ三 武神伝説編 (FUTABA NOVELS) 新・餓狼伝 巻ノ三 武神伝説編

 掲示板で情報もらってからずいぶんたちますが、今更の感想です。
 実は『獅子の門』もTwitterで少し感想書いたあと、まとめず放置のままなんですが。

 松尾象山のライバルと言われる磯村露風の過去編だ。
 というか、松尾象山の過去編でもあるな。
 若かりし日(といってもすでに40代後半ですが)の松尾象山は、まだ自分の松尾象山をもてあましているようだ。
 松尾象山らしさを模索中ですね。
 駆け出しの英雄って感じだろうか。

 で、磯村露風が なぜ松尾象山のライバルなのかが判明する。
 そもそも、松尾象山とは何者であったか?
 実戦空手の雄であり、拳に絶対の自信をもつ男だ。
 となると、ライバルは組み技系ってワケですよ。

 だが、磯村露風は一風変わった組み技系だ。
 と言うか、あまり組まない。
 相手の重心を崩し・投げ・倒すのだが、それを打撃でもやってしまう。

 とくに弟子の京野京介はボクシングで、投げをやってしまうのだ。
 打撃による崩し・投げってのが面白い。
 そして、最終目標はヤマト流による世界征服だ!

 最高の野望とは世界征服である。
 ただ、世界征服は難しいというか、ほとんど不可能なので、代用としてボクシングの世界で世界征服みたいに切り替えるのだ。
 格闘小説の世界で天下とるとかね。
 で、磯村露風は自分の流派ヤマト流であらゆる分野の天下をとろうとたくらんでいるのだった。

 秘伝書をめぐっての話を忘れてしまうようなスケールの大きな野望が出てきたよ。
 さすが松尾象山のライバルだ。
 というか、磯村露風のヤマト流は大東流の武田惣角を祖としているらしい。
 これは『東天の獅子』とのつながりが濃密になってきたな。

 嘉納治五郎と武田惣角の時代と、いつか書かれる前田光世の『東天の獅子』から、前田光世と丹波文吉の活躍する『真・餓狼伝』、そして『餓狼伝』というつながりが見えてきた。
 『真・餓狼伝』がもっと長続きしたら、よりスキマが埋まったんだろうけど。

 丹波文七はいつも通りだけど、梶原がなんか成長しそうな感じだ。
 そして、ちょっと忘れていたけど姫川の父・源三も動きだした。
 なんか際限なく風呂敷が広がっている気がするんですけど、この後どーするんだろ。

「最強国の条件」読書感想

 たまには読んだ本の話でも。
 「最強国の条件」では、最強国(軍事力・文化に置いて地球規模で圧倒的な強さをもつ国)の条件について考察している。
 と言っても、最初に「最強国とは人種・宗教・移民に寛容な国で、寛容だから人材が入ってきて栄える」という仮説を立てて検証しているので、やや強引な所もあった。
 しかし、最強国になるためには人材確保が必要で、そのために寛容さが必要って理屈にそれなりの説得力がある。

 逆に最強国が没落するときの分析もあった。
 寛容政策で多様な価値観を認めると、国としてのまとまりが弱くなる。
 最強国の衰退期では、国のまとまりを求めて、非寛容になる傾向がある。
 国力が落ちるから まとまろうとして非寛容になるのか、 非寛容だから国力が落ちるのか?
 衰退と非寛容は、ニワトリとタマゴみたいなもので、どっちが原因かと言うより、相互に影響しあっているらしい。

 で、最近のニュース見ていると、米国大統領候補のトランプ氏の発言を聞くに、現代の最強国である米国も衰退期に入ったと感じる。
 個人的な考えですが、中国やロシアが台頭するより、米国がデカい顔しているほうがマシだ。
 なので、米国には寛容さを失わないで欲しいと思っている。

 ところで、この寛容さと、衰退期に人種の純潔や宗教の一本化を言いだすというパターンは、生物の進化と絶滅でも、同じパターンが発生しやすい。
 イロイロな環境にあわせて多様性をもった生物は反映するが、環境に過剰適応しちゃうと、少しの環境変化について行けず絶滅する。
 けっこう普遍的な法則なのかもしれない。

 この理論から三国志や日本の戦国時代をながめて見ると……
 三国志のほうはそれなりに符合する点が多い。
 新興宗教、地方豪族の貴族化による貧富の格差拡大、異民族の流入、外部からの移住者などと、寛容さが必要になる問題がたくさんある。
 簡単に寛容にはなれないようだ。

 日本の戦国時代は、徳川家康が勝利し、非寛容で内向きな幕府をつくる。
 でも、江戸時代は基本的に平和な時代だった。
 国の強さと幸福度は必ずしも一致しないのかも。
 ただ、平和ボケした日本は、欧米列強との武力格差が開いてしまい、あとで苦労することになる。
 長い目で見ると、なにが正解なのか、本当に難しい。

最強国の条件
最強国の条件

悟りとは最強である! 『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』感想

 哲学がよくワカらんので刃牙でたとえてくれの第二弾『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』(AA)だ。
 西洋哲学を説明していた『史上最強の哲学入門』(感想)にくらべると、東洋哲学はワカりにくい。
 というか、ワカりにくいと知りました。
 東洋哲学は理解するものじゃなく、体験するものなのだ!

 と言う感じで東洋哲学を説明していく。
 もちろん体験しているものじゃないんだから、真理には届かない。リアルシャドーですらない。
 ただ、自分が真理に達していないことがワカるだけマシなのだろう。
 それでも、目の見えない人に空の青さを説明するように、刃牙でたとえたりガンダムを持ち出したりしながら説明する。

 東洋哲学ってのは、ある意味で範馬勇次郎だ。
 真理に到達しちゃった人たちの境地である。
 勇次郎の気持ちを理解するには、範馬になるしかない。
 と言うわけで東洋哲学はハードルが高いのだ。
 そりゃ、範馬になるなんてムチャもいいところよ。

 と言うわけで自分が範馬にいたっていないのは充分にわかった。
 範馬になるには崖から飛び降りたり、原始人と戦ったりしなきゃイケないし。
 まあ、範馬になるための方法は個人ごとにちがうらしいのですが。

 範馬(悟りの境地)になった人間のひとりに老子がいる。
 そうなると、どうなるのか?
『老子は述べる。無為自然になると。』
 無為自然とはなんだ?
 説明は難しいので本を読んでください。簡単にいうと「最強になるよ」ってコトらしい。
 やっぱり、悟りは範馬だよな。いや、範馬じゃないからワカらんのですが。

史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち
史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち

意識とは幻想にすぎない 『ユーザーイリュージョン』感想

 刃牙で二回ほど話題になった『ユーザーイリュージョン』(AA)の感想をまだ書いてなかったんで書いときます。(範馬刃牙 70話271話

 『ユーザーイリュージョン』とはコンピューター科学者アラン・ケイの論文に登場した概念だ。
 コンピューターは0と1のデジタル信号を処理している。
 ところが人間には0と1のデータだけじゃ扱いにくい。
 そこで入力系にキーボードやマウスをつくり、出力系にアイコンやウインドを作った。
 利用者が使いやすいように、架空のデザインを構築している。

 人の意識ってのも同じだ。
 五感を通じて人間は膨大なデータを得ている。それらを脳が無意識に処理して判断して人間は行動している。
 その結果、情報の一部を意識は見ているのだ。
『私たちの意識が処理するのは、せいぜい毎秒四〇ビット程度』

 また、意識は体が行動する0.5秒後に世界を感じている。
 情報処理が終わったあとの報告書を見ているからタイムラグが生じるのだろう。
 意識(心といっても良いが)は無意識が生みだしている影であり幻想なのだ。
 自分が何かを決断したつもりでも、実は行動した後で決断した気になっているにすぎない。
 意識は、EXCELの右下で動いているイルカみたいな、利用者を便利にするための機能にすぎないのだ。あ、あのイルカは不便ですか。

 もっとも、いきなり意識も心も脳が生みだした幻想だと言われても納得しない人もいるだろう。
 身体に心があるのか無いのかは昔から問題になっている。
 そのへんはWikipediaの心の哲学でもみると歴史がわかるだろう。わからんかも知れないが。
 身体と心の問題は3つのグループにわかれる。(「脳の中の「私」はなぜ見つからないのか?」を参考にしています)

・ 身体には心があるという、心脳二元論
・ 信じられるものは心しかないという、心一元論
・ 心は身体がつくっているという、身一元論

 『ユーザーイリュージョン』は身一元論なワケです。
 相容れない人もいるでしょう。
 『ユーザーイリュージョン』は実験や観測から身一元論にいたったが、心が無いと証明できない。
 心一元論の話は『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』で説明しているので、そっち読んだほうがわかりやすいと思う。

 哲学的な問題を抜きにして『ユーザーイリュージョン』を読めば、それは脳の使いかたの話になる。
 意識は0.5秒おくれているのだから、意識・判断して行動するとスピードが遅れるってコトだ。
 条件に対して反射的に行動するトレーニングを積めば自発的な行動より速く動ける。

 前にも書きましたが、こんなエピソードが紹介されていた。
 ニールス・ボーアは西部劇で主人公が勝つのは、無意識の動作だからという仮説を立てた。
 悪漢は自分から銃をぬく。つまり意識的な動きだ。
 逆に主人公は悪漢の手が動いた瞬間、反射的に銃をぬいて撃つという訓練をする。
 主人公が勝つのは、無意識の行動による速さのおかげだ。
 ボーアはおもちゃの拳銃を買い、この理論で「弟子を全員『射殺』した。」

 サンボのビクトル古賀もおなじ用なコトを言っている。
「狙っていると相手になぜかわかってしまう。」
「だから、僕は試合会場に行ったら」「好みの女の子を捜す」
「その女の子が見えたら、僕は技をかけるんです」
「僕にもいつ技をかけるのかわからない。そうすると、技をかけるタイミングが相手にもわからないんです」(平直行の格闘技のおもちゃ箱
 反射的な動きを実戦に応用した例だ。

「そのために、稽古は考え抜いてやらねばならない。漫然とやっていては何もわからない。つま先の位置、足の踏み方、足首の状態、突きの角度から上体のバランスといったあらゆることを意識していなければダメなんです」
 中村日出夫(「板垣恵介の激闘達人烈伝」より)

 と、実際のところ一流どころは何年も前に通過しているのだけど。
 このトレーニングをパクれば一流でない私でも効果的なトレーニングができるってことだ。
 無意識を意識的に鍛えろ!

 それと、もう一つ。
 人間の意識・心が情報処理のさいに生まれたものだとしたら、人間じゃなくても心があるってコトじゃなかろうか?
 犬や猫のような動物にも心があるだろう。
 ミミズだって オケラだってアメンボだって少ない情報処理だから貧相だけど心がありそうだ。
 ならば、パソコンにも心が宿っているんだろうか?
 ……毎度、変なデータを入出力させて、すいません。


ユーザーイリュージョン―意識という幻想
ユーザーイリュージョン―意識という幻想

「NEWラブプラス」と「ぼくのメジャースプーン」2

「NEWラブプラス」に関するお詫びとお知らせ

 「NEWラブプラス」(AA)が不具合対応に動き出したようです。
 FAQに出てくるような致命的なバグはともかく、タッチペン不感症も治るといいなー
 それでも最近はなれてきて、タッチイベントのチャンスで一回ぐらいはキスできるようになりました。
 いままでからすると、少なすぎますが。

 『ぼくのメジャースプーン』は順調に読み終わった。
 リンコと読み進めるというのは、確かに微妙な斬新さだ。
 つうか、3DSを開きっぱなしで読書推奨って電力に厳しいプレイだな。

 開いているとリンコのつぶやきが聞けるのはちょっと面白かったけど。
 あ、今あそこ読んだなって感じで。

 『ぼくのメジャースプーン』自体はなかなか面白かった。
 宮部みゆき「スナーク狩り」や東野圭吾「さまよう刃」みたいに、罪にたいする罰の与えかたを考えさせられる話だ。
 条件をうまく考えれば主人公はいくらでも重い罰を与えることができる。
 殺すことも、死ぬず苦しみ続けさせることも自由自在だ。

 ただ、相手の罪に見合った罰を与えることができるのか?
 相手に更生の可能性があるのか?
 能力の使いかたと、何を相手に課すのか、主人公は同じ能力者と話し合いながら考えを深めていく。
 オチの意外性や、伏線の張りかたが上手い。
 この作者の他の本には登場人物もでているらしいので、そっちも読んでみようかと思う。

「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」感想

 ちゃんと感想書いてなかったんで、今頃ですが「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」の話など。
 明治に嘉納治五郎が柔道を創設してから史上最強といわれる柔道の鬼が木村政彦だ。
 もともと柔術出身だったのが、強さを見込まれ三代目・柔道の鬼である牛島辰熊にスカウトされた。
 四代目・柔道の鬼の誕生である。
 ここから木村は15年間不敗、13年連続日本一、天覧試合制覇の輝かしい成果をあげた。

 木村が成長していく過程は柔道が変化していく歴史でもある。
 寝技中心の高専柔道がどんな物だったのかの解説もあったりと格闘史の勉強にもなった。
 なお、高専柔道で昭和11年に拓殖大学が優勝しているのは、木村政彦がいた時のことである。
 木村政彦は寝技の名手でもあった。

 全盛期を戦争に奪われた木村政彦は、戦後になり運命が来るっていく。
 もう柔道だけで食っていける時代じゃなくなったのだ。
 木村政彦は牛島辰熊の立ち上げたプロ柔道に参加するのだが、経営に失敗してしまう。
 ここでプロ柔道が成功していれば、日本の格闘技も今とはちがう状態になっていただろうな。

 で、木村は楽に稼げるプロレスをやるようになっていく。
 そして、ブラジル遠征でエリオ・グレイシーと戦うことになる。
 ここでの死闘はまさに夢枕獏の世界だ。というか、実際に『東天の獅子』で書いているんですけど。
 実力は木村のほうが上で優位に戦うのだが、試合中に
「エリオ、おまえは本当に凄い」
 と言ったりした辺りが、本当に夢枕獏だ。

 そして、静寂となった会場で木村はエリオの腕を折る。
 折られてもギブアップしなかったエリオの闘魂を木村は讃え、その寝技技術も認めていた。
 エリオも木村のことを尊敬する。
 この試合後の交流も夢枕獏っぽい。

 だが、良い話はこの辺までで、木村にとって転落である力道山との試合がまっている。
 プロレスの試合中に力道山が取り決めを破り、不意討ちを仕掛け勝利したあの試合だ。
 全国中継もされたこの試合の敗北が木村にとって痛恨事となる。

 汚名を返上するには力道山を倒すしかない。
 これがタイトルである「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」につながる。
 力道山は試合を拒み、木村は私闘で殺そうとまで思いつめるが果たせない。
 この辺は本当に重くつらい場面なので、読んでいて涙ぐんでしまう所だ。

 木村政彦のプロレスへの復讐は弟子の岩釣兼生に受けつがれる。
 だが、けっきょく岩釣のプロレス参加は中止になった。
 それでも、柔道の復讐は影でなされていたのだ。

『昭和五十年代のことだ。日本のある地方都市で、ある胴元のもと、地下格闘技大会が開かれていた。』
『この地下バーリトゥード大会でチャンピオンベルトを巻いていたのは、ほかならぬ岩釣兼生だった。』

 格闘好きな作家が読んだら妄想を爆発させそうな秘話が最後であかされている。
 このネタは後の格闘漫画や小説に影響しそうだ。


木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
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